JP2010096242A - 歯車設計支援方法、歯車設計支援装置、歯車設計支援プログラムおよび記憶媒体 - Google Patents
歯車設計支援方法、歯車設計支援装置、歯車設計支援プログラムおよび記憶媒体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】歯車形状誤差、偏心誤差の組付け誤差、歯車支持構造体の軸受けの変位による軸間変動の影響を解析によって予測し、解析は動的挙動を考慮し歯車機構系に問題がないか確認し、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなう歯車設計支援方法を提供。
【解決手段】駆動軸及び被駆動軸の軸間変動情報入力工程、歯形誤差、歯すじ誤差、累積ピッチ誤差の形状誤差の情報を入力する歯車形状誤差入力工程、歯車の基礎円中心と回転中心との偏心誤差の情報を与える組み付け誤差入力工程、歯車同士の基礎円に接する初期時での作用線を求め、作用線上における歯車歯面の形状誤差の値を算出、偏心による組み付け誤差の値を算出、駆動軸と被駆動軸の相対的な並進変位又は回転変位によって変化する前記作用線上の歯面位置の変化量を算出、算出された各情報を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する運動方程式導出工程、等からなる。
【選択図】図4
【解決手段】駆動軸及び被駆動軸の軸間変動情報入力工程、歯形誤差、歯すじ誤差、累積ピッチ誤差の形状誤差の情報を入力する歯車形状誤差入力工程、歯車の基礎円中心と回転中心との偏心誤差の情報を与える組み付け誤差入力工程、歯車同士の基礎円に接する初期時での作用線を求め、作用線上における歯車歯面の形状誤差の値を算出、偏心による組み付け誤差の値を算出、駆動軸と被駆動軸の相対的な並進変位又は回転変位によって変化する前記作用線上の歯面位置の変化量を算出、算出された各情報を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する運動方程式導出工程、等からなる。
【選択図】図4
Description
本発明は、歯車設計支援装置、歯車設計支援方法及び記録媒体に関し、詳細には、歯車の持つ基本諸元と駆動条件と誤差条件(歯車形状誤差と偏心組付け誤差)を与えることで、実稼動に近い状態での歯車機構系の伝達特性を推定して、事前に歯車機構系に関する問題がないか確認できる歯車設計支援装置、歯車設計支援方法、歯車設計支援プログラム及び記録媒体に関する。
一般に、複写機、プリンタ等の精密機械製品の歯車機構系における歯車の設計にあたっては、コンピュータを適用した歯車設計支援装置が用いられている。
従来では、かかる歯車設計支援装置おいては、歯車機構系を歯車部と、これを支持するケース部とに分割し、歯車を駆動させたときの、軸受け過重を求め、この過重をケース軸受け部に与えて、ケースの静的な変形解析を行うものが提案されている(特許文献1)。
この技術によっては、歯車部とケースとを分離して解析することで、別個に検討を行うことができる。
また、ギヤの取付偏心によって変化する作用線(面)を逐次算出し、この線上(面上)での力の釣り合い方程式を解くことで、噛合い周期の回転ムラと偏心による回転ムラを同時に算出するものが提案されている(特許文献2)。
特に、特許文献2においては、歯車設計支援装置は駆動軸と被駆動軸間に設置された歯車伝達機構系をモデル化して駆動軸の動作に対する被駆動軸の動的挙動を解析・算出する際、歯車の基本諸元である諸元情報と駆動条件情報及び歯車の歯形誤差、歯筋誤差等の形状誤差と歯車の基礎円中心と回転軸中心との偏心誤差の情報を与えて歯車の基礎円中心と回転軸中心の偏心により変化する作用線を求め、作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成して時系列的に運動方程式を解き駆動軸と被駆動軸の動作結果を出力するようになっている。
特開2004−258697公報
特許第4038052号
従来では、かかる歯車設計支援装置おいては、歯車機構系を歯車部と、これを支持するケース部とに分割し、歯車を駆動させたときの、軸受け過重を求め、この過重をケース軸受け部に与えて、ケースの静的な変形解析を行うものが提案されている(特許文献1)。
この技術によっては、歯車部とケースとを分離して解析することで、別個に検討を行うことができる。
また、ギヤの取付偏心によって変化する作用線(面)を逐次算出し、この線上(面上)での力の釣り合い方程式を解くことで、噛合い周期の回転ムラと偏心による回転ムラを同時に算出するものが提案されている(特許文献2)。
特に、特許文献2においては、歯車設計支援装置は駆動軸と被駆動軸間に設置された歯車伝達機構系をモデル化して駆動軸の動作に対する被駆動軸の動的挙動を解析・算出する際、歯車の基本諸元である諸元情報と駆動条件情報及び歯車の歯形誤差、歯筋誤差等の形状誤差と歯車の基礎円中心と回転軸中心との偏心誤差の情報を与えて歯車の基礎円中心と回転軸中心の偏心により変化する作用線を求め、作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成して時系列的に運動方程式を解き駆動軸と被駆動軸の動作結果を出力するようになっている。
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、FEM(有限要素法)を用いた静的な強度解析であり、慣性項や回転速度の影響(動的挙動)を解析することができない。
また、画像の濃度ムラであるバンディングは、歯車の噛み合い周期の振動で発生する例が多く、特許文献1に記載された技術では、動的挙動を解析により予測することができない。
また、特許文献2は、偏心回転を考慮した回転系の解析モデルであり、ギヤ噛み合いに伴うギヤ軸間の変化(並進振動、チルト振動)の影響は解析できない。
例えば、駆動軸と従動軸が同じように変化(同位相で同振幅の振動)するのであれば、軸間距離も軸の平行度も変化しないので歯面の当たり方は変わらないのでこの技術でも問題ないが、外部からの加振や歯面の噛み合い力で軸間距離が変化する場合や軸の平行度が変化する(チルト:傾く)ような場合、それによって歯面の当たり方が変化し、回転ムラを引き起こす。製品の小型、軽量化が進んでくると軸受けも安価な樹脂のスベリ軸受けを用いたり、軸受け支持構造体も板厚の薄い板金などが用いられてくる。そのような場合、従来では問題とならなかった軸間の変動が回転ムラに影響を及ぼし、それを設計段階で予測できる設計支援ツールが強く望まれている。
以上の状況を鑑み、本発明は、歯車の回転伝達特性に影響を与えるパラメータの歯車形状誤差(歯形誤差、歯筋誤差、累積ピッチ誤差)と偏心誤差により生じる組付け誤差、歯車を回転支持する歯車支持構造体の軸受けによる軸間変動の影響を事前にかつ短時間の解析によって予測し、その際、解析は動的挙動(慣性項や回転速度の影響:共振現象など)を考慮して行い、これによって歯車機構系に関して問題がないか確認し、歯車駆動系を試作し評価するといった作業を無くして、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなうことのできる歯車設計支援方法及び装置を提供することを目的としている。
また、画像の濃度ムラであるバンディングは、歯車の噛み合い周期の振動で発生する例が多く、特許文献1に記載された技術では、動的挙動を解析により予測することができない。
また、特許文献2は、偏心回転を考慮した回転系の解析モデルであり、ギヤ噛み合いに伴うギヤ軸間の変化(並進振動、チルト振動)の影響は解析できない。
例えば、駆動軸と従動軸が同じように変化(同位相で同振幅の振動)するのであれば、軸間距離も軸の平行度も変化しないので歯面の当たり方は変わらないのでこの技術でも問題ないが、外部からの加振や歯面の噛み合い力で軸間距離が変化する場合や軸の平行度が変化する(チルト:傾く)ような場合、それによって歯面の当たり方が変化し、回転ムラを引き起こす。製品の小型、軽量化が進んでくると軸受けも安価な樹脂のスベリ軸受けを用いたり、軸受け支持構造体も板厚の薄い板金などが用いられてくる。そのような場合、従来では問題とならなかった軸間の変動が回転ムラに影響を及ぼし、それを設計段階で予測できる設計支援ツールが強く望まれている。
以上の状況を鑑み、本発明は、歯車の回転伝達特性に影響を与えるパラメータの歯車形状誤差(歯形誤差、歯筋誤差、累積ピッチ誤差)と偏心誤差により生じる組付け誤差、歯車を回転支持する歯車支持構造体の軸受けによる軸間変動の影響を事前にかつ短時間の解析によって予測し、その際、解析は動的挙動(慣性項や回転速度の影響:共振現象など)を考慮して行い、これによって歯車機構系に関して問題がないか確認し、歯車駆動系を試作し評価するといった作業を無くして、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなうことのできる歯車設計支援方法及び装置を提供することを目的としている。
上記目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、駆動軸と被駆動軸との間に設置された歯車伝達機構系をモデル化して、前記駆動軸の動作に対する前記被駆動軸の動的挙動を解析・算出する歯車設計支援方法において、基本入力部によって、対象となる歯車の基本諸元である諸元情報及び目標速度や負荷トルクの駆動条件情報を入力する基本入力工程と、各歯車を回転支持する軸受け又は歯車支持構造体に係る前記駆動軸及び前記被駆動軸の間の軸間変動情報を入力する軸間変動情報入力工程と、歯車形状誤差入力部によって、前記歯車の歯形誤差、歯すじ誤差、累積ピッチ誤差の形状誤差の情報を入力する歯車形状誤差入力工程と、組み付け誤差入力部によって、前記歯車の基礎円中心と回転中心との偏心誤差の情報を与える組み付け誤差入力工程と、運動方程式導出部によって、前記基本入力工程で与えられた値から前記歯車同士の基礎円に接する初期時での作用線を求め、該作用線上における歯車歯面の形状誤差の値を前記歯車形状誤差入力工程で与えられた情報から算出し、かつ偏心による組み付け誤差の値を前記組付け誤差入力工程で与えられた情報から算出し、前記駆動軸と前記被駆動軸の相対的な並進変位又は回転変位によって変化する前記作用線上の歯面位置の変化量を前記軸間変動情報入力工程で得られた情報から算出し、算出された各情報を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する運動方程式導出工程と、計算部によって、時系列的に前記運動方程式を解く計算工程と、出力部によって、前記計算工程により計算した前記駆動軸と前記被駆動軸の動作結果を出力する出力工程と、から構成される歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記歯車伝達機構系は、回転体ドラムを駆動する回転体ドラム駆動用の歯車伝達機構系であり、前記出力工程で、前記駆動軸と前記被駆動軸の動作結果を出力するに際して、前記被駆動軸の出力に前記回転体ドラム半径を乗じて、当該回転体ドラム表面上の特性値に換算して出力する請求項1に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記運動方程式導出工程は、前記軸間変動情報として軸受けの支持剛性を用い、噛み合い力と各軸の質量から並進方向の運動方程式を導出する請求項1又は2に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記運動方程式導出工程は、前記軸間変動情報として軸受けを固定する支持板の曲げ剛性を用い、噛み合い力と各軸の運動方向の慣性モーメントから回転方向の運動方程式を導出する請求項1乃至3の何れか一項に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記運動方程式導出工程は、前記軸間変動情報として軸受けの支持剛性を用い、噛み合い力と各軸の質量から並進方向の運動方程式を導出する請求項1又は2に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記運動方程式導出工程は、前記軸間変動情報として軸受けを固定する支持板の曲げ剛性を用い、噛み合い力と各軸の運動方向の慣性モーメントから回転方向の運動方程式を導出する請求項1乃至3の何れか一項に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記運動方程式導出工程は、前記運動方程式を作る際に、作用線方向に座標軸を設定する請求項1乃至4の何れか一項に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記軸間変動情報は、一定速度領域となっているときに有効とし、起動時には考慮しない請求項1乃至5の何れか一項に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記軸間変動情報は、大口径歯車を用いたときに有効とし、小径歯車のときは考慮しない請求項1乃至6の何れか一項に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記軸間変動情報は、一定速度領域となっているときに有効とし、起動時には考慮しない請求項1乃至5の何れか一項に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記軸間変動情報は、大口径歯車を用いたときに有効とし、小径歯車のときは考慮しない請求項1乃至6の何れか一項に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記軸間変動情報は、樹脂スベリ軸受けを用いたときに有効とし、それ以外では考慮しない請求項1乃至7の何れか一項に記載の歯車設計支援方法を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8何れか一項に記載の歯車設計支援方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8何れか一項に記載の歯車設計支援方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、駆動軸と被駆動軸との間に設置された歯車伝達機構系をモデル化して、前記駆動軸の動作に対する前記被駆動軸の動的挙動を解析・算出する歯車設計支援装置において、前記歯車の基本諸元である諸元情報及び目標速度や負荷トルクの駆動条件情報を与える基本入力手段と、各歯車を回転支持する軸受け又は歯車支持構造体に起因する前記駆動軸及び前記被駆動軸の間の軸間変動情報を入力する軸間変動情報入力手段と、前記歯車の歯形誤差、歯すじ誤差、累積ピッチ誤差の形状誤差の情報を与える歯車形状誤差入力手段と、前記歯車の基礎円中心と回転中心との偏心誤差の情報を与える組み付け誤差入力手段と、前記基本入力手段で与えられた情報から前記歯車同士の基礎円に接する初期時での作用線を求め、該作用線上における歯車歯面の形状誤差の値を前記歯車形状誤差入力手段で与えられた情報から算出し、かつ偏心による組み付け誤差の値を前記組付け誤差入力手段で与えられた情報から算出し、前記駆動軸と前記被駆動軸の相対的な並進変位又は回転変位によって変化する前記作用線上の歯面位置の変化量を前記軸間変動情報入力手段で与えられた情報から算出し、算出された各情報を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する運動方程式導出手段と、時系列的に前記運動方程式を解く計算手段と、当該計算手段の計算した前記駆動軸と前記被駆動軸の動作結果を出力する出力手段と、を備えている歯車設計支援装置を特徴とする。
以上のように構成したので、本発明によっては、歯車シミュレーションで回転ムラを発生させる要因のひとつである軸間変動を解析パラメータとして設定し、この変動による変化分を作用線上の位置変化として設定することで、歯車形状誤差と同じパラメータ上に変換して解析することができ、計算工程での解析効率(計算時間の短縮化、計算コストの低減)を高めることになる。その結果、歯車の回転伝達特性に影響を与えるパラメータの歯車形状誤差(歯形誤差、歯筋誤差、累積ピッチ誤差)と偏心誤差の組付け誤差、歯車を回転支持する歯車支持構造体や軸受けによる軸間変動の影響を事前にかつ短時間の解析によって予測することができる。
その際、解析は動的挙動(慣性項や回転速度の影響:共振現象など)を考慮して行い、これによって歯車機構系に関して問題がないか確認し、歯車駆動系を試作し評価するといった作業を無くして、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなうことができる。
その際、解析は動的挙動(慣性項や回転速度の影響:共振現象など)を考慮して行い、これによって歯車機構系に関して問題がないか確認し、歯車駆動系を試作し評価するといった作業を無くして、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなうことができる。
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による歯車設計支援装置の一実施形態の概略構成ブロック図である。
図1に示すように、この歯車設計支援装置は、パソコン等のコンピュータ1に適用されるものであり、内部バス2を介して、総合的な制御を行うCPU(Central Processing Unit)3、解析結果を一時的に記憶させるRAM(Random Access Memory)5、表示ディスプレイであるCRT(Cathode Ray Tube)7、この表示ディスプレイを利用する入力用のキーボード9とマウス11、直接データを入出力するFDD(Floppy(登録商標)Disk Drive)13、解析結果を出力するプリンタ15、CPU3の基本制御を行うOS(Operating System)と歯車設計支援のための歯車設計支援プログラムが蓄積された磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17、が接続された構成となっている。
なお、FDD(Floppy(登録商標) Disk Drive)13には、歯車形状誤差データ、偏心誤差データや組付け誤差データ(軸平行度誤差データ)、歯車諸元データ等が記憶されたFD(Floppy(登録商標) Disk)19が挿入され読み込まれるようになっている。なお、入出力用のキーボード9やマウス11を用いて歯車形状誤差データ、偏心誤差データや組付け誤差データ(軸平行度誤差データ)、歯車諸元データを入力しても良い。
図1は、本発明による歯車設計支援装置の一実施形態の概略構成ブロック図である。
図1に示すように、この歯車設計支援装置は、パソコン等のコンピュータ1に適用されるものであり、内部バス2を介して、総合的な制御を行うCPU(Central Processing Unit)3、解析結果を一時的に記憶させるRAM(Random Access Memory)5、表示ディスプレイであるCRT(Cathode Ray Tube)7、この表示ディスプレイを利用する入力用のキーボード9とマウス11、直接データを入出力するFDD(Floppy(登録商標)Disk Drive)13、解析結果を出力するプリンタ15、CPU3の基本制御を行うOS(Operating System)と歯車設計支援のための歯車設計支援プログラムが蓄積された磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17、が接続された構成となっている。
なお、FDD(Floppy(登録商標) Disk Drive)13には、歯車形状誤差データ、偏心誤差データや組付け誤差データ(軸平行度誤差データ)、歯車諸元データ等が記憶されたFD(Floppy(登録商標) Disk)19が挿入され読み込まれるようになっている。なお、入出力用のキーボード9やマウス11を用いて歯車形状誤差データ、偏心誤差データや組付け誤差データ(軸平行度誤差データ)、歯車諸元データを入力しても良い。
また、FD(Floppy(登録商標) Disk)19だけでなく、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やCD−R/RW(Compact Disc Recordable/ReWritable)等の可搬性の記録媒体を用いてもかまわない。このように可搬性の記録媒体(外部記憶装置)に設計支援プログラムを格納しておくことにより、持ち運びが可能となり、様々な場所でシミュレーションが容易にできる。
このような構成により、磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17に記憶された歯車設計支援プログラムを実行させることで、後述するように歯車の動的な解析結果から得られ、設計時に有効な情報をCRTやプリントアウトした紙から供給することができる。
なお、上記実施形態では、CPU(Central Processing Unit)の基本制御を行うOS(Operating System)及び歯車の動的な回転特性を算出して設計支援するプログラムを磁気ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17がコンピュータ1内に設けられていたが、図2のように磁気ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17を外部記憶装置にして、HDDインターフェース21を介して外部記憶装置からOSと解析プログラムを読み込むようにしても良い。図2は、図1に示した歯車設計支援装置の変形例の概略構成ブロック図である。
このような構成により、磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17に記憶された歯車設計支援プログラムを実行させることで、後述するように歯車の動的な解析結果から得られ、設計時に有効な情報をCRTやプリントアウトした紙から供給することができる。
なお、上記実施形態では、CPU(Central Processing Unit)の基本制御を行うOS(Operating System)及び歯車の動的な回転特性を算出して設計支援するプログラムを磁気ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17がコンピュータ1内に設けられていたが、図2のように磁気ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17を外部記憶装置にして、HDDインターフェース21を介して外部記憶装置からOSと解析プログラムを読み込むようにしても良い。図2は、図1に示した歯車設計支援装置の変形例の概略構成ブロック図である。
このように、本実施形態によれば、様々なコンピュータ等の情報処理装置にインストールでき、歯車形状誤差(歯形誤差、歯筋誤差、累積ピッチ誤差)と偏心誤差と組付け誤差(駆動軸と従動軸の平行度誤差)の影響を事前に短時間の解析によって予測することができるとともに、記録媒体を様々な場所に持ち込んでシミュレーションが行える。
その結果、歯車機構系に関して問題がないか確認し、歯車駆動系を試作し評価するといった作業を無くして、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなうことのできる記録媒体の提供ができる。
また、CPU3の基本制御を行うOS(Operating System)に基づいて歯車設計支援プログラムを実行することにより、CPU3は、図3に示すような機能ブロックを有するようになる。
その結果、歯車機構系に関して問題がないか確認し、歯車駆動系を試作し評価するといった作業を無くして、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなうことのできる記録媒体の提供ができる。
また、CPU3の基本制御を行うOS(Operating System)に基づいて歯車設計支援プログラムを実行することにより、CPU3は、図3に示すような機能ブロックを有するようになる。
図3は、図1に示したコンピュータ1により歯車設計支援プログラムを実行した場合の機能ブロック図である。
図3に示すように、この歯車設計支援装置は、対象となる歯車の基本諸元である諸元情報及び目標速度や負荷トルクなどの駆動条件情報を与える基本入力部31と、歯車を回転支持する軸受けや支持構造体に起因する軸間変動の情報を与える歯車軸間変動入力部32、歯車の歯形誤差、歯すじ誤差、累積ピッチ誤差、等の形状誤差の情報を与える歯車形状誤差入力部33と、歯車の基礎円中心と回転中心との偏心誤差、その各軸の傾きの情報を与える組み付け誤差入力部34と、基本入力部31から歯車同士の基礎円に接する初期時での作用線を求め、その線上における歯車歯面の形状誤差の値を歯車形状誤差入力部33によって入力された値から算出し、かつ偏心による組み付け誤差の値を組付け誤差入力部34によって入力された値から算出し、この得られた情報(値)を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する運動方程式導出部35と、時系列的にこの運動方程式を解く計算部36と、計算部36の計算した駆動軸と被駆動軸の動作結果を出力する出力部37と、を有している。
図3に示すように、この歯車設計支援装置は、対象となる歯車の基本諸元である諸元情報及び目標速度や負荷トルクなどの駆動条件情報を与える基本入力部31と、歯車を回転支持する軸受けや支持構造体に起因する軸間変動の情報を与える歯車軸間変動入力部32、歯車の歯形誤差、歯すじ誤差、累積ピッチ誤差、等の形状誤差の情報を与える歯車形状誤差入力部33と、歯車の基礎円中心と回転中心との偏心誤差、その各軸の傾きの情報を与える組み付け誤差入力部34と、基本入力部31から歯車同士の基礎円に接する初期時での作用線を求め、その線上における歯車歯面の形状誤差の値を歯車形状誤差入力部33によって入力された値から算出し、かつ偏心による組み付け誤差の値を組付け誤差入力部34によって入力された値から算出し、この得られた情報(値)を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する運動方程式導出部35と、時系列的にこの運動方程式を解く計算部36と、計算部36の計算した駆動軸と被駆動軸の動作結果を出力する出力部37と、を有している。
次に、図4のフローチャートを参照して、図1に示した歯車設計支援装置における設計支援のための解析処理について説明する。
図4は、図1に示した歯車設計支援装置における設計支援のための解析処理の第1の例を示すフローチャートである。
図4のステップ101において、まず、基本入力工程で、対象となる歯車の基本諸元情報とその駆動条件情報を入力する。
ここで、基本諸元情報としては、歯車の歯数、モジュール、圧力角、ねじれ角、歯幅、材質、慣性モーメント、軸間距離などがある。また、駆動条件情報としては、例えば駆動歯車と従動歯車の初期角度(どの歯とどの歯から噛合い始めるのか)と駆動軸に与える目標速度や駆動トルク、被駆動軸に加わる負荷トルクである。
次に、ステップ102において、歯車形状誤差入力工程で、歯車を回転支持する軸受けや支持構造体に起因する軸間変動の情報を与える。
例えば、軸受けに隙間がある場合、この隙間の範囲内で、駆動軸と従動軸との間の軸間距離が変化したり、傾いたりするので、この変動量を設定する。
図4は、図1に示した歯車設計支援装置における設計支援のための解析処理の第1の例を示すフローチャートである。
図4のステップ101において、まず、基本入力工程で、対象となる歯車の基本諸元情報とその駆動条件情報を入力する。
ここで、基本諸元情報としては、歯車の歯数、モジュール、圧力角、ねじれ角、歯幅、材質、慣性モーメント、軸間距離などがある。また、駆動条件情報としては、例えば駆動歯車と従動歯車の初期角度(どの歯とどの歯から噛合い始めるのか)と駆動軸に与える目標速度や駆動トルク、被駆動軸に加わる負荷トルクである。
次に、ステップ102において、歯車形状誤差入力工程で、歯車を回転支持する軸受けや支持構造体に起因する軸間変動の情報を与える。
例えば、軸受けに隙間がある場合、この隙間の範囲内で、駆動軸と従動軸との間の軸間距離が変化したり、傾いたりするので、この変動量を設定する。
次に、ステップ103において、歯車誤差入力工程で歯車の形状誤差(歯形誤差、歯筋誤差、累積ピッチ誤差、歯溝の振れ)の情報を与え、次に、ステップ104において、組み付け誤差入力工程で偏心誤差(ピッチ円中心と回転軸中心の距離)の情報を加える。
これらのデータを与えた後、ステップ105において、解析条件の設定工程で、解析条件として、歯車駆動系の解析対象動作時間と解析ステップ(解析時間間隔)等の設定をする。
ここで、歯車駆動系は、駆動側の歯と被駆動側の歯を噛合わせて動力を伝達しており、この歯の噛合いは、それぞれの回転角度に応じて(一定速度の場合は時間に応じて)、常に変化している。動力伝達に関わる歯同士の接触力は接触剛性(歯対剛性)値Ktとその撓み量ψの積として求められる。歯車形状誤差の影響eは、歯面位置が形状誤差のない場合に比べ接触する位置(作用線上の位置)をオフセットさせることで対応できる。また、偏心誤差によっても、作用線上の接触位置がδ変化する。さらに、上述の軸間変動によっても接触位置がξ変化する。
そこで、本発明では、ステップ106において、偏心角度の位置(偏心量とその位相、回転角)に応じた歯面位置の変化量δを算出(同一の出願人による特願2008−145051を参照)するとともに、軸間変動(並進移動、回転移動;回転軸方向以外のたおれ方向、チルト方向)に伴う歯面位置の変化量ξを後述の方法で算出し、ここで得た、δ値、ξ値を、形状誤差の影響eのオフセットに加えることで、歯車形状誤差、偏心組み付け誤差と軸間変動を同じパラメータ上に配置してのモデル化が可能となる。
これらのデータを与えた後、ステップ105において、解析条件の設定工程で、解析条件として、歯車駆動系の解析対象動作時間と解析ステップ(解析時間間隔)等の設定をする。
ここで、歯車駆動系は、駆動側の歯と被駆動側の歯を噛合わせて動力を伝達しており、この歯の噛合いは、それぞれの回転角度に応じて(一定速度の場合は時間に応じて)、常に変化している。動力伝達に関わる歯同士の接触力は接触剛性(歯対剛性)値Ktとその撓み量ψの積として求められる。歯車形状誤差の影響eは、歯面位置が形状誤差のない場合に比べ接触する位置(作用線上の位置)をオフセットさせることで対応できる。また、偏心誤差によっても、作用線上の接触位置がδ変化する。さらに、上述の軸間変動によっても接触位置がξ変化する。
そこで、本発明では、ステップ106において、偏心角度の位置(偏心量とその位相、回転角)に応じた歯面位置の変化量δを算出(同一の出願人による特願2008−145051を参照)するとともに、軸間変動(並進移動、回転移動;回転軸方向以外のたおれ方向、チルト方向)に伴う歯面位置の変化量ξを後述の方法で算出し、ここで得た、δ値、ξ値を、形状誤差の影響eのオフセットに加えることで、歯車形状誤差、偏心組み付け誤差と軸間変動を同じパラメータ上に配置してのモデル化が可能となる。
図5は、噛合っている歯車の基礎円とそれに接する作用線の関係を示す説明図である。この初期状態での作用線を求めておき、この方向にそれぞれの噛合い力を加える(作用力、半作用力)。軸間変動した場合、この変動で作用線の位置は変化するが、その方向の変化は微小とみなすことができるので、初期時の作用線位置を固定して、軸間変動による影響は、作用線上の歯面位置変化量ξとして取り扱い、数値演算を実施する。
図6は、軸間変動による作用線上の歯面位置変化量ξの算出方法を示す図である。
図6において、(a)は軸間変動が起きていない場合、(b)は軸間変動が起きた場合の駆動軸と従動軸の関係を示した図である。
図6(b)に示すように、X軸方向に軸間変動dxが発生した場合、作用線上の歯面位置変化量ξは、ξ=dx・sin(αw)で表される。ここで、図6(a)に示すようにαwは、Y軸と作用線によって形成される圧力角である。
X軸方向に軸間変動が発生した場合は、従動歯車は、Y軸周りにθy傾いたこととなり、この時チルト中心と歯車の距離Lpによって軸間距離が伸縮し、X軸方向の軸間変動dxは、dx=Lp・θで表される。
図4に戻り、ステップ107において、運動方程式導出工程で、作用線上に噛合い力が働いて偏心回転した場合、回転角で変化するこの作用線を幾何学的に逐次求めて解析を行うと共に、歯車ごとに式をたてて、それを連立させて解析する。
図6において、(a)は軸間変動が起きていない場合、(b)は軸間変動が起きた場合の駆動軸と従動軸の関係を示した図である。
図6(b)に示すように、X軸方向に軸間変動dxが発生した場合、作用線上の歯面位置変化量ξは、ξ=dx・sin(αw)で表される。ここで、図6(a)に示すようにαwは、Y軸と作用線によって形成される圧力角である。
X軸方向に軸間変動が発生した場合は、従動歯車は、Y軸周りにθy傾いたこととなり、この時チルト中心と歯車の距離Lpによって軸間距離が伸縮し、X軸方向の軸間変動dxは、dx=Lp・θで表される。
図4に戻り、ステップ107において、運動方程式導出工程で、作用線上に噛合い力が働いて偏心回転した場合、回転角で変化するこの作用線を幾何学的に逐次求めて解析を行うと共に、歯車ごとに式をたてて、それを連立させて解析する。
すなわち、基本入力工程(S101)で与えられた基本諸元情報から歯車同士の基礎円に接する作用線を求め、歯車形状誤差入力工程(S103)で与えられた歯車の形状誤差の情報から作用線上の歯車歯面の形状誤差の値を求め、組み付け誤差入力工程(S104)で与えられた情報から偏心による組み付け誤差の値を求め、軸間変動情報入力工程(S102)で与えられた情報から、駆動軸と従動軸の相対的な並進変位、回転変位(回転軸方向以外のたおれ方向、チルト方向)によって変化する作用線上の歯車位置を求め、これらの得られた情報を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する。
最後に、ステップ108の時系列計算工程において、微分方程式の数値解析を行い、解析終了時間となると(ステップ109でYES)解析結果を出力する(ステップ110)。
最後に、ステップ108の時系列計算工程において、微分方程式の数値解析を行い、解析終了時間となると(ステップ109でYES)解析結果を出力する(ステップ110)。
[運動方程式を導出する際の第1の態様例]
図4のステップ107における運動方程式の導出の方法について、以下に詳しく説明する。
図7は、運動方程式の説明図であり、歯車ごとに式をたてて、それを連立させて解析する。この作用線上で歯面同士の力の釣り合いを求める際、歯面の形状誤差eo(歯車形状誤差:歯形誤差や歯筋誤差、累積ピッチ誤差)と偏心組み付け誤差δに、軸間変動のξによるオフセット(式(5))を与えた場合のたわみ量を算出する。そしてこの力の釣り合いを微小時間毎(解析ステップ毎)に求め、計算を進めていく。数値解法としては、微分方程式を解く一般的なオイラー法やルンゲクッタ法、ニューマークβ法などで対応できる。
すなわち、ある任意のギヤに関して、図7の記号を用いて回転方向(θ)と並進方向(x,y)で運動方程式をたてる。
ただし、m、Jは歯車の質量と慣性モーメント、θは回転角、cは粘性係数、rbは基礎円半径、Ftは噛合い接触力、Tは駆動トルクや負荷トルク、Ogは基礎円中心(ギヤ重心)、Ojは回転軸、Fjx、Fjyは軸受け反力、αwは噛合い圧力角、φは偏心角、εは偏心量、Ktは接触剛性(歯対剛性)、ηは歯面同士の接触位置、nは噛み合っている歯数、nは噛合っている歯数、iはその何番目かを示す。ψは作用線方向の歯面変形量、eは作用線上での形状誤差eoと組み付け誤差δ(偏心)、軸間変動による作用線上の歯面位置変化量ξの和である。
e=eo+δ+ξ(式(5))
この式において、偏心して回転する場合変化する、φ、αwを逐次求めて運動方程式を修正し、時系列的に解いていく。歯面変形量ψは、駆動歯車と従動歯車の噛合っている歯面の移動量の差分から求められる。
定常状態で所定の時間を解析すると、図8のように噛合っている歯ごとの接触力が得られる。これらの総和が歯車を駆動する力(トルク)となる(図9)。そして、この噛合い周期の変動成分が、回転ムラを生じさせる起振力(トルクムラ)である。その後、解析時間が終了した場合、ここまで時系列にステップ時間毎に蓄積してきた解析結果(回転特性:駆動軸と被駆動軸の時間に対する角度伝達誤差、角速度伝達誤差)をグラフや表として表示ディスプレイやプリンタに出力したり、データとして記録媒体に保存する(図10参照)。
図4のステップ107における運動方程式の導出の方法について、以下に詳しく説明する。
図7は、運動方程式の説明図であり、歯車ごとに式をたてて、それを連立させて解析する。この作用線上で歯面同士の力の釣り合いを求める際、歯面の形状誤差eo(歯車形状誤差:歯形誤差や歯筋誤差、累積ピッチ誤差)と偏心組み付け誤差δに、軸間変動のξによるオフセット(式(5))を与えた場合のたわみ量を算出する。そしてこの力の釣り合いを微小時間毎(解析ステップ毎)に求め、計算を進めていく。数値解法としては、微分方程式を解く一般的なオイラー法やルンゲクッタ法、ニューマークβ法などで対応できる。
すなわち、ある任意のギヤに関して、図7の記号を用いて回転方向(θ)と並進方向(x,y)で運動方程式をたてる。
ただし、m、Jは歯車の質量と慣性モーメント、θは回転角、cは粘性係数、rbは基礎円半径、Ftは噛合い接触力、Tは駆動トルクや負荷トルク、Ogは基礎円中心(ギヤ重心)、Ojは回転軸、Fjx、Fjyは軸受け反力、αwは噛合い圧力角、φは偏心角、εは偏心量、Ktは接触剛性(歯対剛性)、ηは歯面同士の接触位置、nは噛み合っている歯数、nは噛合っている歯数、iはその何番目かを示す。ψは作用線方向の歯面変形量、eは作用線上での形状誤差eoと組み付け誤差δ(偏心)、軸間変動による作用線上の歯面位置変化量ξの和である。
e=eo+δ+ξ(式(5))
この式において、偏心して回転する場合変化する、φ、αwを逐次求めて運動方程式を修正し、時系列的に解いていく。歯面変形量ψは、駆動歯車と従動歯車の噛合っている歯面の移動量の差分から求められる。
定常状態で所定の時間を解析すると、図8のように噛合っている歯ごとの接触力が得られる。これらの総和が歯車を駆動する力(トルク)となる(図9)。そして、この噛合い周期の変動成分が、回転ムラを生じさせる起振力(トルクムラ)である。その後、解析時間が終了した場合、ここまで時系列にステップ時間毎に蓄積してきた解析結果(回転特性:駆動軸と被駆動軸の時間に対する角度伝達誤差、角速度伝達誤差)をグラフや表として表示ディスプレイやプリンタに出力したり、データとして記録媒体に保存する(図10参照)。
以上説明したように、歯車シミュレーションで回転ムラを発生させる要因のひとつである軸間変動を解析パラメータとして設定し、この変動による変化分を作用線上の位置変化として設定することで、歯車形状誤差と同じパラメータ上に変換して解析することができ、計算工程での解析効率(計算時間の短縮化、計算コストの低減)を高めることができる。
その結果、歯車の回転伝達特性に影響を与えるパラメータの歯車形状誤差(歯形誤差、歯筋誤差、累積ピッチ誤差)と、偏心誤差の組み付け誤差、歯車を回転支持する歯車支持構造体や軸受けによる軸間変動の影響を事前にかつ短時間の解析によって予測することができる。その際、解析は動的挙動(慣性項や回転速度の影響:共振現象など)を考慮して行い、これによって歯車機構系に関して問題がないか確認し、歯車駆動系を試作し評価するといった作業を無くして、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなうことができる。
上記実施形態は、図11に示すような回転体ドラム(例えば感光体ドラムや印刷用のドラム、画像形成用のドラム等)駆動用の歯車伝達機構系に適用することができる。
その際の出力工程で、歯車1回転周期の回転体ドラム表面上の位置ずれと歯車噛合い周期での回転体ドラム表面上の速度ムラを出力する。図11は、本発明が適用される回転体ドラム駆動用の歯車伝達機構系を示す概略図である。
回転体表面上の位置ずれや速度ムラは角度伝達誤差や角速度伝達誤差に回転体半径を乗ずることで求めることができる。
その結果、歯車の回転伝達特性に影響を与えるパラメータの歯車形状誤差(歯形誤差、歯筋誤差、累積ピッチ誤差)と、偏心誤差の組み付け誤差、歯車を回転支持する歯車支持構造体や軸受けによる軸間変動の影響を事前にかつ短時間の解析によって予測することができる。その際、解析は動的挙動(慣性項や回転速度の影響:共振現象など)を考慮して行い、これによって歯車機構系に関して問題がないか確認し、歯車駆動系を試作し評価するといった作業を無くして、高精度にかつ容易に歯車設計支援をおこなうことができる。
上記実施形態は、図11に示すような回転体ドラム(例えば感光体ドラムや印刷用のドラム、画像形成用のドラム等)駆動用の歯車伝達機構系に適用することができる。
その際の出力工程で、歯車1回転周期の回転体ドラム表面上の位置ずれと歯車噛合い周期での回転体ドラム表面上の速度ムラを出力する。図11は、本発明が適用される回転体ドラム駆動用の歯車伝達機構系を示す概略図である。
回転体表面上の位置ずれや速度ムラは角度伝達誤差や角速度伝達誤差に回転体半径を乗ずることで求めることができる。
このように、本実施形態によれば、歯車伝達機構系は、画像形成に用いられる回転体ドラムを駆動する回転体ドラム駆動用の歯車伝達機構系であり、出力工程(ステップ110)で、駆動軸と被駆動軸の動作結果を出力するに際して、被駆動軸の出力に回転体ドラム半径を乗じて、回転体ドラム表面上の特性値(位置ずれ、速度ムラ)に換算して出力することで、実際に画像が形成される回転体ドラム表面上における歯車の形状誤差と偏心誤差の組付け誤差に対する特性値(位置ずれや速度ムラ)が得られる。
その結果、歯車の形状誤差と偏心誤差の組付け誤差が、回転体ドラム表面上の特性値である位置ずれ(多色重ね合わせでの色ずれ)と噛合い周期での速度変動(濃度ムラであるバンディング)にどのように影響を与えるかを事前解析によって短時間で明らかにすることができる。
その結果、歯車の形状誤差と偏心誤差の組付け誤差が、回転体ドラム表面上の特性値である位置ずれ(多色重ね合わせでの色ずれ)と噛合い周期での速度変動(濃度ムラであるバンディング)にどのように影響を与えるかを事前解析によって短時間で明らかにすることができる。
[運動方程式を導出する際の第2の態様例]
次に、運動方程式を導出する際の第2の例を説明する。
これは、軸間変動情報として軸受け支持剛性を用い、噛み合い力と各軸の質量から並進方向の運動方程式を作成して算出するものである。
上述の第1の態様例では、並進系の弾性は考慮されていないので、軸受け間隙のガタ分の軸間変動であったが、軸受け剛性も考慮することで、ここでの振動成分も考慮できる。
すなわち、軸間並進方向の共振現象もモデル化の範疇になり、より実機と同じ状態を解析によって予測することができ、噛み合い力や外力に対する各軸の並進方向に関する挙動を詳細に算出することになる。その結果、振動で変化する軸間変動を含め回転ムラを詳細に算出できるようになり、計算予測精度の向上を図ることができる。
図12は、運動方程式を導出す際の第2の例を説明する図である。
図12に示すように、回転軸0jを弾性支持(バネ剛性Kx、Ky、粘性Cx、Cy)すると、上記の式(2)、(3)は次のように変化する。
次に、運動方程式を導出する際の第2の例を説明する。
これは、軸間変動情報として軸受け支持剛性を用い、噛み合い力と各軸の質量から並進方向の運動方程式を作成して算出するものである。
上述の第1の態様例では、並進系の弾性は考慮されていないので、軸受け間隙のガタ分の軸間変動であったが、軸受け剛性も考慮することで、ここでの振動成分も考慮できる。
すなわち、軸間並進方向の共振現象もモデル化の範疇になり、より実機と同じ状態を解析によって予測することができ、噛み合い力や外力に対する各軸の並進方向に関する挙動を詳細に算出することになる。その結果、振動で変化する軸間変動を含め回転ムラを詳細に算出できるようになり、計算予測精度の向上を図ることができる。
図12は、運動方程式を導出す際の第2の例を説明する図である。
図12に示すように、回転軸0jを弾性支持(バネ剛性Kx、Ky、粘性Cx、Cy)すると、上記の式(2)、(3)は次のように変化する。
[運動方程式を導出する際の第3の態様例]
次に、運動方程式を導出する際の第3の例を説明する。
図13は、支持板が変形した際の両歯車の関係を示す図である。
図13に示すように、支持板の曲げ剛性によって変形し、駆動軸、従動軸が平行ではなく傾く(たおれる、チルトする)。この方向に関する運動方程式を新たに追加することで、この現象を含めた回転ムラが予測できる。
すなわち、軸間変動情報として、軸受けを固定する支持板(フレーム)の曲げ剛性を用い、噛み合い力と各軸の慣性モーメントから回転方向(回転軸方向以外のたおれ方向、チルト方向)の運動方程式を作成して算出するものである。
上述の第1の態様例では、回転系(たおれ方向、チルト方向)の弾性は考慮されていないので、軸受け間隙のガタ分の軸間変動(たおれ)であったが、軸受け剛性も考慮することで、回転系の振動成分も考慮できる。
軸間たおれ方向の共振現象もモデル化の範疇となり、より実機と同じ状態を解析によって予測することができ、噛み合い力や外力に対する各軸のたおれ方向に関する挙動を詳細に算出することになる。その結果、振動で変化する軸間変動を含め回転ムラを詳細に算出できるようになり、計算予測精度の向上を図ることができる。
支持板の曲げ剛性Ksy、粘性Csy、曲げ方向に働くモーメント(噛み合い力や外力)My、Y軸周りの回転変位θy、Y軸周りの慣性モーメントJyとすると、次式のように表される。
次に、運動方程式を導出する際の第3の例を説明する。
図13は、支持板が変形した際の両歯車の関係を示す図である。
図13に示すように、支持板の曲げ剛性によって変形し、駆動軸、従動軸が平行ではなく傾く(たおれる、チルトする)。この方向に関する運動方程式を新たに追加することで、この現象を含めた回転ムラが予測できる。
すなわち、軸間変動情報として、軸受けを固定する支持板(フレーム)の曲げ剛性を用い、噛み合い力と各軸の慣性モーメントから回転方向(回転軸方向以外のたおれ方向、チルト方向)の運動方程式を作成して算出するものである。
上述の第1の態様例では、回転系(たおれ方向、チルト方向)の弾性は考慮されていないので、軸受け間隙のガタ分の軸間変動(たおれ)であったが、軸受け剛性も考慮することで、回転系の振動成分も考慮できる。
軸間たおれ方向の共振現象もモデル化の範疇となり、より実機と同じ状態を解析によって予測することができ、噛み合い力や外力に対する各軸のたおれ方向に関する挙動を詳細に算出することになる。その結果、振動で変化する軸間変動を含め回転ムラを詳細に算出できるようになり、計算予測精度の向上を図ることができる。
支持板の曲げ剛性Ksy、粘性Csy、曲げ方向に働くモーメント(噛み合い力や外力)My、Y軸周りの回転変位θy、Y軸周りの慣性モーメントJyとすると、次式のように表される。
[運動方程式を導出する際の第4の態様例]
次に、運動方程式を導出する際の第4の例を説明する。
運動方程式を作る際の座標系として、作用線方向に座標軸を設定する。運動方程式の大きさ(行列のサイズ)は自由度の数によって決まる。そこで、歯車の噛み合い力が働く作用線上に座標軸を設けることで、自由度を大きくすることが出来る。
図14は、運動方程式を導出する第4の例を説明する図である。
図14のように設定すると、x軸方向に噛み合い力Ftが働くので、軸受け剛性Kxとの関係で振動変位するが、y軸方向は、噛み合い力がゼロとなり、こちらの振動は発生しない。そこで、y軸方向については、すなわち、噛み合い力の働く作用線と直交する軸に関する運動方程式を省くことが出来る。
その結果、計算する数式の大きさ(行列サイズ)をきめる自由度を小さくして、高速計算、メモリ容量の低減を図り、解析作業の効率向上を図ることができる。
次に、運動方程式を導出する際の第4の例を説明する。
運動方程式を作る際の座標系として、作用線方向に座標軸を設定する。運動方程式の大きさ(行列のサイズ)は自由度の数によって決まる。そこで、歯車の噛み合い力が働く作用線上に座標軸を設けることで、自由度を大きくすることが出来る。
図14は、運動方程式を導出する第4の例を説明する図である。
図14のように設定すると、x軸方向に噛み合い力Ftが働くので、軸受け剛性Kxとの関係で振動変位するが、y軸方向は、噛み合い力がゼロとなり、こちらの振動は発生しない。そこで、y軸方向については、すなわち、噛み合い力の働く作用線と直交する軸に関する運動方程式を省くことが出来る。
その結果、計算する数式の大きさ(行列サイズ)をきめる自由度を小さくして、高速計算、メモリ容量の低減を図り、解析作業の効率向上を図ることができる。
次に、図4の時系列計算工程(ステップ107)における計算時間を短縮するための態様例を説明する。
図15は、図4のフローチャートにおける時系列計算工程の処理の流れを示すフローチャートであり、図16は、計算時間を短縮するための第1の変形例を示すフローチャートである。
図15において、時系列計算工程が開始されると時系列に従って、その時間における微分方程式を解き(ステップ201)、収束と判定されると(ステップ202でYes)、データを保存してステップ時間分を進め、ステップ201に戻って進めた時間時点での微分方程式を解く。
軸間変動情報は、歯車が一定速度領域(定常速度領域)になっているときに有効とし、起動時では変化しない(変動=0)として扱うことする。起動時のように一定速度ではない領域では、起動加速度による慣性力の影響や駆動モータの特性などで、複雑な応答を示す。ここで歯車形状誤差や歯対剛性に軸間誤差を加えて計算すると、計算に時間がかかるとともに、この領域(過渡状態)で画像生成などの作業は行わないので詳細に解析する必要もない。そこで、図16に示す第1の変形例においては、解析初期時(起動時)では、軸間変動をゼロとし、歯対剛性も噛合い位置(接触位置)で変化しないように一定値で計算し、定常状態になったときに緩やかに切り替えるようにすることで、計算時間の短縮が図られる。
すなわち、時系列計算工程の開始後、定常速度領域であれば(ステップ301でYes)、その時間における微分方程式を解いて(ステップ302)、収束と判定されれば(ステップ304でYes)データを保存して(ステップ305)、ステップ時間分を進めて(ステップ306)ステップ301に戻り、定常速度領域でない起動時における場合(ステップ301でNo)は、その時間における軸間変動ξを無くした微分方程式を解く(ステップ303)。
図15は、図4のフローチャートにおける時系列計算工程の処理の流れを示すフローチャートであり、図16は、計算時間を短縮するための第1の変形例を示すフローチャートである。
図15において、時系列計算工程が開始されると時系列に従って、その時間における微分方程式を解き(ステップ201)、収束と判定されると(ステップ202でYes)、データを保存してステップ時間分を進め、ステップ201に戻って進めた時間時点での微分方程式を解く。
軸間変動情報は、歯車が一定速度領域(定常速度領域)になっているときに有効とし、起動時では変化しない(変動=0)として扱うことする。起動時のように一定速度ではない領域では、起動加速度による慣性力の影響や駆動モータの特性などで、複雑な応答を示す。ここで歯車形状誤差や歯対剛性に軸間誤差を加えて計算すると、計算に時間がかかるとともに、この領域(過渡状態)で画像生成などの作業は行わないので詳細に解析する必要もない。そこで、図16に示す第1の変形例においては、解析初期時(起動時)では、軸間変動をゼロとし、歯対剛性も噛合い位置(接触位置)で変化しないように一定値で計算し、定常状態になったときに緩やかに切り替えるようにすることで、計算時間の短縮が図られる。
すなわち、時系列計算工程の開始後、定常速度領域であれば(ステップ301でYes)、その時間における微分方程式を解いて(ステップ302)、収束と判定されれば(ステップ304でYes)データを保存して(ステップ305)、ステップ時間分を進めて(ステップ306)ステップ301に戻り、定常速度領域でない起動時における場合(ステップ301でNo)は、その時間における軸間変動ξを無くした微分方程式を解く(ステップ303)。
次に、計算時間を短縮するための第2の態様例を説明する。
この態様例では、大口径の歯車を用いたときのみに軸間変動情報を有効として、小口径の歯車のときは変化しない(変動=0)として扱う。大口径の歯車を用いると軸間距離が長くなるし、また、軸受けに加わる噛み合い力によるモーメントが大きくなるなど、軸間変動を発生させる寄与度が高くなる。そこで、大口径歯車を用いたときのみに軸間変動情報を有効とし、小径歯車のときは変化しない(変動=0)ように切り替えることで、影響が大きいときにのみ設定し、計算時間を短縮して、解析作業の効率向上を図ることができる。
図17は、本態様における処理を示すフローチャートである。
ステップ401における基本入力工程を行った後、歯車が大口径の場合に(S3402でYes)、S403において歯車軸間変動入力工程を行い、小口径の場合は、歯車軸間変動成分をゼロとして設定する(S404)。
ついで、歯車形状誤差入力工程(S405)、組み付け誤差入力固定(S406)、解析条件の設定(S407)、作用線状の各誤差の算出(S408)、運動方程式導出工程(S409)、時系列計算工程(S410)、解析結果の出力(S412)を順次行っていくものとする。
なお、図17におけるS405〜S412の工程は、ステップ番号が異なるが、図4におけるS103〜S110と基本的動作は同じであるため、詳しい説明は省略している。
この態様例では、大口径の歯車を用いたときのみに軸間変動情報を有効として、小口径の歯車のときは変化しない(変動=0)として扱う。大口径の歯車を用いると軸間距離が長くなるし、また、軸受けに加わる噛み合い力によるモーメントが大きくなるなど、軸間変動を発生させる寄与度が高くなる。そこで、大口径歯車を用いたときのみに軸間変動情報を有効とし、小径歯車のときは変化しない(変動=0)ように切り替えることで、影響が大きいときにのみ設定し、計算時間を短縮して、解析作業の効率向上を図ることができる。
図17は、本態様における処理を示すフローチャートである。
ステップ401における基本入力工程を行った後、歯車が大口径の場合に(S3402でYes)、S403において歯車軸間変動入力工程を行い、小口径の場合は、歯車軸間変動成分をゼロとして設定する(S404)。
ついで、歯車形状誤差入力工程(S405)、組み付け誤差入力固定(S406)、解析条件の設定(S407)、作用線状の各誤差の算出(S408)、運動方程式導出工程(S409)、時系列計算工程(S410)、解析結果の出力(S412)を順次行っていくものとする。
なお、図17におけるS405〜S412の工程は、ステップ番号が異なるが、図4におけるS103〜S110と基本的動作は同じであるため、詳しい説明は省略している。
さらに、計算時間を短縮するための第3の態様例を説明する。
本形態例では、軸受けに樹脂スベリ軸受けを用いたときに軸間変動情報を有効とし、それ以外では変化しない(変動=0)として扱う。低コスト化により軸受けを、玉軸受けから、樹脂のスベリ軸受けに変更した場合、軸受け剛性が低下し、負荷トルクや外乱によって軸が変動しやすくなる。そこで、このような場合にのみ軸受け変動による回転ムラを考慮するものとし、それ以外の場合は軸受け変動が小さいものとして扱う。このようにすることで、回転ムラに与える影響が大きいときのみ軸間変動情報を設定し、計算時間を短縮して、解析作業の効率向上を図ることができる。
図18、本態様における処理を示すフローチャートである。
ステップ501における基本入力工程を行った後、軸受けがスベリ軸受けの場合に(S3502でYes)、S503において歯車軸間変動入力工程を行い、そうでない場合は、歯車軸間変動成分をゼロとして設定する(S504)。
ついで、歯車形状誤差入力工程(S505)、組み付け誤差入力固定(S506)、解析条件の設定(S507)、作用線状の各誤差の算出(S508)、運動方程式導出工程(S509)、時系列計算工程(S510)、解析結果の出力(S512)を順次行っていくものとする。
なお、図18におけるS505〜S512の各工程は、ステップ番号が異なるが、図4におけるS103〜S110と基本的動作は同じであるため、詳しい説明は省略している。
本形態例では、軸受けに樹脂スベリ軸受けを用いたときに軸間変動情報を有効とし、それ以外では変化しない(変動=0)として扱う。低コスト化により軸受けを、玉軸受けから、樹脂のスベリ軸受けに変更した場合、軸受け剛性が低下し、負荷トルクや外乱によって軸が変動しやすくなる。そこで、このような場合にのみ軸受け変動による回転ムラを考慮するものとし、それ以外の場合は軸受け変動が小さいものとして扱う。このようにすることで、回転ムラに与える影響が大きいときのみ軸間変動情報を設定し、計算時間を短縮して、解析作業の効率向上を図ることができる。
図18、本態様における処理を示すフローチャートである。
ステップ501における基本入力工程を行った後、軸受けがスベリ軸受けの場合に(S3502でYes)、S503において歯車軸間変動入力工程を行い、そうでない場合は、歯車軸間変動成分をゼロとして設定する(S504)。
ついで、歯車形状誤差入力工程(S505)、組み付け誤差入力固定(S506)、解析条件の設定(S507)、作用線状の各誤差の算出(S508)、運動方程式導出工程(S509)、時系列計算工程(S510)、解析結果の出力(S512)を順次行っていくものとする。
なお、図18におけるS505〜S512の各工程は、ステップ番号が異なるが、図4におけるS103〜S110と基本的動作は同じであるため、詳しい説明は省略している。
1 コンピュータ、2 内部バス、3 CPU、5 RAM、7 CRT、9 キーボード、11 マウス、13 FDD、15 プリンタ、17 磁気ディスク装置、19 FD、31 基本入力部、32 歯車軸間変動入力部、33 歯車形状誤差入力部、34 組み付け誤差入力部、35 運動方程式導出部、36 計算部、36 出力部
Claims (11)
- 駆動軸と被駆動軸との間に設置された歯車伝達機構系をモデル化して、前記駆動軸の動作に対する前記被駆動軸の動的挙動を解析・算出する歯車設計支援方法において、
基本入力部によって、対象となる歯車の基本諸元である諸元情報及び目標速度や負荷トルクの駆動条件情報を入力する基本入力工程と、
各歯車を回転支持する軸受け又は歯車支持構造体に係る前記駆動軸及び前記被駆動軸の間の軸間変動情報を入力する軸間変動情報入力工程と、
歯車形状誤差入力部によって、前記歯車の歯形誤差、歯すじ誤差、累積ピッチ誤差の形状誤差の情報を入力する歯車形状誤差入力工程と、
組み付け誤差入力部によって、前記歯車の基礎円中心と回転中心との偏心誤差の情報を与える組み付け誤差入力工程と、
運動方程式導出部によって、前記基本入力工程で与えられた値から前記歯車同士の基礎円に接する初期時での作用線を求め、該作用線上における歯車歯面の形状誤差の値を前記歯車形状誤差入力工程で与えられた情報から算出し、かつ偏心による組み付け誤差の値を前記組付け誤差入力工程で与えられた情報から算出し、前記駆動軸と前記被駆動軸の相対的な並進変位又は回転変位によって変化する前記作用線上の歯面位置の変化量を前記軸間変動情報入力工程で得られた情報から算出し、算出された各情報を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する運動方程式導出工程と、
計算部によって、時系列的に前記運動方程式を解く計算工程と、
出力部によって、前記計算工程により計算した前記駆動軸と前記被駆動軸の動作結果を出力する出力工程と、
から構成されることを特徴とする歯車設計支援方法。 - 前記歯車伝達機構系は、回転体ドラムを駆動する回転体ドラム駆動用の歯車伝達機構系であり、前記出力工程で、前記駆動軸と前記被駆動軸の動作結果を出力するに際して、前記被駆動軸の出力に前記回転体ドラム半径を乗じて、当該回転体ドラム表面上の特性値に換算して出力することを特徴とする請求項1に記載の歯車設計支援方法。
- 前記運動方程式導出工程は、前記軸間変動情報として軸受けの支持剛性を用い、噛み合い力と各軸の質量から並進方向の運動方程式を導出することを特徴とする請求項1又は2に記載の歯車設計支援方法。
- 前記運動方程式導出工程は、前記軸間変動情報として軸受けを固定する支持板の曲げ剛性を用い、噛み合い力と各軸の運動方向の慣性モーメントから回転方向の運動方程式を導出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
- 前記運動方程式導出工程は、前記運動方程式を作る際に、作用線方向に座標軸を設定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
- 前記軸間変動情報は、一定速度領域となっているときに有効とし、起動時には考慮しないことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
- 前記軸間変動情報は、大口径歯車を用いたときに有効とし、小径歯車のときは考慮しないことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
- 前記軸間変動情報は、樹脂スベリ軸受けを用いたときに有効とし、それ以外では考慮しないことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
- 請求項1乃至8何れか一項に記載の歯車設計支援方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項9に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
- 駆動軸と被駆動軸との間に設置された歯車伝達機構系をモデル化して、前記駆動軸の動作に対する前記被駆動軸の動的挙動を解析・算出する歯車設計支援装置において、
前記歯車の基本諸元である諸元情報及び目標速度や負荷トルクの駆動条件情報を与える基本入力手段と、
各歯車を回転支持する軸受け又は歯車支持構造体に係る前記駆動軸及び前記被駆動軸の間の軸間変動情報を入力する軸間変動情報入力手段と、
前記歯車の歯形誤差、歯すじ誤差、累積ピッチ誤差の形状誤差の情報を与える歯車形状誤差入力手段と、
前記歯車の基礎円中心と回転中心との偏心誤差の情報を与える組み付け誤差入力手段と、
前記基本入力手段で与えられた情報から前記歯車同士の基礎円に接する初期時での作用線を求め、該作用線上における歯車歯面の形状誤差の値を前記歯車形状誤差入力手段で与えられた情報から算出し、かつ偏心による組み付け誤差の値を前記組付け誤差入力手段で与えられた情報から算出し、前記駆動軸と前記被駆動軸の相対的な並進変位又は回転変位によって変化する前記作用線上の歯面位置の変化量を前記軸間変動情報入力手段で与えられた情報から算出し、算出された各情報を元に作用線上で接触している歯対毎に力の釣り合い式を設定して運動方程式を生成する運動方程式導出手段と、
時系列的に前記運動方程式を解く計算手段と、
当該計算手段の計算した前記駆動軸と前記被駆動軸の動作結果を出力する出力手段と、
を備えていることを特徴とする歯車設計支援装置。
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