JP2010123836A - In−Sn−Ln系半導体膜を有する薄膜トランジスタ - Google Patents

In−Sn−Ln系半導体膜を有する薄膜トランジスタ Download PDF

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Masashi Kasami
雅司 笠見
Kiminori Yano
公規 矢野
Kazuyoshi Inoue
一吉 井上
Shigekazu Tomai
重和 笘井
Hirokazu Kawashima
浩和 川嶋
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Abstract

【課題】半導体膜上の金属薄膜だけを選択的にエッチングすることができる酸化インジウム及び酸化スズ系の半導体膜を有する薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】酸化インジウム、酸化スズ及び正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する非晶質酸化物半導体膜をチャンネル層とし、
非晶質酸化物半導体膜における、インジウム元素(In)、スズ元素(Sn)及び正3価のランタノイド系元素(Ln)の含有量が下記の条件を満たす薄膜トランジスタ。
In/(In+Sn+Ln)=0.2〜0.8
Sn/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.4
Ln/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.4
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化インジウム及び酸化スズを主成分とし、正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する非晶質半導体膜を有する薄膜トランジスタ(TFT)に関する。
近年、表示装置の発展は目覚ましく、液晶表示装置やEL表示装置等、種々の表示装置がパソコンやワ−プロ等のOA機器へ活発に導入されている。これらの表示装置は、いずれも表示素子を透明導電膜で挟み込んだサンドイッチ構造を有している。
上記の表示装置を駆動させるスイッチング素子には、現在、シリコン系の半導体膜が主流を占めている。それは、シリコン系薄膜の安定性、加工性の良さの他、スイッチング速度が速い等が良好なためである。このシリコン系薄膜は、一般に化学蒸気析出法(CVD)法により作製されている。
しかしながら、シリコン系薄膜が非晶質の場合、スイッチング速度が比較的遅く、高速な動画等を表示する場合は画像を表示できないという難点を有している。また、結晶質のシリコン系薄膜の場合には、スイッチング速度は比較的速いが、結晶化するために800℃以上の高温や、レーザーによる加熱等が必要であり、製造時に多大なエネルギーと工程を要する。また、シリコン系の薄膜は、電圧素子としても性能は優れているものの、電流を流した場合、その特性の経時変化が問題となっている。
シリコン系薄膜よりも安定性に優れるとともに、ITO膜と同等の光透過率を有する透明半導体膜を得るための材料が検討されている。例えば、酸化インジウム及び酸化スズからなる酸化物;酸化インジウム、酸化ガリウム及び酸化亜鉛からなる酸化物;酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる酸化物が提案されている(特許文献1参照。)。これらの酸化物からなる透明半導体膜は、弱酸でエッチングされ、そのエッチング速度が非常に速いという特徴がある。しかしながら、金属薄膜に使用されるエッチング液によってもエッチングされるため、透明半導体膜上の金属薄膜をエッチングする場合に、金属薄膜と同時にエッチングされることがあった。そのため、透明半導体膜上の金属薄膜だけを選択的にエッチングする場合には不適であった。
国際公開WO2005/088726号
本発明の目的は、ソース・ドレイン電極を形成するときの金属薄膜のエッチング工程でエッチングされない半導体膜を有する薄膜トランジスタを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意研究した結果、酸化インジウム及び酸化スズに、正3価のランタノイド系金属酸化物を含有させて形成した半導体膜を使用することにより、半導体膜上の金属薄膜だけを選択的にエッチングでき、また、高性能な薄膜トランジスタが得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の薄膜トランジスタ等を提供することができる。
1.酸化インジウム、酸化スズ、及び正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する非晶質酸化物半導体膜をチャンネル層として有し、前記非晶質酸化物半導体膜における、インジウム元素(In)、スズ元素(Sn)及び正3価のランタノイド系元素(Ln)の含有量が下記の条件を満たす薄膜トランジスタ。
In/(In+Sn+Ln)=0.2〜0.8
Sn/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.4
Ln/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.4
2.前記正3価のランタノイド系金属酸化物が、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッテリビウム、酸化ユーロピウム及び酸化ツリウムから選択される1種又は2種以上の酸化物である1に記載の薄膜トランジスタ。
3.酸化インジウム、酸化スズ、及び正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する半導体膜を成膜する工程と、前記半導体膜を熱処理する工程を含む、1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
4.前記半導体膜を酸素の存在下に、150〜450℃で0.5〜1200分間熱処理する3に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
5.チャンネルエッチ型の薄膜トランジスタの製造方法である3又は4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
6.エッチストッパー型の薄膜トランジスタの製造方法である3又は4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
本発明によれば、酸化インジウム、酸化スズ及び正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する半導体膜を使用することにより、半導体膜上の金属薄膜だけを選択的にエッチングできる。これにより、TFTの製造が容易となる。また、高性能な薄膜トランジスタが得られる。
本発明の薄膜トランジスタは、酸化インジウム及び酸化スズを主成分とし、正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する非晶質半導体膜を有することを特徴とする。
図1は、本発明の薄膜トランジスタの実施形態を示す概略断面図である。
薄膜トランジスタ1は、基板10及び絶縁膜30の間にゲート電極20を挟持しており、ゲート絶縁膜30上には半導体膜(チャンネル層)40が活性層として積層されている。さらに、半導体膜40の端部付近を覆うようにしてソース電極50及びドレイン電極52がそれぞれ設けられている。半導体膜40、ソース電極50及びドレイン電極52で囲まれた部分にチャンネル部60を形成している。
尚、図1の薄膜トランジスタ1はいわゆるチャンネルエッチ型薄膜トランジスタである。本発明の薄膜トランジスタは、チャンネルエッチ型薄膜トランジスタに限定されず、本技術分野で公知の素子構成を採用できる。例えば、エッチストッパー型の薄膜トランジスタでもよい。
図2は、本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態を示す概略断面図である。尚、上述した薄膜トランジスタ1と同じ構成部材には同じ番号を付し、その説明を省略する。薄膜トランジスタ2はいわゆるエッチストッパー型薄膜トランジスタである。
薄膜トランジスタ2は、エッチストッパー型の薄膜トランジスタである。薄膜トランジスタ2は、チャンネル部60を覆うようにエッチストッパー70が形成されている点を除き、上述した薄膜トランジスタ1と同じ構成である。半導体膜40の端部付近及びエッチストッパー70の端部付近を覆うようにしてソース電極50及びドレイン電極52がそれぞれ設けられている。
本発明では半導体膜40に、酸化インジウム及び酸化スズを主成分とし、正3価のランタノイド系金属元素(Ln)の酸化物を含有する非晶質半導体膜を使用する。
半導体膜を非晶質膜とすることにより、エッチング加工性に優れ、薄膜トランジスタの生産性を高くできる。尚、「非晶質膜」とは、X線回折により、結晶ピークを確認できない層を意味する。
本発明では、非晶質酸化物半導体膜における、インジウム元素(In)、スズ元素(Sn)及び正3価のランタノイド系元素(Ln)の含有量が下記の条件1を満たす。
・条件1
In/(In+Sn+Ln)=0.2〜0.8
Sn/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.4
Ln/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.4
上記の条件は、非晶質酸化物半導体膜の主成分が、酸化インジウム及び酸化スズであることを意味する。即ち、半導体膜に含まれている全金属元素(In+Sn+Ln)に占めるIn及びSn元素の含有量が60原子%以上であることを意味する。これにより、ソース電極50及びドレイン電極52のエッチングの際に、半導体膜がエッチングされることを抑制できる。
また、半導体膜がLnを含有しているので、酸素雰囲気下で半導体膜を成膜した際に、膜の酸素取り込みを促進する。これにより、半導体膜のキャリヤー濃度を、酸化物半導体として適当な、2×10+17cm−3未満(室温付近)に制御することが可能となり、良好な特性、例えば、移動度の高い薄膜トランジスタが得られる。
尚、半導体膜の室温付近におけるキャリヤー密度は、好ましくは2×10+17cm−3未満である。キャリヤー密度が2×10+17cm−3以上では、TFTとして駆動しないおそれがある。また、TFTとして駆動したとしてもノーマリーオンになったり、閾値電圧がマイナスに大きくなったり、On−Off値が小さくなる場合がある。
非晶質酸化物半導体膜におけるインジウム元素(In)の含有量が0.2未満の場合、TFTの移動度が低下する場合がある。一方、0.8を超えると、結晶化して導電体となる場合がある。また、TFTとして駆動してもノーマリーオンになったり、閾値電圧が大きくマイナス側になったり、On−Off値が小さくなる場合がある。
非晶質酸化物半導体膜におけるスズ元素(Sn)の含有量が0.1未満の場合、金属薄膜のエッチングに使用される燐酸・酢酸・硝酸の混酸に溶解するようになり、チャンネルエッチ型TFTを製造することができないことや、TFTの製造に、リフトオフ法によるパターニング等の煩雑な方法を採用することが必要となる場合がある。一方0.4を超えると、非晶質酸化物半導体膜が、エッチング液である蓚酸水溶液に溶解しなくなり、通常のエッチング液でパターニングができなくなる場合がある。
非晶質酸化物半導体膜における正3価のランタノイド系元素(Ln)の含有量が0.1未満の場合、添加する金属元素(Ln)の量が少なく酸素欠損の低減効果が小さいため、キャリヤー密度が2×10+17cm−3以上になる場合がある。また、半導体膜が結晶化して、導電体になる場合がある。また、TFTとして駆動したとしてもノーマリーオンになったり、閾値電圧がマイナスに大きくなったり、On−Off値が小さくなる場合がある。一方、0.4を超えると、半導体膜の絶縁性が高くなりすぎ、その結果、TFTの移動度が小さくなったり、TFTとして作動しなくなる場合がある。
非晶質酸化物半導体膜における、インジウム元素(In)、スズ元素(Sn)及び正3価のランタノイド系元素(Ln)の含有量は下記の条件2を満たすことが好ましく、さらに、下記の条件3を満たすことが好ましく、特に、下記の条件4を満たすことが好ましい。
・条件2
In/(In+Sn+Ln)=0.4〜0.75
Sn/(In+Sn+Ln)=0.15〜0.3
Ln/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.3
・条件3
In/(In+Sn+Ln)=0.4〜0.7
Sn/(In+Sn+Ln)=0.15〜0.3
Ln/(In+Sn+Ln)=0.15〜0.3
・条件4
In/(In+Sn+Ln)=0.5〜0.7
Sn/(In+Sn+Ln)=0.15〜0.2
Ln/(In+Sn+Ln)=0.15〜0.3
尚、各金属元素の含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)測定により求めることができる。
また、各金属元素の含有量は、例えば、半導体膜を形成する際に使用するスパッタリングターゲットの各元素の存在量を調整することで実施できる。半導体膜の組成は、スパッタリングターゲットの組成とほぼ一致する。
半導体膜が含有する正3価のランタノイド系金属酸化物としては、特に限定はないが、酸化ルテチウム以外のものが好ましい。ランタノイド系金属のイオン半径は、InやSnのイオン半径より格段に大きいので、半導体膜を非晶質化する効果が大きい。しかしながら、ルテチウム(Lu)はランタノイド系金属のなかで、イオン半径が最も小さいため、他のランタノイド系金属よりも半導体膜を非晶質化する効果が低い。また、ルテチウムは、希少金属であり、高価なことから工業的に使用するメリットがない。
正3価のランタノイド系金属酸化物としては、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッテリビウム、酸化ユーロピウム及び酸化ツリウムから選択される1種又は2種以上の酸化物が好ましい。これらの酸化物は、金属元素の仕事関数が小さく酸化されやすい性質を持ち、酸素との結合力が強く、非晶質酸化インジウム及び酸化スズ薄膜の酸素欠損量を低減することが可能となる。酸素欠損は、非晶質の場合には薄膜のどの場所においてもランダム発生すると考えられ、上記金属酸化物は、インジウムのイオン半径とは異なるために、薄膜中にランダムに存在し、酸素との結合力が強いために、酸素欠損の発生を抑えることが出来るようになる。その結果、室温付近の温度においてのキャリヤー密度を、2×10+17cm−3未満に制御できるようになる。
上記金属酸化物のうち、特に、酸化イットリウム、酸化イッテリビウム、酸化エルビウム、酸化ホルミウム、酸化ジスプロシウム、酸化サマリウムが好ましく、さらに、酸化イッテリビウム、酸化サマリウムが好ましい。
尚、本発明の効果が得られる範囲において、半導体膜は、酸化インジウム、酸化スズ及び正3価のランタノイド系金属酸化物以外の成分を含有していてもよい。例えば、酸化ガリウム、酸化スカンジウム等を含有してもよい。
また、本発明で使用する半導体膜は、酸化インジウム、酸化スズ及び正3価のランタノイド系金属酸化物から実質的になっていてもよく、また、これらの成分のみからなっていてもよい。「実質的になる」とは、半導体膜は、酸化インジウム、酸化スズ及び正3価のランタノイド系金属酸化物に加えて上記の他の成分を含みうることである。
本発明の薄膜トランジスタにおいて、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース・ドレイン電極等の構成部材は、公知のものが使用でき、特に限定されない。
例えば、各電極にはAl、Cu、Au等の金属薄膜が使用でき、ゲート絶縁膜には、酸化シリコン膜、酸化ハフニウム膜等の酸化物薄膜を使用できる。
続いて、本発明の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。
本発明の製造方法は、酸化インジウム及び酸化スズ、及び正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する半導体膜を成膜する成膜工程と、半導体膜を熱処理する工程を含む。尚、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース・ドレイン電極等の構成部材は、公知の方法により形成できる。
例えば、基板上にAl、Cu、Au等の金属薄膜からなるゲート電極を形成し、その上に、酸化シリコン膜、酸化ハフニウム膜等からなる酸化物薄膜をゲート絶縁膜として形成する。その上に、金属マスクを装着して必要な部分だけに正3価のランタノイド系金属酸化物を含む酸化インジウム及び酸化スズ膜からなる半導体膜を形成する。その後、金属マスクを用いて、必要部分にソース・ドレイン電極を形成することで、薄膜トランジスタを製造することができる。
半導体膜は、スパッタ法、イオンプレーティング法、蒸着法等により成膜できる。このなかでは、スパッタ法が好ましい。
スパッタリングでは、複合酸化物の焼結ターゲットを用いる方法が好ましい。具体的に、酸化インジウム及び酸化スズに正3価のランタノイド系金属酸化物を添加した複合酸化物の焼結ターゲットが好ましい。尚、複合酸化物の焼結ターゲットは、本技術分野において公知の方法により製造できる。
尚、酸化インジウムターゲット、酸化スズターゲット及び正3価のランタノイド系金属酸化物ターゲットをそれぞれ準備し、共スパッタ法により、それぞれのターゲットに印加する出力を制御することにより、組成を変化させた薄膜を成膜することもできる。
スパッタリングの条件は、使用するターゲットや、半導体膜の膜厚等にあわせて適宜調整することができる。スパッタリング方法は、RFスパッタ法、DCスパッタ法、ACスパッタ法が使用できる。なかでも、DCスパッタ法、ACスパッタ法が、成膜速度も速いため好ましい。
スパッタリング中の酸素濃度は、1〜15%が好ましい。1%未満では、後述する熱処理時に高酸素濃度下に熱処理する必要が出る場合があり、15%超では、熱処理により安定化しない場合がある。
本発明では、半導体膜は非晶質膜である。上述したとおり、本発明で使用する半導体膜は、酸化インジウム及び酸化スズを主成分とし、さらに正3価のランタノイド系金属酸化物を含有させている。この組成とすることで非晶質膜を得ることができる。
尚、半導体膜が非晶質状態を維持するために必要な正3価のランタノイド系金属酸化物の量は、プロセス温度(成膜温度、レジストのプリベーク温度、ポストベーク温度、基板の乾燥温度、金属配線の熱処理温度、TFTを安定化させるための熱処理温度)により変動する場合がある。この場合、プロセス温度等を考慮して、半導体膜における正3価のランタノイド系金属酸化物の含有量を適宜調節すればよい。例えば、プロセス温度が低い場合は、半導体膜における正3価のランタノイド系金属酸化物の含有量が比較的少なくても非晶質状態を維持できる。一方、プロセス温度が高い場合には、正3価のランタノイド系金属酸化物の含有量を多くすることで、容易に非晶質状態を維持できる。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法では、半導体膜の形成後、薄膜を熱処理する工程を行う。
半導体膜の熱処理には、酸素の存在下(大気中や酸素雰囲気下)や窒素雰囲気下にランプアニ―ル装置、レーザーアニール装置、熱風加熱装置、接触加熱装置等を用いることが出来る。
酸素の存在下で熱処理を実施する場合は、スパッタリング中の酸素濃度を1〜7%程度にして成膜することが好ましい。また、窒素雰囲気下で熱処理する場合には、スパッタリング中の酸素濃度を7〜15%にして成膜しておくことが好ましい。
半導体膜を酸素の存在下又は窒素雰囲気下に、150〜450℃、0.5〜1200分の条件で熱処理することが好ましい。150℃未満では、半導体膜が十分に安定化しない場合があり、450℃超では、基板や半導体膜にダメージを与える場合がある。熱処理温度は、180℃〜350℃がさらに好ましく、特に、200℃〜300℃が好ましい。
また、熱処理時間が0.5分未満では、熱処理時間が短すぎて膜の熱安定化が不十分となる場合があり、1200分超では時間が掛かりすぎ生産的ではない。熱処理時間は、1分〜600分がさらに好ましく、特に、5分〜60分が好ましい。
尚、半導体膜の熱処理は、半導体膜の形成後、すぐに実施してもよく、また、ソース・ドレイン電極等、他の構成部材の形成後に実施してもよい。
本発明の製造方法は、特に、チャンネルエッチ型の薄膜トランジスタの製造方法に適している。本発明の半導体膜は非晶質膜であるが、正3価のランタノイド系金属酸化物及び酸化スズを含有する非晶質であるため、Al等の金属薄膜からソース・ドレイン電極及びチャンネル部を形成する方法として、フォトリソグラフィを使用したエッチング工程を採用できる。即ち、金属薄膜を除去するエッチング液では、半導体膜はエッチングされず、金属薄膜を選択的にエッチングできる。尚、エッチストッパー型の薄膜トランジスタの製造方法であってもよい。
実施例1
(A)薄膜トランジスタの作製
図3に示すチャンネルエッチ型の薄膜トランジスタをフォトレジスト法にて作製した。
200nm厚みの熱酸化膜(SiO膜)付きの導電性シリコン基板10を使用した。熱酸化膜がゲート絶縁膜30として機能し、導電性シリコン部がゲート電極20として機能する。
ゲート絶縁膜30上に、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化サマリウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Sm)=0.75、Sn/(In+Sn+Sm)=0.1、Ln/(In+Sn+Sm)=0.15:原子比]を用いて、スパッタリング法で40nmの半導体膜40を成膜した。スパッタリングは、背圧が5×10−4Paとなるまで真空排気したあと、アルゴン9.5sccm、酸素0.5sccmを流しながら、圧力を0.2Paに調整し、スパッタパワー100Wにて室温で行った。
上記半導体膜40の上にレジストを塗布し、80℃で15分間プレベークした。その後、マスクを通してUV光(光強度:300mJ/cm)をレジスト膜に照射し、その後、3wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)にて現像した。純水で洗浄後、レジスト膜を130℃で15分ポストベークし、所望の形状の半導体膜40の形状のレジストパターンを形成した。
レジストパターン付き基板を、蓚酸水溶液(3.5wt%)で処理することで、半導体膜40をエッチングし、半導体膜40形状を形成した。その後、純水で洗浄しエアーブローして乾燥させた。
半導体膜40の形成後に基板を熱処理した。具体的に、基板を熱風加熱炉内で空気中、300℃で30分間熱処理した。
その後、半導体膜40及びゲート絶縁膜30上に、モリブデン金属膜を300nm成膜した。
モリブデン金属膜にレジストを塗布し、80℃で15分間プレベークした。その後、マスクを通してUV光(光強度:300mJ/cm)をレジスト膜に照射し、その後、3wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)にて現像した。純水で洗浄後、レジスト膜を130℃で15分ポストベークし、所望の形状のソース・ドレイン電極形状のレジストパターンを形成した。
レジストパターン付き基板を、燐酸・酢酸・硝酸の混合酸で処理することで、モリブデン金属膜をエッチングし、ソース電極50及びドレイン電極52を形成した。その後、純水で洗浄しエアーブローして乾燥させ、薄膜トランジスタ(チャンネル部60のソース・ドレイン電極間間隙(L)が200μm、幅(W)が500μm)を作製した。この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
この薄膜トランジスタの電界効果移動度は15.4cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。ゲート電極に20V電圧を100分間印加した後のシフト電圧(Vth)は、0.2Vであった。
(B)半導体膜の評価
石英ガラス基板上に、上記(A)のスパッタリングと同じ条件にて半導体膜を形成した。その後、熱風加熱炉内で、空気中、300℃で30分間熱処理した。得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化サマリウムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、7.5×10+16/cmであった。
半導体膜の組成をICP装置で測定したところ、ターゲットの組成と同じであった。後述する実施例及び比較例も同様であった。
実施例2
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化サマリウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Sm)=0.65、Sn/(In+Sn+Sm)=0.15、Sm/(In+Sn+Sm)=0.2]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
この薄膜トランジスタの電界効果移動度は21.1cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
また、得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化サマリウムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、3.7×10+16/cmであった。
実施例3
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化ランタンからなるターゲット[In/(In+Sn+La)=0.7、Sn/(In+Sn+La)=0.15、La/(In+Sn+La)=0.15]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
電界効果移動度は15.3cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ランタンに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、4.3×10+16/cmであった。
実施例4
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化ネオジムからなるターゲット[In/(In+Sn+Nd)=0.78、Sn/(In+Sn+Nd)=0.1、Nd/(In+Sn+Nd)=0.12]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
電界効果移動度は14.8cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
また、得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ネオジムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、8.1×10+16/cmであった。
実施例5
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化ユウロピウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Eu)=0.65、Sn/(In+Sn+Eu)=0.2、Eu/(In+Sn+Eu)=0.15]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
電界効果移動度は13.7cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
また、得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ユウロピウムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、2.7×10+16/cmであった。
実施例6
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化ガドリニウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Gd)=0.7、Sn/(In+Sn+Gd)=0.15、Gd/(In+Sn+Gd)=0.15]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
電界効果移動度は17.5cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
また、得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガドリニウムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、6.8×10+16/cmであった。
実施例7
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化ジスプロシウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Dy)=0.7、Sn/(In+Sn+Dy)=0.15、Dy/(In+Sn+Dy)=0.15]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
電界効果移動度は17.6cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
また、得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジスプロシウムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、2.5×10+16/cmであった。
実施例8
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化エルビウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Er)=0.7、Sn/(In+Sn+Er)=0.15、Er/(In+Sn+Er)=0.15]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
電界効果移動度は11.4cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
また、得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化エルビウムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、5.6×10+16/cmであった。
実施例9
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化ツリウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Tm)=0.7、Sn/(In+Sn+Tm)=0.15、Tm/(In+Sn+Tm)=0.15]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
電界効果移動度は13.8cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
また、得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ツリウムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、8.4×10+16/cmであった。
実施例10
スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化イッテリビウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Yb)=0.7、Sn/(In+Sn+Yb)=0.15、Yb/(In+Sn+Yb)=0.15]を用いた他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタについて、チャンネル層である半導体膜がエッチングされていないことを確認した。
電界効果移動度は16.8cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
また、得られた半導体膜のX線回折(XRD)測定をしたところ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化イッテリビウムに起因する構造のピークは観察されず、ブロードなX線回折パターンが得られた。これにより、半導体膜が非晶質であることが確認できた。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、2.7×10+16/cmであった。
実施例11
図4に示すエッチストッパー型の薄膜トランジスタを、フォトレジスト法にて作製した。
熱酸化膜30(SiO膜)付きの導電性シリコン基板10上に、酸化インジウム及び酸化スズ酸化イッテリビウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Yb)=0.75、Sn/(In+Sn+Yb)=0.13、Yb/(In+Sn+Yb)=0.12]を用いて、実施例1と同様にスパッタリング法で40nmの半導体膜40を成膜した。
次に、Siをターゲットとして、アルゴン:7sccm、酸素3sccm流し、圧力0.5Paにて100nm成膜した。その後、レジストを塗布し、80℃で15分間プレベークした。その後、マスクを通してUV光(光強度:300mJ/cm)をレジスト膜に照射し、その後、3wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)にて現像した。純水で洗浄後、レジスト膜を130℃で15分ポストベークし、チャンネル部60の下部となる部分(エッチストッパー層)にパターンを形成した。CFによるドライエッチングにより、エッチストッパー70を形成した。レジスト剥離剤にて、レジストを剥離し、水洗し、エアーブローにより乾燥した。
その後、半導体膜40、エッチストッパー70上に、モリブデン金属膜を300nm成膜した。
モリブデン金属膜にレジストを塗布し、80℃で15分間プレベークした。その後、マスクを通してUV光(光強度:300mJ/cm)をレジスト膜に照射し、その後、3wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)にて現像した。純水で洗浄後、レジスト膜を130℃で15分ポストベークし、ソース電極50及びドレイン電極52の形状のレジストパターンを形成した。
レジストパターン付き基板を、燐酸・酢酸・硝酸の混合酸で処理することで、モリブデン金属膜をエッチングした。次に、蓚酸水溶液(3.5wt%)にて、半導体膜の一部(図4における基板10上の両端部)をエッチングした。この場合、半導体膜40は結晶化しておらず、燐酸・酢酸・硝酸の混合酸には溶解しないが、蓚酸水溶液で処理することにより、エッチングができる。尚、半導体膜40は、エッチストッパー70にて保護されておりエッチングされることはない。
レジストを剥離後、その後、純水で洗浄しエアーブローして乾燥させた。その後、基板を熱処理した。具体的に、基板を熱風加熱炉内で空気中、300℃で30分間熱処理した。以上の工程により、薄膜トランジスタ(チャンネル部60のソース・ドレイン電極間間隙(L)が200μm、幅(W)が500μm)を作製した。
尚、上記の熱処理をモリブデン金属膜のエッチング前に実施すると、半導体膜の酸化安定化が容易となる場合がある。
この薄膜トランジスタの電界効果移動度は23.5cm/V・sec、On−Off比は10であり、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。ゲート電極に20V電圧を100分間印加した後のシフト電圧(Vth)は、0.2Vであった。
半導体膜は非晶質であった。また、ホール測定により求めたキャリヤー濃度は、5×10+16/cmであった。
実施例12で作製した薄膜トランジスタの出力曲線を図5に、伝達曲線を図6に示す。図5は、ゲート電圧(Vgs)を−5V〜25Vと変更したときの、ドレイン電圧(Vds)と同電流(Ids)の関係を示したものである。図6は、ゲート電圧(Vgs)とドレイン電流(Ids)の関係を示したものであり、白丸からなる線は、ゲート電圧に対するドレイン電流を1/2乗した曲線であり、黒丸からなる線は、ゲート電圧に対するドレイン電流を示す曲線である。
図5及び図6において、「XE−Y」はX×10−Yを意味する。例えば、5.0E−06は5.0×10−6である。
比較例1
スパッタリングターゲットに、酸化インジウム、酸化ガリウム及び酸化亜鉛からなるターゲット[In/(In+Ga+Zn)=0.34、Ga/(In+Ga+Zn)=0.33、Zn/(In+Ga+Zn)=0.33]を使用した他は、実施例1と同様にして薄膜トランジスタを作製した。
その結果、モリブデン金属膜のエッチングの際に、チャンネル部60の下部の半導体膜40もエッチングされ消失していた。従って、TFT特性は測定できなかった。
比較例2
スパッタリングターゲットに、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化サマリウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Sm)=0.9、Sn/(In+Sn+Sm)=0.07、Sm/(In+Sn+Sm)=0.03]を使用した他は、実施例1と同様にして薄膜トランジスタを作製した。
その結果、チャンネル層(実施例では半導体膜)が導電体となったため、TFT特性は観察されなかった。
得られた薄膜のX線回折結果より、結晶質膜であることが判明した。また、ホール測定より求めたキャリヤー濃度は、1.4×1020/cmであった。
比較例3
スパッタリングターゲットに、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化サマリウムからなるターゲット[In/(In+Sn+Sm)=0.65、Sn/(In+Sn+Sm)=0.3、Sm/(In+Sn+Sm)=0.05]を使用し、また、熱処理(熱風加熱炉内で空気中、300℃で30分間熱処理)しなかった他は、実施例1と同様にして薄膜トランジスタを作製した。
その結果、チャンネル層は半導体であり、この薄膜トランジスタの電界効果移動度は22.1cm/V・secであった。しかしながら、On−Off比は10と小さく、また、ノーマリーオンの特性を示す薄膜トランジスタであった。また、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。ゲート電極に20V電圧を100分間印加した後のシフト電圧(Vth)は、2.4Vであった。
尚、得られた薄膜のX線回折結果より、非晶質膜であることが判明した。また、ホール測定より求めたキャリヤー濃度は、4.8×1018/cmであった。
本発明の薄膜トランジスタは、ディスプレイ用パネル、RFIDタグ、X線ディテクタパネル・指紋センサ・フォトセンサ等のセンサ等に好適に使用できる。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、特に、チャンネルエッチ型の薄膜トランジスタの製造方法に適している。
本発明の薄膜トランジスタの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態を示す概略断面図である。 実施例1で作製した薄膜トランジスタの概略断面図である。 実施例11で作製した薄膜トランジスタの概略断面図である。 実施例11で作製した薄膜トランジスタの出力曲線を示す図である。 実施例11で作製した薄膜トランジスタの伝達曲線を示す図である。
符号の説明
1,2 薄膜トランジスタ
10 基板
20 ゲート電極
30 ゲート絶縁膜
40 半導体膜(チャンネル層)
50 ソース電極
52 ドレイン電極
60 チャンネル部
70 エッチストッパー

Claims (6)

  1. 酸化インジウム、酸化スズ、及び正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する非晶質酸化物半導体膜をチャンネル層として有し、
    前記非晶質酸化物半導体膜における、インジウム元素(In)、スズ元素(Sn)及び正3価のランタノイド系元素(Ln)の含有量が下記の条件を満たす薄膜トランジスタ。
    In/(In+Sn+Ln)=0.2〜0.8
    Sn/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.4
    Ln/(In+Sn+Ln)=0.1〜0.4
  2. 前記正3価のランタノイド系金属酸化物が、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッテリビウム、酸化ユーロピウム及び酸化ツリウムから選択される1種又は2種以上の酸化物である請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 酸化インジウム、酸化スズ、及び正3価のランタノイド系金属酸化物を含有する半導体膜を成膜する工程と、
    前記半導体膜を熱処理する工程を含む、
    請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 前記半導体膜を酸素の存在下に、150〜450℃で0.5〜1200分間熱処理する請求項3に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  5. チャンネルエッチ型の薄膜トランジスタの製造方法である請求項3又は4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  6. エッチストッパー型の薄膜トランジスタの製造方法である請求項3又は4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
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