JP4994178B2 - 光記録媒体、情報記録または再生方法、および情報記録または再生装置 - Google Patents
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Description
まず、図12について説明する。図12における光記録媒体401は、記録面401a、401bを有している。第1記録面401aは、光入射側表面に近い記録面であって、表面からの距離d1(つまり、カバー層の厚み)は0.075mmである。第2記録面401bは、光入射側表面から遠い記録面であって、表面からの距離d2(つまり、カバー層+中間層の厚み)は0.1mmである。
半導体レーザ等の光源1は、波長λ1が405nmの直線偏光のビーム70を出射する。光源1から出射された発散性のビーム70は、球面収差補正手段93を備えた焦点距離f1が15mmのコリメートレンズ53を透過し、偏光ビームスプリッタ52に入射する。偏光ビームスプリッタ52に入射したビーム70は、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記録媒体401の透明基板を透過し、第2記録面401b上に集光される。図12では第2記録面401bで球面収差がほぼ0mλとなるように球面収差補正手段93でコリメートレンズ53の位置が制御されている。対物レンズ56の開口はアパーチャ55で制限され、開口数NAを0.85としている。第2記録面401bで反射されたビーム70は、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射されたビーム70は、焦点距離f3が30mmの集光レンズ59を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ57を経て、光検出器32に入射する。ビーム70には、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
これら電流信号から、例えば、非点収差法によってフォーカス誤差(以下FEとする)信号が得られ、さらにプッシュプル法によってトラッキング誤差(以下TEとする)信号が得られ、光記録媒体401に記録された情報(以下RFとする)信号が得られる。FE信号およびTE信号は、所望のレベルに増幅および位相補償が行われた後、アクチュエータ91および92に供給されて、フォーカスおよびトラッキング制御がなされる。
また、第1記録面401aの情報を記録または再生する場合については、第1記録面401aで球面収差がほぼ0mλとなるように球面収差補正手段93でコリメートレンズ53の位置が制御されている。
光記録媒体401の表面401zから第1記録面401aまでの厚みt1、第1記録面401aから第2記録面401bまでの厚みt2、第2記録面401bから第3記録面401cまでの厚みt3、第3記録面401cから第4記録面401dまでの厚みt4は、その比が、t1:t2:t3:t4=2:3:4:5の様に設定されている。ここで、厚みt1〜t4を全て同じ長さにせずに上記の様な比に設定する理由を以下に説明する。
この実施の形態として、中間層の厚みが支持基板側からカバー層側に向かって順に厚くなる、あるいは、順に薄くなる構造が提案されている。
図14は、従来のディスク構造を設定した3層ディスク40の断面図を示している。この図において、101〜103は記録層(面)、105はカバー層、106〜107は中間層を示している。
例えば図14に示したようなディスク構造では、他層(第2記録層102)での反射光の一部が再生層(第3記録層103)での反射光108と同一の光路を通り、ほぼ等しい波面で光学ヘッドに戻る。このような光は干渉性が高く、受光素子上で干渉による明暗分布を形成する。さらにこの明暗分布は、光ディスク面内の微少な中間層厚みばらつきによる他層反射光との位相差変化に応じて変動するため、サーボ信号および再生信号の品質を著しく低下させてしまう。
図15は特許文献1で考慮している裏焦点課題が生じないように、ディスク構造を設定した4層ディスク40の断面図を示している。この図において、111〜114は記録層(面)、115はカバー層、116〜118は中間層を示している。
ここでカバー層115と中間層116〜117の厚みは変えた構成してあり、情報記録面の裏焦点課題は生じない。
しかしながら表面から第1記録層111までのカバー層の厚みと第4記録層114から第1記録層111のまでの厚みが等しい場合、第4記録層114で反射した光108が表面で焦点を結び反射し、再び第4記録層114で反射後に受光部へ導かれる。この光束は表面での裏焦点のため、他の記録層での裏焦点の光束のようなピットやマークの情報は持っていないが、記録層が多層化されていくと光量としては他の記録層と同程度の大きさがあるため、再生層の光束との干渉は同じように発生し、サーボ信号および再生信号の品質を著しく低下させる重大な課題となる。
また、裏焦点以外でもサーボ信号および再生信号品質を低下させる課題がある。それは例えば、第2記録層112を再生または記録している時、隣接する第1記録層111と第3記録層113からの反射光も受光部に入射する。このとき、第2記録層112と第1記録層111の距離、または第2記録層112と第3記録層113の距離が狭くなると、第2記録層112の光束との干渉により再生信号品質を著しく低下させてしまう。
d1<(dm−d1)、かつ、38μm≦d1≦49.5μm、かつ、隣接する面間距離の差が1μm以上であり、かつ、dmin≧8μmを満たし、波長が405nm、対物レンズの開口数が0.85の光ヘッドを用いて記録または再生される。
d1は(dm−d1)より1μm以上小さいことが好ましい。
d1≧38μmであることが望ましい。カバー層が十分な厚みを確保することで、信号品質に対する表面のキズやホコリの影響を小さくできる。
d1≦47μmであることが好ましい。
さらに、表面から第3番目以上のいずれかの情報記録面までの距離が100μmであることが望ましい。
また、情報記録面が4面であることが望ましい。
また、表面から第4番目の情報記録面の表面からの距離が100μmであることが望ましい。
表面から第1情報記録面までの距離が47μm以下であり、さらに表面から第4情報記録面までの距離が100μmであるため、表面における裏焦点は生じにくい。さらに、すべての中間層厚みが11μm以上であるため、隣接する記録面の反射光同士の干渉が生じにくい。この結果、サーボ信号および再生信号の品質が向上する。
以下、図1および図2を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る光情報装置の構成を示している。光ピックアップヘッド装置201(または光ピックアップとも言う)は、波長λが405nmのレーザ光を光記録媒体40に照射し、光記録媒体40に記録された信号の再生を行う。移送制御器205は、光記録媒体40上の任意の位置で情報を記録もしくは再生するために光ピックアップヘッド装置201を光記録媒体40の半径方向に沿って移動させる。光記録媒体40を駆動するモータ206は、光記録媒体40を回転させる。制御器207は、光ピックアップヘッド装置201と移送制御器205とモータ206とを制御する。
光源1は、波長λが405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。光源1から出射されたビーム70は、焦点距離f1が18mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記録媒体40に形成されたカバー層4を透過し、第4情報記録面40d上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55によって制限され、開口数NAを0.85としている。また、第4情報記録面40dで球面収差がほぼ0mλとなるようにステッピングモータ等で構成される球面収差補正手段93を用いてコリメートレンズ53を光軸方向に調整されている。
第4情報記録面40dで反射されたビーム70は、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射したビーム70は、ビーム分割素子である回折格子60で0次光のビーム70と1次光に分割され、焦点距離f3が30mmの集光レンズ59とシリンドリカルレンズ57とを経て、光検出器32に入射する。光検出器32に入射するビーム70は、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
・図4のように再生または記録面に集光するビーム70
・図5のように第3情報記録面40cで反射し、第2情報記録面40bで焦点を結び反射し、再び第3情報記録面40cで反射するビーム71
・図6のように第2情報記録面40bで反射し、表面で焦点を結び反射し、再び第2情報記録面40bで反射するビーム72(裏焦点光)
・図7のように情報記録面で焦点は結ばないが、情報記録面40c、40a、40bの順で反射したビーム73
ここで、t4=t3の場合ビーム70とビーム71は等しい光路長と光束径で光検出器32に入射する。同様にt4=t2の時、ビーム70とビーム72が、またt1+t2=t3+t4の時ビーム70とビーム73がそれぞれ等しい光路長と光束径で光検出器32に入射する。ビーム70に対して多面反射光であるビーム71〜72の光量は小さいが、等しい光路長と等しい光束径で光検出器32に入射するため干渉による影響は大きく、光検出器32で受光した光量は微少な層間厚みの変化で大きく変動を起こし、安定な信号を検出することが困難となる。
条件1):カバー層42の厚みt1と各中間層43〜45の厚みt2〜t4との差を1μm以上確保
条件2)について詳細に説明する。カバー層42の厚みt1と中間層43〜45の厚みの総和(t2+t3+t4)が異なるということは、d1≠d4−d1であり、より正確にはd1<(d4−d1)であることと同じである。ここでは、d1が光記録媒体40の表面40zから一番近い第1情報記録面40aまでの距離を意味し、d4が表面40zから一番遠い第4番目の第4情報記録面40dまでの距離を意味している。d1≠(d4−d1)であるため、表面40zでの裏焦点問題が生じにくい。さらに、d1<(dm−d1)であるため、カバー層42が薄くなり、そのため中間層43〜45の厚みのばらつきの許容度が高くなる。さらに、dmin≧8μmであるため、隣接する記録面の反射光同士の干渉が生じにくい。この結果、サーボ信号および再生信号の品質が向上する。
条件4):カバー層42の厚みt1およびと第1中間層43の厚みt2の和(t1+t2)と第2中間層44の厚みt3と第3中間層45の厚みt4の和(t3+t4)との差を1μm以上確保
条件5):最小層間厚みdminを8μm以上に、より好ましくは10μm以上に設定する。
条件5)は一般的にディスクの作成上各記録層の反射率の差は1.5倍の程度は起こりえるためである。例えば、再生または記録層の反射率に対し、他層の反射率が1.5倍の場合、干渉による再生層への影響は√1.5倍となるため、層間厚みに対するジッターは図9の破線のようになる。すなわち、最小層間厚みdminを8μmから10μm以上に設定することで、他層の迷光の受光部での光量密度は反射率1.5×(8/10)2=0.96となり他層の反射効率の増加分を相殺することができる。また、最小層間厚みdminは、図9のように反射率が等しい場合のジッター劣化の変曲点厚み8μm以上となっている。
100=t1+t2+t3+t4
=t1+10+e+10+3e+1+10+5e+2・・・(1)
となるが、カバー層42が49.5μm以下の場合は、バラツキeμmを考慮し、最大厚みで49.5μm以下に設定が必要なため、
100=(t1−e)+10+e+10+3e+1+10+5e+2
e=(67−d1)/8
となる。また、カバー層42が50.5μm以上の場合は、反対に最小厚みで50.5μm以上に設定が必要なため、
100=(t1+e)+10+e+10+3e+1+10+5e+2
e=(67−t1)/10
となる。したがって、図10の実線のように層間厚みバラツキeの値は不使用領域の前後で不連続になり、層間厚みが49.5μm以下の方が層間厚みバラツキeを大きく取れる。
すなわち、
d1≦(100−d1)−1(μm)
の場合に層間厚みバラツキの許容度が増える。
これは、ディスクの製作時のバラツキの許容範囲をより多く取れるということになるので、安価なディスクを実現することができる。
このサンプルを用いエラーレート(SER:Symbol Error Rate)の評価を行った。SERの合否の指標としては4.2x10-3以下のエラーレートであれば問題ないものとした。このエラーレート値は100万枚に1枚情報を読み出せない可能性があるレベルで、このエラーレート値以下であれば光情報記録媒体の記録再生特性として問題ないといえる。また、信号を記録する際、記録再生信号品質が最適となる記録条件の他、実際に起こりうる記録ストレス状態、あるいは再生ストレス状態においても同様のSER評価を行い、合否を判定した。ここで用いた記録ストレス状態とは、記録再生光のデフォーカス量や、起こりうるディスクの反り(チルト)の影響、起こりうる球面収差量、また記録パワーの設定誤差、記録パワーを最適化する記録パワー学習誤差、および温度変化による記録パワー誤差などを見積もって、記録ストレス状態として、最適記録パワーからこれらの誤差をパワー換算し約10%パワーを低く設定した。また、再生ストレス状態としては、読み出す光学ヘッドの製作ばらつきや、デフォーカス量、ディスクの反りによるトラックずれ量などをパワー換算で見積もって、通常の再生パワーに対して約30%パワーを低く設定した。
そこで、構成2のカバー層の厚みt1と第3中間層の厚みt4を変更し、表2の構成8に変更する。表2の構成は本発明の一実施例の具体的な構成である。すなわち、t1を43〜47μm、t2を16〜20μm、t3を11〜15μm、t4を22〜26μmに変更することにより、上記課題を回避することが可能となる。
尚、上記組み合わせは一例であり上記範囲に近い構成なら同様の効果は得られる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本発明にかかる光情報装置は、記録と再生の両方を行うことができる装置、記録のみをおこうなうことができる装置、または再生のみを行うことができる装置であっても良い。
これにより、品質の良い再生信号が得られる大容量でかつ、既存ディスクとの互換性を確保しやすい光ディスクが提供できる。
32 光検出器
40 光記録媒体
40a〜40d 情報記録面
42 カバー層
43 第1中間層
44 第2中間層
45 第3中間層
52 偏光ビームスプリッタ
53 コリメートレンズ
54 4分の1波長板
55 アパーチャ
56 対物レンズ
57 シリンドリカルレンズ
59 検出レンズ
70〜73 ビーム
91,92 アクチュエータ
93 球面収差補正手段
Claims (9)
- 3面以上の情報記録面を有した光記録媒体であって、前記光記録媒体の表面から一番近い情報記録面までの距離をd1、一番遠い第m番目の情報記録面までの距離をdm、前記情報記録面間の最小層間厚みをdminとしたとき、
d1<(dm−d1)、かつ、38μm≦d1≦49.5μm、かつ、隣接する面間距離の差が1μm以上であり、かつ、dmin≧8μmを満たし、
波長が405nm、対物レンズの開口数が0.85の光ヘッドを用いて記録または再生されることを特徴とする光記録媒体。 - dmin≧10μmである、請求項1に記載の光記録媒体。
- d1は(dm−d1)より1μm以上小さい、請求項1または2に記載の光記録媒体。
- d1≦47μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
- 前記表面から第3番目以上のいずれかの情報記録面までの距離が100μmである、請
求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体。 - 前記情報記録面が4面である、請求項5に記載の光記録媒体。
- 前記表面から第4番目の情報記録面までの距離が100μmである、請求項6に記載の光記録媒体。
- 4面の情報記録面を有する光記録媒体であって、
前記光記録媒体の表面に近い側から第1情報記録面〜第4情報記録面とし、
前記表面から前記第1情報記録面までの距離が47μm以下であり、
前記第1情報記録面から前記第4情報記録面までの各情報記録面間の中間層厚みが、11〜15μmと、16〜21μmと、22μm以上との組み合わせからなり、
前記表面から前記第4情報記録面までの距離が100μmである
ことを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の光記録媒体の情報記録または再生方法であって、
前記光記録媒体のカバー層の厚みによって発生する収差を補正する収差補正手段を有する光ヘッドを用いて、情報の記録および再生の少なくとも一方を行う、情報記録または再生方法。
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