JP2010118114A - 光情報記録媒体 - Google Patents
光情報記録媒体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010118114A JP2010118114A JP2008290535A JP2008290535A JP2010118114A JP 2010118114 A JP2010118114 A JP 2010118114A JP 2008290535 A JP2008290535 A JP 2008290535A JP 2008290535 A JP2008290535 A JP 2008290535A JP 2010118114 A JP2010118114 A JP 2010118114A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thickness
- recording medium
- layer
- information
- optical information
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
Abstract
【課題】本発明は、多層光情報記録媒体における保護層から各情報層までの厚みの変動による課題を解決するためになされたもので、光情報記録媒体の作製上のプロセスマージンを考慮しながら、ドライブの記録再生特性も両立する厚み構成を提供することを目的とする。
【解決手段】多層光情報記録媒体における保護層表面から各情報層までの厚み変動幅を、半径方向に複数の範囲に分割され、各々の範囲毎に設定された厚みを有する厚み基準線に対して、所定の厚み誤差以下とすることで、厚み変動の影響を実質的に抑制し、良好な記録再生特性を実現する。
【選択図】図1
【解決手段】多層光情報記録媒体における保護層表面から各情報層までの厚み変動幅を、半径方向に複数の範囲に分割され、各々の範囲毎に設定された厚みを有する厚み基準線に対して、所定の厚み誤差以下とすることで、厚み変動の影響を実質的に抑制し、良好な記録再生特性を実現する。
【選択図】図1
Description
本発明は、基板上に形成された薄膜に、レーザビーム等の高エネルギー光ビームを照射することにより、音声・映像などの情報をデジタル信号として記録再生する光情報記録媒体に関し、特に情報層を多層化することにより大容量の情報記録再生が可能な光情報記録媒体に関する。
近年、光学的な情報記録方式の研究が進められ、産業用や民生用途に広く使用されるようになった。特にCDやDVDなどの高密度に情報を記録することができる光情報記録媒体が普及している。このような光情報記録媒体は、情報信号を表すピットや、記録再生光をトラッキングするための案内溝などの凹凸形状信号が形成された透明基板上に、金属薄膜や、あるいは熱記録が可能な薄膜材料などを積層し、さらにこの金属薄膜や、薄膜材料などを大気中の水分などより保護する樹脂層や透明基板などの保護層を積層することにより構成されている。情報の再生はレーザ光を前記金属薄膜や薄膜材料に照射し、反射光の光量変化を検出することなどによりなされる。
このような光情報記録媒体を製造する方法は一般的に次のようにしてなされる。
例えばCDの場合、まず片面に凹凸形状信号パターンを有するスタンパと呼ばれる金型を用い、射出成形などにより片面に情報信号を示す凹凸形状を有する樹脂基板を形成する。その凹凸形状信号上に金属薄膜あるいは薄膜材料などを、蒸着やスパッタリング法などにより形成し、その後紫外線硬化樹脂などをコーティングし保護層を形成することにより作製される。
またDVDの場合、スタンパより厚み約0.6mmの樹脂基板を射出成形などにより形成し、樹脂基板上の凹凸形状に金属薄膜あるいは薄膜材料などを形成したのち、別に準備された厚み約0.6mmの樹脂基板を紫外線硬化樹脂などにより貼り合わせることによって作製される。
さて、このような光情報記録媒体において大容量化に対する要望が高まってきており、それに応じて光情報記録媒体の高密度化が図られてきた。先に述べたDVDなどにおいても大容量化を目的として、凹凸形状信号と金属薄膜や薄膜材料などから形成される信号層が数十μmの中間層を挟んで2つ構成されている2層構造の光情報記録媒体などが提案されている。
また、近年デジタルハイビジョン放送の普及に伴い、DVDよりもさらに高密度でかつ大容量の次世代光情報記録媒体が求められ、Blu−rayディスクなどの大容量媒体が提案されている。Blu−rayディスクでは、DVDに比べ、凹凸形状で形成される情報層のトラックピッチも狭く、またピットの大きさも小さくなっている。このため情報の記録再生を行うレーザのスポットを情報層上で小さく絞る必要がある。Blu−rayディスクでは、レーザ光の波長を405nmという短波長の青紫レーザを使用し、かつレーザ光を絞り込む対物レンズとして開口数(NA)が0.85のものを使用した光学ヘッドを用いレーザ光のスポットを情報層上で小さく絞り込んでいる。しかし、スポットが小さくなるとディスクの傾きによる影響を大きく受けやすくなり、ディスクが少しでも傾くとビームスポットに収差が発生することにより、絞りこんだビームに歪みが生じ、記録再生できなくなるといった課題が生じる。そのためBlu−rayディスクではディスクのレーザ入射側の保護層の厚さを0.1mm程度と薄くすることによってその欠点を補っている。
また、このようにNAの高い対物レンズを有する光学ヘッドを用いた記録再生システムでは、ディスク最表面から情報層までの厚み差によって発生する球面収差などの収差が情報層上に絞り込まれるレーザ光の品質に大きく影響を及ぼす。そのため、厚み差によって発生する収差を補正する手段が設けられている。例えば、組み合わせレンズを用いた球面収差補正手段を光学ヘッドに設ける構成や、あるいは液晶を用いた球面収差補正手段を光学ヘッドに設ける構成などが提案されている。
ところで、このBlu−rayディスクのような大容量の次世代光情報記録媒体においてもさらなる大容量化を求められており、DVDの時と同様、情報層の多層化による大容量化もその方式の一つとして提案されている。Blu−rayディスクで情報層の多層化を図る場合、ディスクの傾きによる影響を少なくするため、レーザ入射側からみて最も奥の情報層は、単層構造媒体と同様、ディスク表面からの距離を0.1mm程度と薄くする必要がある。そのため、各情報層は0.1mm程度の厚みの中で数μmから数十μmの中間層と呼ばれる透明層を挟んで積層されることになる。
そのためBlu−rayディスクを多層構造にする場合、その製造方法は一般的には次のようにしてなされる。一例として情報層が2つある2層光情報記録媒体の製造方法について説明する。片面に凹凸形状からなるピットや案内溝を有する厚み約1.1mmの成形樹脂基板上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などを形成し、第1の情報層を形成する工程と、情報層を隔てる数μmから数十μmの厚みを有する中間層を前記基板の情報層上に形成する工程と、その中間層の上に片面にピットや案内溝などの凹凸形状を有するスタンパを押圧することによるピットや案内溝を中間層上に転写する工程と、中間層の上に転写されたピットや案内溝に記録再生するレーザ光の波長に対して、半透明な金属薄膜あるいは熱記録が可能な薄膜材料を形成し、第2の情報層を形成する工程と、第2の情報層を保護する保護層を第2の情報層上に形成する工程とからなる。2層以上に多層化を図る場合は、中間層の形成工程から、第2の情報層の形成工程までの工程を数回繰り返し、複数の情報層を順に積層していくことで可能となる。
このようにして構成されたBlu−rayディスクの多層構造媒体では、先に述べたようにディスクの傾きによる影響を少なくするため、全ての情報層は0.1mm程度の厚みの中に設ける必要がある。そのため、図2に示すように、記録再生光入射側の最表面から最も離れた第1の情報層202までの距離が0.1mm程度に制限され、その他の情報層は、記録再生光入射側に向かって積層される。
このような多層構造媒体としては、2層構造媒体が良く知られているが、今後は3層以上の構造が提案されてきている。
このように情報層が複数ある光情報記録媒体では、記録再生する情報層に記録再生光を合焦した際、その他の情報層などで反射した情報の記録再生に寄与しない一部の光(ここではこの光を迷光と呼ぶ)が、いずれかの情報層を介して多重反射し、記録再生する情報層からの反射光(ここではこの反射光を情報光と呼ぶ)と同一光路で光ヘッドに返ってきた場合、読み出すべき情報光と迷光との干渉により、大きな光量変動が生じる。特に3つ以上の情報層から構成されている多層構造媒体では、このような干渉による問題が顕著に現れる。このような読み出すべき情報光と、多重反射し情報光と同一光路で光ヘッドに返ってくる迷光との干渉による光量変動を、ここでは裏焦点課題と呼ぶことにする。この裏焦点課題を除くために、様々な検討がなされている。
例えば特許文献1には、読み出すべき情報層に合焦した際に、その他の情報層に結像しないように各中間層の厚みを設計した構成を提案している。特にいずれか一つの情報層に対して、奥側のいずれかの情報層までの厚みと、保護層側のいずれかの情報層までの厚みが全て異なる構成を開示している。この構成を実現するために、各中間層の厚みを記録再生光入射側から奥にいくにしたがって、厚くしていく(あるいは薄くしていく)構成を提案しており、読み出すべき情報層に合焦した際に、その他の情報層に結像しないようにしている。
また例えば特許文献2には、3つ以上の情報層を有する多層構造媒体において、各情報層間におけるクロストーク(層間クロストーク)の影響を除くために、各中間層の厚みをそれぞれ異ならせた構成を開示している。特に情報層が4つある4層構造媒体においては、記録再生光入射側からみて一番奥の第1の中間層から、記録再生光入射側に向かって、第2の中間層、第3の中間層と3つの中間層が積層された構造の場合、第2の情報層が最も厚い構成を採用し、迷光が他の情報層上に焦点を結ぶことを防止する構成を開示している。
特開2001−155380号公報
特開2004−213720号公報
特許文献1や特許文献2に開示されている3層以上の光情報記録媒体においては、層間クロストークの影響や、裏焦点課題を解消するために、中間層や保護層の厚み構成について詳述がなされているが、2層光情報記録媒体を含めた多層構造の光情報記録媒体においては、各樹脂層の厚みの変動幅の規定だけではなく、保護層表面から各情報層までの厚みに対する変動幅の規定がさらに重要となってくる。
光情報記録媒体をドライブを用いて記録再生する場合、ドライブはあらかじめ規定されている各情報層の厚みを目指して、球面収差補正などを施した後、各情報層への合焦動作を行う。そして、いずれか一つの情報層に合焦した後、最初に光情報記録媒体の内周部に設けられているインフォメーションエリアの情報を読み取りに行く。このインフォメーションエリアには、この光情報記録媒体を記録再生するにあたって必要な記録条件や、媒体構造の管理情報などが記録されており、この領域にあらかじめ記録されている情報に応じて、光情報記録媒体の記録再生を行う。ただし、インフォメーションエリアに記述されている記録条件はこの光情報記録媒体を記録再生するために必要な標準的な記録条件などが記述されているが、媒体毎の記録膜のばらつきや、媒体構造のばらつき、記録再生するドライブが置かれている環境の差などによって、最適な記録再生条件が変動するため、ドライブは光情報記録媒体がドライブに挿入された後、最適な記録再生条件を特定するために学習動作を行う。学習動作では実際に学習領域に記録再生を行いながら、最適な記録条件を見つけ出す。また学習時における保護層表面から情報層までの厚みが、その情報層を記録再生する際の標準厚みとなるため、半径23mmから24mmに設けられているインフォメーションエリアにおける、保護層表面から合焦している情報層までの厚みを、その媒体の標準厚みとしてドライブは認識する。
ドライブでの記録再生動作は、全てこのインフォメーションエリアでの学習後の条件を基本として行われるため、半径を移動した際に、このインフォメーションエリアでの条件から大きくずれが生じると、記録再生品質に影響を及ぼす。光情報記録媒体の厚みに関しても同様で、半径23mmから半径24mmの厚み平均値が、その媒体全面における厚みの基準となるため、半径23mmから半径24mmでの厚みに対して、異なる半径位置での厚みはある規定の変動幅に収まらないと半径を移動した際に球面収差などが発生してビームの絞り性能が悪化し、安定した記録再生動作に支障をきたすことになる。
例えば2層構造のBlu−rayディスクにおいては、半径23mmから24mmにおける厚み平均値に対して、媒体面内のいずれの半径においても±2μm以内という規定を設けており、この範囲から逸脱する厚み変動が生じると、記録再生特性に支障をきたすことになる。
この光記録媒体が3層、4層と、積層される情報層の数が増えた場合、1層毎の厚みばらつきが蓄積されていくため、保護層から各情報層までの厚みの変動は、2層構造に比べて大きくなってしまうという課題がある。特に、保護層から最も離れた位置にある情報層までの厚みが最も変動が大きくなりやすく、3層以上の光情報記録媒体の大きな課題となっている。
また、光情報記録媒体を記録再生するドライブとしても、半径23mmから24mmの領域における厚み平均値に対して、媒体面内の厚み変動が大きくなると球面収差が発生し記録再生特性に大きな影響を及ぼすため、許容される厚み変動は少なければ少ないほど好ましい。それは、記録再生特性を悪化させる要因として、この厚みの変動だけではなく、ドライブ毎のレーザの個体ばらつきや、記録学習時の精度ばらつき、ピックアップの駆動系の誤差成分など様々なものがあり、厚みばらつきに割り当てられるマージンを2層媒体と比べて大きく拡大することは非常に困難である。
本発明は、上記に示す多層光情報記録媒体における保護層から各情報層までの厚みの変動による課題を解決するためになされたもので、光情報記録媒体の作製上のプロセスマージンを考慮しながら、ドライブの記録再生特性も両立する厚み構成を提供することを目的とする。
本発明では、多層光情報記録媒体において、作製可能なマージンを有する状態で、ドライブでの良好な記録再生特性を実現する厚み構成を提案する。
具体的には以下の通りである。
基板上に設けられた複数の情報層と、各々の前記情報層間に設けられた複数の中間層と、保護層が積層されてなり、光学ヘッドを用いて前記保護層側より記録および/または再生する円盤状の光情報記録媒体であって、前記保護層表面から各々の前記情報層までの厚みの変動幅は、半径方向に複数の範囲に分割され、各々の範囲毎に設定された厚みを有する厚み基準線に対して、所定の厚み誤差以下であることを特徴とする。
また、前記範囲は2個以上、16個以下に分割されていてもよい。
前記範囲のひとつは、半径23mmから半径24mmを含む領域であってもよい。
前記基板上に設けられた複数の前記情報層と、各々の前記情報層間に設けられた複数の前記中間層と、前記保護層が積層されてなり、前記光学ヘッドを用いて前記保護層側より記録および/または再生する円盤状の光情報記録媒体であって、前記保護層表面から各々の前記情報層までの厚みの変動幅は、半径方向に複数設けられた厚み基準点を順次結ぶ厚み基準線に対して、所定の厚み誤差以下であることを特徴とする。
前記厚み基準点は半径方向に3つ以上、16個以下であってもよい。
前記厚み基準点のひとつは、半径23mmから半径24mmの厚み平均値であってもよい。
前記情報層の層数は3つ以上であってもよい。
前記厚み誤差が±2.5μmであってもよい。
前記厚み誤差が±2μmであってもよい。
前記厚み基準線の情報は、前記光情報記録媒体のインフォメーションエリア内にあらかじめ記録されていることを特徴とする。
また、前記厚み基準線の情報は、前記光情報記録媒体のBCA領域内にあらかじめ記録されていることを特徴とする。
また、少なくとも波長400nm以上、410nm以下のレーザ光源と、NA0.85の対物レンズと、球面収差補正手段とを備える前記光学ヘッドを用いて記録および/または再生が行われることを特徴とする。
本発明によれば、特に情報層が3つ以上からなる多層光情報記録媒体において、中間層や保護層を作製するために十分なプロセスマージンを有する状態で、ドライブでの記録再生品質を落とすことなく、良好な記録再生特性を実現することを可能とする。
以下に、本発明の各実施の形態を、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1における3層構造光情報記録媒体の構造の一例を示す。検討を行った光情報記録媒体は、外径が約120mm、厚みが約1.2mmである円盤状の光情報記録媒体であり、図1はその断面の一部を示す図となっている。
図1に本発明の実施の形態1における3層構造光情報記録媒体の構造の一例を示す。検討を行った光情報記録媒体は、外径が約120mm、厚みが約1.2mmである円盤状の光情報記録媒体であり、図1はその断面の一部を示す図となっている。
また、ここでは追記型相変化材料からなる情報層を有する追記型3層構造光情報記録媒体においての検討結果を用いて説明を行う。追記型相変化材料とは、記録再生光の照射による熱によって、光学特性が異なる2つ以上の状態間を取りうる材料のことであり、またその反応が不可逆的に変化しうる材料であることが好ましい。例えば、O及びM(ただし、MはTe、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Biから選ばれる1つまたは複数の元素)を含有する材料などが好ましい。また、それら材料だけでなく誘電体材料なども積層した構造なども好ましい。ただし、情報層に含まれる材料に関しては、この材料だけに限定されるものではない。また、追記型相変化材料にこだわらず、再生専用媒体に用いられるAgやAl合金などの金属反射膜などを使用しても本発明の効果には変わりはない。また繰り返し記録を行える相変化材料を使用しても本発明の効果には変わりはない。
樹脂基板101は厚み約1.1mmのポリカーボネート製樹脂からなる樹脂基板であり、片面には凹凸形状よりなる案内溝が形成されている。樹脂基板101上に、相変化記録材料を含む第1の情報層102、紫外線硬化性樹脂からなる第1の中間層105(厚みt1)、第2の情報層103、第2の中間層106(厚みt2)、第3の情報層104、保護層107(厚みtc)が順に積層された構造からなる。保護層107の外側面を保護層表面107aとする。第2の情報層103から第3の情報層104は、記録再生光を反射させると共に、記録再生光入射側からみて奥側の情報層に記録再生光を透過させなければならないため、記録再生光に対して半透明な薄膜材料によって構成されている。また、各情報層から光学ヘッドに反射する光量はほぼ同じ程度となるように、各情報層の透過率、反射率が設計されている。そのため、第1の情報層102から第3の情報層104に向かって、順に透過率が高くなるような材料設計がなされている。
また第1の中間層105から第2の中間層106は紫外線硬化性樹脂を塗布し、片面に凹凸形状からなる案内溝を有するスタンパを押圧した後硬化させ、スタンパを剥離することでその凹凸形状を表面に転写させることによって形成されている。また保護層107も同様に紫外線硬化性樹脂を塗布することによって形成した。中間層および保護層に用いる樹脂材料としては記録再生光の波長に対して略透明であることが好ましい。ここで言う略透明とは、記録再生光の波長に対して90%以上の透過率を有する樹脂などが好ましい。例えば、波長405nmに対して90%以上の透過率を有する樹脂などが好ましい。
また、この光情報記録媒体を記録再生する光学ヘッドは、波長405nmの半導体レーザを光源とし、NAが0.85の対物レンズ108と、組み合わせレンズにより構成されている収差補正手段110から構成されている。
図11は、本発明の実施の形態1における光情報記録媒体1101と光ヘッド1102の構成の一例を示している。
光源1103は、波長が405nmの直線偏光の発散ビーム1104を出射する。光源1103から出射されたビーム1104は、焦点距離f1が18mmのコリメートレンズ1105で平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ1106を透過し、4分の1波長板1107を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ1108で収束ビームに変換され、光情報記録媒体1101に集光される。対物レンズ1108の開口はアパーチャ1109によって制限され、開口数NAを0.85としている。また、情報層で球面収差がほぼ0mλとなるようにステッピングモータ等で構成される収差補正手段を用いてコリメートレンズ1105を光軸方向に調整されている。情報層で反射されたビームは、対物レンズ1108、4分の1波長板1107を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ1106で反射される。偏光ビームスプリッタ1106で反射したビームは、ビーム分割素子である回折格子で0次光のビームと1次光に分割され、焦点距離f3が30mmの検出レンズ1110とシリンドリカルレンズ1111とを経て、光検出器1112に入射する。光検出器1112に入射するビームは、シリンドリカルレンズ1111を透過する際、非点収差が付与される。
収差補正手段は、光情報記録媒体の保護層表面から、情報を記録再生する情報層までの厚み差によって発生する球面収差などの収差成分を補正するために、各情報層で発生する収差成分を打ち消すような収差を与える役割を持っている。この光学ヘッドは本来、単層構造媒体の情報層に対して収差が小さくなるような光学設計がなされており、2層構造媒体の記録再生までを考慮し、設計上の最小収差位置は、保護層表面から約80μmから90μm程度に設定されている。そのため、最小収差位置より厚みの異なる各情報層に記録再生光を絞り込むときは、収差補正手段によって各情報層にあった収差補正値を設定して補正する必要がある。
なお、光源の半導体レーザの波長405nmは、設計上により、また温度・駆動電流の変化によって波長が若干変化するため、400nmから410nmの幅で波長の許容値が設定されている。波長が400nmから410nmの範囲においては、本発明の効果に何ら変化をもたらすものではなく、同一の効果が得られる。
ここで、保護層から各情報層までの厚みの変動について最適な値を検討した。保護層から最も離れた位置に存在する第1の情報層までの厚みの変動が最も大きくなるため、ここでは特に保護層から第1の情報層までの厚みの変動について検討を行った。
なお、ここで言う厚みの値は、共焦点光学系を有する厚み測定器で測定した値を用いている。この測定器は、波長405nmの光源と対物レンズとアクチュエータをもつ光ヘッドでビームを光情報記録媒体に向かって絞込み、光情報記録媒体から反射してくる光を、前段にピンホールを設けた光検出器で受光する構成となっている。光情報記録媒体における界面でビームが焦点を結んだとき、光検出器表面にも焦点を結ぶ光学設計がなされており、光情報記録媒体の界面に焦点を結んだときのみ、光検出器前段に設けられたピンホールを光が透過し、光情報記録媒体の界面以外で焦点を結んだ場合は、ピンホールで光の大部分が遮られることになる。これにより光検出器で検出される光強度を測定すれば、光情報記録媒体の界面にビームの焦点が結ばれているかどうかの判断ができる。この光ヘッドをアクチュエータで光情報記録媒体に向かって入射される光軸方向に移動させながら、各情報層で焦点を結ばせ、それぞれ焦点が合った位置をアクチュエータの移動距離から換算し、それぞれの厚みの結果とする。なお、この測定器は中間層、あるいは保護層の波長405nmに対する屈折率nを1.6とした場合に正確な厚みが測定されるように校正されており、中間層や保護層を形成する材料の屈折率nの値によっては、光学的な厚みが変化する。本発明の実施の形態1で説明する各厚みの値は屈折率nを1.6に換算した場合の厚みのことを意味する。
屈折率nを1.6に換算した場合の厚みとは、上記厚み測定器を用い、各樹脂層の屈折率nを1.6と設定した場合の測定データを意味する。この厚み測定器で樹脂層の厚みを測定した場合、波長405nmでの樹脂の屈折率n、実厚みd(μm)とすると、屈折率の設定を1.6とした場合の測定データは、1.6×d/nが出力されることになる。この明細書中の厚みの値とは全てこの厚み測定器(この厚み測定条件下)での値を意味している。そのため、明細書中の厚みの議論は、実厚みdについてのものではない。
次に3層光情報記録媒体の製造方法について説明を行う。
多層のBlu−rayディスクの製造方法は一般的には次のようにしてなされる。一例として2層Blu−rayディスクの製造方法について説明する。
図3は情報記録媒体の成形樹脂基板を作製するための金属金型であるスタンパの作製工程を示している。まずガラス盤あるいはシリコンウェハなどからなる原盤301上にフォトレジスト等の感光材料を塗布して感光膜302を作製し、レーザ光や電子線などの露光ビーム303を用いて、ピットあるいは案内溝等のパターンの露光を行う(図3a)。それによって、露光部304からなる潜像を形成する(図3b)。その後アルカリ現像液などにより露光部304を除去すると原盤301上に感光材により凹凸状のパターン305が形成された記録原盤306を得る(図3c)。この記録原盤306の表面にスパッタリング法や蒸着法などを用いて導電性の薄膜307を形成する(図3d)。この導電性薄膜307を電極として金属メッキなどにより金属板308を形成する(図3e)。次に感光膜302と導電性薄膜307の界面で、導電膜307と金属板308を剥離し、導電膜307表面に残留する感光材を除去材などで取り除き、成形機に合わせた内外径に打ち抜き成形を行うことによって、樹脂基板の成形用の金属金型である金属スタンパ309が作製される(図3f)。
次に、金属スタンパ309を用いて射出成形法などによる樹脂成形方法により、樹脂基板が成形される。基板材料としては成形性に優れたポリカーボネートなどの材料が用いられることが多い。その後、スピンコート法などを用いた樹脂層の形成工程などを用いて、樹脂層の積層を行う。
図4は、スピンコート法を用いた樹脂中間層、および保護層の作製工程からなる2層ディスクの作製工程を示す図である。
片面に凹凸形状からなるピットや案内溝により形成された第1の情報面を有する厚み約1.1mmの成形樹脂基板401が金属スタンパを用いた射出成形法などの樹脂成形法により形成され、この第1の情報面上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などをスパッタリング法や蒸着法などにより形成し、第1の情報層402を形成する。この第1の情報層が形成された成形樹脂基板401を回転ステージ403上に真空吸着などの方法により固定する(図4a)。回転ステージ403に固定された成形樹脂基板401上の第1の情報記録層402には、ディスペンサーによって放射線硬化性樹脂A404が所望の半径上に同心円状に塗布され(図4b)、回転ステージ403をスピン回転させることにより放射線硬化性樹脂A404の延伸を行い、樹脂層406を形成する(図4c)。このとき樹脂層406の厚みは、放射線硬化性樹脂A404の粘度やスピン回転の回転数、および回転時間、スピン回転をさせている周囲の雰囲気(たとえば、温度や湿度など)を任意に設定することにより、所望の厚みに制御することができる。スピン回転停止後、樹脂層406は放射線照射機405の放射線照射によって硬化される。
次に、第2の情報面を形成するための転写スタンパ407を図3fに示したような金属スタンパを用いて射出成形法により形成する。この転写スタンパ407を回転ステージ408上に真空吸着などにより固定する。回転ステージ408に固定された転写スタンパ407上にディスペンサーによって放射線硬化性樹脂B409が所望の半径上に同心円状に塗布され(図4d)、回転ステージ408をスピン回転させることにより放射線硬化性樹脂B409の延伸を行い、樹脂層411を形成する(図4e)。樹脂層411の厚みは先程説明したように所望の厚みに制御することができる。スピン回転停止後、樹脂層411は放射線照射機410の放射線照射によって硬化される。
次にこのようにしてそれぞれ樹脂層406、411が形成された成形樹脂基板401と転写スタンパ407は、回転ステージ413上で、それぞれの樹脂層405、411が対向するように放射線硬化性樹脂C412を介して重ねあわされ(図4f)、一体化させた状態で回転ステージ413をスピン回転することによって、放射線硬化性樹脂Cは延伸され、所望の厚みに制御された樹脂層414が形成された後に放射線照射機415によって放射線を照射し硬化させる(図4g)。放射線硬化性樹脂C412によって成形樹脂基板401と転写スタンパ407が一体化された後、転写スタンパ407と樹脂層411との界面で転写スタンパ407を剥離することによって成形樹脂基板401の上に第2の情報面が形成される(図4h)。この第2の情報面上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などをスパッタリング法や蒸着法などにより形成することで第2の情報層416を形成した後、放射線硬化性樹脂Dを同様のスピンコート法により塗布、放射線硬化することによって保護層417を形成する(図4i)。場合によっては、保護層の上から、傷や指紋の付着などによる保護層表面の欠陥を予防するためのハードコート層などを形成することもある。このようにして2層Blu−rayディスクが完成する。なお、ここで用いられている放射線硬化性樹脂A404は第1の情報記録層402や樹脂層414との接着性が良好な材料を用いており、また放射線硬化性樹脂B411は転写スタンパ407との剥離性が良好で、かつ樹脂層414との接着性が良好なものを用いている。また、これら放射線硬化性樹脂A、B、C、Dは記録再生光の波長に対して略透明なものを用いている。
また、ここでは3種類の放射線硬化性樹脂を用いた樹脂中間層の作製工程について説明を行ったが、転写スタンパの材料の選定などにより放射線硬化性樹脂との剥離性などを制御することにより、放射線硬化性樹脂の種類を減らしたより簡易な方法もある。
また、ここではスピンコート法による樹脂中間層の作製工程について説明を行ったが、樹脂層形成の工法はスピンコート法に限らず、例えば、スクリーン印刷工法、オフセット印刷工法、インクジェット工法など異なる工法によって形成を行ったとしても本発明の効果に変わりはない。
次に、保護層表面から各情報層までの厚みに対してどの程度の変動幅が生じるかを調べた。従来の単層構造および2層構造のBlu−rayディスクでは、保護層表面から、光学ヘッドからもっとも奥に位置する第1の情報層までの厚みは、両者とも100μmである。本実施の形態1における3層構造の光情報記録媒体においても、第1の情報層までの厚みは100μmにすることが好ましい。これは、光情報記録媒体がドライブに挿入された際、最初に合焦する情報層が第1の情報層であり、この厚みを単層構造、2層構造媒体と同じ厚みにしておくことで、互換性を確保することが可能となる。また、ドライブは光情報記録媒体が挿入された際、100μmの位置でビームがもっとも絞り込まれるようにあらかじめ収差補正手段によって、球面収差補正をおこなってから、実際の合焦動作を行う。もし、100μmの位置でビームがもっとも絞り込まれるように収差補正を行った状態で、合焦動作に入った場合に、実際の第1の情報層の厚みが100μmからずれていた場合は、合焦に用いるフォーカス誤差信号の振幅のレベルが低下するため、合焦動作に失敗する可能性が高くなる。
実際に保護層表面から第1の情報層までの厚みを100μmの前後で変化させた場合に、第1の情報層への合焦動作が安定して行える範囲を調べると、100μm±6μmの範囲内であれば問題なく合焦が可能であった。±6μm以上厚みがずれてしまうとフォーカス誤差信号のレベルが半分以下に低下してしまい、安定した合焦動作が困難であった。
第2の情報層、第3の情報層に関しても同様で、ドライブは各情報層に対して切り替え動作を行う際、保護層表面から各情報層の厚みの中心値に合わせて、収差補正を行ったのち、層の切り替え動作を行うため、第2の情報層、第3の情報層についても保護層の表面からの厚みのねらいに対して±6μm以上厚みがずれると安定した合焦動作が困難となる。
このように第1の中間層、第2の中間層、保護層を積層することで作製した3層光情報記録媒体の保護層表面から各情報層までの厚みがどのように変動するのかを調べた。
単層構造や2層構造と樹脂層そのものの厚みは同じ100μmであるが、樹脂層の積層数を増やせば増やすほど、媒体全面における厚み変動は拡大する。それは、各中間層や保護層を個別に作製するため、面内の厚み変動の分布の違いが積層される度に蓄積されていくためである。
図5に3層光情報記録媒体における第1の中間層、第2の中間層の厚み分布の一例を示す。この図は横軸に光情報記録媒体の半径を示し、縦軸は各中間層の厚みを示している。また、横軸の各半径毎の一つの目盛内は、その半径の1周分のデータを示している。第1の中間層、第2の中間層は溝形状の転写のため、転写スタンパを貼り合せた後、それを剥離することで形成される。面内の厚み分布は、作製する媒体毎にそれぞれ異なるが、図5の厚み分布のように、最内周部や、最外周部は特に厚みの変動が大きくなる。内周部は、中周部に比べ、薄くなる傾向がある。これは樹脂を塗布後、樹脂の端面が内周側に流動していくことで薄くなることや、転写スタンパを貼り合せた際に端面の樹脂が転写スタンパに押されて薄くなることが影響している。
また、最外周部も同様で端面の樹脂の流動と、転写スタンパに押されることによる影響で薄くなる傾向がある。また、最外周部では、中間層樹脂の硬化前にベース基板と転写スタンパの反りが平行でない場合、その両基板の反りの不均一さによって、それに挟まれる樹脂層の厚み分布が影響を受ける。図5に示す第1の中間層の最外周の厚みが若干厚くなっているのはその影響である。
この厚み分布の傾向は、樹脂を塗布した後に、転写スタンパを貼り合せることによって生じる現象であり、本発明の実施の形態1ではスピンコート法による中間層形成工法について説明を行ったが、工法はスピンコート法に限らず、スクリーン印刷工法、オフセット印刷工法、インクジェット工法など、他の工法によって中間層を形成したとしても同じような厚み分布の傾向を示すため、本発明の効果に変わりはない。
図5は、3層光情報記録媒体の1サンプルの厚み分布の結果であるが、それ以外のサンプルにおいても、媒体の周内変動などは各々異なるが、最内周部や最外周部においては、上記の理由で同じように薄くなる傾向が現れる。そのため、第1の中間層、第2の中間層は半径方向の分布はほぼ同じような傾向を示すため、3層、4層と情報層の積層数が増えるにつれて、同じような半径方向の分布を有する中間層が積層されることになり、この径方向の分布は蓄積されていくことになる。
次に、3層光情報記録媒体の保護層表面から第1の情報層までの厚みの分布について調べた。図6に3層光情報記録媒体の保護層表面から第1の情報層までの厚み分布の一例を示す。図5に示した中間層が積層されることにより、保護層表面から第1の情報層までの厚みの分布は半径方向の分布が蓄積され、中周の厚みに対して内周部、外周部の厚みがより薄くなる傾向が大きくなっているのが分かる。3層光情報記録媒体を100枚試作を行った結果、保護層表面から第1の情報層までの厚みの分布を、半径23mmから24mmまでの厚み平均値に対して、面内で最も厚みが異なる部分を厚みばらつきとして選択すると、図8に示すように厚みばらつきは約±3μm程度生じることが分かった。
しかしながら、半径23mmから24mmの厚み平均値に対して、面内での厚みばらつきが±3μm生じると、媒体の記録再生特性に影響を及ぼす可能性が出てくる。図9に3層光情報記録媒体の第1の情報層の記録パワーマージンを示した。設定記録パワー100%が最適条件での記録で7X10-−5と良好なエラーレートが得られているが、記録パワーが約12%低下するとエラーレートが基準となるエラーレート4.2x10−3をオーバーしてしまう。最適な記録条件が得られる半径23mmから24mmの厚み平均値に対して、厚みがずれると、球面収差が発生し、ビームの絞り性能が悪化する。厚みが3μm変動すると、このパワーマージン12%のうち、約5%を消費してしまうことになる。ドライブでは、レーザの波長ばらつきや、装置の置かれている環境条件、記録学習の精度ばらつきなどによって容易にこのパワーマージンを消費していくため、パワーマージン12%のこの媒体においては、この厚みばらつき3μmは非常に影響度が大きい。厚みばらつき以外の、記録再生特性に影響を及ぼす項目を考慮すると、厚みばらつきは±2.5μm程度に収まることが望ましい。
また、従来の2層光情報記録媒体における厚みばらつき規定値である±2μm以内に収まると、従来の2層光情報記録媒体を記録再生するドライブと同じ性能を有するドライブでも記録再生品質を落とすことなく動作することが可能となり、さらに好ましい。
また、ここでは第1の情報層について記述したが、その他の各情報層においても、記録パワーマージンとして少なくとも10%以上のパワーマージンが必要であり、第1の情報層以外の情報層においても同様の厚みばらつきの実力が必要となる。
そこで、本発明の実施の形態1では、厚みの基準を半径23mmから24mmの厚み平均値だけではなく、半径方向に複数の厚み基準点を設け、それをつなぐ直線を厚み基準線として設定することで、ドライブでのパワーマージンの消費を抑制した。
図7に本実施の形態1で設定した厚み基準線の一例を示す。ここでは、半径23mm、28mm、48mm、53mm、58mmに厚み基準点を設け、それを順次つなぐ直線を厚み基準線とした。この厚み基準直線からの厚みばらつきを100枚の試作から調べると、図8に示すように従来の半径23mmから24mmまでの厚み平均値を基準にする考え方に比べ厚みばらつきが小さくなっていることが分かる。この厚み基準線に応じて記録再生するドライブの球面収差補正を実施することによって、媒体の製造上は何も変わらなくても、ドライブでのパワーマージン消費を抑制することが可能となる。
本発明の実施の形態1では厚み基準点を23mm、28mm、48mm、53mm、58mmの5点を設定したが、厚み基準点の設定方法はこれに限るものではない。少なくとも3点の厚み基準点を設けることで発明の効果が期待できる。例えば、図10に示すとおり、半径23mm、43mm、58mmの3点を結ぶ厚み基準線を設定した場合は、図8で説明した5点を結ぶ厚み基準線では±2μm以内の厚み変動に抑制できる媒体は約98%の歩留まりで実現できるが、3点を結ぶ厚み基準直線では約95%とやや効果は落ちるが十分な製造歩留まりを確保することが可能である。また、±2.5μm以内の厚み変動を実現できる歩留まりとしては、ほぼ100%に近い歩留まりが期待できる。
また、半径方向に複数の範囲に領域を分割し、各々の範囲毎に厚みの異なる厚み基準線を設けて、所定の厚み誤差以下にする構成をとっても、本発明の効果が期待できる。
図12にこの厚み基準線の一例を示す。
ここでは、半径23mmから24mmの厚み平均値を含め、半径方向に4つの範囲に分割し、それぞれの範囲で異なる厚み基準を設けた厚み基準線を設定した。それぞれの範囲は、半径23mmから28mmの第1領域と、半径28mmから50mmの第2領域と、半径50mmから56mmの第3領域と、半径56mmから58.5mmの第4領域の4つの範囲で設定を行った。
各範囲内の厚み基準値は、あらかじめ試作により求めたそれぞれの範囲内の複数の媒体の厚み平均値から設定を行った。
この厚み基準線に対する厚み誤差を考えると、図13に示すような分布を形成する。厚み誤差を±2μm以内で製造歩留まりを求めると、約97%の高い歩留まりが実現できる。
また、図12では範囲を4つの領域に分割したが、例えば、半径23mmから半径50mmまでをひとつの範囲、半径50mmから58.5mmまでをひとつの範囲として、媒体内を2つの範囲に分割しても、厚み基準線に対して±2μm以内の厚み誤差を実現する製造歩留まりは約95%と高い歩留まりを実現できる。
また、この媒体を記録再生するドライブは媒体毎に設定された厚み基準線を読み取る必要がある。そこで、本発明の実施の形態1では、媒体のインフォメーションエリアにあらかじめこの厚み基準線の情報を記録しておき、ドライブが媒体の管理情報を読み取る際に厚み基準線の情報をドライブが認識する構成をとった。
媒体のインフォメーションエリアに厚み基準線の情報を記録するためには、あらかじめ原盤に溝パターンを形成する際に、厚み基準線の情報をあわせて記録しておく必要があるが、厚みの分布の形状は転写スタンパを貼り合せて溝転写をする工程を経ることで、ほぼ同じ分布を取ることが分かっているため、あらかじめ原盤作製時に管理情報として記録することは可能である。また、インフォメーションエリア内に厚み基準線の情報を記録するための最大のビット数として4ビット程度が限界であり、設定できる範囲の分割数は16個までが最大となる。
ドライブは記録再生する際は、この厚み基準線に沿うように、半径を移動する毎に球面収差補正を実施することによって従来の厚みばらつき±2μm以内の媒体に対するものと同等の品質をもった記録再生をすることが可能となる。
また、ここでは厚み基準直線の情報をインフォメーションエリアに記録しておいたが、BCA(Burst Cutting Area)に記録しても同様の効果が得られる。
光情報記録媒体の各情報層は、リードイン領域、データ領域、リードアウト領域から構成されている。リードイン領域には光情報記録媒体の基本情報を記録してあるコントロールデータを有しており、その構成は以下のようになる。
リードイン領域は半径約24mmより内側に位置しており、21から22.2mmにBCA(Burst Cutting Area)と呼ばれる媒体固有のユニークIDが記録されている。これはレーザなどによる熱照射を所望のパターンで同心円状に並べるように行っていくことにより、バーコード状のデータを情報面を焼き切ることにより形成したものである。半径22.2から23.1mmが初期記録領域と呼ばれ、情報層を記録する記録パワーなどの情報や、記録パルスのパターンの推奨値、記録線速などの基本条件や、あるいはコピープロテクションに用いる情報などを、HFM GROOVEと呼ばれるスパイラル状に形成された案内溝をウォブルさせることによって予め記録してある。この初期記録領域は書き換え不可な再生専用情報であり、媒体の出荷時に予め設けられたものである。
また、リードイン領域には半径23.1から24mmにテスト記録を行う学習領域およびディフェクトマネジメント領域(DMA;Defect Manegement Area)が設けられている。学習領域は、ドライブに光情報記録媒体が挿入された起動時や、あるいは動作中に温度変動などの外乱による条件変化が大きく生じた場合に、記録パワーや記録パルスパターンなどの変動分を調整するために、テスト記録を行うことでキャリブレーションを行うために用いられる領域である。また、ディフェクトマネジメント領域はディスク上のディフェクト情報を管理しておくための領域である。
半径24.0から58.0mmまでがデータ領域と呼ばれる。データ領域は、実際にユーザが希望するデータが書き込まれる領域である。
半径58.0から58.5mmはリードアウト領域と呼ばれる。リードアウト領域は、リードイン領域と同様のディフェクトマネジメント領域が設けられたり、また、シークの際、オーバーランしてもよいようにバッファエリアとして用いられる。なお記録再生の終了領域としての意味でのリードアウトは、多層構造媒体の場合は、情報層ごとに記録再生する方向が異なる場合があるため、内周側になる場合もある。
BCAに厚み基準線の情報を記録する際は、媒体が出来上がった後に実際の厚み分布を測定した後、媒体にその情報を後から追記できるメリットがある。そのため、媒体製造時に厚み分布を各々の媒体に対して測定して、その測定結果に応じて、媒体毎に異なる厚み基準線を設けることが可能となり、より精度良い記録再生が実現できる。
本発明の光情報記録媒体は、情報層が3つからなる3層光情報記録媒体において、中間層や保護層を作製するために十分なプロセスマージンを有する状態で、製造することが可能で、かつドライブの記録再生品質を落とすことなく安定した記録再生を可能とする。本発明は、高品質な信号を記録再生することが可能である大容量な多層光情報記録媒体に利用することが出来る。
101 基板
102 第1の情報層
103 第2の情報層
104 第3の情報層
105 第1の中間層
106 第2の中間層
107 保護層
107a 保護層表面
108 対物レンズ
109 記録再生光
110 収差補正手段
201 基板
202 第1の情報層
203 第2の情報層
204 第3の情報層
205 第Nの情報層
206 対物レンズ
207 記録再生光
301 原盤
302 感光膜
303 露光ビーム
304 露光部
305 凹凸パターン
306 記録原盤
307 導電性薄膜
308 金属板
309 金属スタンパ
401 成形樹脂基板
402 第1の情報層
403 回転ステージ
404 放射線硬化性樹脂A
405 放射線照射機
406 樹脂層
407 転写スタンパ
408 回転ステージ
409 放射線硬化性樹脂B
410 放射線照射機
411 樹脂層
412 放射線硬化性樹脂C
413 回転ステージ
414 樹脂層
415 放射線照射機
416 第2の情報層
417 保護層
1101 光情報記録媒体
1102 光ヘッド
1103 光源
1104 記録再生光
1105 コリメートレンズ
1106 偏光ビームスプリッタ
1107 4分の1波長板
1108 対物レンズ
1109 アパーチャ
1110 検出レンズ
1111 シリンドリカルレンズ
1112 光検出器
102 第1の情報層
103 第2の情報層
104 第3の情報層
105 第1の中間層
106 第2の中間層
107 保護層
107a 保護層表面
108 対物レンズ
109 記録再生光
110 収差補正手段
201 基板
202 第1の情報層
203 第2の情報層
204 第3の情報層
205 第Nの情報層
206 対物レンズ
207 記録再生光
301 原盤
302 感光膜
303 露光ビーム
304 露光部
305 凹凸パターン
306 記録原盤
307 導電性薄膜
308 金属板
309 金属スタンパ
401 成形樹脂基板
402 第1の情報層
403 回転ステージ
404 放射線硬化性樹脂A
405 放射線照射機
406 樹脂層
407 転写スタンパ
408 回転ステージ
409 放射線硬化性樹脂B
410 放射線照射機
411 樹脂層
412 放射線硬化性樹脂C
413 回転ステージ
414 樹脂層
415 放射線照射機
416 第2の情報層
417 保護層
1101 光情報記録媒体
1102 光ヘッド
1103 光源
1104 記録再生光
1105 コリメートレンズ
1106 偏光ビームスプリッタ
1107 4分の1波長板
1108 対物レンズ
1109 アパーチャ
1110 検出レンズ
1111 シリンドリカルレンズ
1112 光検出器
Claims (12)
- 基板上に設けられた複数の情報層と、各々の前記情報層間に設けられた複数の中間層と、保護層が積層されてなり、光学ヘッドを用いて前記保護層側より記録および/または再生する円盤状の光情報記録媒体であって、
前記保護層表面から各々の前記情報層までの厚みの変動幅は、半径方向に複数の範囲に分割され、各々の範囲毎に設定された厚みを有する厚み基準線に対して、所定の厚み誤差以下であることを特徴とする光情報記録媒体。 - 前記範囲は少なくとも2個以上、16個以下に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
- 前記範囲のひとつは、半径23mmから半径24mmを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
- 前記基板上に設けられた複数の前記情報層と、各々の前記情報層間に設けられた複数の前記中間層と、前記保護層が積層されてなり、前記光学ヘッドを用いて前記保護層側より記録および/または再生する円盤状の光情報記録媒体であって、
前記保護層表面から各々の前記情報層までの厚みの変動幅は、半径方向に複数設けられた厚み基準点を順次結ぶ厚み基準線に対して、所定の厚み誤差以下であることを特徴とする光情報記録媒体。 - 前記厚み基準点は半径方向に少なくとも3個以上、16個以下であることを特徴とする請求項4に記載の光情報記録媒体。
- 前記厚み基準点のひとつは、半径23mmから半径24mmの厚み平均値であることを特徴とする請求項4または5に記載の光情報記録媒体。
- 前記情報層の層数は3つ以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
- 前記厚み誤差が±2.5μmであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
- 前記厚み誤差が±2μmであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
- 前記厚み基準線の情報は、前記光情報記録媒体のインフォメーションエリア内にあらかじめ記録されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
- 前記厚み基準線の情報は、前記光情報記録媒体のBCA領域内にあらかじめ記録されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
- 少なくとも波長400nm以上、410nm以下のレーザ光源と、NA0.85の対物レンズと、球面収差補正手段とを備える前記光学ヘッドを用いて記録および/または再生が行われることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008290535A JP2010118114A (ja) | 2008-11-13 | 2008-11-13 | 光情報記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008290535A JP2010118114A (ja) | 2008-11-13 | 2008-11-13 | 光情報記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010118114A true JP2010118114A (ja) | 2010-05-27 |
Family
ID=42305692
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008290535A Pending JP2010118114A (ja) | 2008-11-13 | 2008-11-13 | 光情報記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010118114A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013118289A1 (ja) * | 2012-02-10 | 2013-08-15 | パイオニア株式会社 | パターン転写方法 |
US9782065B2 (en) | 2013-04-30 | 2017-10-10 | IDx, LLC | Parallel optical coherence tomography apparatuses, systems, and related methods |
-
2008
- 2008-11-13 JP JP2008290535A patent/JP2010118114A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013118289A1 (ja) * | 2012-02-10 | 2013-08-15 | パイオニア株式会社 | パターン転写方法 |
JPWO2013118289A1 (ja) * | 2012-02-10 | 2015-05-11 | パイオニア株式会社 | パターン転写方法 |
US9782065B2 (en) | 2013-04-30 | 2017-10-10 | IDx, LLC | Parallel optical coherence tomography apparatuses, systems, and related methods |
US10624537B2 (en) | 2013-04-30 | 2020-04-21 | Idx Technologies, Inc. | Parallel optical coherence tomography apparatuses, systems, and related methods |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2010013441A1 (ja) | 光情報記録媒体及び記録再生装置 | |
JP4502051B2 (ja) | 光記録媒体 | |
JP4994178B2 (ja) | 光記録媒体、情報記録または再生方法、および情報記録または再生装置 | |
JP5627687B2 (ja) | 光情報記録媒体及び駆動装置 | |
CN102113054A (zh) | 光记录介质 | |
US20090016188A1 (en) | Multi-layer information recording medium, information recording/reproducing device and multi-layer information recording medium manufacturing method | |
US8302119B2 (en) | Optical information recording medium | |
JP2011175733A (ja) | 光記録媒体の製造方法及び光記録媒体 | |
JP2007257759A (ja) | 光情報記録媒体記録再生システム | |
JP2011170935A (ja) | 光記録再生方法、光記録媒体 | |
KR100987660B1 (ko) | 이중층 광 데이터 저장매체 | |
JP4633840B2 (ja) | 多層情報記録媒体 | |
JP2010118114A (ja) | 光情報記録媒体 | |
JP5592801B2 (ja) | 光記録媒体の製造方法、光記録媒体、光情報装置及び情報再生方法 | |
WO2007037070A1 (ja) | 光情報記録媒体、及び光情報記録媒体再生装置 | |
JP2009104704A (ja) | 情報記録再生装置及び情報記録再生方法 | |
JP7122509B2 (ja) | 光ディスク、その製造方法、光情報装置及び情報処理方法 | |
JP3703451B2 (ja) | 光記録媒体及びその製造方法 | |
WO2007080925A1 (ja) | 光ピックアップ装置および当該光ピックアップ装置を備えた情報処理装置 | |
JP2009087535A (ja) | 光記録媒体の製造方法 | |
JP2005018882A (ja) | 光ディスク | |
JP2003091881A (ja) | 光記録媒体 | |
US20070231528A1 (en) | Optical disk, optical disk manufacturing method, and optical disk reproducing method | |
JP2011044190A (ja) | 光ディスク | |
CA2489403A1 (en) | Optical data storage medium and use of such medium |