JP2010118216A - 蓄電素子用電極体、及びこれを含む非水系リチウム型蓄電素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本願発明に係る前記蓄電素子用電極体は、金属箔からなる集電体と、該集電体の片面又は両面に形成された電極層とからなり、該電極層はカーボンとポリフッ化ビニリデンとを含有し、ここで該カーボンは、20m2/g以上3000m2/g以下の比表面積を有し、該電極層に対する重量平均分子量Mw28万以上200万以下であるポリフッ化ビニリデンの割合は、28万≦Mw≦50万であるものに関して10重量%以上20重量%以下、50万<Mw≦150万であるものに関して3重量%以上20重量%以下、そして150万<Mw≦200万であるものに関して3重量%以上15重量%以下の範囲であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
これらの蓄電システムの有力候補として、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタの開発が精力的に進められている。
これら蓄電素子の性能を大きく左右するのが電極体である。電極体は、集電体と該集電体上に形成され活物質を含む電極層からなるが、特に、出力特性を向上させるための内部抵抗の低減や、耐久性を向上させるためには、電極層の組成は非常に重要である。電極層の強度を持たせるためにはバインダーの添加が必要になるが、高性能を発現させるためには、内部抵抗の低減等の観点から、添加するバインダーの種類と添加量を検討する必要がある。
具体的には、本願発明は、以下の[1]〜[5]である:
本願発明に係る蓄電素子用電極体は、金属箔からなる集電体と、該集電体の片面又は両面に形成された電極層とからなる蓄電素子用電極体であって、該電極層は、カーボンとポリフッ化ビニリデンとを含有し、ここで該カーボンは、BET法に従って測定されるとき20m2/g以上3000m2/g以下の比表面積を有し、該ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量Mwは、28万以上200万以下であり、該電極層に対する該ポリフッ化ビニリデンの割合は、28万≦Mw≦50万であるポリフッ化ビニリデンに関して10重量%以上20重量%以下、50万<Mw≦150万であるポリフッ化ビニリデンに関して3重量%以上20重量%以下、そして150万<Mw≦200万であるポリフッ化ビニリデンに関して3重量%以上15重量%以下の範囲であることを特徴とする。
また、本発明の電極層には、本願発明に係る電極体の性能を阻害せず又は向上させることができるものであれば、比表面積が20m2/g以上3000m2/g以下であるカーボン、PVdF、必要に応じて添加した導電性フィラー以外の物質が含有されていても構わない。
<負極電極体の作製>
市販の活性炭(BET法による比表面積が1955m2/g)150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ300gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱反応を行った。熱処理は窒素雰囲気下で、670℃まで4時間で昇温し、同温度で4時間保持し、次いで自然冷却により60℃まで冷却した後、炉から取り出した。得られた複合多孔性材料のBET比表面積は255m2/gであった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
次に、市販の活性炭(BET法による比表面積が2094m2/g)82.4g、ケッチェンブラック6.3g、PVdF(Mw=28万)8.3g、ポリビニルピロリドン(PVP)3.0gを、NMPを混合としてスラリーにした。次いで、得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥し、プレスして、電極層の厚さが55μmの正極電極体を得た。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 87.3g、アセチレンブラック8.7g、及びPVdF(Mw=100万)4.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、4重量%であった。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.405mAh、250mA定電流での放電容量は0.247mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.610であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 77.3g、アセチレンブラック7.7g、及びPVdF(Mw=100万)15.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、15重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.404mAh、250mA定電流での放電容量は0.242mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.600であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 72.8g、アセチレンブラック7.2g、及びPVdF(Mw=100万)20.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、20重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.401mAh、250mA定電流での放電容量は0.231mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.576であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 77.3g、アセチレンブラック7.7g、及びPVdF(Mw=28万)15.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、15重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.403mAh、250mA定電流での放電容量は0.233mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.578であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 81.9g、アセチレンブラック8.1g、及びPVdF(Mw=200万)10.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、10重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.400mAh、250mA定電流での放電容量は0.225mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.563であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 83.4g、アセチレンブラック8.3g、及びPVdF(Mw=100万)8.3gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、8.3重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
実施例1において、正極電極層を形成するためのスラリーの組成を、活性炭80.8g、ケッチェンブラック6.2g、PVdF(Mw=100万)10.0g、ポリビニルピロリドン(PVP)3.0gを、NMPと混合としてスラリーにした以外は同様にして、正極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、10.0重量%であった。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.415mAh、250mA定電流での放電容量は0.282mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.680であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 89.1g、アセチレンブラック8.9g、及びPVdF(Mw=100万)2.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、2重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から剥離してしまい、十分な強度を発電できず、蓄電素子の作製及び評価ができなかった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 68.2g、アセチレンブラック6.8g、及びPVdF(Mw=100万)25.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、25重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.380mAh、250mA定電流での放電容量は0.182mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.479であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 83.4g、アセチレンブラック8.3g、及びPVdF(Mw=28万)8.3gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、8.3重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から剥離してしまい、十分な強度を発電できず、蓄電素子の作製及び評価ができなかった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 68.2g、アセチレンブラック6.8g、及びPVdF(Mw=28万)25.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、25重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.405mAh、250mA定電流での放電容量は0.211mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.521であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 86.4g、アセチレンブラック8.6g、及びPVdF(Mw=220万)5.0gに変更し、以下同様により負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、5重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から全く剥離せず、十分な強度を発現した。
以降、実施例1と同様に、蓄電素子の評価を行った結果、1mA定電流での放電容量は0.370mAh、250mA定電流での放電容量は0.174mAhであった。すなわち、1mAでの放電容量に対する250mAでの放電容量の比は0.470であった。
<負極電極体の作製>
実施例1において、負極電極層を形成するためのスラリーの組成を、複合多孔性材料 81.9g、アセチレンブラック8.1g、及びPVdF(Mw=15万)10.0gに変更した以外は同様にして、負極電極体を得た。この電極層に含有されるPVdFの割合は、10重量%であった。
この電極体に、複合多孔性材料単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属を用いて電気化学的にドーピングした。その際、電極層は集電体から剥離してしまい、十分な強度を発電できず、蓄電素子の作製及び評価ができなかった。
以上の結果を以下の表1に纏めた。
Claims (5)
- 金属箔からなる集電体と、該集電体の片面又は両面に形成された電極層とからなる蓄電素子用電極体であって、該電極層は、カーボンとポリフッ化ビニリデンとを含有し、ここで該カーボンは、BET法に従って測定されるとき20m2/g以上3000m2/g以下の比表面積を有し、該ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量Mwは、28万以上200万以下であり、該電極層に対する該ポリフッ化ビニリデンの割合は、28万≦Mw≦50万であるポリフッ化ビニリデンに関して10重量%以上20重量%以下、50万<Mw≦150万であるポリフッ化ビニリデンに関して3重量%以上20重量%以下、そして150万<Mw≦200万であるポリフッ化ビニリデンに関して3重量%以上15重量%以下の範囲であることを特徴とする前記蓄電素子用電極体。
- 前記カーボンは、BET法により測定されるとき、20m2/g以上1000m2/g以下の比表面積を有し、そして難黒鉛性カーボン、易黒鉛性カーボン、及び活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔性材料からなる群から選択される、請求項1記載の蓄電素子用電極体。
- 前記カーボンは、BET法により測定されるとき、1500m2/g以上2500m2/g以下の比表面積を有する活性炭である、請求項1記載の蓄電素子用電極体。
- 負極集電体に負極活物質層を設けた負極電極体、正極集電体に正極活物質層を設けた正極電極体、及びセパレータを積層してなる電極積層体、並びに非水系電解液を外装体に収納してなり、負極活物質にリチウムイオンを吸蔵放出する材料、正極活物質に多孔質炭素材料、非水系電解液にリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系リチウム型蓄電素子であって、該負極電極体として、請求項1又は2のいずれか1項に記載の蓄電素子用電極体を用いることを特徴とする前記非水系リチウム型蓄電素子。
- 負極集電体に負極活物質層を設けた負極電極体、正極集電体に正極活物質層を設けた正極電極体、及びセパレータを積層してなる電極積層体、並びに非水系電解液を外装体に収納してなり、負極活物質にリチウムイオンを吸蔵放出する材料、正極活物質に多孔質炭素材料、非水系電解液にリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系リチウム型蓄電素子であって、該正極電極体として、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電素子用電極体を用いることを特徴とする前記非水系リチウム型蓄電素子。
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