JP2010117714A - 光学素子、指向性拡散フィルムおよび光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子、指向性拡散フィルムおよび光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来よりも簡便なプロセスによって、指向性拡散フィルムに好適に使用することのできる新規な構造を有する光学素子を提供する。
【解決手段】 フィルム状透明マトリックス中に複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔が、互いに軸方向が略平行となる状態で配置されており、前記貫通孔の軸方向が、前記フィルム状透明マトリックスの厚さ方向に対して、傾斜している、または略平行であることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、光学素子、指向性拡散フィルムおよび光学素子の製造方法に関する。
近年、パソコン、ATM,カーナビゲーションシステム機器等に、液晶表示装置(LCD)が幅広く使用されている。LCDの多くは、液晶セルの視認側とは反対側にバックライトが配置される構成である。バックライトに使用される光源から出射される光は拡散光であり、LCDの正面方向からだけではなく、斜め方向からも視認することが可能ではある。しかし、LCDの正面方向以外の上下方向または左右方向から見ると、画像の輝度およびコントラストが著しく低下するため、画質を満足できる視野角は狭いものである。したがって、プライバシー保護や使用する用途により、特定方向のみ視認可能あるいは広視野角なLCDが求められている。視野角拡大のためには、光学フィルタ等をLCDに装着することが検討されており、例えば、屈折率の異なる2種の層が交互に折り重なった状態で形成されてなる光学フィルタが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、相互に屈折率の異なる2種以上の光重合可能なモノマーあるいはオリゴマーを含有する組成物を膜状に形成し、ついでこの膜状組成物に紫外線を照射して得られる光散乱板からなることを特徴とする液晶表示素子用フィルタが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、これらフィルタの製造においては、紫外線波長や紫外線照射時の移動速度等、厳密な制御が必要であった。また、これらフィルタを用いた視野角の制御は十分なものではなかった。
特開平9−127331号公報 特開平7−209637号公報
そこで、本発明は、従来よりも簡便なプロセスによって、指向性拡散フィルムに好適に使用することのできる新規な構造を有する光学素子を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の光学素子は、フィルム状透明マトリックス中に複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔が、互いに軸方向が略平行となる状態で配置されており、前記貫通孔の軸方向が、前記フィルム状透明マトリックスの厚さ方向に対して、傾斜している、または略平行であることを特徴とする。
本発明の指向性拡散フィルムは、光学素子を有する指向性拡散フィルムであって、前記光学素子が、前記本発明の光学素子であることを特徴とする。
本発明の光学素子の製造方法は、フィルム状透明マトリックス中に複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔が、互いに軸方向が略平行となる状態で配置されており、前記貫通孔の軸方向が、前記フィルム状透明マトリックスの厚さ方向に対して、傾斜している、または略平行であって、前記貫通孔には低分子物質が充填された状態である光学素子を製造する方法であって、互いのSP値の差が、1.5〜3の範囲である光重合性官能基を含むモノマーと低分子物質とを含む光学素子形成材料を準備する工程と、前記光学素子形成材料を基材上に展開して光学素子形成材料層を形成する工程と、前記光学素子形成材料層に平行光線を照射する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の光学素子は、前記本発明の光学素子の製造方法によって製造されることを特徴とする。
本発明の光学素子は、新規な構造を有するものであり、良好な指向性散乱を示す。さらに、本発明の光学素子は、従来に比べ、極めて簡便なプロセスで製造することができる。本発明の光学素子を用いることで液晶ディスプレイ等の表示装置用に良好に使用できる、特定方向のみ視認可能となる指向性拡散フィルムを得ることができる。
図1は、本発明の光学素子の製造方法の一例を説明する図である。 図2は、本発明の実施例1、5および比較例7における光学素子の散乱特性の測定結果を示すグラフである。 図3は、本発明の実施例1における光学素子の外観を観察した写真(表面(a)、断面(b))である。 図4は、本発明の光学素子の製造方法のその他の例を説明する図である。 図5(a)は、本発明の実施例6における光学素子の断面を観察した写真である。 図5(b)は、本発明の実施例6における光学素子の散乱特性の測定結果を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例1および比較例8における光学素子の散乱特性の測定結果を示すグラフである。 図7は、本発明の比較例8における光学素子の表面を観察した写真である。
本発明の光学素子において、前記フィルム状透明マトリックスが、ポリマーから形成されていることが好ましい。
本発明の光学素子において、前記貫通孔の直径が、0.5〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜8μmの範囲である。
本発明の光学素子において、厚さが10〜470μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜150μmの範囲であり、さらに好ましくは10〜100μmの範囲である。
本発明の光学素子の製造方法において、前記光学素子形成材料層の形成工程において前記基材上に展開された光学素子形成材料層上に、さらに別の基材を配置して、両基材で光学素子形成材料層を挟持し、この状態で前記平行光線照射を実施することが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法において、前記平行光線として紫外線を用いることが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法において、前記モノマーとして、少なくとも2つの重合性官能基を有するものを用いることが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法において、前記重合性官能基が、アクリレート基であることが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法において、前記低分子物質として溶媒を用いることが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法においては、前記モノマーおよび前記低分子物質として、各々のSP値の差が、1.5〜3の範囲となるよう組み合わせて用いる。前記各々のSP値の差は、好ましくは1.6〜2.9の範囲であり、より好ましくは1.7〜2.8の範囲である。
本発明の光学素子の製造方法において、前記モノマーとして、SP値が11.7〜13.4の範囲であるものを用いることが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法において、前記低分子物質として、SP値が、9.7〜10.4の範囲であるものを用いることが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法において、前記モノマーとして、少なくとも液晶モノマーを用いることが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法において、前記平行光線を照射する工程の後、前記低分子物質を除去する工程を有することが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法において、前記低分子物質を除去する工程の後、前記平行光線を照射する工程で重合されてなるポリマーの屈折率とは異なる屈折率を有する物質を、低分子物質除去部に充填することが好ましい。
つぎに、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の記載により制限されない。
本発明の光学素子は、フィルム状透明マトリックス中に複数の貫通孔を有する光学素子である。
前記フィルム状透明マトリックスは、ポリマーから形成されていることが好ましく、光重合性官能基を含むモノマーが主成分として重合されていることがより好ましい。
前記貫通孔は、例えば図3の写真に示されるように形成されている。前記貫通孔は、空洞(空気が存在)である。したがって、前記貫通孔は、前記フィルム状透明マトリックスと異なる屈折率を有している。
本発明において、前記複数の貫通孔は、互いに軸方向が略平行となる状態で前記フィルム状透明マトリックス中に配置されている。前記軸方向は、前記フィルム状透明マトリックスの厚さ方向に対して傾斜して配置されていてもよいし、厚さ方向に対して略平行に配置されていてもよい。例えば、前記貫通孔に、後述する異なる屈折率を有する物質を充填する態様において、前記貫通孔が前記厚さ方向に対して略平行または傾斜して配置された本発明の光学素子は、前記貫通孔の軸方向に平行な入射角の光線を拡散させる特性を有する。また、充填された物質が光吸収物質である場合には、前記貫通孔の軸方向に略平行でない光線は光吸収物質で吸収され、前記貫通孔の軸方向に略平行な光線のみを透過させる特性を有する。
本発明において、「略平行」とは、実質的に平行の場合を含み、前記実質的に平行の場合とは、例えば、0±2度の範囲であり、好ましくは0±1度の範囲である。
前記貫通孔の直径は、0.5〜10μmの範囲であることが好ましい。前記直径は、1〜8μmの範囲であることがより好ましい。前記直径が0.5μm未満と細すぎると、前記フィルム状透明マトリックスと前記貫通孔との屈折率差が光学素子の特性として反映されにくく、また、10μmを超えると、精彩度が十分得られなくなり、良好な光学特性が得られにくくなる。前記貫通孔の直径の平均値は、2〜6μmの範囲であることが好ましい。
本発明の光学素子の厚さは10〜470μmの範囲であることが好ましい。10μm以上の厚さがあれば、光学素子としての効果が十分発現し、470μm以下の厚さであれば、光重合が良好に進行する。
上述した本発明の光学素子は、指向性拡散フィルムに使用することができる。指向性拡散フィルムに使用する場合には、前記貫通孔の軸方向から入射する光を拡散させ、それ以外の方向から入射する光を透過させることができる。
本発明の光学素子は、例えば、光重合性官能基を含むモノマーと低分子物質とを含む光学素子形成材料を準備する工程、前記光学素子形成材料を基材上に展開して光学素子形成材料層を形成する工程、前記光学素子形成材料層に光線照射する工程とを含む方法によって製造することができる。前記光線としては、平行光を用いることが好ましい。前記光線は、偏光であっても非偏光であってもよい。光線照射は、特に制限されないが、その手段には各種活性エネルギーを用いることができ、前記光線照射により前記光重合性官能基を含むモノマーの重合が進行する。前記光線としては、電離放射線が好ましく、紫外線が特に好ましい。エネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などの線源が好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、15〜700mJ/cmが好ましい。照射量が、15mJ/cm以上であれば、硬化がより十分となり、形成されるフィルム状透明マトリックスの硬度もより十分なものとなる。また、700mJ/cm以下であれば、形成されるフィルム状透明マトリックスの着色を防止でき、透明性を向上させることができる。エネルギー線源の照射強度は、1〜100mW/cmの範囲が好ましい。
前記方法によると、前記光線照射の方向と略平行方向に前記貫通孔の軸が形成され、前記光学素子形成材料層に対して前記光線照射方向を制御することによって、貫通孔の軸の方向を制御することができる。例えば、前記光学素子形成材料層の法線方向から光線を照射すると、前記光学素子形成材料層の厚さ方向に対して略平行方向に貫通孔が形成され、前記光学素子形成材料層に対して斜め方向から光線を照射すると、前記光学素子形成材料層の厚さ方向に対して斜め方向に貫通孔が形成される。また、前記方法によると、前記光線照射の工程において、マスク等を介することなく、フィルム状透明マトリックス中に貫通孔を形成することができる。
本発明の光学素子は、例えば、前記方法において次のメカニズムにより形成されると推察されるが、本発明は、前記推察によりなんら制限されない。すなわち、光重合性官能基を含むモノマーと低分子物質とを含む光学素子形成材料に光線を照射することによって、光線照射面側から重合が開始し、分子量が増大を始める。この時、重合体(ポリマー)形成領域の屈折率が周辺部分よりも大きくなり、屈折率差によるレンズ効果により照射される前記光線は集光される。この集光された光線は、光学素子形成材料中を光線照射方向に対して略平行な方向に進む。前記集光された光線の進行方向に沿って、光学素子形成材料中ではさらに重合が進む。その一方で、一部の光は集光されずにポリマー形成領域とポリマー非形成領域との界面からポリマー非形成領域に漏れ出し、ポリマー形成領域を幅方向へと拡大する重合も起こる。前記幅方向へと拡大する重合によって、複数の前記ポリマー形成領域間が連結され、フィルム状透明マトリックスが形成される。その結果、光線照射方向に沿った方向に、フィルム状透明マトリックスに囲まれた、低分子物質が主として残留した貫通孔が形成される。
前記光線照射工程においては、例えば、光学素子形成材料層をコンベア上で移動させながら連続プロセスで光線照射を行うこともできるし、一定面積の光学素子形成材料層に対して、その全面に光線照射を行うというバッチ処理によっても行うことができる。
前記光学素子形成材料層形成工程においては、前記基材上に展開された光学素子形成材料層上に、さらに別の基材を配置して、両基材で前記光学素子形成材料層を挟持し、この状態で前記光線照射工程を実施することも好ましい。この場合、基材の双方が光透過性基材であってもよいし、一方のみが光透過性基材であってもよい。一方のみが光透過性基材である場合、後続する光線照射工程では、当該光透過性基材の側から光線照射を行う。前記光学素子形成材料層を基材で挟み込むと、前記低分子物質が揮発しやすい材料である場合においても、光学素子製造工程における光学素子形成材料の成分変化が生じにくく、安定した品質の光学素子を得ることができるので好ましい。また、前記モノマーが、重合による体積収縮率が大きい材料である場合、得られる光学素子の表面形状を平滑にすることができるという利点もある。
前記基材は、特に制限されないが、光学素子形成材料層を2枚の基材で挟み込み光線照射する方法で光学素子を製造する場合には、少なくとも一方が光透過性基材であることが必要である。光透過性基材としては、ガラス基材および透明プラスチックフィルム基材を好適に使用することができる。前記透明プラスチックフィルム基材の形成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等があげられる。また、前記透明プラスチックフィルム基材の形成材料としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等もあげられる。さらに、前記透明プラスチックフィルム基材の形成材料としては、例えば、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等もあげられる。
本発明において、前記透明プラスチックフィルム基材の厚みは、特に制限されないが、例えば、強度、取り扱い性などの作業性および薄層性などの点を考慮すると、10〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜300μmの範囲であり、最適には、30〜200μmの範囲である。前記透明プラスチックフィルム基材の屈折率は、特に制限されず、例えば、1.30〜1.80の範囲であり、好ましくは、1.40〜1.70の範囲である。
本発明の光学素子は、前記基材とともに、そのまま指向性拡散フィルムとして使用することもできる。前記指向性拡散フィルムは、例えば、保護フィルムとして偏光板に使用することもでき、この場合には、前記基材としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン等から形成されたフィルムを用いることが好ましい。また、本発明において、前記フィルム基材は、偏光子自体であってもよい。このような構成であると、TAC等からなる保護層を不要とし偏光板の構造を単純化できるので、偏光板若しくは画像表示装置の製造工程数を減少させ、生産効率の向上が図れる。また、このような構成であれば、偏光板を、より薄層化することができる。なお、前記基材が偏光子である場合には、本発明の光学素子が、従来の保護層としての役割を果たすことになる。また、このような構成であれば、本発明の指向性拡散フィルムは、液晶セル表面に装着されるカバープレートとしての機能を兼ねることになる。
前述のとおり、照射する光線は、平行光であるが、所定範囲の半値幅であれば、拡散光を用いても、拡散性を有する光学素子を得ることができる。必要に応じて、前記拡散光の半値幅は、0〜30°の範囲で適宜制御することができる。前記拡散光の照射においては、前記光学素子形成材料層上に、前記別の基材として拡散板を積層し、前記拡散板側から平行光を照射して光学素子を得ることもできる。また、前記光学素子形成材料層上に形成された別の基材の上に拡散板を積層し、前記拡散板側から平行光を照射して光学素子を得ることもできる。ここで、半値幅とは、拡散板にコリメート光を入射し、出射光のピーク強度を100%としたときの出射光強度が50%となる拡散角度をいう。
前記フィルム状透明マトリックスは、前記光学素子形成材料を構成する前記光重合性官能基を含むモノマーが重合してなり、光重合性官能基を含むモノマーとしては、例えば、紫外線硬化型モノマー、電離放射線硬化型モノマー等が挙げられる。これらの中でも、紫外線照射による硬化処理という簡単な加工操作にて効率よくフィルム状透明マトリックスを形成できる紫外線硬化型モノマーが、特に好ましく用いられる。前記紫外線硬化型モノマーには、紫外線重合開始剤(光重合開始剤)が配合される。
前記紫外線硬化型モノマーとしては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものが挙げられる。特に好ましく用いられる紫外線硬化型モノマーとしては、紫外線重合性の官能基を有するもの、中でも、前記官能基を少なくとも2つ有するものがあげられるが、特に前記官能基を2つ有するモノマーが好ましい。前記官能基が1つのモノマーの場合は、光重合によるフィルム化が起こりにくい。
このような紫外線硬化型モノマーの具体例としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸エステル等のアクリレートモノマー、多価アルコールのメタクリル酸エステル等のメタクリレートモノマー、ジイソシアネート、多価アルコールおよびアクリル酸のヒドロキシアルキルエステルから合成される多官能性ウレタンアクリレートモノマー、多価アルコールおよびメタクリル酸のヒドロキシメタクリルエステル等から合成される多官能性のウレタンメタクリレートモノマー等が挙げられる。また、メラミン系モノマー、ウレタン系モノマー、アルキド系モノマー、シリコーン系モノマー等も好ましく用いられる。これらの中でも、前記重合性官能基がアクリレート基であるものが特に好ましい。
前記モノマーは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。また、前記モノマーとして、市販の光硬化型モノマー等を用いることも可能である。また、光硬化型の液晶モノマーを用いることも好ましく、この場合も、2つのアクリレート基を有する液晶モノマーであることがより好ましい。液晶モノマーを用いることで、分子配向に由来した側鎖同士の反応推進が期待できる。前記液晶モノマーとしては、例えば、BASF社製の商品名Paliocolor(登録商標)LC242、高砂香料株式会社製の商品名L42、L55などが挙げられる。
前記モノマーとしては、例えば、下記一般式(1)の化合物があげられる。
Figure 2010117714
前記式(1)において、R、Rは、それぞれ独立に水素若しくはメチル基であるが、R、Rの両方が水素であることが好ましい。前記X、Xは、それぞれ独立にエーテル基、カルボニル基、エステル基およびカーボネート基からなる群から選択される。Zは、水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基あるいはアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基からなる群から選択されるが、塩素またはメチル基であることが好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等があげられ、その他、チオキサントン系化合物等が使用できる。
本発明の光学素子の製造方法において、前記低分子物質として溶媒を用いることが好ましい。前記低分子物質は、光学素子形成材料層に光線照射されることにより、主として前記貫通孔に偏在する。前記低分子物質が溶媒であると、前記フィルム状透明マトリックスおよび前記貫通孔形成後に、前記貫通孔に偏在する溶媒を、常温または加熱、減圧、ブロアー等により容易に揮発させ除去することが可能である。また、高沸点溶媒等の比較的揮発し難い材料を用いた場合、前記貫通孔形成後に低沸点溶媒で溶出させることも可能である。前記低分子物質を除去する場合、前記低分子物質除去後の貫通孔は、そのままの状態(空気が存在)でもよいし、前記貫通孔中に前記フィルム状透明マトリックスとは屈折率の異なる他の物質を充填することも好ましい。この方法によると、後述する各々のSP値が所定の範囲にない組み合わせの材料であっても、本発明の構造の光学素子を容易に製造することができるので、様々な特性を有する光学素子の設計が可能となる。
充填する物質としては、紫外線硬化や熱硬化のエポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂、アクリル系樹脂やそれらの混合物を用いることができる。また、必要に応じて、シリカやチタニア、ジルコニア、ガラス等の無機粒子や、染料や顔料を、前記樹脂やそれらの混合物に添加することができる。また、熱可塑性樹脂と溶媒との混合液を貫通孔に含浸させた後に、溶媒を除去することにより貫通孔に物質を充填することができる。
前記低分子物質として、光重合以外の方法で重合する架橋基を有する物質を使用することもできる。この場合、前記光線照射工程の後に、例えば、熱重合工程等の工程を行って、前記低分子物質を架橋させて、前記貫通孔を形成することができる。この場合、前記低分子物質を選択的に着色または染色することにより、光学特性を制御することも可能である。
本発明の光学素子の製造方法においては、前記モノマーおよび前記低分子物質として、各々のSP値の差が、1.5〜3の範囲となるよう組み合わせて用いる。好ましくは1.6〜2.9の範囲であり、より好ましくは1.7〜2.8の範囲である。SP値とは、溶解度パラメーター(Solubility Parameter:δ)であり、本発明においては、Small, 「Some factors affecting the solubility of polymers」,J.appl.Chem.,3,February,1953,p71−80 の記載に基づき、次の式で算出されるものである。
Figure 2010117714
上記式において、Fは分子引力定数(=(E・V)1/2)、Eは蒸発エネルギー、Vはモル体積、eは各構成基の蒸発エネルギー、nは各構成基の数である。前記SP値の差が3を超えると、前記モノマーと前記低分子物質とが相溶しない場合がある。また、前記SP値の差が1.5未満であると、相溶性が良すぎるために重合相分離が起こりにくく、前記貫通孔が形成されにくくなる。
本発明の光学素子の製造方法において、前記モノマーとして、SP値が11.7〜13.4の範囲であるものを用いることが好ましい。SP値が前記範囲内にある低分子物質としては、例えば、前記液晶モノマーLC242(SP値:12.3)があげられる。
本発明の光学素子の製造方法において、前記低分子物質として、SP値が、9.7〜10.4の範囲であるものを用いることが好ましい。SP値が前記範囲内にある低分子物質としては、例えば、シクロペンタノン(SP値:10.4)、塩化メチレン(SP値:9.7)があげられる。
前記光学素子形成材料は、さらに、任意の適切な添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、架橋剤、増粘剤、金属類等があげられる。
前記界面活性剤は、前記光学素子形成材料を基材上に展開して前記光学素子形成材料層を形成する際、前記別の基材を用いずに、すなわち、空気との接触下で前記光学素子形成材料層を形成する場合に、平滑な表面を形成すること等を目的に配合するものである。前記界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等があげられる。
また、前記光学素子形成材料は、例えば、前記モノマーと前記低分子物質との相溶性に著しい変化が生じない範囲で、異なる他の樹脂を含有してもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等があげられる。
前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレ−ト(PMMA)、ABS樹脂、およびAS樹脂等があげられる。前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテ−ト(POM)、ポリカーボネ−ト(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、およびポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)等があげられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレ−ト(PAR)、および液晶ポリマー(LCP)等があげられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノ−ルノボラック樹脂等があげられる。
このように、前記他の樹脂等を前記光学素子形成材料に配合する場合、その配合量は、例えば、前記光学素子形成材料に対して、例えば、0〜50重量%の範囲であり、好ましくは、0〜30重量%の範囲である。
前記光学素子形成材料層の形成方法としては、2枚の基材間に挟み込むという簡便な方法により形成することができるが、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等もあげられる。
本発明の光学素子は、LCD用の視野角制御フィルムに好ましく用いうる。前記貫通孔の軸方向を選択して本発明の光学素子をLCDに使用することにより、その選択した方向付近において視認を良好にすることができる。また、本発明の光学素子は、LCD用の視野角拡大フィルムとしても好ましく用いうる。例えば、LCDにおいて斜め方向の視野からの階調反転を改善することが可能となるため、本発明の光学素子を階調反転する視野方向に合わせて積層することにより、視野角を拡大することができる。
本発明の光学素子を使用した液晶表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等である。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。また、各実施例および各比較例における各種特性および物性の測定および評価は、下記の方法により実施した。
(光学素子の厚さ)
デジタルマイクロメーター(アンリツ製(株)、商品名「K−351C型」)を用い、基材に挟まれた状態の光学素子の全体厚さを測定し、前記全体厚さから、基材の厚さを差し引くことにより、光学素子の厚さを算出した。
(散乱特性測定)
散乱光学特性は、光学フィルム特性評価装置(シグマ光機(株)製、商品名「ゴニオフォトメーター」)を用いて測定した。
(表面・断面形状観察)
光学素子の表面、および断面の形状は、300mm対応半導体FPD検査顕微鏡(オリンパス(株)製、商品名「MX61L」)を用いて観察した。光学素子表面は倍率100倍で、光学素子断面は倍率50倍で観察を行った。
(貫通孔の直径)
光学素子の貫通孔の直径は、光学素子表面の顕微鏡写真を倍率100倍で撮影し、1サンプルあたり40点について算出し、その操作を4回行った。直径の平均値については、前記40点の観察結果の平均値を算出し、この操作を4回行い、それぞれの算出結果の平均値を求めた。
[実施例1]
モノマーとして、商品名「Paliocolor(登録商標)LC242」(BASF社製、SP値:12.3)を0.4g、低分子物質として、シクロペンタノン(CPN、SP値:10.4)を0.38g、および光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.02g混合して、光学素子形成材料とした。LC242は2つのアクリレート基を有する、下記化学式(2)で表わされる液晶モノマーである。
Figure 2010117714
前記光学素子形成材料を、基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学(株)製、商品名「FRV75」、厚み75μm)に滴下し、さらにその上から前記PETフィルムと同じフィルムを置き、図1に示すように前記光学素子形成材料1を2枚のPETフィルム2間に挟み込み、光学素子形成材料層とした。これを紫外線照射装置(山下電装(株)製、紫外線照射光源「HC−300FM」)に置き、波長365nmの偏光コリメート光(140(mJ/cm)・min、2mW/cm)を、前記フィルムの略法線方向から照射した。
前記照射により、光学素子形成材料は硬化し、前記2枚のPETフィルムの間には、フィルム状の光学素子が得られた。前記光学素子を有するPETフィルムの散乱特性を測定したところ、図2に示す特性を示し、指向性散乱が確認できた。また、作製した光学素子の表面と断面の観察を行ったところ、図3(a)の写真に示すように、得られた光学素子の表面には、直径が2〜6μmの範囲の略円形の構造が多数確認できた。前記直径の平均値は、4μmであった。また、図3(b)の写真に示すように、得られた光学素子の厚み方向には、貫通孔が互いに軸方向が略平行となる状態で、前記光線照射方向に沿う方向(厚さ方向に略平行方向)に形成されていた。
[実施例2]
モノマーとして、前記LC242(SP値:12.3)を0.2g、低分子物質として、CPN(SP値:10.4)を0.79g、および光重合開始剤としてイルガキュアー184を0.01g混合して光学素子形成材料とした以外は、実施例1と同様な条件にて、本実施例に係る光学素子を作製した。
[実施例3]
モノマーとして、前記LC242(SP値:12.3)を0.4g、低分子物質として、塩化メチレン(SP値:9.7)を0.38g、および光重合開始剤としてイルガキュアー184を0.02g混合して光学素子形成材料とした以外は、実施例1と同様な条件にて、本実施例に係る光学素子を作製した。
[実施例4]
モノマーとして、前記LC242(SP値:12.3)を0.2g、低分子物質として、塩化メチレン(SP値:9.7)を0.79g、および光重合開始剤としてイルガキュアー184を0.01g混合して光学素子形成材料とした以外は、実施例1と同様な条件にて、本実施例に係る光学素子を作製した。
[実施例5]
図4に示すように、紫外線照射側のPETフィルム2の上に半値幅20°の拡散板3(Luminit社製、商品名「LSD20」、厚み135μm)を設置した以外は、実施例1と同様な条件にて、本実施例に係る光学素子を作製した。前記光学素子を有するPETフィルムの散乱特性を測定したところ、図2に示す特性を示し、実施例1よりは弱いものの指向性散乱が確認できた。
[実施例6]
モノマーとして、前記LC242(SP値:12.3)を0.4g、低分子物質として、CPN(SP値:10.4)を0.38g、および光重合開始剤としてイルガキュアー184を0.02g混合して光学素子形成材料とした。以外は、実施例1と同様な条件にて、本実施例に係る光学素子を作製した。
前記光学素子形成材料を、実施例1と同様に、2枚のPETフィルム間に挟み込み、光学素子形成材料層とした。これを紫外線照射装置(山下電装(株)製、紫外線照射光源「HC−300FM」)に置き、波長365nmの偏光コリメート光(140(mJ/cm)・min、2mW/cm)を、前記フィルムの略法線方向から照射した。
前記照射により、光学素子形成材料を硬化させた。前記2枚のPETフィルムを剥離し、低分子物質を揮発させ除去することにより、フィルム状の光学素子が得られた。得られた光学素子は、指向性散乱を示した。その表面を観察した結果、図3(a)と同様に、略円形の空孔が多数確認できた。前記空孔の直径は2〜6μmの範囲であり、平均値は、4μmであった。また、断面観察したところ、図3(b)と同様に、得られた光学素子の厚み方向には、貫通孔が互いに軸方向が略平行となる状態で、前記光線照射方向に沿う方向(厚さ方向に略平行方向)に形成されていた。
[実施例7]
モノマーとして、前記LC242(SP値:12.3)を0.4g、低分子物質として、CPN(SP値:10.4)を0.38g、および光重合開始剤としてイルガキュアー184を0.02g混合して光学素子形成材料とした。前記光学素子形成材料を、実施例1と同様に、2枚のPETフィルム間に挟み込み、光学素子形成材料層とした。これを紫外線照射装置(山下電装(株)製、紫外線照射光源「HC−300FM」)に置き、波長365nmの偏光コリメート光(140(mJ/cm)・min、2mW/cm)を、前記フィルムの法線方向から30°の入射角で照射した。
前記照射により、光学素子形成材料は硬化し、前記2枚のPETフィルムの間には、フィルム状の光学素子が得られた。作製した光学素子の断面の観察を行ったところ、図5(a)の写真に示すように、得られた光学素子の厚み方向には、貫通孔が互いに軸方向が略平行となる状態で、前記光線照射方向に沿う方向(厚さ方向に対し略30°の方向)に形成されていた。また、前記光学素子を有するPETフィルムの散乱特性を測定したところ、図5(b)に示す特性を示し、光入射角30°付近で指向性を有する散乱特性が確認できた。
[比較例1]
モノマーとして、モノアクリレートであるベンジルメタクリレート(SP値:10.8)を用いた以外は、実施例1と同様な条件とした。しかし、紫外線照射後も、光学素子形成材料層はフィルム化しなかった。
[比較例2]
モノマーとして、モノアクリレートであるベンジルメタクリレート(SP値:10.8)を用いた以外は、実施例2と同様な条件とした。しかし、紫外線照射後も、光学素子形成材料層はフィルム化しなかった。
[比較例3]
モノマーとして、モノアクリレートであるベンジルメタクリレート(SP値:10.8)を用いた以外は、実施例3と同様な条件とした。しかし、紫外線照射後も、光学素子形成材料層はフィルム化しなかった。
[比較例4]
モノマーとして、モノアクリレートであるベンジルメタクリレート(SP値:10.8)を用いた以外は、実施例4と同様な条件とした。しかし、紫外線照射後も、光学素子形成材料層はフィルム化しなかった。
[比較例5]
モノマーとして、モノアクリレートであるベンジルメタクリレート(SP値:10.8)を、低分子物質としてキシレン(SP値:8.8)を用いた以外は、実施例3と同様な条件とした。しかし、紫外線照射後も、光学素子形成材料層はフィルム化しなかった。
[比較例6]
モノマーとして、モノアクリレートであるベンジルメタクリレート(SP値:10.8)を、低分子物質としてキシレン(SP値:8.8)を用いた以外は、実施例4と同様な条件とした。しかし、紫外線照射後も、光学素子形成材料層はフィルム化しなかった。
[比較例7]
図4に示すように、紫外線照射側のPETフィルム2の上に半値幅40°の拡散板3(Luminit社製、商品名「LSD40」、厚み135μm)を設置した以外は、実施例1と同様な条件にて、本比較例に係る光学素子を作製した。光学素子形成材料層はフィルム化したが、前記光学素子を有するPETフィルムの散乱特性を測定したところ、図2に示す特性を示し、指向性散乱は確認できなかった。
[比較例8]
低分子物質として酢酸エチル(SP値:9.1)を用いた以外は、実施例2と同様な条件にて、本比較例に係る光学素子を作製した。光学素子形成材料層はフィルム化(白濁硬化)したが、前記光学素子を有するPETフィルムの散乱特性を測定したところ、図6に示す特性を示し、指向性散乱は確認できなかった。また、作製した光学素子の表面と断面の観察を行ったところ、図7の写真に示すように、得られた光学素子の表面には、実施例1に係る光学素子で見られた略円形の構造は見られなかった。また、得られた光学素子の厚み方向には、貫通孔も見られなかった。
[比較例9]
低分子物質としてトルエン(SP値:8.9)を用いた以外は、実施例2と同様な条件にて、本比較例に係る光学素子を作製した。光学素子形成材料層はフィルム化(白濁硬化)したが、前記光学素子を有するPETフィルムの散乱特性を測定したところ、比較例8と同様に指向性散乱は確認できなかった。
各実施例および各比較例の光学素子形成材料の組成、並びに各種特性および物性の評価結果を下記表1に示す。
Figure 2010117714
前記表1に示すとおり、実施例1〜6の光学素子は、貫通孔が形成され、指向性拡散を示した。一方、比較例1〜6については、紫外線照射後も、光学素子形成材料層はフィルム化しなかった。比較例7については、指向性散乱を示さなかった。比較例8および9については、光学素子形成材料層はフィルム化したが、貫通孔は確認できず、また、指向性散乱を示さなかった。
本発明の光学素子は、液晶表示装置に好適に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等である。
1 光学素子形成材料層
2 基材
3 拡散板

Claims (14)

  1. フィルム状透明マトリックス中に複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔が、互いに軸方向が略平行となる状態で配置されており、前記貫通孔の軸方向が、前記フィルム状透明マトリックスの厚さ方向に対して、傾斜している、または略平行であることを特徴とする光学素子。
  2. 前記貫通孔の直径が、0.5〜10μmの範囲である請求項1記載の光学素子。
  3. 厚さが10〜470μmの範囲である請求項1または2記載の光学素子。
  4. 光学素子を有する指向性拡散フィルムであって、前記光学素子が、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学素子であることを特徴とする指向性拡散フィルム。
  5. フィルム状透明マトリックス中に複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔が、互いに軸方向が略平行となる状態で配置されており、前記貫通孔の軸方向が、前記フィルム状透明マトリックスの厚さ方向に対して、傾斜している、または略平行であって、前記貫通孔には低分子物質が充填された状態である光学素子を製造する方法であって、
    互いのSP値の差が、1.5〜3の範囲である光重合性官能基を含むモノマーと低分子物質とを含む光学素子形成材料を準備する工程と、
    前記光学素子形成材料を基材上に展開して光学素子形成材料層を形成する工程と、
    前記光学素子形成材料層に平行光線を照射する工程とを含むことを特徴とする光学素子の製造方法。
  6. 前記モノマーとして、SP値が11.7〜13.4の範囲であるものを用いる請求項5記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記低分子物質として、SP値が、9.7〜10.4の範囲であるものを用いる請求項5または6に記載の光学素子の製造方法。
  8. 前記モノマーとして、少なくとも液晶モノマーを用いる、請求項5から7のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  9. 前記モノマーとして、少なくとも2つの重合性官能基を有し、前記重合性官能基が、アクリレート基であるものを用いる請求項5から7のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  10. 前記低分子物質として溶媒を用いる請求項5から9のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  11. 前記光学素子形成材料層の形成工程において前記基材上に展開された光学素子形成材料層上に、さらに別の基材を配置して、両基材で光学素子形成材料層を挟持し、この状態で前記平行光線照射を実施する請求項5から10のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  12. 前記平行光線を照射する工程の後、前記低分子物質を除去する工程を有する、請求項5から11のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  13. 前記低分子物質を除去する工程の後、前記平行光線を照射する工程で重合されてなるポリマーの屈折率とは異なる屈折率を有する物質を、低分子物質除去部に充填する請求項12記載の光学素子の製造方法。
  14. 光学素子であって、請求項5から13のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法によって製造されることを特徴とする光学素子。
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