JP2010126557A - オレフィンブロック重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い生産性で、セグメントの数や分子量がより精密に制御されたブロックポリマーを製造する方法を提供すること。
【解決手段】炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを、少なくとも下記(I)および(II)を含む複数のステップで重合することを特徴とするブロック重合体の製造方法;
(I)第一のオレフィン重合触媒(PC1)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に前記オレフィン(M1)を重合するステップ、
(II)同等の重合条件下で触媒(PC1)によって調製される重合体とは化学的性質又は物理的性質が異なる重合体を調製可能な第二のオレフィン重合触媒(PC2)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に前記オレフィン(M2)を重合するステップ。
【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィンをモノマーとして用いるオレフィンブロック重合体の製造方法に関する。
分子量分布が狭く、分子量が特定の範囲にある重合体、末端に官能基が導入された重合体、異なるセグメントが結合したオレフィンブロック重合体は、種々の有用な物性を示すことから、学術的見地のみならず、工業的見地からも非常に重要であり、このようなオレフィンブロック重合体が求められている。
このようなオレフィンブロック共重合体の製造方法としてリビング重合を利用する方法が有効であることは一般に良く知られている。高度に制御されたリビング重合の場合は、ポリマーの成長末端が反応性を定量的に保持しているため、その反応性を利用して、直接、第二、第三モノマーと反応させることにより、効率良くオレフィンブロック共重合体を製造することが出来る(特許文献1、2参照)。また、成長末端の反応性を利用して、極性基を導入したり、極性基含有モノマーと反応可能な官能基を導入し、さらに極性基含有モノマーと反応させる方法によってポリオレフィンと極性基含有ポリマーとのブロック共重合体を製造することが可能である。
しかし、オレフィン類をリビング重合で重合する場合においては、通常の条件では成長するポリマー鎖の連鎖移動反応が頻発するため、リビング重合でオレフィン重合体を製造することは非常に困難であった。これまでいくつかα−オレフィンをリビング重合した例が報告されているが、連鎖移動反応を制御するため、いずれも極めて低温で重合が行われており、その重合活性も低い値であり、分子量も高々数万程度であった。また多くの場合、重合可能なモノマーは限られており、特に工業的に重要なエチレン系の(共)重合体の製造は困難であった(非特許文献1〜6参照)。
このような状況のもと本出願人は、新しいオレフィン重合用触媒として、サリチルアルジミン配位子を有する遷移金属化合物を提案している。このサリチルアルジミン配位子を有する遷移金属化合物を用いると、工業的に製造可能な高い温度で、従来知られているリビング重合触媒と比較して非常に高い活性でリビング重合が進行し、高分子量で分子量分布の狭いポリオレフィンや末端が定量的に官能基化されたポリオレフィン、異なるセグメントが結合したブロック共重合体の製造が可能である(特許文献3参照)。
しかしながら、通常のリビング重合においては、触媒1分子につきポリマーが1本しか生成しないため、分子量分布の狭いポリマーを高い生産性で得ることは困難であった。
これを解決するために、本出願人は、サリチルアルジミン配位子を有する遷移金属化合物を用いてオレフィンを重合する際に、または重合した後、例えば水素のような連鎖移動剤を用いてポリマーと触媒間の結合を切断し、さらに、このようにして得られた重合触媒を用いることによってオレフィン重合が効率的に進行し、特徴あるオレフィン系重合体が得られることを見出している(特許文献4参照)。
上記の方法を用いると、分子量分布が非常に狭い重合体を触媒1分子に対して2〜数本得ることができる。しかしながらこの方法においてもその生産性は工業的に十分高いとはいえず、さらに生産性が高いブロック共重合体製造方法の開発が望まれている。
一方、亜鉛やアルミニウムをはじめとする金属アルキル化合物が重合系において不可逆
的な連鎖移動剤として作用することはよく知られている。
Gibsonらはある種の遷移金属錯体を用いるオレフィン重合において、アルキル亜鉛化合物を使用することを特徴とする連鎖生長触媒システムを提案している(特許文献5および6参照)。前記システムにおいては、成長ポリマー鎖とアルキル亜鉛の交換反応が可逆的に起こるため、炭素数が約30までの、分子量分布がポアソン分布に近い(分子量分布、Mw/Mnが1に近い)オレフィン重合体が提供される。ここでポアソン分布とは、χp=(xpe−χ)/p!によって表される。ここでχpはp個のオレフィンが重合した重合体のモル分率であり、xはポアソン分布係数である。
また最近、2種の触媒とアルキル亜鉛化合物あるいはアルキルアルミニウム化合物が混在する高温溶液重合系においてジエチル亜鉛などの特定の金属アルキル化合物を存在させ、可逆的連鎖移動を用いたマルチブロック共重合体を製造する方法が提案されている。前記製造方法を用いると、連続重合法によるマルチブロック共重合体の製造が可能である(特許文献7〜9参照)。
しかしながら、前記の製造方法は連続重合であるため、ブロック共重合体に含まれる各セグメントの数やセグメントの分子量は、多分散性(シュルツ−フローリー(Schutz−Flory)分布)を有する。すなわち、セグメントの数や分子量が同時に精密に制御されたブロック共重合体を得ることは困難である。ここでシュルツ−フローリー(Schutz−Flory)分布は、χp=β/(1+β)p によって表される。χpはp個のオレフィンが重合した重合体のモル分率であり、βはシュルツ−フローリー(Schutz−Flory)分布係数である。
また一方、オレフィン重合系において、アルキル亜鉛化合物存在下、1種類の触媒を用いて、モノマー組成が異なる反応器を直列に連結することにより、ブロック共重合体を得る方法が提案されている。前記方法を用いると、一つの反応器で調製されるセグメントは一つであるため、セグメント数が2つのAB型、ジブロックポリマーを得ることができる(非特許文献7および特許文献10参照)。しかしながら、前記の方法においても、連続重合法であるため、各セミブロックの分子量はシュルツ−フローリー(Schutz−Flory)分布を有する。
ところで、ブロック共重合体がその化学的特徴をより明確に示すためには、セグメント数や分子量がより精密に制御されていることが望ましい。例えば前記ABジブロックポリマーにおいては、統計的に、長いAセグメントと短いBセグメントとの組合せ、あるいはその逆の組合せが必ず生成し、好ましくない成分としてブロックポリマーの性能を損なうことが考えられる。
以上の状況から、可逆連鎖移動重合の高い生産性を維持したままで、セグメントの数や分子量がより精密に制御されたブロックポリマーを製造する方法の開発が望まれていた。
WO91/12285号公報 WO94/21700号公報 WO01/055231号公報 特開2003−301010号公報 WO2003/014046号公報 特表2004−537584号公報 WO2005/090425号公報 WO2005/090426号公報 WO2005/090427号公報 WO2007/035485号公報 Macromolecules, 1986 (19), 2896 J. Am. Chem. Soc., 1996 (118), 11664 J. Am. Chem. Soc., 1996 (118), 10008 Macromolecules, 1998(31), 3184 Macromol. Rapid Commun., 1999 (20), 637 J. Am. Chem. Soc., 1993 (115), 10990 Macromolecules, 2007 (40), 7061
本発明は、オレフィンブロック重合体、または特定の重合体ブロックを2種以上含むオレフィンブロック重合体を高い生産性で製造する方法を提供することを目的としている。
本発明のオレフィンブロック重合体の製造方法は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを、少なくとも下記(I)および(II)を含む複数のステップで重合することを特徴としている。
(I)第一のオレフィン重合触媒(PC1)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に前記オレフィン(M1)を重合するステップ、
(II)同等の重合条件下で触媒(PC1)によって調製される重合体とは化学的性質又は物理的性質が異なる重合体を調製可能な第二のオレフィン重合触媒(PC2)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に前記オレフィン(M2)を重合するステップ。
また、前記第一のオレフィン重合触媒(PC1)および第二のオレフィン重合触媒(PC2)が、それぞれ独立に、元素周期律表第3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属化合物(A)を含むことが好ましく、前記遷移金属化合物(A)が、下記一般式(1)から選ばれる遷移金属化合物であることがより好ましい。
Figure 2010126557
(式(1)中、Mは元素周期律表3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子を表し、Lは窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基、セレン含有基およびシクロペンタジエニル環構造を有する基からなる群から選ばれる結合基を1つ以上含有し、該結合基を介して遷移金属原子Mと共有結合、イオン結合または配位結合で結合する単座または多座配位子を表し、aは配位子Lの数を表す1〜3の整数であり、aが2または3のときはそれぞれのLは同一でも異なっていても良く、また複数のLが炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基および窒素含有基からなる群から選ばれる1つ以上の架橋基を介して相互に結合していても良く、Xは水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン含有基およびヘテロ環式化合物残基からなる群から選ばれる原子または基を表し、bはXの数を表す0〜3の整数であり、bが2または3のときはそれぞれのXは同一でも異なっていても良く、また複数のXが互いに結合して環を形成していても良く、Yは電子供与性基を有する中性配位子を表し、cはYの数を表す0〜3の整数であり、cが2または3のときはそれぞれのYは同一でも異なっていても良く、また複数のYが互いに結合して環を形成していても良い。)
更に本発明は、前記第一のオレフィン重合触媒(PC1)および第二のオレフィン重合触媒(PC2)が、それぞれ独立に、下記一般式(2)および(3)からなる群から選ば
れる1つ以上の遷移金属化合物(A)を含むことが好ましい。
Figure 2010126557
(式(2)中、M、X、a、bはそれぞれ前記式(1)と同様のものを表し、Qは窒素原子または置換基R2を有する炭素原子を表し、Gは酸素原子、イオウ原子、セレン原子ま
たは置換基R5を有する窒素原子を表し、R1は1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有する炭化水素基を表し、R2〜R5は互いに同一でも異なっていても良く、炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基からなる群から選ばれる原子または基を表し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していても良く、aが2または3のときはR1同士、R2同士、R3同士、
4同士、R5同士は互いに同一でも異なっていても良く、いずれか1つの配位子に含まれるR2〜R5のうちの1個の基と、他の配位子に含まれるR2〜R5のうちの1個の基とが連結されていても良い。)
Figure 2010126557
(式(3)中、M、X、bはそれぞれ前記式(1)と同様のものを表し、R6は水素以外
に1〜30個の原子を含有する炭化水素基を表し、Tは水素以外に1〜40個の原子を含有する二価の架橋基を表し、Zはルイス塩基官能性を有する炭素原子数5〜40のヘテロアリール基、またはその二価の誘導体を表す。)
本発明のオレフィンブロック重合体の製造方法は、前記ステップ(I)を実施した後、重合系に第二のオレフィン重合触媒(PC2)を添加することにより前記ステップ(II)を実施することが好ましく、更に、第一のオレフィン重合触媒(PC1)の活性を低下させる手段を含むステップ(X)を前記ステップ(I)を実施した後に実施し、その後前記ステップ(II)を実施することが好ましく、前記ステップ(X)における活性を低下させる手段が加熱処理であることが好ましい。
また本発明のオレフィンブロック重合体の製造方法は、オレフィンの1種として少なくともエチレンを用いることが好ましく、前記ステップ(I)におけるオレフィン(M1)と前記ステップ(II)におけるオレフィン(M2)とが、異なる種類のオレフィンまたは異なる組成の2種以上のオレフィンであることも好ましい。
更に本発明のオレフィンブロック重合体の製造方法は、前記可逆的連鎖移動剤(C)が、有機アルミニウム化合物または有機亜鉛化合物であることが好ましく、特にトリエチルアルミニウムまたはジエチル亜鉛であることがより好ましい。
また本発明のオレフィンブロック重合体の製造方法では、前記オレフィン重合触媒(PC1)および/または(PC2)が、遷移金属化合物(A)と共に、
(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−2)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を含むことが好ましい。
本発明のオレフィンブロック重合体の製造方法によれば、可逆連鎖移動重合の高い生産性を維持したままで、セグメントの数やセグメントごとの分子量がより精密に制御されたオレフィンブロック重合体を製造することができる。そして、本発明の方法で得られたオレフィンブロック重合体は、各セグメントの分子量分布が狭く、シュルツ−フローリー(Schutz−Flory)分布を持たないため、従来の共重合体と比較して好ましくない長鎖/短鎖の成分が少なく、従って高いポリマー物性を発現することが期待できる。
以下、本発明に係るオレフィンブロック重合体の製造方法について具体的に説明する。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
まず、本発明で用いられるオレフィン重合触媒を形成する各成分について説明する。
遷移金属化合物(A)
本発明で用いられる遷移金属化合物(A)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2010126557
一般式(1)において、Mは元素周期律表3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子を表す。
一般式(1)において、Lは窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基、セレン含有基およびシクロペンタジエニル環構造を有する基からなる群から選ばれる結合基を1つ以上含有し、該結合基を介して遷移金属原子Mと共有結合、イオン結合または配位結合で結合する単座または多座配位子を表し、aは配位子Lの数を表す1〜3の整数であり、aが2または3のときはそれぞれのLは同一でも異なっていても良く、また複数のLが炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基および窒素含有基からなる群から選ばれる1つ以上の架橋基を介して相互に結合していても良い。
配位子Lの具体的な骨格としては、シクロペンタジエニル環骨格、アセチルアセトナート骨格、フェノキシ骨格、アミド骨格、イミド骨格や後述の一般式(2)、一般式(3)で表される遷移金属化合物を形成する配位子骨格が挙げられる。
一般式(1)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン含有基およびヘテロ環式化合物残基からなる群から選ばれる原子または基を表し、bはXの数を表す0〜3の整数であり、bが2または3のときはそれぞれのXは同一でも異なっていても良く、また複数のXが
互いに結合して環を形成していても良い。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
ケイ素含有基は、基中にケイ素原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。なおケイ素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
ゲルマニウム含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられ、またスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
ホウ素含有基は、基中にホウ素原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、BR4
(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
アルミニウム含有基は、基中にアルミニウム原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原
子等を示す)が挙げられる。
リン含有基は、基中にリン原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
酸素含有基は、基中に酸素原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられる。酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
イオウ含有基は、基中にイオウ原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、
トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられる。イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
窒素含有基は、基中に窒素原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
ハロゲン含有基としては、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含イオウ化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。なお、ヘテロ環式化合物残基には前記窒素含有基、酸素含有基、イオウ含有基は含まれない。
一般式(1)において、Yは電子供与性基を有する中性配位子を表し、cはYの数を表す0〜3の整数であり、cが2または3のときはそれぞれのYは同一でも異なっていても良く、また複数のYが互いに結合して環を形成していても良い。
電子供与性基とは、金属に供与できる不対電子を有する基であり、Yは電子供与性を有する中性配位子であればどのようなものであってもよい。中性配位子Yとしては具体的には、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、フラン、ジオキサン、ジメチルフラン、アニソール、ジフェニルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどの鎖状又は環状の飽和または不飽和エーテル類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−トルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等の鎖状又は環状の飽和または不飽和アルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、n−ブチロフェノン、ベンジルメチルケトンなどの鎖状又は環状の飽和または不飽和ケトン類;ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、n−バレルアミド、ステアリルアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド、N,N−ジメチル−n−ブチルアミドなど鎖状又は環状の飽和または不飽和アミド類;無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸などの鎖状又は環状の飽和または不飽和無水物;スクシンイミド、フタルイミドなどの鎖状又は環状の飽和または不飽和イミド類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ベンジル、酢酸フェニル、ギ酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、安息香酸エチルなどの鎖状又は環状の飽和または不飽和エステル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアミン、N,N,N',N'−テ
トラメチルエチレンジアミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピロリジン、ピペ
リジン、モルホリン等の鎖状又は環状の飽和または不飽和アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、キノリン、イソキノリン、2−メチルピリジン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、インドール等の含窒素複素環式化合物類;チオフェン、チアゾール等の含イオウ複素環式化合物類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;ア
セトにトリル、ベンゾニトリル等の飽和または不飽和ニトリル類;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の無機塩類;一酸化炭素、二酸化炭素等の無機化合物類;下記有機金属化合物等が挙げられる。
有機金属化合物として、具体的には下記のような周期表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(1a) 一般式 Ra mAl(ORbnpq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
(1b) 一般式 M2AlRa 4
(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(1c) 一般式 Rab3
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)で表され
る周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
前記(1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 Ra mAl(ORb3-m
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAlX3-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロ
ゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAlH3-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ま
しくは2≦m<3である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAl(ORbnq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
(1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリ tert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキ
シルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;(i−C49xAly(C510z (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表
されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;Ra 2.5 Al(
ORb0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどが挙げられる。
また(1a)に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が挙げられる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などが挙げられる。
前記(1b)に属する化合物としては、
LiAl(C254、LiAl(C7154などが挙げられる。
またその他にも、有機金属化合物として、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
さらにこれらの化合物の一部が例えばアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、カルボニル基、アミノ基等の置換基に置換された化合物であってもよい。前記式(I)中のYとしては、これらの中性配位子のうち、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、含窒素複素環式化合物類、無機塩類が好ましい。
一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)としては、具体的には、下記一般式(2
)〜(17)で表される遷移金属化合物が挙げられる。
<一般式(2)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(2)において、X、a、bはそれぞれ前記一般式(1)と同様のものを表す。Mは元素周期律表3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子を表し、好ましくは4族または5族の遷移金属原子であり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
Qは窒素原子または置換基R2を有する炭素原子(−C(R2)=)を表す。
Gは酸素原子、イオウ原子、セレン原子または置換基R5を有する窒素原子(−N(R5)−)を表す。
1は1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有
する炭化水素基である。ヘテロ原子としては、ハロゲン、窒素、酸素、リン、イオウ、セレン原子などが挙げられる。ヘテロ原子含有基は、炭素原子および水素原子以外の非金属原子を含む基であり、具体的には酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基などが挙げられる。酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基およびヘテロ環式化合物残基としては、前記一般式(1)中のXと同様のものが挙げられる。ハロゲン含有基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも1つの水素がハロゲンに置換した基が挙げられ、具体的にはトリフルオロメチル、パーフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル、パーフルオロヘキシル、トリクロロメチル、パークロロエチル、ペンタクロロフェニル、パークロロヘキシルなどが挙げられる。
1としては、炭素原子数1〜30のハロゲン含有炭化水素基が好ましく、炭素原子数
1〜30のフッ素含有炭化水素基が特に好ましい。R1として具体的には、トリフルオロ
メチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロシクロヘキシル、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ビス(トリフルオロメチル)シクロヘキシル、トリフルオロメチルフルオロシクロヘキシル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ジフルオロフェニ
ル、(トリフルオロメチル)トリフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリルなどが挙げられる。
2〜R5は互いに同一でも異なっていても良く、炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基からなる群から選ばれる原子または基を表す。R2
〜R5は、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していても良く、aが2また
は3のときはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士は互いに同一でも異なって
いても良く、いずれか1つの配位子に含まれるR2〜R5のうちの1個の基と、他の配位子に含まれるR2〜R5のうちの1個の基とが連結されていても良い。
2〜R5が表すハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記一般式(1)中のXと同様のものが挙げられる。また、R2〜R5が表すハロゲン含有基としては、前記一般式(2)のR1で例示したも
のと同様のものが挙げられる。
2〜R5が表す炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜30のものが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−tert−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。また、前記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
2〜R5が表す炭化水素置換シリル基としては、例えば炭素原子数の合計が1〜30の基が挙げられる。具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。
前記一般式(2)で表される遷移金属化合物の例としては、下記一般式(2a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010126557
一般式(2a)において、M、X、Q、G、R1、a、bはそれぞれ前記一般式(2)
と同様のものを表し、R7〜R10としては、前記一般式(2)のR2〜R5で例示したもの
と同様のものが挙げられる。
以下に、一般式(2)で表される遷移金属化合物の具体的構造として、aが2であり、それぞれの配位子が同一であるものの例を示すが、これらに限定されるものではない。aが1であるものや、aが2または3でそれぞれ異なる配位子を有するものも挙げられる。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
<一般式(3)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(3)において、X、bはそれぞれ前記式(1)と同様のものを表す。Mは元素周期律表3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子を表し、好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタンまたはジルコニウムまたはハフニウムであり、特に好ましくはハフニウムである。
6は水素以外に1〜30個の原子を含有する炭化水素基を表し、具体的には例えば、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、イソプロピルフェニル、ジイソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ジ−tert―ブチルフェニル、トリ―tert−ブチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。これらのうち、R6として2,6−ジ
イソプロピルフェニル基が好ましい。
Tは水素以外に1〜40個の原子を含有する二価の架橋基を表し、好ましくは水素以外に1〜20個の原子を含有する架橋基であり、より好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基が1つないし2つ置換したメチレン基またはシリル基である。具体的には例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜20のシクロアルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、イソプロピルフェニル、ジイソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ジ−tert−ブチルフェニル、トリ−tert−ブチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基が1つないし2つ置換したメチレン基またはシリル基が挙げられる。これらのうち、炭素原子数6〜20のアリール基が1つ置換したメチレン基またはシリル基が好ましく、置換フェニル基または縮合多環式アリール基が1つ置換したメチレン基またはシリル基がより好ましい。
Zはルイス塩基官能性を有する炭素原子数5〜40のヘテロアリール基を表し、特にピリジン−2−イル基又は置換ピリジン−2−イル基、あるいはそれらの二価の誘導体である。
前記一般式(3)で表される遷移金属化合物としては、下記一般式(3a)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010126557
一般式(3a)において、M、X、R6、T、bはそれぞれ前記一般式(3)と同様の
ものを表す。
11〜R13は、水素原子、ハロゲン原子、または水素以外に最大20個の原子を含有するアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはシリル基を表し、好ましくは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基である。
14は、水素以外に最大20個の原子を含有するアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはシリル基を表し、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基であり、より好ましくはナフタレニル基である。また、R11〜R14の基は、隣接する基同士が互いに結合することによって、縮合環誘導体を形成することもできる。
以下に、一般式(3)で表される遷移金属化合物の構造例を示すが、これらに限定され
るものではない。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
<一般式(4)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(4)において、X、Y、b、cはそれぞれ前記式(1)と同様のものを表す。Mは元素周期律表3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子を表し、好ましくは4〜11族の遷移金属原子であり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
1は遷移金属原子に配位するシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、aは
配位子L1の数を表す1〜3の整数であり、aが2または3のときはそれぞれのL1は同一でも異なっていても良く、また複数のL1が炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含
有基、スズ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基および窒素含有基からなる群から選ばれる1つ以上の架橋基を介して相互に結合していても良い。
1で表されるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえばシクロペ
ンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、プロピルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキル置換シクロペンタジエニル基あるいはインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などを例示することができる。これらの基は、炭素原子数が1〜20の(ハロゲン化)炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、ハロゲン原子などで置換されていてもよい。
また、複数のL1が架橋基を介して結合されている遷移金属化合物としては、後述する
ような一般式(5)、(5a)、(5b)、または(5c)で表される遷移金属化合物が挙げられる。
このような遷移金属化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4である場合、aが2または3であることが好ましい。この場合、それぞれのL1は同一でも異なっていても良く、
またXはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、スルフォネート基、ハロゲン原子または水素原子であることが好ましい。
以下に、前記一般式(4)で表され、Mがジルコニウムである遷移金属化合物について具体的な化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェノキシモノクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルベンジルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルフォネート)、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
なお前記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は、1,2−および1,3−置換体を含み、三置換体は、1,2,3−および1,2,4−置換体を含む。またプロピル、ブチルなどのアルキル基は、n−、i−、sec−、tert−などの異性体を含む。
また前記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウムを、チタンまたはハフニ
ウムに置換えた化合物を挙げることもできる。
<一般式(5)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(5)において、Xは前記式(1)と同様のものを表す。Mは元素周期律表3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子を表し、好ましくは4〜11族の遷移金属原子であり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
15、R16、R17およびR18は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、水素原子またはハロゲン原子を示す。R15、R16、R17およびR18で示される基のうち、互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。なお、R15、R16、R17およびR18が各々2ヶ所に表示されているが、それぞれたとえばR15とR15などは、同一の基でもよくまた相異なる基でもよい。Rで示される基のうち同一のサフィックスのものは、それらを継いで、環を形成する場合の好ましい組み合せを示している。
炭化水素基としては、前記一般式(2)のR2〜R5が表す炭化水素基として例示したものと同様の基が挙げられる。これらの炭化水素基が結合して形成する環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などの縮環基、および前記縮環基上の水素原子がメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基で置換された基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基としては、前記の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。
ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ハロゲン原子としては、前記一般式(1)中のXと同様のものが挙げられる。
これらのうち、炭素原子数が1〜20の炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルの炭素原子数が1〜4の炭化水素基、炭化水素基が結合して形成されたベンゼン環、炭化水素基が結合して形成されたベンゼン環上の水素原子がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどのアルキル基で置換された基であることが好ましい。
1は、炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜20の2価のハ
ロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−Ge−、−Sn−、−NR19
−、−P(R19)−、−P(O)(R19)−、−BR19−または−AlR19−〔ただし、R19は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、水素
原子またはハロゲン原子である〕を示す。
炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基として具体的には、メチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、ジメチル−1,2−エチレン、1,3−トリメチレン、1,4−テトラメチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレンなどのアルキレン基;ジフェニルメチレン、ジフェニル−1,2−エチレンなどのアリールアルキレン基などが挙げられる。
炭素原子数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基として具体的には、クロロメチレンなどの前記炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化した基などが挙げられる。
2価のケイ素含有基としては、シリレン、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(イソプロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p−トリル)シリレン、ジ(p−クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン基;アルキルアリールシリレン基;アリールシリレン基;テトラメチル−1,2−ジシリレン、テトラフェニル−1,2−ジシリレンなどのアルキルジシリレン基;アルキルアリールジシリレン基;アリールジシリレン基などが挙げられる。
2価のゲルマニウム含有基としては、前記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基などが挙げられる。2価のスズ含有基としては、前記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基などが挙げられる。
これらのうち、ジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレンなどの置換シリレン基が特に好ましい。また、R19は、前記R15〜R18と同様のハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基である。
以下に、前記一般式(5)で表され、Mがジルコニウムである遷移金属化合物について具体的な化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
エチレン−ビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−クロルベンゼンスルホナト)、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ジメチルシリレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、r
ac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなど。
また前記のような化合物中のジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに代えた化合物を挙げることもできる。
前記一般式(5)で表される遷移金属化合物として、他の具体的な例としては下記一般式(5a)または(5b)で表される遷移金属化合物がある。
Figure 2010126557
一般式(5a)において、M、Xはそれぞれ前記式(5)と同様のものを表す。
20は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜6の炭化水素基を示し、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシルなどのアルキル基;ビニル、プロペニルなどのアルケニル基などが挙げられる。これらのうちインデニル基に結合した炭素原子が1級のアルキル基が好ましく、さらに炭素原子数が1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基およびエチル基が好ましい。
21、R23、R24およびR25は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子またはR20と同様の炭素原子数が1〜6の炭化水素基を示す。
22は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が6〜16のアリール基を示し、具体的には、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどが挙げられる。これらのうちフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであることが好ましい。
これらのアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ア
イコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどのアリール基などの炭素原子数が1〜20の炭化水素基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどの有機シリル基で置換されていてもよい。
1は、前記一般式(5)におけるJ1と同じである。これらのうち、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることがより好ましい。
以下に、前記一般式(5a)で表され、Mがジルコニウムである遷移金属化合物について具体的な化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(1−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(2−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−フルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(ペンタフルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(m−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(o−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(o,p−ジクロロフェニル)フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(m−トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(o−トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(o,o'−ジメチルフェニル)−1−インデニル)
ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−エチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−i−プロピルフェニル)インデニル))ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−ベンジルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(m−ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(m−トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−フェニル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジエチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ−(i−プロピル)シリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ−(n−ブチル)シリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジシクロヘキシルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(p−トリル)シリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(p−クロロフェニル)シリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−エチレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルゲルミレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルスタニレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドSO2Me、rac−ジメチルシリレン−ビス{
1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドOSO2Me、r
ac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(o−メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(m−メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(p−メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,3−ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,4−ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,5−ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,4,6−トリメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(o−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(m−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(p−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,
3−ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,6−ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(3,5−ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2−ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(3−ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス
{1−(2−エチル−4−(4−ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(8−メチル−9−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ペンチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ペンチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブ
チル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−ネオペンチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−ネオペンチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ヘキシル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ヘキシル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−エチレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−エチレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−エチレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルゲルミル−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルゲルミル−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルゲルミル−ビス{1−(2−n−プロピル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
また上記のような化合物中のジルコニウムをチタニウムまたはハフニウムに代えた化合物を挙げることもできる。
次に、一般式(5b)で表される遷移金属化合物について説明する。
Figure 2010126557
一般式(5b)において、M、Xはそれぞれ前記式(5)と同様のものを表す。
31およびR32は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、水素原子またはハロゲン原子を示す。炭化水素基としては、前記一般式(2)のR2〜R5が表す炭化水素基として例示したものと同様の基が挙げられ、ハロゲン化炭化水素基としては、前記の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。また、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ハロゲン原子としては、前記一般式(1)中のXと同様のものが挙げられる。
これらのうちR31は、炭素原子数が1〜20の炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素原子数が1〜3の炭化水素基であることが好ましい。R32は、水素原子または炭素原子数が1〜20の炭化水素基であることが好ましく、特に水素原子あるいは、メチル、エチル、プロピルの炭素原子数が1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
33およびR34は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20のアルキル基を示し、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。これらのうちR33は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。
1は、前記一般式(5)におけるJ1と同じである。
以下に、前記一般式(5b)で表され、Mがジルコニウムである遷移金属化合物について具体的な化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−n−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−n−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−sec−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−n−ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−n−ヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−シクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル
−4−メチルシクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−フェニルエチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−フェニルジクロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−クロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−トリメチルシリルメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−トリメチルシロキシメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジエチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(i−プロピル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(n−ブチル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(シクロヘキシル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(p−トリル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(p−クロロフェニル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−エチルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−n−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−n−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−sec−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−n−ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−n−ヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−シクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−メチルシクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−トリメチルシリルメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−トリメチルシロキシメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−フェニルエチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−フェニルジクロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−クロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジエチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(i−プロピル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−
4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(n−ブチル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(シクロヘキシル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(p−トリル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(p−クロロフェニル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウム−ビス(メタンスルホナト)、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウム−ビス(p−フェニルスルフィナト)、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−3−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4,6−ジ−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−フェニル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−エチレン−ビス{1−(2,4,7−トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−イソプロピリデン−ビス{1−(2,4,7−トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
また上記のような化合物中のジルコニウムをチタニウムまたはハフニウムに代えた化合物を挙げることもできる。
前記一般式(5)で表される遷移金属化合物の他の例としては、例えば下記一般式(5c)で表される化合物も挙げられる。
Figure 2010126557
一般式(5c)において、M、Xはそれぞれ前記式(5)と同様のものを表す。
2は、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示し、炭素原子であることが
好ましい。
35〜R41は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、水素原子またはハロゲン原子を示す。炭化水素基としては、前記一般式(2)のR2〜R5が表す炭化水素基として例示したものと同様の基が挙げられ、ハロゲン化炭化水素基としては、前記の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。また、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ハロゲン原子としては、前記一般式(1)中のXと同様のものが挙げられる。R35〜R41で示される基のうち、互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。これらの基が結合して形成する環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などの縮環基、および前記縮環基上の水素原子がメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基で置換された基が挙げられる。
35〜R41は、これらのうち、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基または炭素原子数が6〜24のアリール基であるか、またはR35〜R41のうち互いに隣接する2つ以上の基がそれらを結合する原子と一緒に4〜20個の炭素原子を有する芳香族または脂肪族の環を形成していることが好ましい。
42〜R45は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜40の基を示す。前記炭素原子数が1〜40の基としては、例えば、炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が2〜12のアルケニル基、炭素原子数が7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数が7〜40のアルキルアリール基または炭素原子数が8〜40のアリールアルケニル基が挙げられ、これらの基は、ハロゲン原子、−NR2基、−SiR3基、−SR基、−OSiR3基(但し、Rは、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基
または炭素原子数が6〜10のアリール基である。)などの置換基を有してもよい。
42〜R45は、これらのうち、水素原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基であることが好ましい。
46は、水素原子または炭素原子数が1〜40の基であるか、あるいはR46は、R35〜R38の1つ以上の基に結合している。炭素原子数が1〜40の基としては、前記R42〜R45で例示した基が挙げられる。これらのうち、水素原子、炭素原子数6〜24のアリール基または炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
以下に、前記一般式(5c)で表される遷移金属化合物について具体的な化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
{4−(η5−シクロペンタジエニル)(η5−4,5−テトラヒドロペンタレン)}ジクロロチタン、{4−(η5−シクロペンタジエニル)(η5−4,5−テトラヒドロペンタレン)}ジクロロジルコニウム、{4−(η5−シクロペンタジエニル)(η5−4,5−テトラヒドロペンタレン)}ジクロロハフニウム、{4−(η5−シクロペンタジエニ
ル)−4−メチル−(η5−4,5−テトラヒドロペンタレン)}ジクロロジルコニウム
、{4−(η5−シクロペンタジエニル)−4−エチル−(η5−4,5−テトラヒドロペンタレン)}ジクロロジルコニウム、{4−(η5−シクロペンタジエニル)−4−フェ
ニル−(η5−4,5−テトラヒドロペンタレン)}ジクロロジルコニウムなど。
<一般式(6)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(6)において、X、bはそれぞれ前記式(1)と同様のものを表す。Mは元素周期律表3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子を表し、好ましくは4〜11族の遷移金属原子であり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
Cpは、Mにπ結合しているシクロペンタジエニル基またはその誘導体を示す。
1は、酸素原子、イオウ原子、ホウ素原子または周期表第14族の原子を含む基を示
し、たとえば−SiR2−、−CR2−、−Si(R2)Si(R2)−、−C(R2)C(
2)−、−C(R2)C(R2)C(R2)−、−C(R)=C(R)−、−C(R2)S
i(R2)−、−GeR2−などである。
1は、窒素原子、リン原子、酸素原子またはイオウ原子を含む基を示し、たとえば−
NR’−、−O−、−S−、−PR’−などである。
またT1とZ1とで縮合環を形成してもよい。
前記Rは水素原子または20個までの非水素原子をもつアルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基およびこれらの組合せから選ばれた基であり、前記R’は炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜10のアリール基もしくは炭素原子数が7〜10のアラルキル基であるか、または1個もしくはそれ以上の前記Rと30個までの非水素原子の縮合環系を形成してもよい。
以下に、前記一般式(6)で表される遷移金属化合物について具体的な化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2
−エタンジイルジルコニウムジクロリド、(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロリド、(メチルアミ
ド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウ
ムジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,
2−エタンジイルチタンジクロリド、(エチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペ
ンタジエニル)−メチレンチタンジクロリド、(tert−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、(tert−ブチ
ルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウム
ジクロリド、(ベンジルアミド)ジメチル−(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニ
ル)シランチタンジクロリド、(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η5
シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジルなど。
<一般式(7)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(7)において、M2は周期表第8〜10族の遷移金属原子を示し、好ましくは
ニッケル、パラジウム、白金である。
X、bはそれぞれ前記式(1)と同様のものを表す。
それぞれのZ2は、互いに同一でも異なっていてもよく、窒素原子またはリン原子を示
す。
それぞれのR50は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭化水素基を示す。炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素原子数が1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素原子数が6〜20のアリール基;これらのアリール基に前記炭素原子数が1〜20のアルキル基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが挙げられる。
それぞれのdは、互いに同一でも異なっていてもよく、1または2であって、それぞれ結合するZ2の価数を満たす数である。
2は、下記式
Figure 2010126557
で表される、2つのZ2を結ぶ結合基を表す。ただし、それぞれのR51は互いに同一でも
異なっていてもよく、水素原子または前記R50と同様の炭化水素基を示す。これらのR50およびR51のうちの2個以上、好ましくは隣接する基が互いに連結して環を形成していてもよい。
前記一般式(7)で表される遷移金属化合物としては、下記一般式(7a)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010126557
(一般式(7a)中、M2、X、b、Z2、R50、d、およびR51は、前記一般式(7)と同じである。)
このような一般式(7a)で表される遷移金属化合物の具体的なものとしては、次の化
合物などが挙げられる。下記式中、iPrはイソプロピル基を示す。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
上記以外にも、前記一般式(7a)で表される遷移金属化合物として、上記化合物中のパラジウムまたはニッケルが白金に置き代わった化合物などが挙げられる。
また、前記一般式(7)で表される化合物としては、上記以外に次の化合物などが挙げられる。下記式中、iPrはイソプロピル基を示す。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
上記以外にも、前記一般式(7)で表される遷移金属化合物として、上記化合物中のパラジウムまたはニッケルが白金に置き代わった化合物などが挙げられる。
<一般式(8)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(8)において、M3は周期表第3〜6族の遷移金属原子を示し、チタン、ジル
コニウム、ハフニウムなどの周期表第4族の遷移金属原子であることが好ましい。
X、bはそれぞれ前記式(1)と同様のものを表す。
それぞれのR52は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、有機シリル基であるかまたは、窒素、酸素、リン、イオウ、ケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む置換基で置換された炭化水素基を示す。
炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;これらのアリール基に前記炭素原子数が1〜20のアルキル基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基などが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基としては、前記炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。
有機シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
窒素、酸素、リン、イオウおよびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む置換基で置換された炭化水素基としては、前記炭化水素基に−COOCH3、−N(CH3)C(O)CH3、−OC(O)CH3、−CN、−N(C252、−N(CH3)S(O2
CH3、−P(C652などが置換した基が挙げられる。
mは0〜2の整数であり、nは1〜5の整数である。
Aは、周期表第13〜16族の原子を示し、具体的には、ホウ素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子、ゲルマニウム原子、セレン原子、スズ原子などが挙げられ、炭素原子またはケイ素原子であることが好ましい。nが2以上の場合には、複数のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。
Eは、炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基である。mが2の場合には、2個のEは互いに同一でも異なっていてもよく、また2個のEが互いに連結して環を形成していてもよい。
このような−(EmA)n−で示される2個の窒素原子を結合する結合基として具体的には以下のような基などが挙げられる。
−CH2−、−C(Me)2−、−C(Ph)2−、−Si(Me)2−、
−Si(Ph)2−、−Si(Me)(Ph)−、−CH2CH2−、
−CH2Si(Me)2−、−CH2CH2CH2−、
−CH2C(Me)2CH2−、−CH2C(Et)2CH2−、
−CH2C(n−Pr)2CH2−、−CH2C(i−Pr)2CH2−、
−CH2C(n−Bu)2CH2−、−CH2C(i−Bu)2CH2−、
−CH2C(s−Bu)2CH2−、−CH2C(c−Pen)2CH2−、
−CH2C(c−Hex)2CH2−、−CH2C(Ph)2CH2−、
−CH2C(Me)(Et)CH2−、−CH2C(Me)(i−Pr)CH2−、
−CH2C(Me)(i−Bu)CH2−、−CH2C(Me)(t−Bu)CH2−、
−CH2C(Me)(i−Pen)CH2−、−CH2C(Me)(Ph)CH2−、
−CH2C(Et)(i−Pr)CH2−、−CH2C(Et)(i−Bu)CH2−、
−CH2C(Et)(i−Pen)CH2−、−CH2C(i−Pr)(i−Bu)CH2

−CH2C(i−Pr)(i−Pen)CH2−、−CH2Si(Me)2CH2−、
−CH2Si(Et)2CH2−、−CH2Si(n−Bu)2CH2−、
−CH2Si(Ph)2CH2−、−CH(Me)CH2CH(Me)−、
−CH(Ph)CH2CH(Ph)−、−Si(Me)2OSi(Me)2−、
−CH2CH2CH2CH2−、−Si(Me)2CH2CH2Si(Me)2−、
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
なお、上記例示中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、n−Prはn−プロピル基を示し、i−Prはイソプロピル基を示し、n−Buはn−ブチル基を示し、i−Buはイソブチル基を示し、s−Buはsec−ブチル基を示し、t−Buはtert−ブチル基を示し、i−Penはイソペンチル基を示し、c−Penはシクロペンチル基を示し、c−Hexはシクロヘキシル基を示し、Phはフェニル基を示す。
以下に、前記一般式(8)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
なお、上記例示中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、iPrはイソプロピル基を示し、tBuはtert−ブチル基を示す。
本発明では、上記のような化合物において、チタンをジルコニウム、ハフニウムに置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
本発明では、前記一般式(8)で表される遷移金属化合物としては、R52が、アルキル基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基である、下記一般式(8a)で表される遷移金属化合物を用いることが望ましい。
Figure 2010126557
一般式(8a)において、M3、X、b、m、n、AおよびEはそれぞれ前記一般式
(8)と同様のものを表す。
それぞれのR53およびR54は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、有機シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、−COOR、−N(R)C(O)R、−OC(O)R、−CN、−NR2または−
N(R)SO2R(ただし、Rはそれぞれ独立に炭素原子数が1〜5のアルキル基である
)を表す。ただし、5つのR53のうち少なくとも1つ、および5つのR54のうち少なくとも1つは、水素以外の基である。
ハロゲン原子としては、前記一般式(8)におけるXと同じであり、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基および有機シリル基としては、前記一般式(8)におけるR52と同じである。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどが挙げられる。
−COOR、−N(R)C(O)R、−OC(O)R、−CN、−NR2または−N(
R)SO2R(ただし、Rはそれぞれ独立に炭素原子数が1〜5のアルキル基である)で
示される基としては、−COOCH3、−N(CH3)C(O)CH3、−OC(O)CH3、−CN、−N(C252、−N(CH3)SO2CH3などが挙げられる。
またR53で示される基のうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結してそれぞれが結合する炭素原子とともに芳香族環、脂肪族環などの環を形成していてもよく、またR54で示される基のうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結してそれぞれが結合する炭素原子とともに芳香族環、脂肪族環などの環を形成していてもよい。
以下に、前記一般式(8a)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
なお、上記例示中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、iPrはiso−プロピル基を示し、nPrはn−プロピル基を示し、nBuはn−ブチル基、sBuはsec−ブチル基、tBuはtert−ブチル基、nOctはn−オクチル基を示す。
本発明では、上記のような化合物において、チタンをジルコニウム、ハフニウムに置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
<一般式(9)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(9)において、M、X、R1、a、bはそれぞれ前記一般式(2)と同様のも
のを表す。
1は窒素原子またはリン原子を表し、Q1〜Q4は、それぞれ独立に、置換基Rを有す
る炭素原子、窒素原子またはリン原子を表す。
置換基Rは互いに同一でも異なっていても良く、炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子
、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基からなる群から選ばれる原子または基を表す。それぞれの置換基Rのうち2個以上が互いに連結して環を形成していても良く、aが2または3のときはそれぞれの配位子上の置換基R同士は互いに同一でも異なっていても良く、いずれか1つの配位子に含まれる置換基Rのうちの1個の基と、他の配位子に含まれる置換基Rのうちの1個の基とが連結されていても良い。置換基Rが表す具体的な原子または基としては、前記一般式(2)中のR2〜R5と同様のものが挙げられる。
以下に、一般式(9)で表される遷移金属化合物の具体的構造として、aが2であり、それぞれの配位子が同一であるものの例を示すが、これらに限定されるものではない。aが1であるものや、aが2または3でそれぞれ異なる配位子を有するものも挙げられる。
Figure 2010126557
また、前記一般式(9)で表される遷移金属化合物としては、一般式(9a)で表されるものも挙げられる。
Figure 2010126557
一般式(9a)において、M、X、R1、a、b、G1、Q1、Q2、Rは、それぞれ前記一般式(9)と同様のものを表す。
<一般式(10)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(10)において、M、X、bはそれぞれ前記一般式(2)と同様のものを表す。
Gは互いに同一でも異なっていても良く、前記一般式(2)のGと同様のものを表す。
Qは互いに同一でも異なっていても良く、前記一般式(2)のQと同様のものを表す。
3、R4はそれぞれ同一でも異なっていても良く、前記一般式(2)のR3、R4と同様のものを表す。
3は、酸素、イオウ、炭素、窒素、リン、ケイ素、セレン、スズおよびホウ素からな
る群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む2価の結合基を示し、炭化水素基である場合には炭素原子3個以上からなる基である。J3は、好ましくは主鎖が原子3個以上、よ
り好ましくは4個以上20個以下、特に好ましくは4個以上10個以下で構成された構造を有する。なお、これらの結合基は置換基を有していてもよい。
2価の結合基(J3)として具体的には、−O−、−S−、−Se−などのカルコゲン
原子;−NH−、−N(CH3)−、−PH−、−P(CH3)−などの窒素またはリン原子含有基;−SiH2−、−Si(CH32−などのケイ素原子含有基;−SnH2−、−Sn(CH32−などのスズ原子含有基;−BH−、−B(CH3)−、−BF−などの
ホウ素原子含有基などが挙げられる。炭化水素基としては−(CH24−、−(CH25−、−(CH26−などの炭素原子数が3〜20の飽和炭化水素基、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシレン基などの環状飽和炭化水素基、これらの飽和炭化水素基の一部が1
〜10個の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン、酸素、イオウ、窒素、リン、ケイ素、セレン、スズ、ホウ素などのヘテロ原子で置換された基、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどの炭素原子数が6〜20の環状炭化水素の残基、ピリジン、キノリン、チオフェン、フランなどのヘテロ原子を含む炭素原子数が3〜20の環状化合物の残基などが挙げられる。
前記一般式(10)で表される遷移金属化合物の例としては、下記一般式(10a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010126557
一般式(10a)において、M、X、b、G、Q、J3はそれぞれ前記一般式(10)
と同様のものを表す。
一般式(10a)において、R7〜R10はそれぞれ同一でも異なっていても良く、前記
一般式(2)のR2〜R5と同様のものを表し、2つのR10の少なくとも一方、特に両方が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基であることが好ましく、特にハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、ニトリル基またはニトロ基であることが好ましい。
以下に、前記一般式(10)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
なお、上記例示中、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、tBuはtert−ブチル基を示す。 本発明では、上記のような化合物において、チタン金属をジルコニウム、ハフニウムなどのチタン以外の金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
<一般式(11)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(11)において、M、X、b、G1、Q1〜Q4は、それぞれ前記一般式(9)
と同様のものを表す。
4は、酸素、イオウ、炭素、窒素、リン、ケイ素、セレン、スズおよびホウ素からな
る群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む2価の結合基を示す。具体的には、前記一般式(10)のJ3と同様のものが挙げられる。
また、前記一般式(11)で表される遷移金属化合物としては、一般式(11a)で表されるものも挙げられる。
Figure 2010126557
一般式(11a)において、M、X、b、G1、Q1、Q2、Rは、それぞれ前記一般式
(9)と同様のものを表す。またJ4は、前記一般式(11)と同様のものを表す。
<一般式(12)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(12)において、M4は周期表第8〜11族の遷移金属原子を表し、鉄、ルテ
ニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウムなどの周期表第8、9族の遷移金属原子であることが好ましく、特に鉄、コバルトが好ましい。
Xおよびbは、それぞれ前記一般式(2)と同様のものを表す。
複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、前記一般式(2)のR2〜R5と同様のものを表す。また、隣接するR各々が互いに連結して芳香族環、脂肪族環や窒素原子やイオウ原子、酸素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有してもよい。
3は、周期表第15または16族の原子を示し、具体的には窒素原子、リン原子、ヒ
素原子、アンチモン原子、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、テルル原子などが挙げられ、好ましくは窒素原子、酸素原子またはイオウ原子である。
以下に、前記一般式(12)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
なお、上記例示中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、nPrはn−プロピル基を示し、iPrはi−プロピル基を示し、sBuはsec−ブチル基を示し、tBuはtert−ブチル基を示し、nOcはn−オクチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
本発明では、上記のような遷移金属化合物において、鉄をコバルトに置き換えた化合物を例示することもできる。上記したような遷移金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
<一般式(13)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(13)において、M、X、a、bはそれぞれ前記一般式(2)と同様のものを表す。Gは酸素原子、イオウ原子、セレン原子または置換基R5を有する窒素原子(−N
(R5)−)を表す。R3、R4、R5はそれぞれ前記一般式(2)のR3、R4、R5と同様
のものを表す。
5は、−CR2−、−SiR2−、−P(O)R−、−PR−、−SO−または−S−
を表す。これらの中では、−CR2−、−SiR2−が好ましく、−CR2−が特に好まし
い。Q5がヘテロ原子を含む場合は、式(13)においてMとQ5とが配位結合していてもよい。なお、配位結合の存在は、IR、NMR、X線結晶構造解析により確認できる。
4は、Nの結合基として、−R55および−R56、=CR2または=NRを示す(ここで「−」および「=」はそれぞれ単結合、二重結合を表す。以下同様。)
R、R55およびR56は、互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。但し、R55またはR56は水素原子以外のものであることが好ましい。
また、前記一般式(13)で表される遷移金属化合物としては、一般式(13a)で表されるものが好ましく用いられる。
Figure 2010126557
一般式(13a)において、M、X、a、b、G、Q5、Z4はそれぞれ前記一般式(13)と同様のものを表す。
7〜R10としては、前記一般式(2)のR2〜R5で例示したものと同様のものが挙げ
られる。
5、Z4およびGに含まれるR、R55、R56およびR5、並びに上記R7〜R10としては、互いに同一であっても異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基であることが好ましい。
より具体的には、R、R55、R56、R5、R7〜R10としては、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルミニウム含有基またはヒドロキシ基であることが好ましい。但し、R55またはR56は水素原子以外のものであることが好ましい。
7〜R10は、水素原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基
または炭化水素置換シロキシ基であることが好ましく、水素原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基または炭化水素置換シリル基であることが特に好ましい。
R、R55、R56、R5は、水素原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置
換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルミニウム含有基であることが好ましく、水素原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、アルミニウム含有基であることが特に好ましい。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル(allyl)、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール(aryl)基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、水素原子が他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基
、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
これらのうち、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基等が好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
R、R55、R56、R5、R7〜R10として示される酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記炭化水素基に含まれていてもよい置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
10は水素以外の置換基であることが好ましい。すなわち、R10はハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基が好ましい。特に、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であることが好ましい。R10として好ましい炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。R4として好ましい炭化水素置換シリル基としては、メチルシリル
、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。特に好ましくは、トリメチルシリル、トリエチルフェニル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。R4 としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の分岐状アルキル基、およびこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基で置換した基(クミル基など)、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好
ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、または炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
ホウ素含有基としては、上記炭化水素基に含まれていてもよい置換基として例示したものと同様のもののほか、アルキル基置換ホウ素、アリール基置換ホウ素、ハロゲン化ホウ素、アルキル基置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。
アルキル基置換ホウ素としては、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−
、(Et)3B、(iPr)3B、(iBu)3B;アリール基置換ホウ素としては、(C652B−、(C653B、(C653B、(3,5−(CF32633B;ハロ
ゲン化ホウ素としては、BCl2−、BCl3;アルキル基置換ハロゲン化ホウ素としては、(Et)BCl−、(iBu)BCl−、(C652BClなどが挙げられる。この
うち三置換のホウ素については、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
アルミニウム含有基としては、アルキル基置換アルミニウム、アリール基置換アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、アルキル基置換ハロゲン化アルミニウム等の基が挙げられる。
アルキル基置換アルミニウムとしては、(Et)2Al−、(iPr)2Al−、(iBu)2Al−、(Et)3Al、(iPr)3Al、(iBu)3Al;アリール基置換アルミニウムとしては、(C652Al−;ハロゲン化アルミニウムとしては、AlCl2−、AlCl3;アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムとしては、(Et)AlCl−、
(iBu)AlCl−などが挙げられる。このうち三置換のアルミニウムについては、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。このうち炭化水素置換シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したR、R55、R56、R5、R7〜R10として示される基の例について、より具体的に説明する。
酸素含有基のうち、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが、アリーロキシ基としては、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどが、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが、エステル基としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシ
カルボニルなどが好ましく例示される。
窒素含有基のうち、アミド基としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが、アミノ基としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが、イミド基としては、アセトイミド、ベンズイミドなどが、イミノ基としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが好ましく例示される。
イオウ含有基のうち、アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ等が、アリールチオ基としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオ等が、チオエステル基としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが、スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどが、スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどが好ましく挙げられる。
R、R55、R56、R5、R7〜R10として示される基は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
5は、−CR2−、−SiR2−、−P(O)R−、−PR−、−SO−または−S−
を表す。これらの中では、−CR2−、−SiR2−が好ましく、−CR2−が特に好まし
い。
−CR2−の好ましい例としては、メチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、
ジメチル−1,2−エチレン、1,3−トリメチレン、1,4−テトラメチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル−1,2−エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1から20の2価の炭化水素基が挙げられる。これらの中ではメチレンが特に好ましい。
−SiR2−の好ましい例としては、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシ
リレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p−トリル)シリレン、ジ(p−クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル−1,2−ジシリレン、テトラフェニル−1,2−ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基が挙げられる。
−P(O)R−のRとしては、酸素含有基であることも好ましく、この場合アルコキシ基、アリーロキシ基、アリールアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、フェノキシ基などが好ましい。
以下に、前記一般式(13)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
なお、上記例示中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、iPrはi−プロピル基を示し、tBuはtert−ブチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
<一般式(14)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(14)において、M5は周期表第4〜6族から選ばれる遷移金属原子を示し、
具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムの第4族金属原子、バナジウム、ニオブ、タンタルの第5族金属原子、クロム、モリブデン、タングステンの第6族金属原子である。これらのうちではチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロムなどの遷移金属が好ましく、この中でも第4族金属原子、第5族金属原子が好ましく、また、遷移金属原子Mの原子価状態が、2価、3価または4価である周期律表第4族あるいは第5族の遷移金属原子がさらに好ましく、特にチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムが好ましい。
X、Y、b、cはそれぞれ前記一般式(1)と同様のものを表す。
Gは酸素原子、イオウ原子、セレン原子または置換基R5を有する窒素原子(−N(R5)−)を表す。R5は前記一般式(2)のR5と同様のものを表す。
57は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、シリル化炭化水素基、酸素含有基および窒素含有基から選ばれる基を示し、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1〜30の炭化水素基;前記炭素数1〜30の炭化水素基にハロゲン原子が置換した炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基;前記炭素数1〜30の炭化水素基にシリル原子が置換した炭素数1〜30のシリル化炭化水素基が挙げられる。
また、R57で示される原子または基のうち、互いに隣接する2個の基が結合して、それらの結合する炭素原子と一緒に芳香族環、脂肪族環またはヘテロ環を形成してもよく、シクロペンタジエニル環とともに、インデン環、フルオレン環が形成されていることが好ましい。
58およびR59は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R57と同様の原子または基を示し、R58およびR59で示される原子または基のうち互いに隣接する2個の基が結合して、それらの結合する炭素原子と一緒にベンゼン、ナフタレン、アセナフテン、などの芳香族環または脂肪族環を形成してもよい。
これらのうち、R59は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のシリル化炭化水素基であることが好ましく、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、トリチルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基など炭素数1〜20の炭化水素基;前記炭素数1〜20の炭化水素基にハロゲン原子が置換した炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基;前記炭素数1〜20の炭化水素基にシリル原子が置換した炭素数1〜20のシリル化炭化水素基が挙げられる。
特に、R59が3級炭化水素基、3級シリル化炭化水素基、芳香族置換脂肪族基、芳香族基または脂環族基であることがさらに好ましく、具体的には、t−ブチル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、トリチルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、ア
ントラセニル、フェナントリルなどのアリール基など炭素数1〜20の炭化水素基;前記炭素数1〜20の炭化水素基にハロゲン原子が置換した炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基;前記炭素数1〜20の炭化水素基にシリル原子が置換した炭素数1〜20のシリル化炭化水素基が挙げられ、さらに好ましくは、tert−ブチル、アダマンチル、トリチル、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基など炭素数1〜20の炭化水素基;トリメチルシリル、メチルジフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどの前記炭素数1〜20の炭化水素基にシリル原子が置換した炭素数1〜20のシリル化炭化水素基が挙げられる。
以下に、上記一般式(14)で表される遷移金属化合物の具体的構造の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。なお、以下の構造例では、メチル基をMe、エチル基をEt、t−ブチル基をt−Bu、n−ブチル基をn−Bu、アダマンチル基をAd、クミル基をCum、トリメチルシリル基をTMS、トリフェニルシリル基をTPS、トリチル基をTr、フェニル基をPh、ナフチル基をNap、フェナントリル基をPhen、メシチル基(2,4,6−トリメチルフェニル基)をMesとそれぞれ略記することがある。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
<一般式(15)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(15)において、M5、X、Y、b、c、Gはそれぞれ前記一般式(14)と
同様のものを表す。
57は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、前記一般式(14)と同様のものを表す。また、R57で示される原子または基のうち、互いに隣接する2個の基が結合して、それらの結合する炭素原子と一緒に芳香族環、脂肪族環またはヘテロ環を形成してもよく、シクロペンタジエニル環とともに、インデン環、フルオレン環が形成されていることが好ましく、特にフルオレン環が形成されていることが好ましい。さらに、該フルオレン環上に、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、シリル化炭化水素基、酸素含有基および窒素含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい置換基が1つ以上存在してもよく、それらのフルオレン環上の置換基のうち、互いに隣接する2個の基が結合して、それらの結合する炭素原子と一緒に芳香族環、脂肪族環またはヘテロ環を形成してもよい。このようなフルオレニル基として、具体的には1,1,4,4−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[b]フルオレニル基、1,1,4,4,7,7,
10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロベンゾ[b,h]フルオレニル基などの基が挙げられる。
58およびR59は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、前記一般式(14)と同様のものを表す。R58およびR59で示される原子または基のうち互いに隣接する2個の基が結合して、それらの結合する炭素原子と一緒にベンゼン、ナフタレン、アセナフテン、などの芳香族環または脂肪族環を形成してもよい。
6は炭素原子、ケイ素原子、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又はタ
リウムを示し、炭素原子、ケイ素原子、ホウ素原子である場合が好ましく、特に、炭素原子、ケイ素原子が好ましい。
60は、同一でも異なっていてもよく、R58およびR59と同様の原子または基を示し、R60で示される原子または基が結合して、Q6と一緒に芳香族環、脂肪族環またはヘテロ
環を形成していてもよく、具体的には、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、またはシクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクトヘプタメチレンシリレンなどの環状脂肪族環を形成してもよい。
以下に、上記一般式(15)で表される遷移金属化合物の具体的構造の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。なお、以下の構造例では、メチル基をMe、エチル基をEt、t−ブチル基をt−Bu、n−ブチル基をn−Bu、アダマンチル基をAd、クミル基をCum、トリメチルシリル基をTMS、トリフェニルシリル基をTPS、トリチル基をTr、フェニル基をPh、ナフチル基をNap、フェナントリル基をPhen、メシチル基(2,4,6−トリメチルフェニル基)をMesとそれぞれ略記することがある。
Figure 2010126557
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Figure 2010126557
<一般式(16)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(16)において、Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、これらのうちでは第3族〜第6族金属原子が好ましく、これらの中でもイットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、クロムなどの遷移金属が好ましく、また、遷移金属原子Mの原子価状態が、2価、3価または4価である周期律表第4族あるいは第5族の遷移金属原子がさらに好ましく、特にチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムが好ましい。遷移金属原子Mがチタン、バナジウムの場合は3価であることが特に好ましい。
X、Y、a、b、cは、それぞれ前記一般式(1)と同様のものを表す。なおXが酸素
原子である場合には、MとXとは二重結合で結合する。bが2以上の場合は、Xで示される複数の原子または基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(16)において、L2はRQ7(Pz1i(Pz23-i で表される3座の
アニオン配位子、又は中性配位子である。
Rは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基よりなる群から選ばれる基を示す。ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基としては、前記一般式(1)中のXの説明で例示した基を挙げることができる。
7はホウ素、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、および鉛よりなる群から選ばれる
4価の基を示し、ホウ素、炭素、ケイ素が特に好ましい。
Pz1は、少なくとも3位が無置換アリール(Aryl)基、置換アリール(Aryl
)基、炭素数3以上のアルキル基、シクロアルキル基、アミノ基、又はオキシ炭化水素基等で置換されたピラゾリル基である。無置換アリール(Aryl)基としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などを例示することができ、置換アリール(Aryl)基としては前記無置換アリール(Aryl)基の核水素の一つまたは複数個が炭素数1〜20のアルキル基、アリール基やアラルキル基で置換されたものが挙げられる。好ましいPz1は、3位が2,4,6−Trimethylphenyl基、2,4,6−Tri
isopropylphenyl基、2,3,4,5,6−Pentamethylphenyl基、4−Tert−Butyl−2,6−Dimethylphenyl基で置換されたものであり、3位が2,4,6−Trimethylphenyl基で置換されたものが特に好ましい。
Pz2は無置換ピラゾリル基あるいは置換ピラゾリル基を示す。置換ピラゾリル基とし
ては、前記Pz1と同一であってもよく、さらには3位以外の任意の位置に前記置換アリ
ール基の置換基として例示した基が置換されたものであってもよい。
iは1〜3の整数であり、好ましくは2または3である。
本発明においては、一般式(16)で表される遷移金属化合物の中では、[hydrobis(3−mesitylpyrazol−1−yl)(5−mesitylpyrazol−1−yl)]borate zirconium trichloride、[hydrobis(3−mesitylpyrazol−1−yl)(5−mesitylpyrazol−1−yl)]borate titanium(III) dichloride、[hydrobis(3−mesitylpyrazol−1−yl)(5−mesitylpyrazol−1−yl)]borate hafnium trichloride、および[hydrotris(3−mesitylpyrazol−1−yl)]borate zirconium trichlorideが特に好ましく、[hydrotris(3−mesitylpyrazol−1−yl)]borate zirconium trichlorideがとりわけ好ましい。
また、一般式(16)で表される遷移金属化合物は、これらの中性配位子を介して、ダイマー、トリマーあるいはオリゴマー等の複合体を形成していてもよく、またあるいはこれらの中性配位子を介して、例えばμ−オキソ化合物等の架橋構造を形成していてもよい
以下に、一般式(16)で表される遷移金属化合物の具体的構造の例を示す。なお、以下の構造例では、メチル基をMe、エチル基をEt、t−ブチル基をt−Bu、n−ブチ
ル基をn−Bu、トリメチルシリル基をTMS、フェニル基をPh、メシチル基(2,4,6−トリメチルフェニル基)をMsとそれぞれ略記することがある。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
<一般式(17)で表される遷移金属化合物>
Figure 2010126557
一般式(17)において、M6は周期律表の第3族〜第9族から選ばれる遷移金属(3
族にはランタノイドも含まれる)を示し、より好ましくは3〜5族および9族から選ばれる遷移金属原子であり、特に好ましくは4族または5族から選ばれる遷移金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくはスカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、特に好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタルである。
3は1価のアニオン性配位座および中性の配位座からなる2座配位子であり、好まし
くは、1価のアニオン性配位座が、アリーロキシ基、ピロリル基、インドリル基、アミド基、シリルアミド基、スルホンアミド基およびアリールチオ基から選ばれる基のヘテロ原
子であり、中性の配位座が、イミン、ケトン、アルデヒド、アミン、エーテル、ホスフィンおよびスルフィドから選ばれる化合物のヘテロ原子である。より好ましくは、下記一般式(II)〜(XI)で示される2座配位子である。
Figure 2010126557
上記式中、Aは酸素原子、イオウ原子、または置換基Rを有する窒素原子を示し、それ
ぞれのRは互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。より具体的には、Rが水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルミニウム含有基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル(allyl)、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール(aryl)基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。また、上記炭化水素基は、水素原子が他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
これらのうち、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原
子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基等が好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。Rとして示される酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記炭化水素基に含まれていてもよい置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
ホウ素含有基としては、上記炭化水素基に含まれていてもよい置換基として例示したものと同様のもののほか、アルキル基置換ホウ素、アリール基置換ホウ素、ハロゲン化ホウ素、アルキル基置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。アルキル基置換ホウ素としては、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−、(Et)3B、(iPr)3
、(iBu)3B;アリール基置換ホウ素としては、(C652B−、(C653B、
(C653B、(3,5−(CF32633B;ハロゲン化ホウ素としては、BCl2−、BCl3;アルキル基置換ハロゲン化ホウ素としては、(Et)BCl−、(iBu)BCl−、(C652BClなどが挙げられる。このうち三置換のホウ素については
、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
アルミニウム含有基としては、アルキル基置換アルミニウム、アリール基置換アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、アルキル基置換ハロゲン化アルミニウム等の基が挙げられる。アルキル基置換アルミニウムとしては、(Et)2Al−、(iPr)2Al−、(iBu)2Al−、(Et)3Al、(iPr)3Al、(iBu)3Al;アリール基置換アルミニウムとしては、(C652Al−;ハロゲン化アルミニウムとしては、AlC
2−、AlCl3;アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムとしては、(Et)AlCl−、(iBu)AlCl−などが挙げられる。このうち三置換のアルミニウムについては、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。このうち炭化水素置換シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したRの例について、より具体的に説明する。酸素含有基のうち、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが、アリーロキシ基としては、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどが、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシ
ベンゾイル基などが、エステル基としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどが好ましく例示される。
窒素含有基のうち、アミド基としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが、アミノ基としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが、イミド基としては、アセトイミド、ベンズイミドなどが、イミノ基としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが好ましく例示される。
イオウ含有基のうち、アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ等が、アリールチオ基としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオ等が、チオエステル基としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが、スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどが、スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどが好ましく挙げられる。
Rは、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
4はアニオン性または中性の配位座からなる単座配位子、或いはアニオン性および/
または中性の配位座からなる多座配位子であり、L4が1価のアニオン性配位座および中
性の配位座からなる2座配位子であるときには、L3と同様のものが使用できるが、この
時、配位子L3と配位子L4は基本骨格が同一ではない。本発明でいう配位子L3と配位子
4の基本骨格とは、2座配位子を構成する2つの配位座を結ぶ最短の化学結合の構造(
これを主鎖と呼ぶ)であり、また主鎖の任意の1つ以上の結合が環状構造の一部であるときは主鎖とその結合を含む環状構造のことである。従って、一般式(II)で表わされる配位子を例にとると、N=C−C−N−が主鎖であり、ピロール環と主鎖が基本骨格に含まれるが、単にRのいずれか一つ以上が異なる場合は基本骨格が異なるとはいわない。
4の1価のアニオン性配位座としては、アリーロキシ基、ピロリル基、インドリル基
、アミド基、シリルアミド基、スルホンアミド基およびアリールチオ基から選ばれる基のヘテロ原子が好ましい。L4の中性の配位座としては、イミン、ケトン、アルデヒド、ア
ミン、エーテル、ホスフィンおよびスルフィドから選ばれる化合物のヘテロ原子であることが好ましい。また、L3とL4は互いに連結していてもよい。この結合基としては、酸素、イオウ、炭素、窒素、リン、ケイ素、セレン、スズ、ホウ素などの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含む基が挙げられ、具体的には−CH2−O−CH2−、−CH2−S
−CH2−、−CH2−Se−CH2−などのカルコゲン原子含有基;−CH2−NH−CH2−、−CH2−N(CH3)−CH2−、−CH2−PH−CH2−、−CH2−P(CH3)−CH2−などの窒素またはリン原子含有基;−CH2−、−CH2−CH2−、−C(CH32−、−CH2−C(CH32−、−CH2−CH2−CH2−、−CH=CH−などの炭素原子数が1〜20の飽和または不飽和鎖状炭化水素基;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、シクロヘキサンなどの炭素原子数が6〜20の飽和または不飽和環状不飽和炭化水素残基;ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、ピロールなどのヘテロ原子を含む炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基;−SiH2−、−Si(CH32−、−
Si(CH32−Si(CH32−などのケイ素原子含有基、−SnH2−、−Sn(C
32−などのスズ原子含有基;−BH−、−B(CH3)−、−BF−などのホウ素原
子含有基などが挙げられる。これらのうち、飽和または不飽和鎖状炭化水素基、飽和また
は不飽和環状不飽和炭化水素残基が特に好ましい。ただし、L3とL4が互いに連結しているときはL3とL4からなる配位子は非対称である。
X、Y、b、cは、それぞれ前記一般式(1)と同様のものを表す。Xとしては、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基がより好ましい。なお、bが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
以下に、一般式(16)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。上記例示中、Meはメチル基を示し、Mesはメシチル基を示す。本発明では、上記のような化合物において、ジルコニウム金属をチタン、ハフニウムなどのジルコニウム以外の金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。なお、破線は必ずしも結合が存在することを意味しない。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
Figure 2010126557
化合物(B)
本発明では、前記一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)を単独でオレフィン重合触媒として用いてもよいし、
(A)前記(1)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物、及び
(B−2)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも一種の化合物とをオレフィン重合触媒として用いてもよい。
以下、(B−1)および(B−2)の各成分について説明する。
(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で必要に応じて用いられる(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公
知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された前記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
前記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または前記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
また前記ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(18)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2010126557
式中、Rは炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。R’は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
前記一般式(18)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(19)で表されるアルキルボロン酸と
Figure 2010126557
(式中、Rは前記と同じ基を示す。)
有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
前記一般式(19)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
前記のような(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
(B−2)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で必要に応じて用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)(以下、「イオン化イオン性化合物」と呼ぶ場合がある。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などが挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、ルイス酸としては、BR3 (Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
イオン化イオン性化合物としては、例えば下記一般式(20)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010126557
式中、R''+としては、H+ 、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモ
ニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。R'''は、互いに同一でも異なって
いてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
R''+ としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン化イオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテト
ラ(m,m’−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、例えばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン化イオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(21)または(22)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
Figure 2010126557
Figure 2010126557
ボラン化合物として具体的には、例えば、
デカボラン(14);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
カルボラン化合物として具体的には、例えば、
4−カルバノナボラン(14)、1,3−ジカルバノナボラン(13)、6,9−ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン(13)、2,7−ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド−7,
8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(14)、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート(13)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素およびスズから選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、スズモリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、スズタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等との有機塩が使用できるが、この限りではない。
前記のような(B−2)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
上述した遷移金属化合物(A)をオレフィン重合触媒とする場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−1)とを併用すると、オレフィンに対して非常に高い重合活性を示す。
遷移金属化合物(A)と、成分(B)とを併用した場合、遷移金属化合物(A)は、重合系内において下記一般式(1−a)で表される化合物を形成する。
Figure 2010126557
式中、L、M、X、a、bは、それぞれ前記一般式(1)と同様のものを表し、Yはいわゆる弱配位性のアニオンを表す。
前記一般式(1−a)において金属MとYの結合は共有結合していてもよいし、イオン結合していてもよい。
Yの例としては、
Chemical Review誌88巻1405ページ(1988年)、
Chemical Review誌93巻927ページ(1993年)、
WO 98/30612 6ページ
に記載の弱配位性アニオンが挙げられ、具体的には
AlR4 -
(Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、酸素原子、窒素原子、リン原子、水素原子、ハロゲン原子もしくはこれらを含有する置換基、または脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基、または脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、リン原子もしくはハロゲン原子が置換した基、または脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、リン原子もしくはハロゲン原子を有する置換基が置換した基を示す。)
BR4 -
(Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、酸素原子、窒素原子、リン原子、水素原子、ハロゲン原子もしくはこれらを含有する置換基、または脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基、または脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、リン原子もしくはハロゲン原子が置換した基、または脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、リン原子もしくはハロゲン原子を有する置換基が置換した基を示す。)
またはPF6 -、SbF5 -、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート等が挙げられる。
(C)可逆的連鎖移動剤
本発明は、前記の一般式(1)で表される第一の遷移金属化合物(A1)を含む第一のオレフィン重合触媒(PC1)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィン(M1)を重合するステップ(I)、および、前記の一般式(1)で表される第二の遷移金属化合物(A2)を含み、同等の重合条件下で触媒(PC1)によって調製される重合体とは化学的性質又は物理的性質が異なる重合体を調製可能な第二のオレフィン重合触媒(PC2)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1
種のオレフィン(M2)を重合するステップ(II)を含む複数のステップで重合することを特徴としている。
以下に、本発明に用いる可逆的連鎖移動剤(C)について詳細に説明する。
本発明に用いる可逆的連鎖移動剤(C)は、有機亜鉛化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、から選ばれる1種以上の化合物である。以下、有機亜鉛化合物、有機アルミニウム化合物および有機ホウ素化合物について具体的に説明する。
〔有機亜鉛化合物〕
本発明で可逆的連鎖移動剤(C)として用いられる有機亜鉛化合物としては、具体的に下記のような化合物を挙げることができる。
一般式 Ra mZnX2-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロ
ゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<2である。)
で表される有機亜鉛化合物、
前記一般式に属する有機亜鉛化合物としてより具体的には
ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn−プロピル亜鉛、ジn−ブチル亜鉛、ジn−ペンチル亜鉛、ジn−ヘキシル亜鉛、ジn−オクチル亜鉛、ジn−デシル亜鉛などのジn−アルキル亜鉛;ジイソプロピル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジsec−ブチル亜鉛、ジtert−ブチル亜鉛、ジ2−メチルブチル亜鉛、ジ3−メチルブチル亜鉛、ジ2−メチルペンチル亜鉛、ジ3−メチルペンチル亜鉛、ジ4−メチルペンチル亜鉛、ジ2−メチルヘキシル亜鉛、ジ3−メチルヘキシル亜鉛、ジ2−エチルヘキシル亜鉛などのジ分岐鎖アルキル亜鉛;ジシクロヘキシル亜鉛、ジシクロオクチル亜鉛などのジシクロアルキル亜鉛;ジフェニル亜鉛などのジアリール亜鉛;エチル亜鉛ブロミド、n−プロピル亜鉛ブロミド、n−ブチル亜鉛ブロミド、n−ペンチル亜鉛ブロミド、n−ヘキシル亜鉛ブロミド、エチル亜鉛クロリド、n−プロピル亜鉛クロリド、n−ブチル亜鉛クロリド、n−ペンチル亜鉛クロリド、n−ヘキシル亜鉛クロリドなどのn−アルキル亜鉛ハライド;イソプロピル亜鉛ブロミド、イソブチル亜鉛ブロミド、sec−ブチル亜鉛ブロミド、tert−ブチル亜鉛ブロミド、2−メチルブチル亜鉛ブロミド、3−メチルブチル亜鉛ブロミド、2−メチルペンチル亜鉛ブロミド、3−メチルペンチル亜鉛ブロミド、4−メチルペンチル亜鉛ブロミド、2−メチルヘキシル亜鉛ブロミド、3−メチルヘキシル亜鉛ブロミド、2−エチルヘキシル亜鉛ブロミド、イソプロピル亜鉛クロリド、イソブチル亜鉛クロリド、sec−ブチル亜鉛クロリド、tert−ブチル亜鉛クロリド、2−メチルブチル亜鉛クロリド、3−メチルブチル亜鉛クロリド、2−メチルペンチル亜鉛クロリド、3−メチルペンチル亜鉛クロリド、4−メチルペンチル亜鉛クロリド、2−メチルヘキシル亜鉛クロリド、3−メチルヘキシル亜鉛クロリド、2−エチルヘキシル亜鉛クロリドなどの分岐鎖アルキル亜鉛ハライド;フェニル亜鉛ブロミド、メチルフェニル亜鉛ブロミド、エチルフェニル亜鉛ブロミド、ブロモフェニル亜鉛ブロミド、クロロフェニル亜鉛ブロミド、フルオロフェニル亜鉛ブロミド、シアノフェニル亜鉛ブロミド、フェニル亜鉛クロリド、メチルフェニル亜鉛クロリド、エチルフェニル亜鉛クロリド、ブロモフェニル亜鉛クロリド、クロロフェニル亜鉛クロリド、フルオロフェニル亜鉛クロリド、シアノフェニル亜鉛クロリドなどのアリール(aryl)亜鉛ハライドなどが挙げられる。これらの有機亜鉛素化合物の中では、ジエチル亜鉛が好ましい。
〔有機アルミニウム化合物〕
本発明で可逆的連鎖移動剤(C)として用いられる有機アルミニウム化合物として、具体的には下記のような化合物が用いられる。
一般式 Ra mAl(ORbnpq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
前記一般式に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 Ra mAl(ORb3-m
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAlX3-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロ
ゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAlH3-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ま
しくは2≦m<3である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAl(ORbnq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
前記の有機アルミニウム化合物としてより具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ−n−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−sec−ブチルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、トリス(2−メチルブチル)アルミニウム、トリス(3−メチルブチル)アルミニウム、トリス(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリス(3−メチルペンチル)アルミニウム、トリス(4−メチルペンチル)アルミニウム、トリス(2−メチルヘキシル)アルミニウム、トリス(3−メチルヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリス(シクロヘキシル)アルミニウム、トリス(シクロオクチル)アルミニウムなどのトリス(シクロアルキル)アルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;(i−C49xAly(C510z (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるト
リイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;Ra 2.5 Al(ORb0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム; ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどが挙げられる。
また前記の有機アルミニウムに類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が挙げられる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などが挙げられる。これらの有機アルミニウム素化合物の中では、トリエチルアルミニウムが好ましい。
〔有機ホウ素化合物〕
本発明で可逆的連鎖移動剤(C)として用いられる有機ホウ素化合物として、具体的には下記のような化合物が用いられる。
一般式 BRabc
(式中、Ra、RbおよびRcは、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子数が1〜15
、好ましくは1〜10の炭化水素基を示す。Ra、RbおよびRcは、互いに同一でも異な
っていてもよく、互いが結合して環を形成してもよい。またRa、RbおよびRcにおいて
水素原子はハロゲン原子あるいはヘテロ原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ヘテロ原子あるいはケイ素原子を含有する炭素数1〜4の炭化水素基で置換されていてもよい。)で表される有機ホウ素化合物。
一般式 M+-abc
(式中、Ra、RbおよびRcは、前記と同じである。Mはアルカリ金属原子を示す。)
このような有機ホウ素化合物として具体的には、次のような化合物などを例示できる。ボラン;トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリプロピルボラン、トリペンチルボラン、トリヘキシルボラン、トリオクチルボラン、トリデシルボランなどのトリ−n−アルキルボラン;トリイソプロピルボラン、トリイソブチルボラン、トリ−sec−ブチルボラン、トリ−tert−ブチルボラン、トリス(2−メチルブチル)ボラン、トリス(3−メチルブチル)ボラン、トリス(2−メチルペンチル)ボラン、トリス(3−メチルペンチル)ボラン、トリス(4−メチルペンチル)ボラン、トリス(2−メチルヘキシル)ボラン、トリス(3−メチルヘキシル)ボラン、トリス(2−エチルヘキシル)ボランなどのトリ分岐鎖アルキルボラン;トリエチル水素化ホウ素リチウム、トリプロピル水素化ホウ素リチウム、トリブチル水素化ホウ素リチウム、トリエチル水素化ホウ素ナトリウム、トリプロピル水素化ホウ素ナトリウム、トリブチル水素化ホウ素ナトリウム、トリエチル水素化ホウ素カリウム、トリプロピル水素化ホウ素カリウム、トリブチル水素化ホウ素カリウムなどのトリアルキル化されたホウ素とアルキル金属との塩化合物、トリシクロヘキシルボラン、トリシクロオクチルボランなどのトリシクロアルキルボラン;トリフェニルボラン、トリトリルボランなどのトリアリールボラン;ジメチルボランクロリド、ジエチルボランクロリド、ジブチルボランクロリド、ジエチルボラ
ンブロミド、ジイソブチルボランクロリドなどのジアルキルボランハライド;ジフェニルボランクロリド、ジフェニルボランブロミドなどのジアリールボランブロミド;ジシクロヘキシルボランクロリド、ジシクロヘキシルボランブロミドなどのジシクロアルキルボランハライド;メチルボランクロリド、エチルボランジクロリド、ブチルボランジクロリド、エチルボランジブロミド、イソブチルボランジクロリドなどのアルキルボランジハライド;フェニルボランジクロリド、フェニルボランジブロミドなどのフェニルボランジハライド;シクロヘキシルボランジクロリド、シクロヘキシルボランジブロミドなどのシクロアルキルボランジハライド;9−ボランビシクロ[3.3.1]ノナンなどの二環式ホウ素化合物などが挙げられる。
前記具体例において、例えばアンモニアやジメチルアミン、メチルスルフィドなどの、ヘテロ原子を含む化合物と錯体を形成できるホウ素化合物を可逆的連鎖移動剤(C)として用いる場合、錯体化合物を用いることもできる。
また前記具体例において、ボランや9−ボランビシクロ[3.3.1]ノナンなどの二量体を形成することができる有機ホウ素化合物を可逆的連鎖移動剤(C)として用いる場合、二量体を用いることもできる。
有機ホウ素化合物としては、9−ボランビシクロ[3.3.1]ノナンが好ましい。
(D)担体
本発明で用いられるオレフィン重合触媒は、前記遷移金属化合物(A)と、必要に応じて用いる、有機アルミニウムオキシ化合物(B−1)およびイオン化イオン性化合物(B−2)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)(以下「成分(B)」ということがある。)とともに、さらに必要に応じて担体(D)および/または有機化合物成分(E)を含むことができる。
本発明で必要に応じて用いられる(D)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物また
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B2
3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl23を主成分とするも
のが好ましい。
なお、前記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、N
2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差
し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応
じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出
剤によってこれらを微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、Zr
Cl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+ などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重
合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラ
ーとしては、前記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水す
ることにより生成する酸化物などが挙げられる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体が挙げられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
(E)有機化合物成分
本発明において有機化合物成分(E)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、例えばアルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩などが挙げられる。
アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R−OHで表されるものが使用され、ここで、Rは炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。
アルコール類としては、Rがハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α'−位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたもの
が好ましい。
カルボン酸としては、通常、R’−COOHで表されるものが使用される。R’は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
リン化合物としては、P−O−H結合を有する燐酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
スルホン酸塩としては、下記一般式(23)で表されるものが使用される。
Figure 2010126557
式中、Mは周期表第1〜14族の元素である。
R''は水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7である。
次に、触媒の調製方法、重合方法、本発明で製造する重合体、およびその製造方法について、順次詳しく説明する。
オレフィン重合触媒の調製
図1に、本発明で用いられるオレフィン重合触媒の調製工程の一例を示す。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)遷移金属化合物(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)遷移金属化合物(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)遷移金属化合物(A)を担体(D)に担持した触媒成分、成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(B)を担体(D)に担持した触媒成分、遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)遷移金属化合物(A)と成分(B)とを担体(D)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
前記(2)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。なお、触媒調製時に必要に応じて、前記(1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物をアルキル化剤として用いることができる。
成分(B)が担持されている前記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
また、前記の成分(D)に遷移金属化合物(A)が担持された固体触媒成分、成分(D)に遷移金属化合物(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
オレフィンの重合条件
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
前記のようなオレフィン重合触媒を用いて、オレフィンブロック重合体を製造する場合、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ま
しくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
成分(B−1)が用いられる場合は、成分(B−1)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(B−2)が用いられる場合は、成分(B−2)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で
用いられる。
成分(E)が用いられる場合は、成分(B)が成分(B−1)の場合には、モル比〔(E)/(B−1)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B)が成分(B−2)の場合には、モル比〔(E)/(B−2)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
得られるオレフィン系共重合体の分子量は、モノマー/触媒比や重合時間を制御することによって調節することができる。
オレフィンブロック重合体
本発明の方法で製造するオレフィンブロック重合体は、
(a)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られるセグメントと、
(b)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる前記セグメント(a)とは異なるセグメントとを含むオレフィンブロック重合体である。
前記セグメント(a)および(b)は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる1種のオレフィンの重合体であってもよく、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる2種以上のオレフィンのランダム共重合体であってもよい。
セグメントが2種以上のオレフィンから得られる共重合体である場合には、ブロックセグメントの中でオレフィン組成が一定の比率である共重合体およびオレフィン組成が連続的に変化していく、いわゆるテーパードポリマー(傾斜共重合体)が含まれる。
セグメント(a)とセグメント(b)とは、化学的性質又は物理的性質が異なっている。
炭素原子数が2〜20のオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの炭素原子数3〜20の環状オレフィン;また、炭素原子数2〜20のオレフィンとして、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエンなども挙げられる。ジエンまたはポリエンとしては、炭素原子数4〜30、好ましくは4〜20であり二個以上の二重結合を有する環状または鎖状の化合物が挙げられる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;
7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどが挙げられる。
さらにオレフィンとして、芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いること
ができる。
なお、オレフィンブロック重合体は、前記セグメント(a)およびセグメント(b)に加えてさらに、セグメント(c)を単数または複数有していてもよい。この場合該ブロック重合体は、(a)−(b)−(c)nの形態をとる。ここで、nは1以上、好ましくは1ないし3の整数であり、隣り合うセグメント同士は、それぞれ異なるセグメントである。
セグメント(c)は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる1種のオレフィンの重合体であってもよく、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる2種以上のオレフィンのランダム共重合体であってもよい。
前記セグメント(a)、(b)および(c)としては、以下のようなセグメントが好ましい。
ポリエチレン、HDPE、LLDPE(この場合、HDPEとはコモノマー成分として炭素数3〜8のオレフィン、好ましくはプロピレン、1−ブテンまたは1−ヘキセンを0.01〜3mol%未満含有するエチレン系共重合体、LLDPEとは前記コモノマー成分を3〜10mol%未満含有するエチレン系共重合体をさす)、ポリプロピレン、ポリブテン及び1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの単独重合体、またはエチレンとプロピレンの共重合体または炭素数4〜20のオレフィン化合物との共重合体、具体的にはエチレンと1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどとの共重合体;エチレンとブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等のジエン化合物、スチレンなどの芳香族ビニル化合物との共重合体;エチレンとテトラシクロドデセン、ノルボルネン、メチルノルボルネンなどの環状オレフィン化合物との共重合体などが好ましく挙げられる(コモノマーが炭素数3〜8のオレフィン化合物の場合には含有量10mol%以上、それ以外の場合には0.01mol%以上である)。またプロピレンと前述の炭素数4〜20のオレフィン化合物との共重合体も好ましく挙げられる。これらの場合、用いるコモノマーは一種でも二種以上でも良い。
これらのなかでは、ポリエチレン、HDPE、LLDPE、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体が好ましく、HDPE、LLDPE、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体などからなるセミブロックが挙げられる。
この場合、少なくとも一種のエチレンから得られるセグメントを含有し、その数平均分子量は500以上、好ましくは500〜10,000,000の範囲にあることがより好ましい。
本発明の方法で製造されるオレフィンブロック重合体は、主鎖および/または側鎖に少なくとも一つ以上の極性基を含有する重合体であってもよい。この場合、用いられる極性基含有モノマーは一種でも二種以上でもよい。
この場合、本発明に用いられる極性基含有モノマーとしては、炭素、水素以外の原子を有する、アニオン重合、カチオン重合、ラジカル重合、開環重合可能なモノマーが挙げられ、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸;ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などの環状オレフィンカルボン酸およびその無水物;さらにこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩な
どの金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジル類;フッ化ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルなどのハロゲン化オレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和シアノ化合物;アクリルアミド、メタクリロアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの不飽和アミド類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンなどの不飽和ケトン類;カプロラクトン、カプロラクタムなどの環状エステル、環状アミド類;テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、クマロン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどの環状エーテル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの不飽和エーテル類;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジンなどのビニル基含有ヘテロ環化合物などを挙げることができる。
以下、本発明の製造方法において、オレフィン重合触媒(PC1、PC2)および可逆的連鎖移動剤(C)を用いてオレフィンブロック重合体を製造する具体的方法について詳述する。
オレフィン重合の具体的方法
本発明に係るオレフィンブロック重合体の製造方法は、
(I)第一のオレフィン重合触媒(PC1)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下にオレフィン(M1)を重合するステップ、および、
(II)同等の重合条件下で触媒(PC1)によって調製される重合体とは化学的性質又は物理的性質が異なる重合体を調製可能な第二のオレフィン重合触媒(PC2)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下にオレフィン(M2)を重合するステップ、を含む複数のステップで重合することを特徴としている。
[ステップ(I)]
ステップ(I)では、第一のオレフィン重合触媒(PC1)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下にオレフィン(M1)を重合する。
第一のオレフィン重合触媒(PC1)は、前記の一般式(1)で表される第一の遷移金属化合物(A1)を含み、必要に応じて前記成分(B)、担体(D)、有機化合物成分(E)を含む。第一の遷移金属化合物(A1)としては、具体的には前記一般式(2)〜(17)で表される遷移金属化合物の中から、1種以上を選択して用いる。これらのうち、前記一般式(2)および(3)からなる群から選ばれる1種以上の遷移金属化合物を用いることが好ましい。第一の遷移金属化合物(A1)、成分(B)、担体(D)、有機化合物成分(E)の使用量や混合・調製方法は、前記した通りである。
可逆的連鎖移動剤(C)は、前記した有機亜鉛化合物、有機アルミニウム化合物、および有機ホウ素化合物の中から、1種または2種以上を選択して用いる。これらのうち、有機アルミニウム化合物または有機亜鉛化合物が好ましく、トリエチルアルミニウムまたはジエチル亜鉛であることがより好ましい。
このとき、可逆的連鎖移動剤(C)は、第一のオレフィン重合触媒(PC1)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔C/M〕が、通常1〜10000、好ましくは1〜1000となるような量で用いられる。
本発明にて用いる可逆的連鎖移動剤(C)は、反応操作における任意の時点で系に添加することができるが、重合開始前すなわち、第一のオレフィン重合触媒(PC1)よりも先に重合反応器内に添加することが好ましい。可逆的連鎖異動剤(C)の添加方法としては、例えば攪拌下に該可逆的連鎖移動剤を特定の方法で系に添加する方法が好ましい。この場合、該可逆的連鎖移動剤を直接添加してもよいし、例えばn−ヘキサンなどの有機溶媒に溶解した溶液を添加してもよい。また、必要に応じ任意の回数に分割して添加してもよい。
ステップ(I)で重合するオレフィン(M1)は、前記のオレフィンブロック重合体の項で説明した炭素原子数が2〜20のオレフィンから、1種以上を選択して用いる。用いるオレフィンの種類や、2種以上用いる場合の量比については特に制限は無いが、オレフィン(M1)と後述するステップ(II)で用いるオレフィン(M2)のうちのどちらかまたは両方のオレフィンの少なくとも一部に、エチレンを用いることも好ましい態様の一つである。
ステップ(I)におけるオレフィンの重合反応温度は、通常−40〜+200℃、好ましくは0〜+150℃の範囲である。また、反応圧力は、通常常圧〜100kg/cm2
、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下である。また、反応時間は、通常5分〜4
8時間、好ましくは5分〜12時間の範囲である。
[ステップ(II)]
ステップ(II)では、第二のオレフィン重合触媒(PC2)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下にオレフィン(M2)を重合する。
第二のオレフィン重合触媒(PC2)は、前記の一般式(1)で表される第二の遷移金属化合物(A2)を含み、必要に応じて前記成分(B)、担体(D)、有機化合物成分(E)を含む。第二の遷移金属化合物(A2)としては、具体的には前記一般式(2)〜(17)で表される遷移金属化合物の中から、1種以上を選択して用いる。これらのうち、前記一般式(2)および(3)からなる群から選ばれる1種以上の遷移金属化合物を用いることが好ましい。第二の遷移金属化合物(A2)、成分(B)、担体(D)、有機化合物成分(E)の使用量や混合・調製方法は、前記した通りである。
ここで、本発明の方法においては、第二のオレフィン重合触媒(PC2)は、前記ステップ(I)における重合条件と同等の条件の下に、第一のオレフィン重合触媒(PC1)によって調製される重合体と化学的性質又は物理的性質が異なる重合体を調製可能となるように、第二のオレフィン重合触媒(PC2)を選択することを特徴としている。従って、前記の第一のオレフィン重合触媒(PC1)および可逆的連鎖移動剤(C)存在下において生長する重合体と、第二のオレフィン重合触媒(PC2)および可逆的連鎖移動剤(C)存在下に生長する重合体は、化学的性質又は物理的性質が異なる。
第一のオレフィン重合触媒(PC1)と第二のオレフィン重合触媒(PC2)が異なる重合体を調製可能となるように選択する具体的方法としては、(イ)それぞれに含まれる遷移金属化合物(A1およびA2)を異なる種類のものとする方法、(ロ)成分(B)、担体(D)、成分(E)の種類および/または量を変化させる方法、および(ハ)これらを組み合わせた方法、などが挙げられ、調製しようとするオレフィンブロック重合体の所望の化学的性質又は物理的性質に応じて適宜選択することができる。これらのうち、化学
的性質又は物理的性質の変化を付けやすい点で、前記(イ)の方法が好ましく用いられる。
可逆的連鎖移動剤(C)の種類、使用量および添加方法は、前記ステップ(I)に準じて行うことができる。また、ステップ(I)に引き続いてステップ(II)を実施する場合(後述する方法(i)の場合)には、ステップ(II)で可逆的連鎖移動剤(C)を追加しなくとも良い。
ステップ(II)で重合するオレフィン(M2)は、ステップ(I)で重合するオレフィン(M1)と同様に選択され、用いるオレフィンの種類や、2種以上用いる場合の量比については特に制限は無い。オレフィン(M1)とオレフィン(M2)は種類または組成が同じであってもよいし、異なっていてもよく、またオレフィン(M1)とオレフィン(M2)のうちのどちらかまたは両方のオレフィンの少なくとも一部に、エチレンを用いることも好ましい態様の一つである。
ステップ(II)におけるオレフィンの重合反応温度は、通常−40〜+200℃、好ましくは0〜+150℃の範囲である。また、反応圧力は、通常常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下である。また、反応時間は、通常5分〜48時間、好ましくは5分〜12時間の範囲である。ステップ(II)における重合温度、重合圧力および重合時間は、前記ステップ(I)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明のオレフィンブロック重合体の製造方法では、セグメントの数や分子量をより精密に制御するため、ステップ(II)を開始する時点で、ステップ(I)で用いた第一のオレフィン重合触媒(PC1)が実質的に失活していることが望ましい。ただし、目的とするオレフィンブロック重合体の性質に影響が無い範囲で、オレフィン重合触媒(PC1)の重合活性が多少残存していても構わない。ステップ(II)を開始する時点での、ステップ(I)で用いた第一のオレフィン重合触媒(PC1)の残存活性は、使用する触媒の種類や重合条件にもよるが、好ましくは初期活性に対して5%以下、より好ましくは初期活性に対して3%以下である。触媒の残存活性は、例えば、モノマーの吸収速度から求められる単位時間あたりの重合速度を、重合開始時点と一定時間経過後とで比較することで確認することができる。
本発明に係るオレフィンブロック重合体の製造方法においては、
(i)前記ステップ(I)を実施した後、続けて第二のオレフィン重合触媒(PC2)を添加してもよいし、
(ii)前記ステップ(I)を実施した後に、第一のオレフィン重合触媒(PC1)の活性を低下させる手段を含むステップ(X)を実施し、その後前記ステップ(II)を実施してもよい。
前記方法(i)においては、ステップ(I)の重合条件によっては、ステップ(I)の終了後にも第一のオレフィン重合触媒(PC1)の触媒活性が十分残存している場合があり、ステップ(II)で進行する重合反応は、可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に2種の重合触媒(PC1、PC2)が同時に重合する反応となるため、多数のセグメントを有する重合体が得られる。したがって本発明に係るオレフィンの重合方法においては、前記(ii)の方法が好んで採用される。
しかし、前記ステップ(I)の重合条件において、第一のオレフィン重合触媒(PC1)の活性が経時的に大きく低下する場合は、ステップ(I)を実施後に特段の操作を行わず、第一のオレフィン重合触媒の重合活性が十分に低下した後に第二のオレフィン重合触
媒(PC2)を添加することで、ステップ(II)を開始させてもよい。
[ステップ(X)]
ステップ(X)を実施する場合における、第一のオレフィン重合触媒(PC1)の活性を低下させる手段は、加熱処理であってもよいし、ある特定の物質を添加する処理であってもよいが、選択的に第一のオレフィン触媒の活性を低下させる手段としては加熱処理が好ましい。
本発明における前記の加熱処理は、ステップ(I)の反応温度よりも10℃以上高い温度、好ましくは20℃以上高い温度、より好ましくは30℃以上高い温度で実施する。また、反応圧力は、通常常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下である。また、反応時間は、通常5分〜48時間、好ましくは5分〜12時間の範囲である。
[重合の停止および重合体の取出し]
前記ステップ(II)が進行した後に重合反応を停止することで、オレフィンブロック重合体が得られる。
重合反応を停止する方法としては、第二のオレフィン重合触媒の活性を低下させる特定の物質を添加する方法でもよいし、加熱処理であってもよいが、前者の方法が好んで採用される。
第二のオレフィン重合触媒(PC2)の活性を低下させる前記の物質としては、少量の一級アルコールが望ましい。
得られた重合体の解析
ステップ(I)により得られた重合体(重合体1)とステップ(II)実施後に得られる重合体(重合体2)の化学的あるいは物理的性質を比較することにより、重合体2がブロック重合体であることを証明することができる。
重合体2が、各々のオレフィン重合触媒(PC1およびPC2)により調製されたセグメントを含むブロック重合体であるとき、重合体2は次に挙げられる特徴を同時に有する。
(ア)重合体1に比べて重合体2の収量が多いこと、
(イ)分子量分布が狭いまま重合体1に比べて重合体2の分子量が増加していること、
(ウ)重合体2が、ステップ(I)の重合条件下において第一のオレフィン重合触媒(PC1)が調製するセグメント、あるいは、ステップ(II)において第二のオレフィン重合触媒PC2)が調製するセグメントに特徴的な化学的あるいは物理的性質を有すること、
(エ)重合体2が重合体1のセグメント単体を含まないこと。
前記(ア)〜(エ)を証明する手段については、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法、DSC(示差熱分析)法、TREF(昇温溶離分別)法などが挙げられるが、この限りではない。
以上の方法により、可逆連鎖移動重合の高い生産性を維持したままで、セグメントの数や分子量がより精密に制御されたオレフィンブロック重合体を製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例および比較例においてオレフィン重合触媒として用いた、下記式(24)で示されるジルコニウム化合物(以下、「触媒A1」とする)は、国際公開特許2005/090427号公報記載の方法により合成した。
Figure 2010126557
本実施例および比較例においてオレフィン重合触媒として用いた、下記(25)で示されるハフニウム化合物(以下、触媒A2とする)は、米国特許出願公開第2004/0220050号明細書に記載の方法により合成した。
Figure 2010126557
本実施例および比較例においては、共触媒(B)としては、下記(26)で示されるホウ素化合物を用いた。
Figure 2010126557
なお、重合系内の水分など重合阻害物質の影響を無くす目的で、東ソーファインケム社製MMAO−3Aヘプタン溶液を所定の濃度に調製し、修飾メチルアルミノキサン溶液として用いた。
なお重量平均分子量、数平均分子量およびMw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定した。また、得られた共重合体の融点は示差熱分析装置(DSC)を用いて窒素気流下、10℃/minの昇温条件で測定した。
TREF(昇温溶離分別法)は、オルトジクロロベンゼン溶媒で、0℃から140℃の範囲で測定した。
[実施例1]
充分に窒素置換した内容積15mlのSUS製オートクレーブに、1−オクテン 1m
lおよびn−ヘプタン2.6mlを入れ、600回転/分にて攪拌した。溶液を120℃に昇温し、次いでエチレンで全圧が7barになるまで加圧した。修飾メチルアルミノキサン溶液を0.25ml(n−ヘキサン溶液、アルミニウム原子換算で0.079M、2
0μmol)、ジエチル亜鉛溶液 0.20ml(n−ヘキサン溶液、0.05M、10
μmol)、共触媒溶液 0.40ml(トルエン溶液、0.002M、0.8μmol
)、引き続き、触媒A1溶液 0.30ml(トルエン溶液、0.00033M、0.1
0μmol)を加え重合を開始した。重合開始時の重合速度をエチレンの吸収速度として求めたところ、0.92mmol/minであった(オートクレーブの圧力変化から換算した、重合開始0秒〜30秒の平均値)。そのまま120℃で10分間反応させたところ、10分後の重合速度は0.13mmol/minであった(同上、重合開始9分30秒〜10分の平均値)。その後、触媒A2懸濁液 0.20ml(n−ヘキサン懸濁液、0
.00050M、0.10μmol)を添加し、さらに10分間重合を行った。少量のイソブチルアルコールを加えて反応を停止した。溶液を濃縮乾固し、減圧乾燥してエチレン−オクテン共重合体0.562gを得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は5.31×104、分子量分布(Mw/
Mn)は1.87であった。IRを用いて測定したオクテン含量は17.8mol%であった。DSCによる融点(Tm)は117℃であった。昇温溶離分別(TREF)曲線は図2に示した通りであり、溶出温度のピークは69℃であった。オルトジクロロベンゼンに0℃で溶解した共重合体は全体の14wt%であった。
[比較例1]
実施例1と同様の方法で触媒A1の添加により重合を開始し、120℃で20分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを加えて反応を停止した。溶液を濃縮乾固し、減圧乾燥してエチレン−オクテン共重合体0.291gを得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は2.91×104、分子量分布(Mw/
Mn)は1.62であった。IRを用いて測定したオクテン含量は1.3mol%であった。DSCによる融点(Tm)は117℃であった。昇温溶離分別(TREF)曲線は図3に示した通りであり、溶出温度のピークは86℃であった。オルトジクロロベンゼンに0℃で溶解した共重合体は0wt%であった。
[比較例2]
ジエチル亜鉛を添加しないことを除いては実施例1と同様の条件で重合を行った。溶液を濃縮乾固し、減圧乾燥してエチレン−オクテン共重合体0.304gを得た。
得られた共重合体の分子量分布は二峰性を示し、重量平均分子量(Mw)は258×104および14.3×104、分子量分布(Mw/Mn)は2.43および1.84であった。IRを用いて測定したオクテン含量は12.1mol%であった。昇温溶離分別(TREF)曲線は図4に示した通りであり、溶出温度のピークは78℃および85℃であった。オルトジクロロベンゼンに0℃で溶解した共重合体は全体の21wt%であった。
実施例1で得られた共重合体は、比較例1で得られた共重合体に対して、分子量(Mw)およびオクテン含量が増加していることから、触媒A2の添加後、該触媒によって重合が進行していることが明らかである。さらに、融点を117℃にもつことから、触媒A1により重合したセグメントを有することがわかる。さらに、昇温溶離分別曲線におけるピーク温度は、比較例1における86℃から実施例1では69℃に低下しており、溶出温度の低下を示している。さらに、系内にジエチル亜鉛が存在しない比較例2において分子量分布は二峰性であったのに対し、ジエチル亜鉛が存在する実施例1において分子量分布は単峰性を示した。以上の事実から、実施例1において、触媒A2の添加によるさらなる重合反応で生長したセグメントは、最初に触媒Aによる重合反応で生長したセグメントと直接化学結合していること、すなわち実施例1においてジブロック共重合体が得られたことが明らかである。
[実施例2]
充分に窒素置換した内容積15mlのSUS製オートクレーブに、1−オクテン 1m
lおよびn−ヘプタン 2.6mlを入れ、600回転/分にて攪拌した。溶液を120
℃に昇温し、次いでエチレンで全圧が7barになるまで加圧した。修飾メチルアルミノキサン溶液を0.25ml(n−ヘキサン溶液、アルミニウム原子換算で0.079M、20μmol)、ジエチル亜鉛溶液 0.20ml(n−ヘキサン溶液、0.05M、1
0μmol)、共触媒溶液 0.40ml(n−ヘキサン溶液、0.002M、0.8μ
mol)、引き続き、触媒A2懸濁液 0.26ml(n−ヘキサン懸濁液、0.000
39M、0.10μmol)を加え重合を開始した。重合開始時の重合速度をエチレンの吸収速度として求めたところ、0.93mmol/minであった(オートクレーブの圧力変化から換算した、重合開始0秒〜30秒の平均値)。そのまま120℃で10分間反応させたところ、10分後の重合速度は0.02mmol/minであった(同上、重合開始9分30秒〜10分の平均値)。その後、触媒A1溶液 0.26ml(n−ヘキサ
ン溶液、0.00039M、0.10μmol)を加え、さらに10分間重合を行った。少量のイソブチルアルコールを加えて反応を停止した。溶液を濃縮乾固し、減圧乾燥してエチレン−オクテン共重合体0.570gを得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は16.1×104、分子量分布(Mw/
Mn)は2.11であった。IRを用いて測定したオクテン含量は18.6mol%であった。DSCによる融点(Tm)は118℃であった。昇温溶離分別(TREF)曲線は図5に示した通りであり、溶出温度のピークは85℃であった。オルトジクロロベンゼンに0℃で溶解した共重合体は全体の44wt%であった。
[比較例3]
実施例2と同様の方法で触媒A2の添加により重合を開始し、120℃で20分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを加えて反応を停止した。溶液を濃縮乾固し、減圧乾燥してエチレン−オクテン共重合体0.291gを得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は11.1×104、分子量分布(Mw/
Mn)は2.46であった。IRを用いて測定したオクテン含量は30.2mol%であった。DSCによる融点(Tm)ピークは観測されなかった。得られた共重合体は、オルトジクロロベンゼンに0℃で全て溶解した。
[比較例4]
ジエチル亜鉛を添加しないことを除いては実施例2と同様の条件で重合を行った。溶液を濃縮乾固し、減圧乾燥してエチレン−オクテン共重合体0.731gを得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は51.4×104、分子量分布(Mw/
Mn)は5.14であった。であった。IRを用いて測定したオクテン含量は18.8mol%であった。昇温溶離分別(TREF)曲線は図6に示した通りであり、溶出温度のピークは90℃であった。オルトジクロロベンゼンに0℃で溶解した共重合体は、全体の56wt%であった。
実施例2で得られた共重合体は、比較例3で得られた共重合体に対して、分子量(Mw)は増加し、一方オクテン含量は増加していることから、触媒A1の添加後、該触媒によって重合が進行していることが明らかである。さらに、融点を118℃にもつことから、触媒A1の存在下により生長した、結晶性のセグメントを有することがわかる。さらに、比較例3により得られた共重合体は0℃にてすべてが溶媒に溶解したのに対し、実施例2により得られた共重合体においては0℃で溶解した共重合体は全体の44wt%にとどま
り、さらに、系内にジエチル亜鉛が存在しない比較例4においては、昇温溶離分別法によるピーク温度は90℃であるのに対して、ジエチル亜鉛が存在する実施例2においては85℃であり、ピーク温度の低下が認められた。以上の事実から、実施例1において、触媒A1の添加によるさらなる重合反応で生長したセグメントは、最初に触媒A2存在下に重合反応にて生長したセグメントと直接化学結合していること、すなわち実施例2においてジブロック共重合体が得られたことが明らかである。
本発明に係るオレフィンブロック重合体の製造方法によれば、高い生産性で精密に構造制御された各種のオレフィンブロック重合体を製造することができ、工業的に極めて価値がある。
本発明で用いられるオレフィン重合触媒の調製工程を示す説明図である。 実施例1により得られた共重合体の昇温溶離分別曲線である。 比較例1により得られた共重合体の昇温溶離分別曲線である。 比較例2により得られた共重合体の昇温溶離分別曲線である。 実施例2により得られた共重合体の昇温溶離分別曲線である。 比較例4により得られた共重合体の昇温溶離分別曲線である。

Claims (12)

  1. 炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを、少なくとも下記(I)および(II)を含む複数のステップで重合することを特徴とするオレフィンブロック重合体の製造方法;
    (I)第一のオレフィン重合触媒(PC1)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に前記オレフィン(M1)を重合するステップ、
    (II)同等の重合条件下で触媒(PC1)によって調製される重合体とは化学的性質又は物理的性質が異なる重合体を調製可能な第二のオレフィン重合触媒(PC2)および可逆的連鎖移動剤(C)の存在下に前記オレフィン(M2)を重合するステップ。
  2. 前記第一のオレフィン重合触媒(PC1)および第二のオレフィン重合触媒(PC2)が、それぞれ独立に、元素周期律表第3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属化合物(A)を含むことを特徴とする請求項1に記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
  3. 前記遷移金属化合物(A)が、下記一般式(1)から選ばれる遷移金属化合物であることを特徴とする請求項2に記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
    Figure 2010126557
    (式(1)中、Mは元素周期律表3〜11族(3族にはランタノイドおよびアクチノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子を表し、Lは窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基、セレン含有基およびシクロペンタジエニル環構造を有する基からなる群から選ばれる結合基を1つ以上含有し、該結合基を介して遷移金属原子Mと共有結合、イオン結合または配位結合で結合する単座または多座配位子を表し、aは配位子Lの数を表す1〜3の整数であり、aが2または3のときはそれぞれのLは同一でも異なっていても良く、また複数のLが炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基および窒素含有基からなる群から選ばれる1つ以上の架橋基を介して相互に結合していても良く、Xは水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン含有基およびヘテロ環式化合物残基からなる群から選ばれる原子または基を表し、bはXの数を表す0〜3の整数であり、bが2または3のときはそれぞれのXは同一でも異なっていても良く、また複数のXが互いに結合して環を形成していても良く、Yは電子供与性基を有する中性配位子を表し、cはYの数を表す0〜3の整数であり、cが2または3のときはそれぞれのYは同一でも異なっていても良く、また複数のYが互いに結合して環を形成していても良い。)
  4. 前記第一のオレフィン重合触媒(PC1)および第二のオレフィン重合触媒(PC2)が、それぞれ独立に、下記一般式(2)および(3)からなる群から選ばれる1つ以上の遷移金属化合物(A)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
    Figure 2010126557
    (式(2)中、M、X、a、bはそれぞれ請求項3に記載の式(1)と同様のものを表し、Qは窒素原子または置換基R2を有する炭素原子を表し、Gは酸素原子、イオウ原子、
    セレン原子または置換基R5を有する窒素原子を表し、R1は1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有する炭化水素基を表し、R2〜R5は互いに同一でも異なっていても良く、炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基からなる群から選ばれる原子または基を表し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していても良く、aが2または3のときはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士は互いに同一でも異なっていても良く、いずれか1つの配
    位子に含まれるR2〜R5のうちの1個の基と、他の配位子に含まれるR2〜R5のうちの1個の基とが連結されていても良い。)
    Figure 2010126557
    (式(3)中、M、X、bはそれぞれ請求項3に記載の式(1)と同様のものを表し、R6は水素以外に1〜30個の原子を含有する炭化水素基を表し、Tは水素以外に1〜40
    個の原子を含有する二価の架橋基を表し、Zはルイス塩基官能性を有する炭素原子数5〜40のヘテロアリール基、またはその二価の誘導体を表す。)
  5. 前記ステップ(I)を実施した後、重合系に第二のオレフィン重合触媒(PC2)を添加することにより前記ステップ(II)を実施することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
  6. 前記ステップ(I)を実施した後、第一のオレフィン重合触媒(PC1)の活性を低下させる手段を含むステップ(X)を実施し、その後前記ステップ(II)を実施することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
  7. 前記ステップ(X)における活性を低下させる手段が、加熱処理であることを特徴とする請求項6に記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
  8. オレフィンの1種として少なくともエチレンを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
  9. 前記ステップ(I)におけるオレフィン(M1)と前記ステップ(II)におけるオレフィン(M2)とが、異なる種類のオレフィンまたは異なる組成の2種以上のオレフィンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のオレフィンブロック重合体の製造
    方法。
  10. 前記可逆的連鎖移動剤(C)が、有機アルミニウム化合物または有機亜鉛化合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
  11. 前記可逆的連鎖移動剤(C)が、トリエチルアルミニウムまたはジエチル亜鉛であることを特徴とする請求項10に記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
  12. 前記オレフィン重合触媒(PC1)および/または(PC2)が、遷移金属化合物(A)と共に、
    (B−1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B−2)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
    から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を含むことを特徴とする請求項1〜11に記載のオレフィンブロック重合体の製造方法。
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