JP2010125562A - 回転砥石用の円板基体の製造方法、回転砥石用の円板基体、及び回転砥石 - Google Patents
回転砥石用の円板基体の製造方法、回転砥石用の円板基体、及び回転砥石 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】研磨効率が高く、かつ、作業者の作業負担の小さい回転砥石を得ることのできる円板基体の製造方法及び円板基体を得る。
【解決手段】グラスファイバー製のシートに樹脂を含浸させる工程1と、前記樹脂を含浸させたグラスファイバー製のシートを熱乾燥する工程2と、前記熱乾燥されたグラスファイバー製のシートから、略中央に砥石軸挿通孔を有する大円板を形成する工程3と、前記大円板を複数枚重ね合わせ、熱間でプレス成形する工程4と、前記大円板の砥石軸連通孔を連通するフランジを取り付ける工程5とを備えた。
【選択図】図4
【解決手段】グラスファイバー製のシートに樹脂を含浸させる工程1と、前記樹脂を含浸させたグラスファイバー製のシートを熱乾燥する工程2と、前記熱乾燥されたグラスファイバー製のシートから、略中央に砥石軸挿通孔を有する大円板を形成する工程3と、前記大円板を複数枚重ね合わせ、熱間でプレス成形する工程4と、前記大円板の砥石軸連通孔を連通するフランジを取り付ける工程5とを備えた。
【選択図】図4
Description
本発明は、円板基体の下面に砥粒保持シート片を接着した回転砥石に関するものであり、特に、該回転砥石用の円板基体の製造方法に関する。
ディスクグラインダー等の回転工具に取り付けて使用される回転砥石として、従来より、「片面に砥粒Gを付着させた四角形状の同サイズ砥粒保持シート片41を金属等からなる剛性の大きい円板基体3の下面30に放射状に、且つ、隣合うシート片41同士が一部重なり合うように配置するとともに、それらシート片41を接着剤にて該基体下面30に接着して形成」されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような回転砥石で研削や研磨を行う際において、被研磨面に凹みや湾曲部分がある場合、作業者は、回転砥石を被研磨物に強く押し当てて作業を行う。しかし、円板基体は金属やプラスチックなどで構成されていて剛性が高く柔軟性に欠けるため、被研磨物の凹みや湾曲部分に回転砥石の研磨面を追従させるのが困難であった。また、作業者が非常に強い力で回転砥石を押し当てることでこの追従性を得ることができる場合もあるが、作業者の労力負担も非常に大きかった。さらに、回転砥石を強く押し当てると、回転砥石の研磨面と被研磨物との間に大きな摩擦熱が発生し、回転砥石及び被研磨物の表面が変質するおそれがあり、また、回転砥石の劣化(摩耗)が促進される。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、研磨効率が高く、かつ、作業者の作業負担の小さい回転砥石を得ることのできる円板基体の製造方法、円板基体、及び回転砥石を提供するものである。
本発明は、中央取付部と、該中央取付部と一体の砥粒保持シート片の取付部とを備えた回転砥石用の円板基体の製造方法であって、グラスファイバー製のシートに樹脂を含浸させる工程と、前記樹脂を含浸させたグラスファイバー製のシートを熱乾燥する工程と、前記熱乾燥されたグラスファイバー製のシートから、略中央に砥石軸挿通孔を有する大円板を形成する工程と、前記大円板を複数枚重ね合わせ、熱間でプレス成形する工程と、前記大円板の砥石軸連通孔を連通するフランジを取り付ける工程とを備えたものである。
本発明に係る回転砥石用の円板基体の製造方法によれば、上記のような構成とすることにより、薄型でかつ弾力性に富んだ円板基体を得ることができる。したがって、研磨対象である被処理物への研磨層の追従性を高めて研磨効率を向上させることができるとともに、作業者の労力を軽減することができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る研磨ディスクの円板基体10の平面図、図2は同じく円板基体10の側面断面模式図である。なお、図1、図2、及び以降の図面では、主要部を中心に説明するため、各構成部材の大小関係が一部実際のものと異なる場合がある。
図1は、本発明の実施の形態1に係る研磨ディスクの円板基体10の平面図、図2は同じく円板基体10の側面断面模式図である。なお、図1、図2、及び以降の図面では、主要部を中心に説明するため、各構成部材の大小関係が一部実際のものと異なる場合がある。
図1において、円板基体10はその外形が平面視略円形であり、中央取付部12と取付部13とで構成されている。中央取付部12の略中央には、ディスクグラインダ等の回転工具の回転軸(図示せず)を取り付けるための砥石軸挿通孔11が設けられ、砥石軸挿通孔11にはフランジ14が取り付けられている。
図2に示すように、円板基体10は、中央取付部12が上方に膨出しており、中央取付部12が高く、取付部13が低くなるように断面ハット状に形成されている。中央取付部12は、回転工具(図示せず)に固定される際の、回転工具との当接部となる。取付部13の下面には、後述の砥粒保持シート片20が取り付けられる。
砥石軸挿通孔11は、ディスクグラインダー等の回転工具に取り付けるための穴であり、図示しない回転工具の回転軸を挿通して回転工具に固定する。
フランジ14は、金属等で構成され、砥石軸挿通孔11を上下から挟むようにして取り付けられており、砥石軸挿通孔11の周辺を保護している。
図3は、円板基体10の側面断面模式図であり、図2の拡大模式図に相当する。図3において、円板基体10は、3枚の大円板101と、1枚の小円板102とが重ね合わされて構成されている。
大円板101及び小円板102は、網目状をなすグラスファイバー製のシートを大円板形状あるいは小円板形状に打抜加工されて形成されている。大円板101及び小円板102の中央部には、砥石軸挿通孔11が形成されている。
小円板102は、大円板101よりも小径であり、小円板102の外周端121が前記取付部13の略中間付近に位置するようにその直径が設定されている。また、3枚の大円板101はすべて略同一直径である。
なお、図3では、説明のため小円板102の厚みが判別できるように図示しているが、後述の製造方法によれば小円板102及び大円板101は薄く成形されるので、小円板102の厚みが肉眼では認識できない場合もある。もちろん、グラスファイバー製のシートの厚みによっては、小円板102の厚みが判別できる場合もある。
次に、上記の構成の円板基体10の製造方法について図4、図5を参照しながら説明する。
(工程1)
まず、網目状をなすグラスファイバー製のシートの表面に樹脂を塗布し、その後、ローラ等で絞って一定量の樹脂をグラスファイバー製のシートに含浸させる。含浸させる樹脂は、例えば、フェノール樹脂を用いることができる。含浸する樹脂量は、グラスファイバー製シートの重量に対し、重量比で約25〜40%が目安となる。この割合によれば、円板基体10の成形が容易にできることがわかった。
まず、網目状をなすグラスファイバー製のシートの表面に樹脂を塗布し、その後、ローラ等で絞って一定量の樹脂をグラスファイバー製のシートに含浸させる。含浸させる樹脂は、例えば、フェノール樹脂を用いることができる。含浸する樹脂量は、グラスファイバー製シートの重量に対し、重量比で約25〜40%が目安となる。この割合によれば、円板基体10の成形が容易にできることがわかった。
(工程2)
次に、樹脂を含浸させた網目状をなすグラスファイバー製のシートを熱乾燥する。ここでは、グラスファイバー製シートに含浸させた樹脂が完全に乾燥することなく、表面に塗布したフェノール樹脂が指に付着しない程度に半乾燥状態にする。
次に、樹脂を含浸させた網目状をなすグラスファイバー製のシートを熱乾燥する。ここでは、グラスファイバー製シートに含浸させた樹脂が完全に乾燥することなく、表面に塗布したフェノール樹脂が指に付着しない程度に半乾燥状態にする。
(工程3)
次に、半乾燥状態に熱乾燥された網目状をなすグラスファイバー製のシートから、大円板101を打抜加工し、同心円状に砥石軸挿通孔11を形成する。
同様にして、大円板101より小径の小円板102を打抜加工し、同心円状に砥石軸挿通孔11を形成する。本実施の形態1では、1つの円板基体10につき、3枚の大円板101と、1枚の小円板102を用いる。
次に、半乾燥状態に熱乾燥された網目状をなすグラスファイバー製のシートから、大円板101を打抜加工し、同心円状に砥石軸挿通孔11を形成する。
同様にして、大円板101より小径の小円板102を打抜加工し、同心円状に砥石軸挿通孔11を形成する。本実施の形態1では、1つの円板基体10につき、3枚の大円板101と、1枚の小円板102を用いる。
(工程4)
図4は、工程4を示す側面断面模式図である。図4においては、カーボンシート15、小円板102、3枚の大円板101が下から順に重ね合わされている。カーボンシート15は、大円板101とほぼ同形状で同心円状に砥石軸挿通孔11が形成されており、大円板101及び小円板102に含浸された樹脂がしみ出すのを防ぐためのものである。そして、カーボンシート15、小円板102、大円板101の砥石軸挿通孔11を連通するように、フランジ14を上下から嵌合して固定する。
なお、図4では、小円板102を大円板101の最上部(図4では下方向に相当)に重ねる場合の例を示しているが、小円板102を大円板101と大円板101の間に挿入してもよい。
図4は、工程4を示す側面断面模式図である。図4においては、カーボンシート15、小円板102、3枚の大円板101が下から順に重ね合わされている。カーボンシート15は、大円板101とほぼ同形状で同心円状に砥石軸挿通孔11が形成されており、大円板101及び小円板102に含浸された樹脂がしみ出すのを防ぐためのものである。そして、カーボンシート15、小円板102、大円板101の砥石軸挿通孔11を連通するように、フランジ14を上下から嵌合して固定する。
なお、図4では、小円板102を大円板101の最上部(図4では下方向に相当)に重ねる場合の例を示しているが、小円板102を大円板101と大円板101の間に挿入してもよい。
このように重ねたカーボンシート15、小円板102、及び大円板101を、円板基体10の形状のプレス型を備えたプレス装置を用いて熱間でプレス成形する。熱間でプレス成形するときのプレス型の温度は、グラスファイバー製のシートに含浸させた樹脂の融点の手前の温度とし、例えば樹脂としてフェノール樹脂を用いた場合には55〜80℃程度とする。また、プレス成型時の圧力と時間は、小円板102と大円板101とが密着するのに必要な圧力及び時間とする。このように熱間でプレス成形することで、グラスファイバー製のシートに含浸させた樹脂全体が溶けて大円板101と小円板102とが互いに密着して圧縮される。
工程4のプレス成形が終了すると、前述の図2で示したように断面ハット型に成型される。なお、以降の説明において、プレス成形が終了した状態の円板基体を、円板基体10aと称する。
(工程5)
図5は、工程5を示す側面断面模式図である。図5においては、焼成するときに用いる合わせ型30と、プレス成形が終了した円板基体10aとが交互に重ね合わせられ、芯棒31がこれらの中心を連通している。円板基体10aの重ね枚数は、約20〜30枚とすることができる。このように交互に重ねた円板基体10aと合わせ型30とを、所定の温度及び時間で焼成する。なお、このときの温度及び時間は、円板基体10aが硬化するのに十分でかつグラスファイバーが劣化しない程度の温度及び時間とし、例えば、約150〜180℃で約6〜15時間焼成することができる。
図5は、工程5を示す側面断面模式図である。図5においては、焼成するときに用いる合わせ型30と、プレス成形が終了した円板基体10aとが交互に重ね合わせられ、芯棒31がこれらの中心を連通している。円板基体10aの重ね枚数は、約20〜30枚とすることができる。このように交互に重ねた円板基体10aと合わせ型30とを、所定の温度及び時間で焼成する。なお、このときの温度及び時間は、円板基体10aが硬化するのに十分でかつグラスファイバーが劣化しない程度の温度及び時間とし、例えば、約150〜180℃で約6〜15時間焼成することができる。
工程5の焼成が終了すると、円板基体10が完成する。焼成することにより、グラスファイバー製のシート内に樹脂が溶融・浸潤して焼結し、円板基体10の強度を高めることができる。
図6は、以上のように構成した円板基体10に、砥粒保持シート片20を接着した研磨ディスク100を示している。図6(A)は平面図であり、図6(B)は側面模式図である。
図6において、円板基体10の取付部13には、方形状に成形された複数の砥粒保持シート片20が放射状に配置されて接着されている。砥粒保持シート片20は、布や紙などで構成されたシート状の基材の表面に研磨材粉末を接着剤等により固着した研磨紙、研磨布、その他の研磨用シートを方形状に成形したものである。砥粒保持シート片20は、研磨材粉末が固着された研磨面が表面になるようにして、互いに一部が重ね合わされて配置されている。
以上のように構成した研磨ディスク100は、砥石軸挿通孔11を介して、ディスクグラインダなどの回転工具の回転軸(図示せず)に取り付けられる。そして、回転工具が駆動すると、研磨ディスク100も回転し、砥粒保持シート片20の研磨面を被研磨物に接触させることにより、研磨を行うことができる。
ここで、本実施の形態1に係る円板基体10の弾性力について説明する。図7に示すように、円板基体10を支持台50に固定した状態で、圧子51によって円板基体10の外周端を所定の荷重で押圧し、押圧により円板基体10の外周端が移動した距離をたわみ量とし、たわみ量を弾性力の指標とする。なお、円板基体10は、砥石軸挿通孔11に支持台50の固定軸50aを挿通させてナット50bで固定されている。また、支点の中心から圧子の中心までの距離は、49mmである。このような測定装置を用い、本実施の形態1に係る円板基体10及び従来の円板基体について、所定の荷重で押圧したときのたわみ量を測定した。
図8は、本実施の形態1に係る円板基体10のたわみ量を示すグラフ、図9は従来の円板基体のたわみ量を示すグラフである。図8及び図9において、縦軸は圧子51への荷重、横軸はたわみ量を示す。図8において、グラフAは本実施の形態1に係る円板基体10の測定結果である。また、グラフBは、本実施の形態1に係る円板基体10と同様にして製造され、大円板101を4枚重ねて製造した点のみ異なる円板基体(以下、4枚重ねの円板基体と称する)の測定結果である。
なお、従来の円板基体としては、網目状をなすグラスファイバー製のシートの表面に樹脂を塗布し(工程1に相当)、これを熱乾燥し(工程2に相当)、大円板を7枚打ち抜いて重ね(工程3に相当)、所定温度で焼成(工程5に相当)して製造されたものである。すなわち、従来の円板基体は、本実施の形態1の(工程3)において小円板を使用せず大円板のみを7枚重ねて構成されている点、及び、(工程4)を行わずに製造されている点が異なる。
図8のグラフAに示すように、本実施の形態1に係る円板基体10の最大のたわみ量は約23mm、また、図8のグラフBに示す4枚重ねの円板基体の最大のたわみ量は約24mmである。これに対し、図9に示す従来の円板基体は、たわみ量約7.5mmを境に破壊されたので、最大のたわみ量は約7.5mmといえる。したがって、本実施の形態1に係る円板基体10の最大のたわみ量は従来の円板基体の約3倍であり、円板基体10は非常に柔軟性に優れていることがわかる。
なお、図示しないが、本実施の形態1に係る円板基体10と同様にして製造され、大円板101を2枚重ねて製造した円板基体、及び5枚重ねて製造した円板基体についても、図8と同様の傾向を示す測定結果が得られた。
なお、図示しないが、本実施の形態1に係る円板基体10と同様にして製造され、大円板101を2枚重ねて製造した円板基体、及び5枚重ねて製造した円板基体についても、図8と同様の傾向を示す測定結果が得られた。
ここで、ディスクグラインダー等に研磨ディスクを取り付けて作業者が研磨作業を行う場合において、1馬力の力で研磨を行うとすると、従来は、作業者が約35Nの荷重をかけていた。言い換えると、作業者が約35Nの荷重で加圧することにより、研磨ディスクを撓らせ、研磨ディスクの研磨面を被研磨対象に接触させて研磨作業を行っていた。
35Nの荷重をかけた場合のたわみ量を図8と図9で比較すると、図8のグラフAではたわみ量が約6mmであるのに対し、図9ではたわみ量が約0.8mmである。このように、従来通りの荷重(35N)で作業者が加圧した場合、本実施の形態1に係る円板基体10は、従来の約7.5倍のたわみ量を得ることができ、柔軟性に優れている。
35Nの荷重をかけた場合のたわみ量を図8と図9で比較すると、図8のグラフAではたわみ量が約6mmであるのに対し、図9ではたわみ量が約0.8mmである。このように、従来通りの荷重(35N)で作業者が加圧した場合、本実施の形態1に係る円板基体10は、従来の約7.5倍のたわみ量を得ることができ、柔軟性に優れている。
図10は、圧子51への押圧荷重とたわみによる接触面積の関係を示すグラフである。ここで、たわみによる接触面積とは、円板基体10を押圧したときに、取付部13が所定位置に設けられた被研磨面に接触する面積をいう。図10において、横軸は押圧荷重、縦軸は接触面積を示す。なお、図10のグラフAは本実施の形態1に係る円板基体10、グラフBは4枚重ねの円板基体、グラフCは従来の円板基体の測定結果である。
図10に示すように、35Nの荷重で押圧した場合、従来の円板基体の接触面積は約3.6平方センチメートルであるのに対し、本実施の形態1に係る円板基体10の接触面積は約11平方センチメートルであって、従来の約3倍である。このように、従来通りの荷重(35N)で作業者が加圧した場合、従来の約3倍の研磨面積を得ることができ、研磨効率を大幅に向上させることができる。
図10に示すように、35Nの荷重で押圧した場合、従来の円板基体の接触面積は約3.6平方センチメートルであるのに対し、本実施の形態1に係る円板基体10の接触面積は約11平方センチメートルであって、従来の約3倍である。このように、従来通りの荷重(35N)で作業者が加圧した場合、従来の約3倍の研磨面積を得ることができ、研磨効率を大幅に向上させることができる。
また、従来品において35Nの力で押圧していたときと同様の接触面積(約3.6平方センチメートル)を得ようとすると、本実施の形態1に係る円板基体10は、12N未満の押圧力でよい。したがって、従来の約1/3程度の荷重で作業者が加圧することにより、従来と同様の研磨作業を行うことができる。このため、作業者の作業負担を大幅に軽減することができる。
このように本実施の形態1に係る円板基体10は、上述した工程4で大円板101と小円板102とを熱間でプレス成形したので、弾性力を備えるとともに、十分な硬度をも備えている。このため、被研磨物に対する追従性がよく、被研磨物の凹みや湾曲部分などの複雑な形状に、研磨ディスク100の研磨面を容易に沿わせることができる。したがって、作業者が回転工具に取り付けた研磨ディスク100を被研磨物に押し当てると、円板基体10の弾性力により、従来よりも小さい押圧力で効率よく研磨することができる。
ここで、図11を参照して、従来の研磨ディスク200と本実施の形態1に係る研磨ディスク100とを比較する。図11は、従来の一般的な研磨ディスク200を示し、図11(A)は平面図、図11(B)は側面模式図である。図11において、研磨ディスク200は、中央取付部12と取付部13を有する円板基体210の表面に、砥粒保持シート片220が放射状に配置されて接着されている。円板基体210は、プラスチックあるいは金属で構成されている。そして、砥粒保持シート片220は、前述の砥粒保持シート片20と比較すると円板基体210の中央には、砥石軸挿通孔11が形成されるとともに、フランジ14が取り付けられている。また、円板基体10の中央の中央取付部12には、パッド215が取り付けられている。パッド215は、ディスクグラインダ等の研磨工具に取り付けられるときの接触面となり、研磨工具の振動等から研磨ディスク200を保護する役割を持っている。
図11と図6を比較すると、本実施の形態1に係る研磨ディスク100に取り付けられた砥粒保持シート片20は、従来の砥粒保持シート片220よりも面積(幅)が大きく、枚数が少ないと同時に、砥粒保持シート片20が重なり合った厚みも小さい(図6(B)、図11(B)参照)。
上述した通り、被研磨面に凹みや湾曲部分のある被研磨物を効率良く研磨するためには、被研磨面への追従性を高める必要があり、このための手段の1つが研磨ディスクに弾性力を持たせることである。従来の研磨ディスク200では、円板基体210が弾性力のないプラスチックや金属で構成されていたので、砥粒保持シート片220の重なりの厚みにより弾性力を得ていた。そして、砥粒保持シート片220の同士を立てた状態で重ね、砥粒保持シート片220の先端部分を利用して研磨していた。また、研磨作業により砥粒保持シート片220が摩耗してくると砥粒保持シート片220の弾性力は低下し、十分な研磨を行うことができないので廃棄せざるを得なかった。
本実施の形態1に係る研磨ディスク100では、円板基体10が上述の通り大きな弾性を備えているので、例えば砥粒保持シート片20の重ね枚数が少ない場合でも、被研磨面への追従性を十分に確保することができる。このため、砥粒保持シート片20の枚数を少なくすることができ、かつ、砥粒保持シート片20同士の重なり面積も小さくすることができる。砥粒保持シート片20同士の重なり面積が小さくなることにより、被研磨物への接触面積が大きくなり、研磨効率を向上させることができる。また、研磨ディスク100に必要な砥粒保持シート片20の枚数も少ないので、製造コストを低減することができ、また、使用後の砥粒保持シート片20の廃棄量も削減することができる。
また、砥粒保持シート片20が被研磨物に接する際の角度を比較すると、従来の研磨ディスク200の砥粒保持シート片20の方が、角度が大きい。したがって、従来の研磨ディスク200の砥粒保持シート片20が被研磨物に接する先端部には大きな圧力がかかり、砥粒保持シート片20は容易に磨り減ってしまっていた。このため、従来の研磨ディスク200で研削を行うのは困難であった。本実施の形態1に係る研磨ディスク100は、砥粒保持シート片20の枚数を減らすことができ、砥粒保持シート片20が被研磨物に接する際の角度が従来よりも小さい。したがって、被研磨物に対して砥粒保持シート片20は面接触し、この接触部分にかかる圧力も小さくなる。このため、従来よりも研磨能力が向上し、研磨のみならず研削をも行うことができるようになる。
また、従来の研磨ディスク200では、砥粒保持シート片20が被研磨物に対して線で接触していたので、作業者はディスクグラインダなどの研磨工具を強い力で被研磨物に押し当てなければ研磨が行えず、作業者の作業負担が大きかった。本実施の形態1に係る研磨ディスク100は、砥粒保持シート片20が被研磨物に対して面で接触するので、作業者は従来よりも小さい力で研磨作業を行うことができる。このため、作業者の労力や疲労を軽減することができる。
また、本実施の形態1に係る研磨ディスク100では、砥粒保持シート片20の枚数を従来よりも少なくすることができるので、研磨ディスク100自体の重量を軽くすることができる。このため、作業者の作業負担を軽減することができる。
さらに、本実施の形態1に係る研磨ディスク100の円板基体10は、上述の通り適度な弾性を備えつつも、十分な折り曲げ強度を備えている。一般に、ディスクグラインダ等を用いて研磨を行う場合、研磨ディスクを強い力で被研磨物の凹凸部分に押し当てて研磨を行うので、研磨ディスクには大きな折り曲げ力が加えられることになる。本実施の形態1に係る研磨ディスク100は、十分な折り曲げ強度を備えているので、研磨中に大きな折り曲げ力が加えられた場合でも、簡単に破損するようなことはない。
また、本実施の形態1に係る研磨ディスク100の円板基体10は、小円板102を備えたので、中央取付部12を小円板102によって補強することができる。従来の研磨ディスク200は、別体のパッド215を研磨ディスク200の中央部に取り付けてからディスクグラインダ等の研磨工具に取り付けることで、研磨ディスク200を保護していた。本実施の形態1に係る研磨ディスク100では、小円板102が従来のパッドと同等の機能を果たすので、構成をシンプルにできるとともに、軽量化に寄与し、製造コストも軽減することができる。
なお、上記説明では、3枚の大円板101と1枚の小円板102を用いて1枚の円板基体を製造する場合を例に説明したが、大円板101の枚数はこれに限るものではなく、研磨目的に応じて枚数を変えることができる。例えば、大円板101の枚数を少なくすると円板基体10の弾性力は増加し、より凹凸のある被研磨物に対しての追従性を増すことができる。なお、大円板101の重ね枚数は2〜5枚が適切であり、実施の形態1で述べた効果を得ることができるが、特に、重ね枚数3枚又は4枚とすると、円板基体10の弾性力と強度のバランスが優れている。
また、大円板101と小円板102を構成するグラスファイバー製のシートのグラスファイバーの太さを適宜選択することによって、円板基体10の強度を変化させることができる。例えば、グラスファイバーを太くすると、円板基体10の強度は大きくなる。したがって、グラスファイバーの太さと、大円板101の枚数を適宜選択することにより、研磨目的に応じた弾性力と強度とを得ることができる。
また、大円板101と小円板102を構成するグラスファイバー製のシートのグラスファイバーの太さを適宜選択することによって、円板基体10の強度を変化させることができる。例えば、グラスファイバーを太くすると、円板基体10の強度は大きくなる。したがって、グラスファイバーの太さと、大円板101の枚数を適宜選択することにより、研磨目的に応じた弾性力と強度とを得ることができる。
また、上記説明では、小円板102の直径は、小円板102の外周端121が前記取付部13の略中間付近に位置するように設定する場合の例について説明したが、研磨目的に応じて小円板102の直径を変えることができる。例えば、小円板102の直径を大きくすると、円板基体10の強度が増すので、より硬い被研磨物を研磨するのに適している。また、小円板102の直径を小さくすると、円板基体10の柔軟性が大きくなり、より凹凸のある被研磨物に対しての追従性が増し、研磨効率を向上させることができる。
10 円板基体、10a 円板基体(プレス成形が終了した状態)、11 砥石軸挿通孔、12 中央取付部、13 取付部、14 フランジ、15 カーボンシート、20 砥粒保持シート片、30 合わせ型、31 芯棒、50 支持台、50a 固定軸、50b ナット、51 圧子、100 研磨ディスク、101 大円板、102 小円板、121 外周端、200 研磨ディスク、210 円板基体、215 パッド、220 砥粒保持シート片。
Claims (9)
- グラスファイバー製のシートに樹脂を含浸させる工程と、
前記樹脂を含浸させたグラスファイバー製のシートを熱乾燥する工程と、
前記熱乾燥されたグラスファイバー製のシートから、略中央に砥石軸挿通孔を有する大円板を形成する工程と、
前記大円板を複数枚重ね合わせ、熱間でプレス成形する工程と、
前記大円板の砥石軸連通孔を連通するフランジを取り付ける工程とを備えた
ことを特徴とする回転砥石用の円板基体の製造方法。 - 前記熱乾燥されたグラスファイバー製のシートから、略中央に砥石軸挿通孔を有し、前記大円板より小径の小円板を形成する工程を含み、
前記熱間でプレス成形する工程においては、前記複数の大円板の最上部または大円板と大円板との間に前記小円板を重ね合わせて熱間でプレス成形する
ことを特徴とする請求項1記載の回転砥石用の円板基体の製造方法。 - 前記熱間でプレス成形する工程の後に、焼成する工程を備えた
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の回転砥石用の円板基体の製造方法。 - 前記大円板が3枚又は4枚重ね合わされる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の回転砥石用の円板基体の製造方法。 - 前記グラスファイバー製のシートに含浸させる樹脂がフェノール樹脂である
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の回転砥石用の円板基体の製造方法。 - 前記グラスファイバー製のシートに含浸させるフェノール樹脂の割合が、重量比で前記グラスファイバー製のシートの25〜40%である
ことを特徴とする請求項5記載の回転砥石用の円板基体の製造方法。 - 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の回転砥石用の円板基体の製造方法によって製造された回転砥石用の円板基体。
- 中心に砥石軸挿通孔を有し上方に向かって膨出する中央取付部、及び、該中央取付部と一体の砥粒保持シート片の取付部を有する回転砥石用の円板基体であって、
グラスファイバー製のシートを複数枚重ねて熱間でプレス成形して構成されている
ことを特徴とする回転砥石用の円板基体。 - 請求項7または請求項8に記載の回転砥石用の円板基体に研磨布紙を接合した
ことを特徴とする回転砥石。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008302998A JP2010125562A (ja) | 2008-11-27 | 2008-11-27 | 回転砥石用の円板基体の製造方法、回転砥石用の円板基体、及び回転砥石 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5705363B1 (ja) * | 2014-10-08 | 2015-04-22 | 株式会社イチグチ | 研磨ディスク |
JP2017019062A (ja) * | 2015-07-13 | 2017-01-26 | 海福砂輪有限公司 | 研磨ディスク及びその研磨ディスクの製造方法 |
-
2008
- 2008-11-27 JP JP2008302998A patent/JP2010125562A/ja not_active Withdrawn
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