JP2010120192A - 密着向上剤層付き接着フィルム及びそれを用いた回路基板の製造方法 - Google Patents

密着向上剤層付き接着フィルム及びそれを用いた回路基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回路基板の製造において、導体層と絶縁層との密着向上に特別な処理工程を施すことなく、導体層との密着に優れた絶縁層を形成できる接着フィルム、及び回路基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体層上に、硬化性樹脂組成物層、及び導体との密着向上剤層がこの順序に積層されてなる密着向上剤層付き接着フィルムを作成し、回路基板の製造に用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は回路基板の製造に有用な密着向上剤層付き接着フィルムに関し、特に、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板の製造において、導体層と絶縁層との密着向上に特別な処理工程を施すことなく、導体層との密着に優れた絶縁層を簡便に形成できる密着向上剤層付き接着フィルムに関する。
各種電子機器に広く使用されている多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板は、電子機器の小型化、高機能化のために、層の薄型化や回路のファインパターン化が求められている。そして、その製造方法としては、例えば、内層回路基板(配線パターンを有する基板)上に接着フィルムを積層し、接着フィルムを硬化して絶縁層を形成した後、該絶縁層をアルカリ性過マンガン酸カリウム溶液等の酸化剤で粗化し、その粗面に無電解メッキによりメッキシード層を形成し、次いで電解メッキにより導体層を形成する、セミアディティブ法が知られている。
ここで、内層回路基板の導体層と絶縁層との密着を向上させる目的で密着向上の表面処理が行われる。一般的な銅の密着向上表面処理としては、黒化処理や、銅をマイクロエッチングし銅表面に微細アンカーを形成する処理法などが挙げられる。近年、高密度微細配線の高速信号対応の要求が高まっており、導体層表面を出来るだけ荒らさず平坦にして、且つ絶縁樹脂との高密着強度を維持する要求が高まっている。そこで、物理的なアンカー効果でなく、化学的結合により高密着を得られるよう、導体層表面をシランカップリング剤で処理すること(特許文献1)や、導体層表面にアゾール化合物の被膜を形成すること(特許文献2)が知られている。
特表2004−536220号公報 特開2002−321310号公報
しかしながら、これらの密着向上剤は、絶縁層となる硬化性樹脂組成物によって最適なものを選択する必要があるし、その処理工程は密着向上剤の付着量、乾燥条件など厳密な管理が必要で、製造工程上大きな負担となっていた。また、絶縁層となる樹脂組成物に密着向上剤を添加することも一般的に知られているが、本発明者らの知見によれば、密着向上剤は樹脂組成物と反応する基を有する特性のものであるため、樹脂組成物の保存安定性に劣り、硬化物性においても吸水性、絶縁性などの点で悪影響を及ぼす場合が多いなどの問題があった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板の製造において、導体層と絶縁層との密着向上に特別な処理工程を施すことなく、導体層との密着に優れた絶縁層を形成できる接着フィルム、及び回路基板の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、回路基板上に直接密着向上剤を形成するのではなく、別途、支持体上に硬化性樹脂組成物層(絶縁層)と、その樹脂組成物に適した導体との密着向上剤層とが予め積層された密着向上剤層付き接着フィルム作成して、これを使用することによって、導体層との密着に優れた絶縁層を形成できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]支持体層上に、硬化性樹脂組成物層、及び導体との密着向上剤層がこの順序に積層されてなることを特徴とする、密着向上剤層付き接着フィルム。
[2]密着向上剤層が、シランカップリング剤、アゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物からなる群より選択される、導体との密着向上剤により形成された層である、上記[1]記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[3]支持体層がポリエチレンテレフタレートフィルムである、上記[1]記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[4]硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有する、上記[1]記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[5]硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂、熱可塑性樹脂及び硬化剤を含有する、上記[1]記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[6]硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂、熱可塑性樹脂及びシアネートエステル樹脂を含有する、上記[1]記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[7]硬化性樹脂組成物が無機充填材をさらに含有する、上記[5]または[6]記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[8]硬化性樹脂組成物層が硬化性樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材中に含浸したプリプレグである、上記[1]記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[9]支持体層の層厚が10μm〜70μmである、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[10]密着向上剤層の層厚が0.01μm〜3μmである、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
[11]上記[1]〜[10]のいずれかに記載の密着向上剤層付き接着フィルムを使用して製造された回路基板。
[12]表面に導体層を備える回路基板と、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の密着向上剤層付き接着フィルムを、密着向上剤層と前記導体層とが接するよう重ねて積層する工程と、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程と、を含む回路基板の製造方法。
[13]前記硬化する工程に先立って、接着フィルムの支持体を剥離する工程をさらに有する上記[12]記載の回路基板の製造方法。
[14]密着向上剤層付き接着フィルムが、第一支持体上に形成された硬化性樹脂組成物層と第二支持体上に形成された密着向上剤層とを積層することで形成される、上記[12]記載の回路基板の製造方法。
本発明の密着向上剤層付き接着フィルムを使用することによって、導体層に特別な処理工程を施すことなく、導体層との密着に優れた絶縁層を簡便に形成できる。また、該密着向上剤層付き接着フィルムを使用することにより、樹脂組成物中に密着向上剤を配合する必要が無いため、保管時に樹脂組成物の保存安定性を損なうことも無い。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の密着向上剤層付き接着フィルムは、支持体層上に、硬化性樹脂組成物層、及び導体との密着向上剤層をこの順序に積層したことが主たる特徴である。
本発明の密着向上剤層付き接着フィルムは、これを被着体(導体層付き回路基板)に、密着向上剤層が基板に接するよう重ねて積層し、必要に応じて支持体層を剥離する工程、及び硬化性樹脂組成物層を硬化する工程により、導体層に特別な処理を施すことなく、導体層との密着に優れた絶縁層を簡便に形成することができ、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板を効率よく製造することができる。
<支持体層>
本発明の密着向上剤付き接着フィルムにおいて、支持体層は自己支持性を有するフィルム乃至シート状物であれば制限なく使用することができる。その材質は特に限定されないが、取扱い性、コスト、汎用性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート等のフレキシブルなプラスチックシートが好ましく、中でも、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。支持体には、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
また、支持体層の層厚は、通常10μm〜70μm、好ましくは15μm〜70μmである。層厚が薄すぎると、取り扱い性に劣る傾向があり、支持体層の剥離性低下や平滑な金属膜層の形成に不具合が生じるなどの傾向がある。また、層厚が厚すぎると、コスト高になる。
<密着向上剤層>
密着向上剤層としては、使用する導体層の金属と、樹脂組成物との密着を向上させる化合物であれば、特に限定されないが、シランカップリング剤、アゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物からなる群より選択される化合物を含む層が挙げられる。
密着向上剤層の層厚は、通常0.01μm〜3μm、好ましくは0.03μm〜1μmである。層厚が薄すぎると、密着性工場の効果が十分発揮されない傾向があり、また層厚が厚すぎると、積層時に硬化性樹脂組成物層と混合される部分が多く、硬化物性に影響を及ぼすおそれがある。
シランカップリング剤としては、公知慣用のものが使用できるが、より具体的に明示すると、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β( アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アゾール化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、より具体的に明示すると、例えばオキサゾール、イソオキサゾール、5−t−ブチルイソオキサゾール−3−カルボン酸、チアゾール、イソチアゾール、2−アミノ−4−メチル−チアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、イミダゾール、ピラゾール、1−メチル−2−メルカプトイミダゾール、1−(β−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(β−クロロエチル)−2−メチルイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、3−β−アミノエチルピラゾール、トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4,−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸、1,2,3−ベンゾトリアゾール、オキサジアゾール、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、チアジアゾール、2−(N−ニトロ−N−メチルアミノ)−1,3,4−チアジジアゾール、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、1−(β−アミノエチル)テトラゾール、5−メルカプト−1−フェニルテトラゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、5−アミノ−1,2,3,4−チアトリアゾールなどが挙げられる。
トリアジン化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、より具体的に明示すると、例えば1,3,5−トリアジン、メラミン、ベンゾグアナミン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−フェニルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、トリアジン化合物とフェノール類とアルデヒド類とを縮合反応したトリアジン構造含有フェノール樹脂などが挙げられる。
ポルフィリン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばメソポルフィリン、プロトポルフィリン、ジューテロポルフィリンなどが挙げられる。
<硬化性樹脂組成物層>
硬化性樹脂組成物層に使用する硬化性樹脂組成物は、その硬化物が、十分な硬度と絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用できる。例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等の硬化性樹脂にその硬化剤を少なくとも配合した組成物が使用できる。多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板の製造に使用する場合には、硬化性樹脂がエポキシ樹脂である組成物が好ましく、(a)エポキシ樹脂、(b)熱可塑性樹脂及び(c)硬化剤を少なくとも含有する組成物がより好ましい。
(a)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。エポキシ樹脂は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
市販されているエポキシ樹脂としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、大日本インキ化学工業(株)製「HP4032」、「HP4032D](ナフタレン型2官能エポキシ樹脂)、大日本インキ化学工業(株)製「HP4700」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、東都化成(株)製「ESN−475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、日本化薬(株)製「NC3000H」または「NC3000L」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX8800」(アントラセン骨格含有型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製「ESN−475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)などが挙げられる。
(b)熱可塑性樹脂は、硬化後の組成物に適度な可撓性を付与する目的で配合されるものであり、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。当該熱可塑性樹脂は硬化性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5〜60質量%の割合で配合するのが好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。熱可塑性樹脂の配合割合が0.5質量%未満の場合、樹脂組成物粘度が低いため、塗工乾燥時に、支持体上でクレーターが発生しやすいなど、均一な硬化性樹脂組成物層を形成することが難しくなる傾向となり、60質量%を超える場合、樹脂組成物の溶融粘度が高く、基板上の配線パターンへの埋め込みが困難になる傾向となる。熱可塑性樹脂としては特にフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、例えば、東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YX8100、YX6954、YL6974、YL7482、YL7553、YL6794、YL7213、YL7290等が挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、デンカブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
(c)硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもの、シアネートエステル樹脂等を挙げることができる。中でも、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、シアネートエステル樹脂が好ましい。
フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤の市販品としては、例えば、MEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成(株)製)、NHN、CBN、GPH(日本化薬(株)製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(東都化成(株)製)、LA7052、LA7054(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。本発明において、エポキシ樹脂系硬化剤は1種を使用しても2種以上を併用してもよい。
また、シアネートエステル樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニル)メタン、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。市販されているシアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、シアネート当量124)やビスフェノールAジシアネートの一部または全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製、BA230、シアネート当量232)等が挙げられる。
(a)エポキシ樹脂と(c)硬化剤の配合比率は、フェノール系硬化剤またはナフトール系硬化剤の場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量1に対してこれら硬化剤のフェノール性水酸基当量が0.4〜2.0の範囲となる比率が好ましく、0.5〜1.0の範囲となる比率がより好ましい。シアネートエステル樹脂の場合は、エポキシ当量1に対してシアネート当量が0.3〜3.3の範囲となる比率が好ましく、0.5〜2の範囲となる比率がより好ましい。反応基当量比がこの範囲外であると、硬化物の機械強度や耐水性が低下する傾向にある。
なお、当該硬化性樹脂組成物には、(c)硬化剤に加え、(d)硬化促進剤をさらに配合することができる。このような硬化促進剤としては、イミダゾール系化合物、有機ホスフィン系化合物等が挙げられ、具体例としては、例えば、2−メチルイミダゾール、トリフェニルホスフィンなどを挙げることができる。(d)硬化促進剤を用いる場合、エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0質量%の範囲で用いるのが好ましい。なお、エポキシ樹脂硬化剤としてシアネートエステル樹脂を使用する場合には、硬化時間を短縮する目的で、従来からエポキシ樹脂組成物とシアネート化合物とを併用した系で硬化触媒として用いられている有機金属化合物を添加してもよい。有機金属化合物としては、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅化合物、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛化合物、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト化合物などが挙げられる。有機金属化合物の添加量は、シアネートエステル樹脂に対し、金属換算で通常10〜500ppm、好ましくは25〜200ppmの範囲である。
また、当該硬化性樹脂組成物には、硬化後組成物の低熱膨張化のために(e)無機充填剤を含有させることができる。無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特にシリカが好ましい。なお、無機充填剤は絶縁信頼性の観点から、平均粒径が3μm以下であるのが好ましく、平均粒径が0.6μm以下であるのがより好ましい。一方、平均粒径の下限は特に限定はされないが、0.1μm以上であるのが好ましい。硬化性樹脂組成物中の無機充填剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした時、通常0〜60質量%であり、好ましくは20〜50質量%である。無機充填剤の含有量が20重量%未満の場合、熱膨張率の低下効果が十分に発揮されない場合があり、無機充填剤の含有量が60重量%を超えると、硬化物の機械強度が低下するなどの傾向となる。
なお、本発明において、硬化性樹脂組成物層は、繊維からなるシート状補強基材中に上述の硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグであってもよい。シート状補強基材の繊維としては、例えば、ガラスクロスやアラミド繊維等、プリプレグ用繊維として常用されているものを用いることができる。プリプレグは硬化性樹脂組成物をシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることで形成することができる。なお、ホットメルト法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物を樹脂組成物と剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、有機溶剤を用いずにプリプレグを製造する方法である。また、ソルベント法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解したワニスにシート状補強基材を浸漬し、ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
本発明の密着向上剤層付き接着フィルムにおいて、硬化性樹脂組成物層の厚さは、特に限定されるわけではなく、内層回路導体層厚によって異なるが、層間での絶縁信頼性の観点から、10〜150μm程度が好ましく、より好ましくは15〜80μmである。
本発明の密着向上剤層付き接着フィルムの製造方法は、特に制限されない。例えば、支持体層上に、硬化性樹脂組成物層、密着向上剤層を順次形成することによって製造する方法、支持フィルム上に密着向上剤層を作製する一方、支持体層上に硬化性樹脂組成物層を形成した接着フィルムを作製し、これら密着向上剤フィルムと接着フィルムとを硬化性樹脂組成物層と密着向上剤層が接触するように加熱条件下で貼り合わせる方法などがある。支持フィルムとしては、記述の支持体層と同じく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルム表面には、マット処理、コロナ処理等の表面処理、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
密着向上剤層付き接着フィルムの作製において、熱硬化性樹脂組成物上、および又は支持体層上への密着向上剤層の形成方法は特に限定されないが、密着向上剤を有機溶剤及び/又は水の溶解させた塗工液を熱硬化性樹脂組成物上、および又は支持体層上塗布・乾燥する方法が好ましい。
一方、接着フィルムは、支持体の片面(剥離処理を施してある場合は、剥離側面)に硬化性樹脂組成物の溶液乃至分散液からなる塗工液(ワニス)を調製し、該塗工液(ワニス)を支持体層上に塗布、乾燥することによって形成することができる。硬化性樹脂組成物層がプリプレグである場合、プリプレグを支持体層上に、例えばホットロールなどにより積層する。
図1は、本発明の密着向上剤層付き接着フィルムの製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。図1において、接着フィルム(プリプレグ)10では、第一支持体10a上に、硬化性樹脂組成物層10bが形成されており、一方、密着向上剤フィルム11では、第二支持体11a上に密着向上剤層11bが形成されている。
密着向上剤フィルム11と接着フィルム(プリプレグ)10を貼り合わせる場合は、密着向上剤フィルム11の密着向上剤層11bと接着フィルム(プリプレグ)10の硬化性樹脂組成物層10bとを対向するように、密着向上剤フィルム11と接着フィルム(プリプレグ)10を重ねて、熱プレス、または熱ロール等で加熱圧着する。加熱温度は、35〜120℃が好ましく、より好ましくは、40〜80℃である。加熱温度が35℃未満であると、密着向上剤と熱硬化性樹脂間にボイドが発生する不具合が出る場合があるし、加熱温度が120℃を超えると支持体の伸びによりシワ等が発生する場合がある。また、圧着圧力は、1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)の範囲が好ましく、2〜7kgf/cm(19.6×10〜68.6×10N/m)の範囲が特に好ましい。圧着圧力が1kgf/cm(9.8×10N/m)未満であると、界面にボイドが残りやすくなる傾向となり、圧着圧力が11kgf/cm(107.9×10N/m)を超えると樹脂のしみだしが激しくなり、所定の膜厚を維持させることができなくなる傾向がある。
樹脂組成物層の上に密着向上剤層を塗工、乾燥して密着向上剤層付き接着フィルムを製造した場合は、密着向上剤層面には、支持体に準じた保護フィルム(図1の第二支持体11に相当する)をさらに積層することができる。保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって貯蔵することもできる。
次に、上記のようにして製造した密着向上剤層付き接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を、図を用いて説明する。
図2は、回路基板の両面に本発明の一実施形態の密着向上剤層付き接着フィルムを配した状態を示す概略断面図である。
本発明の一実施形態の密着向上剤層付き接着フィルム20は、支持体20a上に、硬化性樹脂組成物層20bと密着向上剤層20cがこの順に形成されてなる。この密着向上剤層付き接着フィルム20と被着体21である導体層21b付き回路基板21aとの積層は、作業性及び一様な接触状態が得られやすい点から、ロールやプレスによる圧着等を用い、導体層表面に、密着向上剤層20cが導体層に接するよう重ねて積層し、ラミネート処理するのが好ましい。回路基板21aに用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板21aとは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)21bが形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)21bとなっているものも、ここでいう回路基板21aに含まれる。なお導体層21b表面には、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよいが、本発明の目的上、導体層21bは過剰に荒れていないものが好適である。
ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。なかでも、真空ラミネート法により減圧下でラミネートするのが好適である。また、ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機(株)製)、バキュームアップリケーター(ニチゴー・モートン(株)製)、真空加圧式ラミネーター((株)名機製作所製)、ロール式ドライコータ((株)日立インダストリイズ製)、真空ラミネーター(日立エーアイーシー(株)製)等を挙げることができる。
密着向上剤層付き接着フィルム20を導体層21b付き回路基板21aにラミネートした後、室温付近に冷却してから、予め支持体20aを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分〜180分、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。
絶縁層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次いで必要により、回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが最も一般的な方法である。
次いで、乾式メッキ又は湿式メッキにより絶縁層上に導体層を形成する。乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式メッキの場合は、まず、硬化した樹脂組成物層(絶縁層)の表面を、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤で粗化処理し、凸凹のアンカーを形成する。酸化剤としては、特に過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましく用いられる。次いで、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ステップ1.密着向上剤フィルムの作製>
厚み25μmのポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)フィルム上に、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−573」)の10質量%のエタノール:水=9:1溶液をコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて室温から120℃まで昇温速度3℃/秒で昇温することで溶剤を除去し、PETフィルム上に0.5μmのシランカップリング剤層を形成させた。
<ステップ2.密着向上剤層付き接着フィルムの作製>
ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のメチルエチルケトン(以下MEKと略す)溶液)30質量部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量約124)を10質量部、MEK10部と共に攪拌混合し、ナフトール型エポキシ樹脂として東都化成(株)製「ESN−475V」(エポキシ当量約340の不揮発分65質量%のMEK溶液)40質量部、さらに液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」、エポキシ当量約185)8質量部、フェノキシ樹脂溶液(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX−6954」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンとの混合溶液)20質量部、硬化促進剤としてイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体(ジャパンエポキシレジン(株)製「jERcure P200H50」、不揮発分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)0.3質量部、コバルト(II)アセチルアセトナート(東京化成(株)製)の1質量%のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液4質量部、および球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm)50質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
次に、かかる樹脂組成物ワニスを支持体に相当するPETフィルム(厚さ38μm、アルキッド系離型処理面側)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥した(樹脂組成物層中の残留溶媒量:約1.5質量%)。次いで、密着向上剤フィルムの密着向上剤層側を、樹脂組成物層の表面に50℃のホートロールで貼り合わせながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。
<ステップ3.密着向上剤層付き接着フィルムによる回路基板上への硬化性樹脂組成物層の形成>
18μm厚の銅層で回路が形成されているガラスエポキシ基板(510×340mm)の銅層表面を、有機酸系マイクロエッチング剤CZ−8100(アゾール類の銅錯体で有機酸を含む表面処理剤、メック(株)製)を用いて粗化した。このときの銅エッチング量は0.8μmであった。
密着向上剤層付き接着フィルムの密着向上剤層側のPETフィルムを剥離し、密着向上剤層側から回路基板の両面に貼り合せたのち、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機(株)製商品名)を用いてラミネートすることにより、回路基板上に硬化性樹脂組成物層を形成した。この工程は、[回路基板と密着向上剤層付き接着フィルムとを積層する工程]である。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下で行った。
その後、硬化性樹脂組成物層を100℃で30分、更に180℃で30分間硬化させ、絶縁層(硬化物層)を形成した。この工程が、[硬化性樹脂組成物層を硬化する工程]である。
該絶縁層から支持体層であるPETフィルムを剥離した。なお、硬化する工程に先立って、予め[接着フィルムの支持体を剥離する工程]を有していても良い。
<導体層との密着評価>
回路基板上の導体層上に形成された樹脂組成物層の密着性を、初期およびに加速環境試験後に、JIS D0202−1988に準拠してクロスカット剥離試験にて評価した。評価結果を表1に示す。なお、加速環境試験は、高度加速寿命試験装置PM422(楠本化成(株)製)を用い、121℃、100RH%の条件で50時間試験した。評価結果は、密着良好なもの:○、一部剥離あり:△、剥離多い:×とした。
<導体層類似の銅箔と硬化性樹脂組成物との密着強度測定>
(1)銅箔処理
三井金属鉱山(株)製3EC−III(電界銅箔、35μm)の光沢面をメック(株)製エッチボンドCZ8100に浸漬して銅表面を0.8μmの粗化処理を行った。
(2)銅箔の硬化性樹脂組成物上へのラミネートと熱硬化
上記ステップ3で説明したと同様の方法でラミネートされた接着フィルムからPETフィルムを剥離し、上記(1)で処理した銅箔の処理面を樹脂側にしてラミネートおよび熱硬化を行い、回路基板上に銅箔と硬化性樹脂組成物層を形成した。
(3)銅箔ピール強度測定
作製したサンプル510×340mmを150×30mmの小片に切断し、その銅箔部分に、幅10mm、長さ100mmの切込みをいれ、さらに190℃で60分熱硬化させた。その後、切り込みの一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、インストロン万能試験機を用いて50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定した。
さらに、同一サンプルを高度加速寿命試験装置(楠本化成(株)製)PM422にて、130℃、85RH%の条件で50時間の加速環境試験の後に、同様の方法で引き剥がし強さの測定を行い、加速環境試験前後のピール強度の比較を行った。測定結果を表1に示す。
比較例1
実施例1の密着向上剤層付き接着フィルム20(すなわち、密着向上剤層20cとして0.5μmのシランカップリング剤層が形成されたPETフィルム)の代わりに、厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを、樹脂組成物ワニスが塗布されたPETフィルム上に貼り合せて形成した接着フィルムを作製した。すなわち、比較例1の接着フィルムは図2の密着向上剤層付き接着フィルム20から、密着向上剤層20cを除いた構成である。比較例1の接着フィルムを用いて、実施例1と全く同様にして評価を行った。クロスカット剥離試験の評価およびピール強度の測定結果を表1に示す。
比較例2
比較例1において、回路基板上導体層及び導体層類似の銅箔の処理を、CZ−8100(メック(株)製)を用いて、銅エッチング量0.8μmで処理した後に、さらにアゾール系密着向上剤を付与するCL8301(メック(株)製)を用いて処理を行うことで接着フィルムを被着体上に貼り合わせた。すなわち、比較例2の構成は、図2の密着向上剤層付き接着フィルム20から、密着向上剤層20cを除くとともに、被着体21の導体層21b上に密着向上剤層を設けた構成である。比較例2の試料についても実施例1と全く同様にして評価を行った。クロスカット剥離試験の評価およびピール強度の測定結果を表1に示す。
比較例3
実施例1記載の硬化性樹脂組成物ワニス中に、シランカップリング剤であるN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを0.5質量部さらに添加したワニスを使用し、比較例1と同様に、厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを、樹脂組成物ワニスが塗布されたPETフィルム上に貼り合せて形成した接着フィルムを作製した。すなわち、比較例2の接着フィルムは図2の密着向上剤層付き接着フィルム20から密着向上剤層20cを除き、硬化性樹脂層自体が密着向上剤を含有する構成である。比較例3の試料についても実施例1と全く同様にして評価を行った。クロスカット剥離試験の評価およびピール強度の測定結果を表1に示す。
Figure 2010120192
表1の結果から、本発明の密着向上剤層付き接着フィルムによれば、導体層と絶縁層との密着向上に特別な処理工程を施すことなく、加速環境試験後も導体層との密着に優れた絶縁層を形成できることが分かる。一方、比較例1のように密着向上剤が樹脂組成物にも、導体層上にも無い場合、初期密着も劣ると共に、加速環境試験後の密着低下が著しいものであった。また、比較例2のように市販の密着向上剤が導体層上に形成されたものであっても、比較例3のように実施例1と同じ密着向上剤を樹脂組成物中に含有するものであっても、初期密着は良好であるものの、加速環境試験後の密着は本発明の実施例よりも劣る結果であった。
図1は、本発明の一実施形態における密着向上剤層付き接着フィルムの製造方法を示す概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態における回路基板の製造方法を示す概略断面図である。
符号の説明
10 接着フィルム
10a 第一支持体
10b 硬化性樹脂組成物層
11 密着向上剤フィルム
11a 第二支持体
11b 密着向上剤層
20 密着向上剤層付き接着フィルム
20a 支持体
20b 硬化性樹脂組成物層
20c 密着向上剤層
21 被着体
21a 回路基板
21b 導体層

Claims (14)

  1. 支持体層上に、硬化性樹脂組成物層、及び導体との密着向上剤層がこの順序に積層されてなることを特徴とする、密着向上剤層付き接着フィルム。
  2. 密着向上剤層が、シランカップリング剤、アゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物からなる群より選択される、導体との密着向上剤により形成された層である、請求項1記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  3. 支持体層がポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  4. 硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有する、請求項1記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  5. 硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂、熱可塑性樹脂及び硬化剤を含有する、請求項1記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  6. 硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂、熱可塑性樹脂及びシアネートエステル樹脂を含有する、請求項1記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  7. 硬化性樹脂組成物が無機充填材をさらに含有する、請求項5又は6記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  8. 硬化性樹脂組成物層が硬化性樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材中に含浸したプリプレグである、請求項1記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  9. 支持体層の層厚が10μm〜70μmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  10. 密着向上剤層の層厚が0.01μm〜3μmである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の密着向上剤層付き接着フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の密着向上剤層付き接着フィルムを使用して製造された回路基板。
  12. 表面に導体層を備える回路基板と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の密着向上剤層付き接着フィルムを、密着向上剤層と前記導体層とが接するよう重ねて積層する工程と、
    硬化性樹脂組成物層を硬化する工程と、を含む回路基板の製造方法。
  13. 前記硬化する工程に先立って、接着フィルムの支持体を剥離する工程をさらに有する請求項12記載の回路基板の製造方法。
  14. 密着向上剤層付き接着フィルムが、第一支持体上に形成された硬化性樹脂組成物層と第二支持体上に形成された密着向上剤層とを積層することで形成される、請求項12記載の回路基板の製造方法。
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