JP2010104927A - コーティング方法および微細構造素子および複数層微細構造素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平面状領域に微細な周期的構造が形成された微細構造領域10Aと、この微細構造領域に隣接する平坦な表面を有するフラット領域10Bとを形成された被コーティング体10の、微細構造領域10Aとフラット領域10Bとにわたりコーティング材料を液状態でコーティングして、コート層を形成するコーティング方法において、微細構造領域10Aとフラット領域10Bとに所定の段差量:ΔHを、微細構造領域10Aにおける微細な周期的構造の形態に応じて予め設定することにより、コーティングされたコート層の表面を、微細構造領域とフラット領域とにわたって実質的に平坦な単一面とする。
【選択図】図2
Description
このように、光学機能領域とフラット領域とが互いに接して存在する光学部材に、スピンコート等の従来の塗布手法で塗布を行うと、塗布形成されたコート層の表面には、光学機能領域とフラット領域との境界部に「段差」を生じ、コート層の表面が「単一の平面にならない」という問題があった。
図1において、符号1で示す光学部材は、基板の片面にマイクロレンズアレイ(光学機能領域)MLAとフラット領域FDを形成されたものである。符号2はコーティング材料を塗布して形成された「コート層」を示す。
図の如く、形成されたコート層2の自由表面には、マイクロレンズアレイMLAとフラット領域FDとの境界部に対応して、高さ:hの段差が形成され、自由表面は「単一の平面」とならない。
従来、このような課題の解決を提案したものは、発明者の知る限りにおいて存在していない。
かかる課題を解決する方策として以下の如きものが考えられる。
即ち、所定の光学機能領域を形成した光学部材を「試作品として作製」し、上記の如き方法でコーティングを行ってコート層を形成する。
このように形成されたコート層表面には、一般に上述の段差が発生するので、発生した段差の高さ:hを精密に測定する。上記段差の高さ:hは一般に「μmオーダ」であるので、測定は「サブμmオーダ」で行なわねばならない。
そして、製品としての光学部材を製造するに当たっては、フラット部の高さを「測定された段差の高さの差:h」だけ、試作品のものより低く設定して製造する。
この発明はまた、上記コーティング方法の実施により製造される微細構造素子の提供、さらには複数層微細構造素子の新規な製造方法およびこの製造方法で製造される複数層微細構造素子の提供を課題とする。
「被コーティング体」は、コーティングの対象となる物であり、平面状の領域に「微細構造領域と、この微細構造領域に隣接するフラット領域と」を形成され、この微細構造領域とフラット領域の形成された面に対してコーティングが行なわれる。
「微細な周期的構造」は、単位となる微細形状が1次元的もしくは2次元的な周期をなして配列形成された構造である。
このような微細な周期的構造の具体例としては、マイクロレンズ面(凸や凹の球面レンズ面や非球面レンズ面、アキシコンレンズ面や、シリンドリカルレンズ面等のアナモルフィックレンズ面等)を「単位となる微細形状」としてこれを1次元的もしくは2次元的に配列してなるマイクロレンズアレイや、マイクロプリズムを「単位となる微細形状」としてこれを1次元的あるいは2次元的にアレイ配列したもの等、光学的な機能を持つものを挙げることができるが、これに限らず、例えば、半導体メモリのように、個々のメモリ要素がアレイ配列したもの等を微細な周期的構造の具体例として挙げることもできる。
「コーティング」は、各種コーティング材料を液状態で、スピンコータ、バーコータ、スリットコータ、フローコータ等の各種コータを用いて塗布して実行することができる。
発明者らの研究により、コーティング材料を液状で「被コーティング体に形成されている微細構造領域とフラット領域と」にコーティングすると、コーティング材料は、コーティングされる微細構造領域とフラット領域との全域に亘り均一に塗布されることが分かった。
微細形状の高さを「η」とすると、コーティング量:Vのうち「S・η―n・v」は、微細構造領域における「微細形状の底部から高さ:ηの部分まで」を充填するのに用いられ、そのあとは高さ:ξまで面積:S上に均一に塗布される。即ち、
V=Sξ+S・η―n・v
の関係が成り立つ。
V0=S・η―n・v
に設定すると、コーティング量:V0により「微細構造領域に形成されるコート層」の表面は「微細形状の頂部と同じ高さ」になる。
H’+V0/S=(V0+n・v)/S
が成り立てば、形成されたコート層の表面は至るところ同一高さの単一面になる。即ち、
H’=(V0+n・v)/S―V0/S=n・v/S
となるように、フラット領域の高さ:H’を設定すれば良いことになる。
V>V0
とすれば、コート層の表面は常に「段差のない実質的な単一平面」となる。
従って「V>V0」を満たす条件内でコーティング量:Vを調整して、所望のコート層厚:(ξ+η)を実現できる。
微細形状の具体的な形態によっては、上記体積:vを「単純な解析表現で表現できない場合」もあるが、コンピュータによる演算で算出可能である。また、面積:Sは任意に設定できるから、これを例えば「1cm2」に設定することができる(このとき、nは微細形状の面積密度になる)。
請求項1記載のコーティング方法において、被コーティング体に形成される微細な周期的構造の形態が「凸のマイクロレンズの2次元配列」である場合には、凸のマイクロレンズの基底面(前記「微細形状の底部」)を基準面とし、マイクロレンズの高さ(前記「η」に対応する。)をH、フラット領域の高さをH’として、段差量:ΔH(=H−H’)を「マイクロレンズの高さ:Hの1/3」とすることができる(請求項2)。
また、N層微細構造層形成工程においては必要に応じて、コート層上に微細構造とともにこの微細構造に対して段差量:ΔH’を有するフラット領域を形成する。
以下、第2のコート層の上に他の微細構造の形成と第3のコート層の形成とを行い、さらに、第3のコート層の上にさらに他の微細構造の形成と第4のコート層の形成を行うという具合にして、所望の積層数の微細構造とコート層とを得ることができる。
図2(a)は、コーティング方法の実施の1形態として、マイクロレンズアレイを「微細な周期構造」として形成された被コーティング体10に対してコーティングを行い、コート層の表面を実質的な単一面とする場合を説明する。
このようなマイクロレンズ面アレイ形状は、平行平板の片面にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層に露光を行い、マイクロレンズ面となるフォトレジストの分布をパターニングし、加熱によりフォトレジストを軟化させて熱流動状態とし、軟化したフォトレジストの表面張力により球面形状を形成し、フォトレジストをポストベーキング後、異方性のエッチングを行ってフォトレジストの表面形状を平行平板の表面形状として転写することにより形成したものである。
v=4r2H/3
が得られた。
4r2H−4r2H/3=2r2H/3
である。
このとき、コート層の表面がマイクロレンズ面の頂部と合致し、かつ、この表面がフラット部にコートされたコート層の表面と同一面になるためには、フラット領域に形成されるコート層の厚さが「2H/3」であればよいから、マイクロレンズ面の底部から計ったフラット領域の高さ:H’を、
2H/3
とすればよく、従って、微細構造領域10Aとフラット領域10Bとの段差量:ΔHは、
ΔH=H/3
とすればよい。
図2(d)の横軸は、図2(a)に示す「マイクロレンズ面の高さ:H」をμm単位で示し、縦軸はフラット領域10Bの高さ:H’をμm単位で示している。この例では、上記r=10μmである。
即ち、図2(c)に示すように、マイクロレンズ面形状を、直径:2rの円を底面とする高さ:Hの球面状の凸面形状として捉え、その体積を「2・r2πH/3」と考える。
そして、フラット領域にも、直径:2rの円を底面として考え、この底面を持つ高さ:H’の円柱を考える。この円柱の体積:「r2π・H’」と上記体積「2・r2πH/3」と等置して得られる関係:
r2π・H’=2・r2πH/3
から直ちに、上記「H’=2H/3」、従って、
ΔH=H−H’=H/3
が得られる。
従って「微細構造領域に形成される種々の微細形状の1個に割り当てられる面積と同じ面積のフラット領域」に塗布されるコーティング材料の塗布量と「上記面積の微細形状に塗布される塗布量」とが略等しくなるように段差量:ΔHを設定すればコート層の表面は実質的な単一面となる。
図3(a)に示す被コーティング体12のように、微細構造領域に形成される微細な周期的構造が「凹マイクロレンズ面CML」であれば、この凹マイクロレンズ面CMLの最凹部に接する面とフラット領域12FLの平坦部との高低差を「H’」、凹マイクロレンズ面CMLの深さを「H」として段差量:ΔHを定めればよい。
この場合、フラット領域12FLの平坦部は、凹マイクロレンズ面CMLの最凹部に接する面(基準面)よりも高く設定される。
H’=(1/3)H
となり、段差量:ΔH(=H−H’)は、マイクロレンズの深さ:Hの2/3に設定すれば、図3(b)に示すようにコート層CTの自由表面は「段差の無い単一面」となる。
H’=(1/3)H
となり、段差量:ΔH(=H−H’)は、錐体形状の高さ:Hの2/3に設定すれば良いことになる。
周期的構造TRAは、図示の如く「断面が三角形形状で、図面に直交する方向にはこの断面形状が均一に続いている形態」を、図の左右方向へ密接して配列した形態である。
H’=(1/2)H
であり、段差量:ΔH(=H−H’)は三角形の高さ:Hの1/2に設定すればよい。なお、図5の例では、三角形状は2等辺三角形状であるが、三角形状がどのような形状であっても段差量:ΔHは「三角形の高さ:Hの1/2」である。
ΔH=H(=D)−H’=D(1−π/2)
とすればよい。
2/3・(πH/4)
となり、段差量:ΔH(=H−H’)=πH/6
となって、図2に即して説明した例の場合の「2H/3」よりも略20%大きくなる。
サブウエーブ構造SWSのピッチは0.1μm〜1μm、グレーティングGRのピッチは1〜100μm程度である。
このような微細構造素子を製造する際には、まず、ピッチの細かいサブウエーブ構造SWSを、電子ビーム描画等を用いるフォトリソグラフィにより基板20に形成する。
サブウエーブ構造SWSを形成した基板20の状態を図6(b)に示す。符号GRDMで示す領域は「グレーティングを形成するための領域」であるが、サブウエーブ構造SWSを形成する際、図6(c)(図6(b)の「符号Cで示す部分」を拡大した図である。)に示すように、サブウエーブ構造SWSに対するフラット領域となるように、サブウエーブ構造SWSに対して段差量:ΔHを持たせた平面状態として形成する。
H’={(a―b)/a}H
を満足するように設定すると、段差量:ΔH(=H−H’)は、凸部の高さ:Hのb/a倍となり、この条件を満足すれば、図6(d)に示すように、コーティング材料によるコーティングを行って得られるコート層CT1の表面は「平坦な単一面」となって、サブウエーブ構造SWSと領域GRDMとの境界で段差が発生することが無い。
図7において、符号70は基板を示し、図において上方の面が「基準平面」となっている。この例において、基板70は透明な平行平板である。
符号72は「微細構造領域を形成する微細形状」であり、図に表れた「矩形形状の断面形状」は図面に直交する方向には一様である。即ち、微細形状72の左右方向への1次元の周期的配列により「微細な周期的構造」を形成している。
符号72Aは周期的構造の端部に「微細構造領域に隣接して形成された端部微細形状」を示す。端部微細形状72Aは、材質的には微細形状72と同じ材料で、微細形状72による微細構造領域の形成と同時に形成される。
これら微細形状72、端部微細形状72Aの材料は、例えば、Au、Al等の金属材料や他の適宜のものを用いることができる。
即ち、まず、基準平面を有する基板70の基準平面上に、微細形状72の周期的構造による微細構造領域と、これに隣接するフラット領域(微細形状72Aの上面)とを形成する。
このとき、微細形状72による微細構造領域と、微細形状72Aの上面によるフラット領域とに段差量:ΔHを持たせ、この段差量:ΔHを、上に説明した各種のコーティング方法に従って、コート層74の上面が段差のない平坦な単一面となるように設定する。
この複数層微細構造素子製造方法は、コート層74の表面が平坦な単一面として形成されるので、第2の微細な構造による微細構造76を形成する際に、コート層74の表面を研磨等により単一面化する必要がない。
従って、複数層微細構造素子を「より容易」且つ「より安価」に製造できる。
このフォトレジスト層106に露光・現像・加熱を行い、レジストの熱流動により凸のマイクロレズ面アレイに対応するレジスト形状領域を形成し、これに接するフラット部にはクロム層102を残す(g)。
10A 微細構造領域
10B フラット領域
ΔH 段差量
CT コート層
Claims (9)
- 平面状領域に微細な周期的構造が形成された微細構造領域と、この微細構造領域に隣接して平坦な表面を有するフラット領域とを形成された被コーティング体の、上記微細構造領域とフラット領域とにわたりコーティング材料を液状態でコーティングして、コート層を形成するコーティング方法において、
上記微細構造領域とフラット領域とに所定の段差量:ΔHを、上記微細構造領域における微細な周期的構造の形態に応じて予め設定することにより、
コーティングされたコート層の表面を、上記微細構造領域とフラット領域とにわたって実質的に平坦な単一面とすることを特徴とするコーティング方法。 - 請求項1記載のコーティング方法において、
被コーティング体に形成される微細な周期的構造の形態が、凸のマイクロレンズ面の2次元配列であり、上記凸のマイクロレンズ面の基底面を基準面として、マイクロレンズ面の高さをH、フラット領域の高さをH’とするとき、これらHとH’とが、
H’=(2/3)H
の関係を満たし、段差量:ΔH(=H−H’)が、マイクロレンズ面の高さ:Hの1/3であることを特徴とするコーティング方法。 - 請求項1記載のコーティング方法において、
被コーティング体に形成される微細な周期的構造の形態が、凹のマイクロレンズ面の2次元配列であり、上記凹のマイクロレンズ面の基底面を基準面として、マイクロレンズ面の深さをH、フラット領域の高さをH’とするとき、これらHとH’とが、
H’=(1/3)H
の関係を満たし、段差量:ΔH(=H−H’)が、マイクロレンズ面の深さ:Hの2/3であることを特徴とするコーティング方法。 - 請求項1記載のコーティング方法において、
被コーティング体に形成される微細な周期的構造の形態が、錐体形状の2次元配列であり、上記錐体形状の基底面を基準面として、錐体形状の高さをH、フラット領域の高さをH’とするとき、これらHとH’とが、
H’=(1/3)H
の関係を満たし、段差量:ΔH(=H−H’)が、錐体形状の高さ:Hの2/3であることを特徴とするコーティング方法。 - 請求項1記載のコーティング方法において、
被コーティング体に形成される微細な周期的構造の形態が、断面形状が三角形である1次元の周期的構造であり、上記三角形の底面を基準面として、三角形の高さをH、フラット領域の高さをH’とするとき、これらHとH’とが、
H’=(1/2)H
の関係を満たし、段差量:ΔH(=H−H’)が、三角形の高さ:Hの1/2であることを特徴とするコーティング方法。 - 請求項1記載のコーティング方法において、
被コーティング体に形成される微細な周期的構造の形態が、断面形状が矩形状の凸部と凹部の繰り返しである1次元の周期的構造であり、1次元の周期的構造における上記凸部と凹部の繰り返しピッチをa、上記凸部の幅:bとし、上記凹部の底面を基準面として、凸部の高さをH、フラット領域の高さをH’とするとき、これらHとH’とが、
H’={(a―b)/a}H
の関係を満たし、段差量:ΔH(=H−H’)が、凸部の高さ:Hのb/a倍であることを特徴とするコーティング方法。 - 平面状領域に微細な周期的構造が形成された微細構造領域と、この微細構造領域に隣接する平坦な表面を有するフラット領域とを形成された被コーティング体の、上記微細構造領域とフラット領域とにわたりコーティング材料を液状態でコーティングして、コート層を形成された微細構造素子であって、
請求項1〜6の何れか1のコーティング方法でコーティングされていることを特徴とする微細構造素子。 - 基準平面を有する基板の上記基準平面上に、微細な周期的構造による微細構造領域と、これに隣接するフラット領域とを形成し、このように微細構造領域とフラット領域とを形成された基板表面に対しコーティング材料を液状態でコーティングしてコート層を形成する第1微細構造層形成工程と、
この第1微細構造層形成工程により形成されたコート層の表面に、別の微細な周期構造による微細構造を形成する別微細構造形成工程をN(≧1)回、別微細構造形成工程により形成された微細構造上にコーティングを行ってコート層を形成するコート層形成工程をN回もしくはN−1回、交互に行って、N+1層の微細構造を形成するN層微細構造層形成工程とを有する複数層微細構造素子製造方法において、
第1微細構造層形成工程において、基準平面上に形成する微細構造領域とフラット領域との段差量:ΔHを設け、
N層微細構造層形成工程においては必要に応じて、コート層上に微細構造とともにこの微細構造に対して段差量:ΔH’を有するフラット領域を形成し、
上記段差量:ΔHおよびΔH’を、上記周期的構造の形態に応じて、請求項1〜6の何れか1に記載の大きさに設定することを特徴とする複数層微細構造素子製造方法。 - 請求項8記載の複数層微細構造素子製造方法により製造される複数層微細構造素子。
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