以下、本発明をパチンコ機に適用した一実施形態について、各対応図面を参照しながら説明する。
(1.一実施形態の概要)
図1は、本発明の一実施形態となるパチンコ機1を示している。このパチンコ機1は、いわゆる「羽根物」と称される種類に属するものである。
パチンコ機1は大きく分けて枠体2および遊技盤4から構成されており、枠体2の内側に遊技盤4が着脱可能に設置されている。遊技盤4の前面(盤面)にはほぼ円形の遊技領域が形成されており、ここでの盤面構成によってパチンコ機1の機種が特徴付けられている。
遊技領域内には、そのほぼ中央にひときわ大きく目を引くセンター役物6が配置されており、このセンター役物6は入賞装置としての機能を果たすものとなっている。センター役物6の左右には普通入賞口8,10が配置されているほか、その下方の位置に左右一対の1回始動口12および中央位置に1つの2回始動口14が配列されている。その他にも、遊技領域には各種の装飾体や装飾ランプ、風車、図示しない多数の障害釘(いずれも参照符号なし)が設けられているが、これら構成要素には公知のものを適用可能であるため、ここでは個々の説明を省略する。
一方の枠体2には、その前面(ガラス枠)に多数の装飾ランプ2aが配設されており、これら装飾ランプ2aは遊技の進行状況に応じて発光装飾による演出を施す用途に用いられる。また図1には示されていないが、枠体2の内部にはスピーカが配設されており、これらスピーカは遊技の進行状況に応じて音響出力による演出を施す用途に用いられる。
枠体2の前面側にて、遊技盤4の下方の位置には上皿16および下皿18が形成されており、これらは遊技球の受皿となる。また枠体2の前面には、その右下隅の位置に発射ハンドル20が配置されており、遊技者は発射ハンドル20をひねり操作することで、所望の強さで遊技球を発射させることができる。その他にも、本実施形態では上皿16の左位置にプッシュ式の演出ボタン22が配置されており、この演出ボタン22は遊技者が適宜プッシュ操作可能となっている。
(2.入賞装置)
図2は、上記のセンター役物6を具体的に示している。センター役物6は左右一対の可動片(可動部材)24を有しており、これら可動片24は図中に実線で示されるように左右方向に開いた状態と、2点鎖線で示されるように内側寄りに閉じた位置との間で変位することができる。これら可動片24が開いた位置にあるとき、センター役物6の大入賞口26が開放された状態となる。センター役物6の背後には図示しない大入賞口ソレノイドが配設されており、左右一対の可動片24は大入賞口ソレノイドにより駆動される。
(2−1.大入賞口)
通常、センター役物6が作動されていない場合、図2中の2点鎖線で示されているように可動片24は閉じた位置にあり、それゆえ大入賞口26は閉塞された状態にある。一方、遊技中に上記の1回始動口12または2回始動口14に入賞すると、これを契機としてセンター役物6が作動される。これにより、図2中に実線で示されているように一対の可動片24が開いた位置に移動し、大入賞口26が所定時間(例えば0.4秒程度)だけ開放されて遊技球の入賞を可能とする。可動片24の開閉動作は、1回始動口12および2回始動口14にそれぞれ割り当てられている開閉回数(1回または2回)だけ行われる。なお、1回始動口12に入賞した場合の大入賞口26の開放時間と、2回始動口14に入賞した場合の大入賞口26の開放時間とを異ならせてもよい。
センター役物6内には、左右の大入賞口26にそれぞれ対応して大入賞口カウントスイッチ28が配設されている。各大入賞口26に入賞した遊技球は、対応する大入賞口カウントスイッチ28により通過を検出、つまり入賞個数がカウントされる。
またセンター役物6内には、左右の大入賞口26の間をつなぐようにして球寄せ通路30が形成されており、各大入賞口26から受け入れられた遊技球は球寄せ通路30上を転がり、その中央位置へ集められる。球寄せ通路30の中央近傍には、センター役物6の奥方向に開口した球入口32が形成されており、球寄せ通路30上を転がって中央位置に集められた遊技球は、球入口32を通ってセンター役物6の奥方向へさらに転がり込む。
(2−2.球経路変化部材)
センター役物6内には、球寄せ通路30よりも奥側位置に球経路変化部材(シーソー状部材)34が配設されており、上記の球入口32を通って転がってきた遊技球は、ここで球経路変化部材34に受け止められる。球経路変化部材34は左右方向に延びる球案内面34aを有しており、この球案内面34a(図3)上にて遊技球を左右方向に案内することができる。また、球経路変化部材34は正面からみて左右に揺動することができ、このときの揺動は遊技者からみると、あたかもシーソー運動をしているかのように視認される。
図2に示されている状態では、球経路変化部材34がちょうど左側へ傾いており(左下がり)、この状態で遊技球は球案内面34a上を転がって左方向へ案内される。また図示されていないが、逆に球経路変化部材34が右側へ傾いた状態(右下がり)に変化すると、遊技球は球案内面34a上を転がって右方向へ案内されることになる。
(2−3.第1,第2通過経路)
図2中に破線で示されているように、センター役物6内には球経路変化部材34の左右にそれぞれ低確率経路36および高確率経路38が形成されている。これら2本の経路36,38は球経路変化部材34の左右両端にそれぞれ連なるようにして配置されており、上記の球案内面34a上を左右いずれか一方に転がった遊技球は、低確率経路36または高確率経路38に案内されるようにして送出される。
また低確率経路36および高確率経路38は、球経路変化部材34から左右方向に延び、センター役物6の両側縁部に沿って下方に屈曲されている。一方、センター役物6の中央には液晶表示器40が配置されており、2本の経路36,38はちょうど、液晶表示器40の上縁からその両側を取り囲むようにして延びている。
このうち、低確率経路36は液晶表示器40の下方位置で手前側へ屈曲された後、センター役物6の下縁部の前端に沿って右方向へ回り込むようにして延びている。もう一方の高確率経路38は、液晶表示器40の下方位置で左方向へ屈曲された後、液晶表示器40の下縁に沿ってその中央付近まで延びている。またセンター役物6内には、高確率経路38の途中に高確率経路通過スイッチ(演出用検出スイッチ)39が配置されており、高確率経路38を通過する遊技球は高確率経路通過スイッチ39により検出される。
(2−4.球停留部材)
またセンター役物6内には、上記の液晶表示器40の右脇にキャラクタ体42が設置されている。このキャラクタ体42は、箒を手にして掃き掃除をしている人物を模したものであり、ソレノイドと内部リンク機構(いずれも図示されていない)の働きにより、箒を左右に振りながら頭を左右に揺り動かすような動きをすることができる。
本実施形態では、キャラクタ体42が手にしている箒の先端(下端)がちょうど上記の低確率経路36の終端近傍に臨むようにして配置されており、この箒状の部材を遊技球の動きに働きかける球停留部材44として機能させることができる。具体的には、上記のようなキャラクタ体42の動きによって球停留部材44の位置を変化させるとき、そのときの位置(左または右)によって低確率経路36を通過してきた遊技球に対する作用が異なったものとなる。なお、球停留部材44の作用についてはさらに後述する。
(2−5.球振分部材)
センター役物6内には、液晶表示器40の下方位置に回転式の球振分部材46が配設されており、この球振分部材46はセンター役物6内での遊技球の流れ方向でみて、上記の低確率経路36および高確率経路38よりも下流に位置付けられている。図2ではその外形が明示されていないが、球振分部材46は厚みを有した円盤状の回転体からなり、図示しないモータ(球振分部モータ)によって一方向に回転されている。
球振分部材46は、上記の低確率経路36または高確率経路38を通過してきた遊技球を受け止め、その行き先を特定入賞口(ここでは特定領域の一態様となるもの)および一般入賞口のいずれか一方に振り分ける働きをなす。なお図2には、特定入賞口および一般入賞口は図示されていない。
またセンター役物6内には、球振分部材46の下方に2通りの球放出通路48,50が形成されており、このうち一方(ここでは左側)の球放出通路48には、特定領域スイッチ(特定入賞口検出スイッチ)52が設置されている。センター役物6内で特定入賞口に入り込んだ(特定領域を通過した)遊技球は、この特定領域スイッチ52により検出された後に放出される。なお、一般入賞口に入り込んだ遊技球は、右側の球放出通路50を通ってそのまま放出される。
(3.遊技球の動作)
次に、実際の遊技中におけるセンター役物6内での遊技球の動作態様(転動・案内・振分等)について説明する。
図3は、センター役物6の各所(上部および前面側)を部分的に切断または破断した状態で、これを立体的に示している。センター役物6内に受け入れられた遊技球が球経路変化部材34によって左方向へ案内されると、図3中の矢印で示されているように、その遊技球は低確率経路36を通じて案内されることになる。
低確率経路36を通じて案内される遊技球は、センター役物6の下縁部まで流下すると、上記の球振分部材46の手前側を横切り、そして奥側へ回り込むようにして転動する。そして低確率経路36の終端近傍の位置に遊技球が達すると、その転動方向が上記の球停留部材44によって影響されることになる。
図4は、センター役物6の内部を具体的に示している。球振分部材46の周縁には、その周方向に等間隔を存してU字形状の切欠が複数(この例では8つ)形成されている。これら切欠内には遊技球を1個ずつ受け入れることができ、このうち特定の1つの切欠が特定入賞口案内部46aであり、その他(7つ)の切欠は全て一般入賞口案内部46bとなっている。
特定入賞口案内部46aは、他の一般入賞口案内部46bよりも中心に向かってより深く切欠が形成されており、形態面で一般入賞口案内部46bとは区別されている。また特定入賞口案内部46aの周囲には、これを視覚的に際だたせるために装飾的な縁取りが施されているほか、球振分部材46の中心寄り位置にアルファベットの「V」をデザインした装飾体があしらわれている。
上記の球停留部材44は、低確率経路36に対しその側方(この例では右側方)から進退するようにして往復動することができる。センター役物6内には球停留部ソレノイド(以下、単に「ソレノイド」と略称することがある。)54が装備されており、このソレノイド54はリンク機構(全体は図示されていない)を介して球停留部材44を作動(進退)させることができる。本実施形態では、ソレノイド54に通電されていない(非励磁)場合、球停留部材44が非動作となり、このとき低確率経路36に対して前進した状態に保持されるものとなっている。
図4に示されているように、球停留部材44が非動作の場合、その先端部分は低確率経路36内に右側方から進入した状態にある。この状態で、低確率経路36を通過してきた遊技球は、その終端近傍にて球停留部材44の先端部分に当接し、このとき図中の矢印で示されるように球振分部材46に向かって転動するように案内される。
上記の各入賞口案内部46a,46bは球振分部材46の周縁から径方向に開口しているため、転動してくる遊技球を受け入れ可能な相対関係にある。一方、通常遊技状態等では球振分部材46が一定方向(上からみて時計回り方向)に回転されているため、8つの入賞口案内部46a,46bの全てに各8分の1の確率で遊技球が入り込む可能性がある。
次にソレノイド54に通電されると、球停留部材44が作動状態となり、その先端部分は低確率経路36から外側方に退避する。この場合、低確率経路36を通過してきた遊技球は、その終端近傍にて球停留部材44に当接することなく、そのまま球振分部材46の側方を素通りする。上記の一般入賞口56は低確率経路36の終端位置に形成されており、ここまで達した遊技球は一般入賞口56に入り込んで、そのまま上記の球放出通路50を通じて放出される。
図5は、センター役物6内で遊技球が高確率経路38を通じて案内されるときの様子を示している。上記のように、センター役物6内には球経路変化部材34に付設して図示しない球経路変化部ソレノイド(以下、単に「ソレノイド」と略称することがある。)が配置されている。このソレノイドが通電されていない(非励磁)状態では、球経路変化部材34は正面からみて左側へ倒れた状態にあり、本実施形態では、この状態を球経路変化部材34の停止状態として説明する。
これに対しソレノイド58が通電されると、図示しない機構要素を介して球経路変化部材34の一端部(この例では左端部)が引き上げられるので、上記のように球経路変化部材34が右側へ倒れた状態(作動状態)となる。
ここで、球経路変化部材34が作動されるタイミングで遊技球が転動してくると、その遊技球は左方向へ案内されて高確率経路38に送り込まれる。なお図5では、センター役物6の各所(上部および前面側)が部分的に切断または破断された状態で示されている。
液晶表示器40の下方で、高確率経路38の下流部分は球振分部材46の上方にせり出すようにして延びており、さらにその終端位置に球落下部38aが形成されている。球落下部38aは、その下端に穴が形成されており、この穴を通じて遊技球を落下させることができる。球落下部38aは、ちょうど球振分部材46の中央(正確な中心とは限らない)の直上に位置しており、上記の穴から落下した遊技球は、球振分部材46上に落下する。
球落下部38aの下端にある穴は、遊技球がちょうど1個だけ通り抜けられる大きさに形成されているが、その上方には漏斗形状(またはテーパ形状、すり鉢形状)の滑らかな案内面が形成されている。このため図5中の矢印で示されるように、高確率経路38を転動してきた遊技球は球落下部38aに到達すると、そこで漏斗形状の案内面に沿って旋回し、そして、次第に勢いを弱めながら下端の穴に落下する。このとき遊技球が球落下部38aから落下するまでに要する時間は常に一定でなく、遊技球の転がり具合(球落下部38aに進入するときの勢いや進入経路)によって不均一となるし、同型の製品であっても製品個体差等が生じることとなる。あるいは、同一のパチンコ機1に限っても、そのときの台の傾斜や設置状況、経年変化等による影響が生じるため、球落下部38aを通って遊技球が落下するまでに要する時間(移動時間)はほとんど一定していない。なお、このような球落下部38aの機能は、いわゆる「一穴クルーン」に相当するものとなっている。
図6は、球振分部材46上での遊技球の挙動を示している。球振分部材46の上面には、中央にやや大きめのステージ46cが形成されており、上記のように球落下部38aから落下した遊技球は、ステージ46c上のほぼ中央に着地する。ステージ46cの周囲は4つの隔壁46dによって囲まれているが、これら隔壁46d同士の切れ目部分には遊技球が通過できるだけの通路が確保されている。
一方、ステージ46cは、その上面が中高に盛り上がった形状をなしている。このためステージ46c上に落下した遊技球は、図6中の矢印で示されるように各切れ目部分を通って4方向に転動する可能性がある。このとき切れ目部分の1つは特定入賞口案内部46aにつながっているため、ステージ46c上に落下した遊技球は4分の1の確率で特定入賞口案内部46aに入り込むことができる。
図7は、一般入賞口案内部46bに遊技球が入り込んだ場合の球振分動作を示している。上記のとおり、一般入賞口案内部46bは球振分部材46の周縁からみて比較的浅い切欠であり、その奥行きは遊技球の直径より僅かに大きい程度であるため、一般入賞口案内部46bに入り込んだ遊技球は、球振分部材46の周囲を取り巻く壁面に押しつけられながら球振分部材46の回転に伴い周方向に移送される(図7中(a))。
図7には一部のみ示されているが、本実施形態で特定領域の一態様となる特定入賞口60は球振分部材46の下方に形成されており、さらに特定入賞口60は、球振分部材46の周囲を取り巻く壁面から距離を置いて内側寄りに位置している。このため遊技球は、一般入賞口案内部46bに入り込んだ状態で特定入賞口60の上方に位置付けられたとしても、そこから特定入賞口60内に落下することができず、その上方を素通りして移送されることとなる。
この後、図7中(b)に示されているように、球振分部材46の回転に伴い遊技球がぐるりと周回して一般入賞口50の後方(時計回りで2時の方向)まで移送されると、遊技球は一般入賞口案内部46b内から放出される。放出された遊技球は案内面62上を転動し、一般入賞口50内に落下する。
これに対し、特定入賞口案内部46aは比較的深い切欠であり、その奥行きは遊技球の直径よりも充分に大きい。さらに特定入賞口案内部46aには、球振分部材46の周縁に沿って球留め46eが形成されており、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は、球留め46eよりも奥まった位置で保持される。このため、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は球振分部材46を取り囲む周壁面から少し離れた状態、つまり球振分部材46のやや内側寄りに位置しながら回転方向に移送されることになる。
図8は、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球が移送される様子を示している。上記のように、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は球振分部材46の周囲を取り囲む周壁面から内側寄りに位置付けられているので(図8中(a))、特定入賞口60の上方に遊技球が位置付けられると、そのまま特定入賞口60内に落下、つまり特定領域を通過することができる。また、特定入賞口60への遊技球の落下(以下、「V入賞」と呼称する。)は、上記の特定領域スイッチ52により検出される。なお、本実施形態では便宜上「特定入賞口」、「V入賞」等の語を用いているが、これはあくまで特定入賞口60への遊技球の落下が契機となって何らかの特典が発生することを想起させるものであればよい。
以上のように、球振分部材46は遊技球を受け止めると、これを特定入賞口案内部46aまたは一般入賞口案内部46bに受け入れた状態で回転することにより、遊技球の行き先を特定入賞口60および一般入賞口50のいずれか一方に振り分ける働きをする。振り分け先は、遊技球が特定入賞口案内部46aに入り込むか、それとも一般入賞口案内部46bに入り込むかによって決まるが、遊技球がいずれの案内部に入り込むかは、遊技球を受け止めたときの球振分部材46の姿勢によって異なる。
遊技球が低確率経路36を通過してきた場合、球振分部材46はその外周方向から遊技球を受け止めることになる。この場合、8つの案内部46a,46bの全てに遊技球が入り込む可能性があるが、実際には遊技球が低確率経路36の終端近傍から転がってくるタイミングで、8つのうちいずれの案内部46a,46bが遊技球に相対するかによって入り込む先が自ずと決まる。
したがって、遊技球を受け止めたときに球振分部材46が特定入賞口案内部46aを遊技球に相対させる姿勢をとっていれば、遊技球はそのまま特定入賞口案内部46aに入り込むことができるので、その後、特定入賞口60へ行き先を振り分けられることになる。
これに対し、遊技球を受け止めたときに球振分部材46が一般入賞口案内部46bを遊技球に相対させる姿勢をとっていれば、遊技球は一般入賞口案内部46bに入り込み、その後に一般入賞口50へ行き先を振り分けられる。
このとき、全8つのうち特定入賞口案内部46aは1つであるため、結果的に低確率経路36を通じて遊技球が案内される場合、その先でV入賞する確率は8分の1になる。ただし、この確率は遊技球が球停留部材44に案内されることを前提にしたものであり、上記のように球停留部材44が後退していると、球振分部材46に受け止められることなく、そのまま一般入賞口50に入り込むこともある。なお、本実施形態では遊技球が一般入賞口50に入り込んだことを契機とした特典は取り立てて用意されていないが、その前段階で先に大入賞口26への入球が検出されたときに賞球払出がなされている。
遊技球が高確率経路38を通じて案内されてきた場合も同様に考えることができる。この場合、球振分部材46はそのステージ46c上にて遊技球を受け止めることになるため、上記のように特定入賞口案内部46aか、3つの一般入賞口案内部46bのいずれか1つに遊技球が入り込む可能性がある。ただし、実際にはステージ46cの下り傾斜がより大きい方向へ遊技球は転がる傾向にあるため、球振分部材46の設計上、ステージ46cに一定の傾斜(例えば手前側に下り傾斜を有する等)が与えられている場合、その傾斜に基づいた遊技球の振分動作が行われる。
したがって、上記の傾斜で考えると、球振分部材46がそのステージ46c上にて遊技球を受け止めたときに、特定入賞口案内部46aを手前側に位置付ける姿勢をとっていれば、遊技球は傾斜にしたがって特定入賞口案内部46aに入り込むことができるので、その後、特定入賞口60へ行き先を振り分けられることになる。
これに対し、球振分部材46がステージ46c上にて遊技球を受け止めたときに他の3つの一般入賞口案内部46bを手前側に位置付ける姿勢をとっていれば、遊技球は一般入賞口案内部46bに入り込み、その後に一般入賞口50へ行き先を振り分けられる。
したがって、高確率経路38を通じて遊技球が案内される場合、その先でV入賞する確率が4分の1となり、結果的に低確率経路36を通じて案内される場合よりもV入賞の確率が高くなっているといえる。
(5.制御系の構成)
次に、パチンコ機1による遊技動作や演出動作を制御するための構成について説明する。
図9は、パチンコ機1の電子機器類に関する構成の一部を概略的に示している。パチンコ機1は、遊技動作を制御するためのメイン制御基板(主基板)68や各種の演出動作を制御するためのサブ制御基板70(演出制御基板)を有しており、これら基板類が互いに配線(信号線)を通じて接続されているほか、各基板にそれぞれ付随して電子機器類が接続されている。これら基板類はいずれもパチンコ機1の裏面側に配置されており、通常、遊技者からは視認されない。
またメイン制御基板68には払出制御基板72が接続されており、この払出制御基板72は図示しない賞球装置の作動を制御する。払出制御基板72にはさらに発射制御基板74が接続されており、この発射制御基板74は図示しない発射モータの作動を制御している。
なおパチンコ機1には、その他にも電源ユニット基板やインタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、これらについては公知のものを適用できるため、図示とともにその説明を省略する。
(5−1.メイン制御基板)
メイン制御基板68は、図示しないCPUやRAM、ROM、入出力インタフェース等の電子部品類を備えている。メイン制御基板68には上記の大入賞口カウントスイッチ28や特定領域スイッチ52が接続されているほか、1回始動口スイッチ76や2回始動口スイッチ78、その他入賞口スイッチ80等のセンサ類が接続されている。このうち、1回,2回始動口スイッチ76,78は、それぞれ対応する1回,2回始動口12,14への入賞があったことを検出し、その検出信号(「始動入賞口カウントスイッチ信号」と呼称する)をメイン制御基板68に出力する。また、普通入賞口8,10や可変入賞装置としてのセンター役物6への遊技球の受け入れは、それぞれに対応して複数設置されているその他の入賞口スイッチ80(検出器)により検出され、その検出信号(「大入賞口カウントスイッチ信号」と呼称する)がメイン制御基板68に出力される。
一方、上記の大入賞口ソレノイド82をはじめ球経路変化部ソレノイド58、球停留部ソレノイド54等の駆動要素は、それぞれメイン制御基板68からの駆動信号に基づいて作動を制御されるものとなっている。
さらに、センター役物6内には球振分部モータ84が装備されており、この球振分部モータ84はメイン制御基板68からの指令信号に基づいて球振分部材46を回転させることができる。この球振分部モータ84は、回転軸に装着された球振分部材46を、例えば240ステップで1回転させるステッピングモータである。この球振分部モータ84は、例えば1ステップを1回の割込み処理を割り当てることにより4msで駆動し、球振分部材46を1回転あたり960msの一定の速度で回転させている。また球振分部モータ84にはモータインデックスセンサ86(基準点検出手段)が付設されており、このモータインデックスセンサ86からメイン制御基板68にインデックス信号が入力されるものとなっている。
このインデックス信号(原点信号)は、球振分部モータ87において予め決められた基準点としての原点がモータインデックスセンサ86を通過した際にモータインデックスセンサ86が出力する原点信号である。メイン制御基板68は、例えば8ビットのシフトレジスタを備えており、このシフトレジスタは、例えば4msごとにメイン制御基板68がインデックス信号を検出したか否かを履歴として記憶するようになっている。本実施形態では、この履歴を「検出履歴(フォト履歴)」と呼称する。
この検出履歴としては、そのシフトレジスタのLSBからMSBに記憶された、例えば8ビットの2値データで表されている。各ビットの値は、例えば4msごとにシフトレジスタにおいてシフトされるようになっており、直近にインデックス信号が検出されたか否かがLSBに記憶されている。
本実施形態では、メイン制御基板68がインデックス信号を検出した場合に「1」をシフトレジスタのLSBに記憶させ、インデックス信号を検出しなかった場合に「0」をシフトレジスタのLSBに記憶させるようになっている。また本実施形態では、メイン制御基板68は、ノイズの影響によってインデックス信号を誤って検出しないように、例えばシフトレジスタにおいて「1」が設定されているビットが連続したこと(例えば「00000110)を検出したことを契機としてインデックス信号を検出したものと取り扱うものとする。
ここでメイン制御基板68においては、位置情報生成手段としてのCPUが原点からの特定入賞口案内部46aの回転位置に関する演算動作を実行している。なお、この位置情報生成手段は、例えばメイン制御基板68のCPUの制御により動作するプログラムの機能に相当する。
このようにメイン制御基板68において位置情報生成手段がこのような演算動作を実行していると、メイン制御基板68のCPUは、原点からの特定入賞口案内部46aの回転位置に関する演算動作を実行する処理の負担が少々大きくなるものの、その演算が完了すると演算結果としての回転位置情報を含めた回転位置コマンドを、大入賞口カウントスイッチ信号の出力というランダムなタイミング(センタ役物6内への遊技球の受け入れタイミング)でサブ制御基板70に対して送信している。
このためメイン制御基板68は、この演算動作の実行により負荷が少々大きくなったとしても、インデックス信号の出力のたびに毎回、回転位置コマンドを送信せず、その分回転位置コマンドを送信する回数が少なくて済む。したがって本実施形態によれば、この回転位置コマンドに基づく演出動作の実行タイミングを悪用した不公正な遊技を抑制することができるとともに、このように回転位置コマンドの送信回数を低減することができることから全体として遊技動作の制御に影響を及ぼすことなく正常に遊技動作を制御することができる。
ここで位置情報生成手段による演算処理例としては、まず、大入賞口カウントスイッチ信号の出力タイミングに基づいて遊技球がセンタ役物6内に受け入れられた時点を特定する。さらにこの位置情報生成手段は、この大入賞口カウントスイッチ信号の出力タイミングとインデックス信号の出力タイミングとの差に基づいて、大入賞口カウントスイッチ信号が出力された時点における基準点からの特定入賞口案内部46aの回転位置を演算し、この演算結果としての回転位置情報を生成している。
またさらに回転位置情報の生成方法をより具体的に説明すると、次のようになる。まず、メイン制御基板68のCPUは、インデックス信号を検出したこと(球振分部材46の原点を検出したこと)を契機として、所定の回転位置カウンタのカウントアップを開始する。この回転位置カウンタは、例えば4msという所定の割込み周期ごとに1ずつカウントアップされ、大入賞口カウントスイッチ信号が出力されたことが検出されると、そのカウント値が保持される。
ここで球振分部モータ84は、例えば4msごとに1パルスを励磁して240パルスで球振分部材46を1周させるように駆動制御されており、この球振分部モータ84は、例えば1周960msで球振分部材46を回転させるように駆動制御されている。このため回転位置カウンタのカウント値は、例えば0〜239で表される240個の数値で表されるようになる。
この回転位置カウンタのカウント値は、球振分部材46が原点を通過してからカウントが開始され、大入賞口カウントスイッチ信号が出力されたことを契機としてそのカウントが停止(保持)されることから、遊技球が大入賞口カウントスイッチ28を通過した際における球振分部材46の回転位置(向き)を表している。そしてメイン制御基板68(の位置情報生成手段)は、回転位置カウンタの最大カウント値(240)に対する、この停止した際のカウント値の比および、球振分部材46の1周の角度(360度)に基づいて、原点からの球振分部材46の向きを角度情報として算出することができる。このようにして角度として表された回転位置情報が生成されるのである。
そしてメイン制御基板68は、このように生成された回転位置情報を含めた回転位置コマンド(位置情報信号)を、例えば大入賞口カウントスイッチ信号が出力されたこと(遊技球がセンタ役物6内に受け入れられたこと)を契機としてサブ制御基板70に対して送信する構成となっている。
本実施形態では、回転位置情報として、例えば原点からの特定入賞口案内部46aの回転角度(向き)に関する角度情報を例示して説明する。なお、この回転位置情報としては、例えば球振分部モータ84(球振分部材46)を原点から所定のステップ数で1回転させる場合においては、その球振分部材46の向きを変更するために球振分部モータ84を駆動すべきステップ数で表しても良い。
この回転位置情報の具体例としては、球振分部材46を原点から1周(1回転)させるのに、例えば240ステップ必要な仕様である球振分部モータ84においては、その原点を定位置として、例えば16進数で表すと、その定位置(0ステップ進んだ回転位置)は「00(0度)」と表すことができ、原点から60ステップ進んだ回転位置は例えば「3C(90度)」と表わすことができ、原点から120ステップ進んだ回転位置は例えば「78(180度)」と表わすことができ、原点から180ステップ進んだ回転位置は例えば「B4(270度)」と表わすことができる。
ここで回転位置コマンド(位置情報信号)は、例えばステータス値およびモード値を含んでいる。このステータス値は回転位置情報を表しており、このモード値は、回転位置情報を含むコマンドであることを表す識別子である。ここで、大入賞口カウントスイッチ28による球振分部材46の検出位置が例えば90度の場合、その検出位置を示す回転位置コマンドは、例えば「703C」の2バイトで表される。ここで「70」は、回転位置コマンドであることを示すモード値を表しており、「3C」は回転位置を表している。つまり、この回転位置コマンドは、前半1バイトがモード値を表しており、後半1バイトがステータス値を表している。この場合、この検出位置に基づく回転位置情報は、例えば2バイト目にステータス値として直接代入され、シンプルな演算で回転位置コマンドが生成されるようになっている。
(5−2.サブ制御基板)
また演出要素として、上記のスピーカ88や演出用ランプ/LED90等はサブ制御基板70に接続されている。パチンコ機1による遊技の進行中、サブ制御基板70のCPU(以下「サブCPU」と呼称する)はメイン制御基板68から送信される指令信号に基づいて演出動作を制御し、一定の演出パターンにしたがって音響出力や発光装飾等による演出を制御している。
また画像を用いた演出要素として、上記の液晶表示器40は液晶制御基板92を介してサブ制御基板70に接続されており、液晶表示器40に対する描画コマンドはサブ制御基板70から出力されるものとなっている。
なお、本実施形態ではセンター役物6内で高確率経路38に遊技球が送り込まれた場合、特別に優先順位の高い演出を行うため、上記の高確率経路通過スイッチ39がサブ制御基板70に接続されている。サブ制御基板70は高確率経路通過スイッチ39から検出信号を受け取ると、通常の表示画像に優先させて特別な演出表示を実行する。
演出制御基板としてのサブ制御基板70は、この特別な演出表示として、例えばセンタ役物6内に受け入れられた時点における遊技球と特定入賞口案内部46aとの位置関係に応じた演出動作を制御する。具体的には、サブ制御基板70は、まずメイン制御基板68から回転位置コマンドを受信すると、この回転位置コマンドに含まれるモード値から、回転位置コマンドに回転位置情報が含まれていることを認識する。
さらにサブ制御基板70は、回転位置コマンドに含まれるステータス値から回転位置情報を取得し、この回転位置情報に基づいて、球振分部モータ84(の球振分部材46)における原点からの特定入賞口案内部46aの回転位置(向き)を特定することができる。そしてこのサブ制御基板70は、遊技球がセンタ役物6内に受け入れられた時点(大入賞口カウントスイッチ信号の出力時点)における特定入賞口案内部46aの回転位置を特定し、特定入賞口案内部46aの回転位置に応じて演出表示を実行すべきと判断した場合、遊技球がセンタ役物6内に受け入れられた時点における遊技球と特定入賞口案内部46aとの位置関係に応じた特定の演出を制御する。
ここで特定の演出の具体例としては、センタ役物6内に受け入れられた遊技球が特定入賞口案内部46aに案内されそうである場合、つまり遊技球が特定入賞口60に案内されて大当りとなり特別遊技状態に移行しそうであると予想される場合には、例えば液晶表示器40に図10に示すような巨大な赤い遊技球を落とすアニメーションを表示する演出(以下「赤球表示演出」と呼称する)を出力することを挙げることができる(以下、このように遊技球が特定入賞口60に案内されそうであることを「大当りチャンス」と呼称する)。一方、遊技球が特定入賞口60に案内されそうでないと予想される場合には、例えば液晶表示器40に巨大な銀色の遊技球を落とすアニメーションを表示する演出(以下「銀球表示演出」と呼称する)を出力することである。
なお本実施形態では、遊技球が大入賞口カウントスイッチ28を通過した時に、球振分部モータ84(回転体)の回転位置情報が「78(120ステップ)」〜「B4(180ステップ)」であると、センター役物6内において遊技球が特定入賞口案内部46aに誘導される可能性が高いものとする。なお、この回転位置情報がこのような大当りチャンスにおいては、例えば1/2の確率で、上記予測に応じて特定の演出として赤玉表示演出を実行するものとする。
(6.メイン制御基板における制御処理)
図11は、メイン制御基板68における制御処理の手順の一例を示す制御フローチャートである。なおこの制御処理は、例えば4msごとに実行されるタイマ割込み処理の一部である。
まず、モータインデックスセンサ86は、球振分部材46を回転させる球振分部モータ84の原点を検出しており、検出結果としてのインデックス信号を定期的にメイン制御基板68に対して出力している。このメイン制御基板68では、例えば4msごとに、インデックス信号を受け取ったか否かを判断し、例えばインデックス信号を受け取った場合は図示しないシフトレジスタのLSBに「1」を設定し、インデックス信号を受け取っていない場合にシフトレジスタのLSBに「0」を設定する。このようにしてメイン制御基板68のシフトレジスタの検出履歴が更新される(ステップS1)。
次にステップS2では、メイン制御基板68のCPUがこの検出履歴に基づいて、球振分部材46の回転位置が定位置(例えば原点)であるか否かを判断する。具体的には、メイン制御基板68のCPUは、そのシフトレジスタに記憶されている8ビットで表現される検出履歴において「1」が連続しているかどうかを判断する。つまり、メイン制御基板68のCPUは、シフトレジスタの検出履歴において「1」が連続しており、インデックス信号を受け取ったか否か(つまり、球振分部材46の回転位置が定位置であるか否か)を判断する。
このときメイン制御基板68のCPUは、球振分部材46の回転位置が定位置でない場合には回転位置カウンタをカウントアップ(更新)する(ステップS4)。一方、メイン制御基板68のCPUは、この球振分部材46の回転位置が定位置である場合には回転位置カウンタをクリアして、例えば0に初期化する(ステップS3)。
次にステップS5では、メイン制御基板68のCPUは、遊技球がセンタ役物6内に受け入れられ、大入賞口カウントスイッチ信号が出力されたか否かを判断する。本実施形態では、この大入賞口カウントスイッチ信号が出力されたことを「演出発生条件」と呼称する。メイン制御基板68のCPUは、この演出発生条件を満たすと、この大入賞口カウントスイッチ信号の出力タイミングとインデックス信号の出力タイミングとの差に基づいて、遊技球がセンタ役物6内に受け入れられた時点における基準点からの特定入賞口案内部46aの位置を演算し、この演算結果としての回転位置情報を生成する。
ここで、この演出発生条件を満たしていない場合には処理を終了し、一方、この演出発生条件を満たしている場合にはステップS6に進む。このステップS6では、メイン制御基板68のCPUが、情報の種類、例えば回転位置情報であることを示す識別子をモード値とし、生成した回転位置情報をステータス値とした回転位置コマンドを作成するとともに、この作成した回転位置コマンドを、上記大入賞口カウントスイッチ信号の出力を契機としてサブ制御基板70に対して出力する。
(7.サブ制御基板における制御処理)
図12は、サブ制御基板70における制御例を示す制御フローチャートである。なお、このサブ制御基板70は、メイン制御基板68からのコマンドを受信する処理を優先して実行している。
まずステップS11では、サブ制御基板70がメイン制御基板68からコマンドを受信したか否かを判断し、コマンドを受信していない場合には終了する。一方、サブ制御基板70がメイン制御基板68からコマンドを受信している場合には、ステップS12に進む。
ここで本実施形態においては、モード値として、ステータス値として設定された回転位置情報に応じて演出を変化させるべきモード値と、その回転位置情報に応じて演出を変化させる必要のないモード値との2種類があるものとする。このステップS12では、サブ制御基板70のCPUが、その取得したモード値が回転位置情報に応じて演出を変化させるモード値であるか否かを判断する。
ここでサブ制御基板70においては、モード値に対応した演出を実行するための演出データや、モード値およびステータス値に対応した演出を実行するための演出データが予め用意されている。ここでモード値およびステータス値に対応した演出としては、上記「赤球表示演出」や「銀球表示演出」を例示することができる。
まず、ステップS12において回転位置情報に応じて演出を変化させるモード値でないと判断された場合には、サブ制御基板70のCPUは、現在のモード値に対応した演出データを選択する(ステップS14)。一方、ステップS12において回転位置情報に応じて演出を変化させるモード値である場合には、サブCPUは、モード値とステータス値に基づいて、複数用意されている演出の中から所定の演出を選択する(ステップS13)。
ここでステータス値としての回転位置情報が例えば「78」〜「3B」である場合には「赤球表示演出」となり、回転位置情報がそれ以外である場合には「銀球表示演出」となるものとする。これらの演出が実行されるか否かは、演出条件が満たされた場合に確率1/2でこれら特定の演出が実行される。これらの演出は回転位置情報に応じて大当りチャンスであるか否かが判明することから、大当りチャンスである場合にはサブ制御基板70が「赤球表示演出」を選択し、一方、大当りチャンスでない場合にはサブ制御基板70が「銀球表示演出」を選択する。そしてサブ制御基板70は、選択された演出に基づく演出データによって演出動作の制御を開始する(ステップS15)。
サブ制御基板70は、このような演出データに基づく演出動作を制御し、この演出動作として、例えばスピーカ88に音を出力させたり、演出用ランプ/LED90を点灯、消灯、点滅させる。このとき併せて、サブ制御基板70は、表示動作を制御するための演出表示コマンドを液晶制御基板92に対して送信する。この液晶制御基板92は、サブ制御基板70から受信した演出表示コマンドに基づいて液晶表示器40に各種演出を表示する。この演出表示の具体例としては、上記赤玉表示演出や銀球表示演出を挙げることができる。
(8.制御処理の内容)
次に、上記のメイン制御基板68やサブ制御基板70による制御処理の内容について説明する。なお、以下の説明では主に、センター役物6の動作に関する制御内容を取り上げている。また、以下では説明の便宜上、それぞれの制御を実行する中心的な主体として、メイン制御基板68による制御処理の実行主体を「メインCPU」、またサブ制御基板70による制御処理の実行主体を「サブCPU」とそれぞれ称する場合がある。
(9.回転位置コマンドの送信などに関するタイミングチャート)
図13は、本実施形態における回転位置コマンドなどの送信タイミング例を示すタイミングチャートである。なお図13(A)は、インデックスセンサ86からメイン制御基板68に対するインデックス信号の送信タイミング例を示しており、図13(B)は、メインCPUの制御による回転位置カウンタによるカウント例(例えば0〜239)を示している。また図13(C)は、大入賞口カウントスイッチ28が出力する大入賞口カウントスイッチ信号を示しており、図13(D)は、サブ制御基板70から液晶制御基板92への演出表示コマンドの送信タイミングを示している。また図13(E)は、メイン制御基板68からサブ制御基板70への回転位置コマンドの送信タイミング例を示す。
パチンコ機1において遊技中には、図13(A)に示すようにモータインデックスセンサ86が球振分部モータ84の原点を検出して、その検出信号としてのインデックス信号を定期的にメイン制御基板68に対して出力している。一方、メイン制御基板68においては、メインCPUが、インデックスセンサ86によるインデックス信号の出力の立ち上がり時からの球振分部材46の回転位置(特定入賞口案内部46aの回転移動距離)を計測する回転位置カウンタとして機能しており、このメインCPUは、この回転位置カウンタによるカウント機能によって、図13(B)に示すようにインデックス信号の出力の立ち上がり時からの球振分部材46の回転位置を繰り返し計測している。なお、この球振分部材46の回転位置の計測機能は、球振分部材46の1回転にかかる時間から球振分部材46の回転位置を特定しているが、このような回転位置の特定は、例えば所定のタイマによる機能で代用してもよい。
ここでパチンコ機1が遊技者による遊技中であると仮定する。まず、遊技領域内に発射された遊技球が1回始動口12に入賞すると、1回始動口スイッチ76が始動入賞口カウントスイッチ信号をメイン制御基板68に対して出力する。このメイン制御基板68は、この始動入賞口カウントスイッチ信号の出力を契機として大入賞口ソレノイド82の駆動を開始する。この大入賞口ソレノイド82の動作によって、メイン制御基板68は、センター役物6の左右一対に設けられた可動片(可動部材)24の開閉動作を1回実行する。なお、遊技球が2回始動口14に入賞した場合にも同様に始動入賞口カウントスイッチ信号が出力し、同様にメイン制御基板68は、大入賞口ソレノイド82を制御して、センター役物6の左右一対に設けられた可動片24の開閉動作を2回実行する。
この開閉動作の際、可動片24が周囲の遊技球を捕獲したり或いは、可動片24が開放された際に遊技球が大入賞口26に飛び込むことにより、遊技球がセンタ役物6内に受け入れられると、大入賞口カウントスイッチ28が遊技球を検出して入賞信号としての大入賞口カウントスイッチ信号をメイン制御基板68に対して出力する。
ここで大入賞口カウントスイッチ信号が大入賞口カウントスイッチ28によって出力されるのは、遊技領域内で動き回る遊技球が遊技領域内に設けられた始動入賞口に入賞することでセンター役物6の左右一対に設けられた可動片24(可動部材)が開閉動作をした際に、たまたま遊技球がセンタ役物6内に受け入れられた場合という極めて稀、かつ、ランダムなタイミングであるため、図13(C)に示すように大入賞口カウントスイッチ信号の出力タイミングは周期性がなくランダムなものとなる。このようなランダムに送信される大入賞口カウントスイッチ信号を基準として送信される回転位置コマンドは、図13(E)に実線で示すようにその送信タイミングがランダムなものとなる。ここでサブ制御基板70は、受信したコマンドが回転位置コマンドであるか否かを、この回転位置コマンドに含まれるモード値に応じて判断している。本実施形態においては、この回転位置コマンドを表すモード値は「70」で表されており、この回転位置コマンドを受信する必要のない場合には、モード値が「70」であることをサブ制御基板70が判別して受信した回転位置コマンドを無視するようになっている。
ところで本実施形態では、図13(B)や図13(C)に示すように大入賞口カウントスイッチ信号の発生タイミングが回転位置カウンタの計測結果に基づいて時間K1程度であると算出された場合には、図13(D)に示すように演出表示コマンドが送信される。また、大入賞口カウントスイッチ信号の発生タイミングが上記回転位置カウンタの計測結果に基づいて時間K2程度であると算出された場合にも、演出表示コマンドが送信される。ここで、回転位置カウンタの計測結果に基づく時間K1,K2に応じて現在の演出動作を変更するか否かは、サブ制御基板70から演出表示コマンドを受け取った液晶制御基板92において判断される。この液晶制御基板92において演出動作を変更すべきであると判断した場合においては、回転位置コマンドに含まれるステータス値(回転位置情報)に応じて、例えば「赤玉表示演出」或いは「銀球表示演出」を実行する。なお、この演出動作を変更すべきであるか否かに関しては、この液晶制御基板92の代わりにサブ制御基板70において判断しても良く、演出動作を変更すべきである場合には、サブ制御基板70が、変更すべき演出動作に対応した演出表示コマンドを液晶制御基板92に対して送信する。
一方、上記のように始動入賞口カウントスイッチ信号や大入賞口カウントスイッチ信号のような入賞信号を受け取ったメイン制御基板68は、払出制御基板72に対して所定個数の遊技球を払い出すために賞球信号を出力する。そしてこの払出制御基板72は、メイン制御基板68からの賞球信号に基づいて図示しない所定の賞球払出装置を制御し、この賞球払出装置は、この賞球信号に応じた個数分の遊技球の払出動作を実行する。
また、大入賞口26に入賞した遊技球は、センター役物6内における低確率経路36や高確率経路38を経由して球振分部材46近傍に導かれる。この球振分部材46には、特定入賞口案内部46aおよび一般入賞口案内部46bが設けられており、これら特定入賞口案内部46aおよび一般入賞口案内部46bは一旦遊技球を保持し、その後、それぞれ特定入賞口60および一般入賞口50に誘導する構成となっている。
球振分部材46は、球振分部モータ84の駆動によって所定の方向に回転する構成となっており、形成された特定入賞口案内部46aおよび一般入賞口案内部46bをこの所定の方向に回転させる構成となっている。この球振分部材46近傍に導かれた遊技球は、回転している球振分部材46の回転位置によって一般入賞口案内部46bに案内されて一般入賞口に入球したり、特定入賞口案内部46aに案内されて特定入賞口60を通過するようになっている。
遊技球が一般入賞口案内部46bに案内された場合には球放出路50を通って放出され、遊技球が特定入賞口案内部46aに案内された場合には、球振分部材46の回転によって遊技球が特定入賞口60に案内され、この特定入賞口60を通過する。この特定入賞口60には特定領域スイッチ52が設置されており、特定領域スイッチ52が遊技球の入賞を検出すると、メイン制御基板68は、通常の遊技状態である通常遊技状態から特別な遊技状態である特別遊技状態に移行させる。
この特別遊技状態では、例えば最大15ラウンドにわたり、センター役物6の左右一対に設けられた可動片24の開閉動作を繰り返して遊技球をセンタ役物6内に受け入れさせ、この受け入れさせた遊技球の数に応じた賞球が遊技者に対してなされる遊技状態である。このようにして遊技者は、このような特別遊技状態により多くの利益を享受することができる。
ここでこの特別遊技状態においては、メイン制御基板68が回転位置コマンドの送信を規制するのが望ましい。このような構成とすると、メイン制御基板68は、特別遊技状態において回転位置コマンドを送信する必要がなくなるため、この特別遊技状態における処理の負荷を低減することができ、より負荷の大きい遊技動作を制御することができるようになる。またさらに、このようにメイン制御基板68が特別遊技状態においてサブ制御基板70に対して回転位置コマンドを送信しないため、この回転位置コマンドを受信するはずであったサブ制御基板70にとっては、この特別遊技状態において遊技者の利益に直接関係しない無駄な信号である回転位置コマンドをわざわざ解析したり判断する必要がなくなる。
(10.本実施形態の有用性についての言及)
一般的に公知のパチンコ機では、遊技球の通過によって大当りに移行する特定入賞口60へ案内する特定入賞口案内部46aが一定周期で移動する場合、この移動周期に応じて遊技球を始動入賞させることで可動片24の開閉動作を行わせ、さらに遊技球をセンター役物6内に受け入れさせると、このセンター役物6内において遊技球が特定入賞口60を通過しやすくなることが知られている。
つまり、このセンター役物6においては、特定入賞口60の周期的な動きに応じて遊技球が球振分部材46に到達するタイミングを図ると、このタイミングにおける遊技球と特定入賞口案内部46aとの相対的な位置関係により、遊技球の振り分け先(特定入賞口60または一般入賞口50)がおおよそ決まる構成となっている。もちろん、そのようなタイミング取りを遊技者が目視でおおよそ試みる分には通常遊技の範疇であるが、パチンコ機1の演出動作に周期性がある場合に、この演出動作に同期させて遊技球を発射させて大当りを引き当てようとする行為は、その演出動作の周期性に気付かなかった遊技者に比べると不公平な遊技に相当すると考えられる。
本実施形態では、メイン制御基板68からサブ制御基板70に対して回転位置コマンドがランダムなタイミングで出力されており、この回転位置コマンドを受け取ったサブ制御基板70は、ランダムなタイミングで、入賞信号が出力された時点における遊技球と特定入賞口案内部46aとの位置関係に応じた演出動作を実行させている。
ここで不正を意図した遊技者(以下「不正遊技者」と呼称する)が、この演出動作に同期させつつ遊技球を所定のタイミングで発射させ続けても、この演出動作自体が大入賞口カウントスイッチ信号の出力というランダムなタイミングで実行されているため、センター役物6内の特定入賞口案内部46aにより遊技球が特定入賞口60に案内されるタイミングを図って、遊技球をセンター役物6内に受け入れさせることができないようにすることができる。
このように本実施形態では、演出動作の実行タイミングを悪用して、特定入賞口60に遊技球を導いて大当りを引き当てることができなくなるため、不正遊技者が不正な利益を得ることができなくなる。その一方、ホール運営者においても、不正遊技者に本来与えるべきではない利益を与える必要がなくなるため、このような不公平な遊技に基づく損害を受けることを防止することができる。
またさらに用意周到なケースを考えると、例えば不正の意図を持った遊技者(以下「不正遊技者」と呼称する)がメイン制御基板68とサブ制御基板70とを接続する信号線を意図的に取り出して或いは物理的に切断などして、この信号線から内部信号である回転位置コマンドの送信タイミングを盗み取った不正行為がなされたケースを具体的に想定してみる。
このような不正行為としては、まず、ホール従業員の目を盗んで、例えば定期的な周期で発生するタイミングに同調させて信号を発生する回路の出力端子を、所定のコマンド信号線或いは、例えばデータの書き込み(ライト)線或いはその選択(セレクト)線のような制御線に接続する。次にこれらコマンド線或いは制御線における信号の周期が短いようであればその信号を分周することで周波数を下げた不正信号を生成し、逆にその信号の周期が長いようであれば直接その信号をそのまま不正信号として採用する。
そして不正遊技者は、このようにして生成或いは採用した不正信号を、例えば装飾ランプの本線を切って点灯信号に加工して接続し、その装飾ランプの点灯信号のタイミングに基づいていわゆる体感器を用いて遊技球を所定のタイミングで遊技領域に発射させるのである。またこれ以外の方法としては、不正遊技者は、このようにして採用された不正信号を、例えば所定の無線出力装置を用いて無線信号としてパチンコ機外部に出力させ、この無線信号を受信可能な体感器を用いて、直接、遊技球の発射を制御する。
ここで、その不正信号として回転位置コマンドを採用して不正行為が行われたケースにおいても、本実施形態では、この回転位置コマンドの送信タイミング自体がランダムであることから、その不正遊技者は、この回転位置コマンドの送信タイミングを基準として周期的に遊技球を繰り返し発射し続けることができない。したがって、周期的に回転する球振分部材46の特定入賞口案内部46aを正確に狙って、センター役物6に遊技球を受け入れさせることができなくなるため、不正な手法を用いて特定入賞口60に遊技球を導くことができないようになる。
このように本実施形態では、メイン制御基板68からサブ制御基板70に対して送信される回転位置コマンドの送信タイミングを悪用して、特定入賞口60に遊技球を導いて大当りを引き当てることができなくなるため、不正遊技者が不公平な遊技を行うことができなくなる。
また本実施形態では、メイン制御基板68が球振分部材46の動作を制御していることから、この球振分部材46の挙動はメイン制御基板68の内部信号に同期している。この球振分部材46の挙動は、可動片24の開閉動作に伴いセンター役物6内に受け入れられた遊技球を特定入賞口案内部46aによって特定入賞口60に案内することができる点で遊技者に供与される利益に関係するものである。
ここで仮にメイン制御基板68が、インデックスセンサ86から定期的に出力されるインデックス信号を受け取るたびに、このインデックス信号をサブ制御基板70に対して送信する構成であると、このメイン制御基板68は、球振分部材46の周期性に応じてサブ制御基板70に対して周期的にインデックス信号を出力することになってしまう。
ところが本実施形態では、メイン制御基板68の制御が球振分部材46の挙動に深く関係しているものの、そのインデックス信号の代わりに、メイン制御基板68からサブ制御基板70に対して送信される回転位置コマンドにそもそも周期性がなくなっている。このため本実施形態では、不正を意図した者が、この回転位置コマンドに基づいて実行される演出の表示タイミングを目視しつつセンター役物6による遊技球の受け入れタイミングを図っても、特定入賞口案内部46aによって遊技球を案内させることができないようになる。
本実施形態においてメイン制御基板68は、大入賞口カウントスイッチ信号が出力されたことを契機としてサブ制御基板70に対して回転位置コマンドを送信することで、サブ制御基板70によって演出動作を実行させている。このため本実施形態では、大入賞口カウントスイッチ信号が周期性なく発生することから演出動作に周期性がなくなり、遊技者がこの演出動作に同期させて、センター役物6内において特定入賞口案内部46aにより遊技球が特定入賞口60に案内されるように、センター役物6に遊技球を受け入れさせることができなくなる。
また本実施形態においては、可変入賞装置としてのセンター役物6は、低確率経路36或いは高確率経路38のような、大入賞口26に入賞した遊技球を球振分部材46の近傍に導く経路を含んだ構成となっている。このような構成を採用していると、通常はセンター役物6内に受け入れられた遊技球がセンタ役物6内において低確率経路36などの経路上を転動し、ある程度の時間をかけて球振分部材46またはその特定入賞口案内部46aまで到達することとなる。このとき遊技球は常に決まった動きをするとは限らず、あるときは比較的ゆっくり転動したり、またある時は比較的スムーズに転動することがある。
この場合、回転位置コマンドの送信タイミングを悪用して不正をはたらこうとする遊技者であれば、遊技球がセンタ役物6内に受け入れてから特定入賞口案内部46aに到達するまでの平均的な到達時間(以下「平均到達時間」と呼称する)をある程度計算に入れて遊技球の発射タイミングを操作し、不当な高確率で大当りを狙ってくることも考えられる。
しかしながら、本実施形態では、たとえ不正遊技者が遊技球の平均到達時間を計算に入れたとしても、回転位置コマンドに基づく演出動作の実行タイミングが一定ではないため、これを悪用して遊技球をセンタ役物6内に受け入れさせ、このセンタ役物6内に受け入れさせた遊技球をその経路34,38を経由して特定入賞口60に導いて大当りを引き当てることができなくなる。
またセンター役物6は、既に説明しているように高確率経路38や低確率経路36のみならず、球振分部材46を含んでいる。これら高確率経路38や低確率経路36は、センタ役物6内に受け入れられた遊技球を特定入賞口案内部46aに導くとともに、遊技球がセンタ役物6内に受け入れられてから特定入賞口案内部46aにまで到達する到達時間がそれぞれ異なる複数の経路である。一方、球振分部材46は、センター役物6内に受け入れた遊技球を高確率経路38および低確率経路36のいずれか一方へと送出する構成となっている。
このような構成によれば、通常はセンタ役物6内に受け入れられた遊技球がセンター役物6内で球経路変化部材34によって複数の経路の一方に送出される。この遊技球の挙動は、球経路変化部材34の動作次第でどちらの経路に遊技球が送出されるかを遊技者に図りかねさせることで遊技者の遊技意欲を掻き立てるとともに、その遊技球の挙動が予測しにくくなっている。このように各経路34,38に送出された遊技球は、ある程度の時間を掛けて球振分部材46まで到達することとなる。このとき、遊技球は常に決まった動きをするとは限らず、あるときは比較的ゆっくり転動したり、またある時は比較的スムーズに転動することがある。
この場合、複数の経路34,38ごとに到達時間が異なってはいるものの、不正をはたらこうとする遊技者であれば、例えばある特定の経路34,38の一方だけに狙いを定め、その経路34,38上でみた遊技球の平均到達時間を計算に入れて遊技球の発射タイミングを操作することで、不当に高い確率で大当りを狙ってくることも考えられる。しかしながら本実施形態によれば、たとえある特定の経路34などについて遊技球の平均到達時間を計算に入れたとしても、そもそも回転位置コマンドに基づく演出動作の実行タイミングが一定ではないため、これを悪用して遊技球をセンタ役物6内に受け入れさせ、このセンタ役物6内に受け入れさせた遊技球をその球経路変化部材34や複数の経路34,38のいずれか一方を経由して特定入賞口60に導いて大当りを引き当てることができなくなる。
また本実施形態では、球振分部材46の上方において高確率経路38の終端位置から遊技球を落下させる球落下部38aが設けられており、さらにこの球振分部材46は、一般入賞口案内部46bおよび、その球落下部38aから落下した遊技球を一時的に受け止めるとともに、この受け止めた遊技球を転動させつつ特定入賞口案内部46aまたは一般入賞口案内部46bに導くステージ46cを含んだ構成であるのが望ましい。
このような構成によれば、通常はセンタ役物6内に受け入れた遊技球が、球経路変化部材34の揺動状態に応じて複数の経路34,38のうちのいずれか一方に送出される。この遊技球の挙動は、球経路変化部材34の揺動次第でどちらの経路34,38に遊技球が送出されるかに関して遊技者に図りかねさせることで、遊技者の遊技意欲を掻き立てている。その高確率経路38の終端位置の球落下部38aからステージ46c上に落下した遊技球は、その後、そのステージ46c上で転動しつつ特定入賞口案内部46a或いは一般入賞口案内部46bに導かれるようになっている。
このように球落下部38aからステージ46a上に落下された遊技球は、ある程度の時間を掛けて特定入賞口案内部46aなどにまで到達することとなる。このとき、遊技球は常に決まった動きをするとは限らず、ステージ46a上で予測のつかない方向へ転がったり、あるときはステージ46a上でゆっくり転動したり、またある時はステージ46a上で速く転動することがある。
この球経路変化部材34は、その揺動状態により遊技球の送出先が遊技者にわかりにくくなり遊技に意外性を加味することができるものの、その制御上ではある程度決まったパターンで揺動する。また、球落下部38aからステージ46a上に落下した遊技球についても、遊技者の経験上ある程度、特定入賞口案内部46aに導かれるまでの誘導時間をおおよそ見積もることができる場合も考えられる。
すると、どこまでも不正を意図する者はこの揺動パターンを察知するとともにさらに誘導時間を予測すると、回転位置コマンドに基づく演出動作の実行タイミングを悪用してその揺動パターンや誘導時間と同期させて遊技球の発射のタイミングを図ることも考え得る。このように遊技球の発射タイミングを図って遊技球をセンタ役物6内に受け入れさせると、一見すると、球経路変化部材34による遊技球の送出先や、ステージ46a上でも遊技球の誘導時間をおおよそ予測できてしまうようにも思える。
しかしながら本実施形態では、たとえ球経路変化部材34の揺動状態やステージ46a上での遊技球の誘導時間について考慮しつつ遊技球の平均到達時間を見積もっても、そもそも回転位置コマンドの送信タイミングが一定ではないため、これを悪用して遊技球をセンタ役物6内に受け入れさせ、このセンタ役物6内に受け入れさせた遊技球をそのステージ46aを経由して特定入賞口60に導いて大当りを引き当てることができなくなる。
(11.その他の実施形態についての言及)
以上は一実施形態についての説明であるが、本発明の実施の形態がこれに制約されることはない。以下に、その他の実施形態についていくつか例を挙げて言及する。
上記実施形態では、遊技球を特定入賞口60に案内する特定入賞口案内部46aを周期的に移動させる振分部材として、球振分部材46(および球振分部モータ84)のような回転体を例示しているがこれに限られず、本実施形態は、例えば特定入賞口案内部46aを一方向に直線に沿って或いは所定の曲線に沿って周期的に移動させる可動体にも適用することができる。
上記実施形態では、メイン制御基板68が、サブ制御基板70に対して回転位置コマンドを送信するタイミングとすべき予め定められた事象として、入賞信号としての大入賞口カウントスイッチ信号の発生を挙げているがこれに限られない。すなわち本実施形態では、不定期に発生する事象として、例えば始動入賞口カウントスイッチ信号の発生或いは、これらを組み合わせて大入賞口カウントスイッチ信号或いは始動入賞口カウントスイッチ信号のいずれかの発生または、遊技球が普通入賞口8,10のいずれかに入賞した場合に検出される検出信号の発生を採用することもできる。
上記実施形態では、球振分部材46を回転させる球振分部モータ84がメイン制御基板68に電気的に接続されるとともに、このメイン制御基板68の制御によって駆動されているが、これに限られず、この球振分部モータ84がサブ制御基板70に電気的に接続されているとともに、このサブ制御基板70の制御によって駆動されている形態であっても良い。