JP2010121088A - 軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な色相かつ適度な粘度と流動点を持つ軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】大豆油を加水分解し、当該分解物中の全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸中の含量を低減した低飽和大豆油脂肪酸を20質量%以上含有する脂肪酸あるいは原料である低飽和大豆油脂肪酸が、原料である低飽和大豆油脂肪酸における全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が5重量%未満である脂肪酸と、グリセリンとをエステル化反応させる軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】大豆油を加水分解し、当該分解物中の全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸中の含量を低減した低飽和大豆油脂肪酸を20質量%以上含有する脂肪酸あるいは原料である低飽和大豆油脂肪酸が、原料である低飽和大豆油脂肪酸における全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が5重量%未満である脂肪酸と、グリセリンとをエステル化反応させる軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法に関する。
特定組成のモノグリセライドを主成分とするモノグリセライド含有組成物は、低硫黄分軽油流体中の金属接触面における磨耗量を低減でき、優れた軽油添加剤であることが知られている(特許文献1)。
この軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物として、グリセリンとトール油脂肪酸とを原料とし、特定金属触媒を用いてエステル化して製造されるものが知られている(特許文献2)。
この原料の脂肪酸として用いられるトール油脂肪酸は、松材を原料としてクラフトパルプを製造する際の工業製品の副生物であり、品質や供給に不安があることや色が黒いという問題があった。そして、それを原料として製造された軽油添加剤用モノグリセライド組成物は、粘度が高い、色相が悪いという問題があった。
そこで、安全で品質や供給が安定的である原料を用いた、良好な色相かつ適度な粘度と流動点を持つ軽油添加剤が望まれていた。
この軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物として、グリセリンとトール油脂肪酸とを原料とし、特定金属触媒を用いてエステル化して製造されるものが知られている(特許文献2)。
この原料の脂肪酸として用いられるトール油脂肪酸は、松材を原料としてクラフトパルプを製造する際の工業製品の副生物であり、品質や供給に不安があることや色が黒いという問題があった。そして、それを原料として製造された軽油添加剤用モノグリセライド組成物は、粘度が高い、色相が悪いという問題があった。
そこで、安全で品質や供給が安定的である原料を用いた、良好な色相かつ適度な粘度と流動点を持つ軽油添加剤が望まれていた。
本発明は、良好な色相かつ適度な粘度と流動点を持つ軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応による軽油添加剤用モノグリセライドの製造方法について種々検討した結果、大豆油を加水分解し、当該分解物中の全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含量を低減した低飽和大豆油脂肪酸を原料として用いると、従来、脂肪酸の原料として用いられているトール油脂肪酸を用いた場合と比較し、色相が濃くなく良好であり、潤滑性等を良好にする適度な粘度と流動点を持つ軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物が製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、原料である低飽和大豆油脂肪酸を20質量%以上含有する原料脂肪酸とグリセリンとをエステル化反応させる軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法を提供するものである。
本発明の方法によれば、良好な色相かつ適度な粘度と流動点を持つ軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物が得られる。
本発明において原料として使用される脂肪酸(原料脂肪酸ともいう)は、得られるモノグリセライド含有組成物の色相、粘度、流動点の点から、原料脂肪酸中、低飽和大豆油脂肪酸の含量が好ましくは20〜100質量%、より好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは25〜80質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。また、原料である低飽和大豆油脂肪酸は食用油由来のため安全で品質や供給が安定的である点からも上記範囲とすることが好ましい。なお、原料脂肪酸は、純粋な遊離脂肪酸のみでなく、トリグリセライド、ジグリセライドやモノグリセライドがそれぞれ5質量%未満含まれていてもよい。
当該原料脂肪酸は、原料である低飽和大豆油脂肪酸(以下、単に「低飽和大豆脂肪酸」と記載する)とこれ以外の脂肪酸を上記の含量になるように配合することにより得ることができる。
このとき、低飽和大豆油脂肪酸以外の脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸などの単一脂肪酸、又は大豆油脂肪酸、菜種油脂肪酸、トール油脂肪酸などの混合脂肪酸が挙げられる。取り扱い性に関わる低温流動性の点から、ヨウ素価が80以上のものが好ましく、特に130以上のものが好ましく、具体的には、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、大豆油脂肪酸、菜種油脂肪酸、トール油脂肪酸が好ましい。
当該原料脂肪酸は、原料である低飽和大豆油脂肪酸(以下、単に「低飽和大豆脂肪酸」と記載する)とこれ以外の脂肪酸を上記の含量になるように配合することにより得ることができる。
このとき、低飽和大豆油脂肪酸以外の脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸などの単一脂肪酸、又は大豆油脂肪酸、菜種油脂肪酸、トール油脂肪酸などの混合脂肪酸が挙げられる。取り扱い性に関わる低温流動性の点から、ヨウ素価が80以上のものが好ましく、特に130以上のものが好ましく、具体的には、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、大豆油脂肪酸、菜種油脂肪酸、トール油脂肪酸が好ましい。
前記低飽和大豆油脂肪酸は、大豆油が主成分の原料油を原料とする脂肪酸であって、当該脂肪酸における全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含量が少ないものである。飽和脂肪酸の含量は、得られたモノグリセライド含有組成物の流動点の点から、全構成脂肪酸中、好ましくは5質量%未満、より好ましくは0.5〜4質量%、さらに好ましくは1〜3.5質量%である。
前記低飽和大豆油脂肪酸には、純粋な遊離脂肪酸のみでなく、トリグリセライド、ジグリセライドやモノグリセライドがそれぞれ5質量%未満含まれていてもよい。
前記低飽和大豆油脂肪酸には、純粋な遊離脂肪酸のみでなく、トリグリセライド、ジグリセライドやモノグリセライドがそれぞれ5質量%未満含まれていてもよい。
また、低飽和大豆油脂肪酸における全構成脂肪酸中の各不飽和脂肪酸の含量は、モノグリセライド含有組成物の流動点の点から、全構成脂肪酸中、オレイン酸が好ましくは20〜40質量%、リノレン酸が好ましくは40〜70質量%、リノール酸が好ましくは3〜10質量%である。
前記低飽和大豆油脂肪酸は、原料油を加水分解し、飽和脂肪酸を低減することで得ることができる。
当該原料油は大豆油が主成分であればよく、大豆油以外に菜種油、ひまわり油などの植物油や、牛脂、魚油などの動物油、微生物由来の油などが混入していても良いが、原料油中、大豆油を好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含むものである。
当該原料油は大豆油が主成分であればよく、大豆油以外に菜種油、ひまわり油などの植物油や、牛脂、魚油などの動物油、微生物由来の油などが混入していても良いが、原料油中、大豆油を好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含むものである。
前記原料油を加水分解する方法としては、高温高圧分解法、酵素分解法などが挙げられる。
また、加水分解後の大豆油脂肪酸から飽和脂肪酸を低減する方法としては、蒸留法、吸着法及び分別法などが挙げられる。コスト、品質の点から、分別法が好ましい。
前記分別法としては、溶剤分別法、湿潤剤分別法及び自然分別法が挙げられるが、コスト、品質の点から、自然分別法が好ましい。
前記自然分別法とは、処理対象の原料脂肪酸類を、分相する量の水を含まず、かつ溶剤を使用せず、必要に応じ撹拌しながら冷却し、析出した固体成分を濾過、遠心分離、沈降分離などの分離手段を行なうことにより固−液分離を行う方法をいう。自然分別法においては、冷却時にポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を添加することが、品質、コストの点から好ましい。
また、加水分解後の大豆油脂肪酸から飽和脂肪酸を低減する方法としては、蒸留法、吸着法及び分別法などが挙げられる。コスト、品質の点から、分別法が好ましい。
前記分別法としては、溶剤分別法、湿潤剤分別法及び自然分別法が挙げられるが、コスト、品質の点から、自然分別法が好ましい。
前記自然分別法とは、処理対象の原料脂肪酸類を、分相する量の水を含まず、かつ溶剤を使用せず、必要に応じ撹拌しながら冷却し、析出した固体成分を濾過、遠心分離、沈降分離などの分離手段を行なうことにより固−液分離を行う方法をいう。自然分別法においては、冷却時にポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を添加することが、品質、コストの点から好ましい。
また、本発明において原料として使用されるグリセリンとしては、エステル化の反応性やモノグリセライド含有組成物の品質の点から、純度95質量%以上のものが好ましい。
本発明の軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法は、低飽和大豆油脂肪酸を20質量%以上含有する原料脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応により行なわれる。
このときの、原料脂肪酸とグリセリンとの使用割合は、モノグリセライド含量の高いモノグリセライド含有組成物を得るため、また1バッチ当たりの生産性を上げる観点から、原料脂肪酸中のアシル基1モルに対し、グリセリン1モル以上が好ましく、1〜3モルが更に好ましく、1.5〜3モルが特に好ましい。
前記エステル化反応としては、化学法、酵素法が挙げられるが、コストの点から化学法が好ましい。当該化学法は、例えば特開2004-359884号公報に開示されているモノグリセライド含有組成物の製造方法に準じて行なうことができる。
前記化学法に使用される触媒は、モノグリセライド含量が高いモノグリセライド含有組成物を製造することができる点から、鉄、コバルト及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属を含む触媒が好ましい。当該金属を、グリセリンと脂肪酸の総質量に対して、質量比で、0.1〜60ppm添加して反応を行うのが好ましい。
前記化学法の反応系内の水分量は、モノグリセライドの含量を高め、また遊離脂肪酸量を低減させる点から、600〜3000ppmが好ましい。
前記化学法における反応温度は、油層(脂肪酸)へのグリセリンの溶解度を向上させると共にエステル化反応速度を向上させる点から180℃以上が好ましく、副生成物であるジグリセリンの生成を抑制する点から270℃以下が好ましく、すなわち180〜270℃が好ましく、より好ましくは200〜260℃である。
また、反応時間は、0.1〜12時間、更に0.5〜7時間、特に1〜5時間が好ましい。
また、反応時間は、0.1〜12時間、更に0.5〜7時間、特に1〜5時間が好ましい。
前記エステル化反応後、必要に応じてグリセリン、脂肪酸及び触媒を除去することが望ましい。このとき、作業効率の点から、触媒の存在下でグリセリン及び脂肪酸を留去することが好ましい。具体的には、反応後、減圧でグリセリン及び脂肪酸を除去し、必要に応じてさらに減圧で蒸留水を供給してグリセリンを除去した後、濾過により触媒を除去する。
当該グリセリン及び脂肪酸の留去は、バッチ式で又は薄膜式蒸留器を用いて連続式に行なうことができる。バッチ式の場合、温度は80〜200℃、更に100〜190℃、特に120〜180℃が好ましく、また圧力は、0.1〜5.3kPa、特に0.5〜2.7kPaが好ましい。
当該濾過は、簡便な点から、いわゆるゼーター電位による吸着作用を有するゼーター電位フィルターを用いることができる。
当該グリセリン及び脂肪酸の留去は、バッチ式で又は薄膜式蒸留器を用いて連続式に行なうことができる。バッチ式の場合、温度は80〜200℃、更に100〜190℃、特に120〜180℃が好ましく、また圧力は、0.1〜5.3kPa、特に0.5〜2.7kPaが好ましい。
当該濾過は、簡便な点から、いわゆるゼーター電位による吸着作用を有するゼーター電位フィルターを用いることができる。
本発明の製造方法にて得られるモノグリセライド含有組成物は、低硫黄分ディーゼル軽油流体中の金属接触面における磨耗量の低減が可能な軽油添加剤として用いる際の磨耗低減性能および軽油への低温溶解性の点から、モノグリセライド含量が、全グリセライド中、30〜80質量%が好ましく、より好ましくは30〜70質量%であり、特に好ましくは40〜60質量%である。なお、全グリセライドとは、組成物中に存在するモノグリセライド、ジグリセライド及びトリグリセライドの全てである。
また、グリセリン含量が、組成物中、5質量%以下が好ましく、より好ましくは2.5質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。脂肪酸はほとんど存在しないが、組成物中、2質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
また、グリセリン含量が、組成物中、5質量%以下が好ましく、より好ましくは2.5質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。脂肪酸はほとんど存在しないが、組成物中、2質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
また、前記モノグリセライド含有組成物の色(基準油脂分析試験法 2.2.1.3-1996 色(ガードナー法)参照)は、軽油添加剤として好適に用いられる点から、着色度合いが小さければ小さいほど好ましく、好ましくはガードナー4以下であり、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2〜0である。
また、前記モノグリセライド含有組成物の40℃における粘度(日本工業規格(JIS)K2283の方法参照)は、軽油添加剤として好適に用いられる点から、好ましくは63mm2/s以下であり、より好ましくは10〜62mm2/s、さらに好ましくは50〜61mm2/sである。
また、前記モノグリセライド含有組成物の流動点(日本工業規格(JIS)K2269の方法参照)は、軽油添加剤として好適に用いられる点から低温であるほうが好ましく、好ましくは−10℃以下であり、より好ましくは−60〜−12℃、さらに好ましくは−40〜−15℃である。
また、前記モノグリセライド含有組成物の40℃における粘度(日本工業規格(JIS)K2283の方法参照)は、軽油添加剤として好適に用いられる点から、好ましくは63mm2/s以下であり、より好ましくは10〜62mm2/s、さらに好ましくは50〜61mm2/sである。
また、前記モノグリセライド含有組成物の流動点(日本工業規格(JIS)K2269の方法参照)は、軽油添加剤として好適に用いられる点から低温であるほうが好ましく、好ましくは−10℃以下であり、より好ましくは−60〜−12℃、さらに好ましくは−40〜−15℃である。
〔構成脂肪酸中の飽和脂肪酸含量及び各不飽和脂肪酸含量の測定法〕
各原料脂肪酸における全構成脂肪酸中の各脂肪酸の含量はGC分析(ガスクロマトグラフィー)により求めた。
カラムとして、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)に記載と同様のものを使用した。
〔モノグリセライド含量の測定法〕
モノグリセライド含量はGPC分析により、求めた。
カラムとして東ソー(株)製のTSKgelG2000HXL及びTSKgelG1000HXLを直列に連結し、検出器としてRI(示差屈折率計)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。
モノグリセライド含量(質量%)=(MG/(MG+DG+TG))×100
MG:モノグリセライド、DG:ジグリセライド、TG:トリグリセライド
〔グリセリン含量の測定法〕
グリセリンの含量はGC分析(ガスクロマトグラフィー)により求めた。
カラムとして、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)に記載と同様のものを使用した。
〔色の測定方法〕
基準油脂分析試験法 2.2.1.3-1996 色(ガードナー法)の方法で測定した。
〔粘度の測定方法〕
日本工業規格(JIS)K2283の方法で40℃において測定した。
〔流動点の測定方法〕
日本工業規格(JIS)K2269の方法で測定した。
各原料脂肪酸における全構成脂肪酸中の各脂肪酸の含量はGC分析(ガスクロマトグラフィー)により求めた。
カラムとして、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)に記載と同様のものを使用した。
〔モノグリセライド含量の測定法〕
モノグリセライド含量はGPC分析により、求めた。
カラムとして東ソー(株)製のTSKgelG2000HXL及びTSKgelG1000HXLを直列に連結し、検出器としてRI(示差屈折率計)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。
モノグリセライド含量(質量%)=(MG/(MG+DG+TG))×100
MG:モノグリセライド、DG:ジグリセライド、TG:トリグリセライド
〔グリセリン含量の測定法〕
グリセリンの含量はGC分析(ガスクロマトグラフィー)により求めた。
カラムとして、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)に記載と同様のものを使用した。
〔色の測定方法〕
基準油脂分析試験法 2.2.1.3-1996 色(ガードナー法)の方法で測定した。
〔粘度の測定方法〕
日本工業規格(JIS)K2283の方法で40℃において測定した。
〔流動点の測定方法〕
日本工業規格(JIS)K2269の方法で測定した。
製造例1〔低飽和大豆油脂肪酸の製造〕
大豆油を温度240℃、反応時間3時間にて高温高圧分解した後に、80℃でポリグリセリン脂肪酸エステルを添加して溶解後、撹拌しながら−3℃まで冷却することにより自然分別し、低飽和大豆油脂肪酸を得た。得られた低飽和大豆油脂肪酸の全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含量は、3.1質量%であった。
大豆油を温度240℃、反応時間3時間にて高温高圧分解した後に、80℃でポリグリセリン脂肪酸エステルを添加して溶解後、撹拌しながら−3℃まで冷却することにより自然分別し、低飽和大豆油脂肪酸を得た。得られた低飽和大豆油脂肪酸の全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含量は、3.1質量%であった。
〔モノグリセライド含有組成物の製造〕
実施例1:モノグリセライド含有組成物A
攪拌機、脱水管−冷却管、温度計、窒素導入管付きの2L四ツ口フラスコに、グリセリン480g、低飽和大豆油脂肪酸750gを入れ[グリセリン/原料脂肪酸(モル比)=2]、少量の水に懸濁させた水酸化鉄を鉄として2ppm添加し、窒素を液上空間部に100mL/分の流量で流しながら400r/minで撹拌下、約1.5時間かけて250℃まで昇温した。250℃に達した後、その温度で4時間反応させた。続いて、反応混合物を減圧下で還流させることにより170℃まで冷却し、そのままグリセリンを、圧力2.7kPa以下で減圧留去し、さらに150℃、2kPaで2時間水蒸気を供給した後、ゼータプラス30S(キュノ(株)製)を用いて加圧で吸着濾過して、モノグリセライド含有組成物Aを得た。
なお、原料脂肪酸中のアシル基のモル数はGC分析で求めた全構成脂肪酸中の各脂肪酸の含量から計算により求め、この結果に基づきグリセリンの使用量を上記の如く決定した。
実施例1:モノグリセライド含有組成物A
攪拌機、脱水管−冷却管、温度計、窒素導入管付きの2L四ツ口フラスコに、グリセリン480g、低飽和大豆油脂肪酸750gを入れ[グリセリン/原料脂肪酸(モル比)=2]、少量の水に懸濁させた水酸化鉄を鉄として2ppm添加し、窒素を液上空間部に100mL/分の流量で流しながら400r/minで撹拌下、約1.5時間かけて250℃まで昇温した。250℃に達した後、その温度で4時間反応させた。続いて、反応混合物を減圧下で還流させることにより170℃まで冷却し、そのままグリセリンを、圧力2.7kPa以下で減圧留去し、さらに150℃、2kPaで2時間水蒸気を供給した後、ゼータプラス30S(キュノ(株)製)を用いて加圧で吸着濾過して、モノグリセライド含有組成物Aを得た。
なお、原料脂肪酸中のアシル基のモル数はGC分析で求めた全構成脂肪酸中の各脂肪酸の含量から計算により求め、この結果に基づきグリセリンの使用量を上記の如く決定した。
実施例2:モノグリセライド含有組成物B
脂肪酸として低飽和大豆油脂肪酸とトール油脂肪酸(アリゾナケミカル社製)を50:50の重量比で混合したものを用いる以外は上記実施例1と同様に、モノグリセライド含有組成物Bを得た。
脂肪酸として低飽和大豆油脂肪酸とトール油脂肪酸(アリゾナケミカル社製)を50:50の重量比で混合したものを用いる以外は上記実施例1と同様に、モノグリセライド含有組成物Bを得た。
実施例3:モノグリセライド含有組成物C
脂肪酸として低飽和大豆油脂肪酸とトール油脂肪酸を30:70の重量比で混合したものを用いる以外は上記実施例1と同様に、モノグリセライド含有組成物Cを得た。
脂肪酸として低飽和大豆油脂肪酸とトール油脂肪酸を30:70の重量比で混合したものを用いる以外は上記実施例1と同様に、モノグリセライド含有組成物Cを得た。
比較例1:モノグリセライド含有組成物D
脂肪酸としてトール油脂肪酸を用いる以外は上記実施例1と同様に、モノグリセライド含有組成物Dを得た。
脂肪酸としてトール油脂肪酸を用いる以外は上記実施例1と同様に、モノグリセライド含有組成物Dを得た。
これら組成物A〜Dの原料及び性状を表1に示す。
表1の結果より、低飽和大豆油脂肪酸を20%以上含有する脂肪酸とグリセリンをエステル化して製造したモノグリセライド含有組成物は、軽油添加剤として優れた性状を持っており、軽油添加剤として好適に用いられることがわかる。
原料として用いる脂肪酸のうち、低飽和大豆油脂肪酸の含量が多くなるにつれ、色が良好となり、粘度が低下し、軽油添加剤として優れた性状をもっている。流動点については、低飽和大豆油脂肪酸の含量が多くなるにつれ若干悪化する傾向があるが、使用に問題のないレベルである。
原料として用いる脂肪酸のうち、低飽和大豆油脂肪酸の含量が多くなるにつれ、色が良好となり、粘度が低下し、軽油添加剤として優れた性状をもっている。流動点については、低飽和大豆油脂肪酸の含量が多くなるにつれ若干悪化する傾向があるが、使用に問題のないレベルである。
Claims (3)
- 原料である低飽和大豆油脂肪酸を20質量%以上含有する原料脂肪酸とグリセリンとをエステル化反応させる軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法。
- 原料である低飽和大豆油脂肪酸が、原料である低飽和大豆油脂肪酸における全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が5質量%未満のものである請求項1記載の軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法。
- 低飽和大豆油脂肪酸が、大豆油を加水分解し飽和脂肪酸を低減したものである請求項1又は2記載の軽油添加剤用モノグリセライド含有組成物の製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016044233A (ja) * | 2014-08-22 | 2016-04-04 | 花王株式会社 | 軽油添加剤 |
JP2017002261A (ja) * | 2015-06-16 | 2017-01-05 | 日油株式会社 | 燃料油用潤滑性向上剤および燃料油組成物 |
-
2008
- 2008-11-21 JP JP2008298315A patent/JP2010121088A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017002261A (ja) * | 2015-06-16 | 2017-01-05 | 日油株式会社 | 燃料油用潤滑性向上剤および燃料油組成物 |
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