JP2010099876A - 親展用感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】情報の機密性に優れ、高温条件下に放置しておいても第二シートの重剥離もしくは基材破損を防止する親展用感熱記録体を提供する。
【解決手段】第一の基材とその片面上に形成された第一の感熱記録層とを有する第一のシートと、擬似接着層と、第二の基材を有する第二のシートとを備え、前記第二のシートが、第一の感熱記録層に記録される情報を隠蔽する隠蔽領域を有し、当該第二のシートが、前記擬似接着層を介して、前記第一の感熱記録層上の一部または全部に貼付されていることを特徴とする親展用感熱記録体において、擬似接着層中にポリマー粒子を含有することを特徴とする親展用感熱記録体。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のシートが擬似接着層を介して剥離可能に貼付された、感熱プリンター等で感熱記録できる親展用感熱記録体に関する。
近年、固定情報や個人情報などの情報を記録したシートを、情報記録面を内側にして二つ折りまたは三つ折りに折り畳み、または該シートの情報記録面上に他のシートを積層し、剥離可能に接着した媒体が実用化され、普及するようになっている。このような親展用媒体には、通常、基材シートの片面または両面に擬似接着層が設けられたシートが用いられている。かかる用途に用いられる擬似接着層は、通常の状態では接着性を有さず、当該擬似接着層同士を対向させ、接触させた状態で熱と圧力をかけることにより接着し、且つ接着後において、当該擬似接着層を介して接着されたシート同士を剥離することができるようになっている。かかる擬似接着層は、接着後、一端剥離すると、その剥離面が接着性を有さないため、再貼着することができず、剥離前の状態には戻らない。
このような擬似接着層を有する親展用媒体は、情報の機密性に優れ、通常に比べて記載できる情報量が多い等の要因から、受け取った本人が接着されたシートを剥離し、その内部に記録された情報を確認することが求められる各種親展ハガキ、たとえば電気・ガス・水道・電話等の公共料金の通知・請求等に用いられるハガキ、種々のダイレクトメール等に広く使用されている。
上記のような親展用媒体は、通常、シートにハガキとしての定形事項(たとえば郵便番号、宛先、送り元、バーコード等)を印刷した後、受取人のみに知らせたい情報などの秘密情報をラミネート層面に印刷し、外側になる面に宛先等を印字し、最後に秘密情報が外部から見えないように折り畳み、または複数のシートを積層し、ドライシーラー等の専用機で加圧、接着することにより製造される。
しかし、ドライシーラー等の専用機が特殊な機械であるため、親展用媒体の製造は、ある程度の規模を有する印刷会社等に依頼する必要がある。そのため、ある程度多量の親展用媒体の製造には適しているものの、枚数が少ない場合、たとえば一枚から数十枚といった量の製造には、その単価が高くなるため不向きであり、中小規模の事業者、まして一般の個人が利用することは難しい。
さらに、個人情報等の秘密情報を印刷会社に渡す必要があり、その情報をシートに印刷してから接着されるため、部外者にその情報が漏れるおそれがあるなど、情報の機密性、セキュリティ性の問題もある。
情報を記録できる親展ハガキとして、感圧方式で情報が記録できる自己発色性感圧層が片面に設けられたシートの前記自己発色性感圧層上に、擬似接着層を介して、自己発色性感圧層に記録された情報を隠蔽するシート(隠蔽シート)が貼り付けられた親展ハガキが開示されている。(特許文献1〜3)
かかる親展ハガキにおいては、隠蔽シートの上から情報を打ち込む、書き込む等により自己発色性感圧層に情報が発色する。このように、感圧記録方式により情報をその内部に簡単に記録できるため、上述した印刷会社等に依頼する場合に比べて情報の機密性が高く、また個人でも利用しやすい。一方でこれらの記録媒体では感圧記録方式により行われるため、圧力の大きさによっては、印字した際にその上のシートの表面に跡が残ってしまい、その跡から情報が漏れる心配があり、情報の機密性が充分でないという問題がある。
これらの欠点を補う為、感熱方式による提案がなされている。(特許文献4、5)これら感熱記録媒体を使用することで、感圧方式で見られる印字痕は改善されるが、高温条件下に放置しておくと、第二シートを第一シートから剥離させる場合、重剥離となり、容易に2者を分離し難くなったり、場合によっては基材が破損することが生じる。
実開平2−2173号公報 実開平3−116974号公報 特開平9−216481号公報 特開2006−82237号公報 特開2007−230098号公報
本発明は、感熱記録方式を用いた親展用感熱記録体において、高温条件下に放置しておいても第二シートの重剥離もしくは基材破損を防止することを目的とするものである。
本発明者は、親展用感熱記録体において、擬似接着層の構成成分を種々に検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の親展用感熱記録体は、第一の基材とその片面上に形成された第一の感熱記録層とを有する第一のシートと、擬似接着層と、第二の基材を有する第二のシートとを備え、前記第二のシートが、第一の感熱記録層に記録される情報を隠蔽する隠蔽領域を有し、当該第二のシートが、前記擬似接着層を介して、前記第一の感熱記録層上の一部または全部に貼付されていることを特徴とする親展用感熱記録体において、擬似接着層中にポリマー粒子を含有することを特徴とするものである。
前記ポリマー粒子がポリスチレン粒子であることが好ましい。
前記ポリマー粒子が、前記擬似接着層の全固形分に対して、10〜70質量%含有されることが好ましい。
前記ポリマー粒子の平均粒子径が、0.1〜5.0μmであることが好ましい。
前記擬似接着層において、前記ポリマー粒子の全固形分に対して接着剤が100質量%以下であることが好ましい。
前記親展用感熱記録体を40℃90%RH下で24時間処理した後、JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法に準拠(剥離速度300mm/min.)して得られた剥離強度が、500mN/25mm以下であることが好ましい。
本発明によれば、情報の機密性に優れる親展用記録媒体を提供できる。
すなわち、本発明の親展用感熱記録体においては、感熱記録方式により、第一の感熱記録層に情報を記録でき、第一の感熱記録層に記録される情報は、第一の基材と、第二のシートの隠蔽領域とによって、外部から視認できないようになっている。また、第一のシートと第二のシートとが擬似接着層を介して擬似接着されているため、一旦剥離された第一のシートと第二のシートとを再接着することは困難であり、たとえば暗証番号やパスワード等の秘密情報を本人が確認する以前に他者が第二のシートの隠蔽領域を剥離して見たかどうかが判る。さらに、感熱記録方式による記録が可能なため、感圧記録のように第二シート上の表面に跡が残ることが無い。そのため、第一の感熱記録層に記録される情報の機密性に優れている。さらに高温下に放置しておいても、第一シートが第二シートと融着し、重剥離となり、容易に二つのシートを分離し難くなったり、場合によってはシートが破損するといった現象を改良することが可能となった。
本発明の親展用感熱記録体は、第一の基材とその片面上に形成された第一の感熱記録層とを有する第一のシートと、擬似接着層と、第二の基材を有する第二のシートとを備える。
≪第一のシート≫
<第一の基材>
第一の基材の材質は、特に限定されず、紙、各種合成樹脂等が使用できる。
第一の基材としては、第一の感熱記録層に記録される情報の機密性に優れることから、光を透過しないものが好ましい。
光を透過しない基材としては、たとえば、パルプを主成分とする紙基材、合成樹脂を主成分とする基材(フィルム基材);これらの基材に白色無機顔料等の着色剤を含有させたもの等が挙げられる。
パルプを主成分とする紙基材としては、上質紙、再生紙、光遮蔽紙(例えば、中間層を高不透明性の未晒しパルプ層とした多層抄きシート)等が挙げられる。
フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリブチレンテレフタレートフィルム,ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルム,ポリカーボネートフィルム,ポリウレタンフィルム,ポリイミドフィルム,ポリ塩化ビニルフィルム,セロファン,三酢酸セルロースフィルム,二酢酸セルロースフィルム,テトラフルオロエチレンフィルム,ポリ弗化ビニリデンフィルム,ポリモノクロロトリフルオロエチレンフィルム等が挙げられる。
これらの基材は、適宜必要に応じて使用される。
また、第一の基材の片面または両面に遮蔽層を設ける場合は、第一の基材として、後述する第二の基材と同様、光透過性を有するものも用いることもできる。
第一の基材は、擬似接着層をウエットラミネート法により形成する場合は、透気性を有することが好ましく、特に紙であることが好ましい。
第一の基材の厚さは、特に限定されず、第一の感熱記録層の保護、情報の機密性、接着加工適性、取り扱い性等を考慮して適宜設定すればよい。
たとえば、接着加工適性の観点から、30〜400μmが好ましい。
<第一の感熱記録層>
第一の感熱記録層としては、反応性染料および電子受容性物質は、各種公知のものを使用できる。
具体的な反応性染料と電子受容性物質との組み合わせとしては、ロイコ化合物(ロイコ染料)と電子受容性物質との組み合わせ、イミノ化合物とイソシアナート化合物との組み合わせ、長鎖脂肪酸鉄塩と多価フェノールとの組み合わせ等が挙げられる。
これらの中で、ロイコ化合物と電子受容性物質との組み合わせは、熱応答性が良いこと、発色濃度が高いこと、比較的安定であることから好ましい。また、イミノ化合物とイソシアナート化合物との組み合わせは、その発色が界面活性剤の影響を受けにくく、保存安定性に優れるため好ましい。
以下に、これらの反応性染料および電子受容性物質の具体例を示す。
反応性染料として用いられるロイコ化合物としては、例えば、トリフェニルメタン系,フルオラン系,フェノチアジン系,オーラミン系,スピロピラン系,インドリノフタリド系等の化合物が挙げられる。具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオ
ラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロロ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロロフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(N−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン等が挙げられる。これらのロイコ化合物は、単独で配合しても良く、2種以上を併用しても良い。
ロイコ化合物と接触してこれを発色させる電子受容性物質としては、特に限定されず、例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等が挙げられる。具体的には4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、などのフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのフェノール性化合物、または、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロロ安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、
3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸などの芳香族カルボン酸、およびこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの多価金属との塩などの有機酸性物質、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−ブトキシカルボイル)ウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア等のウレア化合物が挙げられる。
これらの電子受容性物質は、単独で配合しても良く、2種以上を併用しても良い。
イミノ化合物は、少なくとも1個のイミノ基(=NH)を有する化合物である。
反応性染料として用いられるイミノ化合物としては、たとえば下記一般式(I)で表わされる常温固形の無色または淡色の化合物が挙げられる。
Figure 2010099876
[式中、Xは、隣接するC=Nと共役系を形成しうる芳香族性化合物残基を表す。]
イミノ化合物として、具体的には、3−イミノイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−5,6−ジクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メトキシ−イソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト−イソインドリン−1−オン、3−イミノ−6−ニトロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−イソインドリン−1−スピロ−ジオキソラン、1,1−ジメトキシ−3−イミノ−イソインドリン、1,1−ジエトキシ−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−エトキ
シ−3−イミノ−イソインドリン、1,3−ジイミノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−メトキシイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−シアノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,7−ジチア−5,5,6,6−テトラヒドロイソインドリン、7−アミノ−2,3−ジメチル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン、7−アミノ−2,3−ジフェニル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン、1−イミノナフタル酸イミド、1−イミノジフェン酸イミド、1−フェニルイミノ−3−イミノイソインドリン、1−(3′−クロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジクロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,4’,5’−トリクロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−シアノ−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−クロロ−5’−シアノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,6’−ジクロロ−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジメトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジエトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−メチル−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’−クロロ−2’−フエェノキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(3’−N,N−ジメチルアミノ−4’−メトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−メトキシ−5’−N−フェニルカルバモイルフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−クロロ−5’−トリフルオロメチルフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’,6’−ジクロロベンゾチアゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(6’−メチルベンゾチアゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4’−フェニルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(p−フェニルアゾフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ナフチル−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(アンスラキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’−クロロアンスラキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(N−エチルカルバゾリル−3’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ナフトキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ピリジル−4’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾロン−6’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(1’−メチルベンズイミダゾロン−6’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(7’−クロロベンズイミダゾロン−5’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−(2’,4’−ジニトロフェニルヒドラゾン)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3’−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン、1−(イン
ダゾリル−3′−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイソインドリン、1−(4’,5’−ジシアノイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−(シアノベンゾイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボンアミドメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボメトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボエトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−N−フェニルカルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3’−メチルフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(4′−クロロフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(4’−メトキシフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3’−クロロ−4’−メチルフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−p−ニトロフェニルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(ジシアノメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−1’,2’,4’−トリアゾリル−(3’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノチアゾイル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンゾチアゾリル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−メチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−メチレン〕−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−5−メトキシイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−6−クロロイソインドリン、1−〔(1’−フェニル−3’−メチル−5−オキソ)−ピラゾリデン−4’〕−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−〔(1’−メチル−3’−n−ブチル)−バルビツル酸−5’〕−3−イミノイソインドリン、3−イミノ−1−スルホ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−クロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−5,6−ジクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラブロモ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラフルオロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−ニトロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−メトキシ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホナフトエ酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−5−ブロモナフトエ酸イミド、3−イミノ−2−メチル−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン等が挙げられる。
イミノ化合物と接触してこれを発色させるイソシアナート化合物としては、常温固体の無色または淡色の芳香族イソシアナート化合物または複素環イソシアナート化合物が挙げられる。
イソシアナート化合物として、具体的には、2,6−ジクロロフェニルイソシアナート、p−クロロフェニルイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアナート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−エトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジエトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジブトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、アゾベンゼン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナ
ート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、3,3’−ジメチル−ビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ベンゾフェノン−3,3’−ジイソシアナート、フルオレン−2,7−ジイソシアナート、アンスラキノン−2,6−ジイソシアナート、9−エチルカルバゾール−3,6−ジイソシアナート、ビレン−3,8−ジイソシアナート、ナフタレン−1,3,7−トリイソシアナート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアナート、4,4’,4’’−トリイソシアナト−2,5−ジメトキシトリフェニルアミン、4,4’,
4’’−トリイソシアナトトリフェニルアミン、p−ジメチルアミノフェニルイソシアナート、トリス(4−フェニルイソシアナート)チオフォスフェート等が挙げられる。
これらのイソシアナート化合物は、必要に応じて、フェノール類、ランタム類、オキシム類等との付加化合物である、いわゆるブロックイソシアナートの形で用いてもよく、ジイソシアナートの2量体、例えば1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアナートの2量体、および3量体であるイソシアヌレートの形で用いてもよく、また、各種のポリオール等でアダクト化したポリイソシアナートとして用いることも可能である。
第一の感熱記録層中、反応性染料の配合量は、発色性を考慮すると、第一の感熱記録層の全固形分に対して5〜50質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましい。
第一の感熱記録層中、電子受容性物質の配合量は、反応性染料の合計100質量部に対し、100〜700質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
第一の感熱記録層は、反応性染料および電子受容性物質に加えてさらに、バインダーを含有することが好ましい。
バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン−ブタジエン共重合
体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体などの水不溶性重合体のラテックスなどが挙げられる。
第一の感熱記録層中、バインダーの配合量は、第一の感熱記録層全固形分の5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
第一の感熱記録層は、さらに、発色感度を高めるために増感剤を含有することが好ましい。
増感剤としては、従来から感熱記録体の増感剤として知られている化合物を使用することができ、たとえば、比較的低融点(たとえば80〜150℃程度)の化合物で、反応性染料および電子受容性物質との相溶性を有する有機物が挙げられる。
増感剤としては、例えばステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミルド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタ
ン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が例示され、支障のない範囲で併用することもできる。
第一の感熱記録層中、増感剤の配合量は、使用される発色系によって異なるが、一般に、反応性染料の合計100質量部に対し、30〜500質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。
第一の感熱記録層は、さらに、感熱記録画像の保存性向上を主な目的として、画像安定化剤を含有してもよい。
画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、および4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,
3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた1種以上を含むものを用いることができる。もちろん、画像安定化剤はこれらに限定されるものではなく、又必要に応じて2種類以上の化合物を併用することもできる。
第一の感熱記録層中、画像安定化剤の配合量は、反応性染料の合計100質量部に対し、5〜60質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
第一の感熱記録層は、さらに、耐水性を向上させるために、上述したバインダーを三次元硬化させるための架橋剤を含有させることができる。
架橋剤としては、例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、並びに過硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、および塩化マグネシウム、四ホウ酸ソーダ、四ホウ酸カリウム等の無機化合物又はホウ酸、ホウ酸トリエステル、ホウ素系ポリマー等が挙げられる。
第一の感熱記録層中、架橋剤の配合量は、第一の感熱記録層の全固形分に対し、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
第一の感熱記録層は、さらに、顔料を剥離改善のために添加することが好ましい。
顔料としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
第一の感熱記録層中、顔料の配合量は、第二の基材が感熱記録層上に設けられることから、第二の基材が感熱記録媒体の保護層の役割を果たすことから、本来は不要な成分であるが、情報量が増加すなわち感熱記録層に記録される発色部分が多くなっても、第一シートが第二シートと融着し、重剥離となり、容易に二つのシートを分離し難くなったり、場合によってはシートが破損するといった現象を改良する目的で、顔料成分を添加することが好ましい。
前記顔料成分が、感熱記録層の全固形分に対して10〜40質量%であることが好ましく、12〜35質量%がより好ましく、13〜33質量%が特に好ましい。
第一の感熱記録層は、さらに必要に応じて、感熱記録体に一般的に用いられている各種添加剤を含有することができる。
かかる添加剤としては、たとえば、ワックス類、金属石鹸、有色染料、蛍光染料、撥油剤、消泡剤、粘度調節剤等が挙げられる。
ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス等が挙げられる。
金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、およびオレイン酸亜鉛等が挙げられる。
第一の感熱記録層は、たとえば、反応性染料、電子受容性物質、増感剤およびバインダー、ならびに任意の成分を水等の分散媒体に分散して塗工液を調製し、この塗工液を第1の基材の片面上に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
このとき、反応性染料と電子受容性物質とを別々に分散媒体に分散し、感熱記録層を形成する際にそれらの分散液を混合することが好ましい。増感剤は反応性染料と同時に分散されてもよい。
分散液の調製は、たとえばボールミル、アトライター、サンドミルなどの撹拌・粉砕機を用いて行うことができる。
塗工液の塗工方法としては、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等が挙げられる。
また、上記のようにして形成された第一の感熱記録層は、さらに、スーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法を用いて平滑化処理が施されてもよい。これにより、その発色感度を高めることができる。
平滑化処理においては、第一の感熱記録層表面を、カレンダーの金属ロールおよび弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。
第一の感熱記録層の塗工量は、発色性を考慮すると、2〜15g/mが好ましく、4〜8g/mがより好ましい。
また、第一の基材とその片面上に形成された第一の感熱記録層とを有する第一のシートにおいて、基材と感熱記録層との間に顔料を主成分とする中間層を設けることは好ましい実施形態のひとつである。
中間層は、通常、(1)吸油量が70ml/100g以上、特に80〜150ml/100g程度の吸油性顔料、(2)有機中空粒子、及び(3)熱膨張性粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びに接着剤を主成分とする中間層用塗液を第一の基材上に塗布乾燥して形成することができる。
前記吸油性顔料、有機中空粒子及び熱膨張性粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を用いることにより、中間層の空隙が増し、その上に感熱記録層等を設けた際に熱エネルギーの原紙方向への拡散を防ぎ、印字エネルギーの有効利用が可能となるため、高い発色濃度を得ることができるようになる。
ここで、上記吸油量はJIS K5101−1991の方法に従い求められる値である。
吸油性顔料としては、各種のものが使用できるが、具体例としては、焼成カオリン、シリカ、タルク等の無機顔料が挙げられる。
吸油性顔料の平均粒子径は0.01〜5μm程度、特に0.02〜3μm程度であることが好ましい。ここで平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名:SALD2000、島津製作所製)による50%値である。
吸油性顔料の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般に中間層中の顔料成分中、50〜95質量%程度、特に60〜90質量%程度であることが好ましい。
また、有機中空粒子としては、従来公知のもの、例えば、膜材がアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等からなる中空率が50〜99%程度の粒子が例示できる。ここで中空率は(d/D)×100で求められる値である。該式中、dは有機中空粒子の内径を示し、Dは有機中空粒子の外径を示す。
有機中空粒子の平均粒子径は0.5〜10μm程度、特に0.7〜2μm程度であるのが好ましい。なお、この平均粒子径は上記吸油性顔料の平均粒子径と同様の測定方法で測られるものである。
有機中空粒子の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般に中間層中の顔料成分中、20〜90質量%、特に25〜70質量%程度であるのが好ましい。
熱膨張性粒子としては、各種のものが使用できるが、具体例としては、低沸点炭化水素をインサイト重合法により、塩化ビニリデン、アクリロニトリルなどの共重合物でマイクロカプセル化した熱膨張性微粒子等があげられる。低沸点炭化水素としては、例えば、エタン、プロパン等が挙げられる。
熱膨張性粒子の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般に中間層の顔料成分中、1〜80質量%程度、特に10〜70質量%程度であることが好ましい。
吸油性無機顔料、有機中空粒子及び熱膨張性粒子から選ばれる2種以上を併用する場合、合計量が中間層全固形分に対して、40〜90質量%、特に50〜80質量%程度であるのが好ましい。
中間層中に使用される顔料としては、上記の吸油性無機顔料、有機中空粒子及び熱膨張性粒子の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で各種公知の塗工用顔料を使用することができ、例えば、カオリン、重質炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、合成マイカ等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上の顔料を併用することもできる。
中間層用塗液に使用される接着剤としては、例えば種々の分子量のポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸3元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、及びカゼインなどの水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びスチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体、シリル化ウレタン、アクリルーシリコン複合体、アクリル−シリコン−ウレタン複合体エマルジョンなどの疎水性重合体のラテックスなどが挙げられ、一種類または二種類以上を併用することも可能である。
中間層中の接着剤の含有量は、中間層の全固形分に対して3〜35質量%含有することが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。3質量%以上とすることにより、塗工層の強度を向上させることができる。一方、35質量%以下とすることにより、中間層の目的とする空隙を多くして、記録感度を向上させることができる。
助剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムなどの界面活性剤、グリオキザール、ホウ酸、ジアルデヒドデンプン、メチロール尿素、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物などの耐水化剤(架橋剤)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックスなどの滑剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤などが挙げられる。助剤の使用量は、広い範囲から適宜設定することができる。
中間層用塗液の調製方法については、特に制限されず、また塗液の濃度についても特に制限されないが、通常20〜50質量%、好ましくは35〜45質量%で塗工すればよい。20質量%以上とすることにより、塗液の粘度が高くでき、浸透ムラ、ひいては中間層のムラの発生を抑制でき、画質を向上させることができる。それと同時に、塗工速度を上げ、生産性を向上できる。また、50質量%以下とすることにより、塗料の粘度を適度なものとして、加工を容易にできる。
上記中間層を形成する方法としては、エアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、およびエクストルージョン法などの既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。
<切断部>
第一のシートは、当該第一のシートを2以上に分割する切断部を有していてもよい。これにより、第一のシートの一部のみを剥離し、切り取ることができる。また、第一のシートを剥離する際に当該切断部を始点として用いることができ、より容易に第一のシートを剥離できる。
切断部としては、当該切断部によって分割された部分同士を切り離すことができるようになっていればよく、ハーフカット加工のような、当該第一のシートを完全に切断するものであってもよく、ミシン目のような、当該第一のシートを部分的に切断するものであってもよい。
切断部の位置は、第一の感熱記録層に記録された情報を損なわない位置であれば特に制限はない。
特に、第一のシート上に貼付される第二のシートが、後述するように、隠蔽領域と非隠蔽領域とから構成されている場合は、切断部は、第二のシートの隠蔽領域と非隠蔽領域とを分割する位置に対応する位置に設けられていることが好ましい。この場合、たとえば第二のシートの隠蔽領域に対応する位置の第一のシートを剥離することによって、第一の感熱記録層の、隠蔽領域により外部から視認できないようにされていた情報を確認できるようになる。
<遮蔽層>
第一のシートは、さらに、第一の基材の片面または両面に、遮蔽層が形成されていてもよい。第一のシートにおける遮蔽層は、本発明においては必須ではないが、遮蔽層を設けることにより、第一の感熱記録層に記録される情報のセキュリティ性がさらに向上する。すなわち、遮蔽層が設けられていることにより、当該親展用感熱記録体を第一の基材側から見た場合に、第一の感熱記録層に記録された情報が透けて見える可能性を低減できる。
遮蔽層としては、後述する第二のシートにおいて挙げる遮蔽層と同様のものが挙げられる。
遮蔽層は、少なくとも、第一の感熱記録層に記録される情報のうち、他者に知られたくない情報(非開示情報)が記録される位置に対応する部分全体を覆うように設けられることが好ましい。たとえば遮蔽層の範囲と情報が記録された範囲とが完全に一致していてもよく、また、遮蔽層の範囲が、情報が記録された範囲よりも大きくても良い。
<情報記録層>
また、第一のシートは、第一の基材の、擬似接着層側とは反対側の表面上、すなわち親展用感熱記録体の外表面側に、遮蔽以外の目的の画像や文字が記録された情報記録層が形成されていてもよい。
当該情報記録層(以下、外側情報記録層という)に記録される情報としては、たとえばイラスト、パターン等の画像情報や、ハガキにおいて必ず記載されている固定情報(郵便番号記載欄等)や、ハガキとして用いる場合に必要とされる情報(宛先、発信人等)、種々のダイレクトメールに記載されているようなある程度の人数に対する共通した情報(たとえば店舗から顧客に対して提供される各種案内、カタログ等)等が挙げられる。
また、第一のシートは、第一の基材の、擬似接着層側の表面上に、上記と同様、遮蔽以外の目的の画像や文字が記録された情報記録層が形成されていてもよい。
当該情報記録層(以下、内側情報記録層という)に記録される情報としては、たとえばイラスト、パターン等の画像情報や、第一の感熱記録層に記録される情報を記録するための情報(文字、空欄等)、種々のダイレクトメールに記載されているようなある程度の人数に対する共通した情報(たとえば店舗から顧客に対して提供される各種案内、カタログ等)等が挙げられる。
これらの情報記録層の形成には、一般的に情報の記録に用いられている記録方式を用いることができ、たとえば(1)印刷方式、および(2)感圧記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、インクジェット記録方式、磁気記録方式等により、当該記録方式に対する記録適性を備えたシートに対して記録を行う方式等が挙げられる。
これらの記録方式は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
これらの中で、(1)の印刷方式は、第一の基材上に直接情報記録層を形成でき、所定のパターンを形成しやすく、コストも低い等の点から好ましい。
(1)の印刷方式としては、たとえばオフセット印刷方式、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、樹脂凸版印刷等の通常の方法を適用することができる。
また、(2)の方式のうち、印刷等に比べて、即時性が優れていることから、インクジェット記録方式または熱転写記録方式が好ましい。すなわち、印刷のように予め版を製造しなくてもよいため、記録する情報の変更を即時に行うことができる。
(2)の方式において、「記録適性を備えたシート」としては、用いる記録方式によって異なるものが用いられる。
たとえばインクジェット記録方式においては、一般に、インク吸収性を具備するように、シリカなどの多孔性顔料およびバインダーが内添されたシートや、それらの成分を含有する記録層が基材上に設けられたシートなどが用いられている。これらのシートには、さらに、印字の耐水性を高めるために染料固着剤なども適宜添加されている。ここで使用されるシリカなどの多孔性顔料としては、100ml/100g以上の吸油量を有するものが好ましく、かかる多孔性顔料としては無定形シリカなどが挙げられる。バインダーとしては、たとえばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。染料固着剤としては、たとえばポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレートなどのカチオン性吸着剤が挙げられる。
また、熱転写記録方式においては、インクの受理性を向上させるため、シリカ、合成ケイ酸アルミニウム等の多孔性顔料と上記と同様のバインダーとが内添されたシートや、それらの成分を含有する記録層が基材上に設けられたシートなどが用いられている。
≪擬似接着層≫
擬似接着層は、再剥離性を有すると同時に、再貼付ができない性質を有するものであれば特に限定されず、たとえば一般的に擬似接着に用いられている擬似接着剤、および任意に含有される接着力調節剤から構成される層であってよい。
本発明は、擬似接着層を構成する擬似接着剤中に、乳化重合、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、分散重合などによって調製することができるポリマー粒子を含有することを特徴とする。なお、ポリマー粒子の調製に用いるのに好ましいモノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド;例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の(C1〜C20)アルキル若しくは(C3〜C20)アルケニルエステルなどが挙げられ、なかでもスチレンがより好ましい。
前記ポリマー粒子の平均粒子径は、0.1〜5.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜4μmである。0.1μm未満であれば、表面積が大きくなり空間ができる為に、他の物質と配合した場合、粘度変化が起きやすい傾向にあり、一方、5.0μmを越えると、皮膜強度が下がり十分な剥離強度が出ない恐れがある。
擬似接着剤としては、特に制限はなく、一般に擬似接着に使用されているものが使用できる。具体例としては、たとえば、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系粘着剤;アクリル酸および/またはアクリル酸エステルを主なモノマー成分として含有するアクリル系粘着剤;酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の、酢酸ビニルを主なモノマー成分として含有する酢酸ビニル系粘着剤;ウレタン樹脂系ラテックス、スチレン・ブタジエン共重合体系ラテックスおよび澱粉、アルギン酸ナトリウム等の多糖系粘着剤やデキストリン系粘着剤等の水溶性接着剤などが挙げられる。
前記ポリマー粒子は、前記擬似接着層の全固形分に対して、10〜70質量%含有されるのが好ましく、15〜60質量%含有されるのがより好ましい。10質量%未満では、高温保存下での重剥離の恐れがあり、70質量%を超えると剥離強度が低下するといった問題を生じる恐れがある。
本発明においては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤、デキストリン系粘着剤からなる群から選択される少なくとも1種の粘着剤が、接着性を任意に幅広くコントロールできるため好ましい。接着性は、たとえば第一の基材や第二の基材の強度、第一のシートと第二のシートとの間の接着強度等を考慮して適宜設定される。
これらの中でも、特に、擬似接着層を後述するようにウエットラミネート法で形成する場合には、酢酸ビニル系粘着剤および/またはデキストリン系粘着剤が好ましい。
擬似接着層において、前記ポリマー粒子と擬似接着剤の含有量については、前記ポリマー粒子の全固形分に対して擬似接着剤が100質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。100質量%以下であれば、親展用感熱記録体を高温保管した場合でも、JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法に準拠(剥離速度300mm/min.)して得られた剥離強度が処理前と比較して大きく上昇する恐れが少なくなる。また、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上がより好ましい。2質量%以上であれば、擬似接着層において接着能を付与させることができる。
擬似接着層は、前記ポリマー粒子、前記擬似接着剤以外に、接着力調節剤を含有することが好ましい。接着力調節剤としては、上述したポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、無機顔料および有機顔料等が挙げられる。これらの接着力調節剤は、擬似接着層中に分散し、擬似接着層の凝集力を低減する効果を有している。擬似接着層の凝集力を低減することにより、第二のシートを剥離しやすくなる。
擬似接着層中、接着力調節剤の配合量は、第一のシートと第二のシートとの間の接着強さや擬似接着層の凝集力等を考慮して適宜決定される。特に、第一のシートと第二のシートとの間の接着強さが下記の範囲内となる量配合されることが好ましく、たとえば擬似接着層の全固形分の0〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。
擬似接着層の乾燥後の塗布量は、記録特性に優れることから、0.3〜8g/mが好ましく、0.7〜4g/mがより好ましい。
<接着強さ>
親展用感熱記録体において、親展用感熱記録体では、擬似接着層における第一のシートと第二のシートとの間の接着強さは、使用される構成にも依存するが、第一のシートが紙を支持体とした感熱記録体であり、第二のシートがグラシン紙である構成では、JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法に準拠して、50〜500mN/25mm(剥離速度300mm/min.)であることが好ましく、更に、80〜300mN/25mmであることがより好ましく、100〜250mN/25mmであることが特に好ましい。
第一のシートが紙を支持体とした感熱記録体であり、第二のシートがグラシン紙である構成では、T形剥離試験法による接着強さが50mN/25mm以上であると、第一のシートと第二のシートとが、輸送途中等において自然に剥離するのを抑制できる。また、T形剥離試験法による接着強さが500mN/25mm以下であると、剥離する際に、第一のシートおよび/または第二のシートの破損や、流れ方向に強いカールが付いて筒状になる等の問題が生じにくい。
また、前記親展用感熱記録体を40℃90%RH下で24時間処理した後、JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法に準拠(剥離速度300mm/min.)して得られた剥離強度が、500mN/25mm以下であることが好ましく、400mN/25mm以下がより好ましく、300mN/25mm以下が特に好ましい。下限値については、50mN/25mm以上がより好ましく、80mN/25mm以上が特に好ましい。
JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法による接着強さは以下の手順で測定できる。すなわち、40℃90%RH下で24時間処理する前後の試料を23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、300mm/min.の剥離速度で剥離試験を行う。接着強さは試験サンプル巾25mm当りのmNで示される。
T形剥離試験法による接着強さは、使用される擬似接着剤の種類、塗布量、塗布してから張り合わせるまでの時間、乾燥温度などによって適宜調節することができる。たとえば、同じ塗布量であれば、塗布してから張り合わせるまでの時間が長いほど、擬似接着層を形成する際に用いる塗工液が、第一の感熱記録層または第二のシートへ浸透し、擬似接着に寄与する擬似接着剤量が少なくなって接着強さが低くなる。
親展用感熱記録体を40℃90%RH下で24時間処理した後の試料についての測定結果と、巻き取り状態で作製された親展用感熱記録体を40℃〜50℃の条件下で24時間処理した試料についての測定結果とはほぼ同じ値である。
夏場の劣悪な倉庫保管となると、倉庫中の温度が40℃を越えることも想定される。疑似接着層を有する媒体は、環境温度の影響を受けて、剥離強度が重たくなる。種々検討した結果、この様な40℃若しくは50℃での巻取りの長期保管品での剥離強度は、促進試験法である40℃90%RH下の環境下に枚葉で24時間処理した品の剥離強度とほぼ同程度の数値となる結果が得られたため、高温長期保管での剥離強度の指標として本発明の促進試験法を採用している。
<形成方法>
擬似接着層は、擬似接着剤を含有する塗工液、溶媒を用いないもの、エネルギー線硬化型にしたもの等を用いて形成できる。本発明においては、これらの中でも、擬似接着剤を含有する塗工液(以下、擬似接着層形成用塗工液ということがある。)を用いる方法が好ましい。
擬似接着層形成用塗工液としては、酢酸ビニル系粘着剤等の擬似接着剤を水系エマルジョンとしたもの、水溶性の擬似接着剤(たとえばデキストリン系粘着剤)を水に溶解して水溶液としたもの、水の代わりに有機溶剤を分散媒または溶媒として用いたもの等が挙げられる。
擬似接着層形成用塗工液を用いる場合、擬似接着層の形成は、具体的には、たとえば擬似接着層形成用塗工液を、第一の感熱記録層上または第二のシート上に塗工し、乾燥することにより形成できる。
擬似接着層形成用塗工液の塗工は、上記第一の感熱記録層において挙げた塗工方法と同様の方法により行うことができる。
本発明においては、特に、擬似接着層が、擬似接着剤を含有する塗工液を第一のシートの第一の感熱記録層上または第二のシート上に塗工して塗工層を形成し、該塗工層が湿潤状態にあるうちに、該塗工層を介して第一のシートと第二のシートとを貼り合わせた後、前記塗工層を乾燥することにより形成されたもの、すなわちウエットラミネート法により形成されたものであることが好ましい。
かかるウェットラミネート法は、ドライラミネート法の場合に比べて、様々な利点を有する。
まず第一に、ウェットラミネート法は生産性が良好である。
たとえば、ドライラミネート法は、たとえば積層する2つのシートの両方に擬似接着剤を含有する塗工液を塗工し、乾燥させて擬似接着層を形成した後、その擬似接着層同士を対峙させ、重ね合わせ、強い圧力(通常)と熱とをかけて圧着することにより行われる。このときの圧力はかなり高く、たとえば1000mm幅で量産することを考えると、加圧の線圧として、39〜245N/cmといった高い圧力を加える必要があり、またその加圧も、シート全体に均一に加える必要がある。そのため、非常に大がかりな装置が必要となる。
また、ドライラミネート法において、たとえば線圧を低くすることにより、処理速度を向上させ、生産性を上げようとする場合、擬似接着剤として、粘着性の高いものを用いる必要がある。しかし、粘着性の高い擬似接着剤を用いると、圧着する前に、擬似接着層を形成したシートを巻き取り状態で保管した際にブロッキングが生じやすいという問題や、圧着後、擬似接着の接着強さが経時的に上昇する等の安定性に関わる問題がある。
これに対し、ウェットラミネート法では、貼り合わせに強い圧力を必要とせず、たとえば1N/cm以下程度でも充分に擬似接着できる。
また、ドライラミネート法では、圧力が高いため、加圧運転条件が所定の速度になるまでの時間のロスがあり、それに伴ってシートにシワが生じるシワロス等の問題も生じて歩留りが低下する。
これに対し、ウェットラミネート法は、ドライラミネート法のように高い圧力を必要とはしないため、上記問題が生じにくく、生産性が良好である。
また、ウェットラミネート法においては、ドライラミネート法の場合に比べて、擬似接着層の塗工量が少なくてよい。
擬似接着層の塗工量が少ないことで、たとえば第二のシートにハーフカット加工等により切断部を設ける際に、加工に用いる刃に擬似接着剤が付着しにくくなる。また、第二のシートとの貼り合わせや乾燥に要する時間が短い。さらに、第二のシートとして、厚さのごく薄いもの、たとえば約5μm程度のものを用いることができる。そのため、製造コストも低い。
また、ウェットラミネート法によれば、接着強さの安定性にも優れている。
すなわち、ドライラミネート法においては、(1)擬似接着層の組成(擬似接着剤の種類や配合量、任意成分等)、(2)擬似接着剤の塗布量、(3)加圧条件(圧力、処理速度等)の3つが擬似接着の強度を支配する主な因子である。これに対し、ウェットラミネート法においては、(3)の因子を考慮しなくてもよく、そのため、接着強さが、ばらつきが少なく、より安定的なものとなる。
ウェットラミネート法においては、上述したように、ドライラミネート法の場合に比べて、擬似接着層の塗工量が少なくてよい。そのため、擬似接着層の熱伝達性が高く、高い印字濃度で鮮明に記録できる。
また、ドライラミネート法においては、擬似粘着層を形成した後、2つの擬似粘着層を圧着するため、擬似粘着層自体に粘着性を持たせ、その親和性により2つの擬似粘着層を擬似接着させている。粘着性を持たせるため、ドライラミネート法において用いられる擬似粘着層には、通常、低Tg(ガラス転移温度)成分(天然ゴム、SBR(スチレンブタジエンゴム)等)を配合する必要がある。そのため、かかる擬似粘着層を有する親展用感熱記録体に感熱記録方式で記録しようとした場合、感熱ヘッドからの熱により、2つの擬似接着層同士が溶融して1つの層となって完全に接着してしまう。そのため、接着強度が高くなりすぎ、この部分で剥離することが困難となり、無理に剥離するとシートの損傷(破け)を引き起こしてしまう。
これに対し、ウェットラミネート法においては、擬似接着層自身の凝集破壊によって2枚のシートは剥離されるため、擬似接着層中に、粘着性を付与するための低Tg成分を配合する必要がなく、そのため、擬似接着層の耐熱性が高く、上記のような問題が生じにくい。そのため、感熱記録に適している。
ウエットラミネート法で擬似接着層を形成する場合は、第一の基材および第二の基材の少なくとも一方、好ましくは両方が、紙等の透気性の基材であることが好ましい。
ウェットラミネート法により擬似接着層を形成する場合、当該工程は、一般的な塗工装置、印刷装置等を用いて行うことができる。
図1は、本発明において擬似接着層の形成に好適に用いられる塗工装置の一例を示す概略構成図である。この塗工装置20は、基本的に、第一のシート13または第二のシート15を供給する繰出部21,22と、塗工液を塗工する塗工部(ロールコーター)23と、2つのロール(ラバーロールおよびスチールロール)から構成される貼合部24と、乾燥部25と、巻取部26とを備えている。
この装置20においては、たとえば、繰出部21から第一のシート13を供給し、塗工部23で、第一のシート13の第一の感熱記録層側の表面上に、擬似接着層形成用塗工液を塗工して塗工層を形成した後、該塗工層が湿潤状態にあるうちに、貼合部24で、塗工層上に第二のシート15を貼付する。次いで、得られた積層体を乾燥部25で熱風等により加熱し、塗工層を乾燥することにより擬似接着層を形成し、親展用感熱記録体10を得る。
ここで、第一のシート13と第二のシート15とは逆でも良い。すなわち、繰出部22から第一のシート13を供給し、繰出部21から第二のシート15を供給することにより多層シート10を製造しても良い。
≪第二のシート≫
第二のシートとしては、第二の基材を備え、かつ第一の感熱記録層に記録される情報を隠蔽する隠蔽領域を有するものが用いられる。
第二のシートが隠蔽領域を有することにより、親展用感熱記録体の第二のシート側の外側から感熱記録方式により第一の感熱記録層に情報を記録した際に、当該第一の感熱記録層の、当該隠蔽領域の下に記録される情報が、外部から視認できないようにすることができる。そのため、記録を行った後、他者に当該隠蔽領域の下に記録された情報が漏れず、情報の機密性に優れる。
また、第二の基材は、第一の感熱記録層の保護層としても機能する。そのため、たとえば感熱記録層が親展用感熱記録体の外表面に設けられている場合に比べて、スクラッチが生じにくく、記録された情報の保存性が高い。
<隠蔽領域>
本発明においては、第二のシートの全体を隠蔽領域としてもよく、一部を隠蔽領域としてもよい。全体を隠蔽領域とした場合は、第一の感熱記録層に記録された情報が全て外部から視認できないようになる。一方、第二のシートの一部を隠蔽領域とし、残りの部分を、後述するように非隠蔽領域とした場合は、隠蔽領域の下の部分の情報は外部から確認できず、一方、非隠蔽領域の下の部分の情報は外部から確認可能となる。
隠蔽領域は、第二の基材として光を透過しないものを用いる方法、第二の基材の片面または両面上に、別途、下記のような遮蔽層を形成する方法等により設けることができる。
隠蔽領域は、少なくとも、第一の感熱記録層に記録される情報のうち、他者に知られたくない情報(非開示情報)が記録される位置に対応する部分全体を覆うように設けられることが好ましい。たとえば隠蔽領域の範囲と情報が記録された範囲とが、完全に一致していてもよく、また、隠蔽領域の範囲が、情報が記録された範囲よりも大きくても良い。
[遮蔽層]
遮蔽層は、第二の基材の片面に設けられてもよく、両面に設けられてもよい、
遮蔽層は、全面が光を透過しない層であってもよく、また、複数の所定の形状のパターンから構成される層のように、部分的に光を透過しない層であってもよい。
所定の形状のパターンとしては、たとえば帯状、網目状、千鳥状、スポット状、文字、地紋等が挙げられる。
遮蔽層は、第一の感熱記録層への熱の伝達を阻害しにくく、高い記録濃度で感熱記録でき、所定のパターンを形成しやすく、コストも低い等の点で、印刷により形成されたものであることが好ましい。
印刷方法は、特に限定はなく、たとえばオフセット印刷方式、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、樹脂凸版印刷方式等の通常の方法を適用することができる。
遮蔽層を印刷により形成する場合、第一の感熱記録層への影響が少ないことから、遮蔽層は、紫外線(UV)硬化型インクを用いて形成されたものであることが好ましい。
UV硬化型インクとしては、たとえば、高分子学会刊行会発行「UV硬化技術入門」第1版(1984年)第129−145頁等に記載されるような、公知のUV硬化型インクが利用できる。
遮蔽層は、インクジェット記録装置または熱転写記録装置により形成されたものであることも好ましい。この場合、印刷等に比べて、即時性が優れている。すなわち、印刷のように予め版を製造しなくてもよいため、図柄の変更を即時に行うことができ、たとえばインクジェット記録装置または熱転写記録装置と感熱記録装置とを直列に配し、感熱記録装置で秘密情報を記録した後、または記録する前に、インクジェット記録装置または熱転写記録装置で遮蔽層を形成できる。また、このとき、インクジェット記録装置または熱転写記録装置で、遮蔽層以外にも任意の文字や画像を記録できる。
なお、第一のシートに貼付した後に熱転写記録装置を用いて遮蔽層を形成する場合には、熱転写記録装置のヘッドの温度を、第一の感熱記録層が発色しない温度とすることが好ましい。
遮蔽層は、光透過性を有さない基材を第二の基材上に貼付することにより形成されたものであってもよい。
光を透過しない基材としては、たとえば第一の基材の光を透過しない基材としてあげたものと同様のもの、金属箔、金属蒸着フィルム等が例示できる。
<非隠蔽領域>
本発明において、第二のシートは、隠蔽領域以外に、非隠蔽領域を有することが好ましい。これにより、他者に知られたくない情報(非開示情報)と、他者に知られてもよいか又は他者に知らせるべき情報(宛先、共通の情報等の開示情報)とを同時に記録することができる。すなわち、第一の感熱記録層に情報を記録すると、隠蔽領域の下に記録された非開示情報は隠蔽領域により隠蔽されるが、非隠蔽領域の下に記録された開示情報は、隠蔽されずにそのまま表示される。
非隠蔽領域を形成する方法としては、第二のシートとして、当該非隠蔽領域が光透過性を有するものを用いる方法、当該非隠蔽領域に感熱記録層(以下、第二の感熱記録層という)を有するものを用いる方法等が挙げられる。
非隠蔽領域が光透過性を有するものを用いる場合、親展用感熱記録体の第一の感熱記録層に、開示情報および非開示情報を記録すると、第二のシートに開示情報を記録しなくても、また、第二のシートを剥離しなくても、非隠蔽領域を通じて、開示情報を外部から確認できる。そのため、たとえば非隠蔽領域には宛先等を記録し、隠蔽領域には受取人にのみ知らせたい情報を記録することが、一度の感熱記録でできる。
光透過性を有する非隠蔽領域は、第二の基材として光透過性を有するものを用い、非隠蔽領域に相当する部分に、その光透過性を阻害する層(たとえば上述した遮蔽層)を設けないことにより形成できる。
非隠蔽領域に第二の感熱記録層を有するものを用いる場合、第一の感熱記録層に情報を記録する際に、同時に、第二の感熱記録層にも開示情報が記録されるため、当該開示情報を外部から確認できる。
そのため、第二の感熱記録層を設けた場合は、第二の基材として、光透過性を有するものだけでなく、光を透過しないものも用いることができる。
また、かかる構成においては、第二の感熱記録層に、よりコントラストの高い明瞭な印字を行うことができるため、開示情報がより視認し易くなるという利点も有する。
第二の感熱記録層は、第二の基材の、擬似接着層側とは反対側の表面(外側表面)上に設けられることが好ましい。このとき、第二の基材の表面全体に第二の感熱記録層が形成されている場合は、第二のシートは、隠蔽領域を形成するために、第二の感熱記録層の外側に、少なくとも一層の隠蔽層を有する必要がある。
第二の感熱記録層を構成する成分としては、第一の感熱記録層を構成する成分と同様のものが挙げられる。
第二の感熱記録層は、第一の感熱記録層と同様、第二の感熱記録層を構成する各種成分を含有する塗工液を第二の基材上に塗工することにより形成できる。
第二の感熱記録層の形成は、第二の基材を、第一の感熱記録層上に、擬似接着層を介して貼付した後に行われることが好ましい。これにより、第二の基材に皺などが生じにくく、外観に優れた親展用感熱記録体が得られる。すなわち、第二の基材の厚さが薄くなるほど、第一の感熱記録層の記録濃度が向上するが、加工性が低下する。たとえば紙基材を用いる場合、擬似接着層を形成する際に水を吸収して、伸び、皺、断紙等が生じる問題があり、フィルム基材を用いる場合にも、フイルムの腰が弱く、皺等の変形が生じたり、扱いにくくなる。これに対し、擬似接着層を介して貼付した後に第二の基材上に第二の感熱記録層を形成することにより、これらの問題を改善できる。
<第二の基材>
第二の基材の材質は、特に限定されず、紙、各種合成樹脂等が使用できる。
第二の基材としては、上述したように、光を透過しないものであってもよく、光透過性を有するものであってもよい。
第二の基材が光を透過しないものである場合、その材料としては、前記第一の基材において挙げたものと同様のものが挙げられる。
第二の基材としては、光透過性を有するものが好ましい。光透過性を有する基材を用いることにより、上述したように、第一の感熱記録層に記録されている情報のうち、第二のシートの非隠蔽領域に対応する位置に記録された情報を、第二のシートを剥離することなく、外部から視認できる。
ここで、「光透過性を有する」とは、当該第二の基材が擬似接着層を介して貼付された第一の感熱記録層に記録された情報を外部から視認できることを意味し、完全に透明であってもよく、また、半透明であってもよい。
第二の基材の光透過性としては、JIS P−8138に準拠して測定される不透明度が80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。上限値以下であると、第一の感熱記録層に記録される情報を外部から充分に視認できる。
光透過性を有する基材の材料としては、たとえば透明材料が挙げられる。
透明材料からなる基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリブチレンテレフタレートフィルム,ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルム,ポリカーボネートフィルム,ポリウレタンフィルム,ポリイミドフィルム,ポリ塩化ビニルフィルム,セロファン,三酢酸セルロースフィルム,二酢酸セルロースフィルム,テトラフルオロエチレンフィルム,ポリ弗化ビニリデンフィルム,ポリモノクロロトリフルオロエチレンフィルム等の合成樹脂を主成分とする基材(フィルム基材)が挙げられる。
また、透明材料以外の光透過性を有する基材の材料としては、厚さを薄くすることによって、外部から第一の感熱記録層に記録された情報を視認できる光透過性を確保できる半透明材料も用いることができる。
半透明材料からなる基材としては、パルプを主成分とする紙基材、上述したようなフィルム基材に白色無機顔料等の着色剤を含有させたもの等が挙げられる。
パルプを主成分とする紙基材としては、上質紙、再生紙、グラシン紙等の紙が一般的である。
また、第二の基材は、擬似接着層を上述したようにウエットラミネート法で形成する場合は、透気性を有するものであることが好ましく、特に紙基材が好ましい。
第二の基材の厚さは、特に限定されないが、第二の基材の厚さが薄いほど、第一の感熱記録層に伝達される熱量が大きく、第一の感熱記録層に記録される情報の記録濃度が高くなり、鮮明な記録画像が得られる。また、厚さが厚いほど、第二の基材の加工性が向上し、また、第二のシートが剥離しやすくなり、第二のシートを剥離する際に破損しにくくなる。
そのため、第二の基材は、坪量が3〜60g/mであることが好ましく、5〜50g/mであることがより好ましく、特に、20〜50g/mであることが好ましい。
また、第二の基材においては、その密度が高いほど熱伝導性が高く、第一の感熱記録層に伝達される熱量が大きくなり、それに伴って第一の感熱記録層に記録される情報の記録濃度が高くなり、鮮明な記録が得られる。特にパルプを主成分とする紙基材の場合、密度が高いほど透明性も高くなる。
そのため、第二の基材は、密度が0.80g/cm以上であることが好ましく、0.85〜1.6g/cmの範囲内であることがより好ましい。特に、第二の基材が紙基材である場合は、密度が0.85〜1.3g/cmのものが好ましく、フイルム基材の場合は密度0.9〜1.6g/cmのものが好ましい。
第二の基材としては、特に、本発明の効果に優れる点、剥離しやすい点、透気性を有し、ウエットラミネート法にも適している点、コストの点等に優れることから、パルプを主成分とする紙基材が好ましく、中でもグラシン紙は、密度が高く(約20〜50g/m)、熱伝導性が高く、透明性も高いことから、本発明において好適に用いられる。
<切断部>
第二のシートは、当該第二のシートを2以上に分割する切断部を有することが好ましい。これにより、第二のシートの一部のみを剥離し、切り取ることができる。また、第二のシートを剥離する際に当該切断部を始点として用いることができ、より容易に第二のシートを剥離できる。
切断部としては、ハーフカット加工のような、当該第二のシートを完全に分割するものであってもよく、ミシン目のような、当該第二のシートを部分的に分割するものであってもよい。
特に、第二のシートが、上述のように、隠蔽領域と非隠蔽領域とから構成されている場合は、切断部を有することが好ましい。この場合、切断部は、隠蔽領域と非隠蔽領域との間に設けられていることが好ましい。これによって、第一のシート上に非隠蔽領域を残したまま、隠蔽領域を剥離でき、第一の感熱記録層に記録された情報を確認できるようになる。
<情報記録層>
また、第二の基材の片面上、または両面上には、上記第一のシートの場合と同様に、遮蔽以外の目的の任意の文字や画像が記録された情報記録層が形成されていてもよい。
<その他>
本発明の親展用感熱記録体において、第二のシートは、前記擬似接着層を介して、前記第一のシートの第一の感熱記録層上の一部または全部に貼付されている。
第一のシートと第二のシートとは、その大きさや形状が完全に一致していてもよく、一致していなくてもよい。
第一のシートおよび第二のシートの大きさや形状が一致していない例としては、たとえば、第一のシートおよび第二のシートのいずれか一方の外縁の一部または全部が、当該親展用感熱記録体の外縁よりも内側にある場合が挙げられる。かかる構成においては、当該内側にある外縁(以下、切り欠き部という。)を有するシートの外縁と、他方のシートとの外縁がずれているため、当該切り欠き部を始点として、当該シートを他方のシートから容易に剥離することができる。
より具体的には、どちらか一方のシートの大きさが他方のシートよりも小さい場合、形状が異なる場合、外縁がほぼ一致しているものの、その一部(たとえば4角のいずれかの角、4辺のいずれかの辺等)が欠けた形状である等が挙げられる。
かかる切り欠き部は、特に、剥離しやすさ、製造しやすさ等を考慮すると、第二のシートに設けられていることが好ましい。
また、本発明の親展用感熱記録体は、第一の基材の裏面からの油や可塑剤の浸透の抑制のため、またはカールコントロールのために、第一の基材の裏面上にバック層を設けることもできる。
本発明の親展用感熱記録体は、さらに加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、第一の基材の裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤などによる塗布加工を施すことにより、粘着ハガキ、再湿接着ハガキ、ディレードタックハガキとして使用することができる。また、裏面に磁気加工を施すことにより、裏面に磁気記録可能な層(磁気記録層)を有する親展用感熱記録体とすることができる。また、表面の一部に、たとえばストライプ状に磁気記録層を設けてもよい。
本発明の親展用感熱記録体は、情報の機密性に優れるものである。
また、本発明の親展用感熱記録体は、多様な情報を簡単に記録でき、少量での利用や個人での利用も可能であるという利点も有する。
すなわち、特許文献1〜3に記載されるような親展ハガキは、記録が感圧記録方式により行われるため、情報の機密性以外にも、印字する際に印字音がする、微細な印字が難しく、記録できる情報量が少ない、ものがぶつかったりひっかいたりした際に自己発色性感圧層が汚れる、記録装置の小型化が難しい等の問題もある。
これに対し、感熱記録方式は、インクジェット、電子写真などの他の記録方式に比べて優れた特徴、たとえば現像が不要である、支持体が紙の場合は紙質が一般紙に近い、取り扱いが容易である、発色濃度が高い、記録装置が簡単であり、小型化可能で安価である、記録時の騒音がない、複数枚同時に同じ記録ができる等の特徴を有しており、簡単に、多様な記録を行うことができる。また、感熱記録方式で記録ができる感熱プリンターが多数市販されており、これら市販の感熱プリンターを利用して、たとえば個人であっても、1枚からであっても、容易に親展ハガキを作成することができる。
そのため、印刷会社等の他者に印刷を依頼する必要がなく、この点からも、本発明の親展用感熱記録体は情報の機密性に優れたものである。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
実施例1
・中間層用塗液の調製
焼成クレー(商品名:アンシレックス、吸油量110ml/100g、EC社製)40部、平均粒子径が1.0μmの有機中空粒子(内径/外径:0.7、膜材:ポリスチレン)の40%分散液100部、ポリアクリル酸ナトリウムの40%水溶液1部、固形濃度48%のスチレン・ブタジエン系ラテックス14部、ポリビニルアルコール(ケン化度88%、重合度1000)の10%水溶液50部および水40部からなる組成物を混合攪拌し中間層用塗液を得た。
・感熱記録層中の発色成分の調製
(1)A液調製(ロイコ染料の分散)
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水20部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
(2)B液調製(顕色剤の分散)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水20部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
(3)C液調製(増感剤の分散)
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水120部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
・感熱記録層用塗液の調製
軽質炭酸カルシウム(商品名:カルライトKT、白石工業社製:吸油量65ml/100g)30部、A液33.75部、B液67.5部、C液45部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−8−36、固形分36質量%、中京油脂社製)13.9部、ポリビニルアルコール/アクリルアミド・アクリル系モノマー共重合物(商品名:ポリマロン2000、固形分20%、荒川化学社製)100部、水100部を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
・第一のシートの作製
坪量45g/mの上質紙(中性紙)の一方の面に、上記の中層層用塗液、感熱記録層用塗液を、乾燥後の塗布量が、それぞれ6g/m、5g/mとなるように塗布乾燥して第一の感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施して第一のシートを得た。
・親展用感熱記録体の作製
第二の基材であるグラシン紙(坪量25g/m、密度0.92g/m、JIS P−8138に準拠して測定される不透明度24%)上に、ロールコーターで、擬似接着糊(商品名:MI−06、成分:平均粒子径0.50μmのポリスチレン粒子40質量%、ワックス類40質量%、ステアリン酸亜鉛16質量%、擬似接着剤4質量%、有効成分40%、クォー・ユー化成有限会社製)を、乾燥後の塗布量が1.5g/mとなるように塗工した後、該塗工層と第一のシートの感熱記録層面とを圧着貼付し、乾燥することにより、第一のシート/擬似接着層/第二のシート(1)の親展用感熱記録体を得た。
実施例2
実施例1の擬似接着剤の代わりに、擬似接着糊(成分:平均粒子径0.50μmのポリスチレン粒子5質量%、酢酸ビニル系接着剤20質量%、ワックス類50質量%、ステアリン酸亜鉛25質量%、有効成分40%)を用いた以外は、実施例1と同様にして親展用感熱記録体を作製した。
実施例3
実施例1の擬似接着剤の代わりに、擬似接着糊(成分:平均粒子径0.50μmのポリスチレン粒子80質量%、酢酸ビニル系接着剤5質量%、ワックス類5質量%、ステアリン酸亜鉛10質量%、有効成分40%)を用いた以外は、実施例1と同様にして親展用感熱記録体を作製した。
比較例1
実施例1の擬似接着剤の代わりに、擬似接着糊(商品名:MI−05、成分:酢酸ビニル系接着剤40質量%、ワックス類40質量%、ステアリン酸亜鉛20質量%、有効成分40%、クォー・ユー化成有限会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして親展用感熱記録体を作製した。
かくして得られた4種類の親展用感熱記録体について以下の評価を行い、その結果を表1に示した。
(剥離強度)
JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法に準拠して、剥離速度300mm/min.で下記の親展用感熱記録体について測定をおこなった。
・未処理の親展用感熱記録体
・40℃90%RH下で24時間処理した親展用感熱記録体
Figure 2010099876
擬似接着層の形成に使用できる塗布装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
10・・親展用感熱記録体、13・・第一のシート、15・・第二のシート、20・・塗布装置、21・・繰出部、22・・繰出部、23・・塗工部、24・・貼合部、25・・乾燥部、26・・巻取部

Claims (6)

  1. 第一の基材とその片面上に形成された第一の感熱記録層とを有する第一のシートと、擬似接着層と、第二の基材を有する第二のシートとを備え、前記第二のシートが、第一の感熱記録層に記録される情報を隠蔽する隠蔽領域を有し、当該第二のシートが、前記擬似接着層を介して、前記第一の感熱記録層上の一部または全部に貼付されていることを特徴とする親展用感熱記録体において、擬似接着層中にポリマー粒子を含有することを特徴とする親展用感熱記録体。
  2. 前記ポリマー粒子がポリスチレン粒子である、請求項1に記載の親展用感熱記録体。
  3. 前記ポリマー粒子が、前記擬似接着層の全固形分に対して、10〜70質量%含有される、請求項1または2に記載の親展用感熱記録体。
  4. 前記ポリマー粒子の平均粒子径が、0.1〜5.0μmである、請求項1から3のいずれか一項に記載の親展用感熱記録体。
  5. 前記擬似接着層において、前記ポリマー粒子の全固形分に対して接着剤が100質量%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の親展用感熱記録体。
  6. 前記親展用感熱記録体を40℃90%RH下で24時間処理した後、JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法に準拠(剥離速度300mm/min.)して得られた剥離強度が、500mN/25mm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の親展用感熱記録体。
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