JP2010107670A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた低温定着性を満足しつつ、高温高湿下での帯電安定性とともに、保存性に優れる電子写真用トナー、及び該トナーに用いられるトナー用結着樹脂を提供すること。
【解決手段】縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む、電子写真トナー用結着樹脂であって、前記縮重合系樹脂が、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である、電子写真トナー用結着樹脂、並びに該結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に用いられる電子写真トナー用結着樹脂及び該結着樹脂を含有する電子写真用トナーに関する。
近年、マシンの高速化、省エネ化に伴い、低温定着性に優れたトナーが要求されている。そこで、トナー用結着樹脂として、従来使用されてきた芳香族多価アルコールを用いて得られる縮重合系樹脂に代わり、脂肪族多価アルコールを使用した縮重合系樹脂が提案されている。
特許文献1には、1,3-プロパンジオールと、特定の他の多価アルコールとを必須の構成成分として含有するアルコール成分と、多塩基酸成分とを反応させて得られるポリエステル樹脂を、結着樹脂として用いた、定着性、耐オフセット性に優れ、且つ連続印刷した際も安定した帯電挙動を示し、良好な高画質画像が得られる耐久性に優れた静電荷現像用トナーが開示されている。
特許文献2には、低温定着性と粉砕性のバランスに優れ、定着後の光沢性に優れるトナーを提供することを課題として、ポリオール成分が30〜100モル%の、炭素数2〜6の脂肪族ジオール(該脂肪族ジオールの少なくとも一部が1,2-プロピレングリコールである)からなり、テトラヒドロフラン可溶分の数平均分子量が1000〜9500のポリエステル樹脂を用いたトナー用ポリエステル樹脂が開示されている。
特許文献3には、帯電量と画質の環境安定性に優れ、粉砕性及び透明性が良好であり、低い温度で定着可能な結着樹脂として、(a)一の反応容器中で各々独立した反応経路を有する2つの重合系の原料モノマー混合物と、(b)該2つの重合系の原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物及び(c)3価以上のカルボン酸又はその誘導体を予め混合し、該2つの重合反応を同一反応容器中で並行して行わせることを特徴とする結着樹脂の製造方法が開示されている。
特開2002−169331号公報 特開2006−154686号公報 特開平7−98517号公報
しかしながら、脂肪族多価アルコールを用いて得られた縮重合系樹脂は、低温定着性に優れるものの、保存性が不十分であり、またエステル価が高いために、高温高湿下で吸水しやすく、高温高湿下での帯電安定性が不十分である。
本発明の課題は、優れた低温定着性を満足しつつ、高温高湿下での帯電安定性とともに、保存性に優れる電子写真用トナー、及び該トナーに用いられるトナー用結着樹脂を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む、電子写真トナー用結着樹脂であって、前記縮重合系樹脂が、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である、電子写真トナー用結着樹脂、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー
に関する。
本発明の結着樹脂を含有した電子写真用トナーは、優れた低温定着性を満足しつつ、高温高湿下での帯電安定性とともに、保存性にも優れるという効果を奏するものである。
本発明の電子写真トナー用結着樹脂は、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む樹脂(複合樹脂ともいう)であり、前記縮重合系樹脂が、少なくとも、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である点に大きな特徴を有している。脂肪族多価アルコールを用いて得られる縮重合系樹脂は、一般的に使用されているビスフェノールAのアルキレンオキサイド等の芳香族多価アルコールを使用した場合と比較してエステル価が高くなる傾向があるため、紙との親和性の観点から低温定着性の向上に有効である。一方で、分子骨格が柔らかく、分子量をあまり上げない状態ではガラス転移点を上げることが困難であるため保存性の低下や、吸湿性が高いために高温高湿下での帯電安定性の低下を招く原因となる。しかしながら、本発明では、上記特定の構造を有する脂肪族多価アルコールを用いることにより、保存性を損なうことなく、低温定着性を向上させることが可能となった。これは、水酸基が結合する第二級炭素に結合しているアルキル基が分子の運動性を束縛するため、同程度の軟化点の樹脂と比べて、高いガラス転移点を有することがその要因の一つと推定される。さらに、高温高湿下においても、良好な帯電安定性を維持するのは、上記特定の構造を有する脂肪族多価アルコールが末端にアルキル基を有することで、エステル基近傍の親水性を抑制するとともに、疎水性のスチレン系樹脂を含んでいるため吸湿性が低下することによるものと推定される。
本発明において、縮重合系樹脂の原料モノマーとしては、少なくとも、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とが用いられる。
アルコールAとしては、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール等が挙げられる。
アルコールAの炭素数は、エステル価を高くし、トナーの低温定着性とともに保存性を高める観点から、4〜8が好ましく、4〜5がより好ましく、4がさらに好ましい。また、樹脂の主鎖骨格をリジッドにして保存性を高める観点から、水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接した第二級炭素原子の組を1組以上有する脂肪族多価アルコールがより好ましい。これらの観点から、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール等の水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接した第二級炭素原子の組を1組以上有する、炭素数4〜8の脂肪族多価アルコールがより好ましい。
アルコールAの含有量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、縮重合系樹脂のアルコール成分中、10〜100モル%が好ましく、12〜80モル%がより好ましく、25〜75モル%がさらに好ましい。
また、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させる際のアルコールAの使用量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、縮重合系樹脂の原料モノマーである、アルコールA以外のアルコール成分及びカルボン酸成分の総量100重量部に対して、6〜100重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、15〜80重量部がさらに好ましい。
本発明においては、トナーの低温定着性の観点から、縮重合系樹脂のアルコール成分は、さらに、アルコールA以外の炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜6の脂肪族ジオール(アルコールB)を含有していることが好ましい。アルコールBとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、これらの中では、トナーの保存性の観点から、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール及び1,3-プロパンジオールが好ましい。
アルコールBの含有量は、トナーの低温定着性を高める観点から、アルコール成分中、0〜90モル%が好ましく、0.5〜90モル%がより好ましく、20〜88モル%がさらに好ましく、25〜75モル%がよりさらに好ましい。
また、アルコールA 1モルに対するアルコールBの含有量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、10モル以下が好ましく、0.1〜5モルが好ましく、0.3〜3モルがより好ましい。
アルコールA及びアルコールB以外のアルコール成分としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の、式(I):
Figure 2010107670
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、グリセリン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
芳香族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性の観点から、アルコール成分中、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、芳香族ジオールは実質的に用いないことが好ましい。ここで、実質的に用いないとは、含有量が、アルコール成分中、0モル%又は含有されていたとしても1モル%以下であることをいう。
また、縮重合系樹脂のカルボン酸成分としては、ジカルボン酸化合物又は3価以上の多価カルボン酸化合物を使用することができる。
ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。本発明において、上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
その他の酸として、ロジン;フマル酸、マレイン酸、アクリル酸等で変性されたロジン等が挙げられる。
本発明において、カルボン酸成分は、樹脂の分子量を上げ、トナーの低温定着性及び保存性を高める観点から、3価以上の多価カルボン酸化合物、好ましくはトリメリット酸化合物、より好ましくは無水トリメリット酸を含有していることが望ましい。3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、縮重合系樹脂のカルボン酸成分中、0.1〜30モル%が好ましく、1〜25モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、樹脂の分子量調整やトナーの耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、例えば、錫化合物、チタン化合物等のエステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、温度条件は、180〜250℃が好ましい。
錫化合物としては、例えば、酸化ジブチル錫が知られているが、本発明では、縮重合系樹脂中での分散性が良好である観点から、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn-O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ラウリル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)、オレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);オクチロキシ錫(II)、ラウロキシ錫(II)、ステアロキシ錫(II)、オレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましい。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、総炭素数2〜28のアルケニルオキシ基又は総炭素数1〜28のアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
チタン化合物の具体例としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C37O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4102N)2(C37O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C511O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C25O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(OHC816O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C1837O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)(C37O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6143N)3(C37O)〕等が挙げられ、これらの中ではチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましく、これらは、例えばマツモト交商(株)の市販品としても入手できる。
他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ-n-ブチルチタネート〔Ti(C49O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C37O)4〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C817O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C817O)2(OHC816O)2〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)2(C817O)2〕等が挙げられ、これらの中ではテトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましい。これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることができ、又は、ニッソー社等の市販品としても入手できる。
上記錫(II)化合物及びチタン化合物は、1種又は2種以上を併せて使用することができる。
エステル化触媒の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部がさらに好ましい。
縮重合系樹脂としては、トナーの低温定着性の観点から、ポリエステル、ポリエステル・ポリアミド等が挙げられるが、トナーの耐久性及び帯電安定性の観点からは、ポリエステルが好ましい。
アミド成分を形成するための原料モノマーとしては、公知の各種ポリアミン、アミノカルボン酸類、アミノアルコール等が挙げられる。
なお、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
一方、スチレン系樹脂の原料モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体が用いられる。
スチレン誘導体の含有量は、スチレン系樹脂の原料モノマー中、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
スチレン誘導体以外に用いられ得るスチレン系樹脂の原料モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/またはメタクリル酸を意味する。
これらの中では、トナーの低温定着性及び帯電安定性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、上記の観点から、1〜22が好ましく、8〜18がより好ましい。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数を言う。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方の場合を含むことを示す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、トナーの低温定着性、保存性及び帯電安定性の観点から、スチレン系樹脂の原料モノマー中、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。
なお、スチレン誘導体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含む原料モノマーを付加重合させて得られる樹脂をスチレン−(メタ)アクリル樹脂ともいう。
スチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件は、110〜200℃が好ましく、140〜170℃がより好ましい。
付加重合反応の際に用いられる有機溶媒としては、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、スチレン系樹脂の原料モノマー100重量部に対して、10〜50重量部程度が好ましい。
本発明の結着樹脂は、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含有していればよく、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂との混合物であってもよいが、縮重合系樹脂の原料モノマー及びスチレン系樹脂の原料モノマーを重合させることにより得られる複合樹脂が好ましい。かかる複合樹脂は、例えば、縮重合系樹脂の原料モノマーによる縮重合反応とスチレン系樹脂の原料モノマーによる付加重合反応とを並行して、又は順次、同一反応容器中で行うことにより得ることができる。縮重合反応と付加重合反応の進行及び完結は、時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択し、反応を進行、完結させればよい。
さらに、本発明において、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂は、トナーの低温定着性及び帯電安定性を向上させる観点から、縮重合系樹脂の原料モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーに加えて、それらのいずれとも反応し得る化合物(両反応性モノマー)を用いて得られるハイブリッド樹脂であることが好ましい。従って、縮重合系樹脂の原料モノマー及びスチレン系樹脂の原料モノマーを重合させて本発明の結着樹脂を得る際に、縮重合反応と付加重合反応は、両反応性モノマーの存在下で行うことが好ましい。これにより、本発明の結着樹脂は、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とが部分的に両反応性モノマーを介して結合したハイブリッド樹脂となり、縮重合系樹脂成分中にスチレン系樹脂成分がより微細に、かつ均一に分散したものとなる。
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシル基、より好ましくはカルボキシル基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性をより一層向上させることができる。両反応性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましいが、反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸がより好ましい。
両反応性モノマーの含有量は、縮重合系樹脂のアルコール成分とカルボン酸成分の総量中、1〜20モル%が好ましく、2〜15モル%がより好ましい。なお、本発明において、両反応性モノマーの含有量やアルコールA以外のアルコール成分とカルボン酸成分の総量に対するアルコールAの含有量等を算出する際、両反応性モノマーの量は、縮重合系樹脂の原料モノマーとしてアルコール成分及びカルボン酸成分の総量に含める。
本発明の結着樹脂の具体的な製造方法としては、
(i) 縮重合反応を行う工程(A)の後に、付加重合反応を行う工程(B)を行う方法、
(ii) 縮重合反応を行う工程(A)の後に、付加重合反応を行う工程(B)を行い、工程(B)の後に、再度反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂の原料モノマーを重合系に添加し、工程(A)の縮重合反応をさらに進める方法、
(iii) 付加重合反応に適した温度条件下で、縮重合反応を行う工程(A)と付加重合反応を行う工程(B)とを並行して行い、反応温度を前記条件下で保持して工程(B)を完結させた後、反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂の原料モノマーを重合系に添加し、工程(A)の縮重合反応をさらに進める方法
等が挙げられる。(i)、(ii)の方法において、縮重合反応を行う工程(A)の代わりに、予め重合した縮重合系樹脂を用いてもよい。(iii)の方法において、工程(A)と工程(B)を並行して行う際には、縮重合系樹脂の原料モノマーを含有した混合物中に、スチレン系樹脂の原料モノマーを含有した混合物を滴下して反応させることもできる。
また、本発明の結着樹脂が両反応性モノマーを用いて得られるハイブリッド樹脂である場合、両反応性モノマーは、スチレン系樹脂の原料モノマーとともに用いることが好ましい。
本発明においては、縮重合系樹脂のスチレン系樹脂に対する重量比、即ち縮重合系樹脂の原料モノマーのスチレン系樹脂の原料モノマーに対する重量比(縮重合系樹脂の原料モノマー/スチレン系樹脂の原料モノマー)は、連続相が縮重合系樹脂であり、分散相がスチレン系樹脂であることが好ましいことから、55/45〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜90/10がさらに好ましい。
本発明の結着樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性、保存性及び耐久性の観点から、90〜160℃が好ましく、95〜155℃がより好ましく、115〜150℃がさらに好ましい。
一般に、樹脂の軟化点とガラス転移点は相関している。しかし、本発明の結着樹脂は、同程度の軟化点を有する樹脂に比べると、ガラス転移点を高くすることができるため、1種類の樹脂でも、トナーの低温定着性、保存性等を満足することができるが、軟化点の高い樹脂と低い樹脂とを併用することで、前記の点において、より優れる。具体的に、結着樹脂は、上記観点から、軟化点が好ましくは10℃以上、より好ましくは20〜60℃異なる高軟化点樹脂と低軟化点樹脂とからなることが好ましい。高軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは125〜160℃、より好ましくは130〜150℃であり、低軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは90〜120℃、より好ましくは90〜110℃である。高軟化点樹脂の低軟化点樹脂に対する重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)は、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましい。
また、本発明の結着樹脂のガラス転移点は、トナーの低温定着性、保存性及び耐久性の観点から、45〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、58〜75℃がさらに好ましい。トナーの帯電性と環境安定性の観点から、酸価は、1〜90mgKOH/gが好ましく、5〜90mgKOH/gがより好ましく、5〜88mgKOH/gがさらに好ましい。
本発明の結着樹脂を用いることにより、互いに相反する性能である低温定着性と保存性のいずれにも優れ、高温高湿下でも良好な帯電安定性を有する、本発明の電子写真用トナーが得られる。
本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の結着樹脂以外の公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂が併用されていてもよいが、本発明の結着樹脂の含有量は、全結着樹脂中、30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、黒色顔料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、結着樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1.5〜7重量部がさらに好ましい。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。一方、トナーの小粒径化の観点からは、重合法によるトナーが好ましい。
トナーの表面には、外添剤が添加されていてもよい。外添剤としては、トナーには、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、樹脂微粒子等の有機微粒子等が挙げられ、これらの表面には疎水化処理が施されていてもよい。外添剤の添加量は、外添剤で処理する前のトナー粒子100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましい。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1〔樹脂A〜D、F〜H、K〕
表1〜3に示す無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、100℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hrで昇温し、その後230℃で10時間縮重合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。160℃まで冷却した後、表1〜3に示すアクリル酸(両反応性モノマー)、スチレン系樹脂の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温した後、表1〜3に示す無水トリメリット酸を投入し、210℃にて2時間反応を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ハイブリッド樹脂を得た。
樹脂製造例2〔樹脂E〕
表1に示す無水トリメリット酸及びフマル酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、100℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃まで昇温した。その後、表1に示すアクリル酸(両反応性モノマー)、ビニル系樹脂の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、230℃で10時間縮重合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、表1に示すフマル酸を投入し、180℃から210℃まで10℃/hrで昇温し、その後3時間縮重合反応させた。さらに、表1に示す無水トリメリット酸を投入し、210℃にて2時間反応を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ハイブリッド樹脂を得た。
樹脂製造例3〔樹脂I、J、L〕
表2、3に示す無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、100℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hrで昇温し、その後230℃で10時間縮重合反応させ、さらに表2、3に示す無水トリメリット酸を投入し、210℃で反応させ、10kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
樹脂製造例4〔樹脂M〕
表3に示す無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で10時間縮重合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。さらに表3に示す無水トリメリット酸を投入して、210℃で反応させ、10kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
Figure 2010107670
Figure 2010107670
Figure 2010107670
実施例1〜11及び比較例1〜3
表4に示す結着樹脂100重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製、融点:140℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8.0μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100重量部に、外添剤として「アエロジル R-972」(日本アエロジル(株)製)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着画像を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ロールの温度を100℃から240℃へと10℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着画像の定着試験を行った。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ロールに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ロールの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。結果を表4に示す。なお、定着試験に用いた紙は、シャープ(株)製のCopyBond SF-70NA(75g/m2)であった。
〔評価基準〕
A:最低定着温度が150℃未満である。
B:最低定着温度が150℃以上、170℃未満である。
C:最低定着温度が170℃以上である。
試験例2〔保存性〕
20ml容の容器(直径約3cm)にトナー4gを入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準より保存性を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後ではわずかに凝集が認められる。
C:48時間後で凝集は認められないが72時間後では明らかに凝集が認められる。
D:48時間以内で凝集が認められる。
試験例3〔高温高湿下での帯電安定性〕
温度32℃、相対湿度85%トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径:90μm)19.4gとを50ml容のポリビンに入れ、ボールミルを用いて250r/minで混合し、以下の方法により、トナーの帯電量をQ/Mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。
所定の混合時間後、Q/Mメーター付属のセルに規定量のトナーとキャリアの混合物を投入し、目開き32μmのふるい(ステンレス製、綾織、線径:0.0035mm)を通してトナーのみを90秒間吸引した。そのとき発生するキャリア上の電圧変化をモニターし、〔90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)〕の値を帯電量(μC/g)とした。混合時間60秒後における帯電量と混合時間600秒後における帯電量の比率(混合時間60秒後における帯電量/混合時間600秒後の帯電量)を計算し、以下の評価基準に従って帯電安定性を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:0.8以上
B:0.6以上、0.8未満
C:0.6未満
Figure 2010107670
以上の結果より、実施例1〜11のトナーと対比して、アルコールA以外の脂肪族多価アルコールを使用した結着樹脂を含有した比較例1のトナーは、低温定着性は良好であるものの、保存性に欠けており、アルコールA以外の脂肪族多価アルコールを使用した縮重合系樹脂のみを結着樹脂として含有した比較例2のトナーは、低温定着性は良好であるものの、保存性と高温高湿下での帯電安定性に欠けていることが分かる。また、芳香族多価アルコールを使用した縮重合系樹脂のみを結着樹脂として含有した比較例3のトナーは、低温定着性、保存性及び高温高湿下での帯電安定性のいずれにも欠けていることが分かる。
本発明の電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む、電子写真トナー用結着樹脂であって、前記縮重合系樹脂が、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である、電子写真トナー用結着樹脂。
  2. アルコールAが、水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接してなる第二級炭素原子の組を1組以上有する、炭素数が4〜8の脂肪族多価アルコールである、請求項1記載の結着樹脂。
  3. アルコールAの含有量が、アルコール成分中、10〜100モル%である、請求項1又は2記載の結着樹脂。
  4. アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させる際のアルコールAの使用量が、アルコールA以外のアルコール成分及びカルボン酸成分の総量100重量部に対して、6〜100重量部である、請求項1〜3いずれか記載の結着樹脂。
  5. アルコール成分が、さらにアルコールA以外の炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有してなる、請求項1〜4いずれか記載の結着樹脂。
  6. カルボン酸成分が、3価以上の多価カルボン酸化合物を0.1〜30モル%含有してなる、請求項1〜5いずれか記載の結着樹脂。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。
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