JP2010127178A - 内燃機関の始動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力消費を抑制しつつプレイグニッション抑制に好適な内燃機関の始動制御装置を提供する。
【解決手段】始動時に内燃機関(エンジン)をクランキングするクランキング手段としてのモータジェネレータ2と、始動時に内燃機関(エンジン)が高温状態であるか否かを判定する高温始動判定手段としてのエンジンコントロールユニット8と、前記高温始動判定手段にて始動時において内燃機関が高温状態であると判定されると、クランキング手段(モータジェネレータ2)によるクランキング回転数を上昇させるよう設定する制御手段としてのエンジンコントロールユニット8と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の始動制御装置に関し、特に、始動時におけるプレイグニッション抑制に好適な内燃機関の始動制御装置に関するものである。
従来から運転条件に応じて内燃機関を駆動系から切り離し、内燃機関への燃料供給を停止することにより燃費を向上させるハイブリッド車において、内燃機関の始動時におけるプレイグニッションの発生を防止する内燃機関の始動制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
これは、電動機の駆動力のみを利用して駆動輪を駆動する際に、内燃機関の機関温度が所定温度より高い場合には、動力分割機構を制御して発電機或は電動機により内燃機関を燃料供給停止状態で空気のみを供給して強制的に駆動し、内燃機関を内部から強制的に冷却するようにしている。
特開2000−161099号公報
しかしながら、上記従来例では、電動機の駆動力のみを利用して駆動輪を駆動する際に、内燃機関の機関温度が所定温度より高い場合には、発電機或は電動機により内燃機関を強制的に駆動するため、走行用の電源電力が消費されることとなり、走行燃費が悪化する不具合があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電力消費を抑制しつつプレイグニッション抑制に好適な内燃機関の始動制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、始動時に高温始動判定手段により内燃機関が高温状態であるか否かを判定し、始動時において内燃機関が高温状態であると判定されると、クランキング手段によるクランキング回転数を上昇させるよう設定することを特徴とする。
したがって、本発明では、始動時に高温始動判定手段により内燃機関が高温状態であるか否かを判定し、始動時において内燃機関が高温状態であると判定されると、クランキング手段によるクランキング回転数を上昇させるよう設定するため、内燃機関冷却のために発電機或は電動機等により内燃機関を強制的に駆動して電力消費を発生させることなく、圧縮時筒内温度に応じてクランキング回転数を変えて始動することにより、吸気系統に発生するブーストを発達させて、筒内への吸入空気量を減らし、圧縮時筒内温度を下げて、電力消費を抑制しつつプレイグニッションを防止することができる。
以下、本発明の内燃機関の始動制御装置の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は本発明を適用した内燃機関の始動制御装置の第1実施形態を示すシステム構成図、図2はエンジンコントロールユニットに記憶されている圧縮時筒内温度予測テーブル及び始動時クランキング回転数マップ、図3は停止時制御のフローチャート、図4は始動時制御のフローチャートである。
図1は内燃機関の始動制御装置を組込んだハイブリッド車両のパワートレーン及びその制御システムを示す。図1において、エンジン1と、モータジェネレータ2と、モータジェネレータ2及びエンジン1間で締結及び解放によりトルクを伝達及び遮断する第1クラッチ3と、モータジェネレータ2及びエンジン1の動力を左右駆動輪(左右輪)7,7に伝達する伝達装置を構成する自動変速機5及び終減速機6と、モータジェネレータ2及び自動変速機5間で締結及び解放によりトルクを伝達及び遮断する第2クラッチ4とを備える。また、エンジン1を制御するエンジンコントロールユニット8と、モータジェネレータ2、第1クラッチ3、自動変速機5及び第2クラッチ4を総合的に制御する、制御手段としてのハイブリッドコントロールユニット9とを具える。
また、この実施例のハイブリッド車両は、停車状態からの発進時及びアクセルペダルの踏込みをゆるめての走行等を含む低負荷時にエンジン1を停止させた状態でモータジェネレータ2からの動力のみで走行するモータ走行モードと、アクセルペダルを踏込んで加速する時や効率運転が見込まれるエンジン運転領域時等にモータジェネレータ2により発電しつつエンジン1からの動力にのみにより走行するエンジン走行モードと、アクセルペダルを大きく踏込む大負荷走行時等にエンジン1及びモータジェネレータ2の双方からの動力により走行するフル加速走行モードと、減速・制動時等にエンジン1を停止させモータジェネレータ2により発電させて車両を制動させて走行する回生走行モードと、を有する。
エンジン1のクランクシャフトの回転は、モータジェネレータ2を介して、自動変速機5の入力軸に伝達される。第1クラッチ3は、モータジェネレータ2及びエンジン1間に介挿され、これらモータジェネレータ2及びエンジン1間を切り離し可能に結合する。一方で、第2クラッチ4は、モータジェネレータ2及び自動変速機5間に介挿され、これらモータジェネレータ2及び自動変速機5間を切り離し可能に結合する。モータジェネレータ2は、車輪7,7を駆動するときはモータとして作用し、車輪7,7を回生制動する時はジェネレータ(発電機)として作用するもので、エンジン1及び自動変速機5間に配置されている。
自動変速機5は、図示しない複数の変速摩擦要素(クラッチやブレーキ等)を選択的に締結もしくは解放することで所定の変速段を決定し、入力軸からの回転を決定された変速段に応じたギヤ比で変速して出力軸に出力する。自動変速機5は上記した有段の変速機のみならず、無段階に変速比を変更可能な無段変速機であってもよい。この出力された回転は、駆動系統を構成する、ディファレンシャルギヤ装置を含む終減速機6により左右輪7,7へ分配されて伝達される。
図1に示すパワートレーンにおいては、モータ走行モード(及びエネルギ回生モード)が要求される場合、エンジン1を停止させ、第1クラッチ3を解放するとともに第2クラッチ4を締結し、自動変速機5を動力伝達状態にする。この状態にてバッテリ10よりの電力を、インバータ11を介してモータジェネレータ2に供給し、モータジェネレータ2を駆動すると、モータジェネレータ2からの出力回転のみが自動変速機5に入力される。自動変速機5は、入力軸に入力された回転を、選択された変速比に応じ変速して変速機出力軸より出力する。この変速機出力軸からの回転は、終減速機6を経て左右輪7,7に伝達される。これにより車両は、モータジェネレータ2からの動力のみによって走行する。
一方、モータ走行中にエンジン走行モード及びフル加速走行モードが要求される場合、モータ走行モードからエンジン走行モード(及びフル加速走行モード)に切り替えるためエンジン1を始動する必要がある。このエンジン1の始動は、第1クラッチ3を締結し、モータジェネレータ2のエンジンクランキングトルクによりエンジン1をクランキングし、これによりエンジン1の回転数を上昇させて行う。エンジン走行モード及びフル加速走行モードでは、第1クラッチ3及び第2クラッチ4を共に締結し、自動変速機5を動力伝達状態にする。この状態では、エンジン1からの出力回転、又はエンジン1からの出力回転及びモータジェネレータ2からの出力回転の双方が変速機入力軸に入力される。自動変速機5は、入力軸に入力された回転を、選択された変速比に応じ変速して、変速機出力軸より出力する。この変速機出力軸からの回転は、終減速機6を経て左右輪7,7に伝達される。これにより車両は、エンジン1又はエンジン1及びモータジェネレータ2の双方からの動力によって走行する。
かかるエンジン走行中において、エンジン1を最適燃費で運転させるとエネルギが余剰となる場合がある。この場合には、モータジェネレータ2を発電機として作動させることで、この余剰エネルギを電力に変換することができる。そして、発電された電力を後でモータジェネレータ2によるモータ駆動に用いるよう、インバータ11を介してバッテリ10に蓄電しておくことで、エンジン1の燃費を向上させることができる。
図1に示す上記パワートレーンを総合的に制御するために、上記ハイブリッド車両の運転者が踏み込み操作するアクセルペダルのアクセル開度APO(アクセルペダル踏込み量)を検出する、加速要求検出手段としてのアクセル開度センサ12からの信号と、上記ハイブリッド車両の車速VSPを検出する車速センサ13からの信号と、をハイブリッドコントロールユニット9に入力する。
ハイブリッドコントロールユニット9は、バッテリ10からの電力によりインバータ11を介してモータジェネレータ2を駆動制御するが、モータジェネレータ2が発電機として作用する間は、これからの発電電力をバッテリ10に蓄電する。このときバッテリ10が過充電にならないように、ハイブリッドコントロールユニット9は、バッテリ10の蓄電状態(持ち出し可能電力)を検出してバッテリ10を充電制御する。
ハイブリッドコントロールユニット9は、上記センサ12,13が検出したアクセル開度APO及び車速VSPから、運転車が希望している車両の駆動力を実現可能な運転モード、すなわちモータ走行モード、エンジン走行モード、フル加速モードと回生走行モードとの何れかを選択する。具体的には、所定の低アクセル開度かつ所定の低車速の領域ではモータ走行モードを、それ以外の領域ではエンジン走行モード若しくはフル加速走行モードを選択する。また、アクセルペダルの踏込みが解除された場合には回生走行モードが選択される。加えて、ハイブリッドコントロールユニット9は、エンジントルク目標値、モータジェネレータトルク目標値、第1クラッチ伝達トルク容量目標値、第2クラッチ伝達トルク容量目標値、及び自動変速機5の目標変速比をそれぞれ演算する。
この演算結果に基づき、ハイブリッドコントロールユニット9は、モータジェネレータ2のトルクがモータジェネレータトルク目標値となるよう、バッテリ10からの電力によりインバータ11を介してモータジェネレータ2を制御する。同時にハイブリッドコントロールユニット9は、エンジンコントロールユニット8により、エンジントルクがエンジントルク目標値となるように図示しない電子スロットルアクチュエータを介してエンジン1を制御する。
同じくハイブリッドコントロールユニット9は、第1クラッチ3及び第2クラッチ4の伝達トルク容量が、夫々第1クラッチ伝達トルク容量目標値及び第2クラッチ伝達トルク容量目標値となるように図示しない電磁または油圧ソレノイドを介して第1クラッチ3及び第2クラッチ4を締結制御する。さらにハイブリッドコントロールユニット9は、自動変速機5の変速段(変速比)が目標変速段(目標変速比)となるように、自動変速機5の図示しない油圧制御装置を介して自動変速機5の変速機構を変速制御する。
前記エンジン1は、エンジン走行モード若しくはフル加速走行モードからモータ走行モード若しくは回生走行モードが選択される度に停止され、モータ走行モード若しくは回生走行モードからエンジン走行モード若しくはフル加速走行モードが選択される度に始動される。
フル加速走行モードやエンジン走行モード等による、例えば、高速走行等のエンジン1を高負荷で運転させる運転モードが続いた後、モータ走行モードや回生走行モード等による、例えば、低速走行等のエンジン1を停止させてモータジェネレータ2のみにより駆動する運転モードへと切り替わる際、通常は、エンジンコントロールユニット8は、図示しない燃料インジェクタへの燃料供給を停止することによりエンジン1への燃料供給を停止するとともに第1クラッチ3を遮断制御して、モータジェネレータ2とエンジン1を切り離すことによりエンジン1の駆動を完全に停止させる燃料供給を停止して、エンジン1の駆動を完全に停止させる。しかし、エンジン1を停止させると、エンジン1に付属して搭載されている冷却水ポンプの駆動が停止して冷却水の循環が停止する。エンジン1の高負荷運転が続いていた時は、エンジン1の内部が高温になっており、内部の熱が閉じ込められた状態になっており、エンジン1の構成部品の温度及び循環停止状態の冷却水温が上昇している。こうして、エンジン1が所定温度を超えた状態になると、エンジン走行モード若しくはフル加速走行モード等への走行モード変更時において再度エンジン1を始動する際に、高温のエンジン構成部品によるプレイグニッションが起こりやすくなり、ノッキングを引き起こす虞が高くなる。
本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、こうしたプレイグニッションを引き起こす可能性のあるエンジン1の再始動時におけるプレイグニッション等の異常燃焼を防止するためのものである。
ところで、エンジン1の始動時における圧縮時筒内温度は、冷却水温に代表されるシリンダ及びピストンの温度とコレクタ、インテークマニホールド15を経由して筒内に導入される吸気温度とにより変化する。前記シリンダ及びピストンの温度は、エンジン停止までの運転状態とエンジン停止からの経過時間に応じて変化する。前記吸気温度(コレクタ内吸気温度)も同様の特性を備えると共に外気温度やエンジンルーム内温度によっても変化する。
図2(A)は、高負荷運転状態のエンジン1を停止させてからの時間の経過による圧縮時筒内温度の変化特性を示すものである。即ち、高負荷運転状態のエンジン停止直後においては圧縮時筒内温度も、破線で示すプレイグニッションが発生する境界温度を遥かに超えた高温となっており、この状態で再始動される場合には、確実にプレイグニッションが発生することが予想できる。そして、エンジン1を停止させてからの時間の経過により、再始動時の圧縮時筒内温度も、破線で示すプレイグニッションが発生する境界温度に徐々に接近するよう低下され、プレイグニッションの発生頻度も低下する。さらに、エンジン1を停止させてからの時間が経過する場合には、再始動時の圧縮時筒内温度も、破線で示すプレイグニッションが発生する境界温度を超えて低下され、プレイグニッションを発生させることなく始動可能となる。
前記エンジンコントロールユニット8は、高負荷運転状態のエンジン1を停止させてからの時間の経過による圧縮時筒内温度の変化特性が、圧縮時筒内温度予測テーブルとして記憶している。この特性は、予め実験により得られた測定データに基づいて設定される。また、エンジン停止時における冷却水温(水温センサ16により検出)がエンジン完暖時水温以上である場合に、エンジン停止時における冷却水温を基本情報とし、その時点のコレクタ内吸気温度(吸気温センサ17により検出)をパラメータ情報として、その時点で再始動された場合における圧縮時筒内温度が、前記圧縮時筒内温度予測テーブルに示す特性上のどの時点における圧縮時筒内温度に相当するかを予測演算する予測演算手段を備える。前記エンジン停止時における冷却水温は過去の運転状態により変化する。また、前記コレクタ内吸気温度も、過去の運転状態や外気温度等により変化する。そして、前記推定手段は、再始動時における圧縮時筒内温度が前記圧縮時筒内温度予測テーブルに示す特性上でどのように変化していくかを、エンジン停止後の経過時間に応じて、順次予測演算する。
また、前記エンジンコントロールユニット8は、エンジン停止時における冷却水温がエンジン完暖時水温と同等若しくはそれ以下である場合には、再始動時においてプレイグニッションが生じないと判定して、通常のクランキング回転数によりエンジン1を通常始動させるよう設定する。
また、エンジン停止時における冷却水温がエンジン完暖時水温を超えている場合には、再始動時においてプレイグニッションが生じる可能性が大きいと判定して、前記予測演算手段により推定した圧縮時筒内温度と前記プレイグニッションが発生する境界温度との偏差に応じてクランキング回転数を通常より上昇させてエンジン1を始動させるよう設定する。また、エンジン停止時における冷却水温がエンジン完暖時水温を超えている場合であっても、エンジン停止よりの経過時間が長いため、前記予測演算手段により推定した圧縮時筒内温度が、前記プレイグニッションが発生する境界温度以下に低下した場合には、再始動時においてプレイグニッションが生じないと判定して、通常のクランキング回転数によりエンジン1を通常始動させるよう設定する。図2(B)は、前記した再始動時における圧縮時筒内温度が前記圧縮時筒内温度予測テーブルに対応させたエンジン再始動時におけるクランキング回転数のマップ(始動時クランキング回転数マップ)である。
なお、前記エンジンコントロールユニット8は、エンジン停止時における冷却水温がエンジン完暖時水温を超えている場合において、エンジン停止後の前記予測演算手段による圧縮時筒内温度の推定中にエンジン1の再始動要求がなされた場合には、クランキング回転数を設定された最も高い回転数まで上昇させてエンジン1を始動させるよう設定する。
また、前記エンジンコントロールユニット8は、エンジン1の再始動時に、前記予測演算手段により推定した圧縮時筒内温度に対応して始動時クランキング回転数マップにより設定したクランキング回転数に基づいてエンジン1を再始動させた場合に、予測に反してプレイグニッションが発生した場合には、前記圧縮時筒内温度予測テーブルの設定値、前記予測演算手段により推定する圧縮時筒内温度、若しくは、始動時設定クランキング回転数を上昇させる補正を、その都度若しくは複数回発生毎に実行し、予測通りにプレイグニッションの発生が抑制された場合には、これら設定値を維持する、学習機能を備える。
本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、上記したように、再始動時における圧縮時筒内温度が、プレイグニッションが発生する境界温度を超える場合に、クランキング回転数を通常より上昇させることにより、始動時のブースト(負圧値)を圧縮時筒内温度に応じて上昇させ、筒内へ導入される吸入空気量を減少させることにより、圧縮時筒内温度を低下させて、プレイグニッションの発生を防止するものである。
以下、その始動制御を図3及び図4に示されるフローチャートを参照して説明する。図3はエンジンコントロールユニット8によりエンジン停止時及びその後に所定時間毎に実行される停止時制御のフローチャート、図4はエンジンコントロールユニット8によりエンジン始動時に実行される始動時制御のフローチャートである。
図3に示すエンジン停止時及びその後に所定時間毎に実行される停止時制御のフローチャートにおいて、エンジン1が停止されると、まず、ステップS1において、予測演算手段による圧縮時筒内温度の推定中(F=1)であるか否かの判定を実行する。そして、推定中でない場合(F=0)にはステップS2へ進み、推定中である場合(F=1)にはステップS5へ進む。エンジン停止直後においては、予測演算手段による圧縮時筒内温度の推定が実行されていない(F=0)であるため、次のステップS2へ進む。
ステップS2では、エンジン冷却水温が完暖時水温を超えているか否かが判定され、完暖時水温を超えていない場合にはステップS3へ進み、再始動時のクランキング回転数を通常始動時のクランキング回転数による通常始動に設定して処理を終了する。ステップS2での判定でエンジン冷却水温が完暖時水温を超えている場合には、ステップS4へ進む。ステップS4では、予測演算手段による圧縮時筒内温度の推定中(F=1)に設定して今回の処理を終了し、次回からの処理においては、ステップS1での判定において、予測演算手段による圧縮時筒内温度の推定中(F=1)であることにより、ステップS5へ進む。
ステップS5では、エンジン停止時における冷却水温を基本情報とし、その時点のコレクタ内吸気温度をパラメータ情報として、その時点で再始動された場合における圧縮時筒内温度が、前記圧縮時筒内温度予測テーブルに示す特性上のどの時点における圧縮時筒内温度に相当するかを予測演算手段により予測演算する。そして、再始動時における圧縮時筒内温度が前記圧縮時筒内温度予測テーブルに示す特性上でどのように変化していくかを、エンジン停止後の経過時間に応じて、順次予測演算する。
図4に示すエンジン始動時に実行される始動時制御のフローチャートにおいては、エンジン1の再始動が指令されると、先ず、ステップS10において、前記停止時制御において、エンジン1の始動方法の設定が通常始動か否かが判定され、通常始動に設定されている場合にはステップS11へ進んで、エンジン1を通常のクランキング回転数による通常始動をさせ、処理を終了させる。ステップS10における判定が通常始動でない場合には、ステップS12へ進む。
ステップS12においては、前記停止時制御において予測演算手段による圧縮時筒内温度予測が開始されているか否かが判定され、開始されていない場合、即ち、エンジン停止後のプレイグニッション発生防止制御が開始されていない短時間の内に再始動が指令された場合にはステップS14へ進み、クランキング回転数を設定された最高回転数に設定してエンジン1を始動させ、処理を終了させる。また、ステップS12における判定が、前記停止時制御において予測演算手段による圧縮時筒内温度予測が開始されている場合においては、ステップS13へ進む。
ステップS13では、予測演算手段により演算推定された圧縮時筒内温度が、プレイグニッションが発生する境界温度(設定温度)を超えているか否かが判定され、プレイグニッションが発生する境界温度(設定温度)以下に低下している場合にはステップS11へ進んで、エンジン1を通常のクランキング回転数による通常始動をさせ、処理を終了させる。また、予測演算手段により演算推定された圧縮時筒内温度が、プレイグニッションが発生する境界温度(設定温度)を超えている場合には、ステップS15へ進んで、前記予測演算手段により推定した圧縮時筒内温度と前記プレイグニッションが発生する境界温度との偏差に応じてクランキング回転数を通常より上昇させてエンジン1を始動させ、処理を終了させる。いずれの場合においても、処理を終了させる段階で、エンジンコントロールユニット8に記憶されている、予測演算手段による圧縮時筒内温度の推定中(F=1)のフラグ、予測演算手段により改定中の圧縮時筒内温度、通常始動の設定等は、初期化して、次回における停止時制御、再始動制御の設定記憶のために準備される。
なお、上記実施形態において、内燃機関の使用形態として、運転条件に応じて内燃機関を駆動系から切り離し、内燃機関への燃料供給を停止することにより燃費を向上させるハイブリッド車における内燃機関について説明したが、図示はしないが、燃費向上や排ガス抑制を目的として、車両が信号待ち等の停車状態にあるときに内燃機関を自動的に停止させ、走行操作時に自動的に始動発進させる自動停止始動装置を備える車両における内燃機関に適用するものであってもよい。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)始動時に内燃機関(エンジン)をクランキングするクランキング手段としてのモータジェネレータ2と、始動時に内燃機関(エンジン)が高温状態であるか否かを判定する高温始動判定手段としてのエンジンコントロールユニット8と、前記高温始動判定手段にて始動時において内燃機関が高温状態であると判定されると、クランキング手段(モータジェネレータ2)によるクランキング回転数を上昇させるよう設定する制御手段としてのエンジンコントロールユニット8と、を備えるため、内燃機関冷却のために発電機或は電動機等により内燃機関を強制的に駆動して電力消費を発生させることなく、圧縮時筒内温度に応じてクランキング回転数を変えて始動することにより、吸気系統に発生するブーストを発達させて、筒内への吸入空気量を減らし、圧縮時筒内温度を下げて、電力消費を抑制しつつプレイグニッションを防止することができる。このため、プレイグニッションによるガクガク振動が抑制でき運転性を向上できると共に、内燃機関冷却のための電力消費を抑制でき、燃費を向上させることができる。
(イ)高温始動判定手段としてのエンジンコントロールユニット8は、内燃機関停止時の冷却水温と吸気系統を通過する吸気温度と、内燃機関停止時からの経過時間とに基づいて圧縮時筒内温度を演算若しくは推定し、演算若しくは推定した圧縮時筒内温度が予め設定した設定温度を超える場合に内燃機関が高温状態であると判定する。即ち、プレイグニッションに関連する圧縮時筒内温度をエンジン停止時の内燃機関温度を代表する冷却水温と筒内に導入される吸気温度と、停止時からの経過時間とにより演算推定するため、精度よく圧縮時筒内温度を推定でき、プレイグニッションを効果的に抑制することができる。
(ウ)制御手段としてのエンジンコントロールユニット8は、高温始動判定手段により演算若しくは推定した圧縮時筒内温度が予め設定した設定温度を超える場合に、演算若しくは推定した圧縮時筒内温度と前記設定温度との温度差に基づいてクランキング手段によるクランキング回転数を上昇させるため、始動時の内燃機関の冷却度合いを圧縮時筒内温度に応じて変化させることができる。
(エ)高温始動判定手段としてのエンジンコントロールユニット8は、内燃機関停止時における冷却水温が暖機完了時における冷却水温を超えている場合に、始動時に内燃機関が高温状態であるか否かを判定するため、冷却水温が完暖時水温を超える場合のみに圧縮時筒内温度を推定演算し、クランキング回転数を変化させればよく、冷却水温が完暖時水温を超えない場合のエンジン始動を素早く実現できる。
(オ)制御手段としてのエンジンコントロールユニット8は、内燃機関停止時における冷却水温が暖機完了時における冷却水温を超えている場合に、前記高温始動判定手段による判定結果が出力されない時点で内燃機関を始動させる場合には、クランキング手段によるクランキング回転数を設定された最高回転数に上昇させるよう設定するため、高温始動判定手段による判定結果を待たずに始動させる場合に、プレイグニッションを発生させることなく安全に始動させることができる。
(カ)内燃機関は、前記内燃機関により駆動されるモータジェネレータ2と、前記モータジェネレータ2で発電された電力を蓄積する蓄電池と、前記蓄電池に蓄積された電力により駆動するモータジェネレータ2と、前記内燃機関と前記モータジェネレータ2のいずれか若しくはその両方の駆動力を利用して駆動輪を駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、を備えるハイブリッド車両に用いられ、前記モータジェネレータ2により前記クランキング手段を構成しているため、ハイブリッド車両における内燃機関を、プレイグニッションを発生させることなく始動させることができる。
本発明の一実施形態を示す内燃機関の始動制御装置を示すシステム構成図。 エンジンコントロールユニットに記憶されている圧縮時筒内温度予測テーブル(A)及び始動時クランキング回転数マップ(B)。 エンジンコントロールユニットで実行される停止時制御のフローチャート。 エンジンコントロールユニットで実行される始動時制御のフローチャート。
符号の説明
1 内燃機関、エンジン
2 モータジェネレータ
3 第1クラッチ
4 第2クラッチ
5 自動変速機
6 終減速機
7 駆動輪
8 エンジンコントロールユニット
9 ハイブリッドコントロールユニット
10 バッテリ
11 インバータ
16 水温センサ
17 吸気温センサ

Claims (6)

  1. 始動時に内燃機関をクランキングするクランキング手段と、
    始動時に内燃機関が高温状態であるか否かを判定する高温始動判定手段と、
    前記高温始動判定手段にて始動時において内燃機関が高温状態であると判定されると、クランキング手段によるクランキング回転数を上昇させるよう設定する制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。
  2. 前記高温始動判定手段は、内燃機関停止時の冷却水温と吸気系統を通過する吸気温度と、内燃機関停止時からの経過時間とに基づいて圧縮時筒内温度を演算若しくは推定し、演算若しくは推定した圧縮時筒内温度が予め設定した設定温度を超える場合に内燃機関が高温状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
  3. 前記制御手段は、高温始動判定手段により演算若しくは推定した圧縮時筒内温度が予め設定した設定温度を超える場合に、演算若しくは推定した圧縮時筒内温度と前記設定温度との温度差に基づいてクランキング手段によるクランキング回転数を上昇させることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の始動制御装置。
  4. 前記高温始動判定手段は、内燃機関停止時における冷却水温が暖機完了時における冷却水温を超えている場合に、始動時に内燃機関が高温状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の内燃機関の始動制御装置。
  5. 前記制御手段は、内燃機関停止時における冷却水温が暖機完了時における冷却水温を超えている場合に、前記高温始動判定手段による判定結果が出力されない時点で内燃機関を始動させる場合には、クランキング手段によるクランキング回転数を設定された最高回転数に上昇させるよう設定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の内燃機関の始動制御装置。
  6. 前記内燃機関は、前記内燃機関により駆動されるモータジェネレータと、前記モータジェネレータで発電された電力を蓄積する蓄電池と、前記蓄電池に蓄積された電力により駆動するモータジェネレータと、前記内燃機関と前記モータジェネレータのいずれか若しくはその両方の駆動力を利用して駆動輪を駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、を備えるハイブリッド車両に用いられ、前記モータジェネレータにより前記クランキング手段を構成していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の内燃機関の始動制御装置。
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