図1は本発明によるトンネルに設置される消火栓装置の実施形態を示した正面図である。図1において、消火栓装置10は、消火栓側の第1筐体12−1と消火器側の第2筐体12−2に分割した構造であり、前面に化粧板14−1,14−2を装着しており、第1筐体12−1と第2筐体12−2に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定部15で固定した状態とし、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
化粧板14−1,14−2には扉開口部16,17が設けられている。第1筐体12−1の扉開口部16には、消火栓扉18と保守扉22が設けられており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。消火栓扉18は下側のヒンジ21を中心に前方に開閉することができ、通常時は一対のハンドル20によるロックで図示の閉鎖位置に閉じており、ハンドル20に手を入れて手前に引くとロックが外れ、開くことができる。
消火栓扉18の上には、ヒンジ23により上向に開閉する保守扉22が設けられており、点検時に消火栓扉18を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。また、第1筐体12−1の上部両側には装置を吊り下げるための吊り輪25が取り付けられている。
第2筐体12−2の扉開口部17の右側には通報装置扉24が設けられ、ここに赤色表示灯26、発信機28、及び応答ランプ30を設けている。なお、通報装置扉24の内側には図2に示すように電話ジャック31を設けている。
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押してスイッチボタンをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ30を点灯するようにしている。
扉開口部17の左側には消火器扉32が設けられ、消火器扉32に対応した筐体12の内部を消火器収納空間とし、例えば2本の消火器を収納している。消火器扉32にはハンドル34が設けられ、ハンドル34を手前に引くとラッチが外れ、消火器扉32は左側をヒンジとして前方に開くことができる。また、消火器扉34の下側には覗き窓35が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
図2は図1の実施形態について第1筐体12−1側の消火栓扉を外し、保守扉22は上向きに開いてステー27で支持した状態で内部構造を示した正面図である。なお、保守扉22は、消火栓装置の保守以外には通常閉じられており、消火作業時も閉められたままで消火栓扉18のみ開放される。図2において、第1筐体12−1の左側にはホース収納空間36が形成され、右側にバルブ類収納空間38を形成している。
ホース収納空間36には、フレームパイプを屈曲して水平方向で上下に配置したフレーム部分を持つバケットフレーム40が配置され、内部にホース収納空間を形成している。バケットフレーム40の中央から右側にオフセットした位置、即ち扉開口部16の左右方向における略中央となる位置に、U字形パイプフレームを固定することで縦方向に2本のホースガイド42が位置してホース取出口45を仕切り形成している。更に、ホース取出口45の下側には、前方に張出し形成された張出ホースガイド47を設けている。
ホース取出口45を仕切り形成するホースガイド42及び張出ホースガイド47は、ホース44を引き出す際に内巻きしているホース44が崩れたり、扉開口部16に擦れてホース44が損傷したり折れたりすることを防ぎ、更に開放している消火栓扉18の右端又は左端にホース44が引っかかって引き出せなくなることを防ぐ。
特に、張出ホースガイド47はホース44を左方向に引き出す際のホースの急激な折れ曲がりを緩和して滑らかな引き出しを可能とする。
バケットフレーム40及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間36にはホース44が内巻きして収納されている。ここで、右側のバルブ類収納空間38の下部にはホース接続口46が配置されており、ホース接続口46にホース44の1次側を接続した後、ホース44をホース収納空間36に巻き込むことになるが、この場合のホース44の巻き込みは、扉開口部16から見て右巻きとなるようにホース44を巻き込んでいる。
即ち、ホース接続口46に接続したホース44は、まず第1筐体12−1の下側内壁に沿うようにホース収納部36方向に向かい、ホース収納空間36の下側から巻き込まれ、その後に、右回りに収納空間内に巻き込まれ、最後にノズル48を装着したホース先端をバケットフレーム40中央から右側にオフセットして扉開口部16の中央付近に取り付けられたホースガイド42で形成されたホース取出口45から取り出し、右側のホースガイド42に固定しているノズルホルダー50にノズル48を着脱自在に装着している。
このようなホース収納空間36に対しホース接続口46を最下部に位置させて右巻きした内巻きにより収納することで、図12の従来例に示したように、ホース112を左巻きとしてホース巻き込み開始部分112aをホース収納空間の上部に送り込む場合のホース収納空間から外れるホース部分(巻き込み半周程度)がなくなり、その分、ホース44を短くでき、ホース収納空間36の容積が減ることで、結果的に筐体12を薄型化できる。
また、ホース巻き込み開始部分は右巻きによりホース収納空間36の下側に送りこまれるため、ホース44がホースバケット42に当って摺動するようなことはなく、図12の従来のホース左巻きによりホースバケットに当って摺動することに対する保護の必要がなく、構造を簡単にできる。
またホース収納空間36に右巻きとして収納した後にホース取出口45から取り出したホース先端のノズル48は放水部を下向きにしてノズルホルダー50に着脱自在に装着されており、放水部が下向きであることから、消火栓扉を開いてノズル48を放水部を下に向けたまま外すことができ、消火栓弁に設けている消火栓弁開閉レバー64を操作しない限り、放水されないが、火災時に操作する者にとっては不慣れであることから、放水口が自分に向かないことで、安心感をもってノズル48を外すことができ、安全面でのメリットが大きい。
また放水部を下向きにして配置されたノズル48の取り出しは、右手であっても、左手であっても、殆ど違和感なく、容易にグリップを掴んで外すことができる。
第1筐体12−1に設けたホース収納空間36の右側に配置したバルブ類収納空間38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口51からホース接続口46に至る配管系統に、給水弁52、消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁、及びメンテナンス装置60を設けている。このうち消火栓弁に設けた消火栓弁開閉レバー64に対応して銘板66が設けられており、銘板66の裏側に消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁が配置されている。
図3は、図1について内部構造を示した平面図である。図3において、第1筐体12−1と第2筐体12−2は連結固定部15においてボルトにより固定されている。連結固定部は図5にて後述する。第1筐体12−1のホース収納空間36には平面から見て横L字形にバケットフレーム40が配置され、筐体内壁との間に形成したホース収納空間36にホース44を右巻きにより内巻き状態で収納している。また、消火器収納空間39には2本の消火器37が収納されている。
上下2段に配置したバケットフレーム40に図2のように一対のホースガイド42を固定して仕切り形成したホース取出口45の下側には、張出ホースガイド47が設けられており、張出ホースガイド47はその内側にホース44の外径に略相当する幅の張出スペースを確保している。勿論、張出ホースガイド47の張出し量は、消火栓扉18を閉鎖したときに当らない位置となるように前方に張り出しており、ホース1本が少なくとも入る幅を有するとよりよい。
図4は図1の内部構造を示した側面図であり、バルブ類収納空間の構造を示している。図4において、第1筐体12−1の前面の閉鎖状態にある消火栓扉18は、ハンドル操作によりラッチを解除することで、ヒンジ21を中心に図示の前方位置に開くことができる。
本実施形態の場合、消火栓扉18には従来のように、ノズル、消火栓弁開閉レバー及びホースガイドが設けられていないことから軽量化されており、開放の際の衝撃を吸収するため、図2に示すように、扉開口部16の下部両側のコーナ部に小型の緩衝装置65を設けるだけで良い。
バルブ類収納空間38には、給水弁52、消火栓弁54、自動調圧弁56及びメンテナンス装置60が縦方向に連設配置されている。自動排水弁58は消火栓弁54の2次側に装着されている。
消火栓弁54には直接に消火栓弁開閉レバー64が装着されている。即ち消火栓弁開閉レバー64が図示の上向き位置の閉位置のとき、消火栓弁54は閉状態であり、このとき配管内に消火用水が存在せず、圧がないことから自動排水弁58は開状態にある。
消火栓弁開閉レバー64を下向きとなる開位置に操作すると、消火栓弁54が開放位置に作動され、配管内に圧が上昇して自動排水弁58は閉鎖位置に作動される。これによって、給水接続口51から加圧された消火用水を自動調圧弁56を通して所定圧に調圧した後、ホース44側に供給するようにしている。
同時に消火栓弁開閉レバー64の背後に設置しているスイッチがオンし、これによってポンプ設備に信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー64を元の上向き位置に戻すと消火栓弁54が閉じ、同時にスイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
このように本実施形態にあっては、従来、消火栓扉に設けてワイヤー連結により消火栓弁を開閉していた消火栓弁開閉レバー64を筐体12側に配置して消火栓弁54に直接設けたことで、消火栓扉18の構造が簡略化され、薄型化と軽量化を達成することができる。
図5は図1の分割筐体構造を取り出して示した説明図である。図5において、本実施形態の筐体は第1筐体12−1と第2筐体12−2に分割されており、第1筐体12−1の内部にはホース収納空間36とバルブ類収納空間38が形成され、箱型に形成したフレームの左、右、上部及び背面に金属隔壁を固定した箱型形状としている。
第1筐体12−1のホース収納空間36には、フレームパイプにより構成されたホースバケット構造が設けられる。このホースバケット構造は、上側水平方向に配置されるバケットフレーム40、下側水平方向に配置される分離バケットフレーム40a,40b、バケットフレーム40と分離バケットフレーム40a,40bを縦方向に連結するU字形パイプフレーム92、及びU字形パイプフレーム92の間に連結された張出ホースガイド47で構成される。
ここで、U字形パイプフレーム92の上側が一対のホースガイド42を形成し、ホースガイド42、パレットフレーム40及び張出ホースガイド47によってホース取出口45を仕切り形成している。
バケットフレーム40及び分離バケットフレーム40aの左側は隔壁86に固定され、バケットフレーム40及び分離バケットフレーム40bの右側のL字に奥行き方向に屈曲した端部は、筐体内背面に設けた支持フレーム94に固定されている。
上下2段に配置したバケットフレーム40と分離バケットフレーム40aの奥行き部分にはゴム被覆90が設けられ、内巻きした最外周のホースがゴム被覆90に接触することで、ホースの滑りにより内巻きが崩れることを防いでいる。また、第1筐体12−1の左右の側壁上部には通線口74,76が開口している。
第2筐体12−2の内部には消火器収納空間39が形成され、箱型に形成したフレームの左右、上部及び背面に金属隔壁を固定している。第1筐体12−1の左側の通線口76に相対する側壁部分には通線口78が形成されている。また、第2筐体12−2の上部背面側には、強電用の端子箱84と弱電用の端子箱85が設置されている。
第1筐体12−1の左側隔壁86の4箇所にはネジ穴80が形成されている。ネジ穴80に対応した第2筐体12−2側の右側隔壁にはダルマ穴82が設けられている。第1筐体12−1に対する第2筐体の固定は、第1筐体のネジ穴80にボルトを捩じ込んでボルト頭部を左側に飛び出した状態とし、このボルト頭部に第2筐体のダルマ穴82の大径穴を嵌め入れ、ボルトネジ部をダルマ穴82の小径穴に移動する。この状態でボルトを締め付けて固定する。
更に、第1筐体12−1及び第2筐体12−2の前面のフレームには、それぞれ4箇所に化粧板14−1,14−2を取り付けるためのネジ穴86,88が設けられている。
図6は図5の第1筐体と第2筐体を連結固定した状態の正面図である。図6において、第1筐体12−1に形成した扉開口部16の左側のホース収納部36にはホースバケット40、分離ホースバケット40a,40b、U字形パイプフレーム92によるホースガイド42及び張出ホースガイド47によるホースバケット構造が設けられ、ホースバケット構造は扉開口部16における中心線72の左側の部分にその大半が配置されている。
このようなホースバケット構造に対し本実施形態にあっては、ホース取出口45が可能な限り扉開口部16の略中央に位置するように、即ちホース取出口45の中心線74が扉開口部16の中心線72に可能な限り近づくように、U字形パイプフレーム92を用いた一対のホースガイド42を右側にオフセットして取り付け固定している。
図示の実施例にあっては、ホースバケット構造の右側はバルブ収納部38を確保する必要があるため、ホース取出口44の中心線74を扉開口部16の中心線72に一致させることはできないが、その差が最小となるようにホースガイド42を右側に配置している。
このようにホース取出口45を扉開口部16の略中央に配置することにより、ホース取出口45から図3のように開放状態にある消火栓扉18の左端及び右端までの距離を略同じにとることができ、これによってホースを引き出した際に、消火栓扉18の左端又は右端にホースが移動して引っかかってしまうことを防止する。
また、ホース取出口45を上下に仕切っているバケットフレーム40における上側フレームの下縁45aの位置は、扉開口部16の上側に設けている図1に示した保守扉22の下端を示す想像線75に対し、その下側に下縁45aが位置するように、バケットフレーム40を第1筐体12−1に固定している。
これによってホース収納部36からホース取出口45を通してホースを引き出す際に、ホースの上側への移動を上側フレームの下縁45aにより規制し、ホースが想像線75に位置している保守扉22の下端に当って擦れることを防止し、ホースの損傷を確実に防止できる。
図7は本実施形態のホースバケット構造を取り出して示した説明図であり、図7(A)に平面、図7(B)に正面、図7(C)に側面を示している。
図7において、上側に配置するバケットフレーム40はパイプフレームをL字形に形成した部材であり、奥行き部分にゴム被覆90を設けている。下側に配置する分離バケットフレーム40a,40bは、上側のバケットフレーム40をホース取出口の下側に相当する部分を切除して残った部分であり、分離フレーム40bにゴム被覆90を設けている。
U字形パイプフレーム92は、バケットフレーム40と分離バケットフレーム40a,40bを溶接などにより固定することで上下に連結配置する。更に、ホース取出口45の下側となるU字形パイプフレーム92の間にはパイプフレームを湾曲形成した張出ホースガイド47が溶接などにより固定される。ホース取出口45を左右に仕切るU字形パイプフレーム92の部分はホースガイド42を構成している。
U字形パイプフレーム92におけるホース取出口45の下側のU字底部92aの部分は、ホースを内巻きに収納した際の筐体下方に位置するホースの前方移動を押さえる部分となる。
なお、本実施形態のホースバケット構造としては、U字底部92aの部分は必ずしも必要ではなく、例えば下側U字部分が連結されない2本の縦パイプを筐体底部まで延ばして固定するホースバケット構造であっても良い。しかし、U字形パイプフレーム92を用いることで、本実施形態のホースバケット構造の溶接などによる組立作業が、U字形パイプフレーム92をベースに行うことができ、作業性を高めることができる点でU字形パイプフレーム92を使用するメリットがある。また、バケットフレーム40a、40b及び張出ホースガイド47は一本の湾曲したパイプで形成しても良く、パイプの連結形態に限定はされない。下側のU字パイプ92aを設けずに、左右のホースガイド42と張出ホースガイド47を一本の湾曲したパイプで形成しても良い。
図8は本発明の消火栓装置におけるホース引出し状態を示した説明図である。図8において、ホースを引き出す際には、まず消火栓扉18を前方に開き、ノズルホルダー50からノズル48を取り外し、例えば図示のように、ホース44を左側に引き出す。
このときバケットフレーム40で仕切られたホース収納空間に内巻きされているホース44は、バケットフレーム40に対する一対のホースガイド42の取付けで扉開口部16の略中央に仕切り形成されたホース取出口45を通して引き出しており、内巻きしているホース44が崩れたり、扉開口部16に擦れてホース44が損傷したり折れたりすることを防ぎながら引き出している。
また、ホース44の左側への引き出しを一時停止した場合、状況によっては、停止したホース44のホース取出口45からの取出し部分が湾曲して右側に移動することがあるが、本実施形態にあっては、ホース取出口45を扉開口部16の略中央に形成したことで、消火栓扉18の右端までの距離が、バケットフレーム40の中央にホース取出口を形成した場合に比べ、充分な距離が確保され、一時停止したホースが消火栓扉18の右端に引っかかり、さらに引き出せなくなるような不具合を回避し、ホース44を容易に引き出すことができる。
また、ホース取出口45を上下に仕切っているバケットフレーム40における上側フレームの下縁45aの位置は、扉開口部16の上側に設けている保守扉22の下端より下側に位置しており、ホース取出口45を通してホース44を引き出す際に、ホース44の上側への移動を上側フレームの下縁45aにより規制し、ホース44が保守扉22の下端に当って擦れることを防止している。
更に、図示のように、ホース44を左側に引き出す場合、内巻きされたホース44はホース取出口45の左下コーナの部分を通って引き出されるが、このときコーナ内側ではホースが下側から開口に向かって湾曲した状態で引き出される。本実施形態にあっては、ホース取出口45の下側を張出ホースガイド47としているため、ホース44はホース取出口45の左下コーナではなく、張出ホースガイド47によって更に前方に張り出した位置を通って引き出され、これによってホース取出口45の内側でのホース湾曲の度合いを緩和し、ホース44の折れ曲がりによって引き出せなくなってしまうことを確実に防止している。
図9は本実施形態で設けた張出ホースガイド47による作用を、張出ホースガイドがない場合いと対比して示した説明図である。
図9(A)は本実施形態であり、下側に張出ホースガイド47を設けたホース取出口45からのホース44の引出しを示しており、図9(B)に張出ホースガイドを持たないホース取出口45からのホース引出しを示している。
張出ホースガイドを設けていない図9(B)のホース取出口45の場合、ホース44の左方向への引出しに対し、バケットフレーム40の中に内巻きして収納しているホース44は、ホース取出口45に対し下側から立ち上がった後にホース部分44bで前方に屈曲し、ホース取出口45の左下コーナを通り、その後、ホース部分44cで左方向に屈曲して引き出される。
即ち、ホース44はホース取出口45から左方向に引き出す際に、ホース部分44b,44cの2箇所で屈曲し、特に最初のホース部分44bでは図示の平面で見た横方向の屈曲に加え、下から立ち上がったホース44がホース取出口45の下側を乗り越えた再び下側に下がるという上下方向の屈曲も同時に生じており、ホース部分44bでの大きな屈曲に起因してホース44が引っかかって引き出せなくなる。
これに対し図9(A)の本実施形態にあっては、バケットフレーム40の中に内巻きしているホース44を左方向に引き出す場合、巻出し部分からホース取出口45の下側を形成している張出ホースガイド47の左側の湾曲部分をホース部分44aに示すようにホース44が下から入って乗り越えることで左方向に引き出され、これによって図8に示すように、ホース取出口45の内側でのホースの湾曲は大幅に改善され、ホース44はホース取出口45で引っかかることなく滑らかに左方向に引き出すことができる。
図10は本発明による消火栓装置の他の実施形態であり、図12の従来例と同様な構造をもつ消火栓装置に本発明を適用したことを特徴し、図11にその平面図を示している。
図10及び図11において、消火栓扉を外した状態で示す筐体200のホース収納部の前面にはU字形のフレームパイプ218が配置され、ホース取出口45を形成している。フレームパイプ218の両側にはホースバケット216が取り付けられ、内部にホース収納空間を形成し、先端にノズル48を装着したホース44を筐体内のホースバケット216内に内巻きして収納している。
本実施形態のホース取出口45は、扉開口部の中央ではなく、ホース収納部の略中央に配置している。ホース取出口45の下側には張出ホースガイド47が設けられ、内側にホース外径に相当するサイズの張出スペースを確保している。また、ホース取出口45に張出ホースガイド47を設けたことに伴い、図12に示したように、消火栓扉104の内側に設けていたホースガイド120を不要としている。
この実施形態にあっては、ホースバケット218の中に、図2の実施形態とは逆に、ホース44を左周りに内巻きしており、そのため、右方向にホース44を引き出す際に、張出ホースガイド47の右内側の湾曲部を通ってホース44を引き出すことで、ホース取出口44を通過する際のホース44の湾曲を緩和し、屈曲して引っかかることなく滑らかにホース44を引き出すことができる。なお、ホース取り出し口45の上が大きく開放されているが、図5の第1実施形態のバケットフレーム40のようにホース取り出し口の上側を規制するパイプを接続しても良い。また、ホースバケット218の下側のU字部分を設けなくてもよく、またU字部分を連結せずに筐体下方に伸びる2本の縦パイプで形成しても良い。
なお、上記の実施形態にあっては、工場段階で第1筐体12−1及び第2筐体12−2に必要な機器を組み込んだ後に連結固定して、最終的に化粧板14−1,14−2を取り付けて完成させるようにしているが、設置現場に搬送する際に、化粧板14−1,14−2を外すと共に第1筐体12−1と第2筐体12−2の連結を外し、第1筐体12−1、第2筐体12−2及び化粧板14を分離した状態で設置現場に運搬し、現場で組み立ててトンネル壁面の必要場所に設置することも可能である。
また、上記の実施形態にあっては、筐体を消火栓側と消火器側とに分割した場合を例にとっているが、一体型の筐体構造についても、同様に上記の実施形態のホース取出口を扉開口部の略中央に配置したホースバケット構造を適用することができる。
また、図5の実施形態のバケットフレーム40は平面から見てL字形状で、一端を第1筐体12−1の側面に取り付けているが、これに限らず、平面から見てコの字形状として第1筐体12−1の背面に両端部を取り付けても良い。
また、ノズル48は従来の通り消火栓扉18の背面に取り付けられても良い。消火栓扉18、保守扉22は化粧板に取り付けられても、筐体側に取り付けられて回動自在に配置されても良い。
また、バケットフレームはパイプ形状に限らず、板状のフレームであっても良い。更に、ホース収納空間36とバルブ収納空間38は逆に配置されても良い。張り出しホースガイド47は前方でかつ斜め下側に伸びる構成であっても良い。
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。