JP2010121613A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性及び信頼性を両立して確保するバルブタイミング調整装置の提供。
【解決手段】外部とは隔絶された流体室114を内部に形成する筐体110と、流体室114に封入され磁界の印加により粘度変化する磁気粘性流体140と、流体室114の磁気粘性流体140への磁界の印加により磁気粘性流体140の粘度を可変制御するソレノイドコイル150及び通電制御回路200と、筐体110により回転可能に支持されて流体室114の磁気粘性流体140と接触し磁気粘性流体140の粘度に応じたブレーキトルクが入力されるブレーキ回転体130と、ブレーキ回転体130と連繋しブレーキトルクに従って機関位相を調整する位相調整機構300と、筐体110により運動可能に支持されて流体室114に露出し流体室114の内圧増減に従う運動により流体室114の容積を増減させる隔膜160とを設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置に関する。
従来、バルブタイミングを決めるクランク軸及びカム軸間の相対位相(以下、「機関位相」という)を、アクチュエータにより発生したブレーキトルクに従って調整するバルブタイミング調整装置が知られている。このようなバルブタイミング調整装置としては、流体アクチュエータによりブレーキトルクを発生して機関位相を調整する装置が、特許文献1に開示されている。
具体的に特許文献1の装置では、筐体内部の流体室に封入されてブレーキ回転体と接触する磁気粘性流体へ磁界を印加することにより、当該磁気粘性流体の粘度を可変制御するアクチュエータが用いられている。このアクチュエータによれば、磁気粘性流体の粘度に応じたブレーキトルクを筐体の支持するブレーキ回転体へ入力して、当該ブレーキ回転体と連繋する位相調整機構により機関位相をブレーキトルクに従って調整するのである。
また、特に特許文献1の装置のアクチュエータでは、磁気粘性流体を部分充填させた筐体内部の流体室を、少なくとも気体の流通は可能となるように筐体外部と連通させている。これによれば、流体室において部分充填状態の磁気粘性流体や残部の空気が温度変化により膨張および縮小(以下、膨縮ともいう)して流体室の内圧が増減し、それに応じて流体室及び筐体外部の間では空気が出入りするので、当該内圧の増減幅を小さくして筐体及びブレーキ回転体の変形による耐久性低下を回避し得るのである。ここで、流体室の内圧増減を惹起する温度変化としては、環境温度の変化のみならず、ブレーキトルクの入力によりブレーキ回転体が制動することによって生じた発熱に起因する温度変化等が、考えられる。したがって、流体室の内圧の増減は、温度変化に準じた激しいものとなるので、その増減幅を小さくすることは、耐久性の低下を回避する上で重要となっている。
特開2008−51093号公報
しかしながら、特許文献1の装置のアクチュエータにおいて磁気粘性流体が部分充填される筐体内部の流体室には、温度低下の度に筐体外部の新鮮な空気が流入することになるため、当該空気に接した磁気粘性流体には、酸化等の劣化が生じ易い。このように磁気粘性流体が劣化した場合、当該流体によるブレーキトルクの入力特性、ひいては機関位相の調整特性が変化してしまい、信頼性の低下に繋がることとなる。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐久性及び信頼性を両立して確保するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、外部とは隔絶された流体室を内部に形成する筐体と、流体室に封入され、磁界が印加されることにより粘度が変化する磁気粘性流体と、流体室の磁気粘性流体へ磁界を印加することにより当該磁気粘性流体の粘度を可変制御する粘度制御手段と、筐体により回転可能に支持されて流体室の磁気粘性流体と接触し、当該磁気粘性流体の粘度に応じたブレーキトルクが入力されるブレーキ回転体と、ブレーキ回転体と連繋し、当該ブレーキ回転体へ入力されたブレーキトルクに従って機関位相を調整する位相調整機構と、筐体又はブレーキ回転体により運動可能に支持されて流体室に露出し、当該流体室の内圧の増減に従って運動することにより当該流体室の容積を増減させる可動体と、を備えることを特徴とする。
このような請求項1に記載の発明によると、筐体内部に形成されて磁気粘性流体が封入される流体室では、温度変化により磁気粘性流体が膨縮して内圧が増減するのに従い、当該流体室に露出する可動体が運動して容積が増減する。こうした容積増減によれば、流体室の内圧の増減幅が小さくなるので、筐体及びブレーキ回転体の変形を回避することができる。しかも、筐体外部とは隔絶された流体室に当該外部の空気を入れなくても、流体室の内圧増減幅を小さくすることができるので、流体室の磁気粘性流体には、酸化等の劣化が生じ難くなる。故に、磁界の印加により可変制御された磁気粘性流体の粘度に応じてブレーキ回転体へ入力されるブレーキトルクの入力特性、ひいてはブレーキ回転体と連繋する位相調整機構により当該ブレーキトルクに従って調整される機関位相の調整特性について、流体劣化に起因する変化を回避することができる。以上、請求項1に記載の発明によれば、耐久性及び信頼性を両立して確保することが可能である。
請求項2に記載の発明によると、ブレーキ回転体は、筐体を内外に貫通して筐体外部の位相調整機構と連繋する回転軸を有し、筐体は、当該回転軸との間をシールするシール部を有する。このように、筐体内部の流体室において磁気粘性流体と接触するブレーキ回転体の回転軸が筐体を内外に貫通して筐体外部の位相調整機構と連繋する構成では、筐体において回転軸との間をシールするシール部の耐圧値を、当該流体室の内圧が超えると、磁気粘性流体の筐体外部への漏出が懸念される。こうした磁気粘性流体の漏出は、ブレーキトルクの入力特性を変化させて信頼性の低下を生むことになるので、望ましくない。そこで、シール部の耐圧値を高めるために回転軸に対するシール部の緊迫力を強くすることが考えられるが、その場合には、緊迫力によりシール部や回転軸に磨耗が生じて耐久性が低下するといった別の問題が懸念される。しかし、上述の如き可動体の働きにより流体室の内圧増減幅が小さくなることによれば、ブレーキトルクの入力特性変化を招来しない範囲でシール部の耐圧値を低くして、回転軸に対するシール部の緊迫力を弱めることで、磨耗の抑制が可能となる。したがって、信頼性及び耐久性の確保に貢献することができるのである。
請求項3に記載の発明によると、磁気粘性流体は、流体室に部分充填される。このような発明の流体室では、部分充填状態の磁気粘性流体や残部の気体が膨縮して内圧が増減するのに従い、可動体が運動して容積が増減するので、内圧の増減幅が小さくなって筐体及びブレーキ回転体の変形が回避され得る。さらに流体室では、外部に対する隔絶が万が一、不十分なものになったとしても、部分充填状態の磁気粘性流体及び残部の気体のうち流通抵抗の小さい残部気体の方が先に漏出し易くなるので、磁気粘性流体の漏出によるブレーキトルクの入力特性変化が抑制され得る。以上によれば、耐久性及び信頼性の確保に貢献することができるのである。
請求項4に記載の発明によると、可動体を支持する筐体又はブレーキ回転体は、筐体外部の空気が流入出する外気室を形成し、可動体は、当該外気室の内圧及び流体室の内圧間の差圧に応じて運動する。このような発明では、可動体を支持する筐体又はブレーキ回転体に形成されて筐体外部の空気が流入出する外気室の内圧は、大気圧と実質的に等しくなる。故に、外気室の内圧である大気圧及び流体室の内圧間の差圧に応じて可動体を運動させることによれば、流体室の内圧の増減に当該運動を正確に追従させて流体室の容積を増減させることが可能となる。こうした追従作用により流体室の内圧増減幅を確実に小さくして、耐久性の確保効果を発揮させることができるのである。
請求項5に記載の発明によると、可動体は、外気室及び流体室間を隔絶する弾性変形自在な隔膜であり、外気室の内圧及び流体室の内圧間の差圧に応じて変形運動する。このような発明において外気室及び流体室間を隔絶する弾性変形自在な隔膜は、可動体として外気室の内圧及び流体室の内圧間の差圧に応じた変形運動をすることで、流体室の内圧増減に対して流体室の容積増減を敏感に追従させることができる。したがって、流体室の内圧増減幅を十分に小さくして、耐久性の確保効果を高めることができるのである。
請求項6に記載の発明によると、筐体は、流体室を可動体としての隔膜と共に区画する流体室区画部材と、隔膜を流体室区画部材との間に挟んで支持し、流体室とは反対側において隔膜との間に外気室を区画する外気室区画部材と、を有する。このような発明において、磁気粘性流体が封入される流体室を筐体の流体室区画部材と共に区画する可動体としての隔膜は、当該流体室の内圧を受ける受圧面積を大きく確保し易い。しかも、筐体の外気室区画部材は、流体室を区画する隔膜との間に当該流体室とは反対側にて外気室を区画するので、外気室の内圧及び流体室の内圧間の差圧に応じて確実に隔膜を変形運動させることができる。以上によれば、内圧増減に対する容積増減の追従作用により内圧増減幅を小さくして高い耐久性を確保するという効果の発揮を、確固たるものとなし得るのである。加えて、流体室区画部材と共に区画する流体室とは反対側で外気室を外気室区画部材との間に区画する隔膜は、それら区画部材間に挟んで支持されることで、筐体外部の空気が流入出する外気室に対して流体室を変形運動に拘らず確実に隔絶可能である。したがって、筐体外部の新鮮な空気が外気室から流体室へ流入して磁気粘性流体を劣化させる事態を回避して、信頼性を高めることが可能となる。
請求項7に記載の発明によると、外気室区画部材は、外気室を挟んで底壁部が可動体としての隔膜に対向する有底筒状を呈し、当該底壁部に隔膜が接触することにより隔膜の変形運動を規制する。このような発明によれば、有底筒状の外気室区画部材は、外気室を挟んで対向する可動体としての隔膜が底壁部に接触することにより隔膜の変形運動を規制するので、弾性限界に達しない範囲で隔膜を変形させるようにして耐久性の低下を回避することが可能である。
請求項8に記載の発明によると、外気室区画部材は、外気室を挟んで底壁部が可動体としての隔膜に対向する有底筒状を呈し、外気室に対して筐体外部の空気を流入出させる通気孔を当該底壁部の外周縁部に形成する。このような発明によれば、外気室を挟んで底壁部を可動体としての隔膜に対向させる有底筒状の外気室区画部材は、当該底壁部の外周縁部に通気孔が形成されたものとなるので、外気室に対する空気の流入出経路を確保しつつも、底壁部による隔膜の保護面積をも外周縁部以外に大きく確保して耐久性を高めることができる。
請求項9に記載の発明によると、ブレーキ回転体と可動体との間には、可動体のブレーキ回転体側への運動を抑制する運動抑制部材が設けられている。このような発明によれば、運動抑制部材はブレーキ回転体と可動体との間に設けられて可動体がブレーキ回転体側への運動することを抑制するため、可動体が流体室の内圧の減少に従ってブレーキ回転体側に大きく運動したときに可動体を運動抑制部材に接触させてブレーキ回転体に接触しないようにできる。したがって、可動体が回転物体であるブレーキ回転体に接触することを防止できるため、可動体の損傷、ブレーキロストルクの発生によるバルブタイミングの不所望な変化を回避することができる。
請求項10に記載の発明によると、ブレーキ回転体と隔膜との間には、隔膜のブレーキ回転体側への運動を抑制する運動抑制部材が設けられ、運動抑制部材は、隔膜の中央部に少なくとも重なるように配置されている。一般にこのような隔膜は、外気室の内圧と流体室の内圧との差圧に応じて変形運動する隔膜は、運動可能に支持される部位から離れた中央部がブレーキ回転体側へ大きく変形するようになる。そこで請求項10に記載の発明によれば、隔膜の当該中央部には少なくとも運動抑制部材が重なるため、隔膜を確実に運動抑制部材に接触させて効率的にブレーキ回転体に接触しないようにできる。
請求項11に記載の発明によると、運動抑制部材又は運動抑制部材の周囲には、運動抑制部材を挟む流体室の隔膜側と流体室のブレーキ回転体側とを連通させる連通路が形成されている。このような発明によれば、運動抑制部材を挟むように位置する流体室の隔膜側の空間と流体室のブレーキ回転体側の空間は当該連通路によって繋がるため、流体室の流体は運動抑制部材が存在するにもかかわらず、当該連通路を介して当該両方の空間を行き来することができ、流体の挙動が大きく妨げられるものではない。これにより、流体室の内圧変動を適正に隔膜に伝達することができ、且つ隔膜の損傷も回避できる装置が得られる。
請求項12に記載の発明によると、外気室区画部材は、流体室区画部材よりも熱伝導率が高い部材である。一般に、温度上昇によって流体室の内圧が高くなった場合に外気室区画部材に押し付けられた隔膜は、流体室の熱が外部に放出されにくい状態が継続すると熱変形する。そこで請求項12に記載の発明によれば、流体室の熱が隔膜、外気室を介して、流体室区画部材よりも熱伝導率が高い外気室区画部材に伝達し、外部に放出されやすくなるため、隔膜が冷却されるようになる。したがって、隔膜の熱変形を軽減でき、流体室の容積増減に追従する隔膜の変形特性を維持することができる。
請求項13に記載の発明によると、外気室区画部材は、外気室の熱を外部へ放射するフィンを備える。このような発明によれば、請求項12に記載の発明と同様に、流体室の熱が隔膜、外気室を介して、外気室区画部材に形成されたフィンから外部に放出されるため、隔膜の冷却を促進することができる。したがって、隔膜の熱変形を軽減でき、流体室の容積増減に追従する隔膜の変形特性を維持することができる。
請求項14に記載の発明によると、可動体は、外気室及び流体室間において往復自在なピストンであり、外気室の内圧及び流体室の内圧間の差圧に応じて往復運動する。このような発明において外気室及び流体室間を往復自在なピストンは、可動体として外気室の内圧及び流体室の内圧間の差圧に応じた往復運動をすることで、流体室の内圧増減に対して流体室の容積増減を敏感に追従させることができる。したがって、流体室の内圧増減幅を十分に小さくして、耐久性の確保効果を高めることができるのである。
請求項15に記載の発明によると、ブレーキ回転体は、筐体を内外に貫通して筐体外部の位相調整機構と連繋する回転軸を有し、当該回転軸は、可動体としてのピストンを筐体における貫通方向に沿って摺接支持しピストンを挟む両側において外気室及び流体室をそれぞれ区画するシリンダ孔を形成する。このような発明において筐体外部の位相調整機構と連繋する回転軸のシリンダ孔は、筐体を内外に貫通する回転軸の貫通方向に沿って可動体としてのピストンを摺接支持するので、ピストンの往復ストロークを当該貫通方向に長く確保し易い。しかもシリンダ孔は、ピストンを挟む両側において外気室及び流体室をそれぞれ区画するので、外気室の内圧及び流体室の内圧間の差圧に応じて確実にピストンを往復運動させることができる。以上によれば、内圧増減に対する容積増減の追従作用により内圧増減幅を小さくして高い耐久性を確保するという効果の発揮を、確固たるものとなし得るのである。
請求項16に記載の発明によると、ピストン及びシリンダ孔間をシールするシール部材を備える。このような発明によれば、ピストンを挟む両側において外気室及び流体室とそれぞれ連通するシリンダ孔は、当該ピストンとの間がシール部材によりシールされるので、筐体外部の空気が流入出する外気室に対して流体室を、ピストンの往復運動に拘らず確実に隔絶し得る。したがって、筐体外部の新鮮な空気が外気室からシリンダ孔を通じて流体室へ流入して磁気粘性流体を劣化させる事態の回避により、信頼性を高めることができるのである。
第一実施形態のバルブタイミング調整装置を示す断面図である。 図1のアクチュエータを示す断面図である。 図1のIII−III断面図である。 図1のIV−IV断面図である。 図2のV−V矢視図である。 図2のアクチュエータについて別の作動状態を示す断面図である。 第二実施形態のバルブタイミング調整装置のアクチュエータを示す図であって、図2に対応する断面図である。 図7のVIII−VIII矢視図である。 図8の変形例である。 第三実施形態のバルブタイミング調整装置のアクチュエータを示す図であって、図2に対応する断面図である。 図10のXI−XI矢視図である。 第四実施形態のバルブタイミング調整装置のアクチュエータを示す図であって、図2に対応する断面図である。 図12のアクチュエータについて別の作動状態を示す断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を示している。バルブタイミング調整装置1は、内燃機関においてクランク軸(図示しない)からのトルク伝達によりカム軸2が開閉する動弁のバルブタイミングを調整する。バルブタイミング調整装置1は車両に搭載され、内燃機関のクランク軸からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設置されている。ここで、図1に示すカム軸2は、内燃機関の「動弁」のうち主に吸気弁(図示しない)を開閉するものであり、バルブタイミング調整装置1は、当該吸気弁のバルブタイミングを調整するのである。
(基本部分)
まず、第一実施形態の基本部分について説明する。第一実施形態のバルブタイミング調整装置1は、アクチュエータ100、通電制御回路200及び位相調整機構300等を組み合わせてなり、クランク軸に対するカム軸2の相対位相として機関位相を調整することにより、内燃機関に適したバルブタイミングを実現する。
(アクチュエータ)
図1、図2に示すように、アクチュエータ100は電動式の流体ブレーキであり、筐体110、ブレーキ回転体130及びソレノイドコイル150を備えている。
筐体110は全体として中空形状を呈しており、固定部材111及び流体室区画部材112を有している。固定部材111は磁性材により円環板状に形成され、内燃機関の固定節であるチェーンケース(図示しない)に固定されている。流体室区画部材112は磁性材により有底円筒状に形成され、固定部材111を挟んで位相調整機構300とは反対側となる箇所にて同軸上に配置されている。流体室区画部材112は固定部材111に螺子留めされることにより、筐体110内部の固定部材111との間に流体室114を形成している。
ブレーキ回転体130は、軸部材131及び磁性回転部材132を相互固着してなる。軸部材131は金属によりシャフト状に形成され、筐体110を内外に貫通している。筐体110において軸部材131が貫通している固定部材111には、ラジアル軸受からなる軸受部115が設けられており、軸部材131は、当該軸受部115によって回転可能に支持されている。軸部材131において筐体110の外部へ延出している一端部131aは、当該外部の位相調整機構300と連繋している。これによりブレーキ回転体130は、内燃機関の運転中にクランク軸から出力される機関トルクが位相調整機構300から伝達されることで、図3、図4の反時計方向へ回転する。
図2に示すように、磁性回転部材132は磁性材により形成され、軸部133及びロータ部134を有している。円筒状の軸部133は、軸部材131において位相調整機構300に連繋する端部131aと反対側の端部131bに同心上に嵌合固定され、軸受部1115に対して筐体110の内部側に隣接している。軸部133の外周側には、オイルシールからなるシール部113が固定部材111に設けられており、当該シール部113によって筐体110及び軸部133の間がシールされている。
円環板状のロータ部134は軸部133の外周側に同心上に設けられ、シール部113を挟んで軸受部115とは反対側となる箇所にて、筐体110内部の流体室114に収容されている。これにより流体室114においては、ロータ部134と固定部材111とに挟まれた部分が磁気ギャップ120を形成し、ロータ部134と流体室区画部材112の底壁部112aとに挟まれた部分が磁気ギャップ122を形成している。
このように磁気ギャップ120,122を形成する流体室114には、磁気粘性流体140が空気と共に部分充填状態で封入されている。ここで、磁気粘性流体140は機能性流体の一種であり、液状のベース材に磁性粒子を懸濁させてなる。磁気粘性流体140のベース材としては、例えばオイル等といった液状の非磁性材が用いられ、より好ましくは内燃機関の潤滑オイルと同種のオイルが用いられる。磁気粘性流体140の磁性粒子としては、例えばカルボニル鉄等といった粉状の磁性材が用いられる。こうした成分構成の磁気粘性流体140は、印加される磁界の強度に追従して見かけ上の粘度が上昇変化し、当該粘度に比例して且つ磁気粘性流体140の存在スペースのサイズに反比例してせん断応力が増大する特性を現出する。
ソレノイドコイル150は、円筒状のボビン152の外周側に金属線材を巻回してなり、ロータ部134の外周側に同心上に配置されている。ソレノイドコイル150は、ボビン152及びスペーサ154を介して固定部材11と流体室区画部材112とにより保持されている。ソレノイドコイル150は通電により励磁することで、固定部材111、磁気ギャップ120、ロータ部134、磁気ギャップ122及び流体室区画部材112を順に通過する磁束を形成するように磁界を発生する。
したがって、ブレーキ回転体130の回転中にソレノイドコイル150が磁界を発生するときには、磁気粘性流体140が各磁気ギャップ120,122へ引き寄せられて流入し、当該発生磁界の印加を受ける。その結果、各磁気ギャップ120,122の磁気粘性流体140に接触する要素110,130間では、磁界を印加された磁気粘性流体140の粘度に比例するせん断応力によって、ロータ部134を制動するブレーキトルクが図3、図4の時計方向に発生する。このように本実施形態では、通電されたソレノイドコイル150が磁界を発生することにより、磁気粘性流体140の粘度に応じたブレーキトルクがブレーキ回転体130へ入力されることになるのである。
(通電制御回路)
図1に示す通電制御回路200は、マイクロコンピュータを主体に構成され、アクチュエータ100の外部に配置されてソレノイドコイル150及び車両のバッテリ4と電気接続されている。内燃機関の停止中において通電制御回路200は、バッテリ4からの電力供給の遮断により、ソレノイドコイル150への通電をカットした状態とする。したがって、このときには、ソレノイドコイル150により磁界が発生せず、ブレーキ回転体130へ入力されるブレーキトルクが消失した状態となる。
一方、内燃機関の運転中において通電制御回路200は、バッテリ4からの電力供給の下、ソレノイドコイル150への通電電流を制御することにより、磁気粘性流体140へ印加する磁界を発生する。したがって、このときには、磁気粘性流体140の粘度が可変制御され、ブレーキ回転体130へ入力されるブレーキトルクがソレノイドコイル150への通電電流に追従して増減設定されることになるのである。
(位相調整機構)
図1に示すように位相調整機構300は、駆動回転体10、従動回転体20、アシスト部材30、遊星キャリア40及び遊星歯車50を備えている。
駆動回転体10は、共に円筒状を呈する歯車部材12及びスプロケット13を、同軸上に螺子留めしてなる。歯車部材12の内周部は、駆動側内歯車部14を形成している。スプロケット13は、その外周部の複数の歯16とクランク軸の複数の歯との間で環状のタイミングチェーンが掛け渡されることにより、クランク軸と連繋する。したがって、内燃機関の運転中にクランク軸から出力される機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケット13へ入力されることで、駆動回転体10はクランク軸と連動して図3、図4の反時計方向へ回転する。
図1に示すように、従動回転体20は円筒状を呈しており、スプロケット13の内周側に同心上に配置されている。従動回転体20の外周部は、従動側内歯車部22を形成している。従動回転体20の内周部は、カム軸2に同軸上にボルト固定されて連繋する連繋部24を形成している。これにより従動回転体20は、カム軸2と連動して図4の反時計方向へ回転可能となっており、また駆動回転体10に対して相対回転可能となっている。
図1に示すように、アシスト部材30はねじりコイルばねからなり、スプロケット13の内周側に同心上に配置されている。アシスト部材30の一端部31はスプロケット13に係止され、アシスト部材30の他端部32は連繋部24に係止されている。アシスト部材30は回転体10,20間にてねじり変形することによりアシストトルクを発生して、駆動回転体10に対する遅角側へ従動回転体20を付勢する。
図1、図3、図4に示すように遊星キャリア40は、全体として筒状を呈している。遊星キャリア40は、アクチュエータ100のブレーキ回転体130からブレーキトルクが伝達される伝達部41を内周部により形成している。回転体10,20及びブレーキ回転体130に対して同心上に配置される伝達部41は、複数の嵌合溝部42を有しており、それら嵌合溝部42に嵌合する継手43を介して遊星キャリア40がブレーキ回転体130の軸部材131と連繋している。これにより遊星キャリア40は、ブレーキ回転体130と一体に回転可能となっており、また駆動回転体10に対して相対回転可能となっている。
遊星キャリア40は、伝達部41に対して偏心する偏心部44を外周部により形成している。偏心部44は、遊星歯車50の内周側に遊星ベアリング45を介して同心上に嵌合している。これにより、遊星キャリア40は遊星歯車50を、駆動側内歯車部14に対する遊星キャリア40の相対回転に応じて遊星運動可能に支持している。ここで遊星運動とは、遊星歯車50が偏心部44の偏心中心線周りに自転しつつ、遊星キャリア40の回転方向へ公転する遊星運動をいう。
遊星歯車50は円筒状を呈し、偏心部44に対して同心上に配置されている。即ち遊星歯車50は、歯車部14,22に対しては偏心して配置されている。遊星歯車50の外周部は、歯車部14,22に対する偏心側にて駆動側内歯車部14と噛合する駆動側外歯車部52と、当該偏心側にて従動側内歯車部22と噛合する従動側外歯車部54とを、同軸上に形成している。
以上の構成の位相調整機構300は、ブレーキ回転体130へ入力のブレーキトルクと、アシスト部材30のアシストトルクと、カム軸2に作用する変動トルクとの釣り合いに従って機関位相を調整する。
具体的には、ブレーキトルクの保持等によりブレーキ回転体130が駆動回転体10と同速で回転して遊星キャリア40が駆動側内歯車部14に対して相対回転しないときには、遊星歯車50が遊星運動せずに回転体10,20と共に回転する。したがって、このときには、機関位相が保持されることになる。
一方、ブレーキトルクの増加等によりブレーキ回転体130が駆動回転体10よりも低速で回転して遊星キャリア40が駆動側内歯車部14に対する遅角側へ相対回転するときには、遊星歯車50が遊星運動して従動回転体20が駆動回転体10に対する進角側へ相対回転する。したがって、このときには、機関位相が進角することになる。
また一方、ブレーキトルクの減少等によりブレーキ回転体130が駆動回転体10よりも高速で回転して遊星キャリア40が駆動側内歯車部14に対する進角側へ相対回転するときには、遊星歯車50が遊星運動して従動回転体20が駆動回転体10に対する遅角側へ相対回転する。したがって、このときには、機関位相が遅角することになるのである。
(特徴部分)
次に、第一実施形態の特徴部分について詳細に説明する。図1、図2に示す第一実施形態のアクチュエータ100には、磁気粘性流体140の封入された筐体110内部の流体室114に露出する隔膜160が設けられている。
図2に示すように隔膜160は、弾性変形自在な材料によって円形薄膜状に形成され、流体室区画部材112の底壁部112aを挟んで固定部材111とは反対側に同軸上に配置されている。隔膜160の外周縁部は、流体室区画部材112において円環板状の底壁部112aに形成されて流体室114を露出させる露出窓112bの周囲部分により、その全周に亘って支持されている。これにより隔膜160は、流体室区画部材112及び固定部材111と共に区画した流体室114を、筐体110の外部に対して隔絶している。
尚、隔膜160を形成する弾性変形自在な材料については、露出窓112b内に一部が形成される流体室114の磁気粘性流体140に対して耐性を有するものであればよく、例えば基布にゴム材を蒸着してなるもの等が用いられる。また、隔膜160の厚さについては、要求される弾性変形特性や形成材料等に応じて適宜設定可能であるが、例えば0.5mm〜1.5mm程度に設定される。
第一実施形態のアクチュエータ100では、さらに図1、図2に示すように、外気室区画部材116が筐体110に設けられている。
図2、図5に示すように外気室区画部材116は、金属により有底円筒状に形成され、流体室区画部材112の底壁部112aとは隔膜160を挟んで反対側に同軸上に配置されている。外気室区画部材116において底壁部116aとは反対側の開口部に設けられたフランジ部116bは、流体室区画部材112の底壁部112aに嵌合固定されている。これにより外気室区画部材116は、隔膜160の外周縁部をフランジ部116bと流体室区画部材112との間に挟んで支持していると共に、当該隔膜160とそれに対向する底壁部116aとに挟まれた外気室118を形成している。また、外気室区画部材116において底壁部116aの外周縁部には、その周方向に等間隔をあけた複数個所に通気孔119が貫通形成されている。これにより、各通気孔119は筐体110の外部において開口し、当該外部の空気を外気室118に対して流入出させることが可能となっている。
以上の構成の外気室区画部材116は、筐体110内部の流体室114とは隔絶され且つ筐体110外部とは複数の通気孔119を通じて連通する外気室118を、流体室114とは反対側にて隔膜160との間に区画している。これにより第一実施形態では、筐体110外部の空気の流入出により実質的に大気圧に維持される外気室118の内圧と、流体室114の内圧との間の差圧に応じて、隔膜160が変形運動することになるのである。
具体的には、流体室114において部分充填状態の磁気粘性流体140及び残部の空気が温度上昇により膨張して当該流体室114の内圧が増大すると、各室114,118の内圧間の差圧も増大する。その結果、各室114,118に露出する隔膜160は、外気室118の空気を各通気孔119から流出させつつ、外気室区画部材116の底壁部116a側へ膨らむ。したがって、このときには、流体室114の容積が図6の如く増大して、当該流体室114の内圧の過度な増大が抑制されることになる。また特に、底壁部116a側へ膨らんだ隔膜160が図6の如く当該底壁部116aと接触するときには、隔膜160の変形運動が規制されることになる。このような第一実施形態において、流体室114を挟んだ隔膜160及び底壁部116a間の間隔d(図2参照)は、流体室114の内圧がシール部113の耐圧値を常に超えず且つ底壁部116aへの接触時に弾性限界には達しない変形運動を隔膜160によって実現可能に、設定されている。
一方、流体室114において部分充填状態の磁気粘性流体140及び残部の空気が温度低下により収縮して当該流体室114の内圧が減少すると、各室114,118の内圧間の差圧も減少する。その結果、各室114,118に露出の隔膜160は、外気室区画部材116の底壁部116aとは反対側へ復原しつつ、各通気孔119から外気室118へ空気を流入させる。したがって、このときには、流体室114の容積が図2の如く減少して、当該流体室114の内圧が大気圧側へ戻ることになるのである。
ここまで説明した第一実施形態の流体室114では、温度変化により磁気粘性流体140や空気が膨縮して内圧が増減するのに従い、隔膜160が確実に変形運動して容積が増減する。ここで、特に流体室114の容積増減は、外気室118の大気圧及び流体室114の内圧間の差圧に応じた隔膜160の弾性変形を利用して実現されるので、流体室114の内圧増減に正確且つ敏感に追従したものとなる。しかも、各室118,114の内圧に対する隔膜160の実質的な受圧面積は、筐体110の流体室区画部材112において大きく形成可能な底壁部112aの露出窓112bによって規定されるので、流体室114の内圧増減及び容積増減間の追従性が高くなっている。こうした追従作用によれば、流体室114の内圧の過度な増大が抑制されて当該内圧の増減幅が確実且つ十分に小さなものとなるので、筐体110及びブレーキ回転体130の変形を回避して耐久性を高めることができるのである。
さらに、第一実施形態の隔膜160は、それを支持する筐体110のうち外気室区画部材116の底壁部116aと接触することで、弾性限界に達しない範囲で変形運動を規制されるようになっている。しかも隔膜160は、それと対向する外気室区画部材116の底壁部116aのうち通気孔119を形成する外周縁部以外の部分により、大きな面積にて保護されるようになっている。これらのことから、隔膜160の破損を回避して耐久性を高めることもできるのである。
またさらに第一実施形態では、筐体110の外部と当該外部から空気が流入する外気室118とに対して、流体室114が隔絶されている。故に、筐体110外部の空気が筐体110内部へ流入して、流体室114の磁気粘性流体140を酸化等により劣化させるという問題が、惹起され難くなっている。しかも万が一、流体室114の隔絶が不十分なものになったとしても、当該流体室114において部分充填状態の磁気粘性流体140及び残部の空気のうち、流通抵抗の小さい後者の方が先に漏出し易くなっている。これらのことから、磁気粘性流体140の粘度に応じたブレーキトルクの入力特性、ひいては当該ブレーキトルクに従う機関位相の調整特性に関し、磁気粘性流体140の劣化や漏出による変化を抑制して、信頼性を高めることができるのである。
加えて、上述したように流体室114の内圧増減幅が小さくなる第一実施形態では、シール部113の変形に起因した磁気粘性流体140の漏出によるブレーキトルクの入力特性変化を生じさせない範囲で、シール部113の耐圧値を低く設定し得る。故に、信頼性が高められるのみならず、ブレーキ回転体130の軸部133に対するシール部113の緊迫力を弱めて、それらシール部113及び軸部133間の摩擦抵抗に起因した磨耗の発生を抑制できるので、耐久性も高められ得る。また、シール部113の緊迫力を弱めることで、シール部113及び軸部133間の摩擦抵抗に起因するトルクロス相当分のカム軸2の回転ロスがブレーキトルクの消失時に低減され得て、内燃機関の燃費が向上することにもなる。
このように第一実施形態によれば、高耐久性と高信頼性とを両立して確保すると共に、燃費の向上にも貢献することができるのである。尚、以上の第一実施形態では、ソレノイドコイル150及び通電制御回路200が共同して特許請求の範囲に記載の「粘度制御手段」を構成し、隔膜160が特許請求の範囲に記載の「可動体」に相当している。また、第一実施形態では、ブレーキ回転体130のうち、筐体110を内外に貫通して位相調整機構300と連繋する軸部材131並びにシール部113により筐体110との間をシールされる磁性回転部材132の軸部133が共同して、特許請求の範囲に記載の「回転軸」を構成している。
(第二実施形態)
図7に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態のアクチュエータ100Aは、第一実施形態のアクチュエータ100に対して、ブレーキ回転体130と隔膜161との間に隔膜161のブレーキ回転体側への運動を抑制する運動抑制部材170を備えている点が異なっている。以下、第一実施形態と異なる点について説明する。
隔膜161は、弾性変形自在な材料で形成され、円形薄膜状の底部161aを有した皿状の弾性変形可能な部材である。隔膜161は、流体室114に露出しており、流体室区画部材112の底壁部112aを挟んで固定部材111とは反対側に同軸上に配置されている。底部161aの周縁部から放射状に拡張される隔膜161の外周縁部は、流体室区画部材112において円環板状の底壁部112aに形成されて流体室114を露出させる露出窓112bの周囲部分と外気室区画部材116のフランジ部116bとによって挟持され、その全周に亘って支持されている。これにより隔膜161は、流体室区画部材112及び固定部材111と共に区画した流体室114を、筐体110の外部に対して隔絶している。したがって、隔膜161は、筐体110外部の空気の流入出により実質的に大気圧に維持される外気室118の内圧と、流体室114の内圧との間の差圧に応じて、変形運動する。また、隔膜161の外周縁部は、流体室114の内圧と外気室118の内圧とが同等である状態、すなわち底部161aが流体室区画部材112側に膨らむように変形していない状態では、底部161aよりも流体室区画部材112寄りに位置している。
尚、隔膜161を形成する弾性変形自在な材料については、露出窓112b内に一部が形成される流体室114の磁気粘性流体140に対して耐性を有するものであればよく、例えば基布にゴム材を蒸着してなるもの等が用いられる。また、隔膜161の厚さについては、要求される弾性変形特性や形成材料等に応じて適宜設定可能であるが、例えば0.5mm〜1.5mm程度に設定される。
運動抑制部材170は、流体室区画部材112の底壁部112aからブレーキ回転体130の軸部側の内方に延びる薄板部分であり、流体室区画部材112と一体に形成されている。運動抑制部材170は、隔膜161の底部161aと所定の距離、離間して略平行に配されている。運動抑制部材170は、ブレーキ回転体130の軸方向に直交する面で流体室114を横断する部材であり、流体室114をブレーキ回転体130の軸方向に二分する。二分される空間は、流体室114の隔膜側と流体室114のブレーキ回転体側にそれぞれ形成される空間であり、運動抑制部材170を挟むように形成されている。
図8に示すように、運動抑制部材170は、隔膜161の中央部に少なくとも重なるように配置されている。隔膜161の中央部とは、露出窓112bの周囲部分によって支持される隔膜161の外周縁部から内方に最も遠い位置にある部位である。隔膜161の中央部は、たとえば、隔膜161が、円形状である場合には円の中心部であり、四角形等の多角形状である場合はその外周部から最も遠い位置にある対角線の交点部分である。隔膜161の中央部は、流体室114の内圧と外気室118の内圧との差圧に応じてブレーキ回転体側に変形運動した場合には、舌状の運動抑制部材170に接触することにより、その変形量が規制されることになる。
運動抑制部材170は、図8に示すように、底壁部112aから少なくとも隔膜161の中央部まで舌状に延びている。この舌状に形成された運動抑制部材170の周縁部171と運動抑制部材170の起点を除く部分の底壁部112aとは離間しており、この運動抑制部材170の周囲の当該離間する部分は、前述の流体室114の隔膜側と流体室114のブレーキ回転体側とを連通させる連通路を構成する。
また、運動抑制部材170は、図9に示す運動抑制部材170Aのような形態であってもよい。運動抑制部材170Aは、底壁部112aから内方に向かって延び、流体室114をブレーキ回転体130の軸方向に直交する横断面を形成する円形状の薄板部材であり、流体室区画部材112と一体に形成されている。さらに運動抑制部材170Aには、その厚み方向に貫通する複数個の連通孔172が等間隔に形成されている。連通孔172は、運動抑制部材170を挟むように形成される流体室114の隔膜側と流体室114のブレーキ回転体側とを連通させる連通路を構成する。流体室114の内圧を形成する流体(磁気粘性流体140の液相成分および気相成分)は、連通孔172を介して流体室114の隔膜側と流体室114のブレーキ回転体側とを移動することができるようになっている。運動抑制部材170Aには、隔膜161の中央部に少なくとも重なる位置に連通孔172は形成されていない。隔膜161の中央部は、流体室114の内圧と外気室118の内圧との差圧に応じてブレーキ回転体側に変形運動した場合には運動抑制部材170Aの連通孔172が形成されていない部分に接触することにより、その変形量が規制されることになる。
また、外気室区画部材116は、流体室区画部材112よりも熱伝導率が高い部材であることが好ましい。ここでいう熱伝導率とは、熱の流れに垂直な単位面積に毎秒流れる熱量を単位長さの温度差で割った値である。つまり、当該単位長さの温度差に対する熱の流れに垂直な単位面積に毎秒流れる熱量が、流体室区画部材112よりも外気室区画部材116の方が大きくなるように、外気室区画部材116はその材質等が構成されている。外気室区画部材116はこの熱伝導率が流体室区画部材112よりも大きいため、外気室区画部材116と流体室区画部材112とに同等に与えられた熱は、外気室区画部材116の方で早く伝わるため、流体室区画部材112よりも外気室区画部材116に流れ易くなる。流体室区画部材112は、磁気回路を形成するため鉄系部材(S10Cなどの低炭素鋼)が用いられる。そこで、外気室区画部材116の構成部材としては、鉄系部材よりも熱伝導率の高い、たとえば、アルミニウム、マグネシウム、銅及びその合金等を用いる。
アクチュエータ100Aにおいては、流体室114で部分充填状態の磁気粘性流体140及び残部の空気が温度上昇により膨張して流体室114の内圧が増大すると、各室114,118の内圧間の差圧も増大する。その結果、各室114,118に露出する隔膜161は、外気室118の空気を各通気孔119から流出させつつ、外気室区画部材116の底壁部116a側へ膨らむ。したがって、このときには、流体室114の容積が増大して、流体室114の内圧の過度な増大が抑制される。また、底壁部116a側へ膨らんだ隔膜161が底壁部116aに接触するときには、隔膜161の変形運動が規制される。
一方、流体室114において部分充填状態の磁気粘性流体140及び残部の空気が温度低下により収縮して流体室114の内圧が減少すると、各室114,118の内圧間の差圧も減少する。その結果、各室114,118に露出している隔膜161は、外気室区画部材116の底壁部116aとは反対側へ復原し、各通気孔119から外気室118へ空気が流入する。このときには、流体室114の容積が減少して、流体室114の内圧が大気圧側へ戻る。この流体室114の内圧の低下度合いが大きくなると、隔膜161の反対側へ変形した部分がブレーキ回転体130に接触する可能性がある。このような接触状態において、エンジンが動作した場合には、隔膜161が回転するブレーキ回転体130との摩擦によって磨耗して損傷するおそれがある。また、このときにブレーキロストルクが過度に発生すると、バルブタイミングが変化してドライバビリティおよび燃費の悪化を招来してしまう。
第二実施形態によれば、隔膜161は、ブレーキ回転体130との間に介在する運動抑制部材170に接触することにより、弾性限界に達しない範囲で変形運動を規制されるとともに、ブレーキ回転体130と接触することを阻止されるようになる。したがって、隔膜161は、外気室区画部材116側では底部161aと対向する外気室区画部材116の底壁部116aによって大きな面積にて保護されるとともに、ブレーキ回転体130側では底部161aの中央部と対向する運動抑制部材170によって保護される。アクチュエータ100Aは、これらのことから、弾性限界や磨耗による隔膜161の破損を回避して耐久性を高められるように構成されている。
このように第二実施形態によれば、高耐久性と高信頼性とを両立して確保すると共に、燃費の向上にも貢献することができる。以上の第二実施形態では、隔膜161が特許請求の範囲に記載の「可動体」に相当している。
また、運動抑制部材170は、隔膜161の中央部に軸方向に少なくとも重なるように設けられている。外気室118の内圧と流体室114の内圧との差圧に応じて変形運動する隔膜161は、運動可能に支持される部位から離れた中央部が特にブレーキ回転体130側へ大きく変形するため、隔膜161を確実に運動抑制部材170に接触させることができ、隔膜161の磨耗防止効果を効率的に実現することができる。
また、運動抑制部材170の周縁部171と体室区画部材112の底壁部112aとの間の空間、又は運動抑制部材170Aに形成される連通孔172によって、運動抑制部材170を挟んで流体室114の隔膜側とブレーキ回転体側とを連通させる連通路が形成される。これにより、流体室114の隔膜側の空間とブレーキ回転体側の空間とが繋がるため、流体室114の内圧を構成する流体は、当該両方の空間を行き来することができ、内圧形成に寄与する流体の挙動が大きく妨げられるものではない。したがって、流体室114の内圧変動の適正な隔膜161への伝達、及び運動抑制部材の存在による隔膜161の保護を両立できるアクチュエータが得られる。
また、外気室区画部材116を流体室区画部材112よりも熱伝導率が高い部材で構成した場合には、磁気粘性流体140の液相成分および気相成分から隔膜161に伝わった熱は、外気室区画部材116の方に早く伝わり、外気室区画部材116の外表面から外部に放出されやすくなる。温度上昇に伴って流体室114の内圧が上昇すると、隔膜161は外気室区画部材116側に変形し、この程度が大きい場合には隔膜161は外気室区画部材116の底壁部116aに押し付けられることになる。底壁部116aに接触した状態の隔膜161は、伝わった流体室114の熱が外部に放出されず内部に溜め込まれたままで底壁部116aとの接触状態が継続し、ついには熱変形によって疲労してへたるようになる。
この隔膜161の熱は、隔膜161を支持している流体室区画部材112よりも隔膜161が接触している外気室区画部材116に部位から外気室区画部材116の内部に早く流れるため、外気室区画部材116の外気に接触している外表面から外部に放出されるようになる。これにより、隔膜161の熱は積極的に外気室区画部材116側に奪われるため、隔膜161の冷却が促進される。したがって、隔膜161の熱変形によるへたりを抑制でき、隔膜161の機能、特性を長く維持することができる。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態は第二実施形態の変形例である。第三実施形態のアクチュエータ100Bは、第二実施形態のアクチュエータ100Aに対して、外気室区画部材116Aに外気室118の熱を外部へ放射するフィン116cを備えている点が異なっている。このフィン116cによれば、第二実施形態において外気室区画部材116を流体室区画部材112よりも熱伝導率が高い部材で構成したことと、同様の隔膜161を冷却する効果が得られるものである。以下、第二実施形態と異なる点について説明する。
図10及び図11に示すように、アクチュエータ100Bにおいては、外気室区画部材116Aに複数個のフィン116cが設けられている。各フィン116cは、外気室区画部材116Aの底壁部11a及びフランジ部116bの外表面から外方に所定長さ突出する平板状の部分であり、且つ外気室区画部材116Aの外面を横断する複数個のレール状を呈している。このレール状のフィン116cは、互いに平行で等間隔に配置されている。各フィン116cは、外気室区画部材116Aに対して同じ材質又は別の材質で構成されていてもよいが、外気室区画部材116Aから熱伝導の損失分が小さい材質で構成されるものである。
このような第三実施形態によると、磁気粘性流体140の液相成分および気相成分から隔膜161に伝わった熱は、外気室区画部材116Aに伝わり、外気室区画部材116の外面の表面積を大きくするフィンから積極的に外気に放出されるようになる。特に、温度上昇に伴って流体室114の内圧が上昇すると、隔膜161は外気室区画部材116A側に変形し、この程度が大きい場合には隔膜161は外気室区画部材116Aの底壁部116aに押し付けられる。底壁部116aに接触している状態の隔膜161に伝わった熱は、当該接触する部分から外気室区画部材116Aに移動し、外気室区画部材116Aの内部に伝導し、フィン116c及びフィン116c以外の外気と接している外気室区画部材116Aの外表面から外部へ放射されるようになる。
これにより、隔膜161の熱は、フィン116cによる放熱面積の増加分、第二実施形態の外気室区画部材116よりも多くの熱量が隔膜161から奪われるため、隔膜161の冷却が促進される。したがって、隔膜161の熱変形によるへたりを抑制でき、隔膜161の機能、特性を長く維持することができる。したがって、隔膜161の熱変形を軽減することにより、流体室114の内圧変動に適正に追従する隔膜161の変形特性を長く維持することができる。
また、フィン116cは、外気室区画部材116Aと一体となる部分の表面積が大きくなる形態であれば、図10及び図10に示すレール状に限定されず、たとえば格子状、環状等を呈するものでもよい。これによれば、外気室区画部材116Aの空冷効果が高くなるので、外部への放熱量が増加し、隔膜161の耐久性をさらにアップさせることができる。
尚、外気室区画部材116Aは、第二実施形態と同様に、流体室区画部材112よりも熱伝導率が高い部材で構成してもよい。これによれば、フィン116cによる放熱面積の増加に加え、さらに隔膜161の熱を積極的に外気室区画部材116側に移す効果が得られる。
(第四実施形態)
図12に示すように、本発明の第四実施形態は第一実施形態の変形例である。第四実施形態のアクチュエータ500には、隔膜160及び外気室区画部材116が設けられていない。その代わりにアクチュエータ500では、キャップ512cが窓512bに嵌合固定された流体室区画部材512の底壁部512aと、当該区画部材512と共に筐体510をなす固定部材111との間に、磁気ギャップ120,122を形成する流体室514が区画されている。さらにアクチュエータ500では、ブレーキ回転体530の軸部材531により、ピストン560が支持される構成となっている。
具体的に、筐体510を内外に貫通して筐体510外部の位相調整機構300と連繋する金属製の軸部材531には、その貫通方向へ延びる有底円筒孔状のシリンダ孔537が同心上に形成されている。シリンダ孔537の一端部537aは、筐体510の内部において軸部材531の端面に開口している。
軸部材531にはさらに、L字形に屈曲する円筒孔状の通気孔539が貫通形成されている。通気孔539の一端部は、シリンダ孔537において開口端部537aとは反対側となる底端部537b側の内周面に開口している。一方、通気孔539の他端部は、筐体510の外部において軸部材531の外周面に開口している。
ピストン560は金属により円柱状に形成され、シリンダ孔537に同心上に嵌合している。これによりピストン560は、筐体510での軸部材531の貫通方向に沿って往復自在に摺接支持されている。ピストン560よりも開口端部537a側となるシリンダ孔537内には、磁気粘性流体140が部分充填状態で封入された流体室514の一部が形成され、当該流体室514にピストン560が露出している。一方、ピストン560よりも底端部537b側となるシリンダ孔537内には、通気孔539を通じて筐体510の外部と連通する外気室538が形成され、当該外気室538にピストン560が露出している。これにより、通気孔539を通じて筐体510外部の空気を外気室538へ流入出させて、当該外気室538の内圧を大気圧に維持することが可能となっている。
ピストン560の外周面において周方向へ連続して開口する複数の環状溝部560aには、ゴムにより円環状に形成されたOリング535がそれぞれ嵌合固定されている。これらOリング535は、ピストン560及びシリンダ孔537間をシールすることで、筐体510の外部及び外気室538に対して流体室514を隔絶している。
以上の構成により、ピストン560を挟む両側にて区画された流体室514と外気室538との間を、当該ピストン560は各室514,538の内圧間の差圧に応じて往復運動することになるのである。
具体的には、流体室514において部分充填状態の磁気粘性流体140及び残部の空気が温度上昇により膨張して当該流体室514の内圧が増大すると、各室514,538の内圧間の差圧も増大する。その結果、各室514,538に露出するピストン560は、外気室538の空気を通気孔539から流出させつつ、シリンダ孔537の底端部537b側へ移動する。したがって、このときには、流体室514の容積が図13の如く増大して、当該流体室514の内圧の過度な増大が抑制されることになる。
一方、流体室514において部分充填状態の磁気粘性流体140及び残部の空気が温度低下により収縮して当該流体室514の内圧が減少すると、各室514,538の内圧間の差圧も減少する。その結果、各室514,538に露出のピストン560は、シリンダ孔537の開口端部537a側へ移動しつつ、通気孔539から外気室538へ空気を流入させる。したがって、このときには、流体室514の容積が図12の如く減少して、当該流体室514の内圧が大気圧側へ戻ることになるのである。
ここまで説明した第二実施形態の流体室514では、温度変化により磁気粘性流体140や空気が膨縮して内圧が増減するのに従い、ピストン560が確実に往復運動して容積が増減する。ここで、特に流体室514の容積増減は、外気室538の大気圧及び流体室514の内圧間の差圧に応じたピストン運動を利用して実現されるので、流体室514の内圧増減に正確且つ敏感に追従したものとなる。しかもシリンダ孔537は、筐体510における軸部材531の貫通方向に沿ってピストン560を摺接支持するので、流体室114の内圧増減に対する容積増減の追従を妨げることがない程度に、ピストン560の往復ストロークが当該貫通方向に長く確保され得ている。こうした作用によれば、流体室514の内圧の過度な増大が抑制されて当該内圧の増減幅が確実且つ十分に小さなものとなるので、筐体510及びブレーキ回転体530の変形を回避して耐久性を高めることができるのである。
さらに第四実施形態では、筐体510の外部と当該外部から空気が流入する外気室538とに対して、ピストン560及びシリンダ孔537間のOリング535によって、流体室514が隔絶されている。故に、流体室514を形成する筐体510内部へ外部の空気が流入して、当該流体室514の磁気粘性流体140を酸化等により劣化させるという問題が、惹起され難くなっている。したがって、ブレーキトルクの入力特性、ひいては当該ブレーキトルクに従う機関位相の調整特性の変化が抑制されて、信頼性が高められることになるのである。
このようなことから第四実施形態によっても、高耐久性と高信頼性とを両立して確保することができるのである。尚、以上の第四実施形態では、ピストン560が特許請求の範囲に記載の「可動体」に相当し、Oリング535が特許請求の範囲に記載の「シール部材」に相当している。また、第四実施形態では、ブレーキ回転体530のうち、筐体510を内外に貫通して位相調整機構300と連繋する軸部材531並びにシール部113により筐体510との間をシールされる磁性回転部材132の軸部133が共同して、特許請求の範囲に記載の「回転軸」を構成している。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
具体的に第一実施形態から第四実施形態の各実施形態では、筐体110,510内部の流体室114,514には、磁気粘性流体140を完全充填状態で封入してもよい。また、第一実施形態では第四実施形態に準じて、ブレーキ回転体530の軸部材531に隔膜160を支持させ、当該隔膜160を挟んで流体室514とは反対側となる孔537内部に、通気孔539と連通する外気室538を形成してもよい。さらにまた、第四実施形態では第一実施形態に準じて、底壁部112aを厚肉に形成した流体室区画部材112にピストン560を支持させ、当該ピストン560を挟んで流体室514とは反対側において、通気孔119と連通する外気室118を外気室区画部材116により区画してもよい。
加えて第一実施形態から第四実施形態の各実施形態では、位相調整機構300について、回転体10がカム軸2と連動して回転し且つ回転体20がクランク軸と連動して回転する構成としてもよい。また、位相調整機構300としては、上述の如き遊星歯車機構(差動歯車機構)以外にも、回転体10に対するブレーキ回転体130の回転状態に応じて機関位相を調整可能であれば、各種の機構を用いることができる。
そして、本発明は、吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調製する装置や、吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置にも、適用することができるのである。
第二実施形態で説明する運動抑制部材170又は運動抑制部材170Aは、隔膜161の中央部に対向する部位に隔膜161が接触し得るような壁部が形成されていればよく、第二実施形態に記載の形状に限定されるものではない。さらに、運動抑制部材170の周囲又は運動抑制部材170Aに形成される連通路は、その横断面形状(ブレーキ回転体130の軸方向に直交する断面の形状)が第二実施形態に記載の形状に限定されるものではない。さらに、運動抑制部材170Aに形成される連通孔172は、その形状が円形状に限定されるものではなく、又は1個の連通孔であってもよい。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、10 駆動回転体、20 従動回転体、30 アシスト部材、40 遊星キャリア、50 遊星歯車、100,500 アクチュエータ、110,510 筐体、111 固定部材、112、512 流体室区画部材、112a,512a 底壁部、112b 露出窓、113 シール部、114,514 流体室、115 軸受部、116,116A 外気室区画部材、116a 底壁部、116b フランジ部、116c フィン、118,538 外気室、119,539 通気孔、120,122 磁気ギャップ、130,530 ブレーキ回転体、131,531 軸部材(回転軸)、132 磁性回転部材、133 軸部(回転軸)、134 ロータ部、140 磁気粘性流体、150 ソレノイドコイル(粘度制御手段)、160,161 隔膜(可動体)、170,170A 運動抑制部材、172 連通孔(連通路)、200 通電制御回路(粘度制御手段)、300 位相調整機構、535 Oリング(シール部材)、537 シリンダ孔、537a 端部・開口端部、537b 底端部、560 ピストン(可動体)、560a 環状溝部

Claims (16)

  1. 内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
    外部とは隔絶された流体室を内部に形成する筐体と、
    前記流体室に封入され、磁界が印加されることにより粘度が変化する磁気粘性流体と、
    前記流体室の前記磁気粘性流体へ磁界を印加することにより当該磁気粘性流体の粘度を可変制御する粘度制御手段と、
    前記筐体により回転可能に支持されて前記流体室の前記磁気粘性流体と接触し、当該磁気粘性流体の粘度に応じたブレーキトルクが入力されるブレーキ回転体と、
    前記ブレーキ回転体と連繋し、当該ブレーキ回転体へ入力された前記ブレーキトルクに従って前記クランク軸及び前記カム軸間の相対位相を調整する位相調整機構と、
    前記筐体又は前記ブレーキ回転体により運動可能に支持されて前記流体室に露出し、当該流体室の内圧の増減に従って運動することにより当該流体室の容積を増減させる可動体と、
    を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記ブレーキ回転体は、前記筐体を内外に貫通して前記筐体外部の前記位相調整機構と連繋する回転軸を有し、前記筐体は、当該回転軸との間をシールするシール部を有することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記磁気粘性流体は、前記流体室に部分充填されることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記可動体を支持する前記筐体又は前記ブレーキ回転体は、前記筐体外部の空気が流入出する外気室を形成し、前記可動体は、当該外気室の内圧及び前記流体室の内圧間の差圧に応じて運動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記可動体は、前記外気室及び前記流体室間を隔絶する弾性変形自在な隔膜であり、前記差圧に応じて変形運動することを特徴とする請求項4に記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記筐体は、
    前記流体室を前記隔膜と共に区画する流体室区画部材と、
    前記隔膜を前記流体室区画部材との間に挟んで支持し、前記流体室とは反対側において前記隔膜との間に前記外気室を区画する外気室区画部材と、
    を有することを特徴とする請求項5に記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記外気室区画部材は、前記外気室を挟んで底壁部が前記隔膜に対向する有底筒状を呈し、当該底壁部に前記隔膜が接触することにより前記隔膜の変形運動を規制することを特徴とする請求項6に記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記外気室区画部材は、前記外気室を挟んで底壁部が前記隔膜に対向する有底筒状を呈し、前記外気室に対して前記筐体外部の空気を流入出させる通気孔を当該底壁部の外周縁部に形成することを特徴とする請求項6又は7に記載のバルブタイミング調整装置。
  9. 前記ブレーキ回転体と前記可動体との間には、前記可動体の前記ブレーキ回転体側への運動を抑制する運動抑制部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  10. 前記ブレーキ回転体と前記隔膜との間には、前記隔膜の前記ブレーキ回転体側への運動を抑制する運動抑制部材が設けられ、
    前記運動抑制部材は、前記隔膜の中央部に少なくとも重なるように配置されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  11. 前記運動抑制部材又は前記運動抑制部材の周囲には、前記運動抑制部材を挟む前記流体室の前記隔膜側と前記流体室の前記ブレーキ回転体側とを連通させる連通路が形成されていることを特徴とする請求項10に記載のバルブタイミング調整装置。
  12. 前記外気室区画部材は、前記流体室区画部材よりも熱伝導率が高い部材であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  13. 前記外気室区画部材は、前記外気室の熱を外部へ放射するフィンを備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  14. 前記可動体は、前記外気室及び前記流体室間において往復自在なピストンであり、前記差圧に応じて往復運動することを特徴とする請求項4に記載のバルブタイミング調整装置。
  15. 前記ブレーキ回転体は、前記筐体を内外に貫通して前記筐体外部の前記位相調整機構と連繋する回転軸を有し、当該回転軸は、前記ピストンを前記筐体における貫通方向に沿って摺接支持し前記ピストンを挟む両側において前記外気室及び前記流体室をそれぞれ区画するシリンダ孔を形成することを特徴とする請求項14に記載のバルブタイミング調整装置。
  16. 前記ピストン及び前記シリンダ孔間をシールするシール部材を備えることを特徴とする請求項15に記載のバルブタイミング調整装置。
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