JP2010120043A - ダイクッション装置及びそれを備えるプレス機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、プレス機械101でワークWをプレスする際のワークWに伝わる下方へのプレス圧に対応してワークWを上方に付勢するクッション圧をワークWの周縁に付加するためのダイクッション装置100において、クッションパッド11と、該クッションパッド11の下面に設けられた油圧室16と、該油圧室16に連結された支杆12を介してクッションパット11にクッション圧を付与する付勢装置と、油圧室16に充填された油が流出入可能となるように連通され、油圧室16にプレス圧に対応する過負荷防止圧を付与可能な過負荷防止装置20と、を備え、プレス圧が過負荷防止圧を超えたとき、油圧室16に充填された油を過負荷防止装置20内に流入させるダイクッション装置100である。
【選択図】図1
Description
かかるダイクッション装置は、プレス機械でワークをプレスする際のワークに伝わる下方へのプレス圧に対応してワークを上方に付勢するためのクッション圧をワークの周縁に付与するものである。
また、現在最も多く用いられている空圧式ダイクッション装置は、オーバーロードプロテクタを備えないが、機械駆動式ダイクッション装置の場合は慣性質量が大きくなる場合が多く、特に衝突時の衝撃圧が過大となりやすいため、この場合、オーバーロード装置を備えたダイクッション装置が注目されている。
このため、プレス機械の再駆動には時間がかかる。
p2=(f1×a2)/(a1×a3)
[式中、p2は過負荷防止圧を示し、f1はクッション力を示し、a1は油圧室の断面積を示し、a2は油貯留室の断面積を示し、a3は過負荷防止用ピストンの断面積を示す。]
また、プレス圧に基づく過負荷が収束した場合、過負荷防止装置から油を油圧室に流出させることにより、油が油圧室に容易に復帰するので、再びプレス機械を駆動させることが容易となる。
まず、本発明のダイクッション装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るダイクッション装置の一例を概略的に示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るダイクッション装置100は、クッションパッド11と、該クッションパッド11の下面に設けられた油圧室16と、該油圧室16に連結された支杆12を介してクッションパッド11にクッション圧を付与する付勢装置と、油圧室16に充填された油が流出入可能となるように連通された過負荷防止装置20と、を備える。
また、「クッション力」とは、プレス機械でワークをプレスする際のワークに伝わる下方へのプレス圧に対応してワークを上方に付勢する力を意味し、「クッション圧」とは、プレス機械でワークをプレスする際のワークに伝わる下方へのプレス圧に対応してワークを上方に付勢する圧力を意味する。
さらに、「過負荷防止圧」とは、過負荷防止装置が油圧室に加える圧力を意味する。
また、油が緩衝材としても機能するので、プレス時のプレス圧によるクッションパッド11と支杆12との衝突を防止する。
さらに、支杆12の上端の形状が球面座であるので、金型の偏心配置などによりクッションパッド11に傾きが生じた場合でも問題なく支杆12の軸方向にプレス圧を伝達することができる。
図2に示すように、過負荷防止装置20は、油を収容可能な油貯留室21aと、該油貯留室21aに過負荷防止圧を付与する過負荷防止用エアーシリンダ21bと、を備える。
一方、大径シリンダ部22bと大径ピストン部23bとにより形成される下側の下側空間A2は、空気圧がかけられた状態で密閉されており、かかる空気圧が過負荷防止用ピストン23を上方に付勢する過負荷防止圧となっている。
具体的には、プレス機械を再駆動させる際、過負荷防止装置の過負荷防止圧を大きくすることによって、容易に油を油圧室に流入させることができる。
ここで、上記過負荷防止圧は、プレス圧に対応する圧力に設定される。
具体的には、下記式で表される値に設定される。
p2=(f1×a2)/(a1×a3)
式中、p2は過負荷防止圧を示し、f1はクッション力を示し、a1は油圧室の断面積を示し、a2は油貯留室の断面積を示し、a3は過負荷防止用ピストンの断面積を示す。なお、言い換えると、a1は油圧室16が油圧を受ける面36の面積を示し、a2は油貯留室21aが油圧を受ける面31の面積を示し、a3は過負荷防止用ピストン23が過負荷防止圧を受ける面32の面積を示す。
この場合、過負荷防止装置20においては、過負荷防止用エアーシリンダ21bの過負荷防止圧が、上記式で表される値に設定されていると、確実に過負荷を吸収でき、プレス機械の復帰も容易となる。
a1/a2>3.5
また、油貯留室の断面積a2と、過負荷防止用ピストンの断面積a3との関係において、下記関係式を満たすことが好ましい。
3≦a3/a2≦5
これらの場合、より確実に過負荷を吸収でき、プレス機械の復帰も容易となる。
かかる付勢装置としては、支杆12の中腹に設けられた付勢用エアーシリンダ13及び支杆12の下端に設けられたラックピニオン機構14が用いられる。なお、ラックピニオン機構14とは、上下移動する平板状のラック杆に回転するピニオン軸である歯車を噛み合わせて力を伝達する機構である。
さらに、この場合、支杆と駆動源を兼ねているボールネジとは異なり、支杆と減速機等を分離できるので、各々最適な構造にできるという利点もある。
このため、付勢用エアーシリンダ13にクッション圧の一部を発揮させ、ラックピニオン機構14に残りのクッション圧を発揮させることにより、それぞれの付勢装置の負担を軽減できる。なお、この場合、ラックピニオン機構14や後述する駆動源の小型化又は長寿命化が可能となり、メンテナンスも容易となる。
この検出値をフィードバックさせることにより、上記ダイクッション装置においては、正確なフルクローズトループ制御が可能となるので、ダイクッション装置の応答性が向上する。
この場合、支杆から上方の可動部の重量に伴う慣性モーメントが小さくなるので、ダイクッション装置100の応答性がより向上する。
ここで、「支杆から上方の可動部」とは、例えば、クッションパッド及び支杆が挙げられる。
このため、ラックピニオンクッション圧の大きさをサーボモータ17により適宜コントロールすることが可能である。
図1に示すように、本実施形態に係るダイクッション装置100は、プレス機械でワークをプレスする際のワークに伝わる下方へのプレス圧に対応してワークを上方に付勢するクッション圧をワークの周縁に付加するものである。
このとき、上記プレス機械においては、クッションパッド11と支杆12との間に油が充填された油圧室16が設けられているので、プレス圧は、クッションパッド11から油圧室16内の油に伝わる(油圧)。なお、かかる油圧を測定することにより、プレス圧を求めることができる。また、プレス圧の測定は、ひずみセンサー等の圧力センサーを用いればよい。
ダイクッション装置100においては、支杆12に設けられた付勢用エアーシリンダ13及びラックピニオン機構14により、プレス時の下方へのプレス圧に対応して、上方にクッション圧が発揮されている。すなわち、付勢用エアーシリンダ13においては、支杆12から上方の重量に対応する上向きのシリンダクッション圧が働き、ラックピニオン機構14においては、油圧の測定値に基づいて、上向きのラックピニオンクッション圧が働いている。なお、サーボモータ17が、ラックピニオン機構14を駆動させるときの上方付勢クッション圧の設定は、油圧の測定値から導かれるクッション圧の値から、付勢用エアーシリンダ13のシリンダクッション圧の値を引いた値である。
この場合、上記ダイクッション装置100においては、油圧室16の油が図2に示す過負荷防止装置20に流入することにより、過度のサージ圧が解消される。これにより、過度のサージ圧に伴うプレス機械の故障が防止される。
ところが、過負荷防止装置20においては、圧力調節装置25によって調節された所定の過負荷防止圧が付加されているので、プレス圧が過負荷防止圧を超えない限り、過負荷防止装置20は動かない。
そうすると、過負荷防止用シリンダ22の上部に設けられた近接センサー24が、過負荷防止用ピストン23の下降を検出して、プレス機械の駆動が停止される。これにより、プレス機械の故障が抑制される。
図3は、本実施形態に係るダイクッション装置における制御方法を示すフローチャート図である。
図3に示すように、本実施形態に係るダイクッション装置における制御方法は、過負荷防止用ピストン23が下降したことを近接センサー24が検出し、該検出に基づく検出信号を制御回路S1が受信し、非常停止回路S2に伝達され、プレス機械を駆動する全てのサーボモータ17が停止され、プレス機械の駆動が停止されることになる。
これにより、プレス機械を異常状態で運転し続ける事が無くなり、故障が防止される。
図4は、本実施形態に係るプレス機械の一例を示す部分断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係るプレス機械101は、上述したダイクッション装置100と、該ダイクッション装置100のクッションパッド11の上にクッションピン4を介して設けられたブランクホルダ3と、クッションパッド11の上にライナ6を介して固定されたボルスタ7と、ボルスタ7上に載置された下型2と、該下型2に対応する形状を有する上型1と、上型1が支持されたスライド5とを備える。なお、上述したクッションピン4は、ボルスタ7の内部を貫通している。
このとき、ダイクッション装置100は、ワークWの周縁部にブランクホルダ3が接するように配置される。
次に、本発明のダイクッション装置の第2実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係るダイクッション装置の一例を概略的に示す正面図である。
図5に示すように、本実施形態に係るダイクッション装置200は、クッションパッド11と、クッションパッド11の下面に取り付けられた2つの上方付勢機構10とを備える。なお、2つの上方付勢機構10は、クッションパッド11の中心線に対して、左右対称に同じものが取り付けられている。
また、上記ダイクッション装置200は、上方付勢機構10がクッションパッド11の中心線に対応して、左右対称に設けられているので、上述した第1実施形態に係るダイクッション装置100の場合よりも、バランスよくクッション圧を上方に付与することができ、更には大きなクッション圧を発揮することも可能である。
図6は、本実施形態に係るプレス機械の一例を示す部分断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係るプレス機械201は、上述したダイクッション装置200と、該ダイクッション装置200のクッションパッド11の上にクッションピン4を介して設けられたブランクホルダ3と、クッションパッド11の上にライナ6を介して固定されたボルスタ7と、ボルスタ7上に載置された下型2と、該下型2に対応する形状を有する上型1と、上型1が支持されたスライド5とを備える。なお、上述したクッションピン4は、ボルスタ7の内部を貫通している。
このとき、ダイクッション装置200は、ワークWの周縁部にブランクホルダ3が接するように配置される。
これらの代わりに、ボールネジ、リニアモータ、油圧シリンダ等を用いてもよく、付勢用エアーシリンダ13又はラックピニオン機構14を単独で用いてもよい。
この場合、重量の大きいダイクッション装置の可動部を安全に保持する力を得るのに、一般的なトルクのブレーキを用いることができる。
この場合、よりクッション圧が大きくなり、クッション圧が発揮されるバランスにも特に優れる。
この場合、必要なクッション圧を得ることができるのみならず、ラックピニオン機構14にはバックラッシュは一切発生せず、更に長寿命化が可能となる。また、ダイクッション装置が上昇する過程で電力回生を行うことができる。
2・・・下型
3・・・ブランクホルダ
4・・・クッションピン
5・・・スライド
6・・・ライナ
7・・・ボルスタ
10・・・上方付勢機構
11・・・クッションパッド
12・・・支杆
13・・・付勢用エアーシリンダ
14・・・ラックピニオン機構
15a・・・油圧室用シリンダ
15b・・・油圧室用ピストン
16・・・油圧室
17・・・サーボモータ
18・・・減速機
20・・・過負荷防止装置
21a・・・油貯留室
21b・・・過負荷防止用エアーシリンダ
22・・・過負荷防止用シリンダ
22a・・・小径シリンダ部
22b・・・大径シリンダ部
23・・・過負荷防止用ピストン
23a・・・小径ピストン部
23b・・・大径ピストン部
24・・・近接センサー
25・・・圧力調節装置
31,32,36・・・面
100,200・・・ダイクッション装置
101,201・・・プレス機械
A1・・・上側空間
A2・・・下側空間
S1・・・制御回路
S2・・・非常停止回路
W・・・ワーク
Claims (8)
- プレス機械でワークをプレスする際の前記ワークに伝わる下方へのプレス圧に対応して前記ワークを上方に付勢するクッション圧を前記ワークの周縁に付加するためのダイクッション装置において、
クッションパッドと、
該クッションパッドの下面に設けられた油圧室と、
該油圧室に連結された支杆を介して前記クッションパッドに前記クッション圧を付与する付勢装置と、
前記油圧室に充填された油が流出入可能となるように連通され、前記油圧室に前記プレス圧に対応する過負荷防止圧を付与可能な過負荷防止装置と、
を備え、
前記プレス圧が前記過負荷防止圧を超えたとき、前記油圧室に充填された油を前記過負荷防止装置内に流入させるダイクッション装置。 - 前記過負荷防止装置が、
前記油を収容可能な油貯留室と、
該油貯留室に前記過負荷防止圧を付与する過負荷防止用エアーシリンダと、
を備え、
前記過負荷防止用エアーシリンダが、過負荷防止用シリンダと、該過負荷防止用シリンダ内を摺動可能な過負荷防止用ピストンと、からなる請求項1記載のダイクッション装置。 - 前記プレス圧が前記過負荷防止圧を超えたとき、前記油圧室に充填された油を前記過負荷防止装置内に流入させると共に、前記プレス機械の駆動を停止させる請求項1記載のダイクッション装置。
- 前記過負荷防止用シリンダには、近接センサーが設けられており、
該近接センサーが、前記油の流入によって、下降した前記過負荷防止用ピストンを検出し、
該検出による検出信号に基づいて、前記プレス機械の駆動が停止する請求項2記載のダイクッション装置。 - 前記過負荷防止用エアーシリンダの過負荷防止圧が、下記式で表される値に設定されている請求項2記載のダイクッション装置。
p2=(f1×a2)/(a1×a3)
[式中、p2は過負荷防止圧を示し、f1はクッション力を示し、a1は油圧室の断面積を示し、a2は油貯留室の断面積を示し、a3は過負荷防止用ピストンの断面積を示す。] - 前記過負荷防止装置内の過負荷防止圧を調整するための圧力調節装置を更に備える請求項1記載のダイクッション装置。
- 前記付勢装置が、付勢用エアーシリンダ及びラックピニオン機構であり、
前記付勢用エアーシリンダが前記支杆の中腹に設けられ、
前記ラックピニオン機構が前記支杆の下端に設けられている請求項1記載のダイクッション装置。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイクッション装置を備えるプレス機械。
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