JP2010095681A - 高濃度フィラー含有樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】押出機を用いてストランドとして押出成形しつつ、切断する際にストランド切れを起こさず、ペレットを連続して製造することができる高濃度フィラー含有樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(a)を満たすプロピレン単独重合体1〜39質量%、フィラー60〜90質量%、並びに以下の(a)を満たすプロピレン単独重合体を除くキャリアー樹脂1〜39質量%を含有し、210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度が100Pas・S以上、<210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度>/<210℃、せん断速度10sec-1での溶融粘度>の比が0.4〜0.7である樹脂組成物である。(a)融解吸熱カーブの最も高温側に観測される吸熱ピークのピークトップを融点としたときの融点が0〜100℃、Mwが10,000〜100,000でMw/Mnが4以下
【選択図】なし

Description

本発明は、高濃度フィラー含有樹脂組成物に関し、特に汎用の2軸押出機を用いてストランドとして押出成形しつつ、ペレット状に切断する際に、ストランド切れを起こさず、ペレットを連続して製造することができる高濃度フィラー含有樹脂組成物、該組成物を配合したポリオレフィン系樹脂組成物及び該ポリオレフィン系樹脂組成物を用いた成形体に関するものである。
従来、フィラー及びキャリアー樹脂を含む樹脂組成物のペレットの製造方法としては、一般に、2軸押出機にフィラー及びキャリアー樹脂を投入し、押出温度をキャリアー樹脂の溶融温度以上に設定し、投入したキャリアー樹脂を溶融して、フィラー粉末を溶融樹脂中に均一に分散させ、続いて、ダイスよりフィラーが均一に分散した状態の溶融樹脂を連続して押出し、ストランドとし、このストランドを冷却水槽中で冷却した後、ペレタイザーにて切断する方法が採用されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、高濃度のフィラーを含有する樹脂組成物のペレットを製造する場合、樹脂組成物全体がもろくなるため、ダイスより押出されるストランドが切れ易く、連続してペレットを製造することができない問題点がある。
また、ストランドの切断時に切粉が発生する問題点もある。
ストランド切れ及びストランドの切断時に切粉の発生を起こさない手法として、ストランドを芯/鞘の2重構造とする樹脂組成物のペレットの製造方法(例えば、特許文献2)、ホットカット法という専用の装置を用いる樹脂組成物のペレットの製造方法(例えば、特許文献3)が知られている。
しかしながら、上記製造方法は特殊な製造方法を用いたり、専用の装置を必要とし、汎用性のある樹脂組成物のペレットの製造方法とは云えない。
また、プラスチック用添加剤、オレフィン系重合体及び担体用ポリオレフィン樹脂を含有するマスターバッチ組成物(例えば、特許文献4)が知られている。しかし、高濃度のフィラーを含有する組成物については開示されておらず、高濃度のフィラーを含有する樹脂組成物のペレットを製造する場合、樹脂組成物全体がもろくなるため、ダイスより押出されるストランドが切れ易く、連続してペレットを製造することができない問題点がある。
特開昭63−7912号公報 特開2000−80172号公報 特開2000−351851号公報 特開2006−176750号公報
本発明は、高濃度フィラー含有樹脂組成物に関し、特に汎用の2軸押出機を用いてストランドとして押出成形しつつ、ペレット状に切断する際に、ストランド切れを起こさず、ペレットを連続して製造することができる高濃度フィラー含有樹脂組成物、該組成物を配合したポリオレフィン系樹脂組成物及び該ポリオレフィン系樹脂組成物を用いた成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の物性を有するプロピレン単独重合体を配合すると、高濃度のフィラーを含有する樹脂組成物がストランド切れを起こさず、汎用の2軸押出機を用いて該樹脂組成物のペレットを連続して製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
1.以下の(a)及び(b)を満たすプロピレン単独重合体を1〜39質量%、フィラーを60〜90質量%、並びに以下の(a)及び(b)を満たすプロピレン単独重合体を除くキャリアー樹脂を1〜39質量%の割合で含有し、210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度が100Pas・S以上であり、かつ、<210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度>/<210℃、せん断速度10sec-1での溶融粘度>で定義した溶融粘度の比が、0.4〜0.7であることを特徴とする樹脂組成物。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用いて、試料を窒素雰囲気下、320℃/分で25℃から220℃に昇温し、220℃で5分間保持した後、320℃/分で25℃まで降温し、25℃で50分間保持し、10℃/分で25℃から220℃まで昇温させることにより得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測される吸熱ピークのピークトップを融点(Tm)としたときの該融点が0〜100℃
(b)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定における重量平均分子量(Mw)が10,000〜100,000の範囲で、かつ、上記GPC法による測定における数平均分子量をMnとしたときの該MwとMnとの比Mw/Mnが4以下
2.上記1に記載の樹脂組成物をポリオレフィン系樹脂に配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物、
3.ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である上記2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物、
4.上記2又は3に記載のポリオレフィン系樹脂組成物を用いてなるポリオレフィン成形体、
5.上記2又は3に記載のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて射出成形してなる自動車用射出成形体
を提供するものである。
特定の物性を有するプロピレン単独重合体を含有する本発明の樹脂組成物は、押出機ダイス出口近傍で該樹脂組成物の溶融張力が上昇するため、フィラー含有量が高濃度の場合でも、該押出機ダイス出口からのストランドが切れることなく、連続して、良好な形状の樹脂組成物のペレットを製造することができる。
本発明の樹脂組成物は、特定のプロピレン単独重合体、フィラー及びキャリアー樹脂を特定量含有する樹脂組成物である。
(1)プロピレン単独重合体
(a)本発明のプロピレン単独重合体は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、試料10mgを窒素雰囲気下、320℃/分で25℃から220℃に昇温し、220℃で5分間保持した後、320℃/分で25℃まで降温し、25℃で50分間保持し、10℃/分で25℃から220℃まで昇温させることにより得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測される吸熱ピークのピークトップを融点(Tm)としたときの該融点が0〜100℃であることが必要である。
プロピレン単独重合体の融点が低いほど、本発明の樹脂組成物の製造の際の加熱温度を下げることができるので好ましいが、融点を持たない非晶性のプロピレン単独重合体では得られる樹脂組成物にべたつきが見られ、樹脂組成物としての取り扱い性が低下するので好ましくない。
融点は、好ましくは20〜90℃、より好ましくは45〜90℃、更に好ましくは60〜90℃、特に好ましくは60〜80℃である。
(b)本発明のプロピレン単独重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定における重量平均分子量(Mw)が10,000〜100,000の範囲であり、好ましくは、20,000〜80,000の範囲のものである。
Mwが10,000未満では、本発明の樹脂組成物にべたつきが発生し、100,000を超えると本発明の樹脂組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したポリオレフィン系樹脂組成物の溶融流動性が低下するため、成形性が不良となる。
本発明のプロピレン単独重合体は、上記の重量平均分子量を有し、かつ、上記GPC法による測定における数平均分子量をMnとしたときの該MwとMnとの比Mw/Mnが4以下を満足する必要がある。
該Mw/Mnが4を超えると、本発明の樹脂組成物にべたつきが発生することがある。
なお、上記Mw/Mnは、GPC測定装置[カラム:TOSO、GMHHR−H(S)HT、検出器:液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C]を用いて測定した重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出する。
本発明のプロピレン単独重合体は、例えば、国際公開第03/091289号パンフレットに記載の方法等に準拠して製造することができる。
即ち、(A)一般式(I)
Figure 2010095681
[式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E1及びE2はそれぞれ置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、ヘテロシクロペンタジエニル基、置換ヘテロシクロペンタジエニル基、アミド基、ホスフィド基,炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1及びA2を介して架橋構造を形成しており、又それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX、E1、E2又はYと架橋していてもよい。Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY、E1、E2又はXと架橋していてもよく、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で[(Mの原子価)−2]を示し、rは0〜3の整数を示す。]
で表される遷移金属化合物及び(B)有機ホウ素化合物を含有する重合用触媒の存在下、プロピレンを単独重合させることにより得ることができる。
本発明において、プロピレンを重合させる方法については特に制限はなく、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法、塊状重合法、懸濁重合法など、任意の重合法を採用することができる。
重合溶媒を用いる場合には、その溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンセン等の炭化水素類やハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、重合に用いるプロピレンも使用することができる。
また、重合反応における触媒の使用量は、溶媒1リットル当たり、上記(A)成分が、通常0.5〜100マイクロモル、好ましくは2〜25マイクロモルの範囲になるように選ぶのが重合活性及び反応器効率の面から有利である。
重合条件については、圧力は、通常、常圧〜2000kg/cm2Gの範囲が選択される。
また、反応温度は、通常−50℃〜250℃の範囲である。
重合体の分子量の調節方法としては、各触媒成分の種類、使用量、重合温度の選択および水素の導入などが挙げられる。
更に、本発明におけるプロピレンの重合時には、上記触媒を用いて予備重合を行うことができる。
(2)フィラー
本発明のフィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラーが挙げられる。
用いられる無機フィラーや有機フィラーの形状については特に制限はなく、粒状、板状、棒状、繊維状、ウイスカー状など、いずれの形状のものも使用することができる。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーンなどの酸化物、水酸化アルミニルム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性硫酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩又は亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイトなどの粘土鉱物・ケイ酸塩及びその有機化物(有機化クレー)、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、マグネシウムオキシサルフェイト、各種金属繊維などを挙げることができる。
一方、有機フィラーとしては、例えば、モミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、熱硬化性樹脂粉末、カーボンナノチューブなどを挙げることができる。
これらの無機フィラー及び有機フィラーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中で、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、塩基性硫酸マグネシウムが好ましく、特に塩基性硫酸マグネシウムが好ましい。
この塩基性硫酸マグネシウムの大きさとしては、得られる成形体の剛性、耐衝撃性、耐傷付き白化性、ウエルド外観、光沢ムラなどの物性の点から、平均繊維径0.5〜1.0μmで、平均繊維長が8〜30μmのものが好適である。
特に加工粉砕法により得られたものが、物性、剛性などの点で取分け好ましい。
(3)キャリアー樹脂
本発明のキャリアー樹脂としては、特に制限はなく、α−オレフィン単独重合体、α−オレフィン共重合体、α−オレフィンとビニルモノマーとの共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・カルボン酸不飽和エステル共重合体などを挙げることができ、中でも、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン若しくは炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体等のポリプロピレン系樹脂が好ましい。
なお、これらキャリアー樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのキャリアー樹脂としては、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体を含有する系が挙げられ、その配合割合としては、例えば、ポリプロピレン:エチレン−プロピレン共重合体の質量比が65:35のものが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、プロピレン単独重合体を1〜39質量%、フィラーを60〜90質量%、該プロピレン単独重合体を除くキャリアー樹脂1〜39質量%の割合で含有する樹脂組成物であり、好ましくはプロピレン単独重合体を1〜30質量%、フィラーを60〜90質量%及びキャリア樹脂を1〜35質量%、より好ましくはプロピレン単独重合体を1〜20質量%、フィラーを60〜90質量%及びキャリア樹脂を1〜30質量%の割合で含有する樹脂組成物である。
プロピレン単独重合体の割合が上記範囲内であると、本発明の樹脂組成物の溶融張力が向上し、2軸押出機のダイスから押出される溶融状態のストランドが高濃度のフィラーを含有した場合でも脆くならないため、ストランド切れを起こさず、安定して樹脂組成物のペレットを製造することができる。
また、プロピレン単独重合体の割合が1質量%未満の場合、ペレットの製造が困難となり、39質量%を超える場合、成形体の物性が悪化する。
フィラーの割合が、60質量%未満の場合、本発明の樹脂組成物の使用量が増加し経済性が低下し、90質量%を超える場合、フィラーの分散性が悪化する。
キャリアー樹脂の割合が1質量%未満の場合、冷却槽内でストランドが固化せず、生産性が悪化し、39質量%を超える場合、ペレットの製造が困難となる。
本発明の樹脂組成物は、210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度が100Pas・S以上であり、好ましくは100Pas・S〜1,000Pas・S、より好ましくは100Pas・S〜600Pas・Sである。
210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度が100Pas・S未満であると、粘度が低すぎること、及び/またはストランドの冷却不足に起因するストランド切れやカッティング不良が多発し、量産安定性が極めて悪くなる。
また、本発明の樹脂組成物は、<210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度>/<210℃、せん断速度10sec-1での溶融粘度>で定義した溶融粘度の比が、0.4〜0.7であり、好ましくは0.42〜0.68、より好ましくは0.45〜0.65である。
溶融粘度の比が0.4より小さい場合、この樹脂組成物を樹脂改質材として用いる場合にベース樹脂との粘度差が極めて大きくなってしまい、成形機内におけるフィラーの分散不良や得られた射出成形体の表面外観不良が起こりやすくなる。一方、溶融粘度の比が0.7より大きい場合、安定したストランドを引くことが困難になる場合やストランドの強度が非常に脆いものになりやすく、量産安定性が極めて悪くなる。
本発明の樹脂組成物は、上記プロピレン単独重合体、フィラー及びキャリアー樹脂を所定の配合割合になるように押出機に供給して製造することができる。
樹脂組成物の形状は特に限定するものでないが、通常は扱い易さの点からペレット状であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物のペレットは、上記プロピレン単独重合体、フィラー及びキャリアー樹脂を溶融・混練押出しを行うことにより、ストランドを製造し、これを切断することによって得られる。
溶融・混練押出しには、樹脂をペレット化するための任意の公知技術を使用することができる。
代表的な例として、一軸押出機或いは二軸押出機又はニーダールーダー(押出機にニーダーを付加した装置)などを用いた溶融・混練押出し方法が挙げられる。
二軸押出機としては、20mmφラボプラストミル、32mmφラボテックス(日本製鋼所製二軸押出機)、35mmφTEM(東芝機械製二軸押出機)などが挙げられる。
本願発明の樹脂組成物の製造方法の態様は以下のとおりである。
溶融・混練の条件としては、例えば、下記の条件が挙げられる。
溶融・混練温度としては、160〜350℃、好ましくは、170〜250℃である。
溶融・混練時間としては、1秒〜6時間、好ましくは、30秒〜3時間である。
溶融・混練押出温度が160℃より低いとストランド状に押出すことができず、ペレットを製造することが困難である。
本発明においては、押出機の溶融混練部及び出口部(ダイス)における温度が、いずれも上記の温度範囲にあることが必要である。
溶融・混練押出し後のペレット化工程としては、得られたストランドを切断するために任意の公知技術を使用することができる。
代表的な例としては、コールドカット法、即ち、上記条件で押出されたストランドを水冷或いは空冷などにより冷却した後、ペレタイザーにより切断する方法などが挙げられる。
なお、必要に応じてストランド状以外の形態で押し出し、これをカットしてペレットとすることも可能である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に用いるポリオレフィン系樹脂としては、特に制限はないが、上記キャリアー樹脂と同じものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン若しくは炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体等のポリプロピレン系樹脂が好ましい。
本発明の樹脂組成物を配合したポリオレフィン系樹脂組成物は成形体、特に射出成形体の製造に有用である。
なお、上記ポリオレフィン系樹脂組成物は、射出成形法以外の押出成形法、具体的には、T−ダイ押出成形法、カレンダーロール成形法、熱圧縮成形法、インフレーション成形法等によるフィルム・シートの成形、更には高速紡糸成形法においても使用することが可能である。
本発明は、又、上記ポリオレフィン系樹脂組成物を用いてなるポリオレフィン成形体及び該組成物を用いて射出成形してなる自動車用射出成形体をも提供する。
本発明ポリオレフィン系樹脂組成物において、該ポリオレフィン系樹脂に配合する本発明の樹脂組成物の配合量は、通常、該ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部、好ましく0.1〜30質量部である。
配合量が0.1質量部未満では、本発明の樹脂組成物による該ポリオレフィン系樹脂改良効果が得られず、100質量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂組成物としての経済性が低い。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の目的に反しない限り、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)、アイソタクティックポリスチレン、シンジオタクタクティックポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂;アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)などのポリアクリルニトリル系樹脂;ポリメタクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂,ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンスルフォン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クロマン・インデン系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
中でも、石油樹脂が好ましい。
なお、これら熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら熱可塑性樹脂の配合量は、通常、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部、好ましく0.1〜50質量部である。
配合量が0.1質量部未満では、熱可塑性樹脂による改良効果が得られない。
また、100質量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂組成物としての特徴が失われる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、公知の発泡剤、結晶核剤、耐侯安定剤や耐熱安定剤や光安定剤(以下、安定剤という)、紫外線吸収剤,光安定剤,耐熱安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、合成油、ワックス、電気的性質改良剤、スリップ防止剤、アンチブロックング剤、粘度調製剤、着色防止剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、塩素捕捉剤、酸化防止剤、粘着防止剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
また、安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン系安定剤及び高級脂肪酸の金属塩が挙げられ、これらを、通常、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部の量で配合してもよい。
このフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等の公知の各種フェノール系酸化防止剤が使用される。
また、上記のフェノール系酸化防止剤と共に、硫黄系酸化防止剤を含有することが望ましい。
この硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の公知の各種硫黄系酸化防止剤が使用される。
更に、酸化劣化の抑制効果をより一層向上させるために、上記二種類の酸化防止剤と共に、リン系酸化防止剤を含有するのが好ましい。
このリン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト等の公知の各種リン系酸化防止剤が使用される。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)融点(Tm)の測定
示差走査型熱量計(DSC)を用いて、試料10mgを窒素雰囲気下、320℃/分で25℃から220℃に昇温し、220℃で5分間保持した後、320℃/分で25℃まで降温し、25℃で50分間保持し、10℃/分で25℃から220℃まで昇温させることにより得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測される吸熱ピークのピークトップを融点(Tm)とした。
(2)重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定
GPC法により、下記の装置及び条件で測定し重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを求めた。
GPC測定装置
カラム:TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器、WATERS150C、
測定条件
溶媒;1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度:145℃
流速:1.0ミリリットル/分
試料濃度:2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
(3)溶融粘度
毛管式流れ特性試験機(キャピログラフという)を用いて、ASTM D1238に基づき、温度210℃、L/D=40で測定したせん断速度と粘度との依存性から100sec-1及び10sec-1の溶融粘度を算出した。
製造例1(プロピレン単独重合体の製造)
攪拌機付き、内容積0.25m3のステンレス製反応器に、n−ヘプタンを20L/h、トリイソブチルアルミニウム(日本アルキルアルミ社製)を16ミリモル/h、メチルアルミノキサン(アルベマール社製)を15ミリモル/h、更に、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムクロライドを15マイクロモル/hで連続供給した。
重合温度70℃で反応器内の全圧を0.75MPa・Gに保つようプロピレンを連続供給し、気相部水素濃度で分子量を調整した。
得られた重合溶液に、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の含有量が1000ppmになるように添加し、ジャケット温度200℃にて溶媒を除去することにより、プロピレン単独重合体を得た。
得られたプロピレン単独重合体の融点(Tm)は70℃、重量平均分子量(Mw)は70000、Mw/Mnは2.0であった。
Figure 2010095681
実施例1
製造例1で得たオレフィン系重合体(プロピレン単独重合体)、キャリアー樹脂としてポリプロピレン組成物(ポリプロピレン〔(株)プライムポリマー製、J704UG〕/エチレン−プロピレン共重合体〔JSR (株)製、EP11〕を65質量%/35質量%の量で含有する組成物)、フィラーとして塩基性硫酸マグネシウム〔宇部マテリアルズ(株)製、モスハイジ〕を表2の配合割合で混合し、二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM−35B、スクリュー径35mmφ)を用いて設定温度210℃で溶融混練し、ダイスから押出したストランドを冷却水槽(20℃)中で固化し、ペレタイザーを用いて、樹脂組成物のペレットを製造したところ、ペレットを連続して生産することができた。
実施例2
各成分の配合割合を表2に記載のように変えた以外は、実施例1に準拠してペレットを製造したところ、ペレットを連続して生産することができた。
比較例1
ポリプロピレン〔(株)プライムポリマー製、J704UG〕を用い、各成分の配合割合を表2に記載のように変えた以外は、実施例1に準拠してのペレットを製造したところ、ダイスから押出されたストランドが冷却水槽中で切れてしまいし、ペレットを生産することができなかった。
比較例2
各成分の配合割合を表2に記載のように変えた以外は、実施例1に準拠してペレットを製造したところ、ダイスから押出されたストランドが冷却水槽中で固化しないため、ぺレタイザーでの切断ができず、ペレットを生産することができなかった。
比較例3
ポリエチレン〔日本ポリエチレン(株)製、LF640MA〕を用い、各成分の配合割合を表2に記載のように変えた以外は、実施例1に準拠してペレットを製造したところ、ダイスから押出されたストランドが冷却水槽中で固化しないため、ぺレタイザーでの切断ができず、ペレットを生産することができなかった。
Figure 2010095681
表2より、本発明の樹脂組成物は、ストランド切れを起こさず、ペレットを連続して製造することができる。
本発明の高濃度フィラー含有樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の改質剤として有用であり、特に自動車用内外装材に用いる射出成形体の製造に有用である。

Claims (5)

  1. 以下の(a)及び(b)を満たすプロピレン単独重合体を1〜39質量%、フィラーを60〜90質量%、並びに以下の(a)及び(b)を満たすプロピレン単独重合体を除くキャリアー樹脂を1〜39質量%の割合で含有し、210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度が100Pas・S以上であり、かつ、<210℃、せん断速度100sec-1での溶融粘度>/<210℃、せん断速度10sec-1での溶融粘度>で定義した溶融粘度の比が、0.4〜0.7であることを特徴とする樹脂組成物。
    (a)示差走査型熱量計(DSC)を用いて、試料を窒素雰囲気下、320℃/分で25℃から220℃に昇温し、220℃で5分間保持した後、320℃/分で25℃まで降温し、25℃で50分間保持し、10℃/分で25℃から220℃まで昇温させることにより得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測される吸熱ピークのピークトップを融点(Tm)としたときの該融点が0〜100℃
    (b)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定における重量平均分子量(Mw)が10,000〜100,000の範囲で、かつ、上記GPC法による測定における数平均分子量をMnとしたときの該MwとMnとの比Mw/Mnが4以下
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物をポリオレフィン系樹脂に配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である請求項2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 請求項2又は3に記載のポリオレフィン系樹脂組成物を用いてなるポリオレフィン成形体。
  5. 請求項2又は3に記載のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて射出成形してなる自動車用射出成形体。
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