JP2010104162A - 超音波モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】単板の圧電振動子を従来とは異なる辺比で構成すると共に、これを積層することにより、小型化、効率化、および構造の簡略化を図る。
【解決手段】矩形で単板の圧電振動子を積層して積層型圧電振動子50を構成し、積層型圧電振動子50が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータであって、単板の圧電振動子の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さをLとし、他方の組の辺の長さをwとし、w/Lを変数として、w/Lと拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させた場合、単板の圧電振動子は、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となるw/Lの値に基づいて形成されていると共に、単板の圧電振動子は、厚さ方向に複数積層されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、超音波モータに関し、特に、積層された矩形型の圧電振動子が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータに関する。
従来から、圧電素子を矩形に形成し、第一次縦振動モード(L1)と第二次屈曲振動モード(F2)とを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータが知られている。例えば、特開2006−094597号公報には、複数の圧電体を積層し、L1F2共振モードで駆動する超音波振動子が開示されている。この超音波振動子は、圧電素子と内部電極とが交互に積層されており、この積層方向と直交する第2の方向および第3の方向に沿って、概ね4分割された内部電極群を備えている。また、それらの内部電極群とそれぞれ導通する第1の外部電極群および第2の外部電極群とを有している。そして、第1および第2の外部電極群に電圧を印加することにより、第2の方向に発生する縦振動モードと、第3の方向に発生する屈曲振動モードとが同時に励起することによって、楕円振動を発生させる。
また、特表2007−538484号公報には、振動子を長さLおよび高さHの圧電プレートで形成して、ラーメモードで駆動する圧電超音波モータが開示されている。この圧電超音波モータでは、圧電プレートで一次非対称定在波が励起され、摺動チップが楕円運動をすることによって駆動力を発生させる。
特開2006−094597号公報 特表2007−538484号公報
従来から、超音波モータは種々の目的に用いられているが、工業的に超音波モータに求められる主な特性は、小型であること、効率が高いこと、構造が簡単であることである。ここで、超音波モータが小型であることとは、圧電振動子の共振周波数がなるべく低いことを意味する。また、効率が高いとは、圧電振動子の機械−電気結合係数が大きいことを意味する。
しかしながら、第一次縦振動モード(L1)と第二次屈曲振動モード(F2)とを組み合わせた多重振動モードで超音波モータを駆動させようとする場合、主面を4つの領域に分けて、それぞれに電力を配置し、対角に位置する電極同士を接続しなければならず、電極構造が複雑にならざるを得ない。また、ラーメモードで超音波モータを駆動させようとする場合、他のモードと比較して共振周波数が高いため、他のモードと同じ共振周波数で駆動させようとした場合は、他のモードを用いる場合よりも超音波モータが大きくなってしまい、小型化を図ることが困難となる。さらに、矩形で単板の圧電振動子を上記のような辺比で構成すると共に、これを積層した超音波モータを構成することは行なわれていなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、単板の圧電振動子を従来とは異なる辺比で構成すると共に、これを積層することにより、小型化を図ると共に、効率が高く、さらに構造が簡単である超音波モータを提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の超音波モータは、矩形で単板の圧電振動子を積層して積層型圧電振動子を構成し、前記積層型圧電振動子が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータであって、前記単板の圧電振動子の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さをLとし、他方の組の辺の長さをwとし、w/Lを変数として、w/Lと拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させた場合、前記単板の圧電振動子は、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となるw/Lの値に基づいて形成されていると共に、前記単板の圧電振動子は、厚さ方向に複数積層されていることを特徴としている。
このように、単板の圧電振動子が、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となるw/Lの値に基づいて形成されているので、他のモード、例えば、L1F2モードで駆動させる場合よりも単板の圧電振動子の主面の形状を正方形に近いものとすることができる。その結果、全体の寸法が扁平とならないため、奥行き寸法を小さくすることができる。これにより、パワー入力を従来のものよりも大きく取ることが可能となる。また、このように形成された単板の圧電振動子を、厚さ方向に複数積層することによって、積層型圧電振動子に単板と同じ入力電圧で大きな電界強度を印加することができるので、必要な電源電圧を小さくすることが可能となる。その結果、従来の超音波モータでは必要とされていた昇圧部品を不要とすることができ、ドライバ基板の小型化を図ることが可能となる。これにより、マルチチャネル動作可能な小型ドライバシステムを実現することが可能となる。なお、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となるw/Lの値とは、単板の圧電振動子が超音波モータとして実用的に機能する範囲という意味である。拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが多少ずれていても、単板の圧電振動子が超音波モータとして実用的に機能するのであれば、w/Lの値は実質的に同一であると言える。逆に言えば、w/Lの値は、単板の圧電振動子が超音波モータとして実用的に機能するのであれば、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とがちょうど同じ値でなければならないわけではない。
(2)また、本発明の超音波モータは、矩形で単板の圧電振動子を積層して積層型圧電振動子を構成し、前記積層型圧電振動子が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータであって、前記単板の圧電振動子の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さをLとし、他方の組の辺の長さをwとし、w/Lを変数として、w/Lと拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させた場合、前記単板の圧電振動子は、前記w/Lの値が0.75から0.90の範囲に収まるように形成されていると共に、前記単板の圧電振動子は、厚さ方向に複数積層されていることを特徴としている。
このように、単板の圧電振動子は、前記w/Lの値が0.75から0.90の範囲に収まるように形成されているので、他のモード、例えば、L1F2モードで駆動させる場合よりも単板の圧電振動子の主面の形状を正方形に近いものとすることができる。その結果、全体の寸法が扁平とならないため、奥行き寸法を小さくすることができる。これにより、パワー入力が従来のものよりも大きく取ることが可能となる。また、このように形成された単板の圧電振動子を、厚さ方向に複数積層することによって、積層型圧電振動子に単板と同じ入力電圧で大きな電界強度を印加することができるので、必要な電源電圧を小さくすることが可能となる。その結果、従来の超音波モータでは必要とされていた昇圧部品を不要とすることができ、ドライバ基板の小型化を図ることが可能となる。これにより、マルチチャネル動作可能な小型ドライバシステムを実現することが可能となる。
(3)また、本発明の超音波モータは、矩形で単板の圧電振動子を積層して積層型圧電振動子を構成し、前記積層型圧電振動子が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータであって、前記単板の圧電振動子の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さをLとし、他方の組の辺の長さをwとし、w/Lを変数として、w/Lと拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させた場合、前記単板の圧電振動子は、前記w/Lの値が実質的に0.85となるように形成されていると共に、前記単板の圧電振動子は、厚さ方向に複数積層されていることを特徴としている。
このように、単板の圧電振動子は、w/Lの値が実質的に0.85となるように形成されているので、他のモード、例えば、L1F2モードで駆動させる場合よりも単板の圧電振動子の主面の形状を正方形に近いものとすることができる。その結果、全体の寸法が扁平とならないため、奥行き寸法を小さくすることができる。これにより、パワー入力が従来のものよりも大きく取ることが可能となる。また、このように形成された単板の圧電振動子を、厚さ方向に複数積層することによって、積層型圧電振動子に単板と同じ入力電圧で大きな電界強度を印加することができるので、必要な電源電圧を小さくすることが可能となる。その結果、従来の超音波モータでは必要とされていた昇圧部品を不要とすることができ、ドライバ基板の小型化を図ることが可能となる。これにより、マルチチャネル動作可能な小型ドライバシステムを実現することが可能となる。なお、w/Lの値が実質的に0.85であるとは、単板の圧電振動子が超音波モータとして実用的に機能する範囲という意味である。w/Lの値が0.85の前後にずれていても、単板の圧電振動子が超音波モータとして実用的に機能するのであれば、w/Lの値は実質的に0.85であると言える。逆に言えば、w/Lの値は、単板の圧電振動子が超音波モータとして実用的に機能するのであれば、ちょうど0.85でなければならないわけではない。
本発明によれば、単板の圧電振動子が、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となるw/Lの値に基づいて形成されているので、他のモード、例えば、L1F2モードで駆動させる場合よりも単板の圧電振動子の主面の形状を正方形に近いものとすることができる。その結果、全体の寸法が扁平とならないため、奥行き寸法を小さくすることができる。これにより、パワー入力を従来のものよりも大きく取ることが可能となる。また、このように形成された単板の圧電振動子を、厚さ方向に複数積層することによって、積層型圧電振動子に単板と同じ入力電圧で大きな電界強度を印加することができるので、必要な電源電圧を小さくすることが可能となる。その結果、従来の超音波モータでは必要とされていた昇圧部品を不要とすることができ、ドライバ基板の小型化を図ることが可能となる。これにより、マルチチャネル動作可能な小型ドライバシステムを実現することが可能となる。
従来、圧電トランスにおいては、拡がり振動(輪郭振動)を用いると共に、曲げ振動(スプリアス振動)を回避することによって、動作性の良い圧電トランスを実現していた。すなわち、圧電トランスでは曲げ振動を回避する方策が採られていた。本発明者は、この点に着目し、矩形型の圧電振動子を、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動させることにより駆動力を発生させることを見出した。また、本発明者は、圧電振動子のいずれか一方の主面上に2枚の電極を並設した超音波モータは知られているが、矩形型の圧電振動子において、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となる場合を利用した超音波モータは実現されていなかった点に着目し、圧電振動子を、その時の寸法に基づいて形成することによって、超音波モータの小型化、高効率化および構成の簡略化を実現することができることを見出し、さらに、このように形成された単板の圧電振動子を、厚さ方向に複数積層することによって、積層型圧電振動子に単板と同じ入力電圧で大きな電界強度を印加できることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、矩形で単板の圧電振動子を積層して積層型圧電振動子を構成し、前記積層型圧電振動子が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータであって、前記単板の圧電振動子の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さをLとし、他方の組の辺の長さをwとし、w/Lを変数として、w/Lと拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させた場合、前記単板の圧電振動子は、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となるw/Lの値に基づいて形成されていると共に、前記単板の圧電振動子は、厚さ方向に複数積層されていることを特徴とする。
これにより、本発明者は、小型化、高効率化および構成の簡略化を図ることを可能とした。また、必要な電源電圧を小さくすることを可能とした。以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1から図3は、本実施形態に係る単板の圧電振動子の平面図である。この単板の圧電振動子1は、圧電セラミックスから形成されており、紙面に対して垂直方向に分極している。この単板の圧電振動子1には、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックス等の公知の材料を用いることができる。一般的なセラミックスの製造プロセス、例えば、圧電セラミックス粉末の成形(脱脂)、焼成、加工という製造プロセスに従って、単板の圧電振動子1を作製する。作製した単板の圧電振動子1に銀ペーストをスクリーン印刷等により所定のパターンで塗布し、焼成することによって、一方の主面に、後述する2つの電極を設けることができる。
また、単板の圧電振動子1の紙面に対して上側の中央部に、駆動力を伝達する摺動チップ2が設けられている。この摺動チップ2は、耐摩耗性に優れた材料が用いられる。例えば、アルミナやジルコニア、窒化珪素、炭化珪素等のセラミックス部品や、超剛等の耐摩耗性金属部品、硬質金属材料の表面にセラミックス薄膜やダイヤモンド薄膜をコーティングした部品等が好適に用いられる。
なお、図2および図3において、点線で示すように、単板の圧電振動子1の紙面に対して上側の両端部に摺動チップ3aおよび3bを設けても良い。単板の圧電振動子1の紙面に対して上側の中央部に摺動チップ2を設けた場合は、円板や球体等の回転体を駆動するのに好適であり、単板の圧電振動子1の紙面に対して上側の両端部に摺動チップ3aおよび3bを設けた場合は、直線的に動作する摺動体を駆動するのに好適である。また、図1に示すように、矩形で単板の圧電振動子1の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さはLであり、他方の組の辺の長さはwである。
図2は、単板の圧電振動子1が拡がり振動をしている様子を示す図である。この拡がり振動とは、矩形で単板の圧電振動子1が、中心から四辺の方向へ伸縮を繰り返す振動である。単板の圧電振動子1の電位分布は、等電位線がほぼ平行に端面に向かって高くなる。図3は、単板の圧電振動子1が曲げ振動を起こしている様子を示す図である。この曲げ振動とは、矩形で単板の圧電振動子1が二次元的に屈曲するのであるが、電位分布は、出力側中心部とその幅方向の両側に逆符号の電位が発生する。図2に示す拡がり振動モードと図3に示す曲げ振動モードとが合成(縮退)することによって、摺動チップ2、または摺動チップ3aおよび3bは、楕円運動をし、駆動力が生ずる。
次に、本実施形態に係る超音波モータの駆動原理について説明する。図4は、矩形で単板の圧電振動子を、拡がり振動モード(Expand Mode)および曲げ振動モード(Flexural Mode)で振動させたときの周波数スペクトラムを示す図である。矩形で単板の圧電振動子1の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さはLであり、他方の組の辺の長さはwであるとし、図4に示すように、w/Lを変数として、w/Lと単板の圧電振動子の拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させる。なお、図4ではL=20mmで固定し、w(Width)のみを変化させている。この場合、wが17.0mm、すなわち、縦横の二辺の比(以下、「辺比」と呼称する。)w/Lが、0.85付近で両者の共振周波数が一致し、二つの振動が縮退する。このときの共振周波数は、107kHz〜108kHzとなっている。
このように、辺比が0.85であり、一辺が20mm程度の正方形となるため、小型化を図ることが可能となる。
図5は、上記のように形成された単板の圧電振動子1を、厚さ方向に複数個積層することにより構成した積層型圧電振動子を概念的に表した図である。図5では、一部を切断して表現している。この積層型圧電振動子50は、単板の圧電振動子1を積層した圧電層51およびその圧電層の間に設けられた内層電極52から構成されている。また、積層型圧電振動子50は、入力電極53、2つの外部取り出し電極54、およびグランド電極55を有している。
単板の圧電振動子1を、例えば、6層に積層して、積層型圧電振動子50を構成すると、単板の圧電振動子1では、入力電圧が60Vppであったものが、積層型圧電振動子50では、20Vppに低下させることができた。この場合、積層方向と変位方向とは垂直の関係にあるため、圧電効果は、「横効果」を利用することとなる。また、効率をより上昇させるため、「縦効果」を利用する構成を採ることも可能である。例えば、変位方向に積層することによって、縦効果を利用することができる。例えば、単板の圧電振動子を縦方向に分極すると、駆動電圧は500Vpp以上が必要となる。一方、単板の圧電振動子を、0.5mm間隔で積層して、積層型圧電振動子を構成することによって、駆動電圧を10Vpp以下にして駆動することが可能となる。
図6は、交差指電極を取り付けた圧電振動子を示す図である。この圧電振動子60は、交差指電極61と、グランド電極62を有している。このような交差指電極61を用いて積層型圧電振動子を構成し、交差指の間隔方向に分極して超音波モータを構成することによっても、同様の効果を得ることが可能である。また、積層数が少なくて済み、工業上、有利である。
具体的には、横効果を用いた場合は、d31=130×10−12m/V、であり、縦効果を利用した場合は、d33=290×10−12m/Vであるため、縦効果を利用した場合は、横効果の約2.2倍の効率改善を図ることが可能となる。
図7Aは、本実施形態に係る6層に積層した積層型圧電振動子による超音波モータのインピーダンス特性を示す図であり、図7Bは、単板の圧電振動子による超音波モータのインピーダンス特性を示す図である。両者のインピーダンス特性を比較すると、図7Aおよび図7Bに示すように、6層に積層した積層型圧電振動子のインピーダンスは、単板の圧電振動子のインピーダンスよりも1桁小さい。従って、積層型圧電振動子を駆動するための入力電圧は、明らかに、単板の圧電振動子よりも小さくて済むこととなる。
図8は、本実施形態に係る超音波モータ装置の概略構成を示す図である。この超音波モータ装置80において、積層型圧電振動子50aは、摺動チップ2aが楕円運動をすることにより、駆動対象物15を図8中、矢印AまたはBの方向へスライドさせる。また、積層型圧電振動子50aは、図5に示したような電極を有しており、2箇所から電圧を供給され、中央の電極は接地されている。
図8において、駆動装置70は、駆動対象物15の位置を検出する位置センサ31と、超音波モータ(積層型圧電振動子)50aを共振駆動する共振駆動装置32と、超音波モータ50aを直流駆動する直流駆動装置33と、位置センサ31の検出信号に従って共振駆動装置32または直流駆動装置33に駆動指令信号を送る駆動制御装置(CPU)34と、を備えている。共振駆動装置32と直流駆動装置33は、増幅器35a、35bを共有している。さらに、共振駆動装置32は、第1フィードバック制御装置36と位相制御装置37とを有している。直流駆動装置33は、第2フィードバック制御装置38と信号反転器39とを有している。
超音波モータ50aは、積層型圧電振動子から構成されているため、上記のように、単板の圧電振動子より駆動電圧が小さくても同様の駆動力を発揮することが可能である。このため、増幅器35a、35bにおいては、従来のように昇圧部品を用いる必要がなく、増幅器35a、35bを小型化することが可能である。より具体的には、本実施形態に係る増幅器35a、35bは、従来の増幅器と比較して、大きさが1/3程度に小さくなっている。
位置センサ31には、レーザを利用した非接触光学式センサシステムが好適に用いられる。例えば、駆動対象物15には駆動対象物15の位置を示すためのマーキング(図示せず)が施されており、位置センサ31は反射光パターンから駆動対象物15の位置を検出する。
第1フィードバック制御装置36は、駆動制御装置(CPU)34から超音波モータ50aを共振駆動させる指令信号を受信すると、超音波モータ50aを共振駆動させるための共振駆動信号を発生させ、それを増幅器35a、35bに送る。また、第1フィードバック制御装置36は、位置センサ31の検出信号を受信して、駆動対象物15の移動速度を調節する。このため第1フィードバック制御装置36は、共振駆動信号の波形を適宜変形させる(例えば、ゼロ−ピーク電圧値を変化させる)ことができるようになっている。
第1フィードバック制御装置36から増幅器35a、35bへは同一波形の共振駆動信号が出力される。このため一方の増幅器、つまり増幅器35aに送られる共振駆動信号は増幅器35aに入力される前に位相制御装置37によって位相を90度ずらされる。例えば、第1フィードバック制御装置36から出力される共振駆動信号がV=Vsin(2πft)である場合には、増幅器35bにはこのV=Vsin(2πft)の共振駆動信号が入力されるが、増幅器35aには位相制御装置37によって位相制御されたV=Vcos(2πft)またはV=−Vcos(2πft)の共振駆動信号が入力される。
なお、第1フィードバック制御装置36から出力される共振駆動信号はV=Vcos(2πft)であってもよい。この場合には、位相制御装置37からは、V=Vsin(2πft)またはV=−Vsin(2πft)の共振駆動信号が出力される。
第2フィードバック制御装置38は、駆動制御装置(CPU)34から超音波モータ50aを直流駆動させる指令信号を受け取ると、超音波モータ50aを直流駆動させるための直流電圧信号を発生させ、それを増幅器35a、35bに送る。また第2フィードバック制御装置38は、位置センサ31からの信号を受信して、直流電圧信号の電圧値を適宜調整して増幅器35a、35bに送ることができるようになっている。
第2フィードバック制御装置38から増幅器35a、35bへは同じ直流電圧信号が出力される。このため増幅器35aに送られる直流電圧信号は増幅器35aに入力される前に信号反転器39によって正負を逆転される。
以上説明したように、本実施形態によれば、単板の圧電振動子1が、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となるw/Lの値に基づいて形成されているので、他のモード、例えば、L1F2モードで駆動させる場合よりも単板の圧電振動子の主面の形状を正方形に近いものとすることができる。その結果、全体の寸法が扁平とならないため、奥行き寸法を小さくすることができる。これにより、パワー入力を従来のものよりも大きく取ることが可能となる。また、このように形成された単板の圧電振動子1を、厚さ方向に複数積層することによって、積層型圧電振動子に単板と同じ入力電圧で大きな電界強度を印加することができるので、必要な電源電圧を小さくすることが可能となる。その結果、従来の超音波モータでは必要とされていた昇圧部品を不要とすることができ、ドライバ基板の小型化を図ることが可能となる。これにより、マルチチャネル動作可能な小型ドライバシステムを実現することが可能となる。
本実施形態に係る圧電振動子の平面図である。 圧電振動子1が拡がり振動をしている様子を示す図である。 圧電振動子1が曲げ振動を起こしている様子を示す図である。 矩形型の圧電振動子を、拡がり振動モード(Expand Mode)および曲げ振動モード(Flexural Mode)で振動させたときの周波数スペクトラムを示す図である。 単板の圧電振動子を、厚さ方向に複数個積層することにより構成した積層型圧電振動子を概念的に表した図である。 交差指電極を取り付けた圧電振動子を示す図である。 本実施形態に係る6層に積層した積層型圧電振動子による超音波モータのインピーダンス特性を示す図である。 単板の圧電振動子による超音波モータのインピーダンス特性を示す図である。 本実施形態に係る超音波モータ装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1 単板の圧電振動子
2 摺動チップ
2a 摺動チップ
3a 摺動チップ
3b 摺動チップ
15 駆動対象物
31 位置センサ
32 共振駆動装置
33 直流駆動装置
35a 増幅器
35b 増幅器
36 フィードバック制御装置
37 位相制御装置
38 フィードバック制御装置
39 信号反転器
50 積層型圧電振動子
50a 超音波モータ(積層型圧電振動子)
51 圧電層
52 内層電極
53 入力電極
54 外部取り出し電極
55 グランド電極
60 圧電振動子
61 交差指電極
62 グランド電極
70 駆動装置
80 超音波モータ装置

Claims (3)

  1. 矩形で単板の圧電振動子を積層して積層型圧電振動子を構成し、前記積層型圧電振動子が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータであって、
    前記単板の圧電振動子の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さをLとし、他方の組の辺の長さをwとし、w/Lを変数として、w/Lと拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させた場合、
    前記単板の圧電振動子は、拡がり振動の共振周波数と曲げ振動の共振周波数とが実質的に同一となるw/Lの値に基づいて形成されていると共に、
    前記単板の圧電振動子は、厚さ方向に複数積層されていることを特徴とする超音波モータ。
  2. 矩形で単板の圧電振動子を積層して積層型圧電振動子を構成し、前記積層型圧電振動子が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータであって、
    前記単板の圧電振動子の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さをLとし、他方の組の辺の長さをwとし、w/Lを変数として、w/Lと拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させた場合、
    前記単板の圧電振動子は、前記w/Lの値が0.75から0.90の範囲に収まるように形成されていると共に、
    前記単板の圧電振動子は、厚さ方向に複数積層されていることを特徴とする超音波モータ。
  3. 矩形で単板の圧電振動子を積層して積層型圧電振動子を構成し、前記積層型圧電振動子が、拡がり振動モードと曲げ振動モードとを組み合わせた多重振動モードで振動することにより駆動力を発生する超音波モータであって、
    前記単板の圧電振動子の二組の辺のうち、一方の組の辺の長さをLとし、他方の組の辺の長さをwとし、w/Lを変数として、w/Lと拡がり振動モードの共振周波数とを対応させると共に、w/Lと曲げ振動モードの共振周波数とを対応させた場合、
    前記単板の圧電振動子は、前記w/Lの値が実質的に0.85となるように形成されていると共に、
    前記単板の圧電振動子は、厚さ方向に複数積層されていることを特徴とする超音波モータ。
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