JP2010125826A - 高圧ガスタンク製造装置及び高圧ガスタンクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高圧ガスタンク製造装置200は、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維20を巻き付けることにより外表面に繊維強化樹脂層が形成されたタンク容器10を回転させつつ、タンク容器の全体を加熱して、繊維強化樹脂層の熱硬化処理を実行する。また、高圧ガスタンク製造装置200は、熱硬化処理において、タンク容器10の表層に生じる気泡を、気泡除去部230によって、物理的に除去する。
【選択図】図2
Description
高圧ガスタンク製造装置であって、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維を巻き付けることにより外表面に繊維強化樹脂層が形成されたタンク容器の全体を加熱して、前記繊維強化樹脂層の熱硬化処理を実行するタンク容器熱硬化部と、前記熱硬化処理において、前記タンク容器の表層に生じる気泡を物理的に除去する気泡除去部とを備える、高圧ガスタンク製造装置。
この高圧ガスタンク製造装置によれば、フィラメント・ワインディング法によって製造される高圧ガスタンクの熱硬化性樹脂の熱硬化処理に際して当該樹脂中に発生する気泡を、熱硬化性樹脂が硬化する前に物理的に除去することができる。
適用例1記載の高圧ガスタンク製造装置であって、さらに、前記気泡除去部は、前記繊維強化樹脂層の一部領域を、他の領域より高温に加熱することにより前記一部領域に生じる気泡を除去する加熱部を備える、高圧ガスタンク製造装置。
この高圧ガスタンク製造装置によれば、熱硬化性樹脂中に生じる気泡を加熱部によって加熱して破泡し、除去できる。
適用例1または適用例2記載の高圧ガスタンク製造装置であって、前記気泡除去部は、前記気泡除去部と前記タンク容器との間の距離を調整する距離調整部を有し、前記距離調整部は、前記熱硬化処理の開始時から次第に、前記気泡除去部と前記タンク容器との間の距離を短く調整する、高圧ガスタンク製造装置。
熱硬化処理開始からの経過時間が長いほど熱硬化性樹脂中に発生する気泡のサイズが大きくなる傾向にある。従って、この高圧ガスタンク製造装置によれば、気泡のサイズに対して、気泡除去部における気泡と対向する部位とタンク容器との間の距離が近付きすぎることによって、当該部位と気泡とが直接的に接触してしまう可能性を低減できる。
適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の高圧ガスタンク製造装置であって、前記気泡除去部は、前記タンク容器の外表面を摺擦して、前記気泡に直接的に接触することにより前記気泡を除去する摺擦部を備える、高圧ガスタンク製造装置。
この高圧ガスタンク製造装置によれば、熱硬化性樹脂中に生じた気泡に対して、直接的に外力を付加することにより、気泡を除去できる。
適用例4記載の高圧ガスタンク製造装置であって、前記気泡除去部は、前記摺擦部が前記繊維強化樹脂層の外表面を押圧する押圧力を調整する押圧力調整部を有している、高圧ガスタンク製造装置。
この高圧ガスタンク製造装置によれば、摺擦部による押圧力を調整することにより、より適切な外力を気泡に付加することが可能である。従って、摺擦部によって、タンク容器の外表面が損傷してしまうことを抑制できる。
適用例5記載の高圧ガスタンク製造装置であって、前記タンク容器熱硬化部は、前記タンク容器を回転させつつ、前記熱硬化処理を実行し、さらに、前記タンク容器を回転の変化を検出する回転変化検出部を備え、前記押圧力調整部は、前記回転変化検出部の検出値に応じて、前記押圧力を調整する、高圧ガスタンク製造装置。
タンク容器の回転は、熱硬化性樹脂と摺擦部との間の摩擦係数によって変化する。当該摩擦係数は、熱硬化性樹脂の粘度に応じて変化する。即ち、この高圧ガスタンク製造装置によれば、熱硬化性樹脂の粘度の変化をタンク容器の回転の変化として検出して、その検出に応じて、適切な外力を気泡に付加できる。従って、より摺擦部によるタンク容器の外表面の損傷を抑制できる。
適用例5または適用例6に記載の高圧ガスタンク製造装置であって、前記押圧力調整部は、前記熱硬化処理の処理開始からの経過時間に応じて、前記押圧力を変化させる、高圧ガスタンク製造装置。
この高圧ガスタンク製造装置によれば、熱硬化処理の処理経過時間に応じて変化する熱硬化性樹脂の粘度に応じて、より適切な外力を気泡に付与できる。
高圧ガスタンクの製造方法であって、
(a)熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化樹脂層が外表面に形成されたタンク容器を準備する工程と、
(b)前記繊維強化樹脂層の全体を加熱して熱硬化させるとともに、前記繊維強化樹脂層に生じる気泡を物理的に除去する工程と、を備える、製造方法。
この製造方法によれば、フィラメント・ワインディング法によって製造される高圧ガスタンクの熱硬化性樹脂層の熱硬化処理に際して当該樹脂中に発生する気泡を、熱硬化性樹脂が硬化する前に物理的に除去することができる。
適用例8に記載の製造方法であって、前記工程(b)は、前記繊維強化樹脂層の一部領域を、他の領域より高温に加熱することによって、前記一部領域に生じる気泡を除去する工程を含む、製造方法。
適用例8または適用例9に記載の製造方法であって、前記工程(b)は、前記繊維強化層の外表面を摺擦することによって、前記気泡を除去する工程を含む、製造方法。
図1(A)〜(C)は、本発明の一実施例としてのフィラメント・ワインディング法による高圧ガスタンクの製造工程の一部を説明するための模式図である。図1(A)は、タンク容器10を示す模式図である。高圧ガスタンクの製造にあたり、まず第1工程として、このタンク容器10を準備する。タンク容器10は、略円柱状のシリンダ部11と、その両端に設けられた略ドーム形状のドーム部13とを有する中空の容器である。タンク容器10は、例えば、ナイロン系樹脂などの樹脂によって構成される。なお、タンク容器10は、他の形状を有していても良く、他の部材によって構成されるものとしても良い。
図4は、本発明の第2実施例としての熱硬化処理装置200Aの構成を示す概略図である。図4は、樹脂表層検出部240が追加されている点以外は、図2(B)とほぼ同じである。なお、この第2実施例でも、繊維強化タンク容器10は、第1実施例と同様に準備され(図1)、熱硬化処理装置200Aに取り付けられる。
図5(A),(B)及び図6は、本発明の第3実施例としての熱硬化処理装置200Bの構成を示す概略図である。図5(A),(B)はそれぞれ、加熱式気泡除去部230に換えて、接触式気泡除去部250が設けられている点以外は、図2(A),(B)とほぼ同じである。また、図6は、熱硬化処理装置200Bを図5の矢印y方向に沿って見たときの概略側面図である。なお、繊維強化タンク容器10は、第1実施例と同様に準備され(図1)、熱硬化処理装置200Bに取り付けられる。
図8は、第4実施例としての熱硬化処理装置200Cを示す概略図である。図8は、回転変化検出部260が追加されている点以外は、図5(B)とほぼ同じである。この熱硬化処理装置200Cの構成は、以下に説明する点以外は、第3実施例の熱硬化処理装置200Bの構成とほぼ同じである。また、第4実施例における熱硬化処理以外の高圧ガスタンクの製造工程は、第3実施例の製造工程と同じである。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施例において、加熱式気泡除去部230や、接触式気泡除去部250によって、繊維強化タンク容器10の表層に生じる気泡を除去していた。しかし、他の物理的手段によって気泡を除去するものとしても良い。例えば、レーザを繊維強化タンク容器10の外表面に照射することによって気泡を除去するものとしても良い。また、熱硬化処理装置は、加熱式気泡除去部230と、接触式気泡除去部250とを両方とも備えるものとしても良い。
上記実施例において、カーボン繊維20には、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が含浸されていたが、カーボン繊維20には、他の熱硬化性樹脂が含浸されるものとしても良い。例えば、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂や、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが用いられるものとしても良い。
上記第1実施例及び第2実施例では、熱硬化処理装置200,200Aの加熱式気泡除去部230は、電熱線235を有していた。しかし、加熱式気泡除去部230は、電熱線235に換えて、繊維強化タンク容器10の繊維強化層の一部領域を、他の領域より高温に加熱するヒータ部を有しているものとしても良い。ヒータ部としては、例えば、電熱板であっても良い。
上記第1実施例及び第2実施例では、熱硬化処理工程の処理経過時間に応じて、電熱線235と繊維強化タンク容器10との間の距離が短くなるように制御されていた。しかし、電熱線235と繊維強化タンク容器10との間の距離は、処理経過時間にかかわらず、任意に設定されるものとしても良い。あるいは、処理経過時間に応じて変化する気泡サイズの傾向が予め判っている場合には、その気泡サイズに応じて電熱線235と繊維強化タンク容器10との間の距離を調整するものとしても良い。また、電熱線235は、繊維強化タンク容器10の取り付け位置に対して一定の位置に固定されているものとしても良い。
上記第3実施例及び第4実施例においては、スキージ押圧力調整部257は、エアシリンダーによって構成されていたが、スキージ押圧力調整部257は、エアシリンダーによって構成されていなくとも良い。スキージ押圧力調整部257は、例えば、ソレノイドなどの電磁アクチュエータによって構成されるものとしても良い。なお、上記第3実施例においてスキージ押圧力調整部257は設けられていなくとも良い。このような構成であっても、スキージ部255によって熱硬化性樹脂中の気泡を物理的に除去することができる。
上記第3実施例及び第4実施例において、スキージ部255による押圧力は、熱硬化処理の処理経過時間や、繊維強化タンク容器10の回転の変化に応じて制御しされていた。しかし、スキージ部255による押圧力は、熱硬化処理の処理経過時間に応じて変化させつつ、繊維強化タンク容器10の回転の変化に応じて変化させるものとしても良い。より具体的には、例えば、処理経過時間に応じて押圧力の基本設定値を変化させ、繊維強化タンク容器10の回転の変化に応じて、その基本設定値を微修正するものとしても良い。
上記第1実施例及び第2実施例では、電熱線保持部231,232によって、加熱距離を調整していた。しかし、加熱式気泡除去部230に限らず、他の方式の気泡除去部においても、繊維強化タンク容器10の表層と、当該表層と対向する当該気泡除去部の部位との間の距離を調整する距離調整部が設けられるものとしても良い。また、距離調整部は、熱硬化処理開始時から次第に、その距離を短く調整するものとしても良い。これによって、経時的に変化する発生気泡のサイズに応じて、気泡除去部とタンク表層との間の距離が、より適切に調整される。
11…シリンダ部
13…ドーム部
20…繊維
20L…繊維強化層
23…熱硬化性樹脂
25…気泡
110…回転駆動部
120…リール
200,200A,200B,200C…熱硬化処理装置
210…基台
215…隔壁
221,222…タンク取付部
225…回転駆動部
230…加熱式気泡除去部
231,232…電熱線保持部
235…電熱線
240…樹脂表層検出部
250…接触式気泡除去部
251,252…スキージ保持支柱
253…スキージ回転軸
255…スキージ部
257…スキージ押圧力調整部
257c…シリンダー部
257s…シャフト部
260…回転変化検出部
CX…中心軸
WS…内部空間
ls1…第1の長辺
ls2…第2の長辺
Claims (10)
- 高圧ガスタンク製造装置であって、
熱硬化性樹脂を含浸させた繊維を巻き付けることにより外表面に繊維強化樹脂層が形成されたタンク容器の全体を加熱して、前記繊維強化樹脂層の熱硬化処理を実行するタンク容器熱硬化部と、
前記熱硬化処理において、前記タンク容器の表層に生じる気泡を物理的に除去する気泡除去部と、
を備える、高圧ガスタンク製造装置。 - 請求項1記載の高圧ガスタンク製造装置であって、さらに、
前記気泡除去部は、前記繊維強化樹脂層の一部領域を、他の領域より高温に加熱することにより前記一部領域に生じる気泡を除去する加熱部を備える、高圧ガスタンク製造装置。 - 請求項1または請求項2記載の高圧ガスタンク製造装置であって、
前記気泡除去部は、前記気泡除去部と前記タンク容器との間の距離を調整する距離調整部を有し、
前記距離調整部は、前記熱硬化処理の開始時から次第に、前記気泡除去部と前記タンク容器との間の距離を短く調整する、高圧ガスタンク製造装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の高圧ガスタンク製造装置であって、
前記気泡除去部は、前記タンク容器の外表面を摺擦して、前記気泡に直接的に接触することにより前記気泡を除去する摺擦部を備える、高圧ガスタンク製造装置。 - 請求項4記載の高圧ガスタンク製造装置であって、
前記気泡除去部は、前記摺擦部が前記繊維強化樹脂層の外表面を押圧する押圧力を調整する押圧力調整部を有している、高圧ガスタンク製造装置。 - 請求項5記載の高圧ガスタンク製造装置であって、
前記タンク容器熱硬化部は、前記タンク容器を回転させつつ、前記熱硬化処理を実行し、さらに、前記タンク容器を回転の変化を検出する回転変化検出部を備え、
前記押圧力調整部は、前記回転変化検出部の検出値に応じて、前記押圧力を調整する、高圧ガスタンク製造装置。 - 請求項5または請求項6に記載の高圧ガスタンク製造装置であって、
前記押圧力調整部は、前記熱硬化処理の処理開始からの経過時間に応じて、前記押圧力を変化させる、高圧ガスタンク製造装置。 - 高圧ガスタンクの製造方法であって、
(a)熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化樹脂層が外表面に形成されたタンク容器を準備する工程と、
(b)前記繊維強化樹脂層の全体を加熱して熱硬化させるとともに、前記繊維強化樹脂層に生じる気泡を物理的に除去する工程と、
を備える、製造方法。 - 請求項8に記載の製造方法であって、
前記工程(b)は、前記繊維強化樹脂層の一部領域を、他の領域より高温に加熱することによって、前記一部領域に生じる気泡を除去する工程を含む、製造方法。 - 請求項8または請求項9に記載の製造方法であって、
前記工程(b)は、前記繊維強化層の外表面を摺擦することによって、前記気泡を除去する工程を含む、製造方法。
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