JP2010110686A - 多孔質複層中空糸膜の支持体用チューブ及びこれを用いた多孔質複層中空糸膜 - Google Patents

多孔質複層中空糸膜の支持体用チューブ及びこれを用いた多孔質複層中空糸膜 Download PDF

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Abstract

【課題】外表面に多孔質シートからなる濾過層を備えてなる多孔質複層中空糸膜において、高い粒子捕捉性を維持しながら、従来よりも透過流量を高める。
【解決手段】孔径の代替特性となるIPAバブルポイントが2〜12kPa、気孔率が75〜90%という大孔径高気孔率である多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンチューブからなる支持体用チューブを提供する。また、前記支持体用チューブの製造方法であって、数平均分子量(Mn)100万〜300万のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーに液状潤滑剤を配合し、押出成形する、もしくは600〜1000万のものに24部以上の助剤を混合してかつ高速度で押出しチューブ状とした後に、チューブの軸線方向に20〜400%延伸した後、さらに軸線方向に60〜560%延伸し、ただし総延伸率が400〜700%としながら、かつ焼結することにより製造する方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質複層中空糸膜の支持体用チューブ及びこれを用いた多孔質複層中空糸膜に関し、環境保全分野、医薬・食品分野等の固液分離処理を行う濾過装置等に使用される多孔質複層中空糸膜の透過流量を向上させ、濾過性能を改良するものである。
ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と称する)からなる多孔質体は、耐薬品性、耐熱性、耐候性、不燃性等に優れる上に、非粘着性、低摩擦係数等の特性を有している。また、多孔質構造であり、柔軟な繊維が三次元網目状に連結された微細な繊維状骨格を備え、該繊維状骨格に囲まれた多数の空孔を有し、透過性、柔軟性、可撓性、微粒子の捕集・濾過性等にも優れている。そのため、PTFEからなる多孔質体は、チューブ状あるいはシート状とされ、精密化学薬品の濾過、排水処理用のフィルター等の広範な分野で使用されている。
なかでも、多孔質延伸PTFEチューブは、多数本集束し、モジュール化することで、固液分離処理を行う濾過モジュールとして用いられる。
このような濾過モジュール等に用いられる多孔質PTFEからなる濾過材として、本出願人は、特開2006−7224号公報(特許文献1)において、多孔質延伸PTFEチューブからなる支持層と、PTFE、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド、ポリ弗化ビニリデン系樹脂から選択される樹脂製の多孔質シートからなる濾過層を備え、前記支持層のチューブの外表面に前記濾過層のシートを巻きつけて一体化させていると共に前記支持層と濾過層の空孔を互いに三次元的に連通させている多孔質複層中空糸膜を提供している。
特許文献1の多孔質複層中空糸膜は、濾過層の繊維状骨格に囲まれた空孔を支持層の空孔より小さくすることで固体粒子が濾過層及び支持層中の空孔内に入り込むのを防止している。よって、種々の形状の固形分を含み固形分の大きさの分布が広い高濁度の溶液、特に平均粒径の大きな固体粒子を含む溶液を濾過しても、空孔内に固体粒子が入り込むことがなく、目詰まりを生じず空孔の閉塞が起こらないため、時間経過に伴う透過流量の低下を有効に防止することができる。
特開2006−7224号公報
このように特許文献1の多孔質複層中空糸膜は高い粒子捕捉性が得られ、優れた濾過性能を有するものである。しかしながら、多孔質複層中空糸膜は、通常、緻密な濾過層と、支持層を形成する多孔質チューブの2層から形成されるため、膜間差圧が大きくなりやすく、透過流量の確保には限界がある。特に、膜分離活性汚泥法のような高濃度・高濁度溶液に用いられた場合、この傾向は顕著である。そのため、より膜間差圧が小さく、透過流量を高めた多孔質複層中空糸膜が要望されている。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、外表面に多孔質シートからなる濾過層を備えてなる多孔質複層中空糸膜において、高い粒子捕捉性を維持しながら、従来よりも透過流量を高めることを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、第1の発明として、外表面に多孔質シートからなる濾過層を備えてなる多孔質複層中空糸膜の支持体用チューブであって、その気孔率が75%〜90%、IPAバブルポイントが2〜12kPa、内径が0.3〜10mm、肉厚が0.1〜10mm、差圧20kPaの時のIPA透過係数(内径基準単位膜面積あたりの流量/平均膜厚)が40〜100ml/min/cm2/mmである多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンチューブからなることを特徴とする支持体用チューブを提供している。
前記IPA透過係数とは、チューブ膜の内側から外側に純粋なイソプロピルアルコールを圧力が均一にかかるように有効長さ100mmの供試体として準備し、加圧ホルダーにセットして内圧を負荷し、差圧20kPa、1分間の加圧時間内にチューブ表面から流れ出るIPAを捕集して流量を測定し、これにチューブの供給側である内径を基準に有効な膜面積を算出したあとこれで除し(流束)、さらに膜厚で除したものとして定義した。材料がほぼ均一なため、膜厚の大小が流束に依存するためである。この数値が高い程透過性に優れていることを示す。
本発明は、支持体用チューブの外周面の空孔をより大きなものとし、かつその空孔の体積比率を多くしていることを特徴としている。これにより、多孔質複層中空糸膜の濾過層を通過してきた処理済み液を支持体用チューブの外周面からチューブ内部に速やかに流すことができる。よって、同一の多孔質シートから濾過層を形成した場合、高い粒子捕捉性を保持したまま、従来の支持体用チューブを用いた場合よりも透過流量を向上させることができる。また、支持体用チューブは延伸PTFEチューブからなり、ある程度の厚みを有し、かつPTFE由来の優れた物性を有するので、外表面の多孔質シートの支持機能は十分に達成することができる。
前記支持体用チューブの気孔率、IPAバブルポイント及びIPA透過係数を前記範囲がよいのは、これにより強度とのバランスを保ちながら、中空糸膜の透過性を高めることができるからである。
即ち、支持体用チューブの気孔率が90%を超えると強度、特に外圧に対してつぶれやすくなる。一方75%を下回ると流量が低下してくる。気孔率は、特に78%〜85%であることがより好ましい。
なお、気孔率は、ASTM−D−792に記載の方法で測定している。この数値が高い程透過性に優れていることを示す。
また、支持体用チューブのIPAバブルポイントが12kPaを超えると孔径が小さすぎ、同じく流量が低下しやすく、2kPaを下回ると孔径が大きすぎ、強度が不足、特に強度の均一性に問題が生じる。
なお、IPAバブルポイントは、ASTM−F−316−80に記載の方法に準じて測定している。この数値が大きいほど孔径が小さいことを示す。これら気孔率およびIPAバブルポイントが上記範囲を確保する結果として、上記IPA透過係数を発現することができる。
前記支持体用チューブの内径は0.3mm〜10mm、肉厚は0.1mm〜10mmとしている。これにより、軸方向、径方向、周方向のいずれにおいても良好な強度を得ることができ、内外圧や屈曲等に対する耐久性を向上することができる。
前記支持体チューブはマトリックス引張強度(MTS)を50〜110MPaとしていることが好ましい。マトリックス引張強度は、異なる気孔率の試料の引張強度を対比するために多孔質体の引張強度をマトリックス、すなわち空孔部分をのぞいた材料そのものの強度に換算したものであり、支持体用チューブの引張強度(抗張力/断面積)を気孔率で除したものであり下記で示されるものある。
マトリックス引っ張り強度=引っ張り強度/(1−気孔率(%)/100)
マトリックス引張強度の上限値を110MPaとしているのは、特許文献1等に用いられている従来の支持体用チューブのマトリックス引張強度は110MPaを超えるため、これと材質的に区別するためである。すなわち、この低いマトリックス強度はPTFE延伸多孔質材料の物性として、本発明のような孔径が大きく気孔率の高い材料は同時に、従属的に分子配向が低い水準を示すものであることを反映している。前記範囲のマトリックス引張強度は、PTFE自体が優れた強度特性を有するため、濾過用支持体用チューブとして十分な強度である。
第2の発明として、前記第1の発明の支持体用チューブの製造方法を提供している。該製造方法は、数平均分子量(Mn)100万〜300万のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーに液状潤滑剤を配合し、リダクション比が500以上2000以下の条件で押出成形によりチューブ状とした後に、チューブの軸線方向に20〜400%延伸した後、さらに軸線方向に60〜560%延伸し、総延伸率を400〜700%とし、かつ焼結することを特徴とする。
前記製造方法では、従来よりも低分子量のPTFEファインパウダーをPTFE原料として用いて、かつ押出における適切な引き落とし率から支持体用チューブを作製している。そのため、従来用いられていた高分子量のPTFEよりもPTFE分子が押出方向(引き取り方向)に配向しにくくなり、延伸による繊維化が抑制される結果、従来よりも大きな空孔を有する延伸PTFEチューブを得ることができ、多孔質複層中空糸膜の透過流量を高めることができる。
また、前記延伸倍率で延伸した後、焼結時にも延伸することにより、繊維同士が凝集して一体化し結果として支持体用チューブ表面の孔径を大きくしながら、強固な繊維状骨格を形成することができる。
該第2の発明の支持体用チューブの製造方法は、前記のように、以下の第一〜第四工程からなる。
第一工程では、PTFEファインパウダーに液状潤滑剤を配合したペーストを作製する。
PTFEファインパウダーとしては、数平均分子量(Mn)を100万〜300万の範囲のものを用いている。これは、数平均分子量が300万を超えると得られる支持体用チューブの孔径が小さくなり流量が低下しやすくなり、100万を下回るPTFEファインパウダーを用いると押出配向が弱く安定して延伸することが困難であるからである。
PTFEファインパウダーの数平均分子量はさらに150万〜250万とするのが好ましい。また、このPTFEファインパウダーのJIS K 6891に規定する比重は2.180を超えて2.250以下であることが好ましい。比重の測定方法はJIS−K6891による。
液状潤滑剤としては、従来からペースト押出法で用いられている各種潤滑剤を使用することができる。例えば、ソルベント・ナフサ、ホワイトオイルなどの石油系溶剤、ウンデカン等の炭化水素油、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、シリコーンオイル、フルオロクロロカーボンオイル、これらの溶剤にポリイソブチレン、ポリイソプレンなどのポリマーを溶かした溶液、これらの2つ以上の混合物、表面活性剤を含む水または水溶液などが挙げられる。混合物よりも単一成分の方が均一混合することができるため、好ましい。
第二工程で得られたペーストを用いてペースト押出法によりチューブ状成形体を製造する。ペースト押出法は従来公知の方法で行えばよいが、通常、PTFEファインパウダー100質量部に対して液状潤滑剤を10〜40質量部、好ましくは16〜25質量部の割合で混合し、押出成形を行うが、本発明では特に18部から22部がのぞましい。18部以下だとこの低分子量樹脂の粒径の大きさから助剤との混合が不十分な場合がある。一方、22部以上だと低分子量のために肉厚全体の分子配向が低下して高倍率で延伸できない場合がある。
ペースト押出による成形は、PTFEの焼結温度すなわち327℃以下、通常は室温付近で行われる。ペースト押出に先立って、通常、予備成形を行う。予備成形は、前記混合物を例えば2〜5MPa程度の圧力で圧縮成形して、ロッドもしくはチューブ状のブロックとしている。
予備成形で得られる成形体をペースト押出機により押出し、延伸処理し得るチューブ状の成形体を製造する。
この押出工程においてはリダクション比が500〜2000であることが好ましい。リダクション比とは、ファインパウダーの押出条件であって、ファインパウダーの流動性とシェア負荷のバランスを制御するファクターで、押し出し可能時の押出シリンダーと押出物との断面積の比を示す。従来、この種の樹脂の場合にはその適切な値が50〜500と言われている。
しかしながら、本発明では、発想を変えこの高いリダクション比で製造することに着目した。鋭意検討の結果、このリダクション比が高い延伸倍率に耐えるために特に外表面の分子配向付与に必要であることを見いだした。分子量が小さい本原料樹脂に応じた最適な製造範囲として上記範囲としている。500以下だと低延伸率での製造は可能なものの高倍率の延伸に耐えうる外表面分子配向が付与できない。一方2000以上とすると押出時の樹脂の流動性が悪化し均一な押出ができない。
前記押出成形で得た成形体から液状潤滑剤を除去する。液状潤滑剤は焼結する前に除去すればよく、延伸後に除去してもよいが、延伸前に除去しておくことが好ましい。
液状潤滑剤の除去は、加熱、抽出または溶解などにより行っており、加熱により行うことが好ましい。加熱する場合の加熱温度は、通常、200〜300℃とするのが好ましい。また、シリコーンオイルやフルオロカーボンなどの比較的沸点が高い液状潤滑剤を使用する場合には、抽出により除去するのが好ましい。
第三工程では、前記チューブ成形体をチューブの軸線方向に20%〜400%、好ましくは50%〜150%、特に好ましくは80%〜120%の倍率で延伸した延伸チューブとする。延伸温度は100〜400℃とするのが好ましく、さらに200〜300℃とするのが好ましい。
第四工程で、前記延伸チューブを再度延伸し、同時に焼結する。再度延伸するのは、2回にわけて延伸することにより、延伸の均一性があがり、トータルの延伸倍率を大きくとることができ、かつ、繊維の開裂が粗くなることで孔径を大きくすることがきる。その延伸倍率は、60%〜560%が望ましい。このとき行う焼結処理はPTFEの転移点である327℃以上の焼結温度とし、雰囲気温度が350〜700℃とした炉のなかで溶融に必要な熱容量を得るのに十分な滞留時間、具体的には1分から20分程度、場合によってはそれ以上の時間加熱する。
焼結を行うことにより、延伸チューブの特に径方向引張強度が急激に高くなり、強度を付与することができる。これは、繊維化した延伸成形体の繊維が溶融し合って、繊維径が太くなると共に均一化され、高強度化すると同時に、熱収縮及び溶剤収縮が防止されるためである。このように焼結時に延伸することにより、先の延伸で形成された空孔をさらに拡げながら高強度化された繊維状骨格を形成することができる。
さらに、第3の発明で、前記本発明の支持体用チューブの製造方法を提供している。該製造方法は、数平均分子量(Mn)600万〜1000万のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーに液状潤滑剤を少なくとも樹脂100部に対して重量比24部以上30部以下で配合し、かつ、押出チューブの出口速度が15m/分以上30m/分以下の速度で押出成形によりチューブ状とした後に、チューブの軸線方向に50〜400%延伸した後、さらに軸線方向に60〜430%延伸しながら焼結することを特徴とする。
該第3の発明では、支持体用チューブの製造に用いるPTFEファインパウダーの分子量を600〜1000万とし大きくしながらも、助剤配合比率を少なくとも24部以上とし、かつ、押出チューブの出口速度を15m/分以上30m/分以下としている。このときのリダクション比は前記第2の発明と同じく500〜2000であることが好ましい。 前述にように一般的な高分子量樹脂の場合には50〜500と言われているが、本発明では、助剤量を大きい側に定め、かつ押出速度を速めることにより、第2の発明と同じく分子の配向を抑え、結果として第2の発明と同様の品質を得ることに至ったものである。 また、リダクション比についても第2の発明と同様の理由でこの範囲で製造するとしている。この発明に用いるPTFEファインパウダーは、JIS K 6891に規定する比重が2.155を超えて2.170以下であることが好ましい。
前記第1の発明の支持体用チューブは、第2もしくは第3の発明の製造方法から得られることが好ましいが、これに限定されない。
本発明は、第4の発明として、前記支持体用チューブからなる支持層と、該支持層の外周面に一体化された多孔質シートからなる濾過層を備え、前記支持層と濾過層の空孔が互いに三次元的に連通されてなり、外周面側から内周面側に向けて固液分離処理を行う外圧濾過用であることを特徴とする多孔質複層中空糸膜を提供している。
前記支持体用チューブからなる支持層と多孔質シートからなる濾過層が一体化され、互いの空孔が三次元的に連通しているため、良好な透過性を得ながら、逆洗浄、散気等による長期的な機械的負荷にも耐えることができる。
多孔質シートは、1枚あるいは複数枚用いて漏れがないように支持体用チューブの外周面を完全に覆っていれば良い。例えば、支持体用チューブの外周面全面を覆うように密着して巻き付けられ、複層あるいは単層とすることができる。外層である濾過層をシートの巻付構造とすれば、多孔質シートは1軸延伸、2軸延伸共に行いやすく、表面の空孔の形状や大きさ等の調整が容易であるため、薄膜での積層が容易である。
また、外圧濾過用としているのは、内圧濾過用として支持体用チューブの内周面で固体粒子をカットする構成とすると、高濁度溶液を濾過する場合、多孔質複層中空糸膜の中空内に固体粒子が高濃度で存在することとなり、中空閉塞を起こし中空糸膜内の流量が低下しやすいためである。また、微粒子を多く含む液体が内面から膜内に侵入する場合、粗い構造である支持体チューブの編み目構造内に微粒子が入り込み、閉塞して短時間で目詰まりによる流量低下をきたしやすい。一方外圧濾過の場合、外面により繊維パターンが短く孔径が小さい最外層が濾過面となるため微粒子が表面で捕捉され目詰まりを抑えながら継続的に濾過することができる。
前記濾過層を形成する多孔質シートは、樹脂組成物を1軸延伸あるいは2軸延伸した延伸多孔質シートからなり、軸方向等の1軸、又は軸方向と周方向の2軸等とすることができる。延伸倍率は、適宜設定することができるが、長手方向には50%〜1000%、横方向には50%〜2500%とすることができる。特に、多孔質シートは横方向の延伸が容易であるため、チューブ状に巻きつけたときに、周方向の強度を向上することができ、散気等による膜の揺れや逆洗浄による圧力負荷に対する耐久性を向上することができる。
前記多孔質シートは、PTFE、PE,PP等のポリオレフィン系樹脂、ポリイミド、PVDFから選択される樹脂から形成していることが好ましい。延伸加工が容易であり、耐薬品性等に優れ、PTFEとの一体成形が可能であるからである。特に、支持体用チューブである多孔質延伸PTFEチューブとの成形性が良いことから、濾過層の多孔質シートもPTFEであることが好ましい。
特に、平均孔径が0.01〜1μm、厚みが5〜100μm、IPAバブルポイントが50〜1000kPa、差圧100kPaでのIPA流束が0.05〜50ml/min/cm、の多孔質延伸PTFEシートを用いていることが好ましい。
なお、平均孔径は、細孔直径分布測定装置(多孔質材料自動細孔径分布測定システム)、例えばPMI社製パームポロメーター(型番 CFP−1200A)により測定している。
前記多孔質複層中空糸膜は、用いるPTFE多孔質シートの特性を自由に選択でき、それによって幅広い特性を有するものを製造することができる。前記した本発明の表面の孔の大きくかつ開孔面積の大きい支持体チューブを用いることにより、優れたPTFE多孔質複合チューブを得られることができる。特に、前記本発明の支持体に用いた多孔質複層中空糸膜を下排水処理に適用する場合、支持体チューブが本発明の範囲を満たし、かつIPAバブルポイントが100kPa以上であることが望ましい。なかでも特に、生物処理と膜との組み合わせ技術として公知な膜分離活性汚泥処理用に適したものとしては、その活性汚泥のMLSSが5,000〜20,000mg/lの範囲においてIPAバブルポイントが100kPa以上300kPa以下、差圧が100kPaにおけるIPA透過束はIPAバブルポイント100kPaのもので14ml/min/cm2以上、IPAバブルポイント300kPaのもので1ml/min/cm2以上のものが特に望ましい。また一般排水中に0.1〜5ミクロンサイズの微粒子を含む排水に対してはIPAバブルポイントが150kPa以上300kPa以下、差圧が100kPaにおけるIPA透過流束はIPAバブルポイント150kPaのもので8ml/min/cm2以上、300kPaで1ml/min/cm2が特に望ましい。これらの範囲で目詰まりを少なく維持しかつ高い処理能力を得ることができる。
上記設定したIPAバブルポイント範囲が好ましいのは、下限値を下回ると孔径が大きく、粒子捕捉性に欠けることあるいは微粒子の内部捕捉が発生するおそれがあるからであり、上限値を超えると十分な透過流量が得られないからである。一方、IPA流束の好ましい範囲は、孔径に従属する事実に基づき規定した。
濾過層の外周面に多数存在する各空孔の大きさは、支持層となる支持体用チューブ中に多数存在する繊維状骨格により囲まれた各空孔の大きさよりも小さくしていることが好ましい。各空孔の大きさは、各空孔の平均最大長さで規定しており、具体的には、濾過層の空孔の平均長さを、前記支持体用チューブの空孔の平均長さの1%〜30%とするのが好ましい。
本構成によれば、濾過層表面の空孔はできるだけ小さくして粒子捕捉性を高めながら、支持層の空孔は大きくして外周面側から内周面側への透過性を高めることができる。
多孔質複層中空糸膜における濾過層の厚みは5μm〜100μmであることが好ましい。これは、前記範囲より小さいと濾過層の形成が困難であり、前記範囲より大きくしても濾過性能向上への影響は望み難いためである。一方、支持層の厚みは0.1mm〜10mmであることが好ましい。
さらに、本発明は、第5の発明として、前記多孔質複層中空糸膜の製造方法を提供している。該製造方法は、前記支持体用チューブの外周面上に凹凸を付与した後に、多孔質延伸PTFEシートからなる多孔質シートを巻き付け、該巻き付けと同時あるいは巻き付け後に荷重をかけて前記支持体用チューブと前記多孔質シートとを密着させ、前記支持体用チューブと前記多孔質シートとを焼結一体化することを特徴とする。
このように、支持体用チューブの外周面上に微細な凹凸を付与することで、支持体用チューブと多孔質シートとの位置ずれを防止できると共に、シート巻き付け時あるいは巻き付け後に荷重をかけているため、シートの浮きを防止することができ、両者の密着性を高めることができる。また、支持体用チューブと多孔質延伸PTFEシートからなる多孔質シートは、夫々完全焼結したものを用いても良いし、部分的に未焼結あるいは未焼結のものでも良い。各々を完全に焼成させていない場合は、より強固に一体化することができる。良好な密着状態で、部分的に未焼結とした両者を焼結すると、良好な密着状態を得ることができる。これにより、内外圧、屈曲等に対する十分な耐久性を得ることができる。前記支持体用チューブと前記多孔質シートの両者を焼結する場合、両者の融点以上の温度で焼結すれば、より強固に融着一体化することができる。
前記支持体用チューブの外周面の微細な凹凸は、火炎処理により施されていることが好ましい。これにより、チューブの性能に影響を及ぼすことなく良好な凹凸状態を得ることができる。その他、レーザー照射やプラズマ照射、PFA,FEP等のフッ素樹脂系ディスパージョンの塗布等の物理的手段、化学的手段を施すことで、密着性を高めても良い。微細な凹凸は支持体用チューブの外周面全面に施されていることが好ましいが、部分的、断続的に施されていても良く、凹凸の高さは20〜200μm程度とするのが良い。
多孔質シートの巻き付けと同時あるいは巻き付け後に荷重をかける方法としては、シートを巻き付け後、チューブ全体をダイスに通す方法が挙げられ、多孔質延伸PTFEチューブと多孔質シートとがずれたり破損しないように、均一に適度な荷重をかけることができれば良い。
また、第6の発明として、前記多孔質複層中空糸膜を複数本束ねた集束体を用いてなり、外圧濾過用あるいは浸漬型外圧吸引濾過用として用いられることを特徴とする濾過モジュールを提供している。
具体的には、多孔質複層中空糸膜を複数本束ねて集束体とされ、多孔質複層中空糸膜相互の間隙が封止用樹脂により封止され、必要時には、該集束体は外筒内に収納され、該集束体の少なくとも一端と外筒との間隙が上記同様に封止用樹脂により封止された濾過モジュールとして用いることができる。前記多孔質複層中空糸膜を用いているため、外圧濾過用あるいは浸漬型外圧吸引濾過用として好適に用いることができる。集束体が外筒内に収納されたものを外圧濾過用、外筒がなく集束体のみからなるものを浸漬型外圧吸引濾過用としている。
本発明の支持体用チューブを備えた多孔質複層中空糸膜及びこれを用いた濾過モジュールは、濾過一般に適用することができる。特に高い透過流量が得られるので、高濁度排水の処理に有効である。例えば、浄水処理では、粉末活性炭と組み合わせて用いることができる。粉末活性炭により非常に微小な溶存有機物を吸着し、該溶存有機物を吸着した後の粉末活性炭を多孔質複層中空糸膜で濾過する構成が好適である。また、下水処理では前述したように膜分離活性汚泥法に好適に用いられる。
以上の説明から明らかなように、第1の発明の支持体用チューブは外周面の孔径を代替特性となるIPAバブルポイントで2〜12kPaとし、かつ気孔率を75〜90%と高めているので、これを備えた多孔質複層中空糸膜は、濾過層を通過してきた処理済み液を速やかにチューブ内部に流すことができ、高い粒子捕捉性を保持したまま、透過流量を向上させることができる。
前記第2、第3の発明の支持体用チューブの製造方法では、従来よりも低分子量のPTFEファインパウダーを用いているので、孔径の大きい延伸PTFEチューブを得ることができ、多孔質複層中空糸膜の透過流量を高めることができる。あるいは標準的な分子量のものでも助剤配合部数を大きくし、かつ高速度で押し出すことにより同様の孔径の大きい延伸PTFEチューブを得ることができる。また、前記延伸倍率で延伸した後、焼結時にも延伸しているので、支持体用チューブの空孔面積占有率を高めながら、強固な繊維状骨格を形成することができる。
さらに、第4の発明の前記支持体用チューブからなる支持層を備えた多孔質複層中空糸膜は、支持体用チューブと濾過層を形成する多孔質シートが一体化しているので、逆洗浄、散気等による機械的負荷に長期に渡って耐えることができる。また、PTFE等の耐薬品性に優れた素材により形成されているため、強酸、強アルカリ液等にも適用可能である。耐熱性にも優れている。
また、第5の発明の多孔質複層中空糸膜の製造方法によれば、支持体用チューブの外周面上に凹凸を付与することで、支持体用チューブとその外周に巻きつける延伸PTFEシートとの位置ずれを防止できると共に、シート巻き付け時あるいは巻き付け後に荷重をかけているため、シートの浮きを防止することができる。さらに、両者の密着性を高めた状態で、部分的に未焼成とした両者を融点以上の温度で焼結しているため、両者を強固に融着一体化することができる。よって、内外圧、屈曲等に対する十分な耐久性を得ることができる。
さらに、第6の発明の多孔質複層中空糸膜を用いた濾過モジュールは、特に実排水において従来品よりもより高い透過流量を得ながら、高精度の濾過が可能であり、かつ、耐久性にも優れており、外圧濾過用あるいは浸漬型吸引濾過用として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1に、実施形態の支持体用チューブ10を示す。
支持体用チューブ10は、図2に示す多孔質複層中空糸膜1の支持層11として用いられるものであり、その外表面11aに多孔質シートからなる濾過層12を備えた2層構造の中空糸膜として用いられる。
支持体用チューブ10は、多孔質延伸PTFEチューブからなる。その外周面10aは、図1(B)の拡大模式図に示すように、結節部Cにより柔軟な繊維Fが連結されてなる繊維状骨格に、略スリット形状の空孔Pを多数備えた多孔質構造としている。
図示していないが、支持体用チューブ10の内部も柔軟な繊維Fが三次元網目状に連結された微細な繊維状組織を形成しており、空孔Pは支持体用チューブ10の中空部10cに連通している。
支持体用チューブ10は、前記多孔質シートとの接触面となる外周面10aの孔径をIPAバブルポイントとして2〜12kPaとしている。また空孔の体積比率を示す気孔率は75〜90%としている。結果として差圧20kPaの時のIPA透過係数が40〜100ml/min/cm2/mmである特性を有している。
また、マトリックス引張強度は50〜110MPaとしている。マトリックス引張強度、IPAバブルポイント、IPA透過係数、気孔率などの各測定は、実施例に記載の方法で行っている。測定方法は実施例に記載してある。
多孔質シートの接触面となる外周面11aとなる支持体用チューブ10は、濾過層12を通過してきた処理済み液を速やかにチューブ内部に流すことができ、多孔質複層中空糸膜1の透過流量を従来よりも向上させることができる。
さらに、前記範囲の気孔率、IPAバブルポイント、IPA透過係数を同時達成しており、チューブ内部の透過性も従来の支持体用チューブより優れている。
以下、前記第2の発明の支持体用チューブ10の製造方法について詳述する。
第一工程では、PTFE未焼結粉末(ファインパウダー)100質量部に対して、液状潤滑剤を16〜23質量部の割合で配合し、混合している。
PTFEファインパウダーとしては、数平均分子量(Mn)が100万〜300万、リダクション比が500〜2000、比重が2.18を超えて2.25以下のものを用いている。液状潤滑剤としては、ソルベント・ナフサ、ホワイトオイルなどの石油系溶剤を用いている。
第二工程では、得られた混合物を圧縮成形機により圧縮成形し、ブロック状の成形体とし(予備成形)、該ブロック状の成形体を、ペースト押出機より室温から50℃の温度で、押出金型出口でのチューブの速度を10〜20m/分として押し出す。チューブ状に押出成形している。得られたチューブ状成形体は200〜300℃で1〜5分加熱し、液状潤滑剤を除去している。
第三工程で、得られたチューブ状成形体を延伸温度200〜300℃、線速3〜30m/minで、軸線方向に20〜400%の延伸倍率で延伸している。一回での延伸が400%を超えると品質ムラが生じやすい。20%以下だと、気孔率が低い状態であり、製造時に曲げ等の刺激が与えられたときにチューブ内面に応力がかかりクラックが入りやすい。
第四工程で、延伸チューブを焼結している。焼結は、350〜700℃の焼結温度とし、素材の融点である345〜347℃以上になるのに十分な熱量を与える適切な滞留時間、具体的には1分〜20分加熱炉で加熱しながら、かつ、延伸チューブを軸線方向に60%〜560%延伸しながら行っているが、このとき総延伸倍率が400〜700%としている。400%以下であると、十分な気孔率がえられず、700%以上だと延伸ムラ等が発生し均一性に問題が生じる。
前記製造方法によれば、従来よりも低分子量のPTFEファインパウダーを用いているので、孔径の大きい支持体用チューブ10を得ることができ、多孔質複層中空糸膜1の透過流量を高めることができる。また、前記延伸倍率で延伸した後、焼結時にも延伸しているので、支持体用チューブ10の空孔面積占有率を高めながら、図1に示すような強固な繊維状骨格を形成することができる。
次に、図2乃至図4を参照して、支持体用チューブ10を支持層11として備えた多孔質複層中空糸膜1について説明する。
多孔質複層中空糸膜1は、図2に示すように、円筒状の支持体用チューブ10からなる支持層11と、該支持層11の外周面11aに一体化された延伸多孔質PTFEシート13からなる濾過層12を備えた複層からなる。支持層11の空孔Pと濾過層12の空孔(図示せず)は、図3に示すように互いに三次元的に連通されており、多孔質複層中空糸膜1において濾過層12の外周面12a側から支持層11の内周面11b側に向けて透過性を有し、固液分離処理を行う外圧濾過用としている。
なお、多孔質複層中空糸膜1の濾過層12の厚みは5〜100μm、支持層11の厚みは0.3〜1.0mm、チューブ内径は0.5〜2mmである。
濾過層12に用いられる延伸多孔質PTFEシートとしては、支持層11の空孔Pに比べて非常に小さい空孔を備えたものを用いており、支持層11と濾過層12とでは空孔の大きさを大幅に異ならせている。
具体的には、図4に示すように、濾過層12はその外周面12aに存在する各空孔12Aを囲む繊維状骨格の平均最大長さ(L)は2.5μm以下とし、捕捉粒子として粒径0.2μmのビーズを圧力0.1MPaで加圧濾過した時の粒子捕捉率が90%以上である。これに対し、支持層11中に存在する空孔11Aの平均最大長さは20μm〜50μm程度である。
前記製造方法で得た前記多孔質複層中空糸膜1は、全体として、IPAバブルポイントが100kPaの特性を備えている。該多孔質複層中空糸膜1は、前記支持体用チューブ10を用いていることにより、支持層11の外周面11a及び内部に従来よりも大きな空孔を有するので、濾過層12による高い粒子捕捉性は保持しながら、透過流量が高められ、極めて濾過性能に優れる。
以下に図5を参照して本発明の多孔質複層中空糸膜の製造方法について詳述する。
まず、前述した支持体用チューブ10を準備する。ここではチューブ外径2.5mmのものとする。延伸、焼結した支持体用チューブ10の外周面10aの全面に渡って、プロパンガス1.2L/min、空気11L/min、スピード33m/分の条件で、火炎処理をほどこし、外周面10a全面に均等に50μm程度の微細な凹凸を付与する。
多孔質延伸PTFEシート13を準備する。この多孔質延伸PTFEシート13は所定の延伸倍率にて延伸され焼結している。多孔質延伸PTFEシート13は、製造後スリットされ幅7.5〜9.5mm、厚み5〜15μmのテープ状としている。
前記多孔質延伸PTFEシート13を、支持体用チューブ10の外周面10a上に螺旋状に重ね合わせながら巻き付ける。多孔質延伸PTFEシート13が、支持体用チューブ10の外周面10aの全面を漏れなく覆うように巻着する。
シートを巻き付け後に、支持体用チューブ10と多孔質延伸PTFEシート13との積層体14を、内径がφ2.4mmのダイス15に通し、積層体14の全周面に均一に、チューブの径方向に4.9N程度の荷重をかけ、支持体用チューブ10と多孔質延伸PTFEシート13とを密着させる。
このように密着した状態で、支持体用チューブ10及び多孔質延伸PTFEシート13の融点(PTFEの融点は約327℃)以上の温度である350℃で20分間焼結し、両者を融着一体化する。
前記一体化した支持体用チューブ10と多孔質延伸PTFEシート13とは、支持体用チューブ10の外周面10aに微細な凹凸を施しているため、支持体用チューブ10と多孔質延伸PTFEシート13との位置ずれが生じない。さらに、荷重をかけて密着させているため、多孔質延伸PTFEシート13の浮きを防止することができ、良好な密着状態で両者を一体化することができる。
前記多孔質延伸PTFEシート13は、以下の(1)〜(4)に記載の従来公知の種々の方法等により得ることができる。
(1)PTFEのペースト押出により得られる未焼結成形体を融点以下の温度で延伸し、その後、焼結する方法。
(2)焼結されたPTFE成形体を徐冷し、結晶化を高めた後、所定の延伸倍率に1軸延伸する方法。
(3)PTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる未焼結成形体を、そのファインパウダーの粉末の融点以下で、該ファインパウダーから得られる成形品(焼結体)の融点以上の温度において、示差走査熱量計(DSC)における結晶融解図上、前記ファインパウダーの吸熱ピークの変化を生ぜず、かつ、該成形体の比重が2.0以上となるように加熱処理した後に、該粉末の融点以下の温度で延伸する方法。
(4)数平均分子量が100万以下であるPTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる成形体を焼結後熱処理して結晶化度を高めた後、次いで少なくとも1軸方向に延伸する方法。
このように、ペースト押出機により押出し、またはカレンダーロール等により圧延し、あるいは押出した後圧延する等してシート状とすることができる。他の樹脂を用いた場合にも、同様な方法で多孔質延伸PTFEシートを得ることができる。
多孔質延伸PTFEシート13の製造に用いられるPTFEファインパウダーは、数平均分子量が800万〜1600万のものが良い。また、ペースト押出法では、PTFE100重量部に対して液状潤滑剤を15〜30重量部配合して押出成形するのが良い。
多孔質延伸PTFEシートの延伸については、通常の方法で機械的に引き伸ばして行うことができる。例えば、1つのロールから他のロールへと巻き取る際に、巻き取り速度を送り速度より大きくしたり、あるいはシートの相対する2辺を掴んでその間隔を広げるように引き伸ばす等により延伸することができる。その他、多段延伸、逐次2軸延伸、同時2軸延伸等の各種延伸法により延伸することができる。延伸温度は、通常、焼結体の融点以下の温度(0℃〜300℃程度)で行われる。比較的空孔の孔径が大きく空孔率の高い多孔質体を得るには低温での延伸が良く、比較的空孔の孔径が小さく緻密な多孔質体を得るには高温での延伸が良い。延伸した多孔質体は、そのままで使用しても良いし、高い寸法安定性が要求される場合、延伸した両端を固定等することで延伸した状態を緊張下に保って200℃〜300℃の温度で1〜30分程度熱処理しても良い。また、ファインパウダーの融点以上の温度、例えば350℃から550℃程度に保った加熱炉中で、数10秒から数分程度保持し焼結することにより、さらに寸法安定性を高めることもできる。前記のような延伸温度や、PTFEの結晶化度、延伸倍率等の条件を組み合わせることにより、前記空孔の最大長さ等を調整することができる。
前記実施形態では、2枚のシートを用いて略半周ずつ巻着しているが、シートの枚数は1枚でも良いし、2枚以上でも良い。また、シートはチューブの外周を略1回巻きあるいは2回巻等としても良く、単層あるいは複層のシートの積層により濾過層を形成することができる。
また、多孔質シートはチューブの軸方向に1軸延伸したものを用いるとチューブの外周面に巻つけやすくなる。なお、多孔質延伸樹脂シートの形状も巻き付け状況に応じて設定することができ、チューブの軸方向に対してスパイラル状に巻着しても良い。
また、前記実施形態では、シートを巻き付け後に荷重をかけているが、シートに張力をかけて巻き付けと同時に荷重をかけても良い。
多孔質複層中空糸膜1は、排水中の汚れ成分を除去するための濾過膜であり、固液分離により捕集・分離する汚れ成分からなる固体粒子Sの平均粒径は0.1μm〜5μm程度のものを想定している。
このように、多孔質複層中空糸膜1は、外圧濾過用の多孔質濾過用チューブであり、最外層を濾過層12とし、濾過層12の外周面12aに多数存在する空孔12Aを囲む繊維状骨格により形成される空孔の大きさ(平均最大長さ(L))を前記のように設定している。そのため、溶液中のほとんどの固体粒子Sを濾過層12の外周面12aで跳ね返し、固体粒子Sが濾過層12及び支持層11中の空孔内12A、11Aに不可逆的に入り込むのを防止することができる。よって、目詰まりを生じることもなく、濾過層12及び支持層11中には濾液のみを透過させることができ、時間経過に伴う流量低下を防止することができ、初期状態と定常状態との流量変化が少なく、良好な濾過性能を長期間に渡って持続することができる。
また、一定期間使用した後に、多孔質複層中空糸膜1において、支持層11の内周面11b側から濾過層12の外周面12a側に向かって流体を流通させ、逆洗浄を行うことにより、濾過層12の外周面12a等に付着した固体粒子Sを容易に取り除くことができ、濾過性能を容易に回復させることができる。
前記実施形態では、濾過層を多孔質延伸PTFEシートから形成しているが、PE,PP等のポリオレフィン系樹脂、ポリイミド、ポリ弗化ビニリデン系樹脂から選択される樹脂とすることもできる。なお、濾過層を押出成形チューブから形成することもできる。
図6に、多孔質複層中空糸膜1を複数本束ねた集束体を用いてなる濾過モジュール20の一例を示す。
濾過モジュール20は、外圧濾過用として用いられるものであり、多孔質複層中空糸膜1を複数本束ねた集束体21を備えている。集束体21は外筒22内に収納され、集束体21の両端21A、21Bにおいて、多孔質複層中空糸膜1の相互の間隙が封止用樹脂23により封止されている。また、集束体21の端部21Aと外筒22との間隙も同様に封止用樹脂23により封止されている。一方、端部21Bについては外筒とは接着しておらず外筒内壁との間に一定の空間を設けている。
濾過モジュール20の上端は開口とし、固液分離処理される被処理液(原液)は、図中矢印に示すように、外筒22の底面から供給し、集束体21の上端21Aに向かって流れながら多孔質複層中空糸膜1により濾過し、固体粒子が除去された濾過液は多孔質複層中空糸膜1の内周側を流通させ、集束体21の上端21A側から導出している。
濾過モジュール20の下端部の各中空糸膜は封止している。また、固形粒子等を含む濁液は、すべて膜を透過するか、一部を外筒22に設けられた排出口から図中矢印に示すように排出している。
前記濾過モジュール20は、前記した多孔質複層中空糸膜1を複数本備えているため、非常に高精度かつ高い透過流量の濾過が可能である。
濾過モジュール20は、浄水処理のほか、高濁度溶液に用いられると膜間差圧(濾過圧)を従来よりも大幅に低減することができ、特に有効である。
図7(A)(B)(C)に浸漬型外圧吸引濾過用とした濾過モジュール30を示す。
図7(A)に示すように、浸漬型外圧吸引濾過用モジュール30は、多孔質複層中空糸膜を複数本束ねて集束体31とし、一端側31aをエポキシ樹脂32で集束一体化させたモジュールとしている。他端側31bは図7(B)(C)に示すように、ロッド33を介して中空糸膜1をU字型に折り返している。また、多孔質複層中空糸膜1間の隙間を十分に確保している。
前記形態との浸漬型のモジュールとすれば、下方に有孔管などの簡単な散気装置を設けることができ、かつ気泡の広がりを利用して膜間全体に気泡および原水を供給できるので、膜分離活性汚泥法におけるMLSSが5,000〜20,000mg/Lなどの高濁度溶液に特に有効に用いられる。
以下に、実施例および比較例を記載する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されない。
(実施例1)
旭硝子(株)製「Fluon(登録商標)PTFEファインパウダーCD−1」(数平均分子量200万)100質量部とソルベントナフサ(出光スーパーゾルFP25)20質量部を混合して組成物を作成した。得られた組成物に2MPaの圧力をかけて押し固めて予備成型後、シリンダー径90mmΦ、ダイス径3.5mm、コアピン径1.7mmのペースト押出機により押出ラム速度11mm/分でチューブ状に押出した。このときの出口のチューブ状製品の速度は10m/分であった。得られたチューブを200℃で10時間乾燥した後、300℃の乾熱下、供給線速10m/分の条件で、長手方向に100%の延伸を行った。
次いで650℃の加熱炉中で、供給線速5m/分の条件で長手方向に200%の延伸を行い、支持体用チューブを得た。
得られた支持体用チューブは、外径が2.50mm、内径1.20mmで、厚みが0.65mmであった。
(実施例2)
旭硝子(株)製「Fluon(登録商標)PTFEファインパウダーCD−145」(数平均分子量800万)100質量部とソルベントナフサ(出光スーパーゾルFP25)26質量部を混合して組成物を作成した。得られた組成物に2MPaの圧力をかけて押し固めて予備成型後、実施例1と同サイズのシリンダ、ダイス、コアピンサイズを用いペースト押出機により押出ラム速度22mm/分でチューブ状に押出した。このときの出口のチューブ状製品の速度は20m/分であった。
支持体用チューブの乾燥時の供給線速を20m/分とした以外は実施例1と同様にして実施例2とした。得られた支持体用チューブは、実施例1とほぼ同様外径が2.48mm、内径1.18mmで、厚みが0.65mmであった。
(比較例1)
旭硝子製「Fluon(登録商標)PTFEファインパウダーCD−145」(数平均分子量800万)を用い、100質量部とソルベントナフサ(出光スーパーゾルFP25)22質量部を混合して組成物を作成した以外は実施例1と同様とした。得られた支持体用チューブは、実施例1、2とほぼ同様外径が2.45mm、内径1.15mmで、厚みが0.65mmであった。
このようにして得られた実施例、比較例の支持体用チューブについて、表1に示す評価を行なった。製造条件の相違と共に表1に示す。
また、実施例1、2及び比較例1の支持体用チューブの外周面及び内周面の走査型電子顕微鏡写真を撮影した。撮影された写真を図8乃至図10にそれぞれ示す。
次に、実施例、比較例の支持体用チューブ10を用いて多孔質複層中空糸膜1を作製した。
支持体用チューブに巻きつける多孔質シートとして、多孔質延伸PTFEシートである住友電工ファインポリマー株式会社(製)「ポアフロン(登録商標)HP−045−15」を用いた。この多孔質延伸PTFEシートは、厚み15μm、気孔率60%、IPAバブルポイント110kPa、差圧100kPaでのIPA透過流束は30ml/cm/minであり、平均・最大繊維長(空孔を囲む繊維状骨格の平均最大長さ(L))が2.5μm、濾過圧0.1MPaで捕捉粒子として粒径(X)が0.2μmのビーズを用いた場合の粒子捕集率が90%である。
前記支持体用チューブと多孔質延伸PTFEシートを専用のラッピング装置にセットした。支持体用チューブをラインスピード4m/分で流し、その上にテンションコントロールを行いながら多孔質延伸PTFEシートを連続的にラッピングした。ラッピングはハーフラップで行った。
その後、雰囲気温度を350℃に設定したトンネル炉に通し、多孔質延伸PTFEチューブと多孔質延伸PTFEシートを熱融着一体化し、多孔質複層中空糸膜を得た。得られた多孔質複層中空糸膜の特性を表1中に示す。
前述した支持体用チューブ及び多孔質複層中空糸膜の評価は、下記の方法で行った。
(1)気孔率:ASTM−D−792に準拠し、水中で求めた比重(見掛け比重)と四弗化エチレン樹脂の比重より求めた値であり、この値が大きいほど透過性に優れている。
(2)平均孔径:PMI社製パームポロメーター(型番 CFP−1200A)により測定している。
(3)IPAバブルポイント:ASTM−F−316−80に準拠した方法により、イソプロピルアルコールを用いて測定した。
(4)IPA流量:
チューブ:支持体チューブは20kPaの差圧で、多孔質複層チューブは100kPaの差圧で20℃のイソプロピルアルコール(IPA)により測定した。いずれもチューブに内圧を負荷して差圧を確保し、1分間に中空糸膜外表面より流れ出るIPAを捕集してその量を測定した。この値が大きいほど透過性に優れている。
シート:ASTM−F−317の方法で測定したもので差圧は70cmHgとし、さらにこれを100kPa換算値に圧力補正して用いた。
(5)IPA透過流束:(4)をそれぞれ有効膜面積で除した値を用いた。有効膜面積については支持体チューブは内径基準で、多孔質複層中空糸膜は外径基準で算出した。
(6)IPA透過係数:(5)の透過流束をさらにサンプルの平均膜厚で除した値とした。
(7)マトリックス引張強度;JIS K 7161に準拠し、試験時の引張速度は100mm/分、標線間距離は50mmとして測定した値を用い下記式を用いて算出した。
マトリックス引っ張り強度=引っ張り強度/(1−気孔率(%)/100)
図8乃至図10に示すように、実施例1、2は比較例1に比べて、外表面の空孔が大きくなっていることが確認できた。また、表1よりIPAバブルポイントの値が小さく、大きな空孔を有していることが確認できた。その結果、透過流量を示すIPA流量も比較例1よりも実施例1の方が大きくなっており、透過流量に優れていた。
また、実施例1、比較例1の支持体用チューブから形成した多孔質複層中空糸膜は、同一の多孔質シートによりラッピングしているため、孔径を示すIPAバブルポイントは87〜93kPa同レベルの値となった。しかし、IPA流量は比較例1に比べて実施例1の方が多少大きく、透過性に優れていた。即ち、孔径は同一で排除できる粒子サイズが同一であるにも関わらず、比較例よりも実施例の方が透過流量に優れていた。
次に、実施例1、比較例1の支持体用チューブを備えた前記多孔質複層中空糸膜を用いて、外圧濾過用モジュール20を、実施例2、比較例1の支持体用チューブを備えた前記多孔質複層中空糸膜を用いて浸漬型外圧吸引濾過用モジュール30を、各々作製した。
具体的には、外圧濾過用モジュール20は、前述した図6の形態のモジュールとしており、多孔質複層中空糸膜1を900本束ねて集束体21とした。
一方、浸漬型外圧吸引濾過用モジュール30は、図7に示す形態のモジュールとしており、多孔質複層中空糸膜を330本をU字型に折り返し束ねて集束体31とした。
次に、外圧濾過用の濾過モジュール20により、図11に示す加圧型の濾過実験装置40を組み立てた。濾過実験装置40は、処理される原液41が送液ポンプ43により濾過モジュール20の外筒の内部に加圧供給され、濾過された濾過液は濾過モジュール20の両端から排出され、濾過液貯蓄槽44に貯蓄される構成とした。中空糸膜表面に堆積した固形分を除去するために透過水タンクからポンプ45を用いて逆洗可能とした。そのときはモジュール底部から系外へ排出可能とした。また、逆洗後、膜を振動させるためブロワー46からモジュール下部配管に空気を送り込み、外筒側面から排出された未濾過の原水がタンク41に戻せる構成とした。
また、浸漬型外圧吸引濾過用の濾過モジュール30により、図12に示す浸漬型の濾過実験装置50を組み立てた。
浸漬型の濾過実験装置50は、処理される原液51が供給・貯留された濾過槽52内に濾過モジュール30が浸漬されており、濾過モジュール30により濾過された濾過液は吸引ポンプ53で吸引され、濾過槽52から排出される構成とした。吸引ポンプ53と濾過モジュール30の間には真空計54を設置した。また、濾過槽52には、ブロワー55と連結された散気管56が浸漬されており、濾過槽52の原液51中に散気できる構成とした。
前記濾過実験装置40、50を用いて、下記の条件で濾過実験を行った。各実験において14日間の濾過圧(20℃補正値)の平均値を求め、表2に示す。
(実験1)
濾過実験装置40を用い被処理液として浄水施設から採取した浄化処理前の原水へ少量の凝集剤としてPAC(ポリ塩化アルミニウム)を有効ALで1mg/lとなるように添加した。濾過条件は、透過流量を2.5m3/m2/日と設定し定流量運転とした。
表2に示すように、浄水施設から採取した原水に対して加圧型の濾過装置を用いて濾過を行っても、実施例1は比較例1よりも優れた透過性を得ることができた。即ち、透過流量(2.5m/m/日)を得るのに必要な濾過圧が、比較例1では稼働当初から上昇しはじめ14日後には約59kPaであるのに対し、実施例1では14日後も稼働初期とほぼ変わらず約29kPaと約2分の1に抑えられた。
(実験2)
濾過実験装置50を用い、被処理液としてMLSSが10000mg/Lの活性汚泥中にモジュール30を浸漬し濾過実験の経過日数と濾過圧(吸引圧)の関係を調べた。定流量運転を実施し、透過流束(0.6m3/m2/日)が一定になるように圧力を調整した。 その他の濾過条件は、水温は10℃〜12℃(後述する図13〜15のグラフは水の粘度補正係数に基づいた20℃補正値)とし、吸引濾過は9分運転1分休みとした。逆洗は行わず、散気条件は、空気量50L/minで常時散気とした。
図13の実施例1、図14の実施例2、及び図15の比較例1に示すように、実施例2は比較例1に比べて低い濾過圧で同様の透過流量を達成することができた。
具体的には、表2に示すように、透過流量(0.6m/m/日)とするのに必要な濾過圧が、20℃補正値・14日後で、比較例1では23kPaであるのに対し、実施例2では11kPaと半分であり、実施例の方が透過性に優れていた。
なお、濾過処理を行った濾過水は実施例、比較例のいずれも濁度が0.1NTU以下、大腸菌群はゼロである清浄な濾過水が得られた。
本発明の支持体用チューブを備えた多孔質複層中空糸膜及びこれを複数本備えた濾過モジュールは、通常の浄水処理、高濁度排水処理、廃酸・廃アルカリ処理等の環境保全分野のほか、醗酵プロセスの除菌・除濁(酵素・アミノ酸精製)、動物細胞の培養濾過等の医薬・醗酵・食品分野等に好適に用いることができる。
具体的には、下排水処理における固液分離、産業排水処理(固液分離)、工業用水道水濾過、プール水濾過、河川水濾過、海水濾過、食品工業等における用水濾過及び製品の清澄濾過、酒・ビール・ワイン等の濾過(特に生製品)、製薬・食品等におけるファーメンターからの菌体分離、染色工業における用水及び染料溶液の濾過、RO膜における純水製造プロセス(海水の淡水化を含む)における前処理濾過、イオン交換膜を用いたプロセスにおける前処理濾過、イオン交換樹脂を用いた純水製造プロセスにおける前処理濾過等に好適に用いることができる。
本発明の支持体用チューブを示し、(A)は斜視概略図、(B)は支持体用チューブの外周面の拡大模式図を示す。 図1の支持体用チューブを備えた多孔質複層中空糸膜を示し、(A)は断面図、(B)は斜視構成図を示す。 多孔質複層中空糸膜による濾過状況を示す図である。 固液分離処理される固体粒子と、濾過層の外周面の空孔の最大長さを示す図である。 (A)(B)(C)(D)は、多孔質複層中空糸膜の製造方法の説明図である。 加圧型の濾過モジュールの構成を示す図である。 (A)は浸漬型吸引濾過用の濾過モジュールの構成を示し、(B)(C)は要部を示す図である。 実施例1の支持体用チューブの電子顕微鏡写真を示し、外周面を1000倍に拡大した写真である。 実施例2の支持体用チューブの電子顕微鏡写真を示し、外周面を1000倍に拡大した写真である。 比較例1の支持体用チューブの電子顕微鏡写真を示し、外周面を1000倍に拡大した写真である。 実験1の濾過実験装置の概略構成図である。 実験2の濾過実験装置の概略構成図である。 実施例1の濾過実験の結果を示し、経過日数と濾過圧の関係を示すグラフである。 実施例2の濾過実験の結果を示し、経過日数と濾過圧の関係を示すグラフである。 比較例1の濾過実験の結果を示し、経過日数と濾過圧の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 多孔質複層中空糸膜
10 支持体用チューブ
10a 外周面
11 支持層
11a 外周面
12 濾過層
12a 外周面
13 延伸多孔質PTFEシート
20、30 濾過モジュール
F 繊維
P 空孔
C 結節

Claims (9)

  1. 外表面に多孔質シートからなる濾過層を備えてなる多孔質複層中空糸膜の支持体用チューブであって、その気孔率が75%〜90%、IPAバブルポイントが2〜12kPa、内径が0.3〜10mm、肉厚が0.1〜10mm、差圧20kPaの時のIPA透過係数(内径基準単位膜面積あたりの流量/平均膜厚)が40〜100ml/min/cm2/mmである多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンチューブからなることを特徴とする支持体用チューブ。
  2. マトリックス引張強度が50〜110MPaである請求項1に記載の支持体用チューブ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の支持体用チューブの製造方法であって、
    数平均分子量(Mn)100万〜300万のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーに液状潤滑剤を配合し、リダクション比が500以上2000以下の条件で押出成形によりチューブ状とした後に、チューブの軸線方向に20〜400%延伸した後、さらに軸線方向に60〜560%延伸し、総延伸率を400〜700%とし、かつ焼結することを特徴とする支持体用チューブの製造方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の支持体用チューブの製造方法であって、
    数平均分子量(Mn)600万〜1000万のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーに液状潤滑剤を少なくとも樹脂100部に対して重量比24部以上30部以下で配合し、かつ、押出チューブの出口速度が15m/分以上30m/分以下の速度で押出成形によりチューブ状とした後に、チューブの軸線方向に50〜400%延伸した後、さらに軸線方向に60〜430%延伸しながら焼結することを特徴とする支持体用チューブの製造方法。
  5. 請求項1または請求項2に記載の支持体用チューブからなる支持層と、該支持層の外周面に一体化された多孔質シートからなる濾過層を備え、前記支持層と濾過層の空孔が互いに三次元的に連通されてなり、外周面側から内周面側に向けて固液分離処理を行う外圧濾過用であることを特徴とする多孔質複層中空糸膜。
  6. 前記多孔質シートが多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンシートである請求項5に記載の多孔質複層中空糸膜。
  7. IPAバブルポイントが100kPa以上である請求項6に記載の多孔質複層中空糸膜。
  8. 請求項6または請求項7に記載の多孔質複層中空糸膜の製造方法であって、
    支持体用チューブの外周面上に、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンシートからなる多孔質シートを巻き付け、該巻き付けと同時あるいは巻き付け後に荷重をかけて前記支持体用チューブと前記多孔質シートとを密着させ、前記支持体用チューブと前記多孔質シートとを焼結一体化することを特徴とする多孔質複層中空糸膜の製造方法。
  9. 請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の多孔質複層中空糸膜を複数本束ねた集束体を用いてなり、外圧濾過用あるいは浸漬型外圧吸引濾過用として用いられることを特徴とする濾過モジュール。
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