JP2010106348A - 金属ガラス成形体とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品形状の自由度が高く、部品作製の際必要とするプレスパワーを少なくしてコストを削減することができる、金属ガラス成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形して、内部に気孔が分散した加圧成形体を得る第1工程と、前記加圧成形体をさらに加熱加圧成形して金属ガラス成形体を得る第2工程と、を含む、金属ガラス成形体の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属ガラス成形体とその製造方法に関する。より詳細には、部品形状の自由度が高く、成形装置のコストダウンが可能な金属ガラス成形体とその製造方法に関する。
従来より、モータの分野においては、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機バインダー及びSiO酸化物微粒子を軟磁性材料に被覆した圧粉磁心材料を、軟磁性粉末に圧粉成型してなる成型体が、焼結軟磁性材料として広く用いられている。
さらに、この成型体の高強度化を狙いとして、軟磁性粉末とSiO酸化物の微粒子とを混合して得られた粉末を圧粉することで、軟磁性粉末がSiO酸化物微粒子の絶縁層で被覆され、粉末同士が接合した圧粉磁心を製造する技術が特許文献1に開示されている。
特開平9−180924号公報
自動車用駆動モータに対して、高回転化による小型化が強く要求されている。小型化実現のために、磁心などの部品作製の際、部品形状に高い自由度が求められている。しかしながら、上記特許文献1に開示された圧粉磁心の製造方法では、プレスの際の変形抵抗が高いため、部品形状の自由度が十分ではないという問題があった。また、コスト削減のためには、低いプレスパワーで部品を作製することが望まれる。
そこで本発明は、部品形状の自由度が高く、部品作製の際必要とするプレスパワーを少なくしてコストを削減することができる、磁心などの部材を構成しうる金属ガラス成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成するための本発明の金属ガラス成形体の製造方法は、金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形して、内部に気孔が分散した加圧成形体を得る第1工程と、この加圧成形体をさらに加熱加圧成形して金属ガラス成形体を得る第2工程と、を含む。
本発明によれば、第1工程で金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形して、内部に気孔が分散した加圧成形体を得たあと、第2工程で前記加圧成成形をさらに加熱加圧成形することにより、第2工程での変形抵抗を低くすることができる。このため、変形に必要なプレスパワーが小さくなって部品形状の自由度が向上し、コスト削減を図ることができる。
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した最良の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
本発明の金属ガラス成形体の製造方法は、金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形して、内部に気孔が分散した加圧成形体を得る第1工程と、前記加圧成形体をさらに加熱加圧成形して金属ガラス成形体を得る第2工程と、を含む。
図1は、本発明の製造方法の概略を示す図である。図1(a)に示す基材粒子1を原料として、第1工程の加圧成形を実施し、図1(b1)に示すような加圧成形体2を得る。図1(b2)は、この加圧成形体2中の基材粒子1の配置を模式的に示しており、基材粒子1が変形されて密に配置されているものの、基材粒子1どうしの間には気孔4が分散して存在する状態を示している。そして、第2工程で、このような気孔4が分散して存在する加圧成形体2をさらに加熱加圧成形して、図1(c1)に示すような金属ガラス成形体3を得る。図1(c2)は得られた金属ガラス成形体3中の基材粒子1の配置を模式的に示す図であるが、基材粒子は互いに接して密に存在し、気孔4はほとんど存在しない。
金属ガラスは変形能が高いために転写性に優れたプレス素材として用いられうるが、加工する際、歪速度を大きくすると塑性流動が開始するまでに大きな応力が必要となり、割れてしまう場合もある。しかしながら、本発明者らは、上記のような気孔4が分散した加圧成形体2を作製しておくと、初期の応力が小さい場合でも、気孔4の部分に金属ガラスの成分が流動するため、容易に塑性流動が開始し、変形しやすくなることを見出した。このような気孔4が分散した加圧成形体2は、変形抵抗が小さいため変形に必要なプレスパワーを有意に小さくでき、しかも加工の自由度が高い。また、加熱加圧成形の際に割れることなく高密度化できるため、強度の高い金属ガラス成形体を得ることができる。
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。
(基材粒子)
本発明で用いられる基材粒子は、金属ガラスを主成分とする。基材粒子が、「金属ガラスを主成分とする」とは、金属ガラス以外の金属元素を含んでもよいことを意味する。金属ガラス以外の金属元素として、例えば、Al、Ni、Cu、Mg、Tiなどの延性が高い金属が挙げられ、中でも好ましくはAlである。これらの金属元素を前記基材粒子に含ませることにより、成形体の割れを防げるという有利な効果を奏する。基材粒子における金属ガラスの含有量は、基材粒子の全質量100質量%に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90〜100質量%であることが特に好ましい。
金属ガラスは、非晶質相を有する金属または合金であってガラス転移を示すものであれば特に制限されないが、鉄(Fe)、Ni、Co、Zrのうち1種以上を含む金属ガラスが挙げられる。好ましくは、強磁性を有する鉄(Fe)、Ni、Coのうち1種以上を含む金属ガラスであり、より好ましくは、鉄基金属ガラスである。このような金属ガラスは、強度が高く、しなやか(低ヤング率)であり、耐食性、透磁率、成形加工性、鋳造性、表面平滑性に優れる。前記金属ガラスにおけるFe、Ni、Co、Zrの合計含有量は特に制限されることはないが、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%であることが特に好ましく、75質量%以上であることが最も好ましい。Fe、Ni、Co、Zrの合計含有量の上限値は、特に限定されないが、実質的に99質量%である。上記範囲である場合、高い磁気特性を有する金属ガラス成形体が得られうる。Fe、Ni、Coの合計含有量が50質量%以上であれば、磁気特性を高める上で好ましい。鉄(Fe)を主成分として含むことは、磁気特性、経済性の面でさらに好ましい。なお、「鉄を主成分として含む」または「鉄基金属ガラスである」とは、金属ガラスの主要成分として鉄を含むことを意味する。これは、Ni、Co、Zrについても同様である。また、前記金属ガラスは、はFe以外の成分として、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、リン(P)、炭素(C)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)及びモリブデン(Mo)からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。金属ガラスの具体的な組成について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。
そして、基材粒子に含まれる金属ガラスにおいては、ΔTx=Tx−Tg(ただし、Txは結晶化開始温度を示し、Tgはガラス転移温度を示す)で定義される過冷却温度領域の幅が、好ましくは20K以上であり、より好ましくは30K以上であり、さらに好ましくは40K以上である。ΔTxの上限は特に制限されない。金属ガラスが一旦アモルファス状態を脱すると、一気に結晶化してしまい、もはやアモルファス状態には戻らない。結晶化した金属ガラスは非常に硬くて脆いため割れやすくなり、焼結軟磁性材料の強度が非常に低下することとなる。したがって、金属ガラスがアモルファス相を主相とする状態を保持するような構成にすることが不可欠である。上記のような形態とすることで、金属ガラスをガラス転移点Tg付近で維持させても、金属ガラスはほとんど結晶化することなく、金属ガラスがアモルファス状態を安定的に維持しやすくなる。その結果、金属ガラスの流動性が非常に向上することから成形が容易となり、かつ不定比酸化物の形成を促進することができるため、高い磁気特性を有しつつ強度の高い成形体を得ることができる。
基材粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1〜4000μmであることが好ましく、1〜400μmであることがなお好ましい。また、1〜100μmであることがより好ましく、1〜50μmであることがさらに好ましく、10〜30μmであることが特に好ましく、20μmであることが最も好ましい。かかる範囲の場合、得られる金属ガラス成形体の密度が大きくなり、強度を向上させることができる。なお、本明細書における平均粒径は、粒度分布測定法により、Pertica(LA−950、HORIBA製)を用いて測定した値を採用するものとする。
上述のような金属ガラスを主成分とする基材粒子の調製方法は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、所定組成の合金を溶融してから高圧ガス噴霧法(ガスアトマイズ法)によって製造するか、または水アトマイズ法を用いて製造することができる。好ましくは、水アトマイズ法が用いられる。
前記基材粒子は、絶縁材料を含んでもよい。好ましくは、前記絶縁材料は、絶縁皮膜として金属ガラスの表面に被覆される。絶縁材料を絶縁皮膜として被覆した粒子を用いると、軟磁性材料に本来要求される高抵抗比といった電気特性が確保されうる。また、得られる磁心などの部材の強度も向上しうる。好ましくは、前記基材粒子は、金属ガラスが無機酸化物を含む絶縁皮膜に覆われた粒子である。前記無機酸化物は、特に制限されることはなく、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、ホウ素(B)などの酸化物、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、アルミニウム(Al)である。特に、酸化アルミニウムを無機酸化物として用いると、基材粒子の強度が向上しうる。金属ガラスの表面を無機酸化物などの絶縁材料で覆う方法として、以下に制限されることはないが、例えば湿式コーティング、流動層コーティング、ゾルゲル法、手塗りなどが挙げられる。絶縁皮膜の厚さは、1nm以上であることが好ましく、10nm〜1000nmであることがより好ましく、50〜100nmであることが特に好ましい。かかる範囲の場合、得られる金属ガラス成形体の電気比抵抗が増大し、渦損を小さくすることができる。
(第1工程)
第1工程は、金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形して、内部に気孔が分散した加圧成形体を得る工程である。
前記第1工程においては、好ましくは、1〜10t/cmの荷重で基材粒子を加圧成形する。加圧条件が上記範囲であれば、内部に気孔が分散した加圧成形体が得られうる。
加圧成形の方法は特に制限されないが、例えば、放電プラズマ焼結法(SPS)、ミリ波焼結法、熱間プレス、などが挙げられる。中でも、放電プラズマ焼結法は、簡便、高速で省電力化が可能な方法であり、高品質な成形体が得られるため好ましい。
処理温度(基材粒子の粉末の温度)は、Tx未満の温度であることが好ましい。かかる範囲である場合、アモルファス状態を有し、空隙部分を含む加圧成形体を製造することができる。処理温度は、より好ましくは(Tx−10)℃以下であり、さらに好ましくは(Tx−40)℃以下である。上記温度は、金属ガラスの組成によって異なるが、例えば、40℃/分の昇温速度でDSC測定を行った場合、Tg:468℃、Tx:512℃の金属ガラス粉末の好ましい成形条件は(Tx−40)℃以下であり、より好ましくは(Tx−80)℃以下である。前記第1工程における加圧成形の時間は、特に限定されないが、好ましくは数分〜数十分であり、より好ましくは数分である。
ここで、上記のような温度制御には、例えば、超鋼の金型が用いられうる。この場合、基材粒子の粉末は金型の発熱によっても加熱されうる。金型と内部の粉末または成形体との温度差が、150℃以下であることが好ましく、5〜50℃であることがより好ましい。
上記の各条件により得られる、内部に気孔が分散した加圧成形体は、その密度が金属ガラス成形体の真密度よりも小さい。好ましくは、加圧成形体の密度は、金属ガラス成形体の真密度の95%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。特に好ましくは85%である。上記範囲であれば、以下に説明する第2工程において、変形抵抗が小さくなり、変形に必要なプレスパワーが小さくなる。加圧成形体の密度の下限値は特に制限されないが、金属ガラス成形体の真密度の50%以上であれば作業性が高く好適である。ここで、加圧成形体の密度は、電子比重計(型番MD−300S、Alfa Mirage社製)によって測定した値である。
同様に、気孔の体積は、前記加圧成形体の体積に対して5%以上であることが好ましい。気孔の体積は上記のような密度の測定から見積もることができる。
加圧成形体の内部に気孔が分散されている様子は、例えば、加圧成形体の断面のSEM写真から観察することができる。図2(B)に、本発明の金属ガラス成形体の製造方法において、第1段階で得られた加圧成形体の断面のSEM写真を示す。この加圧成形体の密度は6.3g/cmであり、これは金属ガラス成形体の真密度の85%であった。粒子の間に、空隙部分(図中の黒色部分)が分散して存在していることが確認される。図2(B)の加圧成形体において、原料として用いた基材粒子の組成はFe77Mo10Si(Fe:77原子%、Mo:2原子%、P:10原子%、C:4原子%、B:4原子%、Si:3原子%)であり、平均粒径は20μmである。加圧成形は、430℃の(粉末)温度で、6t/cmの荷重で5分間行った。比較のために、真密度の99%まで加圧成形した成形体の断面のSEM写真(図2(A))を併せて示す。真密度付近まで加圧成形した成形体の場合、空隙部分がほとんどみられない。なお、図2(A)の成形体の作製条件は、処理温度(基材粒子の粉末の温度)が480℃であったことを除いては図2(B)のものと同様である。
(第2工程)
第2工程は、内部に気孔が分散した加圧成形体をさらに加熱加圧成形して、金属ガラス成形体を得る工程である。
第2工程は、好ましくは、前記第1工程で内部に気孔が分散した加圧成形体を得た後、加圧しない時間を設けた後に行う。加圧しない時間は、例えば、1〜100分である。上記のように加圧しない時間を設けることによって、高密度の金属ガラス成形体が得られうる。この加圧しない時間の間に、例えば、切出し加工などの工程を行ってもよい。
前記第2工程においては、好ましくは、歪速度0.02〜1/sで加圧成形体を加熱加圧成形する。加圧条件が上記範囲であれば、高密度の金属ガラス成形体が得られうる。加圧成形の方法は特に制限されないが、例えば、放電プラズマ焼結法(SPS)、ミリ波焼結法、熱間プレスなどが挙げられる。好ましくは、放電プラズマ焼結法(SPS)、ミリ波焼結法のような、電磁波プロセスを用いた加熱焼結装置による方法を用いる。中でも、放電プラズマ焼結法は、簡便、高速で省電力化が可能な方法であり、高品質な成形体が得られるため好ましい。処理温度(パンチにて制御する温度)は、420〜520℃であることが好ましい。かかる範囲である場合、アモルファス状態を維持しつつ、緻密な構造を有する金属ガラス成形体材料を製造することができる。より好ましくは、処理温度は、480〜510℃であり、さらに好ましくは490〜500℃である。
ここで、パンチを用いる場合、熱電導率の小さい材質のものを用いることが好ましい。これは、加圧成形体の中央部にて温度制御を行うため、熱がパンチから逃げてしまい加圧成形体の上下部と中央部との間に温度分布が生じることを防ぐためである。
前記第2工程における設定温度に到達した後の加圧成形の時間は、特に限定されないが、好ましくは数秒〜数十分であり、より好ましくは数秒〜数分である。
第2工程によって得られた金属ガラス成形体の密度は、第1工程終了後の加圧成形体の密度よりも大きく、好ましくは、金属ガラス成形体の真密度の95%を超える。より好ましくは、金属ガラス成形体の真密度の97%以上であり、さらに好ましくは99%以上である。金属ガラス成形体の密度の上限値は特に制限されないが、実質的に金属ガラス成形体の真密度の95%以上である。金属ガラス成形体は、高密度にプレスされるため空隙部分が減少し、その体積は加圧成形体の体積よりも小さい。
また、得られた金属ガラス成形体は、好ましくは、断面をSEMで観察した場合、金属ガラスを主成分とする基材粒子のうち、アスペクト比が3以上の粒子が断面積比で30%以上を占める。より好ましくは、アスペクト比が3以上の粒子が、断面積比率で40〜80%である。図3に本発明の製造方法によって得られた金属ガラス成形体の断面のSEM写真を示す。この金属ガラス成形体は、図2(B)の写真に示した加圧成形体を、さらに第2工程による加熱加圧成形を行って得たものである。第2工程の加熱加圧成形は、500℃の温度で、約10t/cm以下の荷重で数秒〜数十秒間行った。この金属ガラス成形体の密度は、真密度の99%であり、上述した図2(A)の写真のものとほぼ同様の値である。しかしながら、金属ガラス成形体中の粒子形状は、1段階で成形した図2(A)のものとは異なり、アスペクト比が3以上の粒子が30%以上、より好ましくは40〜80%を占める。ここで、金属ガラス成形体中の粒子のアスペクト比は、粒子が球形でない場合、断面における輪郭線上の2点間を結ぶ最大の距離を長辺、最短距離を短辺として長辺/短辺の値を求めた。このような粒子の存在比は図3の画面にて粒子をカウントする方法で求めた。アスペクト比が3以上の粒子が存在することは、基材粒子の形が潰れるほど大きく流動した基材粒子が存在することを意味する。すなわち、第1工程で焼結された加圧成形体をさらに加圧加熱することにより、加圧成形体中の粒子がさらに加熱加圧されてさらに流動が起こり、潰されて変形した粒子が増加する。したがって、このような粒子が30%以上であれば、より高い強度を有する金属ガラス成形体が得られうる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る加圧成形体は、金属ガラスを主成分とする基材粒子を含む加圧成形体であって、内部に気孔が分散して存在する。このような加圧成形体を用いると、高密度の金属ガラス成形体を製造する際に、変形に必要なプレスパワーが小さくなり、形状の自由度が向上しうる。また、得られる金属ガラス成形体の密度が大きくなり、強度を向上させることができる。
前記加圧成形体に空孔が含まれることは、断面をSEM観察する方法によって、または加圧成形体の密度を金属ガラス成形体の真密度と比較することによって確認することができる。
この加圧成形体は、特に限定されないが、本発明の第1実施形態に係る製造方法における第1工程に記載の方法によって調製される。前記加圧成形体の形態は上記第1実施形態に記載のものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る金属ガラス成形体は、金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形してなる金属ガラス成形体であって、前記金属ガラス成形体の断面において観察される粒子のうち、アスペクト比が3以上の粒子が面積比で30%以上を占める、金属ガラス成形体である。基材粒子のアスペクト比は、SEM観察によって求めることができる。上記のような形態であれば、強度の高い金属ガラス成形体が得られうる。
前記金属ガラス成形体の好ましい形態は上記第1実施形態に記載のものと同様であるため、ここでは説明を省略する。前記金属ガラス成形体は、特に限定されないが、好ましくは本発明の第1実施形態に係る製造方法によって調製される。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る金属ガラス成形体は、金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形してなる金属ガラス成形体であって、前記金属ガラス成形体の断面において観察される粒子のうち、アスペクト比が3以上の粒子が面積比で30%以上を占める、金属ガラス成形体である。
基材粒子のアスペクト比は、SEM観察によって求めることができる。上記のような形態であれば、強度の高い金属ガラス成形体が得られうる。鉄基金属ガラスを主成分とする基材粒子を用いると、成形体の強度がより一層高まり、高い磁気特性が得られうる。
前記金属ガラス成形体の好ましい形態は上記第1実施形態に記載のものと同様であるため、ここでは説明を省略する。前記金属ガラス成形体は、特に限定されないが、好ましくは本発明の第1実施形態に係る製造方法によって調製される。第1実施形態に係る製造方法で製造した場合、第1工程で焼結された加圧成形体をさらに加圧加熱することにより、加圧成形体中の粒子がさらに加熱加圧されてさらに流動が起こる。このため、潰されて変形した粒子が増加するため、アスペクト比が3以上の粒子が面積比で30%以上を占める、金属ガラス成形体が得られうる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る鉄心材料は、上記第1実施形態の金属ガラス成形体の製造方法によって得られる金属ガラス成形体、または上記第2実施形態の加圧成形体をさらに第1実施形態で示した条件によって加熱加圧成形して得られる金属ガラス成形体を適用する。本発明に係る鉄心材料は、例えば電動モータ用のロータ、ステータなどに適用することができ、高強度で鉄損の少ないコアを低コストかつ高い部品形状の自由度で実現することができる。同時に、小型モータへの適用可能なレベルの高磁気特性(強磁性化)及び高強度を有する。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係るモータは、第5実施形態の鉄心材料をコア材として使用する。高強度で鉄損の少ないコアを用いることで、大きな出力トルクを小型モータで実現することができる。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態に係る車両は、第6実施形態のモータを搭載する。モータの小型化によって、エンジンルームの中の自由度を一層高めることが可能となる。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<試料の調製>
(実施例1)
Feを主成分とする、平均粒径20μmの金属ガラス粉末(基材粒子)としてFe77Mo10Si(Fe:77原子%、Mo:2原子%、P:10原子%、C:4原子%、B:4原子%、Si:3原子%)210gを準備した。上記の金属ガラス粉末は、44Kの過冷却温度領域ΔTxを有していることを確認した(Tg:741K、Tx:785K)。
この金属ガラス粉末に、荷重6t/cmをかけながら、温度380℃(金型にて温度制御し、粉末温度を430℃、即ち金型と焼結される基材粒子の集合体との温度差を50℃に維持)で5分間SPS焼結を行い、φ40mm×25mmの加圧成形体を成形した。ここで、得られた加圧成形体の密度は6.3g/cmであり、加圧成形体の密度は真密度の85%であることを確認した。
次いで、この加圧成形体からφ8mm×5mmの試験片を切出し、熱間加工性試験装置(THERMECMASTOR−Z)(富士電波工機株式会社製)にて加熱しながら加圧する熱間圧縮変形試験を行った。熱間変形データを測定するに際して、ジルコニアパンチを使用した。さらに、パンチと試験片との間にハイス鋼を入れることで、試験片上下部と中央部の温度差を15℃以下とした。加熱温度500℃、歪速度0.026〜1/sの条件で変形抵抗を測定した。
熱間加工性試験装置のシステムソフトFDCPRGにて、試験過程で収録された荷重とストローク変位量を基に自動演算を行い、加圧成形体の真応力と真歪を測定し、応力−歪曲線を得た。
(比較例1)
金属ガラス粉末を温度430℃(粉末温度480℃)にてSPS焼結を行い、密度が金属ガラス成形体の真密度の99%である加圧成形体を成形したこと以外は、実施例1と同様の方法で成形した。
実施例1および比較例1で得られた試験片の加熱、加圧の際の変形抵抗値を表1に示す。また、応力−歪曲線を図4に示す。
表1および図4の結果から、実施例1の加圧成形体は、真密度の85%であり、内部に気孔が加圧成形体の体積に対して15%残っているため、真密度と近い状態(真密度の99%)の高密度の加圧成形体より、変形抵抗値が小さかった。
実施例1の場合、加圧成形体の密度が小さいため、さらに加熱加圧された際に、アモルファス状態の金属ガラスが気孔の部分に流動し、流動度を大きくすることができる。そのため、加圧成形体中の基材粒子同士の界面強度を大きくすることができる。これに対して、比較例1の場合は高密度で、内部における気孔の分散が認められないため、昇温した場合であっても十分に流動が起こらない。そのため、実施例1の加圧成形体の変形に必要なプレスパワーは、比較例1の場合に比べて小さくなり、変形抵抗が小さくなったと考えられる。特に、歪速度1/sの場合の実施例1の加圧成形体の変形抵抗は、比較例1の加圧成形体の変形抵抗に比べて1/4程度に低下した。
したがって、本発明の製造方法によれば、内部に気孔が分散した加圧成形体を作製することで変形抵抗を小さくし、これによって部品形状の自由度を高め、必要とするプレスパワーを抑えることができることがわかる。
本発明の金属ガラス成形体の製造方法の各段階を示す概略図である。 本発明の金属ガラス成形体の製造方法において、第1工程で得られた加圧成形体の断面のSEM写真である。 本発明の金属ガラス成形体の製造方法によって得られた金属ガラス成形体の断面のSEM写真である。 実施例および比較例で作製した加圧成形体の熱間圧縮試験で得られた応力−歪速度曲線を示す図である。
符号の説明
1 基材粒子、
2 加圧成形体、
3 金属ガラス成形体、
4 気孔。

Claims (14)

  1. 金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形して、内部に気孔が分散した加圧成形体を得る第1工程と、
    前記加圧成形体をさらに加熱加圧成形して金属ガラス成形体を得る第2工程と、
    を含む、金属ガラス成形体の製造方法。
  2. 前記基材粒子の少なくとも一部が、無機酸化物を含む絶縁皮膜で覆われている粒子である、請求項1に記載の金属ガラス成形体の製造方法。
  3. 前記加圧成形体の密度が、金属ガラス成形体の真密度の50〜95%である、請求項1または2に記載の金属ガラス成形体の製造方法。
  4. 前記基材粒子が、鉄基金属ガラスである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属ガラス成形体の製造方法。
  5. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウムである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の金属ガラス成形体の製造方法。
  6. 前記基材粒子の平均粒径が1〜4000μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属ガラス成形体の製造方法。
  7. 前記第2工程において、電磁波プロセスを用いた加熱焼結装置により前記加圧成形体を加熱加圧成形する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属ガラス成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属ガラスの製造方法の第1工程によって得られる、加圧成形体。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属ガラス成形体の製造方法によって得られる金属ガラス成形体であって、
    前記金属ガラス成形体の断面において観察される粒子のうち、アスペクト比が3以上の粒子が面積比で30%以上を占める、金属ガラス成形体。
  10. 金属ガラスを主成分とする基材粒子を加圧成形してなる金属ガラス成形体であって、前記金属ガラス成形体の断面において観察される粒子のうち、アスペクト比が3以上の粒子が面積比で30%以上を占める、金属ガラス成形体。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属ガラス成形体の製造方法によって得られる金属ガラス成形体、または請求項9もしくは10に記載の金属ガラス成形体を用いた鉄心材料。
  12. 請求項8に記載の加圧成形体をさらに加熱加圧成形して得られる金属ガラス成形体を用いた鉄心材料。
  13. 請求項11または12に記載の鉄心材料を用いたモータ。
  14. 請求項13に記載のモータを搭載した車両。
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