JP2010100249A - 車両用バンパリィンフォース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対向する一対の壁部11および一対の接続壁部12によって形成される長尺状空間14を少なくとも一つ設けた中空部材10と、中空部材10に内装され、対向する一対のキャリア壁部21、キャリア接続壁部22および一対のキャリア壁部21を支持するスペーサ30を設けたキャリア部材20と、を備え、接続壁部12およびキャリア接続壁部22を他物との衝突側となるように配置し、中空部材10とキャリア部材20との間隙のうち、他物との衝突側であって少なくとも壁部11と接続壁部12の境界部13に熱発泡性樹脂41を配置した樹脂材部40を備えてある車両用バンパリィンフォースX。
【選択図】図2
Description
当該バンパ装置は、他物に対する衝撃緩和を主目的とする発泡ウレタン等の弾性材からなるエネルギー吸収体、当該エネルギー吸収体を保持しかつ大きな衝撃エネルギーを自身の変形で吸収するバンパリィンフォース、当該バンパリィンフォースを車体側部材(例えば、サイドメンバー)に固定するクラッシュボックス或いはバンパステーを備える。
キャリア部材は、強化材層である熱発泡性樹脂(硬化状態における構造フォーム)の形状を保持する。上述した変形が発生したキャリア部材は、強化材層の形状および強度を保持するために適した形状とは言い難い。このようなキャリア部材をバンパリィンフォースに使用すると、当該バンパリィンフォースとしての強度に乏しいしものとなる。
仮に、熱発泡性樹脂を配置した領域においてキャリア壁部を隔てた位置にスペーサが存在しない領域がある場合、キャリア壁部が熱発泡性樹脂の熱膨張作用を受ければ、スペーサが存在しない位置からキャリア壁部が内側に倒れるように変形する虞がある。
本発明のバンパリィンフォースXは、車両に他物が衝突した際の乗員への衝撃をできるだけ抑えるため、車体に伝達する衝撃エネルギーを吸収するバンパ装置の構成部材である。バンパリィンフォースXは、クラッシュボックス等を介して車体に取り付けられる。
接続壁部12およびキャリア接続壁部22は他物との衝突側となるように配置し、中空部材10とキャリア部材20との間隙のうち、他物との衝突側であって少なくとも壁部11と接続壁部12の境界部13に熱発泡性樹脂41を配置した樹脂材部40を備える。
本実施形態では、中空部材10は、一対の壁部11および一対の接続壁部12によって形成される長尺状空間14を三つ設ける。当該長尺状空間14は断面が矩形状となっている。
接続壁部12は、他物との衝突側に配置される。バンパリィンフォースXが他物と衝突すれば、接続壁部12に衝突荷重が直接作用して接続壁部12が長尺状空間14の側に座屈変形することで、衝突の衝撃が吸収される。従って、バンパリィンフォースXが装着される車体の部位(車体の前方、側方、後方)を勘案した上で、長尺状空間14の数、サイズ(例えば一対の壁部11の間隔)等を決定すれば、衝突性能を調節することができる。
このように長尺状空間14を複数設けた中空部材10は、バンパリィンフォースXの軽量化を図ることができる。
キャリア部材20は、中空部材10に内装され、対向する一対のキャリア壁部21、キャリア接続壁部22、スペーサ30を備える。
また、キャリア部材20は、膨張した熱発泡性樹脂41によって中空部材10と接着するため、キャリア部材20をある程度の剛性を有する材料で構成すれば、バンパリィンフォースXの強度を向上させることができる。
本発明のバンパリィンフォースXでは、接続壁部12およびキャリア接続壁部22を他物との衝突側となるように配置してあるため、キャリア接続壁部22を接続壁部12に沿わせた状態となっている。
このように、キャリア部材20において当該衝突側の反対側には壁部を設けない構成とすれば、キャリア部材20を軽量化することができる。
本発明では、一対のキャリア壁部21を支持するスペーサ30をキャリア部材20に内装することができるため、熱発泡性樹脂41を加熱によって発泡させた場合であっても、キャリア壁部21がキャリア部材20の内側に倒れるような変形をスペーサ30によって防止することができる。そのため、キャリア部材20は、熱発泡性樹脂41の発泡後も強化材層である熱発泡性樹脂41の形状および強度を保持するために適した形状を維持することができる。そのため本発明のバンパリィンフォースXは安定した強度を有する。さらに、キャリア部材20の形状が安定すると中空部材10およびキャリア部材20の接着状態が安定する。
樹脂材部40は、中空部材10とキャリア部材20との間隙のうち、他物との衝突側であって少なくとも壁部11と接続壁部12の境界部13に熱発泡性樹脂41を配置した構成である。そのため、例えば中空部材10およびキャリア部材20の間隙の全体に強化材である熱発泡性樹脂41を充填するのではなく、壁部11と接続壁部12とが接続する境界部13の近傍のみに熱発泡性樹脂41を充填することができる(図2)。他物との衝突時には、特に境界部13に衝撃荷重がかかる。そのため、当該境界部13の近傍のみに熱発泡性樹脂41を充填した場合であっても、前記間隙の全体に熱発泡性樹脂41を充填した場合と同等の衝突性能が得られる(後述の実施例1参照)。従って、本発明では、中空部材10とキャリア部材20との間隙に充填する熱発泡性樹脂41を減少させることができるため、他物との衝突時の衝突性能を低下させることなくバンパリィンフォースXを軽量化できる。
このように構成すれば、熱発泡性樹脂41を配置した領域においてはキャリア壁部21を隔てた位置にスペーサ30が必ず存在する。これにより、キャリア壁部21が熱発泡性樹脂41の熱膨張作用を受けたときに、キャリア壁部21がキャリア部材20の内側に倒れるような変形をスペーサ30によって確実に防止することができる。
仮に、熱発泡性樹脂41を配置した領域においてキャリア壁部21を隔てた位置にスペーサ30が存在しない領域がある場合、キャリア壁部21が熱発泡性樹脂41の熱膨張作用を受ければ、スペーサ30が存在しない位置からキャリア壁部21が内側に倒れるように変形する虞がある。
樹脂材部40は、接続壁部12およびキャリア接続壁部22の間隙に熱発泡性樹脂41を充填して形成される。当該熱発泡性樹脂41は、加熱により発泡して体積が増加する樹脂のことであり、例えば熱可塑性樹脂に熱分解型の発泡剤を添加して構成される。
このように肉抜部42を形成すれば、肉抜部42を形成しない場合の樹脂材部40と比べて、肉抜部42の体積分の熱発泡性樹脂41の重量だけ軽量化することができると共に、低コスト化することができる。
図4に、本発明のバンパリィンフォースXと、当該隙間の全面に亘って熱発泡性樹脂41を塗布したバンパリィンフォースX(比較例)とにおいて、衝突性能を調べた実験の結果を示した。
図4において、横軸はバンパリィンフォースXを押圧するストロークであり、縦軸はその際の荷重である。実験では、押圧部材を用いてあるストロークまでバンパリィンフォースXを押込み、塑性変形を生じさせた後、押圧部材を引退させて荷重を減少させた。
これは、衝突時のバンパリィンフォースXの座屈変形は、中空部材10における壁部11と接続壁部12とが接続する境界部13の強度が大きく影響するためと考えられる。つまり、変形は境界部13近傍の壁部11の座屈耐力が最も重要と考えられるが、当該境界部13の近傍のみに樹脂材部40を設けることで、当該境界部13における壁部11の変形が熱発泡性樹脂41によって大きく拘束されるため、強度が向上すると考えられる。よって、境界部13以外の部分においては、熱発泡性樹脂41の有無は衝突性能にはそれ程影響を及ぼさないと考えられる。
一方、当該設置間隔が短か過ぎると、バンパリィンフォースXの剛性はさらに向上する。しかし、他物との衝突時には、バンパリィンフォースX全体が柔軟に変形し難くなるため接続壁部12が破断する虞が生じる。
尚、リブ状スペーサ30を配置しない場合は、当該スペーサ30を配置した場合の約半分の荷重で変形することものと認められた。
上述した実施形態では、スペーサ30は板状を呈するように構成した。この板状スペーサ30において、一部切欠の態様、中抜きの態様とすることが可能である。このような態様とすれば、スペーサ30を軽量化することができる。
10 中空部材
11 壁部
12 接続壁部
13 境界部
14 長尺状空間
20 キャリア部材
21 キャリア壁部
22 キャリア接続壁部
30 スペーサ
40 樹脂材部
41 熱発泡性樹脂
42 肉抜部
Claims (5)
- 対向する一対の壁部、および、前記壁部どうしを接続する一対の接続壁部によって形成される長尺状空間を少なくとも一つ設けた中空部材と、
前記中空部材に内装され、対向する一対のキャリア壁部、前記キャリア壁部どうしを接続するキャリア接続壁部、および、前記一対のキャリア壁部を支持するスペーサ、を設けたキャリア部材と、を備え、
前記接続壁部および前記キャリア接続壁部を他物との衝突側となるように配置し、
前記中空部材と前記キャリア部材との間隙のうち、他物との衝突側であって少なくとも前記壁部と前記接続壁部の境界部に熱発泡性樹脂を配置した樹脂材部を備えてある車両用バンパリィンフォース。 - 前記樹脂材部は、少なくとも他物との衝突側において前記熱発泡性樹脂が配置されない肉抜部が形成してある請求項1に記載の車両用バンパリィンフォース。
- 前記スペーサは、前記一対のキャリア壁部のうち、前記熱発泡性樹脂を配置した領域に対応する位置に設けてある請求項1又は2に記載の車両用バンパリィンフォース。
- 前記スペーサは、前記キャリア接続壁部に接続してリブ状に形成してある請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用バンパリィンフォース。
- 前記スペーサは、前記キャリア接続壁部の側ほど厚肉に形成してある請求項4に記載の車両用バンパリィンフォース。
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