JP2010105664A - 車両のボディー構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 運転視界の更なる向上を、車体強度保ちつつ、構造が単純で製造の手間とコストがかからないで行うことができる車両のフロントピラーを提供する。
【解決手段】 車室コーナー部よりも中央寄りに左右のフロントピラー11,13が設けられた。また、運転席24に近いフロントピラー11に隣接したコーナーウィンドウ25よりも、運転席24から離れたフロントピラー13に隣接したコーナーウィンドウ26の方が大きい。さらに、車両10の中軸線よりも運転席側に近づいた位置に設けられたフロントウィンドウ8の両端に、2つのフロントピラー11,13を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両のボディー構造に関し、特に、運転視界を向上させるための車両のフロントピラーを有する車両のボディー構造に関するものである。
従来より4輪自動車には様々な改良がなされ、快適性、性能および各種効率の向上が実現してきた。例えば、従来車のフロントピラーに関しては、その断面形状や材質の工夫によって、左右斜め方向のある程度の視野を確保しつつ、十分な車両強度が得られるように設けられている。ところで、運転者は、特に交差点右左折時に前方に加え左右方向等、周囲の慎重な確認が要求される。周囲の視認の際、従来の車両構造上どうしてもAピラー(フロントピラー)による視界遮蔽部が発生してしまう。それを回避するため、(1)ピラーを廃した構造の車両や、(2)三角形の隙間を多数設けたトラス構造のピラーによる視界遮蔽部をできるだけ少なくする車両等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−284035公報
視界遮蔽部をなくすようにピラーを廃した構造の車両においては、車体強度を保つことが困難であるという問題がある。このようなピラーを廃した車両は強度面等の事情により、実現化に至っていない。また、ピラーによる視界遮蔽部を少なくするために三角形の隙間を多数設けたトラス構造のピラーでは、その構造が非常に複雑で、製造の手間とコストがかかるという問題がある。また、このようなピラー構造では、トラス部分によって視認性の向上に限度がある。車両が直進時のみならず、右左折時においても視認性をより良くするような車両のピラー構造は、運転時のストレスを低減させ、快適性をより向上させることとなる。
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、運転視界の更なる向上を、車体強度を保ちつつ、構造が単純で製造の手間とコストがかからないで実現できる車両のボディー構造を提供することにある。
本発明に係る車両のボディー構造は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
請求項1に係る発明では、運転席に近いフロントピラーに隣接したコーナーウィンドウよりも、運転席から離れたフロントピラーに隣接したコーナーウィンドウの方が大きい車両のボディー構造であって、車両の中軸線よりも運転席側に近づいた位置に設けられたフロントウィンドウの両端に、2つのフロントピラーを有することで特徴づけられる。
請求項2に係る発明では、上記の構成において、好ましくは車両の中軸線よりも運転席側に重心があるように配置されたフロントウィンドウの両端に、2つのフロントピラーを有することで特徴づけられる。
請求項3に係る発明では、上記の構成において、好ましくは所定の体格データに基づき決定される運転者視点位置から見て、直立する角度で2つのフロントピラーが設けられていることで特徴づけられる。
請求項4に係る発明では、上記の構成において、好ましくは2つのフロントピラーの横幅は、共に60mm以下であることで特徴づけられる。
請求項5に係る発明では、右ハンドル車の車両のボディー構造であって、右コーナーウィンドウは、運転席の中心を通る車両前後方向の直線を基準に、右側へ35度〜60度の運転者視野角を確保する位置に設けられ、左コーナーウィンドウは、直線を基準に、左側へ50度〜75度の運転者視野角を確保する位置に設けられていることで特徴づけられる。
請求項6に係る発明では、左ハンドル車の車両のボディー構造であって、左コーナーウィンドウは、運転席の中心を通る車両前後方向の直線を基準に、左側へ35度〜60度の運転者視野角を確保する位置に設けられ、右コーナーウィンドウは、直線を基準に、右側へ50度〜75度の運転者視野角を確保する位置に設けられていることで特徴づけられる。
請求項7に係る発明では、上記の構成において、好ましくは右コーナーウィンドウの両端には、第1および第2の右フロントピラーが設けられ、左コーナーウィンドウの両端には、第1および第2の左フロントピラーが設けられていることで特徴づけられる。
請求項8に係る発明では、上記の構成において、好ましくは右コーナーウィンドウの両端には、第1の右フロントピラーおよび右サイドピラーが設けられ、左コーナーウィンドウの両端には、第1の左フロントピラーおよび左サイドピラーが設けられていることで特徴づけられる。
請求項9に係る発明では、上記の構成において、好ましくは所定の体格データに基づき決定される運転者視点位置から見て、直立する角度でコーナーウィンドウ端に第1の右フロントピラーおよび第2のフロントピラーが設けられていることで特徴づけられる。
請求項10に係る発明では、上記の構成において、好ましくは第1の右フロントピラーおよび第1の左フロントピラーの横幅は、共に60mm以下であることで特徴づけられる。
本発明によれば、車両の右フロントピラーを第1の右フロントピラーおよび第2の右フロントピラーで構成し、車両の左フロントピラーを第1の左フロントピラーと第2の左フロントピラーで構成したフロントピラーを有する右ハンドル車の車両のボディー構造であって、第1および第2の右フロントピラー間には、右コーナーウィンドウが設けられ、第1および第2の左フロントピラー間には、左コーナーウィンドウが設けられており、右コーナーウィンドウは、運転席の中心を通る車体の前後方向に走る直線から車両前方をゼロ度としたときの右側へ35度〜60度の運転者視野角を確保する位置にあり、左コーナーウィンドウは、運転席の中心を通る車体の前後方向に走る直線から車両前方をゼロ度としたときの左側へ50度〜75度の運転者視野角を確保する位置にあるため、運転視界の更なる向上を、車体強度を保ちつつ、構造が単純で製造の手間とコストがかからないで行うことができる。
また、右フロントピラーを第1の右フロントピラーおよび第2の右フロントピラーで構成し、左フロントピラーを第1の左フロントピラーと第2の左フロントピラーで構成したフロントピラーを有する左ハンドル車の車両のボディー構造であって、第1および第2の右フロントピラー間には、右コーナーウィンドウが設けられ、第1および第2の左フロントピラー間には、左コーナーウィンドウが設けられており、右コーナーウィンドウは、運転席の中心を通る車体の前後方向に走る直線から車両前方をゼロ度としたときの右側へ50度〜75度の運転者視野角を確保する位置にあり、左コーナーウィンドウは、運転席の中心を通る車体の前後方向に走る直線から車両前方をゼロ度としたときの左側へ35度〜60度の運転者視野角を確保する位置にあるため、運転視界の更なる向上を、車体強度を保ちつつ、構造が単純で製造の手間とコストがかからないで行うことができる。
さらに、第1および第2の右フロントピラーと、第1および第2の左フロントピラーは、運転者の視点から見て直立する角度で車両に形成されているため、運転視界の更なる向上を、車体強度を保ちつつ、構造が単純で製造の手間とコストがかからないで行うことができる。
また、第1の右フロントピラーと第2の右フロントピラーと第1の左フロントピラーと第2の左フロントピラーのそれぞれのピラー幅を60mm以下にするため、ピラーによる視界遮蔽部をなくすことができる。
本発明の第1の実施形態に係る車両のフロントピラーの配置を示すための図である。 実験用車両について説明する図である。 実験で用いた交差点の上方から見た図である。 30歳代男性の、特に視線の水平方向成分の分布について、実験結果を示す図である。 実験結果から決定するピラー配置を示す図である。 30歳代の平均的体格を持つ男性3人の右左折敢行中の視点分布を測定したときの、その水平方向の平均分布を示すグラフである。 運転者からのピラーの位置の視線の角度を示す。 決定したフロントピラーの配置を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る車両のフロントピラーの配置を示す図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
先ず、本発明の特徴を説明する。
四輪車の運転者は、交差点での右左折時にストレスを感じる場合が多い。複数方向の道路状況や信号等、多くのことを確認しながら速やかに右左折を完了しなければならないからである。従来車のフロントピラーは、フロントウィンドウ両端(車室コーナー部)に左右対称に設けられている。このため、交差点での右左折時には運転者は姿勢を変えて外界視認をする必要がある場合も多い。本発明は、前方への良好な視界を従来車と同等に確保しながら左右斜め前方の視界の更なる向上を狙ったものである。
本発明は、図1および図9に示すように、フロントピラー11,13を従来車よりも中央寄りに設けている点に特徴がある。このため、左右斜め前方の視界が向上している。また、前方の視界については、後述するようなフロントピラーの配置および幅の工夫によって、従来車と同様に良好に確保した。
また本発明は、フロントウィンドウ8の位置を車両中軸線C2よりも運転席寄りにし、かつ、左コーナーウィンドウ26のサイズを右コーナーウィンドウ25のサイズよりも大きくした点に特徴がある。フロントウィンドウ8の位置および左右コーナーウィンドウ25,26の大小関係は、運転席が右側にあることを考慮して、左右斜め前方の視界が同等になり、かつ車両ボディーの強度が十分に維持できるように決定した。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両のボディー構造を示すための図である。図1は車両を上方から見た図である。
図1において、車両10は、フロントピラー11,12(第1の右フロントピラー11,第2の右フロントピラー12)とフロントピラー13,14(第1の左フロントピラー13,第2の左フロントピラー14)とサイドピラー15,16とリアピラー17,18を備えている。また、車両10は、ルーフ19とボンネット20とトランクリッド21、ヘッドランプ22,23を備え、車両10内には、運転席24が設けられている。
サイドピラー15,16とリアピラー17,18の配置は、従来車両と同様の配置である。
フロントピラー11,12,13,14は、後で述べる実験により得られるフロントピラーのない車両で運転者が右左折をするときの視点分布のピーク位置とその近傍を避けた位置に設けるようにしている。運転者の体格等により視点位置や視野角は多少異なると考えられる。そこで、フロントピラー11〜14の形状および配置は、平均的な体格の運転者を想定して決定した。より具体的には、本発明が採用される車両のターゲット顧客層の平均的な体格を算出した上で、その体格を有する運転者にとって交差点における右左折時の視界が最も良好になり、かつ、車両ボディーの強度が十分に確保できるようなフロントピラー11〜14の形状および配置とした。ここで、平均的な体格とは、日本人に関しては例えば、社団法人人間工学研究センター発行「日本人の人体計測データ」1992〜1994のような十分な母数に基づく実計測体格データから得られる。そして、ピラー配置の基準となる「平均的な体格における運転者視点の3次元位置」は、上記のような平均的な体格を有する複数の被験者が複数回の運転席位置合わせをすることによって特定できる。
なお、近年の顧客志向性の向上に対応して、顧客個々人にカスタマイズしたフロントピラー設計としても良い。この場合には、車両を製造する前に顧客の体格データを取得し、その体格を有する第三者または顧客自身がフロントピラーのない車両で運転し、右左折をするときの視点分布を測定する。そしてその測定結果に基づいて、フロントピラーの位置を決定し、その運転者に合った車両を製造する。
後述のフロントピラーレスの実車を用いて複数の運転者により実験すると、図4に示すような視点分布が得られている。そこで、その視点分布のピーク位置とその近傍を含めた位置へのフロントピラーの設置を避けた。すなわち、右ハンドル車では、運転席の中心を通る図1の直線C1を基準に、車両前方から左側に50度〜75度の運転者視野角を確保する位置および車両前方から右側に35度〜60度の運転者視野角を確保するように、それらの位置以外にフロントピラーを設けるようにして本発明の車両ボディーを作製する。なお、左ハンドル車では、運転席の中心を通る図1の直線C1を基準に、車両前方から左側に35度〜60度の運転者視野角を確保する位置および車両前方から右側に50度〜75度の運転者視野角を確保するように、それらの位置以外にフロントピラーを設けるようにして本発明の車両ボディーを作製する。
本発明では、車室コーナー部よりも中央寄りにフロントピラー11,13を設ける結果、第1の右フロントピラー11と第2の右フロントピラー12の間には、右コーナーウィンドウ25が設けられ、第1の左フロントピラー13と第2の左フロントピラー14の間には、左コーナーウィンドウ26が設けられている。右コーナーウィンドウ25は、直線C1から右側へ35度〜60度の運転者視野角を確保する位置にあり、左コーナーウィンドウ26は、直線C1から左側へ50度〜75度の運転者視野角を確保する位置にある。また、詳細は後述するように、第1の右フロントピラー11と第2の右フロントピラー12と、第1の左フロントピラー13と第2の左フロントピラー14は、運転者の視点から見て直立して存在するような角度で車両のルーフ19とボンネット20の間に形成されている。
この第1の実施形態に係る車両10では従来の車両の左右Aピラーを左右とも車体前方側にシフトしてピラー11,13を形成し、左右確認時の視点分布の山の部分にピラーがかからないようにすると共に、従来より大きくなったドア窓部の強度を向上させるためさらにピラー(A’ピラーと呼称)12,14を加え、このピラー位置が視点分布の山の部分にかからないように設計された車である。
この構造のさらなる利点は、ピラー本数を増やすことが可能であるため、従来と同等の強度を確保するだけなら、ピラー幅を細くすることが可能であることである。例えば、本発明では、ピラーの水平方向の幅(すなわち、運転者から見えるピラーの幅)を60mm(平均的日本人成人の両眼の幅)以下に設計しているため、ピラーの向こうに存在している物体を運転者がそのままの姿勢で左右いずれかの目で必ず確認することができる。すなわち、ピラーによる視界遮蔽部が全くなくなる。
次に、第1の実施形態での車両のフロントピラーの配置を決定するための実験の方法について説明する。実際の右左折場面で運転者の周囲の確認動作における視線の方向分布を測定し調べた。具体的には、図2で示すフロントピラーのない車両を試作し、90度交差点右左折時の視点分布を計測する実験を行った。視線はアイマークレコーダを使って計測した。
図2の実験用車両について説明する。実験用車両30は、サイドピラー31とサイドピラー32を備えているが、フロントピラーはない車両である。そして、運転席は右側にあり、運転者33には、視線を測定するためのアイマークレコーダ34が取り付けられている。このフロントピラーのない車両を用いることにより、運転者が視界が拘束されない自然の状態ではどのようにして確認動作をするかを調べることができる。
実験は、次のようにして行われた。実験を行った運転者は上述の平均的体格を持つ30歳代の男性である。なお、本来ピラーは三次元的配置を持ち、ピラー上部とピラー下部とでは、運転者との相対位置関係は異なるのが普通である。本実験では外界確認に最も重要な目の高さ付近の水平面でのピラー位置を優先的に最適化するものとする。
実験用車両30で一般的に見られる交差点を右左折し、アイマークレコーダ34にて視点分布を測定する。
本例では最も一般的な例として、図3で示す道路構造令で定める二車線道路(幅員10.5m)同士の直交交差点40を対象に選んだ。交差点40には視線分布測定に悪影響を与える可能性のある、特別に注意を引くような物体は存在しなかった。
図3を説明する。図3は、実験で用いた交差点40の上方から見た図である。幅10.5mの道路41と同じく幅10.5mの道路42が交差している。符号43,44は横断歩道である。道路41において、実験用車両30が交差点40に進入する様子を示している。実験では、実験用車両30が矢印45で示す左折ルートを取るときと、矢印46で示す右折ルートを取るときの両方について平面座標上における運転者視線の車両30に対する角度を所定の時間間隔毎(33ms)にサンプリングする。
なお、視点測定は道路41で直進している車両初期位置(直進状態)から車両方位が45度変化するまでの間に限定する。というのは、これ以上の曲がり角の状態においては、新たな道路(進路)前方向に視線が固定され、右折時の様々な方向への視線分布が得られなくなるからである。
図4は、平均的体格を有する30歳代男性の、実験結果を示す。図4の横軸は、車両前方の角度を0°としたときの、視線の水平角度であり、正の値は右方向、負の値は左方向の角度を示す。縦軸は、右左折するときにサンプリングした視線の角度毎の頻度を示す。曲線C10は、左折の時の視点分布であり、曲線C11は、右折の時の視点分布である。実験用車両30では右45度、左65度付近に視点分布の山が観察できる。つまり遮る物のない理想的視界状況では交差点右左折時、最も頻度の高い外界確認方向は右45度(右折時)、左65度(左折時)であることが分かる。なお、図4に示すように、左折時の視線分布C10よりも右折時の視線分布C11の方が、左右の両方向に亘って高頻度に視線分布が計測されている。これは、交差点における左折よりも右折の方が交差点中央付近を大回りして時間もかかり、その間運転者は複数の方向に視線を移して確認作業をする必要があるからである。
上記の実験結果に基づき、従来例で述べたような(1)車体の強度を上げにくい、(2)構造が複雑、という問題を解決しつつ、運転者の周囲の確認行動に適合した本発明のフロントピラーを詳述する。
図5は図4の視点分布と本発明のフロントピラー11〜14との関係を示す図である。図5に示すように、フロントピラー11〜14は左右折時の視点分布のピークを外した位置に設けられている。なお、フロントピラー11〜14の角度位置は、被験者(平均的体格)の視点高さにおけるものである。
以上のようにして、目線の高さ平面でのピラー位置を決定後、この角度を保存した状態でピラー下部と上部の位置を決定した。
図6は、30歳代の平均的体格を持つ男性3人の右左折敢行中の視点分布を測定したときの平均を示すグラフである。実験方法およびグラフ座標軸は、図4と同様である。図6に示すように、図4の実験時とは異なる複数の被験者で実験を行っても、図4と同様のグラフが得られている。すなわち、遮る物のない理想的視界状況では交差点右左折時、最も頻度の高い確認位置は右45度(右折時)、左65度(左折時)付近であることが分かる。
上記グラフにより、視点の停留分布の山の部分を避けてピラーを設置すれば、自然な安全確認に適合したピラー配置となる。しかし、右左折時の視点分布を過度に避けるとフロントピラー11,13が車両前方に来すぎてしまい、直進時の外界視認性を阻害してしまう。そこで、本発明では視点分布の山の部分を、あるしきい値(点線L30)で切り出して最適化を図った。点線L30で示すしきい値は、山の立ち上がりからピークまでの部分を適切に含むように決定する。本例では視点分布のピーク度数は左右ともに約48となるので、その半分の度数24を視点分布が多い/少ないを決めるしきい値として採用した。この結果、平均的体格の運転者の視点高さには、図6に示す水平角度方向にフロントピラー11〜14が存在することとなった。なお、しきい値L30は、フロントピラー11〜14のサイズや強度、他のピラーとの配置バランス、車両のタイプやサイズ、カスタマイズ時の顧客の視線配分のくせ等に応じて適宜設定されるものとする。
図7は、運転者からのピラーの位置の視線の角度を示す。第2の左フロントピラーは、約−80°の方位の位置、第1の左フロントピラーは、約−45°の方位の位置、第1の右フロントピラーは、約30°の方位の位置、第2の右フロントピラーは、約65°の位置である。
後は、上記で決めた角度を逸脱しないように、ボディー本体におけるピラー下部接続点と、ルーフにおけるピラー上部接続点を決定すればよい。なお、この決定に際しては、車体強度、車体空気抵抗、車体デザイン等を加味して各ピラーの三次元的形状を決めても良い。
ここでは、図8で示すように以下の方法でピラー配置を決定した。
車両50において、(1)車両商品性要求から、三次元での乗員キャビン境界線L40、ルーフ境界L41を決定する。(2)視線分布のグラフより求めたピラー方向を含む地面と垂直な平面P10,P11,P12,P13を考える。(3)上記平面がキャビン境界L40と交わる点D10,D11,D12,D13を、ピラー下部接続点、ルーフ境界L41と交わる点D20,D21,D23,D24をピラー上部接続点とする。(4)ピラーの両端座標が決定したので、上記二点を連結し、実際のピラー空間配置とする。
以上のようにして設計したピラーは、運転者から見ると地面から垂直に立っているように見える。従来ピラーは運転者の視界を斜めに横切っていたが、本設計で得られた垂直に見えるピラーは、同じ太さの場合、ピラーによる影の部分が最小とすることが可能である。本施策を具現化した車の評価を行ってみたところ、運転者から見えるピラー幅を60mm以内とすることで圧迫感を取り除くことができた。60mmは日本人成人の平均的な両目間隔以下であり、このようなピラーを通して外界を見ると、ピラー真後ろの物体も、右目か左目かどちらか一方で必ず捉えることができ、視野の遮蔽を感じないからである。なお、図8に示すように、本発明では左右斜め前方の視野角を同等に確保する点に特徴がある。この結果、フロントウィンドウ8は、車両中軸線C2よりも運転席側に近づき、左コーナーウィンドウ26は、右コーナーウィンドウ25よりも大きく設けられる。
図9は、本発明の第2実施形態に係る車両のボディー構造を示す図である。
この実施形態では、第1の実施形態から両A’ピラーを取り去った車である。それ以外は同様の構造なので、同様の構成要件には同じ符号を付し説明を省略した。ドア窓開放部が大きくとも十分な車体強度が確保できる車への適用例である。先の実験で示したように、ピラーの位置は、視線分布が少ない位置である。それゆえ、視野の更なる向上を図ることができる。
なお、第1の実施形態、第2の実施形態とも、日本が左側通行であるという特殊性を反映して左右非対称となっている。しかし当然ながら視点分布ピークを避けた状態で左右対称とする配置も可能である。輸出可能性(左ハンドル仕様の開発)も考慮すると左右対称構造のメリットも高い。上述の如く、本発明では、フロントピラー11,13を従来車よりも前方寄りに設け、フロントウィンドウ8の位置を運転席寄りにし、かつ、左コーナーウィンドウ26のサイズを右コーナーウィンドウ25のサイズよりも大きくしたので、斜め前方の視野角が左右同等になり、従来車よりも顕著に向上する。また、しきい値L30に基づき不必要にフロントピラー11,13が前方に寄らないようにし、かつ、フロントピラー11,13が運転者から直立しているように形成し、さらにピラー11,13の幅を6cm以下にしたので、前方の視界も従来車と同等に良好に確保することができた。
但し、ピラーの配置位置に応じてピラー幅を適宜6cm以上とすることも可能である。
本発明では、視線分布の実験結果に基づいてフロントピラー11,13の位置を図1、図5、図6および図9のように設定したので、周囲視認に関する最適環境が実現している。
また、ピラーの強度や車両のサイズ等を考慮して、図1においてピラー12のみを排除して右斜め方向の視野をさらに向上させても良い。
なお、本発明は、四輪車に限られず、運転者が自由軌道を運転する他の移動車のボディー構造にも適用可能である。
ピラーにふくらみを持たせて狭幅にする代わりに強度向上を図っても良い。
本発明は、視界を向上させた車両に用いる車両のボディー構造として利用される。
8…フロントウィンドウ、10…車両、11〜14…フロントピラー、15,16…サイドピラー、24…運転席、25…右コーナーウィンドウ、26…左コーナーウィンドウ、C1…運転席の中心を通る直線、C2…車両の中軸線。

Claims (10)

  1. 運転席に近いフロントピラーに隣接したコーナーウィンドウよりも、前記運転席から離れたフロントピラーに隣接したコーナーウィンドウの方が大きい車両のボディー構造であって、
    車両の中軸線よりも運転席側に近づいた位置に設けられたフロントウィンドウの両端に、前記2つのフロントピラーを有することを特徴とする車両のボディー構造。
  2. 前記車両の中軸線よりも運転席側に重心があるように配置されたフロントウィンドウの両端に、前記2つのフロントピラーを有することを特徴とする請求項1記載の車両のボディー構造。
  3. 所定の体格データに基づき決定される運転者視点位置から見て、直立する角度で前記2つのフロントピラーが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両のボディー構造。
  4. 前記2つのフロントピラーの横幅は、共に60mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両のボディー構造。
  5. 右ハンドル車の車両のボディー構造であって、
    右コーナーウィンドウは、運転席の中心を通る車両前後方向の直線を基準に、右側へ35度〜60度の運転者視野角を確保する位置に設けられ、
    左コーナーウィンドウは、前記直線を基準に、左側へ50度〜75度の運転者視野角を確保する位置に設けられていることを特徴とする車両のボディー構造。
  6. 左ハンドル車の車両のボディー構造であって、
    左コーナーウィンドウは、運転席の中心を通る車両前後方向の直線を基準に、左側へ35度〜60度の運転者視野角を確保する位置に設けられ、
    右コーナーウィンドウは、前記直線を基準に、右側へ50度〜75度の運転者視野角を確保する位置に設けられていることを特徴とする車両のボディー構造。
  7. 前記右コーナーウィンドウの両端には、第1および第2の右フロントピラーが設けられ、
    前記左コーナーウィンドウの両端には、第1および第2の左フロントピラーが設けられていることを特徴とする請求項5又は6記載の車両のボディー構造。
  8. 前記右コーナーウィンドウの両端には、第1の右フロントピラーおよび右サイドピラーが設けられ、
    前記左コーナーウィンドウの両端には、第1の左フロントピラーおよび左サイドピラーが設けられていることを特徴とする請求項5又は6記載の車両のボディー構造。
  9. 所定の体格データに基づき決定される運転者視点位置から見て、直立する角度で前記コーナーウィンドウ端に第1の右フロントピラーおよび前記第2のフロントピラーが設けられていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の車両のボディー構造。
  10. 前記第1の右フロントピラーおよび第1の左フロントピラーの横幅は、共に60mm以下であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の車両のボディー構造。
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