JP2010126655A - パッキン材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 樹脂成分および必要に応じて添加される添加剤を含有する熱可塑性エラストマー組成物を成形してなるパッキン材であって、前記樹脂成分が、エチレンを主体とする結晶性の重合体ブロック(ハードセグメント)と、炭素数3〜30のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン及びエチレンを主体とする非晶性の重合体ブロック(ソフトセグメント)とを含むオレフィンブロック共重合体からなることを特徴とするパッキン材。
【選択図】 なし
Description
1.樹脂成分および必要に応じて添加される添加剤を含有する熱可塑性エラストマー組成物を成形してなるパッキン材であって、
前記樹脂成分が、エチレンを主体とする結晶性の重合体ブロック(ハードセグメント)と、炭素数3〜30のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン及びエチレンを主体とする非晶性の重合体ブロック(ソフトセグメント)とを含むオレフィンブロック共重合体からなることを特徴とするパッキン材。
2.前記α−オレフィンの炭素数が、4〜20であることを特徴とする前記1に記載のパッキン材。
(オレフィンブロック共重合体)
本発明で使用されるオレフィンブロック共重合体は、エチレンを主体とする結晶性の重合体ブロック(ハードセグメント)と、炭素数3〜30のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン及びエチレンを含み、かつ好ましくは後者のエチレンの割合がハードセグメントより少ない非晶性の重合体ブロック(ソフトセグメント)とを含むオレフィンブロック共重合体であり、各ブロックが交互に2以上、好ましくは3以上繋がったマルチブロック構造であることが望ましい。また直鎖状構造、ラジアル構造があるが特に直鎖状構造が好ましい。当該ブロック共重合体は、当業界で公知のポリマーであり、例えば特表2007−529617号公報に開示されている。また、ブタジエン系共重合体を80%以上水素添加して得られるブロック共重合体は除外される。
また、ブタジエンから成るブロック共重合体を80%以上水素添加して得られるブロック共重合体、例えばJSR社製ダイナロンCEBC、すなわちC部分は1,4−ポリブタジエンブロックの水素添加物であるポリエチレンブロック(ハードセグメント)であり、EB部分は1,4−ブタジエンと1,2−ブタジエンのランダム構造からなる化合物を水素添加したエチレンとブチレンのランダム構造のブロック(ソフトセグメント)が挙げられるがこれは、耐熱性に劣るため好ましくない。
重合は、好ましくは連続溶液重合法が適用される。連続溶液重合法は、触媒成分、鎖シャトリング剤、モノマー類、ならびに場合により溶媒、補助剤、捕捉剤および重合助剤が反応ゾーンに連続的に供給され、ポリマー生成物はそこから連続的に取り出される。
また、ブロックの長さは、前記触媒の比率および種類、鎖シャトリング剤の比率および種類、重合温度等を制御することによって変化させることができる。
なお、ブロック共重合体の合成方法において、その他の詳細な条件は、特表2007−529617号公報に開示されているので、適宜当該開示内容を採用することができる。
また、本発明におけるオレフィンブロック共重合体において、密度(JIS K 6760)は、好ましくは0.860〜0.930g/cm3であり、より好ましくは0.865〜0.890g/cm3である。
また、本発明におけるオレフィンブロック共重合体において、硬度(ASTM D2240、ショアA)は、好ましくは50〜98であり、より好ましくは60〜90である。
また、本発明におけるオレフィンブロック共重合体において、測定温度100℃での圧縮永久歪み(JIS K 6262)が65以下であることがシール性の点で好ましい。
また、本発明におけるオレフィンブロック共重合体において、DSCによる融点は110〜125℃、より好ましくは115〜123℃であることがシール性、耐熱性の点で好ましい。
ここで、DSCによる融点は、示差走査熱量計(DSC)によって得られるピークトップ融点であり、具体的には、DSCを用い、サンプル量10mgを採り、190℃で5分間保持した後、−10℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、−10℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで測定して求める値である。
なお、本発明のパッキン材は、前述のように軟化剤や滑剤を多量に配合せずとも、優れた成形性および摺動性を兼ね備えるものであり、軟化剤および滑剤を無配合にしてもよいが、用途により使用する場合もある。軟化剤としては、非芳香族系のゴム用軟化剤、例えば非芳香族系の鉱物油又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が挙げられる。これら軟化剤の使用により、加工性が向上する。滑剤としては、オレイン酸アミド等が挙げられる。
例えば、液体収納容器、飲料・食品用ボトルキャップライナー等が挙げられ、とくにレトルト処理される液体収納容器、飲料・食品用ボトルキャップライナー等にとくに有用である。
実施例の成分
(1)オレフィンブロック共重合体:ダウ・ケミカル社製、商品名INFUSE D9100。エチレンからなるブロック(結晶性のハードセグメント)と、1−オクテンとエチレンとからなるブロック(非晶性のソフトセグメント)で(交互に)構成されたブロック共重合体。メルトインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)1.0g/10分、密度(JIS K 6760)0.877g/cm3、硬度(ASTM D2240、ショアA)75、融点120℃。
(2)オレフィンブロック共重合体:ダウ・ケミカル社製、商品名INFUSE D9000。エチレンからなるブロック(結晶性のハードセグメント)と、1−オクテンとエチレンとからなるブロック(非晶性のソフトセグメント)で(交互に)構成されたブロック共重合体。メルトインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)0.5g/10分、密度(JIS K 6760)0.877g/cm3、硬度(ASTM D2240、ショアA)75、融点120℃。
(1)エチレン−α−オレフィンランダム共重合体:ダウ・ケミカル社製、商品名ENGAGE 8100。エチレンと1−オクテンとのランダム共重合体。メルトインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)1.0g/10分、密度(JIS K 6760)0.870g/cm3、硬度(ASTM D2240、ショアA)75、融点60℃。
(2)水素添加オレフィンブロック共重合体:JSR社製、商品名DYNARON E6100P。結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン・ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)。水素添加率90%以上。メルトインデックス(ASTM D1238、230℃、2.16kg)0.6g/10分、密度(JIS K 6760)0.88g/cm3、硬度(ASTM D2240、ショアA)85、融点99℃。
(3)高密度ポリエチレン:日本ポリエチレン社製、商品名ノバテックHD HY540。エチレンを主体とする重合体。メルトインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)1.0g/10分、密度(JIS K 6760)0.960g/cm3。
(4)線状低密度ポリエチレン:日本ポリエチレン社製、商品名ノバテックLD UF240。エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体。メルトインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)2.1g/10分、密度(JIS K 6760)0.921g/cm3。
(5)SEBS:クラレ社製、商品名セプトン 8007。スチレン含有量30質量%、質量平均分子量(Mw)28万、数平均分子量(Mn)23万。
作製したペレットを型締め力120tの射出成形機を使用し、成形温度210℃で縦13cm×横13cm、厚み2mmのシートを作製した。
(1)シール性:口径28mmの180ml入り壜とキャップ底に上記2mmシートを接着したキャップを用意し、壜に85℃の熱水150mlを充填し、キャップを被せシーリングマシンで1Nmのトルクで密閉した。その後、滅菌器で80℃で30分間の熱処理を加え、放冷後、倒立落下衝撃試験(キャップを下向きとし、硬度80A、厚さ6mmのシート上へ垂直に落下させる試験)を行い液の漏れの有無を確認した。
○ 落下高さ10cm以上で漏れ無し
△ 落下高さ10cmで漏れ、1cmで漏れ無し
× 1cmで漏れが認められる
(2)硬度:ASTM D2240の規格に準拠し、上記2mmシートを用いて測定した。
(3)圧縮永久歪み:JIS K 6262の規格に準拠し測定した。測定温度は70℃および100℃で実施し、試験片は、小型試験片厚み 6.3±0.3mmのプレスシートを使用した。
(4)耐熱性:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製粘弾性スペクトロメーター DMS6100を使用し、動的粘弾性測定による貯蔵弾性率の温度依存性チャートによって、弾性を有している状態の最高温度(弾性率の変曲点を示す温度)を耐熱性の指標とした。測定条件は周波数:1Hz、測定モード:引張り、試験片は上記2mmシートを用い幅1cm、クランプ間2cmで実施した。
(5)耐油性:厚生省告示第201号 N−ヘプタン溶出試験の規格に準拠して溶出量を測定した。試験片は厚さ1mm(プレスシート)、5cm×10cmで実施した。
○ 溶出量が規格値30ppm以下
× 溶出量が規格値30ppmを上回る
(6)摺動性:新東科学社製ポータブル触感計 TYPE33を使用して、動摩擦係数を測定した。上記2mmシートを試料テーブルに両面テープで貼り付けて、シートを指で擦り、XYZ方向の抵抗力を測定し、動摩擦係数を算出し摺動性の指標とした。
○ 動摩擦係数 1.2未満
△ 動摩擦係数 1.2以上、1.5未満
× 動摩擦係数 1.5以上
得られた結果を下記表1に示す。
一方、本発明におけるオレフィンブロック共重合体を使用していない比較例1〜5は、各種性能のバランスが悪く、全てを満足する結果とはなっていない。エチレン−α−オレフィンランダム共重合体を使用した比較例1はシール性、圧縮永久歪み、耐熱性、耐油性、摺動性が劣り、水素添加オレフィンブロック共重合体を使用した比較例2はシール性、圧縮永久歪み、耐熱性が劣り、高密度ポリエチレンを使用した比較例3はシール性が劣り、線状低密度ポリエチレンを使用した比較例4はシール性、圧縮永久歪みが劣り、SEBSを使用した比較例5はシール性、圧縮永久歪みが劣っている。
Claims (2)
- 樹脂成分および必要に応じて添加される添加剤を含有する熱可塑性エラストマー組成物を成形してなるパッキン材であって、
前記樹脂成分が、エチレンを主体とする結晶性の重合体ブロック(ハードセグメント)と、炭素数3〜30のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン及びエチレンを主体とする非晶性の重合体ブロック(ソフトセグメント)とを含むオレフィンブロック共重合体からなることを特徴とするパッキン材。 - 前記α−オレフィンの炭素数が、4〜20であることを特徴とする請求項1に記載のパッキン材。
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