JP2010126612A - 熱可塑性エラストマー組成物を用いた弾性バンド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記ブロック共重合体(a)と下記ブロック共重合体(b)を含有し、(a):(b)の質量比が2:98〜98:2であり、かつ硬さ(JIS K6253に準拠、Aタイプ)が1〜90度である熱可塑性エラストマー組成物からなる弾性バンド。
(a)スチレンを主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られる数平均分子量が130,000〜600,000のブロック共重合体、
(b)α−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られる数平均分子量が70,000〜600,000のブロック共重合体、
【選択図】 なし
Description
しかしながら、従来のこのような熱可塑性エラストマーでは、特にシリコーンゴムのような柔軟性、引張強さ、引張永久歪みおよび耐熱性をバランスよく付与することができなかった。
(a)スチレンを主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られる数平均分子量が130,000〜600,000のブロック共重合体、
(b)α−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られる数平均分子量が70,000〜600,000のブロック共重合体、
まず、ブロック共重合体(a)成分のスチレンを主体とする重合体ブロックは、スチレンを主体とするモノマーから得られる重合体ブロックであり、スチレン単独、あるいはこれに少量のα−メチルスチレン、o−、m−またはp−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ジフェニルエチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の芳香族ビニルモノマー、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物を初めとする他の共重合可能モノマーがランダム状やテーパード状等に共重合されていてもよい。
ブロック共重合体(a)成分のスチレンを主体とする重合体ブロックの数平均分子量は2,500〜75,000の範囲、特に5,000〜50,000の範囲内にあるのが好ましい。
ブロック共重合体(a)における共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの数平均分子量としては、10,000〜450,000の範囲内、特に30,000〜350,000の範囲が好ましい。
ブロック共重合体(b)としては、α−メチルスチレンを主体とする重合体ブロック(X)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Y)とを有するブロック共重合体の水素添加物が用いられる。
カラム:商品名:TSKgel G4000H xl、東ソー株式会社製(カラム温度:40℃)
移動相:テトラヒドロフラン(流速:1ml/min)
検出器:示差屈折計(なお、多波長検出器(検出波長:254nm)をさらに連結させた。)
標準物質:TSK標準ポリスチレン 東ソー株式会社製
試料濃度:0.06質量%
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンまたはプロピレンを主体とする共重合体、ポリエチレン又はエチレンを主体とする共重合体が挙げられ、ホモタイプのポリプロピレン、プロピレンと他の少量のα−オレフィンとのブロックタイプのポリプロピレン、ランダムタイプのポリプロピレン、あるいは高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などの中から選ばれた1種または2種以上が好ましく用いられる。
パラフィン系オイルとしては、パラフィン系のプロセスオイル、流動パラフィン等が挙げられる。これらは1種または2種以上が用いられる。オイルの重量平均分子量は300〜2000の範囲が好ましい。この範囲であれば成形品におけるオイルのブリードが極めて少ない。パラフィン系オイルの好適配合量は、ブロック共重合体(a)と下記ブロック共重合体(b)の合計質量100部に対して1〜500質量部であり、より好適には50〜300質量部、更に好適には80〜200質量部である。本発明においてパラフィン系オイルは必須ではないが、使用することで、柔軟性、流動性、その他の特性が向上するため好適である。500質量部を超えると機械的強度や引張り永久歪みが著しく低下するため好ましくない。
なお、本発明に使用する熱可塑性エラストマー組成物は、上記の成分の他に、用途に応じてスチレン系樹脂やポリフェニレンエーテル樹脂などの他の樹脂、あるいは増量を目的として炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の無機充填剤等を混合することができる。更には、ガラス繊維、カーボン繊維のような無機繊維あるいは合成繊維で代表される有機繊維あるいは繊維状物の混合も可能である。この他、各種のブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、発泡剤、着色剤等を含有することも可能である。
酸化防止剤は、上記ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(b)の合計質量100部に対して、3質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下である。
パーオキシドとしては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジtert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、過酸化水素等を挙げることができる。
架橋助剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート又はビニルスチアレートのような多官能ビニルモノマーを配合することができる。
なお、熱可塑性エラストマー組成物を用いて成形した弾性バンド(スイミング用ゴーグルバンド)の性能評価は、以下に示す方法によって行った。
二軸押出機(口径46mm、L/D=46)を使用して、表1に示す配合に従って、各構成成分を混合し200℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。これらの熱可塑性エラストマー組成物を用いて、射出成形機(200℃)で、厚さ2mm×φ120の円盤状シート、および厚み1.5mm、幅12mm、長さの500mmの帯状成形体、更に厚み12.5mm、直径29mmの圧縮永久歪み測定用円柱状成形体をそれぞれ別々に作製した。円盤状シート及び円柱状成形体は1点のサイドゲートを持つ金型、帯状成形体は両端に2点のピンポイントゲートを持つ金型を各々使用した。硬さ、引張強度、引張永久歪みは、円盤状シートを用いて測定した。ウエルド部引張強さは、帯状成形体を用いて成形時に樹脂が合流する中央部分の強度を測定した。また、円柱状成形体を用いて圧縮永久歪みを測定した。実製品を模した試験として、スイミング用ゴーグルのバンド部に前記厚み1.5mm、幅12mm、長さの500mmの帯状成形体を用いて、装着感等の官能評価を実施した。
窒素置換した攪拌装置付き耐圧容器に、スチレン81gおよびシクロヘキサン1,100gを仕込んだ。この溶液に、sec−ブチルリチウム(1.3M、シクロヘキサン溶液)2.4mlを加え、50℃で1時間重合させた。次いで、この反応混合物にイソプレン/ブタジエン=50/50(質量比)を189gを加え、50℃で1時間重合を行った。その後、この反応混合物にさらにジクロロジメチルシラン(0.5M、トルエン溶液)3.1mlを加えて50℃で1時間攪拌することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン/ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。この反応混合物にオクチル酸ニッケル/トリエチルアルミニウムからなる水素添加触媒を添加して、水素圧力0.8MPaで、80℃で5時間の水素添加反応を行い、ポリスチレン−ポリイソプレン/ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(数平均分子量290,000)を得た。
窒素置換した攪拌装置付き耐圧容器に、α−メチルスチレン90.9g、シクロヘキサン138g、メチルシクロヘキサン15.2gおよびテトラヒドロフラン3.1gを仕込んだ。この混合液にsec−ブチルリチウム(1.3Mシクロヘキサン溶液)9.4mlを添加し、−10℃で3時間重合させた。重合開始3時間後のポリα−メチルスチレン(重合体ブロックX)の数平均分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で6,600であり、α−メチルスチレンの重合転化率は89%であった。
次いで、この反応混合液にブタジエン23gを添加し、−10℃で30分間攪拌して、ブロックb1の重合を行った後、シクロヘキサン930gを加えた。この時点でのα−メチルスチレンの重合転化率は89%であり、ポリブタジエンブロック(y1)の数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は3,700であり、1H−NMR測定から求めた1,4−結合量は19モル%であった。
続いて、この重合反応溶液に、ジクロロジメチルシラン(0.5Mトルエン溶液)12.2mlを加え、50℃にて1時間攪拌し、ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体を得た。このときのカップリング効率を、カップリング体(ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体:X−y1−y2−M−y2−y1−X;式中Mはカップリング剤残基(−Si(Me2)−)を表す、数平均分子量81,000)と、未反応ブロック共重合体(ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体:X−y1−y2、数平均分子量41,000)のGPCにおけるUV吸収の面積比から算出すると94質量%であった(カップリング体と未反応ブロック共重合体全体の数平均分子量78,600)。また、1H-NMR解析の結果、ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体中のポリα−メチルスチレンブロックの含有量は33質量%であり、ポリブタジエンブロック(重合体ブロックY)全体(すなわち、ブロックy1およびブロックy2)の1,4−結合量は56モル%であった。
前記ブロック共重合体(a)の製造において、sec−ブチルリチウム(1.3M、シクロヘキサン溶液)の添加量を7.6mlに、またジクロロジメチルシラン(0.5M、トルエン溶液)の添加量を9.9mlに変更して、前記ブロック共重合体(a)の製造と同様にして反応を行い、ブロック共重合体(c)を得た(得られたブロック共重合体の数平均分子量は92,000である)。
製品名:グランドポリプロJ106G
製造会社名:(株)グランドポリマー
種類:ホモタイプのポリプロピレン
製品名:ダイアナプロセスオイルPW90
製造会社名:出光石油化学(株)
種類:パラフィン系オイル、重量平均分子量:540
I)硬さ
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述の通り射出成形機で作製した円盤シート状シートでJIS K6253準拠の方法によるタイプAデュロメータ硬度を測定した。なお、射出成形機は日精樹脂工業社製FE120を用いた。
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製した円盤シート状シートでJIS K6251準拠の方法による引張強さを測定した。なお、前記同様に射出成形機は日精樹脂工業社製FE120を用いた。
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製した円盤シート状シートでJIS K6273準拠の方法による23℃における引張永久歪みを測定した。なお、前記同様に射出成形機は日精樹脂工業社製FE120を用いた。
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製した帯状成形体の成形時に樹脂が合流する中央部分でJIS K6251準拠の方法による引張強さを測定した。なお、前記同様に射出成形機は日精樹脂工業社製FE120を用いた。
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製した圧縮永久歪み測定用円柱状成形体でJIS K6262準拠の方法による50℃、22時間の引張永久歪みを測定した。なお、前記同様に射出成形機は日精樹脂工業社製FE120を用いた。
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製した帯状成形体で、次のスイミングゴーグルへの装着試験を実施した。
(1)弾性バンドを装着したスイミングゴーグルの締め付け感
顔面にゴーグルを装着して顔面や頭部への締め付け感を官能評価
○は、締め付け感がソフトかつゴーグルの密着性良好。
×は、締め付け感が強すぎる、またはゴーグルが密着しない。
(2)弾性バンドを装着したスイミングゴーグルの繰り返し装着感
顔面へのゴーグル着脱を20回繰り返して、装着感の変化を官能評価
○は、着脱を繰り返しても締め付け感およびゴーグルの密着性が一定。
×は、締め付け感またはゴーグルの密着性が一定でなく変化する。
(3)弾性バンドのスイミングゴーグル留め具に装着した部分の変形
弾性バンドをゴーグル留め具に装着した状態で50℃の恒温槽に7日間放置し弾性バンドを留め具から外した後の変形有無を観察
○は、弾性バンドの留め具装着部分に折れ皺などが見られず変形が小さい。
×は、弾性バンドの留め具装着部分が大きく変形している。
熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性は目標の硬さに調整できたため良好であり、引張強さ、ウエルド部引張強さは高い値を示した。常温での引張永久歪み及び高温時の圧縮永久歪みも低く抑えられており良好であった。また、スイミングゴーグルへの装着試験では締め付け感はソフトで良好であり、かつ繰り返し装着した後の装着感の変化や留め具装着部分の変形も殆どなく良好であった。
熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、常温の引張永久歪みは良好であったものの、引張強さとウエルド部引張り強さが低く、高温での圧縮永久歪みが大きい結果であった。また、スイミングゴーグルへの装着試験でも、締め付け感や繰り返し装着感変化は良好であったものの、高温放置後の留め具部分の変形が目立った。
熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、高温の圧縮永久歪みは良好であったものの、引張強さとウエルド部引張り強さが低く、常温の引張永久歪みが大きい結果であった。また、スイミングゴーグルへの装着試験でも、締め付け感は良好で高温放置後の留め具部分の変形は少なかったものの、繰り返し装着感では着脱を繰り返すごとに締め付けが緩くなり変化が目立った。
熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、常温の引張永久歪み、高温の圧縮永久歪みは良好であったものの、引張強さとウエルド部引張り強さが低い結果であった。ただし、スイミングゴーグルへの装着試験では締め付け感はソフトで良好であり、かつ繰り返し装着した後の装着感の変化や留め具装着部分の変形も殆どなく良好であった。しかし、スイミングゴーグルとしては、本比較例品は、子供がゴーグルのバンド部を引っ張りあって遊んだりすると、バンド部の引張り強度が低いことからバンド部が破断して、事故を招く可能性があることから、商品価値の低いものであった。
熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、常温の引張永久歪みは良好で、引張強さとウエルド部引張り強さが高かったが、高温での圧縮永久歪みが大きい結果であった。また、スイミングゴーグルへの装着試験でも、締め付け感や繰り返し装着感変化は良好であったものの、高温放置後の留め具部分の変形が目立った。
Claims (7)
- 下記ブロック共重合体(a)と下記ブロック共重合体(b)を含有し、(a):(b)の質量比が2:98〜98:2であり、かつ硬さ(JIS K6253に準拠、Aタイプ)が1〜90度である熱可塑性エラストマー組成物からなる弾性バンド。
(a)スチレンを主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られる数平均分子量が130,000〜600,000のブロック共重合体、
(b)α−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られる数平均分子量が70,000〜600,000のブロック共重合体、 - 熱可塑性エラストマー組成物を構成する(a)と(b)の質量比が50:50〜98:2であり、かつ同組成物の硬さ(JIS K6253に準拠、Aタイプ)が10〜60度である請求項1記載の弾性バンド。
- 熱可塑性エラストマー組成物に、ポリオレフィン系樹脂が、ブロック共重合体(a)と(b)の合計質量に対して1〜100質量%の範囲で添加されている請求項1または2に記載の弾性バンド。
- 熱可塑性エラストマー組成物に、パラフィン系オイルが、ブロック共重合体(a)と(b)の合計質量に対して1〜500質量%の範囲で添加されている請求項1〜3のいずれかに記載の弾性バンド。
- 弾性バンドが、家電製品、健康器具、工業用品、スポーツ用品、または玩具に使用される伸縮部材である請求項1〜4のいずれかに記載の弾性バンド。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の弾性バンドが用いられているゴーグル。
- ゴーグルがスイミング用ゴーグルである請求項6に記載のゴーグル。
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