JP2010126399A - リチウム鉄含有複合酸化物およびその製造方法 - Google Patents

リチウム鉄含有複合酸化物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価であり、かつ高容量で優れたサイクル特性が得られる非水電解質二次電池を実現可能な、リチウム鉄含有複合酸化物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式:LixFe6-y-zMeyz16(元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、11<x<17、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5である)で表され、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する、リチウム鉄含有複合酸化物。
【選択図】なし

Description

本発明は、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するリチウム鉄含有複合酸化物およびその製造方法に関し、さらに、リチウム鉄含有複合酸化物の原料であるナトリウム鉄含有複合酸化物およびその製造方法に関する。
携帯用機器の電源として、小型、軽量であり、かつ高エネルギー密度を有する、非水電解質二次電池が広く用いられている。近年、携帯用機器の急速なポータブル化、コードレス化に伴い、電源である非水電解質二次電池の更なる高容量化が望まれている。
非水電解質二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、正極と負極との間に介在するセパレータと、非水電解質とを具備する。
正極活物質としては、例えば、リチウムと遷移金属とを含む複合酸化物等が知られており、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、Li4Ti512等が挙げられる。
また、リチウムと鉄とを含む複合酸化物(以下、リチウム鉄含有複合酸化物ともいう)を活物質として用いる検討も積極的に行なわれている。リチウム鉄含有複合酸化物は、上記の複合酸化物に比べて安価である。リチウム鉄含有複合酸化物としては、例えば正方晶系のLiFeO2(特許文献1参照)、斜方晶系のLiFeO2(特許文献2参照)、三方晶系のLiFeO2(非特許文献1参照)、正方晶系のLiFe58およびLi3Fe58(いずれも非特許文献2参照)、正方晶系のLi5FeO4(非特許文献3参照)等が知られている。
特開平10−120421号公報 特開平8−295518号公報 J.Electrochem.Soc.,144,L177(1997) Materials Research Bulletin21(1986)583 Solid State Ionics 122(1999)59
しかし、特許文献1〜2および非特許文献1〜3に記載されているリチウム鉄含有複合酸化物を活物質として用いた非水電解質二次電池は、特に充電の際に結晶構造が崩壊しやすい。よって、いずれも容量特性もしくはサイクル特性が不十分である。
リチウム鉄含有複合酸化物には、種々の結晶相が有り、例えば、α−LiFeO2(空間群Fm3m)、β−LiFeO2(空間群C2/c)、γ−LiFeO2(空間群I41/amd)、層状のLiFeO2(空間群R3m)、ジグザグ層状のLiFeO2(空間群Pm2m)、Li5FeO4(空間群PBCA)、LiFe58、Li3Fe58(空間群P4332)等の結晶相が知られている。しかし、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するリチウム鉄含有複合酸化物は、これまでに報告例がない。
本発明は、安価であり、かつ新規な結晶構造を有するリチウム鉄含有複合酸化物、ならびにこれを用いた高容量で優れたサイクル特性が得られる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明のリチウム鉄含有複合酸化物は、これまで報告例がない結晶構造を有する新規物質である。具体的には、本発明は、一般式(1):LixFe6-y-zMeyz16(元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、11<x<17、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5である)で表され、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する、リチウム鉄含有複合酸化物を提供する。
本発明のリチウム鉄含有複合酸化物は、Fe6-y-zMeyz16の四面体鎖からなる結晶骨格で形成されたトンネルを有し、リチウムイオンはトンネル内に収容されている。このトンネルがイオン拡散が可能な空間となるため、リチウムイオンの挿入、脱離を繰り返し行うことができる。このリチウム鉄含有複合酸化物を正極活物質とすることで、安価であり、かつ高容量でサイクル特性に優れた非水電解質二次電池が得られる。
また、本発明は、一般式(2):NaxFe6-y-zMeyz16(元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、11<x<17、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5である)で表され、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するナトリウム鉄含有複合酸化物に含まれるNaイオンを、イオン交換により、Liイオンに置換する工程を含む、リチウム鉄含有複合酸化物の製造方法を提供する。
本発明は、一般式(2):NaxFe6-y-zMeyz16で表され、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するナトリウム鉄含有複合酸化物に含まれるNaイオンを、Liイオンに置換することで、新規なリチウム鉄含有複合酸化物が得られるという知見に基づいて成されたものである。
また、本発明は、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータおよび非水電解質を具備し、正極活物質が、上記のリチウム鉄含有複合酸化物を含む、非水電解質二次電池を提供する。
さらに、本発明は、一般式:NaxFe6-y-zMeyz16(元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、11<x<17、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5である)で表され、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する、ナトリウム鉄含有複合酸化物を提供する。
本発明のリチウム鉄含有複合酸化物を用いることにより、安価であり、かつ高容量でサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明は、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するリチウム鉄含有複合酸化物を提供するものである。このリチウム鉄含有複合酸化物は、安価であり、高容量な非水電解質二次電池の正極活物質として用いることができる。
本発明のリチウム鉄含有複合酸化物は、一般式:LixFe6-y-zMeyz16(元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、11<x<17、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5である)で表される。MeおよびLは、酸素の四面体の中心に存在する。
空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するリチウム鉄含有複合酸化物において、Fe6-y-zMeyz16の四面体鎖からなる結晶骨格は、トンネル構造を有する。リチウムイオンはトンネル内に収容されており、このトンネル内が、リチウムイオンの拡散が可能な空間となる。よって、リチウムイオンの挿入、脱離を繰り返し行うことができる。
リチウム鉄含有複合酸化物が空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有することは、X線回折により確認することができる。
上記式において、x値は、11<x<17を満たす必要があり、13.5≦x≦14.5を満たすことが好ましい。xが11未満であると、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造が得られない。
xが17を超える場合にも、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造の相が得られない。なかでも、最も安定であり、合成が容易である観点から、xが14であることが特に好ましい。
元素Meは任意成分である。元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。この場合、Meの多電子反応が期待できるため、電池の容量が更に大きくなる。ただし、Me量を示すy値が5を超えると、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造が得られない場合がある。y値は0.2≦y≦5を満たすことがより好ましい。
元素Lも任意成分である。元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。なかでも、熱安定性や電池のサイクル特性をさらに向上させる観点から、元素Lは、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウムおよび亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。ただし、L量を示すz値が3を超えると、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造が得られない場合がある。z値は、0.2≦z≦2を満たすことがより好ましい。
y+z値は、0≦y+z≦5を満たす。y+zが5を超えると、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造が得られない場合がある。y+z値は、0.2≦y+z≦4を満たすことがより好ましい。
リチウム鉄含有複合酸化物は、粒子状であることが好ましく、その平均粒径は、0.01〜20μmであることが好ましい。ここで、平均粒径は、体積基準のメディアン径D50である。平均粒径が0.01μmより小さいか、20μmを超えると、電極の作製が困難となる場合がある。
リチウム鉄含有複合酸化物粒子のBET比表面積は、0.3〜40m2/gであることが好ましい。BET比表面積が0.3m2/gより小さいか、40m2/gを超えると、電極の作製が困難となる場合がある。
上記のような空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するリチウム鉄含有複合酸化物は、特定のナトリウム鉄含有複合酸化物に含まれるNaイオンを、Liイオンと交換することにより、得ることができる。
具体的には、本発明のリチウム鉄含有複合酸化物は、例えば以下の方法で得られる。
(1)ナトリウム鉄含有複合酸化物の調製
まず、一般式:NaxFe6-y-zMeyz16で表されるナトリウム鉄含有複合酸化物を調製する。このナトリウム鉄含有複合酸化物は、リチウム鉄含有複合酸化物の原料であり、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する。
原料であるナトリウム鉄含有複合酸化物の製造方法について説明する。
まず、Naを含む第1原料と、Feを含む第2原料とを混合して、原料混合物を得る。このとき、第1原料および第2原料は、ナトリウムと鉄との原子比が12:6〜16:6になるように混合することが好ましく、13.5:6〜14.5:6になるように混合することがさらに好ましく、14:6になるように混合することが特に好ましい。ただし、焼成の際、ナトリウムが昇華もしくは蒸発することがある。そのため、第1原料の量は、ナトリウム量が上記割合より1〜5%程度過剰となるように調整することが好ましい。
原料混合物を、還元雰囲気もしくは空気雰囲気中で焼成することで、ナトリウム鉄含有複合酸化物が得られる。還元雰囲気は、窒素もしくはアルゴン雰囲気であることが好ましく、還元雰囲気中の酸素分圧は、体積分率に換算して1%以下であることが好ましい。焼成温度は、400℃〜1000℃が好ましく、400℃〜900℃がさらに好ましく、400℃〜800℃が特に好ましい。焼成温度が低すぎると、反応性が不十分となり、三斜晶系の結晶構造を得るために長時間の焼成が必要となる場合がある。一方、焼成温度が高すぎると、製造コストが大きくなる場合がある。
Naを含む第1原料は、特に限定されないが、例えば、Na2O、Na22、NaOH、Na2CO3、NaNO3、NaHCO3、NaOCH3、NaOCH2CH3、NaOCH(CH32、NaOCOCH3、Na2(OCO)2等が挙げられる。なかでも、酸化物を用いることが好ましい。第1原料は、1種のみ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
Feを含む第2原料は、2〜3価のものを用いることが好ましい。
具体的には、Fe単体、FeO、Fe23、Fe34、α−FeOOH、γ−FeOOH、δ−FeOOH、FeCO3、Fe(COO)2、Fe(CHCOO)2等が挙げられる。なかでも、酸化物や水酸化物を用いることが好ましい。第2原料は、1種のみ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
元素Meや元素Lを含むリチウム鉄含有複合酸化物を作製する場合、元素Meや元素Lを含むナトリウム鉄含有複合酸化物を原料とすることが好ましい。
元素Meを含むナトリウム鉄含有複合酸化物は、例えば、第2原料の一部を、元素Meを含む第3原料で置換することで得られる。第3原料としては、元素Meを含む酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩等が挙げられる。なかでも、酸化物、シュウ酸塩および酢酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。他にも、第2原料として、鉄と元素Meとを所定の組成で共析させて得られる水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩等を用いることでも、元素Meを含むナトリウム鉄含有複合酸化物が得られる。
元素Lを含むナトリウム鉄含有複合酸化物は、例えば、第2原料の一部を、元素Lを含む第4原料で置換することで得られる。第4原料としては、元素Lを含む酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩等が挙げられる。なかでも、酸化物、シュウ酸塩および酢酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。他にも、第2原料として、鉄と元素Lとを所定の組成で共析させて得られる水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩等を用いることでも、元素Lを含むナトリウム鉄含有複合酸化物が得られる。
(2)リチウム鉄含有複合酸化物の調製
次に、ナトリウム鉄含有複合酸化物と、リチウムを含む溶融塩とを混合して、ナトリウム鉄含有複合酸化物に含まれるNaイオンと、Liイオンとを交換することで、リチウム鉄含有複合酸化物が得られる。Naイオンと、Liイオンとを交換することで、ナトリウム鉄含有複合酸化物の結晶構造が維持され、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するリチウム鉄含有複合酸化物が得られる。イオン交換の方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法で行う。
まず、リチウムを含む溶融塩中に、ナトリウム鉄含有複合酸化物の粒子を添加して、混合する。その後、混合物を所定の時間放置することで、NaイオンとLiイオンとの交換が進行する。このとき、リチウム溶融塩の温度は、用いられるリチウム塩の融点以上であり、かつリチウム塩の分解温度以下であれば特に限定されないが、好ましくは250〜400℃であり、より好ましくは250〜350℃である。イオン交換の時間は、2〜10時間であることが好ましく、2〜5時間であることがより好ましい。
ナトリウム鉄含有複合酸化物と、リチウムを含む溶融塩とのイオン交換は、1回であってもよいが、複数回行うことが好ましい。これにより、NaイオンとLiイオンとの交換を、充分に進行させることができる。
イオン交換においては、ナトリウム鉄含有複合酸化物の化学量論量に対して、溶融塩中のリチウムの量が過剰となるように調整することが好ましい。例えば、NaとLiとの原子比が、1:5〜1:10となることが好ましい。すなわち、ナトリウム鉄含有複合酸化物の化学量論量に対して、溶融塩中のリチウムの量が、5倍以上であることが好ましい。ナトリウム鉄含有複合酸化物の化学量論量に対して、溶融塩中のリチウムの量が5倍未満である場合、NaイオンとLiイオンとの交換が不充分になり、正極活物質の容量が小さくなる場合がある。また、ナトリウム鉄含有複合酸化物の化学量論量に対して、溶融塩中のリチウムの量は、10倍以下であることが好ましい。ナトリウム鉄含有複合酸化物の化学量論量に対して、溶融塩中のリチウムの量が10倍を超えると、リチウム量が過剰となり、リチウム鉄含有複合酸化物を水洗しても、炭酸リチウム等の不純物が混在する場合がある。
イオン交換によって得られたリチウム鉄含有複合酸化物は、十分に水洗することが好ましい。リチウム鉄含有複合酸化物粒子の表面に溶融塩が存在していると、例えば正極活物質とする場合に、充填性がやや低下する場合がある。
NaイオンとLiイオンとを交換する方法は、上記の方法に限定されない。例えば、ナトリウム鉄含有複合酸化物を含む電極と、リチウムを含む対極とを用いて含むセルを作製し、セルの電気化学反応を行うことでも、NaイオンとLiイオンとを交換することができる。
充電の際に、ナトリウム鉄含有複合酸化物(正極活物質)からNaイオンが放出される。その後、放電を行うことで、Liイオンが優先的に正極に吸蔵される。これにより、NaイオンとLiイオンとを交換して、リチウム鉄含有複合酸化物を得ることができる。
本発明は、リチウム鉄含有複合酸化物を正極活物質とする非水電解質二次電池をも提供する。非水電解質二次電池は、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、正極と負極との間に介在するセパレータおよび非水電解質を具備する。
正極は、例えば正極集電体と、正極集電体に担持される正極合剤層とを含む。正極合剤層は、必須成分として正極活物質を含み、任意成分として結着剤、導電剤等を含んでもよい。
正極合剤における重量比は、正極活物質79〜97重量%、導電剤1〜20重量%、結着剤1〜10重量%であることが好ましい。
導電剤としては、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛やチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などが挙げられる。
正極用の結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが使用可能である。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択される2種以上の材料の共重合体を用いてもよい。結着剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
集電体には、例えば長尺の多孔性構造の導電性基板や、無孔の導電性基板等が使用される。正極集電体の材質としては、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタン等が挙げられる。正極集電体の厚さは、特に限定されないが、1〜500μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。これにより、正極の強度を保持しつつ、軽量化することができる。
正極の作製方法は特に限定されないが、例えば、正極活物質と任意成分からなる正極合剤を液状成分と混合して、正極合剤スラリーを調製する。正極合剤スラリーを正極集電体に塗布し、乾燥させた後、圧延を行うことで、正極が得られる。
負極は、例えば負極集電体と、負極集電体に担持される負極合剤層とを含む。負極合剤層は、必須成分として負極活物質を含み、任意成分として結着剤等を含んでもよい。
負極合剤における重量比は、負極活物質90〜99重量%、結着剤1〜10重量%であることが好ましい。
負極活物質としては、例えば、金属リチウム、金属繊維、酸化物、窒化物のリチウムを含む化合物、各種合金材料等とリチウムとの複合体、錫化合物、珪素化合物等が挙げられる。その他にも、各種炭素材料を負極活物質として用いてもよい。例えば、例えば各種天然黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、各種人造黒鉛、非晶質炭素等が挙げられる。負極活物質は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極用の結着剤としては、例えば、正極用の結着剤として例示したものと同様の化合物を、特に限定なく用いることができる。
負極集電体には、正極集電体と同様に、長尺の多孔性構造の導電性基板や、無孔の導電性基板等が使用される。負極集電体の材質としては、例えばステンレス鋼、ニッケル、銅などが用いられる。負極集電体の厚さは、特に限定されないが、1〜500μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。これにより、極板の強度を保持しつつ軽量化することができる。
負極の作製方法は特に限定されないが、負極活物質(リチウム金属を除く)と任意成分を液状成分と混合して、負極合剤スラリーを調製する。負極合剤スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥させた後、圧延を行うことで、負極が得られる。または、リチウム金属を負極としてもよい。この場合、負極には、例えば厚さ80〜400μmのリチウム箔を用いる。
セパレータは、十分なイオン透過度、所定の機械的強度および絶縁性を有することが好ましい。セパレータとしては、例えば微多孔膜、織布、不織布などが用いられる。微多孔膜を用いる場合、1種の材料からなる単層膜であってもよく、1種または2種以上の材料からなる複合膜または多層膜であってもよい。セパレータの材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンが、耐久性に優れる点から好ましい。
セパレータの厚さは、一般的に10〜300μmであり、40μm以下であることが好ましく、15〜30μmであることがより好ましく、10〜25μmであることが特に好ましい。
セパレータの空孔率は、30〜70%の範囲であることが好ましい。空孔率とは、セパレータ全体の体積に占める孔部の体積の比である。セパレータの空孔率は、35〜60%であることがより好ましい。
非水電解質の形態は特に限定されず、例えば、液状、ゲル状、固体(高分子固体電解質)状等を使用することができる。
液状の非水電解質(非水電解液)は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解する溶質とを含む。
非水溶媒は特に限定されず、例えば、公知の非水溶媒を特に制限なく使用することができる。例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどを用いることが好ましい。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。非水溶媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶質としては、例えばLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類などを用いることができる。ホウ酸塩類としては、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウム等が挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CF3SO22)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C49SO2))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(C25SO22)等が挙げられる。溶質は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。非水溶媒に対する溶質の溶解量は、0.5〜2モル/Lであることが好ましい。
非水電解質は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、負極上で分解してリチウムイオン伝導性の高い被膜を形成し、充放電効率をさらに向上させる化合物であることが好ましい。このような機能を持つ添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、4−メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4−エチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、4−プロピルビニレンカーボネート、4,5−ジプロピルビニレンカーボネート、4−フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。添加剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、およびジビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの化合物は、化合物中の水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。
ゲル状の非水電解質は、非水電解質と、非水電解質が保持される高分子化合物とを含む。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、フッ化ビニリデンーヘキサフルオロプロピレン共重合体等が好適に使用される。
図1は、円筒型の非水電解質二次電池を概略的に示す縦断面図である。
正極5には、アルミニウム製の正極リード5aを取り付ける。負極6には、ニッケル製の負極リード6aを取り付ける。正極5と負極6とは、ポリエチレン製のセパレータ7を介して捲回され、電極群が構成される。
電極群の上部および下部には、絶縁板8aおよび8bがそれぞれ配される。正極リード5aは、封口板2に溶接され、負極リード6aは、電池ケース1の内側に溶接される。封口板2は、内圧作動型の安全弁を有する。電極群を電池ケース1の内部に収納し、非水電解質を注入する。電池ケース1の開口端部を、ガスケット3を介して封口板2にかしめることにより電池が完成する。
図1では、捲回型の電極群について説明しているが、電極群の形態は特に限定されず、例えば積層型の電極群であってもよい。また、電池の形状は円筒型に限定されず、例えば角型、ボタン型等であってもよい。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。
《実施例A−1》
第1原料である2.047g(1.17等量)のNa22と、第2原料である3.592g(50mmol)のFeO(SIGMA-ALDRICH社製)とを、メノウ製乳鉢で充分に混合した。このとき、原子比Na:Fe=14.7:6であった。すなわち、Naは目標組成よりも5%過剰とした。得られた混合物を、窒素雰囲気中(酸素分圧:10‐4Pa)、600℃で12時間加熱して、ナトリウム鉄含有複合酸化物Na14Fe616を得た。
XRD測定から、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する相の生成が確認された。
得られたNa14Fe616を、300℃で溶融したLiNO3中に添加して、イオン交換を行った。イオン交換は、露点−40℃雰囲気のドライエアー中で、3時間行った。LiNO3の量は、40.18g(Na14Fe616に対して20等量の量)とした。このとき、原子比Na:Li=1:5であった。
得られた反応物を室温まで冷却した後、メノウ製乳鉢で粉末になるまで粉砕した。粉末にイオン交換水20mLを加えてよく撹拌して、洗浄した後、吸引濾過した。粉末を300℃で溶融させた40.18gのLiNO3中に添加して、上記と同様に再度イオン交換を行った。
得られた反応物を室温まで冷却した後、メノウ製乳鉢で粉末になるまで粉砕した。粉末にイオン交換水20mLを加えてよく攪拌して、洗浄した後、吸引濾過した。これにより、平均粒径1μmのリチウム鉄含有複合酸化物(正極活物質A−1)を得た。
リチウム鉄含有複合酸化物A−1に対してICP分析を行ったところ、Na成分の含有量は、Li成分の含有量の1mol%未満であった。リチウム鉄含有複合酸化物の実質的な組成は、Li14Fe616と特定された。
XRD測定から、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する相の生成を確認した。具体的には、XRD測定において、ピークのd値(格子面間隔、Å)が、5.60±0.1、3.69±0.1、2.71±0.1、2.61±0.1、2.60±0.1、2.57±0.1、2.50±0.1、2.40±0.1、2.33±0.1、2.08±0.1であり、かつ、それぞれのミラー指数が、〔001〕、〔0−21〕、〔0−22〕、〔2−30〕、〔220〕、〔4−21〕、〔−401〕、〔202〕、〔−212〕、〔2−41〕であるとき、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する相を含むと判断した。
《実施例A−2〜A−11》
ナトリウム鉄含有複合酸化物を作製する際の第1原料および第2原料の混合物の加熱温度を、それぞれ300、400、500、700、800、900、1000、1100、1200、1300℃としたこと以外、実施例A−1と同様にして、リチウム鉄含有複合酸化物A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、A−7、A−8、A−9、A−10およびA−11をそれぞれ作製した。なお、A−2およびA−8〜A−11は比較例である。
《実施例B−1〜B−11》
第1原料である4.09g(1.004等量)のNa22と、第2原料である3.592g(50mmol)のFeO(SIGMA-ALDRICH社製)とを混合した。このとき、原子比Na:Fe=12.6:6であった。上記以外、実施例A−1と同様にして、Li12Fe616の組成を有するリチウム鉄含有複合酸化物B−1を作製した。第1原料および第2原料を、実施例B−1と同様の重量比で混合したこと以外、実施例A−2〜A−11と同様にして、正極活物質B−2〜B−11をそれぞれ作製した。なお、B−2およびB−8〜B−11は比較例である。
《実施例C−1〜C−11》
第1原料である5.458g(1.337等量)のNa22と、第2原料である3.592g(50mmol)のFeO(SIGMA-ALDRICH社製)とを混合した。このとき、原子比Na:Fe=16.8:6であった。上記以外、実施例A−1と同様にして、Li16Fe616の組成を有するリチウム鉄含有複合酸化物C−1を作製した。第1原料および第2原料を、実施例C−1と同様の重量比で混合したこと以外、実施例A−2〜A−11と同様にして、正極活物質C−2〜C−11をそれぞれ作製した。なお、C−2およびC−8〜C−11は比較例である。
《比較例D−1〜D−11》
第1原料である3.412g(0.835等量)のNa22と、第2原料である3.592g(50mmol)のFeO(SIGMA-ALDRICH社製)とを混合した。このとき、原子比Na:Fe=10.5:6であった。上記以外、実施例A−1と同様にして、Li10Fe616の組成を有するリチウム鉄含有複合酸化物D−1を作製した(比較例D−1)。第1原料および第2原料を、比較例D−1と同様の重量比で混合したこと以外、実施例A−2〜A−11と同様にして、正極活物質D−2〜D−11をそれぞれ作製した。
《比較例E−1〜E−11》
第1原料である6.14g(1.420等量)のNa22と、第2原料である3.592g(50mmol)のFeO(SIGMA-ALDRICH社製)とを混合した。このとき、原子比Na:Fe=18.9:6であった。上記以外、実施例A−1と同様にして、Li18Fe616の組成を有するリチウム鉄含有複合酸化物E−1を作製した(比較例E−1)。第1原料および第2原料を、比較例E−1と同様の重量比で混合したこと以外、実施例A−2〜A−11と同様にして、正極活物質E−2〜E−11をそれぞれ作製した。
A−1〜E−11の結果を、それぞれ表1〜表5に示す。
XRD測定の結果、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する相の生成が確認されたものは○とし、三斜晶系の結晶構造を有する相が確認できなかったものは×とした。各リチウム鉄含有複合酸化物の実質的な組成は、ICP分析により確認した。
Figure 2010126399
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Figure 2010126399
Figure 2010126399
Figure 2010126399
《実施例F−1〜F−11》
第1原料である4.776g(2.340等量)のNa22と、第2原料である1.796g(25mmol)のFeO(SIGMA-ALDRICH社製)と、第3原料である1.773g(25mmol)のMnOとを混合して、ナトリウム鉄含有複合酸化物を作製した。このとき、原子比Na:Fe:Mn=14.7:3:3であった。このナトリウム鉄含有複合酸化物を用いたこと以外、実施例A−1と同様にして、Li14Fe3Mn316の組成を有するリチウム鉄含有複合酸化物F−1を作製した。第1原料、第2原料および第3原料を、実施例F−1と同様の重量比で混合したこと以外、実施例A−2〜A−11と同様にして、正極活物質F−2〜F−11をそれぞれ作製した。なお、F−2およびF−9〜F−11は比較例である。
《実施例G−1〜G−11》
第1原料である4.776g(2.340等量)のNa22と、第2原料である1.796g(25mmol)のFeO(SIGMA-ALDRICH社製)と、第3原料である2.074g(25mmol)のVO2とを混合して、ナトリウム鉄含有複合酸化物を作製した。このとき、原子比Na:Fe:V=14.7:3:3であった。このナトリウム鉄含有複合酸化物を用いたこと以外、実施例A−1と同様にして、Li14Fe3316の組成を有するリチウム鉄含有複合酸化物G−1を作製した。第1原料、第2原料および第3原料を、実施例G−1と同様の重量比で混合したこと以外、実施例A−2〜A−11と同様にして、正極活物質G−2〜G−11をそれぞれ作製した。なお、G−2〜G−3およびG−9〜G−11は比較例である。
F−1〜G−11の結果を、それぞれ表6〜表7に示す。
XRD測定の結果、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する相の生成が確認されたものは○とし、三斜晶系の結晶構造を有する相が確認できなかったものは×とした。各リチウム鉄含有複合酸化物の実質的な組成は、ICP分析により確認した。
Figure 2010126399
Figure 2010126399
《実施例H−1》
(i)正極の作製
実施例A−1と同様の方法で作製したナトリウム鉄含有複合酸化物100重量部と、導電剤であるアセチレンブラック4重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)5重量部を溶解したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを混合し、合剤ペーストを調製した。
合剤ペーストを、集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥させた。その後、合剤を塗布した集電体を圧延し、所定寸法に裁断して、ナトリウム鉄含有複合酸化物を含む極板を作製した。極板の寸法は、幅57mm、長さ700mm、総厚100μmとした。
(ii)負極の作製
総厚160μmのリチウム箔を、幅58mm、長さ740mmに切り出し、負極とした。
(iii)非水電解質の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:3の混合溶媒に、1重量%のビニレンカーボネートを添加した。混合溶媒に、1.0mol/Lの濃度で溶質であるLiPF6を溶解させて、非水電解質を得た。
上記の正極、負極および非水電解質を用いて、図1に示す円筒型電池を作製した。
得られた電池について、以下の条件を1サイクルとして、2サイクル充放電を行った。
(1)定電流充電(25℃):1400mA(終止電圧4.2V)
(2)定電圧充電(25℃):4.2V(終止電流50mA)
(3)定電流放電(25℃):400mA(終止電圧2V)
2サイクル目の放電後、電池を分解し、正極板を取り出した。得られた正極板中のリチウム鉄含有複合酸化物をH−1とした。
リチウム鉄含有複合酸化物H−1は、ICP分析により、Na成分の含有量がLi成分の含有量の1mol%未満であることがわかった。リチウム鉄含有複合酸化物H−1の実質的な組成は、Li14Fe616と特定された。
XRD測定から、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する相の生成が確認された。
《実施例H−2〜H11》
実施例A−2〜A−11で得られたナトリウム鉄含有複合酸化物を用いたこと以外、実施例H−1と同様にして、リチウム鉄含有複合酸化物H−2〜H−11を作製した。なお、H−2およびH−7〜H−11は比較例である。
実施例H−1〜H−11の結果を、表8に示す。
XRD測定の結果、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する相の生成が確認されたものは○とし、三斜晶系の結晶構造を有する相が確認できなかったものは×とした。リチウム鉄含有複合酸化物の実質的な組成は、ICP分析により確認した。
Figure 2010126399
《比較例1》
7.984g(50mmol)のFe23(SIGMA-ALDRICH社製)と、3.645g(2.34等量)のLi2Oとを、メノウ製乳鉢で充分に混合した。得られた混合物を、窒素雰囲気中(酸素分圧:10‐4Pa)、それぞれ300、400、500、700、800、900、1000、1100、1200、1300℃で12時間加熱して、リチウム鉄含有複合酸化物を作製した。
XRD測定の結果、得られたリチウム鉄含有複合酸化物は、いずれも空間群PBCAに属するLi5FeO4と、原料のFe23とに分相していることが確認された。
以上より、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するナトリウム鉄含有複合酸化物を作製し、NaイオンとLiイオンとの交換を行うことで、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するリチウム鉄含有複合酸化物が得られることがわかった。
本発明のリチウム鉄含有複合酸化物を用いることにより、安価であり、かつ高容量でサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。この非水電解質二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラなどの電子機器の電源として有用である。
円筒型の非水電解質二次電池を概略的に示す縦断面図である。
符号の説明
1 電池ケース
2 封口板
3 ガスケット
5 正極
5a 正極リード
6 負極
6a 負極リード
7 セパレータ
8a 上部絶縁板
8b 下部絶縁板

Claims (10)

  1. 一般式:LixFe6-y-zMeyz16(元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、11<x<17、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5である)で表され、
    空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する、リチウム鉄含有複合酸化物。
  2. 前記一般式において、13.5≦x≦14.5である、請求項1記載のリチウム鉄含有複合酸化物。
  3. 前記元素Lが、Al、Ti、Mg、ZrおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載のリチウム鉄含有複合酸化物。
  4. 一般式:NaxFe6-y-zMeyz16(元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、11<x<17、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5である)で表され、空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有するナトリウム鉄含有複合酸化物に含まれるNaイオンを、イオン交換により、Liイオンに置換する工程を含む、リチウム鉄含有複合酸化物の製造方法。
  5. 前記NaイオンをLiイオンに交換する工程が、
    前記ナトリウム鉄含有複合酸化物と、Liを含む溶融塩とを、NaとLiとの原子比が1:5〜1:10となるように混合して混合物を得る工程、および
    前記混合物を250〜400℃で加熱することにより、NaイオンとLiイオンとを交換する工程を含む、請求項4記載のリチウム鉄含有複合酸化物の製造方法。
  6. 前記NaイオンをLiイオンに交換する工程が、
    前記ナトリウム鉄含有複合酸化物を含む電極を作製する工程、
    前記電極と、リチウムを含む対極とを含むセルを作製する工程、および
    前記セルの電気化学反応を行う工程を含む、請求項4記載のリチウム鉄含有複合酸化物の製造方法。
  7. 正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータおよび非水電解質を具備し、
    前記正極活物質が、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム鉄含有複合酸化物を含む、非水電解質二次電池。
  8. 一般式:NaxFe6-y-zMeyz16(元素Meは、VおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素Lは、Fe、VおよびMnとは異なる遷移金属、アルカリ土類金属、希土類元素、IIIb族元素ならびにIVb族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、11<x<17、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5である)で表され、
    空間群P−1に属する三斜晶系の結晶構造を有する、ナトリウム鉄含有複合酸化物。
  9. Naを含む第1原料と、Feを含む第2原料とを、原子比Na:Fe=12:6〜16:6で混合して、原料混合物を得る工程と、
    還元雰囲気もしくは空気雰囲気中で、400℃〜1000℃で前記原料混合物を焼成する工程と、を含む、請求項8記載のナトリウム鉄含有複合酸化物を得るための製造方法。
  10. 前記第2原料の一部を、Fe:Me:L=6−y−z:y:z(ただし、0≦y≦5、0≦z≦3、0≦y+z≦5)を満たすようにMeを含む第3原料およびLを含む第4原料の少なくとも一方で置換する、請求項9記載のナトリウム鉄含有複合酸化物の製造方法。
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