JP2010121760A - 自動変速機の変速操作装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各シフトラグ部材、アーム部の位置情報を取得するためのセンサが省略可能であり、また全てのシフトレール部材を容易にニュートラル位置に位置決めする自動変速機の変速操作装置の提供。
【解決手段】シャフト部50からその半径方向に突出し、複数のシフトラグ部材41の突起部41に係合することにより複数のシフトラグ部材41をシフト方向Sfにおけるニュートラル位置に初期化するための初期化部材90を有し、アーム部51はセレクト方向Seにおける所定位置で複数のシフトラグ部材41との係合を回避する状態となるように形成され、アーム部51が前記所定位置を占める状態でシャフト部50を軸心Lc回りに回転して初期化部材を90複数のシフトラグ部材41の突起部41に係合させることにより複数のシフトラグ部材41をシフト方向Sfにおけるニュートラル位置に初期化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の駆動力伝達系に設けられた自動変速機の変速操作装置に関するものである。
車両の駆動力伝達系に設けられた変速機として、手動変速装置における変速操作(セレクト及びシフト)及びクラッチの断接をアクチュエータにより作動させることで、トルクコンバータを省略可能とした、機械式の自動変速機が知られている。
このような自動変速機の変速操作装置は、たとえば、それぞれがシフトラグとシフトフォークとを突設されセレクト方向に配列された複数のシフトレールと、シフトラグに係合するアームと、このアームをシフト方向及びセレクト方向に移動可能であるシフトシャフトとを有している。そして、シフトシャフトをアクチュエータにより駆動することで、アームを、選択された変速ギヤに対応するシフトラグに係合可能な位置を占めるようにセレクト方向に移動させてから、シフト方向の何れか一方に移動させて当該シフトラグを変位させ、当該シフトレールに連動するシフトフォークにより変速ギヤをシフト作動させるようになっている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。
特開2001−304411号公報
このような構成の変速操作装置では、変速操作を行なうために、各シフトラグのシフト方向における位置情報が必要であるが、この位置情報を得るためにセンサを用いるとコストが上昇する。かといって、センサを用いない場合には、かかる位置情報が失われるなどのフェイル状態が生じた場合等に、全てのシフトレールをニュートラル位置に位置決めする必要が生じるが、この位置決めを行なうために、アームを、全てのシフトラグに対応させてセレクト方向、シフト方向へ移動させると、位置決め完了までに多くの工数、長い時間がかかる。
またかかる構成の変速操作装置では、変速操作を行なうために、アームのシフト方向及びセレクト方向における位置情報が必要であるが、この位置情報を得るためにセンサを用いるとコストが上昇する。またアームのシフト方向及びセレクト方向における位置情報が失われると、全てのシフトレールをニュートラル位置に位置決めすることも難しくなる。
本発明は、各シフトラグ、アームの位置情報を取得するためのセンサが省略可能であり、また全てのシフトレールを容易にニュートラル位置に位置決めする自動変速機の変速操作装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、セレクト方向に軸心を向けて配置されたシャフト部と前記シャフト部からその半径方向に突出したアーム部とを備えたシフト部材と、変速装置内の変速ギヤのシフト操作を行うシフトフォーク部を備えシフト方向にシフト軸線を向けて配備される複数のシフトレール部材と、前記複数のシフトレール部材にそれぞれ備えられ前記アーム部と係合可能な複数のシフトラグ部材と、を有し、前記各シフトラグ部材は、前記アーム部に係合可能な突起部を有し、前記アーム部が前記セレクト方向及び前記シフト方向に移動してセレクトしたシフトラグ部材の突起部を押圧することで、当該シフトラグ部材と連動する前記シフトレール部材に備えられた前記シフトフォーク部により目標の変速ギヤをシフト作動する自動変速機の変速操作装置であって、前記シャフト部からその半径方向に突出し、前記複数のシフトラグ部材の突起部に係合することにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化するための初期化部材を有し、前記アーム部は前記セレクト方向における所定位置で前記複数のシフトラグ部材との係合を回避する状態となるように形成され、前記アーム部が前記所定位置を占める状態で前記シャフト部を軸心回りに回転して前記初期化部材を前記複数のシフトラグ部材の突起部に係合させることにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化する自動変速機の変速操作装置にある。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の自動変速機の変速操作装置において、前記突起部は単一の爪状をなしており、前記シャフト部の軸心は、前記シフトラグのニュートラル位置における前記突起部のシフト方向中心位置から前記突起部の延在方向に延長した略直線上に配置され、前記シフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化するとき、前記初期化部材は、前記複数のシフトラグ部材の突起部の一方の側面に係合した後に前記シャフト部の軸心周りに反転して前記突起部の他方の側面に係合することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の自動変速機の変速操作装置において、前記シャフト部を前記セレクト軸線周りに回転するときに前記初期化部材に同期して変位する同期変位部材を有し、前記シャフト部を軸心回りに回転して前記初期化部材を前記複数のシフトラグ部材に係合させることにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化された状態となったときに前記同期変位部材に係合して前記シャフト部の回動を規制する第1の位置基準部材を有することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項2の何れか1つに記載の自動変速機の変速操作装置において、前記アーム部が前記所定位置を占めたときに前記シフト部材に係合して前記アーム部のセレクト方向への移動を規制する第2の位置基準部材を有することを特徴とする。
本発明は、セレクト方向に軸心を向けて配置されたシャフト部と前記シャフト部からその半径方向に突出したアーム部とを備えたシフト部材と、変速装置内の変速ギヤのシフト操作を行うシフトフォーク部を備えシフト方向にシフト軸線を向けて配備される複数のシフトレール部材と、前記複数のシフトレール部材にそれぞれ備えられ前記アーム部と係合可能な複数のシフトラグ部材と、を有し、前記各シフトラグ部材は、前記アーム部に係合可能な突起部を有し、前記アーム部が前記セレクト方向及び前記シフト方向に移動してセレクトしたシフトラグ部材の突起部を押圧することで、当該シフトラグ部材と連動する前記シフトレール部材に備えられた前記シフトフォーク部により目標の変速ギヤをシフト作動する自動変速機の変速操作装置であって、前記シャフト部からその半径方向に突出し、前記複数のシフトラグ部材の突起部に係合することにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化するための初期化部材を有し、前記アーム部は前記セレクト方向における所定位置で前記複数のシフトラグ部材との係合を回避する状態となるように形成され、前記アーム部が前記所定位置を占める状態で前記シャフト部を軸心回りに回転して前記初期化部材を前記複数のシフトラグ部材の突起部に係合させることにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化する自動変速機の変速操作装置にあるので、複数のシフトラグ部材の位置情報を取得するためのセンサが省略可能であってセンサ配置によるコストを低減可能であり、また複数のシフトレール部材の位置を容易に短時間で初期化し得る自動変速機の変速操作装置を提供することができる。
前記突起部は単一の爪状をなしており、前記シャフト部の軸心は、前記シフトラグのニュートラル位置における前記突起部のシフト方向中心位置から前記突起部の延在方向に延長した略直線状に配置され、前記シフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化するとき、前記初期化部材は、前記複数のシフトラグ部材の突起部の一方の側面に係合した後に前記シャフト部の軸心周りに反転して前記突起部の他方の側面に係合することとすれば、1つの初期化部材をシフトラグ部材のシフト方向両側から係合させることによって初期化を行うことができ、簡素な構造でより確実且つより正確に初期化を行うことができる自動変速機の変速操作装置を提供することができる。
前記シャフト部を前記セレクト軸線周りに回転するときに前記初期化部材に同期して変位する同期変位部材を有し、前記シャフト部を軸心回りに回転して前記初期化部材を前記複数のシフトラグ部材に係合させることにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化された状態となったときに前記同期変位部材に係合して前記シャフト部の回動を規制する第1の位置基準部材を有することとすれば、複数のシフトラグ部材の位置情報を取得するためのセンサのみならずシフト部材の回転位置情報を取得するためのセンサが省略可能であってセンサ配置によるコストを低減可能であり、また複数のシフトレール部材の位置を容易に短時間で初期化し得る自動変速機の変速操作装置を提供することができる。
前記アーム部が前記所定位置を占めたときに前記シフト部材に係合して前記アーム部のセレクト方向への移動を規制する第2の位置基準部材を有することとすれば、複数のシフトラグ部材の位置情報を取得するためのセンサのみならずシフト部材のセレクト方向における位置情報を取得するためのセンサが省略可能であってセンサ配置によるコストを低減可能であり、また複数のシフトレール部材の位置を容易に短時間で初期化し得る自動変速機の変速操作装置を提供することができる。
図1に本発明を適用した自動変速機の変速操作装置(以下、「変速操作装置」という)にかかる自動変速機を示す。
この自動変速機1は、デュアルクラッチ式の自動変速機であり、2個のクラッチ2、3と、同軸上に配備された2個の主軸4、5と、2個の副軸6、7とを備えている。第1の主軸4は、第1のクラッチ2を介して、エンジン8の出力軸9から動力が伝達される。第2の主軸5は、第2のクラッチ3を介して、出力軸9から動力が伝達される。なお、2個のクラッチ2、3は不図示の油圧制御回路に断切制御される。
第1の副軸6及び第2の副軸7は、第1の主軸4及び第2の主軸5と軸線が平行になるように、互いに離間し、且つ第1の主軸4及び第2の主軸5から離間した状態で配置されている。また、副軸6の出力ギヤg2及び副軸7の出力ギヤg3は共に自動変速機1の後段のデフ10の減速ギヤg1に動力を伝達可能に構成されている。
第1の副軸6には、1速ギヤ11、2速ギヤ12、3速ギヤ13及び6速ギヤ14が回転可能に枢支されている。第2の副軸7には、4速ギヤ15、5速ギヤ16及びリバースギヤ17が回転可能に枢支されているとともに、パーキングギヤ18が固定されている。
自動変速機1には、4個のシフトフォーク20〜23が備えられている。第1のシフトフォーク20及び第2のシフトフォーク21は、第1の副軸6の軸線に沿ってスライド移動可能に設置されるとともに、第3のシフトフォーク22及び第4のシフトフォーク23は、第2の副軸7の軸線に沿ってスライド移動可能に設置されている。
これらのシフトフォーク20〜23をスライド移動させることで、第1のシフトフォーク20により2速ギヤ12及び6速ギヤ14を、第2のシフトフォーク21により1速ギヤ11及び3速ギヤ13を、夫々選択的に副軸6に断接すなわちシフト作動可能となっているとともに、第3のシフトフォーク22により4速ギヤ15及びリバースギヤ17を、第4のシフトフォーク23により5速ギヤ16及びパーキングギヤ18を、夫々選択的に副軸7に断接可能となっている。第1の主軸4には1速ギヤ11、3速ギヤ13及び5速ギヤ16が接続される一方、第2の主軸5には、2速ギヤ12、4速ギヤ15、6速ギヤ14及びリバースギヤ17が接続されている。
すなわち、デュアルクラッチ式変速装置の自動変速機1では、第1のクラッチ2を介して1速、3速、5速及びパーキングに選択的に切り換え可能である一方、第2のクラッチ3を介して2速、4速、6速及びリバースに選択的に切り換え可能に構成されている。
このような自動変速機1の変速操作装置100は、図2に示すように、セレクト方向seに軸線としてのセレクト軸線を向けて延在したシャフト部50を備え一端にアクチュエータ70を連結されたシフト部材55と、シャフト部50と直交する、図1における前後方向に一致するシフト方向Sfに、軸線としてのシフト軸線を向けセレクト方向Seに並設された複数のシフトレール部材としての4つのシフトレール30とを有している。
シフト部材55は、シャフト部50の一部よりシャフト部50の半径方向であって互いに対向状態で一対突出して形成されたシフタとしてのアーム部51と、シャフト部50の他の一部よりシャフト部50の半径方向にアーム部51と異なる位相で突出した平板状の初期化部材90と、シャフト部50のさらに他の一部よりシャフト部50の半径方向に初期化部材90と同じ位相で突出した平板状の同期変位部材91とを有している。
各シフトレール30は、これに一体結合されると共に自動変速機1内の変速ギヤ11、12、13、14、15、16、17のシフト操作を行うシフトフォーク部としてのシフトフォーク20〜23と、一対のアーム部51と係合可能であり単一形状、具体的には単一の爪状の突起部41を突設したシフトラグ部材としてのシフトラグ40とを有している。
図3に示すように、突起部41は、シフトラグ40からシフト方向sf及びセレクト方向Seに対し略垂直な方向であるLr方向に突出する態様で形成されている。なお、同図はシフト部材55についてはその一部のみを示しており、初期化部材90、同期変位部材91等の図示を省略している。
シャフト部50はシフトラグ40の上方において、矢印Srで示す方向に回転可能かつセレクト方向seに移動可能に支持されている。シフトラグ40は、シフト方向Sfにおいてニュートラル位置を占めた状態であるとき、言い換えると、シフトレール30のシフトフォーク20〜23がシフト方向Sfにおいてニュートラル状態であるときに、突起部41のシフト方向Sfにおける中心位置から突起部41の延在方向に延長した直線である、突起部41の突出方向中心軸線Lr上に、シャフト部50が位置するように形成されている。シャフト部50の軸心である操作軸線Lcは、シフトラグ40がシフト方向Sfにおけるニュートラル位置を占めた状態において、突起部41の突出方向中心軸線Lr上に略一致するように配置されている。
一対のアーム部材51はシャフト部50の下方に突出した状態で形成されており、同図に示すニュートラル位置に保持される際に、突起部41がシフト方向Sfにおけるいずれのシフト位置に移動していても、突起部41と干渉せずにセレクト方向seに移動可能なようにシャフト部50から互いに対向し離間した状態となっている。
一対のアーム部材51はセレクト方向Seにおいて互いに同位置を占めている。一対のアーム部材51はシャフト部50のSr方向への回転によってシフト方向Sfにおいて変位する。
図2に示すように、アクチュエータ70は、Sr方向に一致する、シャフト部50の操作軸線Lc回りにシャフト部50を回転駆動するシフト用モータ71と、シャフト部50をセレクト軸線に一致する操作軸線Lcの方向であるセレクト方向seにスライド操作するセレクト用モータ72の駆動及びこれによって駆動される螺子送り機構73とを有している。シフト用モータ71、セレクト用モータ72は何れもサーボモータである。
アクチュエータ70はECU62により図示しないシフトレバーの操作及びエンジン8の運転状態等に基づいて駆動制御され、例えば、現変速段を目標変速段に切リ換える際に順次切り換えるように駆動制御される。
ECU62は、図示しないCPU等によって構成された演算手段と、図示しないROM、RAM等によって構成された記憶手段とを有している。ECU62は、変速時に不図示の変速制御装置を介してクラッチ2、3の作動を制御する。詳しくは、ECU62は変速段を切り換える際に、一方のクラッチ2または3が接続されている現変速段の状態から、この変速段を接続したまま、他方のクラッチ3または2を接続して次の変速段に接続する。そして、この次の変速段の回転数がシンクロした時点で、前の変速段の切り離しを行うことで、継ぎ目のない変速を実現している。ECU62はまた、後述のタイミングで後述するようにシフト用モータ71、セレクト用モータ72を駆動して各シフトラグ40等の初期化を行なう。
図3に示すように、突起部41は、シフト方向sfにおいて互いに逆を向く一対の側面部f0を有し、一方の側面部f0側から一対のアーム部51の一方により押圧力を加えられると、この突起部41を有するシフトレール30のシフトフォーク(20、21、22、23の何れか)はシフト入作動すると共に、他方の側面部f0側からアーム部51の他方により押圧力を加えられると当該シフトフォークはシフト抜作動をするように構成されている。
なお、シフト作動とは、シフト入作動及びシフト抜作動のことである。
そして変速操作装置100は、シフト部材55の一対のアーム部51がアクチュエータ70によりセレクト方向Se及びシフト方向Sfに移動することで選択したシフトラグ40を押圧し、これによって、選択されたシフトラグ40を備えこのシフトラグ40と連動するシフトレール30に備えられたシフトフォーク20、21、22、23の何れかにより目標の変速ギヤをシフト作動する。
図4(a),(b)を参照して、現段が1速(第1のクラッチ2側)、とし、これより2速(第2のクラッチ3側)への変速操作であるシフト操作を行う場合を説明する。
この場合、現段が1速段にあり、一対のアーム部51が同図(b)に実線で示すニュートラル位置を保って1−3速シフトライン上のニュートラル位置から6−2速シフトレール30上のニュートラル位置に移動した上で一対のアーム部51が同図(b)に破線で示すように揺動し、同図(a)、(b)に破線で示すニュートラル位置にある6−2速シフトレール30の突起部41を同図(a)、(b)に実線で示す2速段位置にシフト作動pする。直後に一対のアーム部51が同図(b)に実線で示すニュートラル位置に揺動し、これを保ったまま、6−2速シフトレール30上のニュートラル位置からセレクト移動し1−3速シフトレール30上のニュートラル位置に戻り、そこで一対のアーム部51が同図(b)に実線で示すニュートラル位置から同図(b)に一点鎖線で示す位置に揺動し、同図(a)に破線で示す1速段位置にある対向する1−3速シフトレール30の突起部41を同図(a)に実線で示すニュートラル位置への戻す処理rが完了し、この後、2速段のシンクロが完了すると第1のクラッチ2を絶ち第2のクラッチ3を接合し継ぎ目のない変速が成される。
ここでは、一対のアーム部51がセレクトした突起部41の両側面のうちの一方の側面部f0に当接して押圧力を加える操作と、突起部41の両側面のうちの他方の側面部f0に当接して押圧力を加える操作とをシフト時、及びシフト抜き時に適宜行うので、柱状の突起部41が一本でシフト入作動(変速段入)とシフト抜き作動(変速段解除)とが行われ、突起部41の突設量が極力少なくなり、レイアウト自由度が大きく、コスト低減効果がある。
特に、一対のアーム部51は現変速段のニュートラル位置より目標変速段側のニュートラル位置にセレクト移動後に目標変速段にシフト後、シフト抜き操作では、目標変速段のニュートラル位置を経て前の変速段のニュートラル位置で前の変速段をニュートラルに戻すようにシフト方向に戻し作動rしてニュートラル状態に戻るのみでシフト抜き処理が完了するので、シフト抜き行程数が低減し、シフト抜き操作がスムーズに成され、変速時間が短縮される。
しかも、一対のアーム部51が揺動し、突起部41を2速段にシフト作動するとき、突起部41の中心線Lrと、この突起部41に当接する側のアーム部51の揺動中心線とのなす角度が比較的小さいので、アーム部51が突起部41の側面部f0に加える押圧力が比較的大きく保持され、シフト抜き操作がスムーズに成され、変速時間が短縮される。
なお、シフト抜き作動(変速段解除)のときは、一対のアーム部51の他方の押圧力がシフト入作動力に比べると分散されることとなるが、シフト入作動(変速段入)ほどの大きな力は不要であるのでスムーズなシフト抜き作動が保持される。また変速行程を短縮して変速速度を向上するので、デュアルクラッチと共働して変速操作性がより向上する。
変速操作装置100は、他の変速操作も同様にして行なうが、変速操作を行なうにあたっては、各突起部41あるいは各シフトラグ40の位置情報すなわちこれらがニュートラル位置、2つのシフト位置のうちの何れにあるかの情報が必要であるため、変速操作を行なうたびにECU62の記憶手段にかかる位置情報をシフト情報として記憶させるようになっている。この点、記憶手段はシフト情報記憶手段として機能する。
ここで、かかる位置情報を得るためには、各突起部41あるいは各シフトラグ40の位置を検出する、各シフトラグ40あるいは各シフトレール30等の1つ1つに、接触タイプの磁力センサ等を配設してもよいが、センサを用いるとコストがかかる。かといってセンサを用いない場合には、シフト情報記憶手段としての記憶手段に記憶されているシフト情報が、ECU62に対する電気的な外乱等によって失われるなどのフェイル状態が生じた場合等に、全ての突起部41をニュートラル状態とすることなどの位置決めを行い、各突起部41あるいは各シフトラグ40の位置情報を取得する必要が生じるが、かかる位置決めを行なうために、アーム部51を、全ての突起部41に対応させてセレクト方向Se、シフト方向Sfへ移動させると、位置決め完了までに多くの工数、長い時間がかかる。
そのため、変速操作装置100は初期化部材90を備え、この初期化部材90を用いて全ての突起部41をシフト方向Sfにおいて一度にニュートラル位置に位置決めし初期化し、また全てのシフトラグ40をシフト方向Sfにおいて一度にニュートラル位置に位置決めし初期化して、かかる位置情報を作成、取得するようになっている。
初期化部材90は、セレクト方向Seにおいて、4つの突起部41が延在している長さ以上の長さを有しており、シャフト部50が、図2に実線で示した位置からセレクト方向Seに変位し、同図に破線で示した位置に至ると、セレクト方向Seにおいて、4つの突起部41が延在している領域を含む領域に位置決めされ、全ての突起部41に係合可能となる。一方、アーム部51は、この状態で、シャフト部50がSr方向に回動しても、何れの突起部41にも係合しない係合回避位置を占め、全ての突起部41との係合を回避する状態となっている。よってかかる状態でシャフト部50がSr方向に回動すると、初期化部材90のみが、全ての突起部41に当接する態様で、突起部41に係合する。
初期化部材90が全ての突起部41に係合可能な状態にあるとともにアーム部51が係合回避位置を占める、シャフト部50が図2に破線で示した位置を占める状態では、シャフト部50は、シフト部材55のアクチュエータ70を連結された側の端部と反対側の端部において、変速操作装置100のケースの一部によって構成された不動の部材92に当接する。初期化部材90が、Sr方向において、全ての突起部41をニュートラル位置に位置決めする位置を占めるとき、同期変位部材91は、初期化部材90に同期してSr方向に変位し、不動の部材92に突設されたピン93に当接するようになっている。
よって、シャフト部50が不動の部材92に当接しアーム部51が係合回避位置を占めるまでセレクト用モータ72を駆動してシフト部材55をセレクト方向Seに変位させてから、同期変位部材91がピン93に当接するまでシフト用モータ71を駆動してシフト部材55を操作軸線Lc回りにSr方向に回動すると、初期化部材90が全ての突起部41に係合し、全ての突起部41がシフト方向Sfにおいてニュートラル位置を占め、全てのシフトラグ40がシフト方向Sfにおいて初期化された位置を占めることとなる。
たとえば、図5に示すように、6−2速シフトレール30の突起部41が破線で示す2速段位置にあり、他の突起部41がニュートラル位置を占めているときには、同期変位部材91がピン93に当接するまで、シャフト部50を、Sr方向のうちの一方Sr1に回動すると、初期化部材90が6−2速シフトレール30の突起部41を実線で示すニュートラル位置に変位し、全ての突起部41がシフト方向Sfにおいてニュートラル位置を占める。
ただし、各突起部41がシフト方向Sfの何れにシフトしていても初期化が行なわれるように、シャフト部50の回動は、同期変位部材91がピン93に当接するまで、Sr1方向のみならずこれと逆方向のSr2方向にも行なう。すなわち、突起部41、シフトラグ40をシフト方向Sfにおけるニュートラル位置に初期化するとき、初期化部材90は、動作軸線Lc回りにSr1方向に回転して全ての突起部41の一方の側面部f0に係合した後に動作軸線Lc回りにSr2方向に反転して全ての突起部41の他方の側面部f0に係合する。
このように、シフト部材55をセレクト方向Seに変位する第1の工程、シフト方向Sfに変位する第2の工程のみの、フィードフォワード的制御による少ない工程により、短時間で初期化が完了する。またセンサを設けることによることストを省くことが可能である。
ピン93は、全ての突起部41がシフト方向Sfにおいてニュートラル位置を占め、全てのシフトラグ40がシフト方向Sfにおいて初期化された状態となったときに同期変位部材91に係合してシャフト部50の回動を規制することでシフト方向Sf方向におけるシフト部材55の位置基準を形成する第1の位置基準部材として機能するものである。なお、ピン93は、同期変位部材91のSr1方向、Sr2方向へのそれぞれの回動時に別個に係合、当接する、異なる2つの部材によって構成しても良い。
不動の部材92は、アーム部51が係合回避位置を占めたときにシフト部材55に係合してアーム部51のセレクト方向Seへの移動を規制することでセレクト方向Seにおけるシフト部材55の位置基準を形成する第2の位置基準部材として機能するものである。なお、不動の部材92は、変速操作装置100のケースでなく他の部材によって構成してもよい。
同期変位部材91がピン93に当接したこと、シフト部材55が不動の部材92に当接したことはそれぞれ、ECU62がシフト用モータ71、セレクト用モータ72の荷重変化を監視し、荷重が所定のしきい値を超えたことによって検出する。またECU62は、かかる初期化が完了すると、シフト情報記憶手段としての記憶手段に、全ての突起部41あるいは全てのシフトラグ40がニュートラル位置を占めている旨の位置情報を記憶する。
変速操作を行なうにあたっては、シフト情報のみならず、シフト部材55の、セレクト方向Seにおいて占める位置に関する情報であるセレクト位置情報、Sr方向における位相、シフト方向Sfにおける位置に関するシフト位置情報も必要であり、記憶手段は、これらの情報も記憶するようになっている。この点、記憶手段は、セレクト位置情報記憶手段、シフト位置情報記憶手段として機能する。セレクト位置情報はアーム部51が係合回避位置を占める状態からのシフト部材55の変位量として記憶され、シフト位置情報記憶手段は同期変位部材91がSr2方向に回動してピン93に当接した状態からのシフト部材55の回動量として記憶される。
ECU62はかかる初期化を行なうためにシフト用モータ71、セレクト用モータ72、シフト部材55等の駆動制御等を行う点において初期化制御手段として機能する。ECU62が初期化制御手段として機能するタイミングは、エンジン8を始動するとき、停止するとき、その他、シフト情報記憶手段に記憶されているシフト情報が、ECU62に対する電気的な外乱等によって失われるなどのフェイル状態が生じた場合等である。
以上述べた構成例は、アーム部51を一対備え、突起部41が単一のものであるが、図6に示すように、アーム部51が単一であり、突起部41を一対備えているものであってもよい。この場合は、たとえば、初期化部材90および同期変位部材91が突起部14等の他の部材に当接しない位置でこれらが真下を向くようにSr方向に回動した後、セレクト方向Seに変位してシャフト部50が不動の部材92に当接すると初期化部材90が全てのシフトラグ40の一対の突起部41の間に進入する状態となるように構成する。また、不動の部材92には、かかる状態において、同期変位部材91を挟む状態となるようにピン93を一対設け、同期変位部材91が各ピン93に当接するまでSr1方向、Sr2方向への回動を行うと、初期化部材90が全ての突起部41に係合し、全てのシフトラグ40がシフト方向Sfにおいて初期化された位置を占めることとなるように構成する。
なお、アーム部51、突起部41の何れも単一であっても良く、この場合も、適宜、かかる初期化が行われるように構成を設定する。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、初期化部材は、シフト部材がセレクト方向で基準位置を占めたときに全てのシフトラグ部材に係合することが可能であれば、平板状でなく、櫛歯状など、セレクト方向において非連続的に形成されていてもよい。同期変位部材は、初期化部材と一体の部材であってもよい。
また、本発明にかかる変速操作装置を適用する自動変速機は、デュアルクラッチ式の自動変速機に限らず、単一のクラッチを用いた自動変速機であってもよい。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
本発明を適用した自動変速機の変速操作装置を備えた車両の駆動力伝達系の概略構成図である。 本発明を適用した自動変速機の変速操作装置の概略斜視図である。 図2に示した自動変速機の変速操作装置内の一対のアーム部と対向する柱状突部の拡大斜視図である。 図2に示した自動変速機の変速操作装置で用いるアーム部とシフトラグ部材との作動説明図であって、(a)は概略平面図であり、(b)は概略正面図である。 図2に示した自動変速機の変速操作装置において複数のシフトラグ部材の位置の初期化を行う場合のアーム部とシフトラグ部材との作動説明図であって、(a)は概略正面であり、(b)は概略平面図である。 本発明を適用した自動変速機の変速操作装置の異なる形態における構成図であって、(a)は概略平面図であり、(b)は概略正面図である。
符号の説明
1 自動変速機
11〜17 変速ギヤ
20〜23 シフトフォーク部
30 シフトレール部材
40 シフトラグ部材
41 突起部
50 シャフト部
51 アーム部
55 シフト部材
90 初期化部材
91 同期変位部材
92 第2の位置基準部材
93 第1の位置基準部材
100 自動変速機の変速操作装置
f0 突起部の側面
sf シフト方向
se セレクト方向
Lc シャフト部の軸心
Lr 突起部のシフト方向中心位置から突起部の延在方向に延長した直線

Claims (4)

  1. セレクト方向に軸心を向けて配置されたシャフト部と前記シャフト部からその半径方向に突出したアーム部とを備えたシフト部材と、
    変速装置内の変速ギヤのシフト操作を行うシフトフォーク部を備えシフト方向にシフト軸線を向けて配備される複数のシフトレール部材と、
    前記複数のシフトレール部材にそれぞれ備えられ前記アーム部と係合可能な複数のシフトラグ部材と、
    を有し、
    前記各シフトラグ部材は、前記アーム部に係合可能な突起部を有し、
    前記アーム部が前記セレクト方向及び前記シフト方向に移動してセレクトしたシフトラグ部材の突起部を押圧することで、当該シフトラグ部材と連動する前記シフトレール部材に備えられた前記シフトフォーク部により目標の変速ギヤをシフト作動する自動変速機の変速操作装置であって、
    前記シャフト部からその半径方向に突出し、前記複数のシフトラグ部材の突起部に係合することにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化するための初期化部材を有し、
    前記アーム部は前記セレクト方向における所定位置で前記複数のシフトラグ部材との係合を回避する状態となるように形成され、
    前記アーム部が前記所定位置を占める状態で前記シャフト部を軸心回りに回転して前記初期化部材を前記複数のシフトラグ部材の突起部に係合させることにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化する
    ことを特徴とする自動変速機の変速操作装置。
  2. 請求項1に記載の自動変速機の変速操作装置において、
    前記突起部は単一形状であり、
    前記シャフト部の軸心は、前記シフトラグのニュートラル位置における前記突起部のシフト方向中心位置から前記突起部の延在方向に延長した略直線上に配置され、
    前記シフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化するとき、前記初期化部材は、前記複数のシフトラグ部材の突起部の一方の側面に係合した後に前記シャフト部の軸心周りに反転して前記突起部の他方の側面に係合する
    ことを特徴とする自動変速機の変速操作装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の自動変速機の変速操作装置において、
    前記シャフト部を前記セレクト軸線周りに回転するときに前記初期化部材に同期して変位する同期変位部材を有し、
    前記シャフト部を軸心回りに回転して前記初期化部材を前記複数のシフトラグ部材に係合させることにより同複数のシフトラグ部材を前記シフト方向におけるニュートラル位置に初期化された状態となったときに前記同期変位部材に係合して前記シャフト部の回動を規制する第1の位置基準部材を有する
    ことを特徴とする自動変速機の変速操作装置。
  4. 請求項1ないし請求項2の何れか1つに記載の自動変速機の変速操作装置において、
    前記アーム部が前記所定位置を占めたときに前記シフト部材に係合して前記アーム部のセレクト方向への移動を規制する第2の位置基準部材を有する
    ことを特徴とする自動変速機の変速操作装置。
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