JP2010122685A - ポリマーマトリックス中に分散されたカーボンナノチューブを含むトナー - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的特性、化学的特性、熱的特性、および電気的特性の向上を示すトナーを提供すること。
【解決手段】ポリマー中に分散されたカーボンナノチューブを含有するポリマーマトリックス、所望によっては1種以上の着色剤および所望によっては1種以上のワックスを含むトナー。
【選択図】なし
Description
本開示は、ポリマーマトリックス中に分散されたカーボンナノチューブを含むトナーに関する。
カーボンナノチューブには一般的に2種類あり、多層カーボンナノチューブ(MWNT)と単層カーボンナノチューブ(SWNT)がある。SWNTは、円柱シート様の、炭素原子が6角形に配置された厚さ1原子のシェルである。カーボンナノチューブは一般的に、共通の軸の周囲に直径が増大してゆく複数の同軸円筒から構成される。したがって、SWNTは、カーボンナノチューブおよびカーボンナノチューブロープの基となる構造であり、これらはSWNTが特有の配置をとったものであると考えることができる。本明細書において、「多層カーボンナノチューブ(MWNT)」は、「カーボンナノチューブ(CNT)」および「ナノチューブ」とも呼ぶ。
カーボンナノチューブを含有する複合体の製造方法は公知である。例えば、米国特許第5,643,502号および米国特許第6,299,812号には、メルトブローおよび溶融紡糸を用いて、化学的にではなく物理的にポリマーに結合させたカーボンナノチューブが記載されている。これらの方法では、モノマー分子が重合化されてポリマーマトリックスを形成する。次いで、ポリマーマトリックスにカーボンナノチューブを添加し、ポリマーペレットと混合し、この混合物をポリマーの融点より高い温度に加熱する。液化した混合物を押出成形または紡糸し、その後冷却してカーボンナノチューブ/ポリマー複合体を形成する。
カーボンナノチューブのマトリックスを架橋する方法は米国特許第6,203,814号に記載されており、最初にカーボンナノチューブを官能化し、次いで架橋剤と反応させて多孔質の架橋ナノチューブを形成する。
Yu et al.,The Characteristics of Carbon Nanotube Reinforced Poly(Phenylene Sulphide) Nanocomposites,SIMTech Technical Reports,8(2):71−5(Apr−Jun 2007)
カーボンナノチューブ/ポリマー複合体樹脂を含有するトナーは、機械的特性、化学的特性、熱的特性、および電気的特性の向上を示す。使用するナノチューブの濃度によりポリマー樹脂の特定の特性を変化させることができる。例えば、カーボンナノチューブ/ポリマー複合体が、複合体の約2〜約20重量%のナノチューブを含む場合、トナーの導電性が増加するため、そのようなトナーは導電性を利用した現像方法(conductive developing method)に適している。ナノチューブはアスペクト比が大きいため、従来の導電性添加剤で得られるのと同じ導電性を得るためにトナー中に必要となる量が非常に少量である。カーボンナノチューブ/ポリマー複合体が、ポリマー複合体の約0.05〜約10重量%のカーボンナノチューブを含む場合、トナーの全体的な結晶化度が増加し、トナー粒子の電荷輸送性が改善される。そのようなトナーは、エレクトログラフィー印刷用途に適している。このようなカーボンナノチューブ導入量(loading)で、トナーの抵抗率は上昇する。カーボンナノチューブの費用が劇的に下がったため、本開示に係るトナーは、費用効率が高いと同時に改善された性能を示すという利点を提供する。
本開示は、重合化混合物と、所望によっては1種以上の着色剤と、所望によっては1種以上のワックスと、を含有する樹脂を含むトナーであって、重合化混合物がナノチューブおよびポリマーを含有する複合体である、トナーを提供する。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリエステルであり、トナーは乳化凝集トナーである。
カーボンナノチューブ/ポリマー複合体は公知の手段で形成される。カーボンナノチューブは1以上の化学部分で官能化されてもよい。官能化の前に、所望によってはカーボンナノチューブを精製してもよい。通常、ナノチューブ上の化学部分は好適なモノマーに共有結合する。次いで、任意の好適な公知手段でモノマーを重合させ(つまり重合化し)、こうしてポリマーマトリックス中に分散されたナノチューブを形成する。このカーボンナノチューブ/ポリマー複合体樹脂は通常、トナーに導入することができる。
本開示は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されず、本開示に基づいて一部の構成要素およびプロセスが当業者により変更されてもよい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態だけを説明するためのものであり、限定することを意図しない。
ナノチューブ官能化のための準備
「カーボンナノチューブ」という用語は、直径が非常に小さいカーボンチューブまたはカーボン繊維を指し、微小繊維(fibril)、ウィスカー、バッキーチューブ等を包含する。カーボンナノチューブは、高い純度および均一性で作製され得る。個別のナノチューブ、ナノチューブの凝集体、または個別のナノチューブと凝集体ナノチューブの両方が、本開示に係る使用に好適であり得る。実施形態では、ナノチューブの直径は1μm未満、例えば約0.5μm未満、約0.1μm未満、または約0.05μm未満であり得るが、この範囲から外れてもよい。
ナノチューブ官能化のための準備
「カーボンナノチューブ」という用語は、直径が非常に小さいカーボンチューブまたはカーボン繊維を指し、微小繊維(fibril)、ウィスカー、バッキーチューブ等を包含する。カーボンナノチューブは、高い純度および均一性で作製され得る。個別のナノチューブ、ナノチューブの凝集体、または個別のナノチューブと凝集体ナノチューブの両方が、本開示に係る使用に好適であり得る。実施形態では、ナノチューブの直径は1μm未満、例えば約0.5μm未満、約0.1μm未満、または約0.05μm未満であり得るが、この範囲から外れてもよい。
カーボンナノチューブは市販の供給元から入手してもよいし、公知の方法で合成してもよい。官能化の前に、ナノチューブは任意の好適な手段で精製され得る。一般的に、ナノチューブは、酸化剤、ニトロ化剤、スルホン化剤等の1つ以上の好適な試薬と液相中で反応させ、その後洗浄および乾燥させることで精製される。精製により、ナノチューブ上の金属粒子およびその他の不純物が溶解する。
本プロセスでの使用に適した試薬の例としては、限定されるものではないが、以下のものが含まれる。塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、発煙硫酸(oleum)、硝酸、クエン酸、シュウ酸、クロロスルホン酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、氷酢酸、一塩基性有機酸、二塩基性有機酸、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、セラート(cerate)、臭素酸塩、過酸化水素、二クロム酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。酸化および官能化の効率の点から、硫酸、硝酸、過マンガン酸塩、クロロスルホン酸、およびこれらの組合せがこの目的に有用である。例えば、3MのHNO3での処理は金属粒子の溶解に非常に効果的である。硝酸は強い酸化剤であるため、酸化によってアモルファスカーボンを除去することができる。ナノチューブを精製する更なる手段としては、官能化剤と接触させる前に、ナノチューブを溶媒に分散させ、それを所望によっては濾過および乾燥させることが挙げられる。
本プロセスでの使用に適した試薬の例としては、限定されるものではないが、以下のものが含まれる。塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、発煙硫酸(oleum)、硝酸、クエン酸、シュウ酸、クロロスルホン酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、氷酢酸、一塩基性有機酸、二塩基性有機酸、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、セラート(cerate)、臭素酸塩、過酸化水素、二クロム酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。酸化および官能化の効率の点から、硫酸、硝酸、過マンガン酸塩、クロロスルホン酸、およびこれらの組合せがこの目的に有用である。例えば、3MのHNO3での処理は金属粒子の溶解に非常に効果的である。硝酸は強い酸化剤であるため、酸化によってアモルファスカーボンを除去することができる。ナノチューブを精製する更なる手段としては、官能化剤と接触させる前に、ナノチューブを溶媒に分散させ、それを所望によっては濾過および乾燥させることが挙げられる。
カーボンナノチューブの官能化
ナノチューブは任意の公知手段で官能化することができる。官能化により、1以上の化学部分がナノチューブに結合した状態になる。化学的官能化は、ナノチューブとマトリックスの間の直接的共有結合(covalent coupling)を促進し、その結果マトリックス中にナノチューブがより分散され、ナノチューブ表面の基とポリマーの相互作用が増強される。また、得られた半結晶性マトリックス形態へのナノチューブの影響により、結晶化度が向上する。CNTは核形成部位として働き、ポリマーの結晶化度の増加を促進する。
ナノチューブは任意の公知手段で官能化することができる。官能化により、1以上の化学部分がナノチューブに結合した状態になる。化学的官能化は、ナノチューブとマトリックスの間の直接的共有結合(covalent coupling)を促進し、その結果マトリックス中にナノチューブがより分散され、ナノチューブ表面の基とポリマーの相互作用が増強される。また、得られた半結晶性マトリックス形態へのナノチューブの影響により、結晶化度が向上する。CNTは核形成部位として働き、ポリマーの結晶化度の増加を促進する。
官能化ナノチューブは、スルホン化、脱酸素化ナノチューブ表面への求電子付加、メタレーション、酸化等の好適な手段によって直接調製することができる。いくつかの実施形態では、酸化は酸処理によって行われ、酸化化学反応を用いて単層ナノチューブでも多層ナノチューブでもエンドキャップを開口し、この開口末端にカルボキシル基、カルボニル基、およびヒドロキシル基を生成すると共に側壁に欠陥を生じさせてもよい。ナノチューブの酸化により、安定性が向上し、また、静電的に安定な水中またはアルコール中コロイド分散液を形成する能力が向上する。
官能化ナノチューブは一般的に次式で表される:
[CnHL−−]Rm
式中、nは整数であり、Lは0.1n未満の数であり、mは0.5n未満の数である。
[CnHL−−]Rm
式中、nは整数であり、Lは0.1n未満の数であり、mは0.5n未満の数である。
Rは、SO3H、COOH、NH2、OH、R’CHOH、CHO、CN、COCl、ハライド、COSH、SH、COOR’、SR’、SiR’3、Si(−−OR’−−)yR’3−y、Si(O−−SiR’2)OR’、R’’、Li、AIR’2、Hg−X、TIZ2、Mg−X、ポリm−アミノ安息香酸スルホン酸(poly m−aminobenzoic sulfonic acid)、ポリイミド、ポリビニルアルコール、アミノ酸誘導体等から選択され;
yは3以下の整数であり;
R’は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、またはアラルキル、シクロアリール、またはポリ(アルキルエーテル)であり;
R’’は、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロシクロアルキル、フルオロアラルキル、またはシクロアリールであり;
Xはハライドであり;
Zはカルボン酸またはトリフルオロ酢酸である。
yは3以下の整数であり;
R’は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、またはアラルキル、シクロアリール、またはポリ(アルキルエーテル)であり;
R’’は、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロシクロアルキル、フルオロアラルキル、またはシクロアリールであり;
Xはハライドであり;
Zはカルボン酸またはトリフルオロ酢酸である。
不均一に置換されたナノチューブも有用である。そのようなナノチューブには、式[CnHL−−]Rm(式中、n、L、m、R、およびナノチューブ自体は上記に定義した通りである。但し、Rは酸素を含まないか、あるいはRが酸素含有基である場合はCOOHは存在しない。)で表される組成物が含まれる。
式[CnHL−−][R’−−R]m(式中、n、L、m、R’、およびRは上記と同じ意味である。)で表される官能化ナノチューブの作製も有用である。炭素原子Cnは、直径がほぼ一定で略円筒形のナノチューブの表面炭素である。
いくつかの実施形態では、ナノチューブはカルボン酸部分で官能化される。官能化は、例えば塩素酸、硝酸、または過硫酸アンモニウムによる酸化等により行われ得る。カルボン酸官能化ナノチューブは、他の種類の官能化ナノチューブを調製するための開始点となり得るため、特に有用である。例えば、アルコールまたはアミドは酸と容易に結合し、安定なエステルまたはアミドを生成する。アルコールまたはアミンが二官能性分子または多官能性分子の一部である場合、O−またはNH−を介した結合によっても、ペンダント基としての別の官能性が残される。これらの反応は、カルボン酸をアルコールまたはアミンでエステル化またはアミン化するためのいずれの公知の方法を用いても行うことができる。ナノチューブを硝酸および硫酸で処理してニトロ化ナノチューブを生成し、次いでこのニトロ化ナノチューブを亜ジチオン酸ナトリウム等の還元剤で還元することでナノチューブ上に直接アミノ基を導入することができ、アミノ官能化ナノチューブが生成される。
カーボンナノチューブ/ポリマー複合体の調製
複合体を調製するために、官能化ナノチューブを、該ナノチューブ上の官能基数に対して過剰モル量の第1のモノマーと混合する。このために、官能化ナノチューブを水、アルコール(例えばエチレングリコール)、または当該技術分野で公知のその他の液体等の溶剤に分散し、次いで、この官能化ナノチューブ含有溶剤を第1のモノマーと混合してもよく。あるいは、溶融したあるいは液体状の第1のモノマーと官能化ナノチューブを直接混合してもよい。
複合体を調製するために、官能化ナノチューブを、該ナノチューブ上の官能基数に対して過剰モル量の第1のモノマーと混合する。このために、官能化ナノチューブを水、アルコール(例えばエチレングリコール)、または当該技術分野で公知のその他の液体等の溶剤に分散し、次いで、この官能化ナノチューブ含有溶剤を第1のモノマーと混合してもよく。あるいは、溶融したあるいは液体状の第1のモノマーと官能化ナノチューブを直接混合してもよい。
官能化ナノチューブを第1のモノマー中に分散させる。分散は、超音波処理器または
ソニファイアーを用いるか、ホモジナイザー、ブレンダー、ミキサー等のその他の機械的手段を用いて行ってもよい。
ソニファイアーを用いるか、ホモジナイザー、ブレンダー、ミキサー等のその他の機械的手段を用いて行ってもよい。
分散後、官能化ナノチューブを第1のモノマーと反応させて、ナノチューブ上の官能部分を第1のモノマーに共有結合させる。これは加熱等の任意の好適な手段で行われ得る。好適な加熱方法としては、サーマル加熱、マイクロ波加熱、加熱ランプ、およびこれらの組合せが挙げられる。反応後に、生成物中に余分な未反応第1モノマーが存在してもよい。
官能化ナノチューブに共有結合させることのできる好適な第1のモノマーとしては、例えば、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の炭素数2〜36のジオール;エチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン;6−アミノカプロン酸、ε−カプロラクタム等のアミノカルボン酸;プロパノールアミン等のアミノアルコール等が挙げられる。
その他の好適な第1のモノマーとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、Z,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ−[5.2.1.0]デカン(ここで、Zは3、4、または5である);例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の、鎖中に1以上の酸素原子を含むジオール;シスもしくはトランス形態の脂環式ジオールまたは両方の形態の混合物;2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)ビスフェノールA、ビス(2−ヒドロキシプロピル)−ビスフェノールA、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキサイド、ジブチレン、1,2−エタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール;ソジオ2−スルホ−1,2−エタンジオール、リチオ2−スルホ−1,2−エタンジオール、ポタシオ2−スルホ−1,2−エタンジオール、ソジオ2−スルホ−1,3−プロパンジオール、リチオ2−スルホ−1,3−プロパンジオール、ポタシオ2−スルホ−1,3−プロパンジオール、これらの混合物等のアルカリスルホ脂肪族ジオール等が挙げられる。
第1のモノマーに共有結合した官能化ナノチューブおよび余分な未反応の第1のモノマーを、エステル結合またはアミド結合の形成を介して第2のモノマーと重合して、ナノチューブが分散されたポリマーマトリックスを形成してもよい。重合は、加熱またはバルク縮合(bulk condensation)反応等の任意の公知手段により達成され得る。得られたポリマーは、結晶性、半結晶性、非晶性、またはそれらの混合物であってもよい。
好適な第2のモノマーとしては、例えば脂肪族、脂環式、または芳香族のジカルボン酸、例えば1,12−ドデカナン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、2−メチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,2−シクロヘキサン二酸、1,3−シクロヘキサン二酸、1,4−シクロヘキサン二酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、ドデシル無水コハク酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、等の有機酸;ならびに、各アルキル基が炭素数1〜23の炭素鎖であるジアルキルエステルであって、マロネート、スクシネート、2−メチルスクシネート、2,3−ジメチルスクシネート、ドデシルスクシネート、グルタレート、アジピン酸、2−メチルアジペート、ピメレート、アゼラート、セバケート、テレフタレート、イソフタレート、フタレート、1,2−シクロヘキサンジオエート(cyclohexanedioate)、1,3−シクロヘキサンジオエート、および1,4−シクロヘキサンジオエートのエステルである、ジアルキルエステルが挙げられる。
その他の好適な第二のモノマーとしては、例えばジカルボン酸またはジエステルである、ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、スベリン酸、ドデカン二酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート,ジメチルフタレート、無水フタル酸、ジエチルフタレート、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチル、シュウ酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸およびメサコン酸、これらのジエステルまたはその無水物;およびジメチル−5−スルホ−イソフタレート、ジアルキル−5−スルホ−イソフタレート−4−スルホ−1,8−ナフタル酸無水物、4−スルホ−フタル酸、ジメチル−4−スルホ−フタレート、ジアルキル−4−スルホ−フタレート、4−スルホフェニル−3,5−ジカルボメトキシベンゼン、6−スルホ−2−ナフチル−3,5−ジカルボメトキシシベンゼン、スルホ−テレフタル酸、ジメチル−スルホ−テレフタレート、5−スルホ−イソフタル酸、ジアルキル−スルホ−テレフタレート、スルホエタンジオール、2−スルホプロパンジオール、2−スルホブタンジオール、3−スルホペンタンジオール、2−スルホヘキサンジオール、3−スルホ−2−メチル−ペンタンジオール、2−スルホ−3,3−ジメチルペンタンジオール、スルホ−p−ヒドロキシ安息香酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホネートまたはこれらの混合物のソジオ、リチオ、またはカリウム塩、等のアルカリスルホ有機二酸が挙げられる。
第2のモノマーの重合により形成されるポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンのポリアミド(ナイロン6,6)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)(ナイロン−6)、メタ−フタル酸とメタ−ジアミノベンゼンのポリアミド(ノメックス(Nomex))、パラ−フタル酸とパラ−ジアミノベンゼンのポリアミド(ケブラー(Kevlar))、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールのポリエステル(ダクロン(Dacron))、炭酸のポリカーボネート、ジエチルカーボネートとビスフェノールAのポリカーボネート(レキサン(Lexan))、カルバミン酸のポリウレタン、イソシアネートとアルコールのポリウレタン、フェニルイソシアネートとエタノールのポリウレタン、トルエンジイソシアネートとエチレングリコールのポリウレタンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
その他の好適なポリマーとしては、例えば不飽和ポリエステルおよび/またはその誘導体、例えばポリエステル樹脂および分枝ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、分枝ポリイミド樹脂、ポリ(スチレン−アクリレート)樹脂、架橋ポリ(スチレン−アクリレート)樹脂、ポリ(スチレン−メタクリレート)樹脂、架橋ポリ(スチレン−メタクリレート)樹脂、ポリ(スチレン−ブタジエン)樹脂、架橋ポリ(スチレン−ブタジエン)樹脂、アルカリスルホ化ポリエステル樹脂、分枝アルカリスルホ化ポリエステル樹脂、アルカリスルホ化ポリイミド樹脂、分枝アルカリスルホ化ポリイミド樹脂、アルカリスルホ化ポリ(スチレン−アクリレート)樹脂、架橋アルカリスルホ化ポリ(スチレン−アクリレート)樹脂、ポリ(スチレン−メタクリレート)樹脂、架橋アルカリスルホ化ポリ(スチレン−メタクリレート)樹脂、アルカリスルホ化ポリ(スチレン−ブタジエン)樹脂、架橋アルカリスルホ化ポリ(スチレン−ブタジエン)樹脂、ならびに結晶性ポリエステル樹脂、ポリ(1,2−プロピレン−ジエチレン)テレフタレート、ポリエチレン−テレフタレート、ポリプロピレン−テレフタレート、ポリブチレン−テレフタレート、ポリペンチレン(polypentylene)−テレフタレート、ポリヘキサレン(polyhexalene)−テレフタレート、ポリヘプタデン(polyheptadene)−テレフタレート、ポリオクタレン(polyoctalene)−テレフタレート、ポリエチレン−セバカート、ポリプロピレン−セバカート、ポリブチレン−セバカート、ポリエチレン−アジペート、ポリプロピレン−アジペート、ポリブチレン−アジペート、ポリペンチレン−アジペート、ポリヘキサレン−アジペート、ポリヘプタデン−アジペート、ポリオクタレン−アジペート、ポリエチレン−グルタレート、ポリプロピレン−グルタレート、ポリブチレン−グルタレート、ポリペンチレン−グルタレート、ポリヘキサレン−グルタレート、ポリヘプタデン−グルタレート、ポリオクタレン−グルタレート、ポリエチレン−ピメレート、ポリプロピレン−ピメレート、ポリブチレン−ピメレート、ポリペンチレン−ピメレート、ポリヘキサレン−ピメレート、ポリヘプタデン−ピメレート、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールco−フマレート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノールco−フマレート)、ポリ(ブチルオキシ化(butyloxylated)ビスフェノールco−フマレート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノールco−エトキシ化ビスフェノールco−フマレート)、ポリ(1,2−プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールco−マレエート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノールco−マレエート)、ポリ(ブチルオキシ化ビスフェノールco−マレエート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノールcoエトキシ化ビスフェノールco−マレエート)、ポリ(1,2−プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールco−イタコネート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノールco−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシ化ビスフェノールco−イタコネート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノールcoエトキシ化ビスフェノールco−イタコネート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコネート)、またはこれらの混合物が挙げられる。
ポリマーは、エイコセンとスチレン;エイコセンとウンデシレニルハライド;エイコセンとウンデシレニルアルコール;エイコセンとウンデシレニル酸(undecylenyl acid);エイコセンとウンデシレニル酸アルカリ金属塩;エイコセンとアルキルおよびアリールウンデシレン酸エステル;エイコセンとトリアルキルシリルウンデシレン酸エステル;エイコセンとヨード−エイコセン;エイコセンと第四級アンモニウムウンデシレン(ammonium undecylene);エイコセンとアミノウンデシレン;ならびにエイコセンとアミドウンデシレンのいずれかのコポリマーであってもよい。
ポリマーは、スチレンアクリレート、スチレンメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、ポリエステル、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレンブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート−イソプレン);ポリ(スチレン−プロピルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル−アクリル酸)、およびスチレン/ブチルアクリレート/カルボン酸ターポリマー、スチレン/ブチルアクリレート/ベータ−カルボキシエチルアクリレートターポリマー、グッドイヤー社(Goodyear)から入手可能なPLIOTONE(商標)、あるいはこれらの混合物であってもよい。
カーボンナノチューブ/ポリマー複合体のナノチューブ含量は、通常、複合体の約0.05〜約20重量%、例えば複合体の約0.05〜約5重量%、約5〜約15重量%、または約7〜約10重量%である。一実施形態では、ナノチューブ含量は複合体の約0.5〜約8重量%である。
トナーへの導入
カーボンナノチューブ/ポリマー複合体はトナーに導入してもよい。いくつかの実施形態では、トナーは乳化凝集トナーである。トナーは当該技術分野で公知の任意の手段で製造されてもよい。トナーは、必要に応じて、本明細書中に後述する添加剤のうち1つ以上を含み得る。
カーボンナノチューブ/ポリマー複合体はトナーに導入してもよい。いくつかの実施形態では、トナーは乳化凝集トナーである。トナーは当該技術分野で公知の任意の手段で製造されてもよい。トナーは、必要に応じて、本明細書中に後述する添加剤のうち1つ以上を含み得る。
トナーは乳化凝集法で作製してもよい。乳化凝集トナー粒子の形成には、任意の好適な乳化凝集法を用いることができ、制限されるものではない。このような方法は、通常、以下の基本的なプロセス工程を少なくとも含む:ポリマーバインダーと、所望によっては1種以上のワックスと、所望によっては1種以上の着色剤と、1種以上の界面活性剤と、所望によっては凝固剤と、所望によっては1種以上の更なる添加剤と、を含有するエマルションを凝集させて凝集体を形成すること;次に、凝集体を合一または融合すること;その後、得られた乳化凝集トナー粒子を回収し、所望によっては洗浄し、所望によっては乾燥させること。しかし、実施形態によっては、本プロセスの凝集工程中にカーボンナノチューブ/ポリマー複合体樹脂が更に含まれる。
実施形態によっては、トナープロセスは、カーボンナノチューブ/ポリマー複合体、所望によってはワックス、所望によっては着色剤分散物、および所望によっては凝固剤を高速でブレンドしながら混合することでトナー粒子を形成する工程を含む。得られた混合物のpHは、例えば約2.5〜約3.5であり、この混合物をポリマー樹脂のTgより低い温度に加熱して凝集させ、トナーサイズの凝集体を形成する。形成された凝集体に必要に応じてラテックスを添加し、形成された凝集体を覆うシェルを形成してもよい。次いで、混合物のpHを変化させる、例えばpHが約7.0に達するまで水酸化ナトリウム溶液を添加する。また、必要に応じてエチレンジアミンテトラ酢酸4ナトリウム等の金属イオン封鎖剤を添加してもよい。次いで、混合物の温度を樹脂のTgより高い温度、例えば約95℃に上昇させる。約30分後、混合物のpHを低下させる。このpH低下は、更に加熱された際に凝集体が合一または融合して複合体粒子が形成されるのに十分な値、例えば約5.5〜約6.5に低下させる。所望の形状が得られるまで、例えばシスメックス社製FPIA2100分析装置を用いて、融合粒子の形状係数または円形度を測定してもよい。
混合物を室温(約20〜約25℃)に冷まし、所望によっては洗浄して界面活性剤を除去する。次いで、所望によってはトナーを乾燥させる。
トナー粒子は、トナー粒子上に外添剤が存在しない場合に以下の物理的特性を有するように作製され得る。
トナー粒子の表面積は、公知のBET法による測定で約1.3〜約6.5m2/gであり得る。例えばシアン、イエロー、およびブラックのトナー粒子のBET表面積は、2m2/g未満、例えば約1.4〜約1.8m2/g、マゼンタトナー粒子のBET表面積は約1.4〜約6.3m2/gであり得るが、この範囲外の値であってもよい。
トナーの粒径を制御し、トナー中の微細トナー粒子および粗大トナー粒子両方の量を制限することも望ましい。ある実施形態では、トナー粒子は非常に狭い粒径分布を有し、下側個数比(lower number ratio)幾何標準偏差(GSD)は約1.15〜約1.30、または約1.25未満である。トナー粒子のサイズは、上側体積GSDが約1.15〜約1.30、例えば約1.18〜約1.22、または1.25未満であるようなサイズであり得るが、この範囲外であってもよい。トナー粒子のこれらのGSD値は、トナー粒子が非常に狭い粒度分布を有するように作製されることを示している。
トナー粒子は、形成後に外添剤とブレンドしてもよい。実施形態では、如何なる好適な表面添加剤を用いてもよい。最も好適な外部表面添加剤としては、SiO2;例えばTiO2、酸化アルミニウム等の金属酸化物;例えば脂肪酸の金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)、ステアリン酸カルシウム)等の平滑剤;またはUNILIN700等の長鎖アルコールのうちの1つ以上が挙げられる。外部表面添加剤は、コーティングと共に用いてもよく、コーティングせずに用いてもよい。
ある実施形態では、トナーは、例えば、トナー総重量の約0.1〜約5重量パーセントのチタニア、トナー総重量の約0.1〜約8重量パーセントのシリカ、およびトナー総重量の約0.1〜約4重量パーセントのステアリン酸亜鉛を含有する。
必要に応じて、トナー粒子をキャリア粒子と混合して現像剤組成物に調製してもよい。選択されたキャリア粒子は、コーティングと共に用いてもよく、コーティングせずに用いてもよい。
トナー組成物は、トナー製造中に着色剤を添加することでカラートナーとして製造してもよい。顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料混合物、染料混合物等の、所望のまたは有効な任意の着色剤をトナー組成物中に使用してもよい。また、実施形態によっては、トナー組成物の着色剤特性の一部または全てがカーボンナノチューブ/ポリマー樹脂により付与されてもよい。
着色剤の量は、例えばトナー重量の約3〜約20重量パーセントと、広範囲にわたって変わり得る。着色剤を組み合せて使用してもよい。
ワックス
画像濃度を上げ、かつ読取ヘッドへのオフセットおよび画像のよごれ(smearing)を効果的に予防するために、1種以上のワックスをトナーに添加してもよい。ワックスは、例えばトナー総重量を基準として約0.1〜約10パーセント重量、例えば約1〜約6パーセント重量の量で存在し得るが、この範囲外の量であってもよい。
好適なワックスの例としては、ポリオレフィンワックス、例えば低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロカーボン系ワックス(テフロン(登録商標))、フィッシャートロプシュワックス、これらのコポリマー、これらの混合物等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
画像濃度を上げ、かつ読取ヘッドへのオフセットおよび画像のよごれ(smearing)を効果的に予防するために、1種以上のワックスをトナーに添加してもよい。ワックスは、例えばトナー総重量を基準として約0.1〜約10パーセント重量、例えば約1〜約6パーセント重量の量で存在し得るが、この範囲外の量であってもよい。
好適なワックスの例としては、ポリオレフィンワックス、例えば低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロカーボン系ワックス(テフロン(登録商標))、フィッシャートロプシュワックス、これらのコポリマー、これらの混合物等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
界面活性剤
好適な量の非イオン界面活性剤または陽イオン界面活性剤を、例えばトナー重量の約0.1〜約10パーセント重量、例えば約0.2〜約5パーセント重量の量で選択することができるが、この範囲外の量であってもよい。具体的な界面活性剤またはその組合せの選択、およびそれぞれの使用量は、当業者の理解の範囲である。
好適な量の非イオン界面活性剤または陽イオン界面活性剤を、例えばトナー重量の約0.1〜約10パーセント重量、例えば約0.2〜約5パーセント重量の量で選択することができるが、この範囲外の量であってもよい。具体的な界面活性剤またはその組合せの選択、およびそれぞれの使用量は、当業者の理解の範囲である。
更に、現像特性の劣化無しに高品質なトナー画像を得るために、オレフィン−マレイン酸無水物コポリマー等を添加してもよい。
酸化防止剤
トナーは、必要に応じて酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は、画像を酸化から保護し、また、トナー調製プロセスにおける加熱の間、トナー成分を酸化から保護する。酸化防止剤は、任意の所望量または有効量、例えば総トナー重量の少なくとも約0.01〜約20パーセント重量、例えば総トナー重量の約0.1〜約5パーセント重量、または総トナー重量の約1〜約3パーセント重量でトナー中に存在し得るが、この範囲外の量であってもよい。
トナーは、必要に応じて酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は、画像を酸化から保護し、また、トナー調製プロセスにおける加熱の間、トナー成分を酸化から保護する。酸化防止剤は、任意の所望量または有効量、例えば総トナー重量の少なくとも約0.01〜約20パーセント重量、例えば総トナー重量の約0.1〜約5パーセント重量、または総トナー重量の約1〜約3パーセント重量でトナー中に存在し得るが、この範囲外の量であってもよい。
その他の必要に応じて使用してもよいトナー用添加剤としては、清澄剤(clarifier)、粘着付与剤、接着剤、可塑剤等が挙げられる。そのような添加剤は、それらの通常の目的のために使用される慣用的な量で含めてよい。
帯電制御剤
更に、帯電レベルおよび帯電速度(electrification rate;短時間で特定の電荷レベルまで帯電させる指標)の改善を促進するために、また、優れた流動性を得るために、帯電制御剤をトナーに添加してもよい。
更に、帯電レベルおよび帯電速度(electrification rate;短時間で特定の電荷レベルまで帯電させる指標)の改善を促進するために、また、優れた流動性を得るために、帯電制御剤をトナーに添加してもよい。
帯電制御剤は、トナー重量の約0.1〜約10重量パーセントの量で含まれ得る。帯電制御剤の導入量が0.1重量パーセント未満の場合、帯電制御が有効に機能しないことがある。一方、帯電制御剤の導入量が10重量パーセントを超えると、トナーの分散性および耐久性が低下することがある。したがって、帯電制御機能とトナーの耐久性、更にその他の特性とのバランスをとるために、帯電制御剤の導入量は、約0.5〜約8重量パーセント、例えば約1.0〜約5重量パーセントであり得るが、この範囲外の量であってもよい。
さらなる添加剤
トナーは更に1つ以上の添加剤を、その添加剤の公知の目的のために含んでもよい。例えば、好適な添加剤としては、コロイドシリカ等の流動化剤;脂肪酸の金属塩等の潤滑剤;シリカ;スペーシング剤(spacing agent);乾燥剤;分散剤;湿潤剤;安定化剤;増粘剤;ゲル化剤(gelatinizing agent);消泡剤;および光重合化開始剤が含まれる。
トナーは更に1つ以上の添加剤を、その添加剤の公知の目的のために含んでもよい。例えば、好適な添加剤としては、コロイドシリカ等の流動化剤;脂肪酸の金属塩等の潤滑剤;シリカ;スペーシング剤(spacing agent);乾燥剤;分散剤;湿潤剤;安定化剤;増粘剤;ゲル化剤(gelatinizing agent);消泡剤;および光重合化開始剤が含まれる。
トナーの印刷
基材へのトナーの印刷には任意の好適な印刷方法を用いてもよい。トナーは、紙、ガラスアート紙、ボンド紙、板紙、クラフト紙、厚紙、半合成紙、ポリエステルシート、ポリエチレンシート等のプラスチックシート等の好適な基材上に印刷され得る。これら種々の基材は、天然の状態、例えば非コート紙で提供されてもよいし、修飾された形態、例えばコーティングまたは何らかの処理を受けた紙または厚紙、印刷された紙または厚紙等の形態で提供されてもよい。
基材へのトナーの印刷には任意の好適な印刷方法を用いてもよい。トナーは、紙、ガラスアート紙、ボンド紙、板紙、クラフト紙、厚紙、半合成紙、ポリエステルシート、ポリエチレンシート等のプラスチックシート等の好適な基材上に印刷され得る。これら種々の基材は、天然の状態、例えば非コート紙で提供されてもよいし、修飾された形態、例えばコーティングまたは何らかの処理を受けた紙または厚紙、印刷された紙または厚紙等の形態で提供されてもよい。
トナーの用途
トナーは一般的に、電子写真法、静電記録、図像(iconography)、ゼログラフィー等により形成された静電潜像の現像、またはその他の好適な用途に使用することができる。
本発明は、以下の実施態様を含む。
<1>ポリマー中に分散されたカーボンナノチューブを含有するポリマーマトリックス;
所望によっては1種以上の着色剤;および
所望によっては1種以上のワックス
を含むトナー。
<2> 結晶性ポリエステル中に分散された多層カーボンナノチューブを含有する結晶性ポリエステルマトリックス;
所望によっては1種以上の着色剤;および
所望によっては1種以上のワックス
を含み、
前記結晶性ポリエステルの少なくとも一部が前記カーボンナノチューブに共有結合している、乳化凝集トナー。
トナーは一般的に、電子写真法、静電記録、図像(iconography)、ゼログラフィー等により形成された静電潜像の現像、またはその他の好適な用途に使用することができる。
本発明は、以下の実施態様を含む。
<1>ポリマー中に分散されたカーボンナノチューブを含有するポリマーマトリックス;
所望によっては1種以上の着色剤;および
所望によっては1種以上のワックス
を含むトナー。
<2> 結晶性ポリエステル中に分散された多層カーボンナノチューブを含有する結晶性ポリエステルマトリックス;
所望によっては1種以上の着色剤;および
所望によっては1種以上のワックス
を含み、
前記結晶性ポリエステルの少なくとも一部が前記カーボンナノチューブに共有結合している、乳化凝集トナー。
実施例1はカーボンナノチューブの官能化を記載している。実施例2および3は、使用したナノチューブの量を変えたこと以外は実施例1に記載したのと同じプロセスを用いた、カーボンナノチューブ/半結晶性ポリエステル樹脂組成物の合成を記載している。比較例1および2はそれぞれ、官能化ナノチューブを含まないこと以外は実施例2および3と同じである樹脂組成物の調製を記載している。
[実施例1]
硝酸、塩酸、および空気酸化を利用したカルボン酸官能化MWNTの調製(サンプルID:VF564)
MWNTを3工程のプロセスで精製した。最初に、環流プロセスにより、3MのHNO3を用いて5.0gのMWNTを60℃で24時間47分処理した。3MのHNO3溶液745g(70%硝酸201.15gおよび蒸留水543.85g)を5.0gのMWNT(シグマアルドリッチ社製)に添加し、24時間反応させた。次に、MWNT/酸混合物を脱イオン水で希釈し、3000gで1時間遠心した。MWNTのペレットを脱イオン水に再懸濁した。脱イオン水への2回目の再懸濁をし、3000gで1時間遠心した後の溶液のpHは0.26であった。再度洗浄した後の溶液のpHは1.50であった。再度洗浄した後の溶液のpHは1.84であった。
硝酸、塩酸、および空気酸化を利用したカルボン酸官能化MWNTの調製(サンプルID:VF564)
MWNTを3工程のプロセスで精製した。最初に、環流プロセスにより、3MのHNO3を用いて5.0gのMWNTを60℃で24時間47分処理した。3MのHNO3溶液745g(70%硝酸201.15gおよび蒸留水543.85g)を5.0gのMWNT(シグマアルドリッチ社製)に添加し、24時間反応させた。次に、MWNT/酸混合物を脱イオン水で希釈し、3000gで1時間遠心した。MWNTのペレットを脱イオン水に再懸濁した。脱イオン水への2回目の再懸濁をし、3000gで1時間遠心した後の溶液のpHは0.26であった。再度洗浄した後の溶液のpHは1.50であった。再度洗浄した後の溶液のpHは1.84であった。
2番目の工程で、MWNTを更にHClで処理し、金属酸化物を溶解させた。37%塩酸367.06gを蒸留水377.94gに添加して5MのHCl溶液を調製した。ナノチューブをフラスコに入れるためにすすぎ水が必要であったため、HCl溶液のモル濃度は少し希釈された。環流系は、溶媒が膨張でき、爆発が回避されるように、過剰圧力バルブをシュレンクラインに連結して組み立てた。環流を120℃で7時間行い、HClに懸濁された比較的純粋なMWNTが得られた。3000gで1時間遠心分離することでMWNTをHCl溶液から分離した。
続いて、MWNTを3回洗浄し、pHが1.58の溶液を得た。脱イオン水に再度分散させて3000gで更に1.5時間遠心した後のpHは2.53であった。脱イオン水に再度分散させて3000gで更に1.5時間遠心した後のpHは3.01であった。MWNTを水に再度分散させて3000gで1.5時間遠心した後のpHは3.59であり、これ以上の洗浄は行わなかった。次いで、10mLの脱イオン水にMWNTを分散させ、水分を蒸発させるためにオーブン中に置いた。
3番目の工程で、空気酸化を行い、酸処理された材料を燃焼除去することでMWNTを精製した。MWNTと非ナノチューブでは酸化温度が異なる。510℃〜645℃ではナノチューブの重量は変化しないため、非ナノチューブカーボン材料を完全燃焼させるための最適温度は510℃である。4.6965gの未精製MWNTを空気中で510℃にて1時間燃焼させた。非ナノチューブ不純物を燃焼除去した結果、3.258gの精製MWNTが得られた。これは69.67%の収率である。
[実施例2]
0.075%MWNT/ポリエステル複合体の調製(サンプルID:VF566)
500gの1,9−ノナンジオールを3L容の反応ケトル反応器に入れ、時々撹拌しながらホットプレート上で60℃まで溶融混合した。実施例1で作製したMWNT約0.81g(ポリマーの理論的収量1080gに対して0.075%)を、溶融1,9−ノナンジオールに添加した。MWNTがジオール中に十分に分散された(かつ、おそらくはエステル化された)後、ガラス製の反応ケトルをホットプレートから降ろし、反応器に719gの1,12−ドデカン二酸および1.30gのファスキャット(Fascat)4100触媒を添加した。次いでケトルをマントルヒーター(heating mantle)に移した。マントルヒーターの空気流、アルゴンパージ、ヒーター電気ボックス、ラウダ社(Lauda)製コンデンサーオイルバス(condenser oil bath)、および水コンデンサー(water condenser)をオンにした。混合物が溶融し始めたらすぐに攪拌機をオンにし、高温のコンデンサーの底およびケトルをキムタオルで包み、アルミホイルを巻いて熱を保持した。80℃前後で反応物質の溶融が始まり、反応が進む。60分かけて170℃まで昇温し、170℃で5時間維持した。反応系をアルゴンで覆い(blanket)、120℃で一晩保持した。
0.075%MWNT/ポリエステル複合体の調製(サンプルID:VF566)
500gの1,9−ノナンジオールを3L容の反応ケトル反応器に入れ、時々撹拌しながらホットプレート上で60℃まで溶融混合した。実施例1で作製したMWNT約0.81g(ポリマーの理論的収量1080gに対して0.075%)を、溶融1,9−ノナンジオールに添加した。MWNTがジオール中に十分に分散された(かつ、おそらくはエステル化された)後、ガラス製の反応ケトルをホットプレートから降ろし、反応器に719gの1,12−ドデカン二酸および1.30gのファスキャット(Fascat)4100触媒を添加した。次いでケトルをマントルヒーター(heating mantle)に移した。マントルヒーターの空気流、アルゴンパージ、ヒーター電気ボックス、ラウダ社(Lauda)製コンデンサーオイルバス(condenser oil bath)、および水コンデンサー(water condenser)をオンにした。混合物が溶融し始めたらすぐに攪拌機をオンにし、高温のコンデンサーの底およびケトルをキムタオルで包み、アルミホイルを巻いて熱を保持した。80℃前後で反応物質の溶融が始まり、反応が進む。60分かけて170℃まで昇温し、170℃で5時間維持した。反応系をアルゴンで覆い(blanket)、120℃で一晩保持した。
翌日、約85mlの凝縮した水がメスシリンダーに回収された。研究室用の小型バキューム(グレースタンダード)を用いて約27分間若干の減圧をした。この工程の間、冷えたコンデンサーと高温のコンデンサーの両方をオンのままにしておいた。真空ポンプを使用したことで、水の総収量は約95mlに増加した。両方のコンデンサーを外した。この系に、170℃でアルゴンをパージした。エドワードハイバキューム(Edwards High vacuum)にかける前にサンプリングを行った。粘度は2.64Pa・secであった。反応系をアルゴンで覆い(blanket)、120℃で一晩維持した。
翌日、30分かけて170℃まで昇温した。エドワードハイバキュームにかける前にサンプリングを行った。粘度は8.85Pa・secであった。反応を、粘度が約11Pa・secに達するまで、減圧せずに加熱した。樹脂を約170℃まで冷却し、その後、手動で注いで取り出した。樹脂をパンの中で冷却し、崩した後、デランパー(delumper)装置中で破砕した。樹脂のサンプルをとり、酸価、GPC、DSC、粘度、およびICP(Sn)の測定にまわした。最終的な粘度は11.7γで12.4Pa・secであった。酸価は10.2mgKOH/gであった。
[実施例3]
0.185%MWNT/ポリエステル複合体の調製(サンプルID:VF567)
500gの1,9−ノナンジオールを3L容のガラス製反応ケトルに入れ、時々撹拌しながら60℃まで溶融混合する。MWNT約2.0g(ポリマー質量1080gに対して0.185%)を、溶融ノナンジオールに添加した。ナノチューブがジオール中に十分に分散された(かつ、おそらくはエステル化された)後、ガラス製反応器をホットプレートから降ろした。反応器に、719gの1,12−ドデカン二酸および1.30gのファスキャット4100触媒を添加した。次いで、このケトルをマントルヒーターに移した。マントルヒーター空気流を、アルゴンパージ、ヒーター電気ボックス、ラウダ社製コンデンサーバス(Lauda condenser bath)、および水コンデンサーと共にオンにした。混合物が溶融し始めたらすぐに攪拌機をオンにし、高温のコンデンサーの底およびケトルをキムタオルとアルミホイルで包み、この系を断熱した。80℃前後で試薬の溶融が始まり、反応が進んだ。60分かけて温度を170℃に上昇させ、その温度で6時間維持した。反応系をアルゴンで覆いながら、120℃で一晩維持した。
0.185%MWNT/ポリエステル複合体の調製(サンプルID:VF567)
500gの1,9−ノナンジオールを3L容のガラス製反応ケトルに入れ、時々撹拌しながら60℃まで溶融混合する。MWNT約2.0g(ポリマー質量1080gに対して0.185%)を、溶融ノナンジオールに添加した。ナノチューブがジオール中に十分に分散された(かつ、おそらくはエステル化された)後、ガラス製反応器をホットプレートから降ろした。反応器に、719gの1,12−ドデカン二酸および1.30gのファスキャット4100触媒を添加した。次いで、このケトルをマントルヒーターに移した。マントルヒーター空気流を、アルゴンパージ、ヒーター電気ボックス、ラウダ社製コンデンサーバス(Lauda condenser bath)、および水コンデンサーと共にオンにした。混合物が溶融し始めたらすぐに攪拌機をオンにし、高温のコンデンサーの底およびケトルをキムタオルとアルミホイルで包み、この系を断熱した。80℃前後で試薬の溶融が始まり、反応が進んだ。60分かけて温度を170℃に上昇させ、その温度で6時間維持した。反応系をアルゴンで覆いながら、120℃で一晩維持した。
一晩で、約42mlの水がメスシリンダー中に凝縮および回収された。温度を120から170℃へと戻した。研究室用の小型バキューム(グレースタンダード)を用いて約30分間若干の減圧をした。この工程の間、冷えたコンデンサーと高温のコンデンサーの両方をオンのままにしておいた。170℃のまま、水/グリコールを更に引くために、メスシリンダーをバキュームライン(vacuum line)の付いたアダプターに接続した。水/グリコールの総収量は約51mlに増加した。両方のコンデンサーを外した。この系に、170℃でアルゴンをパージした。最初の193分間、エドワードハイバキュームをかけた。357分の時点において粘度は26.6Pa・secであった。この操作を380分の時点で停止した。樹脂を手動で注いで取り出した。樹脂をパンの中で冷却し、崩した後、デランパー装置中で破砕した。樹脂のサンプルをとり、酸価、GPC、DSC、粘度、およびICP(Sn)の測定にまわした。最終的な粘度は11.7γで35Pa・secであった。酸価は7.59mgKOH/gであった。
[比較例1]
カーボンナノチューブを含まない通常の樹脂の調製(サンプルID:VF568)
719グラムの1,12−ドデカン二酸モノマー、500グラムの1,9−ノナンジオールモノマー、および1.303gのファスキャット4100触媒を3L容のガラス製反応ケトルに全て量り入れた。次いでケトルをマントルヒーターに移した。マントルヒーター空気流を、アルゴンパージ、ヒーター電気ボックス、ラウダ社製コンデンサーバス、および水コンデンサーと共にオンにした。混合物が溶融し始めたらすぐに攪拌機をオンにし、高温のコンデンサーの底およびケトルをキムタオルとアルミホイルで包み、この系を断熱した。反応物質は80℃前後で溶融し始めた。60分かけて170℃まで昇温し、その温度で5時間維持した。約45mlの水が凝縮し、メスシリンダーに回収された。アルゴンで反応系を覆いながら、温度を翌日まで120℃に下げた。
カーボンナノチューブを含まない通常の樹脂の調製(サンプルID:VF568)
719グラムの1,12−ドデカン二酸モノマー、500グラムの1,9−ノナンジオールモノマー、および1.303gのファスキャット4100触媒を3L容のガラス製反応ケトルに全て量り入れた。次いでケトルをマントルヒーターに移した。マントルヒーター空気流を、アルゴンパージ、ヒーター電気ボックス、ラウダ社製コンデンサーバス、および水コンデンサーと共にオンにした。混合物が溶融し始めたらすぐに攪拌機をオンにし、高温のコンデンサーの底およびケトルをキムタオルとアルミホイルで包み、この系を断熱した。反応物質は80℃前後で溶融し始めた。60分かけて170℃まで昇温し、その温度で5時間維持した。約45mlの水が凝縮し、メスシリンダーに回収された。アルゴンで反応系を覆いながら、温度を翌日まで120℃に下げた。
翌日、120℃から170℃に昇温した。水を更に除くために、バキュームラインの付いたアダプターにメスシリンダーを接続した。研究室用の小型バキューム(グレースタンダード)を用いて約34分間若干の減圧をした。この工程の間、冷えたコンデンサーと高温のコンデンサーの両方をオンのままにしておいた。真空ポンプを用いることで、水凝縮物の総収量は約50mlに増加した。両方のコンデンサーを外した。この系に、170℃でアルゴンをパージした。エドワードハイバキュームにかけた。170℃、257分の時点で粘度を調べたところ、6,9Pa・secであった。323分の時点で反応を停止させた。手動で注いで、樹脂を170℃で取り出した。樹脂をパンの中で冷却し、崩した後、デランパー装置中で破砕した。樹脂のサンプルをとり、酸価、GPC、DSC、粘度、およびICP(Sn)の測定にまわした。最終的な粘度は11.7γで13.5Pa・secであった。酸価は9.99mgKOH/gであった。
[比較例2]
カーボンナノチューブを含まない通常の樹脂の調製(サンプルID:VF559)
719グラムの1,12−ドデカン二酸モノマー、500グラムの1,9−ノナンジオール、および1.303gのファスキャット4100触媒を3L容のガラス製反応ケトルに量り入れた。マントルヒーター空気流を、窒素パージ、ヒーター電気ボックス、ラウダ社製コンデンサーバス、および水コンデンサーと共にオンにした。混合物が溶融し始めたらすぐに攪拌機をオンにし、高温のコンデンサーの底およびケトルをキムタオルとアルミホイルで包み、この系を断熱した。反応物質は80℃前後で溶融し始めた。温度は最初90分かけて165℃まで上昇させ、その温度で2時間維持した。次に、60分かけて190℃まで更に昇温し、その温度で5時間維持した。約35mlの水が凝縮し、メスシリンダーに回収された。窒素で反応系を覆いながら、温度を翌日まで120℃に下げた。
カーボンナノチューブを含まない通常の樹脂の調製(サンプルID:VF559)
719グラムの1,12−ドデカン二酸モノマー、500グラムの1,9−ノナンジオール、および1.303gのファスキャット4100触媒を3L容のガラス製反応ケトルに量り入れた。マントルヒーター空気流を、窒素パージ、ヒーター電気ボックス、ラウダ社製コンデンサーバス、および水コンデンサーと共にオンにした。混合物が溶融し始めたらすぐに攪拌機をオンにし、高温のコンデンサーの底およびケトルをキムタオルとアルミホイルで包み、この系を断熱した。反応物質は80℃前後で溶融し始めた。温度は最初90分かけて165℃まで上昇させ、その温度で2時間維持した。次に、60分かけて190℃まで更に昇温し、その温度で5時間維持した。約35mlの水が凝縮し、メスシリンダーに回収された。窒素で反応系を覆いながら、温度を翌日まで120℃に下げた。
翌日、60分かけて190℃に昇温した。この工程の間、冷えたコンデンサーと高温のコンデンサーの両方をオンのままにしておいた。190℃で、水を更に除くために、バキュームラインの付いたアダプターにメスシリンダーを接続した。研究室用の小型バキューム(グレースタンダード)を用いて約20分間若干の減圧をした。真空ポンプの使用により、水蒸留物の総収量は50mlに増加した。この真空系をエドワードハイバキューム系に換え、両方のコンデンサーを外した。この系を、1日の大半、減圧および加熱した。樹脂の粘度は約12.55Pa・secに達した。
3日目に、この系を190℃に再加熱し、減圧した。45分後、粘度は32.5Pa・secとなり、加熱をオフにした。樹脂を約170℃に冷却した後、手動で注いで樹脂を取り出した。樹脂をパンの中で冷却し、崩した後、デランパー装置中で破砕した。樹脂のサンプルをとり、酸価、GPC、DSC、粘度、およびICP(Sn)の測定にまわした。最終的な粘度は11.7γで42.7Pa・secであった。酸価は8.11mgKOH/gであった。
対照の調製
結晶性ポリエステル対照(サンプルID:VF568)と、0.185%MWNTを含有するサンプルID VF567とを、リンカム社(Linkam)製ホットステージ、モデルLTS350上で加熱し、ツァイス・アクシオプラン(Zeiss Axioplan)偏光顕微鏡を用いて観察した。両サンプルを10℃/分で120℃まで加熱し、次いでその温度で5分間維持した後、3℃/分で40℃まで冷却した。冷却された再結晶化材料の顕微鏡写真は、ツァイス顕微鏡上で交差偏光を用いて得た。純粋な結晶性ポリエステルの結晶性球晶はサイズが大きいが、ナノチューブを添加した後のサイズは大きく減少していた。結晶ドメインのサイズが減少していることから、より多くの核形成部位が成長に利用可能であり、それが、その後のサンプルの全体的な結晶化度の増加に寄与していることが示唆される。
表1は、MWNT/結晶性ポリエステル複合体の、示差走査熱量計(DSC)のデータおよび再結晶化のパーセント変化のデータを示す。DSCは、ポリマーの結晶化度の変化を測定するための良いツールである。再結晶化のパーセント変化は、カーボンナノチューブ/結晶性ポリエステル複合体のΔH(2回目溶融Tm)を対照から引き、次いでその差を対照のΔH(2回目溶融Tm)で割り、100をかけることで計算される。その結果から、カーボンナノチューブ/結晶性ポリエステル複合体の合成によりポリマーの結晶化度が増加することが証明された。ポリマーが100%結晶形態で得られた場合、ΔHf(融解熱)を測定することができるが、結晶性ポリマーは全て半結晶性であった。更に、ΔHfを求めるその他の方法が存在するが、それらは例えばピークの正規化(これは非常に退屈であり、複雑になり得る)を必要とする分光学的方法、X線または核磁気共鳴、および分率結晶化度が既知のサンプルを基準にしたDSCの実施(これも、ポリマーへの応用が難しい場合がある)である。そこで、サンプルの結晶化度の合計%は計算せず、対照であるカーボンナノチューブ非含有結晶性ポリエステルと比較したカーボンナノチューブ/結晶性ポリエステル複合体の結晶化度の変化のみを計算した。
表1に示される結果から、具体的には再結晶化の%変化から、これらの結晶性ポリエステル樹脂中でナノチューブが核形成剤として働くことが示唆される。カーボンナノチューブ/結晶性ポリエステルサンプルと純粋な(neat)結晶性ポリエステルの融点の差は、相対的な比率にして約5%の結晶化度の増加を示している。結晶性ポリエステルサンプル中に導入されたナノチューブの濃度は非常に低く、0.075%と0.185%では大きな差は見られなかったが、一般的に、導入量が0.3%を超えると結晶化度は大きく増加する。更に、MWNT濃度が約10%またはそれを超えると、結晶化度は再度低下し得る。これは、Yu et al.;Bhattacharyya et al.;Tzavalas et al.;Kumar;およびRyan et al.により報告されているように、溶融状態のポリマーマトリックス中での分子の運動をMWNTが妨げ、これによりポリマー結晶化率が低下するためである。また、文献に既に報告されているように、アイソタクチックポリプロピレン等のその他のポリマーにおいても、ナノチューブを添加すると結晶化の誘導時間が減少し、ナノチューブ存在下でTmは一般的に高温側にシフトする。このことは、これらのポリマー系においてナノチューブが核形成剤として働くという結論を裏付けている。
表2に、結晶性ポリエステル樹脂および種々の量のMWNTを含有するカーボンブラックトナーの抵抗率の値を示す。ナノチューブ導入量が非常に少ない場合でもトナーの抵抗率は大きく改善される。
電気伝導性の向上を必要とするトナー用途向けに、ポリマー鎖中にMWNTを添加することでトナーの電気伝導性を向上させることができる。Yu et al.により報告されているように、温度変化に抵抗性である好ましい伝導性を達成するためには、したがってより高い熱安定性を達成するためには、MWNT/ポリマー複合体重量の約2〜約20重量%といったより高いMWNT導入量が好ましい。当然のことながら、この範囲外の量を使用してもよい。
Claims (5)
- ポリマー中に分散されたカーボンナノチューブを含有するポリマーマトリックスを含むトナー。
- さらに1種以上の着色剤および/または1種以上のワックスを含む、請求項1に記載のトナー。
- カーボンナノチューブを官能化すること;
前記官能化カーボンナノチューブに第1のモノマーを共有結合させること;
前記第1のモノマーを第2のモノマーと重合化させて、カーボンナノチューブを含有するポリマーマトリックスを形成すること;および
前記ポリマーマトリックスに1種以上の着色剤および/または1種以上のワックスを添加してトナーを形成すること
を含む、トナー製造方法。 - 結晶性ポリエステル中に分散された多層カーボンナノチューブを含有する結晶性ポリエステルマトリックスを含み、前記結晶性ポリエステルの少なくとも一部が前記カーボンナノチューブに共有結合している、乳化凝集トナー。
- さらに1種以上の着色剤および/または1種以上のワックスを含む、請求項4に記載の乳化凝集トナー。
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