JP2010123356A - 高周波加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
マグネトロンを駆動するのに理想的な電源を作り、力率の向上と電源効率の向上を図る。
【解決手段】
マグネトロン31を駆動するインバータ回路48と、入力電流を検出する入力電流検出回路52と、スイッチング素子44を制御する制御回路50とを備えたマグネトロン駆動用電源30において、交流電源41のゼロボルトを検出する電源同期タイミング検出回路51と、スイッチング素子44のON時間とOFF時間を決定する駆動データとを備え、マグネトロン31を駆動した直後は前記電源同期タイミング検出回路51の検出した交流電源のゼロボルトを基準に前記駆動データを使用し、マグネトロン31が温まった後は、交流電源41の電圧が低い部分では、前記駆動データのON時間比率の長い状態で制御し、交流電源41の頂点部の手前部分では、前記駆動データのON時間比率を短くするように、制御回路50によりインバータ回路48を制御する。
【選択図】図4

Description

本発明は、高周波加熱装置に使用されるマグネトロン駆動用電源に関するものである。
従来のマグネトロン駆動用の制御回路は、図6に示すように、半導体スイッチ素子3のオンオフによって高周波電圧を発生するインバータ回路4と、インバータ回路4の入力電流を検出する入力電流検出部12と、出力指令部13の信号によって目標波形を形成する目標波形発生部14と、入力電流検出部12と目標波形発生部14との信号を入力し目標波形と入力電流波形の波形誤差を演算する誤差演算部15と、入力電流波形が目標波形となるように調整するパルス幅変調部16と、パルス幅変調部16の出力信号によって半導体スイッチ素子3を駆動する駆動部17とを備えたものである。
前記目標波形発生部14は、商用電源61の電圧を全波整流して目標波形を得る構成とし、出力指令部13の信号によって振幅を可変する構成としたものである。
これにより、目標波形をマグネトロン駆動用電源の入力電圧源と同期させることができ、入力電流波形が略正弦波状となるような駆動パルスで半導体スイッチ素子3を駆動するため、マグネトロン7の状態によらず入力電流波形の歪みを抑制し、また、いかなる電流レベルであってもそれぞれの入力電流レベルに応じた駆動パルスで半導体スイッチ素子3を駆動するため、入力電流レベルの変化によらず、インバータ回路を動作させることができる。
また、パルス幅変調部16は、誤差演算部15によって演算された誤差の値が正の場合はパルス幅を減じ、逆に誤差の値が負の場合はパルス幅を増加するように駆動部17に与えるパルス列をパルス幅変調し、この結果、目標波形に対し入力電流波形が低い場合はより入力電流を増加させ、逆に入力電流が目標波形に対して大きい場合は入力電流を減ずることができ、入力電流波形を目標波形に整形する制御ができるものである。
特開2006−66194号公報
上記した特許文献1に示すものは、マグネトロンが発振している時の入力電流を測定し、商用電源の電圧を全波整流して構成した目標波形に照らし合わせて、発生した誤差を補正するような動作をするものである。
そのため、目標波形である商用電源に変動が生じた場合、その補正結果にも商用電源の変動が影響し、電源効率の低下が予測される。
また、商用電源で構成した目標波形を、出力指令部の信号によって高周波出力を得ようとしているので、目標波形のゼロボルト付近、つまり商用電源のゼロボルト付近では、入力電流を増加させる働きは小さくなることが予想され、力率の低下が予測される。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、請求項1では、高周波出力を発生するマグネトロンと、交流電源に接続され電源を直流化する整流回路と、該整流回路に接続され前記マグネトロンを駆動するインバータ回路と、該インバータ回路の入力電流を検出する入力電流検出回路と、前記インバータ回路のスイッチング素子を制御する制御回路とを備えたマグネトロン駆動用電源において、
前記交流電源のゼロボルトを検出する電源同期タイミング検出回路を備え、前記制御回路は前記スイッチング素子のON時間とOFF時間を決定する駆動データを記憶し、前記入力電流検出回路で検出した入力電流と前記電源同期タイミング検出回路で検出した交流電源のゼロボルトを基準に前記マグネトロンを駆動した直後は前記インバータ回路のスイッチング素子をON時間比率の長い状態で制御し、
前記マグネトロンが温まった後は、前記電源同期タイミング検出回路の検出した交流電源のゼロボルトから正弦波の裾野にあたる電圧が低い部分では、前記インバータ回路のスイッチング素子をON時間比率の長い状態で制御し、交流電源の頂点部分では、前記入力電流検出回路に必要とする高周波出力を発生する印加電圧以上の高電圧がマグネトロンに加わらないように前記インバータ回路のスイッチング素子をON時間比率が短くなるように、前記制御回路により制御するものである。
請求項2では、前記制御回路は、記憶手段を備え、前記マグネトロンが最大出力時において、電源の力率と電源の効率を最大限に良くした前記駆動データを前記記憶手段で予め記憶するものである。
本発明によれば、マグネトロンを駆動するのに理想的な電源を作ることができ、力率の向上と電源効率の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1は本実施例のマグネトロン駆動用の制御回路を搭載した高周波加熱装置の外観斜視図、図2は図1のA−A部の断面図、図3は高周波加熱装置の制御を説明するブロック図を示す。
図において、高周波加熱装置の本体1は、加熱室17に加熱する食品を入れ、高周波エネルギーやヒータの熱を使用して食品を加熱調理する。
ドア2は、加熱室17の内部に食品を出し入れするために開閉するもので、ドア2を閉めることで加熱室17を密閉状態にし、食品を加熱する時に使用する高周波の漏洩を防止し、ヒータの熱を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。
取っ手7は、ドア2に取り付けられ、ドア2の開閉を容易にするもので、手で握りやすい形状になっている。
ガラス窓4は、調理中の食品の状態が確認できるようにドア2に取り付けられ、ヒータ等の発熱による高温に耐えるガラスを使用している。
入力手段5は、ドア2の前面下側の操作パネル4に設けた表示部5aと操作部5bからなり、操作部5bは、高周波加熱やヒータ加熱等の加熱手段や加熱の強さや加熱する時間等の調理条件を入力するためのもので、表示部5aは、操作部5bから入力された内容や調理の進行状態を表示するものである。
排気口8は、部品を冷却した後の冷却風や食品を加熱した時に発生した蒸気を排出するところである。
機械室18は、加熱室17の下部に設けられた空間で、該空間内には、食品を加熱するためのマグネトロン31,マグネトロン31に接続された導波管21,マグネトロン31の電源を供給するマグネトロン駆動用電源30が搭載されたインバータ基板、その他後述する各種部品、これらの各種部品を冷却する冷却手段62等が取り付けられている。
加熱室17の底面の略中央部は凹状に窪んでおり、その中に回転アンテナ19が設置され、マグネトロン31の発振により放射される高周波エネルギーは、導波管21、回転アンテナ駆動手段23の出力軸23aが貫通する結合穴22を通して回転アンテナ19の下面に流入し、該回転アンテナ19で拡散されて加熱室17内に放射される。回転アンテナ19は、回転アンテナ駆動手段23の出力軸13aに連結されている。
加熱室17の後部には熱風ユニット11が取り付けられ、熱風ユニット11内には加熱室17内の空気を効率良く循環させる熱風ファン15と熱風ヒータ14が取り付けられ、加熱室奥壁面には熱風の通り道となる孔が設けられている。
熱風ファン15は、熱風ユニット11の外側に取り付けられた熱風モータ13の駆動により回転し、加熱室奥壁面に設けた孔を通して加熱室17との間で空気を循環し、熱風ヒータ14で循環する空気を加熱する。
加熱室17の天面の裏側には、ヒータよりなるグリル加熱手段12が取り付けられている。グリル加熱手段12は、マイカ板にヒータ線を巻き付けて平面状に形成し、加熱室17の天面裏側に押し付けて固定し、加熱室17の天面を加熱して加熱室17内の食品を輻射熱によって焼くものである。
温度検出手段16は、各ヒータで加熱される加熱室17の温度を検出するもので、検知手段としてサーミスター等が使用される。
テーブルプレート20は、食品を載置するためのもので、ヒータ加熱と高周波加熱の両方に使用できるように耐熱性を有し、かつ、高周波の透過性が良く、衛生面でも問題がない磁器等の材料で成形されている。
つぎに、図3のブロック図について説明する。
41は交流電源で、本体1の制御部や各電気部品を動作させるものである。
60はレンジ加熱手段で、食品を高周波エネルギーで加熱するマグネトロン31とマグネトロン駆動用電源30とで構成し、主制御手段6によって入力手段5より入力された加熱の強さをパワー信号6aに変換してマグネトロン駆動用電源30の制御回路50に送る。
61はオーブン加熱手段で、前述した熱風ユニット11と熱風ユニット11の外側に取り付けられた熱風モータ13からなり、主制御手段6によって加熱室17の温度が入力手段5から入力された温度になるように加熱室17の温度を温度検出手段16により検出し、熱風ヒータ14の電力を調整する。
62は冷却手段で、加熱動作時に自己発熱部品や発熱部品からの熱伝導によって熱的に不具合を発生する部品を冷却するもので、レンジ加熱手段60が動作している時は、特にマグネトロン31やマグネトロン駆動用電源30を冷却するものである。
6は主制御手段で、入力手段5から入力された内容に従い、食品を加熱調理するように各加熱手段を動作させ、温度検出手段16の検知温度に応じてオーブン加熱手段61やグリル加熱手段12のヒータの電力を調整するものである。
次に、マグネトロン31とマグネトロン駆動用電源30の動作について、図4のマグネトロン駆動用電源を説明する制御ブロック図と、図5の制御ブロック図の主要部の電圧波形図を用いて説明する。
初めに、マグネトロン駆動用電源30について説明する。
41は交流電源で、商用電源から供給される交流の電源である。42は整流回路で、電源41から供給された交流の電源を直流化するものである。43は電源平滑回路で、整流回路42で整流された電源を平滑するものである。
46は昇圧トランスで、一時側コイルに印加された電圧を昇圧して二次側コイルに高い電圧を誘起させるものである。
44はスイッチング素子で、昇圧トランス46の一次側コイルに流す電流を高周波(20K〜40KHz)でON,OFFするものである。
45は共振コンデンサで、該共振コンデンサ45と昇圧トランス46の一次側コイルのインダクタンスによって、スイッチング素子44がONからOFFした後も昇圧トランス46の一次側コイルに電流が交流的に流れ、昇圧トランス46の二次側コイルに電圧を誘起して、スイッチング素子44のON,OFFする時間の比率を調整し、二次側に発生する電圧の高さを調節するものである。
48はインバータ回路で、上記した電源平滑回路43,スイッチング素子44,共振コンデンサ45,昇圧トランス46によって構成されている。
47は高圧回路で、昇圧トランス46の二次側コイルに誘起した高周波電圧を倍電圧整流するものである。
31はマグネトロンで、カソード(ヒータと兼用)31aとアノード31bからなり、ヒータ31aに電流を流して発熱させ、該ヒータが温まり、カソード31aとアノード31b間の電圧が発振電圧以上(約4kV)に達するとマグネトロン31は発振を開始し、高周波エネルギーを放射して加熱室17の食品を加熱するものである。
6aはパワー信号で、主制御手段6によって操作部5bで入力された食品を加熱する強さをマグネトロン駆動用電源30内の制御回路50に伝え、マグネトロン31の高周波出力を設定するための信号である。
51は電源同期タイミング検出回路で、交流電源41の電圧(図5(a)商用電源の1/2周期を表示)が周期的に変化し、電圧がゼロボルトになるタイミングを検出するためのものである。本実施例では、図5の(b)に示すように、交流電源41の電圧が一定の範囲内の時にパルスとなって出力するように設定され、その出力されたパルスの中点がゼロと認識するように後述する制御手段53は設定されている。
52は入力電流検出回路で、マグネトロン31を動作している時に電源平滑回路43に流れる電流を検出するものである。電流の測定は、抵抗52aの両端間に発生する電圧を測定し、抵抗52aの抵抗値から算出する。抵抗52aは、抵抗自身で余分な電力を消費しないように、小さな抵抗値の抵抗器を使用しており、これによって抵抗52aの両端に発生する電圧も微小な値となり、その電圧を増幅回路で増幅して制御手段53に出力している。
そして、マグネトロン31が発振している時の高周波出力と前記電圧との相関関係を事前に確認しておくことで、制御手段53は入力電流検出回路52の抵抗52aの両端に発生する電圧より、マグネトロン31の発振している出力が主制御手段6からの要求に合致しているかどうかを認識できるようになっている。
さらに、入力電流検出回路52からの検出値を複数回検出し、その値を平均化することでノイズなどの影響を少なくしている。
53は制御手段で、計時手段53aと記憶手段53bとを備え、計時手段53aは、電源同期タイミング検出回路51から送られてくるパルス信号のパルス幅を計時してパルス幅の中間を算出し、パルスとパルスの間隔の時間を測定して、接続されている電源41の周波数を判定する。
記憶手段53bには、交流電源41の半サイクルの期間をマグネトロン31が最大の高周波出力で発振し、また、この発振時に最大限に力率と電源効率が良くなるようにスイッチング素子をOFF,ONさせるためのOFF時間とON時間のデータからなる駆動データを記憶している。該駆動データは、前述したように交流電源41の半サイクルの期間を基準にデータを作るので、接続する交流電源41の周波数によって異なり、そのために交流電源41の周波数の種類に応じてデータを変更し記憶する。
記憶するデータは、交流電源41の半サイクル分の複数個のパルスのOFF時間とON時間のデータで、その周波数は約16KHzとなる。
制御手段53は、判定した周波数に対応した駆動データを記憶手段53bより呼び出し、OFF時間とON時間の駆動データから約16KHzのパルス状のデータ信号〔図5(c)〕を作成して平滑回路54へと出力する。
前記データ信号(c)は、記憶手段53bより呼び出したOFF時間とON時間の駆動データに基づいて、電源同期タイミング検出回路51より入力されたパルスの中点(交流電源のゼロボルト点)より計時手段53aで計時を開始し、駆動データの最初のOFF時間が経過した後にON信号であるパルスを出力し、ON時間の計時を開始し、ON時間が経過したらパルスをOFFする。同様に二番目,三番目,・・・のOFF時間とON時間の駆動データに基づいてパルスを出力する動作を繰り返す。駆動データの全データのパルスを出力し終わったら、次の電源同期タイミング検出回路51からの入力を待ち、入力されたら前記動作を繰り返す。
また、主制御手段6から送られてくるパワー信号6aに対応した高周波出力がマグネトロン31から発振するように、マグネトロン31の発振する高周波出力と入力電流検出回路52からの検出値の関係を事前にデータ化し、パワー信号6aと入力電流検出回路52からの検出値からデータ信号(c)のパルスのON,OFFする時間の比率を次のように変更する。
変更は、マグネトロン31が発振する高周波出力に対応した電流が流れるように、入力電流検出回路52の検出した電流値が小さい場合は、マグネトロン31に印加する電圧を高くするようにデータ信号(c)のON時間の比率を大きくしてマグネトロン31が発振する高周波出力を大きくするように動作する。また、検出した電流が大きい場合は、マグネトロン31に印加する電圧を小さくするようにデータ信号のON時間の比率を小さくしてマグネトロン31が発振する高周波出力を小さくするように動作するものである。
具体的には、力率と電源効率を最大限良くした状態を維持するために、電源同期タイミング検出回路51からの入力により交流電源41のゼロボルトを検出し、交流電源41の電圧が低い正弦波の裾野にあたる図5(a)のA部では、マグネトロン31の力率を改善するためにスイッチング素子44のON時間を長くして昇圧トランス46の二次側コイルの誘導電圧を早く上昇させ、マグネトロン31のヒータ31aの温度を早く上昇させ、マグネトロン31の発信時間を早くする。
また、電圧が低い正弦波の裾野にあたる図5(a)のA部から急激に電圧が上昇〔図5(a)のB部〕した後、電圧変動がなだらかになる頂点部分の図5(a)のC部では、必要とする高周波出力を発生する印加電圧以上に不必要な高電圧がマグネトロン31に加わらないように、頂点部分のC部の手前(電圧が急激に上昇しているB部の後半)からスイッチング素子44のON時間比率を短くし始め、マグネトロン31に印加される電圧の上昇率を押え、発生電圧がマグネトロンの発振電圧(約4kV)を越した後に不要な電流が流れるのを防止する。
これによって、マグネトロン31を発振させた時に最大限に力率と効率を向上できる電源〔図5(h)〕を生成する。
高周波出力の変更は、駆動データの特に図5(a)のB部,C部のON時間の比率を変更することで、マグネトロン31に印加される電源の力率と電源効率は低下することはない。
但し、マグネトロン31の駆動時初期は、マグネトロン31を急速に暖めるように駆動データを変更することなく使用し、マグネトロン31のヒータが温まり、入力電流検出回路52で、3A以上の電流を検出した後に前述した制御に移行する。
54は平滑回路で、制御手段53から出力されたデータ信号(c)を平滑した信号〔図5(d),信号g〕に変換するもので、データ信号(c)のパルスのON時間の比率がOFF時間より短いほど平滑後の電圧値は低い値を示し、ON時間の比率がOFF時間より長いほど平滑後の電圧値は高い値を示す。
平滑回路54は、データ信号(c)の変化に対応して平滑した電圧値が変化できるように時定数を1msec以下になるように回路乗数を決定している。
55はONタイミング検出回路で、スイッチング素子44がONからOFFした後にスイッチング素子44に印加されている電圧がゼロになるのを検知し、次にスイッチング素子44がONすることが可能なタイミングで三角信号波形を出力〔図5(d)、信号f〕するものである。
この出力する三角信号波形は、スイッチング素子44を20KHz〜40KHzの周波数でON,OFFさせるための変換と、制御手段53から出力されるデータ信号(c)を平滑した後の電圧の高低に応じてスイッチング素子44のON時間とOFF時間の比率を変更できる信号となっている。
56は基準発振回路で、該基準発振回路56は、制御手段53で出力したデータ信号(c)を平滑回路54によって変換された信号〔図5(d),信号g〕とONタイミング検出回路55から出力された三角信号波形〔図5(d),信号f〕を比較(図5(d))して、スイッチング素子44のON時間とOFF時間〔図5(e)〕を決定する。
スイッチング素子44のON時間とOFF時間は、平滑回路54によって平滑した信号の電圧値が高いとスイッチング素子44のON時間の比率が小さくなり、マグネトロン31に印加される電圧は低くなり、平滑した信号の電圧値が低いとスイッチング素子44のON時間の比率が大きくなりマグネトロン31に印加される電圧は高くなる。
57は駆動回路で、基準発振回路56からの信号でスイッチング素子44を駆動できる信号に変換するものである。
本実施例は、以上の構成からなり、次に動作について説明する。
被調理物を温めるのに、その被調理物(図示せず)を加熱室17のテーブルプレート20に載置しドア2を閉める。
ドア2を閉めた後、ドア2に設けられた操作パネル3の表示部5aを見ながら操作部5bで高周波加熱を選択して、加熱強さを示す高周波出力と加熱時間を設定する。もしくは、自動加熱の温めを選択する。
そして、操作部5bの加熱開始用スタートボタン(図示せず)を押して加熱を開始する。
以下の説明は、高周波出力を700W、加熱時間を1分と入力された場合について説明する。
主制御手段6は、加熱を開始するために、入力された高周波出力が700Wであることを、パワー信号6aをインバータ基板内の制御手段53に送って知らせる。
同時に主制御手段6は、回転アンテナ駆動手段23に信号を送り、回転アンテナ19を回転させ、冷却手段62へも信号を送り冷却風の送風を開始する。
制御手段53は、電源同期タイミング検出回路51より入力されるパルスとパルスの間隔から電源の周波数を検出し、記憶手段53bに記憶してある駆動データのうち、電源の周波数に対応した方の駆動データを呼び出して、電源同期タイミング検出回路51より入力されるパルスを基準にデータ信号(c)を生成し出力する。
加熱開始直後は、マグネトロン31のヒータ31aは温まっていないので発振もなく電流もさほど流れないが、加熱開始時は、記憶手段53bに記憶してある駆動データでデータ信号(c)を作成して出力するのでマグネトロン31には最大出力となる高い電圧が印加され、早期にヒータ31aの温度が上昇し始め(電圧の印加した約1秒後)次第に電流が流れ始める。
ヒータ31aが温まり、印加電圧がマグネトロンの発振電圧以上の領域では急激に電流が流れるので、その急激な電流の流れを防止するために、ヒータ31aがまだ完全に温まる前に、マグネトロン31に印加する電圧の上昇率を低下する方向に駆動データのON時間,OFF時間のON時間の比率を下げる〔特に図5(a)のB,C部〕。
その後、必要とする高周波出力700Wに見合った電流値が得られるように、駆動データのON時間の比率を変更する。ただし、目標の電流値に対して、差が大きいときは変更幅を多く、差が小さくなると変更幅も小さくしている。さらに、目標値に対して電流を増加させるときと減少させるときでは、減少させるときのマグネトロン31の発振する高周波出力の変化が鈍いので減少させるときは変更幅を大きくした方が良い。
被調理物の加熱は前記動作を繰り返すことで安定して加熱が行われ、加熱時間の1分が経過すると、主制御手段6より制御手段53と各負荷に停止命令がでて、加熱を終了する合図と共に加熱を終了する。
以上説明したように、本実施例によれば、交流電源41のゼロボルトを検出する電源同期タイミング検出回路51を設け、電源同期タイミング検出回路51の検出した交流電源41のゼロボルトから電圧が低い正弦波の裾野にあたる図5(a)のA部では、マグネトロン31の通電率を高めるために、スイッチング素子44のON時間を長くして昇圧トランス46の二次側コイルの誘導電圧を早く上昇させ、マグネトロン31のヒータ31aの温度を早く上昇させ、マグネトロン31の発信開始を早くすることで力率の向上が図れ、また、電源同期タイミング検出回路51の検出した交流電源41のゼロボルトから電圧が低い正弦波の裾野にあたる図5(a)のA部から急激に電圧が上昇〔図5(a)のB部〕した後、電圧変動がなだらかになる頂点部分の図5(a)のC部では、必要とする高周波出力を発生する印加電圧以上に不必要な高電圧がマグネトロン31に加わらないように、頂点部分のC部の手前(電圧が急激に上昇しているB部の後半)からスイッチング素子44のON時間比率を短くし始めマグネトロン31に印加される電圧の上昇率を押えるものであり、これによって、発生電圧がマグネトロンの発振電圧(約4kV)を越した後の不要な電流の流れるのを防止し、電源効率の向上が図れるものである。
本発明のマグネトロン駆動用の制御回路を搭載した高周期加熱装置の外観斜視図である。 図1のA−A断面図である。 高周波加熱装置の制御を説明するブロック図。 本実施例のマグネトロン駆動用電源を説明する制御ブロック図。 制御ブロック図の主要部の電圧波形図。 従来技術のマグネトロン駆動用電源を示したブロック図。
符号の説明
30 マグネトロン駆動用電源
31 マグネトロン
44 スイッチング素子
50 制御回路
51 電源同期タイミング検出回路
53 制御手段
53b 記憶手段

Claims (2)

  1. 高周波出力を発生するマグネトロンと、
    交流電源に接続され電源を直流化する整流回路と、
    該整流回路に接続され前記マグネトロンを駆動するインバータ回路と、
    該インバータ回路の入力電流を検出する入力電流検出回路と、
    前記インバータ回路のスイッチング素子を制御する制御回路とを備えたマグネトロン駆動用電源において、
    前記交流電源のゼロボルトを検出する電源同期タイミング検出回路を備え、
    前記制御回路は前記スイッチング素子のON時間とOFF時間を決定する駆動データを記憶し、
    前記入力電流検出回路で検出した入力電流と前記電源同期タイミング検出回路で検出した交流電源のゼロボルトを基準に前記マグネトロンを駆動した直後は前記インバータ回路のスイッチング素子をON時間比率の長い状態で制御し、
    前記マグネトロンが温まった後は、前記電源同期タイミング検出回路の検出した交流電源のゼロボルトから正弦波の裾野にあたる電圧が低い部分では、前記インバータ回路のスイッチング素子をON時間比率の長い状態で制御し、
    交流電源の頂点部分では、前記入力電流検出回路に必要とする高周波出力を発生する印加電圧以上の高電圧がマグネトロンに加わらないように前記インバータ回路のスイッチング素子をON時間比率が短くなるように、前記制御回路により制御することを特徴とする高周波加熱装置のマグネトロン駆動用電源。
  2. 請求項1記載のマグネトロン駆動用電源において、前記制御回路は、記憶手段を備え、前記マグネトロンが最大出力時において、電源の力率と電源の効率を最大限に良くした前記駆動データを前記記憶手段で予め記憶することを特徴とする高周波加熱装置のマグネトロン駆動用電源。
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