JP2010112526A - ボルト用防錆キャップ - Google Patents
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Abstract
【課題】 温度変化に伴うキャップ内圧の変動が防錆効果に影響しないようにする。
【解決手段】 底鋼板1のボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介し仮固定したボルト5の軸部5aを被覆する胴体部20aと、ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17に嵌めて取り付ける開口部20bを有するボルト用防錆キャップ20を、可撓性を有する材質製とし、円錐形状とした反開口側端部の頂点部分に内外方向に貫通するスリット21を設ける。温度変化に伴ってキャップ内圧が変動するときには、スリット21を通して空気を出し入れさせることで、ボルト用防錆キャップ20がボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17から抜ける虞や、ボルト仮固定ナット14との間を通して水を吸い上げる虞を解消させる。スリット21が弁の役割を果たすことで水の直接の進入も阻止させる。
【選択図】図1
【解決手段】 底鋼板1のボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介し仮固定したボルト5の軸部5aを被覆する胴体部20aと、ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17に嵌めて取り付ける開口部20bを有するボルト用防錆キャップ20を、可撓性を有する材質製とし、円錐形状とした反開口側端部の頂点部分に内外方向に貫通するスリット21を設ける。温度変化に伴ってキャップ内圧が変動するときには、スリット21を通して空気を出し入れさせることで、ボルト用防錆キャップ20がボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17から抜ける虞や、ボルト仮固定ナット14との間を通して水を吸い上げる虞を解消させる。スリット21が弁の役割を果たすことで水の直接の進入も阻止させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、鋼板同士の重ね合せ部を締結するためのボルトを一方の鋼板のボルト孔に予めボルト仮固定ナットを用いて仮固定した状態で、上記ボルトの軸部の先端と周りを覆うように配置して、開口部を上記ボルト仮固定ナットに設けてあるキャップ取付部に取り付けて密着させることで、上記ボルトの発錆を未然に防止するために用いるボルト用防錆キャップに関するものである。
近年、橋梁を構成するための床版としては、床版のコンクリート層の下面を形成する型枠をパネル状の底鋼板として、該底鋼板の内側にコンクリートを直接打設することで、上記底鋼板とコンクリート層とを一体に結合させるようにした形式の合成床版が用いられるようになってきている。
この種の合成床版を架設するには、先ず、主桁上に底鋼板を径間方向に並べて配設した後、隣接する底鋼板同士の連結作業が必要となる。
上記隣接する底鋼板同士を連結する場合、通常は、図4に示す如く、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士の上側に添接板2を重ねて配置した状態にて、上記各底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部に穿設してあるボルト孔3,4に対し、底鋼板1の下面側からボルト(高力ボルト)5を挿通させる。その後、上記添接板2の上側に突出する上記ボルト5の先端部に、ワッシャ7を嵌めてから、ナット6を螺着させて締め込むことで、鋼板同士の重ね合わせ部としての上記各底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部を、ボルト5によりそれぞれ接合し、これにより、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士を、上記添接板2を介して連結させるようにしてある。
上記のようにしてボルト5を用いて底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部を接合する際には、底鋼板1の下面側から上記ボルト孔3,4に挿通させたボルト5が脱落(落下)しないように保持した状態で、添接板2の上側からナット6を螺着させて締め込む必要が生じていた。
そこで、上記合成床版の底鋼板1の架設現場における底鋼板の下面側からの作業を解消できるようにするための手法として、上記底鋼板1のボルト孔3に下方より挿通させたボルト5を、上記ボルト孔3の部分に脱落しないように保持させることが考えられてきている。
図5(イ)(ロ)(ハ)は上記底鋼板1のボルト孔3にボルト5を脱落しないよう保持させるための手段の一例として、従来提案されている引っ掛けリング8を用いた手法を示すものである。
上記引っ掛けリング8は、底鋼板1に穿設してあるボルト孔3よりもやや大きい外径寸法を有し、且つ軸心方向の長さ寸法(高さ寸法)を、上記添接板2の板厚よりも小さい寸法としたリング形状の部材の内周面に、上記ボルト5の軸部(ねじ部)5aに螺着させるための雌ねじ部(図示せず)を設けた構成としてある。これにより、図5(イ)に示す如く、隣接する底鋼板1の突合せ端部に設けてあるボルト孔3に、ボルト5を下方からそれぞれ挿通させた後、該各ボルト5の軸部5aに、上記引っ掛けリング8を上方からねじ結合により嵌めて、該引っ掛けリング8を上記各底鋼板1のボルト孔3の周りに当てることで、予め、上記各底鋼板1のボルト孔3に、ボルト5を、落下を防止した状態で保持させることができるようにしてある。
したがって、その後は、図5(ロ)に示すように、上記各底鋼板1の突合せ端部の上側に、上記引っ掛けリング8が通過できる大きさのボルト孔4を穿設してなる添接板2を、該ボルト孔4に上記各底鋼板1のボルト孔3に保持させてあるボルト5を挿通させるようにして上方から載置した後、図5(ハ)に示すように、上記ボルト5に、ワッシャ7を介してナット6を上方から嵌めて添接板2の上側から締め込むことで、各底鋼板1に対する添接板2の接合作業、すなわち、該添接板2を介した上記底鋼板1同士の連結作業を、底鋼板1の上側からの作業のみで実施できるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、上記のようにして底鋼板1のボルト孔3に仮固定を行ったボルト5は、該仮固定作業の後、底鋼板1を施工現場へ搬入する工程と、底鋼板1を主桁上に径間方向に並べて配設する工程と、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士の上側に、添接板2を載置する工程と、更には、該添接板2のボルト孔4の位置を利用して、上記ボルト孔3にボルト5が仮固定してある各底鋼板1の位置を修正する工程とを経て、上記ボルト5に底鋼板1と添接板2を接合するためのナット6を本締めするまでの間、屋外に暴露される。
そのため、上記底鋼板1のボルト孔3へのボルト5の仮固定作業から、現地本締め作業までに期間が空くと、上記ボルト5の軸部に錆が発生する虞があり、上記ボルト5の軸部5aに錆が発生すると、トルク係数が乱れ、本締め後の軸力が安定しなくなるという問題が懸念される。
そこで、従来は、通常、上記底鋼板1に仮固定するボルト5として、プライマーによって予め防錆処理されているボルト5を用いることで、底鋼板1のボルト孔3への仮固定作業から、現地本締め作業までの間に該ボルト5の軸部5aにおける錆の発生を抑えるようにしていた。
しかし、上記底鋼板1のボルト孔3に仮固定するボルト5として、予め防錆処理されたボルト5を用いる場合は、橋梁の合成床版の架設に用いられるボルト5の数が膨大であることに起因して、一般のボルト(高力ボルト)を用いる場合に比してコストが大幅に嵩むという問題がある。
なお、図6に示す如く、2枚の板9,10の接合に用いられている締結後のボルト11の軸部11aとナット12の防食(防錆)を行うための手段の1つとしては、ボルト11の軸部11aの先端と側面を覆うねじ被覆部13aと、ナット12を覆う頭部被覆部13bと、ナット12のつば12aを覆うつば被覆部13cと、板9に沿って広がる板被覆部13dからなる防食キャップ13を、亜鉛粉末入りPVCにより製作して、該防食キャップ13を、上記ボルト11の軸部11aとナット12を被覆するように装着させる手法が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
そのため、図5(イ)に示したように底鋼板1のボルト孔3に仮固定したボルト5の軸部5aの防錆を図るための対策として、該ボルト5に、図6に示した如き防食キャップ13を被せることが考えられる。
しかし、上記図6に示した防食キャップ13は、板被覆部13dと板9との間を密閉できるようにはなっておらず、又、ねじ被覆部13aによってボルト11の軸部11aの先端と側面を覆うように装着した状態であっても、ねじの溝に沿って螺旋状の空間部が存在していて、防食対象となるボルトの軸部と外気との接触を遮断して密封できるものではないため、ボルト11の軸部11aの外気や水との接触を阻止して、該軸部11aにおける発錆を確実に防止させることは難しい。
そこで、本発明者は、先の出願(特願2007−302596号)にて、2枚の鋼板同士の重ね合わせ部を接合するために上記2枚の重ね合わせ鋼板のうちの一方の鋼板のボルト孔に挿通して仮固定した状態のボルトを、外気との接触を遮断できるようにして、該ボルトの軸部の防錆を行うことができるようにした締結用ボルトの防錆方法及び装置を提案している。
上記締結用ボルトの防錆装置は、図7(イ)(ロ)(ハ)に示す如く、ボルト5を用いて接合するようにする2枚の重ね合わせ鋼板としての合成床版の底鋼板1と添接板2のうちの一方の鋼板としての底鋼板1のボルト孔3に一側面側としての下面側から挿通させるボルト5の軸部5aに螺合させた状態で、上記底鋼板1のボルト孔3における他側面側端部としての上面側端部に密着できるようにしてあるボルト仮固定ナット14と、長手方向一端部が閉塞した筒状として長手方向一端側の胴体部15aを上記ボルト5の軸部5aの先端と側面の周りに被覆するようにしてあり且つ長手方向他端側の開口部15bを、上記ボルト仮固定ナット14に接触させて該開口部15bと上記ボルト仮固定ナット14との間を密閉するための防錆キャップ15とを備えた構成としてある。
更に、上記ボルト仮固定ナット14は、外径寸法が底鋼板1に設けてあるボルト孔3よりも細径となる軸心方向の一端部から上記底鋼板1のボルト孔3よりも所要寸法太径となる軸心方向の他端部へ向けて外周面が徐々に拡径するテーパ部16を備えると共に、該テーパ部16の軸心方向他端側に、上記テーパ部16における太径側となる軸心方向他端部の外径よりも所要寸法小さい外径寸法で軸心方向に所要寸法延びる円筒状のキャップ取付部17の軸心方向一端部が一体に取り付けた構成としてある。
上記ボルト仮固定ナット14の内周面には、上記底鋼板1と添接板2の接合に用いるボルト5の軸部5aに螺着させるための雌ねじ部18が設けてある。
上記ボルト仮固定ナット14は、所要の弾性変形を許容できるように、たとえば、合成樹脂製、あるいは、黄銅、銅、アルミニウム等、上記底鋼板1及びボルト5に比して柔らかい金属製としてある。
上記防錆キャップ15は、可撓性を有する樹脂製として、長手方向他端部の開口部15bの内径寸法が、上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17の外径寸法よりもやや小さくなるようにして、該防錆キャップ15の開口部15bを、上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17の外周に被せるようにして取り付けることで、該防錆キャップ15の開口部15bの内周面と、ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17の外周面とを密着させて、該防錆キャップ15とボルト仮固定ナット14との間を密閉できるようにしてある。
更に、上記防錆キャップ15の胴体部15aは、上記ボルト5の軸部5aの外径より
もやや小さい内径に設定して、該防錆キャップ15の胴体部15aを、ボルト5の軸部5aに先端側から被せると、該胴体部15aの内周面を、長手方向の長い範囲に亘って上記ボルト5の軸部5aの外周に密着させることができて、この軸心方向の長い範囲に亘ってボルト5の軸部5aの外周に密着する胴体部15aにより、上記防錆キャップ15をボルト5に装着した状態で保持するための強い保持力を発揮させることができるようにしてある。
もやや小さい内径に設定して、該防錆キャップ15の胴体部15aを、ボルト5の軸部5aに先端側から被せると、該胴体部15aの内周面を、長手方向の長い範囲に亘って上記ボルト5の軸部5aの外周に密着させることができて、この軸心方向の長い範囲に亘ってボルト5の軸部5aの外周に密着する胴体部15aにより、上記防錆キャップ15をボルト5に装着した状態で保持するための強い保持力を発揮させることができるようにしてある。
以上の構成としてあるボルト仮固定ナット14と防錆キャップ15を使用して、上記2枚の重ね合わせ鋼板としての合成床版の底鋼板1と添接板2の接合に用いるボルト5を、上記底鋼板1のボルト孔3に仮固定した状態で防錆する場合は、工場等にて、図7(イ)に示す如く、上記底鋼板1のボルト孔3に、下方よりボルト(高力ボルト)5、たとえば、トルシア型のボルト5を挿通させて配置した後、該ボルト5の軸部5aに、上記ボルト仮固定ナット14を、テーパ部16が設けてある軸心方向の一端部側より嵌めて雌ねじ部18を螺着させる。その後、上記ボルト仮固定ナット14を、上記ボルト5に対して締め込むことにより、ボルト仮固定ナット14の上記ボルト5に対する締付け軸力を利用して、該ボルト仮固定ナット14のテーパ部16を、細径側となる一端部より、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部とボルト5との隙間にねじ込んで楔状に食い込ませるようにする。これにより、上記ボルト仮固定ナット14より上記ボルト5に強い締付け軸力を作用させることができ、該ボルト仮固定ナット14とボルト5との間には、大きな摩擦力が発生するようになる。又、上記ボルト仮固定ナット14は、上記ボルト5に作用させる強い締付け軸力により、テーパ部16における本来上記底鋼板1のボルト孔3と同径となる位置よりも太径となる部分まで、上記ボルト孔3とボルト5との隙間に強制的に楔状に食い込まされることで、該底鋼板1のボルト孔3とボルト5との隙間において圧縮弾性変形され、その復元力により、該ボルト仮固定ナット14のテーパ部16の外周面が、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部の内周面に、周方向の全周に亘り強く密着するため、該ボルト仮固定ナット14と上記底鋼板1のボルト孔3との間にも大きな摩擦力が生じる。よって、上記ボルト5が、上記底鋼板1のボルト孔3に、該ボルト孔3とボルト仮固定ナット14の間の大きな摩擦力、及び、該ボルト仮固定ナット14とボルト5の間の大きな摩擦力によって回転が防止された状態で仮固定されるようにしてある。
更に、この際、上記したようにボルト仮固定ナット14のテーパ部16の外周面が、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部の内周面に、周方向の全周に亘り強く密着することに伴い、該ボルト仮固定ナット14と、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部内周面との間(図中のA個所)が密閉されるようにしてある。
上記のようにして底鋼板1のボルト孔3に、ボルト5を回転を防止した状態で仮固定した後は、図7(ロ)に示す如く、上記ボルト孔3に上記ボルト仮固定ナット14を介してボルト5を仮固定してなる底鋼板1の下面側における上記ボルト5の頭部5bを含む所要領域、たとえば底鋼板1の下面の全面に、先行塗装となる塗装を施すようにすることで、上記ボルト5の頭部5bと、底鋼板1の下面との間(図中のB個所)が塗膜19により密閉されるようにしてある。
又、上記底鋼板1のボルト孔3に上記ボルト仮固定ナット14を介して仮固定したボルト5の軸部5aに、先端側より上記防錆キャップ15の胴体部15aを被せると共に、該防錆キャップ15の開口部15bを、上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17に被せて取り付け、これにより、上記防錆キャップ15の開口部15bと、ボルト仮固定ナット14との間(図中のC個所)が密閉されるようにしてある。
以上により、上記図中のA,B,Cの3個所が密閉されることで、上記ボルト5の軸部5aの外気との接触を遮断して、該ボルト5の軸部5aの防錆が図られるようにしてある。
その後、上記のようにして防錆が図られたボルト5がボルト孔3に取り付けてある底鋼板1は、施工現場へ搬入して、該底鋼板1を主桁上に径間方向に並べて配設した後、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士の上側に、図7(ハ)に示す如く(図7(ハ)では片方の底鋼板1のみを示してある)、該各底鋼板1のボルト孔3と対応する位置に上記ボルト仮固定ナット14のテーパ部16の太径側端部となる軸心方向他端部の外径よりも所要寸法大きなボルト孔4を穿設してなる添接板2を上方から載置して、該添接板2のボルト孔4に、上記底鋼板1のボルト孔3に仮固定してあるボルト5を、それぞれ挿通させるようにし、しかる後、上記添接板2の上方へ突出する上記各ボルト5の軸部5aに装着されている防錆キャップ15の一端部をつまんで上方へ引き抜くことで、該防錆キャップ15の撤去を行った後、該各ボルト5の軸部5aにワッシャ7を介してナット6を嵌めて、該ナット6をボルト5に対して締め込むことで、上記底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部を、ボルト5によりそれぞれ接合する。これにより、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士を、上記添接板2を介して連結できるようにしてある。
ところが、本発明者が先の出願(特願2007−302596号)で提案している締結用ボルトの防錆手法によれば、2枚の重ね合わせ鋼板としての底鋼板1と添接板2のうちの一方の鋼板としての底鋼板1のボルト孔3に、ボルト5をボルト仮固定ナット14を介して仮固定した後、該ボルト5の頭部5bを含む上記底鋼板1の一側面部への塗装と、ボルト5の軸部5aに先端と側面を被覆するよう装着する上記防錆キャップ15の開口部15bの上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17への取り付けにより、該ボルト5の軸部5aを外気より遮断して防錆を図ることができ、この防錆の効果を、上記ボルト5に対するナット6の本締めを行うために該ボルト5の軸部5aから上記防錆キャップ15を撤去する時点まで持続させるのに有効であるが、上記のようにしてボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介してボルト5を仮固定し、且つ該ボルト仮固定ナット14と、ボルト5の頭部5bを含む上記底鋼板1の一側面部への塗装と、上記防錆キャップ15によりボルト5の防錆を図るようにした状態としてある上記底鋼板1が、屋外に暴露されて日射や雨に曝されることで温度変化が生じ、この底鋼板1の温度変化に伴われて該底鋼板1のボルト孔3に取り付けられているボルト5が温度変化すると、該ボルト5の軸部5aに装着してある上記防錆キャップ15内部の気圧が変化することで、防錆機能に影響が生じる虞が懸念される。
すなわち、一般に鋼板が夏季に日照を受けると、60℃〜70℃にも達することがある。よって、上記防錆キャップ15の開口部15bとボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17との密閉性が保持されている状態で、上記底鋼板1の温度上昇に伴ってボルト孔3に仮固定されているボルト5が温度上昇すると、該ボルト5の軸部5aに装着してある防錆キャップ15の内部に封入されている空気が温度上昇して体積が膨張し、該防錆キャップ15の内部圧力が外気圧よりも高くなることに起因して、該防錆キャップ15がボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17より抜けて、防錆効果が低下する虞が懸念される。
一方、上記ボルト孔3にボルト5を仮固定した状態で屋外に暴露されている上記底鋼板1が、外気温の低下に伴い温度低下し、これに伴い、ボルト孔3に仮固定されているボルトが温度低下すると、該ボルト5の軸部5aに装着してある防錆キャップ15の内部に封入されている空気が温度低下して体積が収縮し、該防錆キャップ15の内部が負圧になることがある。この際、上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17に取り付けてある防錆キャップ15の開口部15bに雨水等による水分が存在していると、その水分を防錆キャップ15の内部に吸い上げる現象が生じて防錆効果が低下する虞が懸念される。
そこで、本発明は、本発明者が先の出願(特願2007−302596号)で提案している締結用ボルトの防錆手法にてボルト仮固定ナットを介して仮固定したボルトに装着するようにしてある防錆キャップを更に改良して、ボルトを用いて接合するようにする2枚の重ね合わせ鋼板のうちの一方の鋼板のボルト孔にボルト仮固定ナットを介して仮固定するボルトの軸部を覆うように配置すると共に、開口部を上記ボルト仮固定ナットのキャップ取付部に被せて取り付けた状態で、上記一方の鋼板の温度変化に伴うボルトの温度変化が生じても、上記ボルト仮固定ナットのキャップ取付部から抜けたり、水分を吸い上げることで防錆機能が低下する虞を解消することができるボルト用防錆キャップを提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ボルトを用いて接合する2枚の重ね合わせ鋼板のうちの一方の鋼板のボルト孔に挿通させたボルトの軸部に、軸心方向の一端側が上記鋼板のボルト孔よりも小径となるようにしてあるボルト仮固定ナットを軸心方向の一端側より螺着して締め、該ボルト仮固定ナットの軸心方向一端部を上記鋼板のボルト孔とボルトとの隙間に楔状に食い込ませることで該ボルト孔に仮固定される上記ボルトの軸部を被覆するようにしてあり、且つ開口部を上記ボルト仮固定ナットの軸心方向他端側に設けてあるキャップ取付部に取り付けて密着させるようにしてあり、更に、可撓性を有すると共に、上記開口部を除く所要個所に、内外方向に貫通するスリットを設けてなる構成とする。
又、上記構成において、ボルトの軸部を被覆する胴体部の反開口側の端部を円錐形状として、該円錐形状の頂点部分に内外方向に貫通するスリットを設けるようにした構成とする。
更に、上記各構成において、スリットの内側となる個所に、吸水部材を設けるようにした構成とする。
本発明のボルト用防錆キャップによれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ボルトを用いて接合する2枚の重ね合わせ鋼板のうちの一方の鋼板のボルト孔に挿通させたボルトの軸部に、軸心方向の一端側が上記鋼板のボルト孔よりも小径となるようにしてあるボルト仮固定ナットを軸心方向の一端側より螺着して締め、該ボルト仮固定ナットの軸心方向一端部を上記鋼板のボルト孔とボルトとの隙間に楔状に食い込ませることで該ボルト孔に仮固定される上記ボルトの軸部を被覆するようにしてあり、且つ開口部を上記ボルト仮固定ナットの軸心方向他端側に設けてあるキャップ取付部に取り付けて密着させるようにしてあり、更に、可撓性を有すると共に、上記開口部を除く所要個所に、内外方向に貫通するスリットを設けてなる構成としてあるので、上記一方の鋼板のボルト孔にボルト仮固定ナットを介して仮固定したボルトの軸部を被覆して、開口部を上記ボルト仮固定ナットのキャップ取付部に取り付けて密着させた状態で、キャップ内部空気の温度上昇に伴ってキャップ内部気圧が、外気圧に比して高くなる場合は、キャップ内部空気をスリットを通して外部へ排出することができる。一方、キャップ内部空気の温度低下に伴ってキャップ内部気圧が、外気圧に比して低くなる場合は、外部の空気をスリットを通して吸入することができる。よって、ボルト用防錆キャップの内部気圧の上昇に伴い該ボルト用防錆キャップが上記ボルト仮固定ナットのキャップ取付部より抜ける虞や、ボルト用防錆キャップの内部気圧の低下に伴い開口部と上記ボルト仮固定ナットのキャップ取付部との間を通して水分を吸い上げる虞を解消できる。
(2)又、ボルト用防錆キャップを可撓性を有する材質製とすることで、スリットが弁の役割を果たすようになるため、該スリットを通して水がボルト用防錆キャップの内部に進入する虞を未然に防止することができる。
(3)よって、上記一方の鋼板やボルトに温度変化が生じても、ボルトの防錆効果を良好に維持することができる。
(4)ボルトの軸部を被覆する胴体部の反開口側の端部を円錐形状として、該円錐形状の頂点部分に内外方向に貫通するスリットを設けるようにした構成とすることにより、水滴がスリットの外側に残り難くすることができるため、ボルト用防錆キャップの内部気圧の低下に伴いスリットを通して外部の空気を吸入する際に、水滴が吸い込まれる虞を未然に防止するのに有利な構成とすることができる。
(5)スリットの内側となる個所に、吸水部材を設けるようにした構成とすることにより、何らかの原因により万一スリットを通して水分がボルト用防錆キャップの内部に進入しても、該浸入した水分を吸水部材で吸収することができるため、ボルトに水分が達する虞を未然に防止できて、ボルトの防錆効果をより確実なものとすることが可能となる。
(1)ボルトを用いて接合する2枚の重ね合わせ鋼板のうちの一方の鋼板のボルト孔に挿通させたボルトの軸部に、軸心方向の一端側が上記鋼板のボルト孔よりも小径となるようにしてあるボルト仮固定ナットを軸心方向の一端側より螺着して締め、該ボルト仮固定ナットの軸心方向一端部を上記鋼板のボルト孔とボルトとの隙間に楔状に食い込ませることで該ボルト孔に仮固定される上記ボルトの軸部を被覆するようにしてあり、且つ開口部を上記ボルト仮固定ナットの軸心方向他端側に設けてあるキャップ取付部に取り付けて密着させるようにしてあり、更に、可撓性を有すると共に、上記開口部を除く所要個所に、内外方向に貫通するスリットを設けてなる構成としてあるので、上記一方の鋼板のボルト孔にボルト仮固定ナットを介して仮固定したボルトの軸部を被覆して、開口部を上記ボルト仮固定ナットのキャップ取付部に取り付けて密着させた状態で、キャップ内部空気の温度上昇に伴ってキャップ内部気圧が、外気圧に比して高くなる場合は、キャップ内部空気をスリットを通して外部へ排出することができる。一方、キャップ内部空気の温度低下に伴ってキャップ内部気圧が、外気圧に比して低くなる場合は、外部の空気をスリットを通して吸入することができる。よって、ボルト用防錆キャップの内部気圧の上昇に伴い該ボルト用防錆キャップが上記ボルト仮固定ナットのキャップ取付部より抜ける虞や、ボルト用防錆キャップの内部気圧の低下に伴い開口部と上記ボルト仮固定ナットのキャップ取付部との間を通して水分を吸い上げる虞を解消できる。
(2)又、ボルト用防錆キャップを可撓性を有する材質製とすることで、スリットが弁の役割を果たすようになるため、該スリットを通して水がボルト用防錆キャップの内部に進入する虞を未然に防止することができる。
(3)よって、上記一方の鋼板やボルトに温度変化が生じても、ボルトの防錆効果を良好に維持することができる。
(4)ボルトの軸部を被覆する胴体部の反開口側の端部を円錐形状として、該円錐形状の頂点部分に内外方向に貫通するスリットを設けるようにした構成とすることにより、水滴がスリットの外側に残り難くすることができるため、ボルト用防錆キャップの内部気圧の低下に伴いスリットを通して外部の空気を吸入する際に、水滴が吸い込まれる虞を未然に防止するのに有利な構成とすることができる。
(5)スリットの内側となる個所に、吸水部材を設けるようにした構成とすることにより、何らかの原因により万一スリットを通して水分がボルト用防錆キャップの内部に進入しても、該浸入した水分を吸水部材で吸収することができるため、ボルトに水分が達する虞を未然に防止できて、ボルトの防錆効果をより確実なものとすることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)及び図2は本発明のボルト用防錆キャップの実施の一形態として、2枚の重ね合わせ鋼板として、図4に示したと同様の合成床版の底鋼板1と添接板2との接合に用いるボルト5を上記底鋼板1のボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介して仮固定した状態で防錆するために適用する場合を示すもので、以下のような構成としてある。
すなわち、本発明のボルト用防錆キャップ20は、図1(イ)(ロ)に示す如く、図7(イ)(ロ)(ハ)に示した締結用ボルトの防錆装置における防錆キャップ15と同様に、ボルト5の軸部5aを被覆するための胴体部20aと、該胴体部20aの軸心方向の一端側に設けた開口部20bとを備えて、該開口部20bを上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17に取り付けることができるようにしてなる構成において、上記開口部20bを除く所要個所に、内外方向に貫通するスリット21を設けた構成とする。
具体的には、上記ボルト用防錆キャップ20は、可撓性を有するもの、たとえば、樹脂製としてあり、上記胴体部20aの軸心方向他端側にて閉塞される先端部20cを、円錐形状とすると共に、該先端部20cにおける円錐形状の頂点部分に、直線状又は十字形のスリット21(図では直線状の場合を示す)を軸心方向に沿って内外方向に貫通するように設けてある。
上記ボルト用防錆キャップ20における胴体部20aは、上記ボルト5の軸部5aの外径よりもやや小さい内径に設定してある。これにより、該ボルト用防錆キャップ20の胴体部20aを、ボルト5の軸部5aに先端側から被せると、該胴体部20aの内周面を、長手方向の長い範囲に亘って上記ボルト5の軸部5aの外周に密着させることができて、この軸心方向の長い範囲に亘ってボルト5の軸部5aの外周に密着する胴体部20aにより、防錆キャップ15をボルト5に装着した状態で保持するための強い保持力を発揮させることができるようにしてある。
更に、上記ボルト用防錆キャップ20における開口部20bは、その内径寸法が、上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17の外径寸法よりもやや小さくなるようにしてある。これにより、該ボルト用防錆キャップ20の開口部20bを、上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17の外周に被せるようにして取り付けることで、該開口部20bの内周面を、上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17の外周面に密着させて、該ボルト用防錆キャップ20と上記ボルト仮固定ナット14との間を密閉できるようにしてある。
以上の構成としてある本発明のボルト用防錆キャップ20を用いて、図4に示したと同様に2枚の重ね合わせ鋼板としての合成床版の底鋼板1と添接板2の接合に用いるボルト5を、上記底鋼板1のボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介し仮固定した状態で防錆する場合は、該ボルト用防錆キャップ20を、図7(イ)(ロ)(ハ)に示した締結用ボルトの防錆装置における防錆キャップ15と同様に使用するようにする。
すなわち、工場等にて、図2に示す如く、先ず、上記底鋼板1のボルト孔3に、下方より挿通させて配置したボルト(高力ボルト)5、たとえば、トルシア型のボルト5の軸部5aに、ボルト仮固定ナット14を、テーパ部16が設けてある軸心方向の一端部側より嵌めて雌ねじ部18を螺着させ、該ボルト仮固定ナット14を、上記ボルト5に対し締め付けて、ボルト仮固定ナット14の上記テーパ部16を上記底鋼板1のボルト孔3の上端部とボルト5との隙間に楔状に食い込ませることで、該ボルト仮固定ナット14のテーパ部16の外周面を、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部の内周面に周方向の全周に亘り強く密着させて、上記ボルト5を上記底鋼板1のボルト孔3へ回転が防止された状態で仮固定すると共に、ボルト仮固定ナット14と、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部内周面との間(図中のA個所)を密閉させる。
その後、上記底鋼板1のボルト孔3に上記ボルト仮固定ナット14を介し仮固定してあるボルト5の軸部5aに、上記本発明のボルト用防錆キャップ20の胴体部20aを被せると共に、該ボルト用防錆キャップ20の開口部20bを、上記ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17に被せて取り付けるようにする。これにより、上記ボルト用防錆キャップ20の開口部20bと、ボルト仮固定ナット14との間(図中のC個所)が密閉される。
又、上記のようにして底鋼板1のボルト孔3に上記ボルト仮固定ナット14を介して回転が防止された状態で仮固定された上記ボルト5の頭部5bを含む所要領域、たとえば、底鋼板1の下面の全面に、先行塗装となる塗装を施すようにすることで、上記ボルト5の頭部5bと、底鋼板1の下面との間(図中のB個所)を塗膜19により密閉させる。
以上により、上記図中のA,B,Cの3個所を密閉して、上記ボルト5の軸部5aの外気との接触が遮断されるようにすることで、該ボルト5の軸部5aの防錆が図られるようになる。なお、図2において図7(イ)(ロ)(ハ)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
上記のようにしてボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介してボルト5を仮固定し且つ上記本発明のボルト用防錆キャップ20を用いて上記仮固定されたボルト5の防錆を図った状態としてある上記底鋼板1が、屋外に暴露されて、たとえば、日照により温度上昇し、該底鋼板1の温度上昇に伴ってボルト孔3に仮固定されているボルト5が温度上昇すると、上記ボルト用防錆キャップ20の内側に存在している空気が温度上昇して体積が膨張するようになるが、この際、該ボルト用防錆キャップ20には、先端部20cに内外方向に貫通するスリット21が設けてあるため、上記ボルト用防錆キャップ20内にて温度上昇して膨張する空気の圧力が外気圧よりもある程度高くなると、該ボルト用防錆キャップ20の内部に存在している空気の一部が、上記スリット21を通して外部へ逃がされるようになる。このため、上記ボルト用防錆キャップ20の内部の圧力によって該ボルト用防錆キャップ20の開口部20bとボルト仮固定ナット14との間の密閉個所(図中のC個所)の密閉性が破壊される虞は未然に防止されるようになることから、ボルト用防錆キャップ20の開口部20bがボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17より抜ける虞は解消されるようになる。
又、上記ボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介してボルト5を仮固定し且つ上記ボルト用防錆キャップ20を用いて上記仮固定されたボルト5の防錆を図った状態としてある上記底鋼板1に対し、降水が生じても、上記ボルト用防錆キャップ20自体が可撓性を有するものとしてあることに基いて、該ボルト用防錆キャップ20の先端部20cに設けたスリット21は弁の役割を果たすようになるため、該スリット21を通して水滴がボルト用防錆キャップ20の内部に進入する虞は未然に防止される。
更に、上記ボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介してボルト5を仮固定し且つ上記ボルト用防錆キャップ20を用いて上記仮固定されたボルト5の防錆を図った状態としてある上記底鋼板1が、外気温の低下に伴い温度低下し、これに伴い、ボルト孔3に仮固定してあるボルト5が温度低下すると、上記ボルト用防錆キャップ20の内部に存在している空気に、温度低下による体積の収縮が生じるようになるが、該ボルト用防錆キャップ20内にて温度低下して体積が収縮する空気の圧力が該気圧よりもある程度低くなると、該ボルト用防錆キャップ20の上記スリット21を通して、外部の空気がボルト用防錆キャップ20の内部へ吸い込まれるようになる。これにより、上記ボルト用防錆キャップ20の開口部20bと、ボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17との間の密閉個所(図2におけるC個所)の外部に水が存在していても、該密閉個所を通して水分が吸い込まれる虞はない。
しかも、上記ボルト用防錆キャップ20では、円錐形状としてある先端部20cの頂点部分にスリット21を設けるようにしてあり、上記円錐形状としてあるボルト防錆キャップ20の先端部20cの頂点部分には水滴が残り難いため、たとえ降水時に、上記したようなボルト用防錆キャップ20の内部に存在している空気の温度低下に伴う体積の収縮に起因する、上記スリット21を通した外部空気の上記ボルト用防錆キャップ20内への吸い込みが生じても、該スリット21を通して上記ボルト用防錆キャップ20内へ水滴が吸い込まれる虞は未然に防止されるようになる。
このように、本発明のボルト用防錆キャップ20によれば、底鋼板1の温度変化に伴ってボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介して仮固定してあるボルト5に温度変化が生じても、上記ボルト用防錆キャップ20の開口部20bがボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17から抜ける虞や、該ボルト用防錆キャップ20の内部へ水分が進入する虞を解消して、上記ボルト5の防錆効果を良好に維持することができる。
なお、上記のようにしてボルト孔3にボルト仮固定ナット14を介してボルト5を仮固定し且つ上記ボルト用防錆キャップ20を用いて上記仮固定されたボルト5の防錆を図った状態としてある上記底鋼板1は、その後、施工現場へ搬入して、該底鋼板1を主桁上に径間方向に並べて配設した後、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士の上側に、図7(ハ)で説明したと同様の手順により、該各底鋼板1のボルト孔3と対応する位置にボルト孔4を穿設してなる添接板2を上方から載置して、該添接板2のボルト孔4に、上記底鋼板1のボルト孔3に仮固定してあるボルト5を、それぞれ挿通させた後、上記添接板2の上方へ突出する上記各ボルト5の軸部5aに装着されている上記ボルト用防錆キャップ20を上方へ引き抜いてから、該各ボルト5の軸部5aにワッシャ7を介してナット6を嵌めて締め込むことで、上記底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部を、ボルト5によりそれぞれ接合して、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士を、上記添接板2を介して連結するようにすればよい。
次に、図3は本発明の実施の他の形態として、図1(イ)(ロ)及び図2の実施の形態の応用例を示すもので、図1(イ)(ロ)及び図2に示したと同様の構成としてあるボルト用防錆キャップ20において、先端部20cにおけるスリット21の内側となる個所に、吸水部材としての脱脂綿22を設けるようにしたものである。
具体的には、上記脱脂綿22は、上記ボルト用防錆キャップ20の開口部20bより胴体部20aを通して先端部20cにおける上記スリット21の内側位置まで押し込んで詰めるようにすればよい。なお、上記スリット21の内側に配置する脱脂綿22を、図示しない接着剤や粘着材等を用いて上記先端部20cの内側面に固定するようにしてもよい。
その他の構成は図1(イ)(ロ)及び図2に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
本実施の形態によれば、上記実施の形態と同様の効果に加えて、万一、何等かの原因、たとえば、ボルト用防錆キャップ20の先端部20cに外力が作用する等の原因により、上記スリット21の弁の機能が多少低下してしまい、該スリット21を通して僅かな水分がボルト用防錆キャップ20内に進入するようになるとしても、該進入する水分を上記脱脂綿22で吸収することができるため、該ボルト用防錆キャップ20を装着したボルト5の軸部5aに水分が達する虞を未然に防止することができて、該ボルト5の防錆効果をより確実なものとすることが可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、水滴が付着し難いと云う観点からすると、先端部20cを円錐形状として、その頂点部分にスリット21を設けることが好ましいが、上記スリット21は、開口部20b以外であれば、胴体部20aや先端部20c、胴体部20aと先端部20cとの境界部分に設けるようにしてもよい。この場合、上記先端部の形状は、円錐形状以外の形状としてもよい。更に、上記スリット21は、たとえば、L字形やT字形等、直線状や十字形以外の形状としてもよい。
本発明のボルト用防錆キャップ20は、上記開口部20b以外の個所に設けるスリット21に水滴の進入を未然に防止するための弁の役割を果たさせることができるような可撓性を有していれば、いかなる樹脂を用いるようにしてもよく、更には、樹脂以外の材質製としてもよい。
開口部20bの内径寸法は、ボルト5の仮固定に用いるボルト仮固定ナット14のキャップ取付部17の外径寸法に応じて適宜変更してよい。
図3の実施の形態においては、スリット21の内側に脱脂綿22を設けた構成を示したが、水分を吸収することができ且つ通気性があれば、脱脂綿22以外の吸水部材を用いるようにしてもよい。
ボルト孔に予めボルト5を脱落しないよう取り付けておくことが望まれる個所であれば、上記底鋼板1と添接板2以外のいかなる鋼板同士の接合個所にも適用してよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 底鋼板(一方の鋼板)
2 添接板(他方の鋼板)
3 ボルト孔
5 ボルト
5a 軸部
5b 頭部
14 ボルト仮固定ナット
17 キャップ取付部
20 ボルト用防錆キャップ
20a 胴体部
20b 開口部
20c 先端部
21 スリット
22 脱脂綿(吸水部材)
2 添接板(他方の鋼板)
3 ボルト孔
5 ボルト
5a 軸部
5b 頭部
14 ボルト仮固定ナット
17 キャップ取付部
20 ボルト用防錆キャップ
20a 胴体部
20b 開口部
20c 先端部
21 スリット
22 脱脂綿(吸水部材)
Claims (3)
- ボルトを用いて接合する2枚の重ね合わせ鋼板のうちの一方の鋼板のボルト孔に挿通させたボルトの軸部に、軸心方向の一端側が上記鋼板のボルト孔よりも小径となるようにしてあるボルト仮固定ナットを軸心方向の一端側より螺着して締め、該ボルト仮固定ナットの軸心方向一端部を上記鋼板のボルト孔とボルトとの隙間に楔状に食い込ませることで該ボルト孔に仮固定される上記ボルトの軸部を被覆するようにしてあり、且つ開口部を上記ボルト仮固定ナットの軸心方向他端側に設けてあるキャップ取付部に取り付けて密着させるようにしてあり、更に、可撓性を有すると共に、上記開口部を除く所要個所に、内外方向に貫通するスリットを設けてなる構成を有することを特徴とするボルト用防錆キャップ。
- ボルトの軸部を被覆する胴体部の反開口側の端部を円錐形状として、該円錐形状の頂点部分に内外方向に貫通するスリットを設けるようにした請求項1記載のボルト用防錆キャップ。
- スリットの内側となる個所に、吸水部材を設けるようにした請求項1又は2記載のボルト用防錆キャップ。
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2008
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