JP2010095476A - 精製紅茶抽出物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カフェイン含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が極めて高く、安全性の高い精製紅茶抽出物及び当該精製紅茶抽出物を製造する方法を提供する。
【解決手段】精製紅茶抽出物の製造方法は、含水有機溶媒を用いて紅茶から抽出された紅茶抽出物を、吸着剤を充填したカラムに、空間速度として0.5〜5.0h−1の通液速度で、吸着剤のカラム充填体積量に対して0.1〜0.5倍量注入する工程と、カラムに、40〜80容量%エタノール水溶液を吸着剤のカラム充填体積量に対して0.5〜10倍量通液して、精製紅茶抽出物の画分を溶出させる工程とを含み、これにより、カフェインを実質的に含有せず、総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が、80質量%以上である精製紅茶抽出物を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、精製紅茶抽出物及びその製造方法に関する。
紅茶等の発酵茶には、茶葉の発酵過程において茶葉に含まれる酸化酵素の働きによってカテキン類から生成されるテアフラビン類が含有されていることが知られている。このテアフラビン類は、様々な生理活性(例えば、脂質吸収阻害作用;脂質のミセル中への不溶化作用、脂質のミセル中への溶解・取込阻害作用、脂質のミセルからの脱離促進作用、ミセル膜破壊作用、脂質の沈殿促進作用等のミセル形成阻害作用等)を有することが知られており、特にテアフラビン類のうちのガレート型テアフラビン類は、その生理活性が強いことが知られている。
テアフラビン類を紅茶葉から取得するために紅茶葉を熱水で抽出したとしても、得られる紅茶熱水抽出物中には、テアフラビン類が極めて少量しか含まれていないため(約2.6質量%)、熱水抽出による方法では、テアフラビン類の含有量の多い紅茶抽出物を得ることは困難であった。
一方、紅茶葉を、有機溶媒を用いた抽出処理に付すると、テアフラビン類の含有比率の高い紅茶抽出物が得られるものの、得られる紅茶抽出物中のカフェイン含有量が多くなってしまう。
このカフェインは、中枢神経興奮作用、強心作用、利尿作用等の生理活性を有しており、頭痛、感冒等の医薬品に汎用されているが、摂取量や個人差によってはカフェインのもつ強い生理活性作用により、めまい、不眠、心悸亢進、悪心等の症状が起こり、カフェイン過敏症の人々にとっては、摂取カフェイン量が重大な問題となる。
また、カフェインには、上記症状のほか、動脈硬化や心筋梗塞の原因となる血中コレステロール上昇作用があるとの疑いもある。加えて、カフェイン摂取によりカルシウム分の体外排泄量が増加し、カルシウム尿症になることも知られている。
さらに、テアフラビン類を含む紅茶抽出物を飲料等に配合させる場合、当該飲料等の種類によっては、カフェインとテアフラビン類との反応で生じるクリームダウンと称される白濁現象等により、飲料等の商品価値を大きく損ねてしまうことが知られている。そのため、カフェイン含有量の少ない紅茶抽出物が望まれている。
このような背景の中、従来、茶葉抽出物を合成吸着剤等に吸着させた後、所望成分を溶出させて回収する茶葉抽出物の精製方法が知られている(特許文献1〜5参照)。また、カフェイン含量の少ない茶ポリフェノールの製造方法が知られている(特許文献6〜9参照)。
特開平1−175978号公報 特開平2−311474号公報 特開平10−67771号公報 特開平4−182479号公報 特開平6−9607号公報 特開平8−109178号公報 特表平10−515282号公報 特開2008−125428号公報 特表2008−518590号公報
上記特許文献1〜5に記載の方法では、所望成分の脱着(溶出)に使用される有機溶媒濃度が高いもの(20%以上)であるため、精製後の茶抽出物中にもカフェインが含まれてしまい、当該茶抽出物中のカフェイン量が多くなってしまうという問題がある。そのため、茶抽出物中のカフェイン量を低減させるために、精製後の茶抽出物について別途クロロホルム処理等の脱カフェイン処理を行わなければならないという問題がある。
一方、特許文献6に記載の方法によれば、カフェイン含有量を低減させることが可能であるが、当該方法は、ガレート型テアフラビン類の含有比率を高くすることができるものではない。このように、紅茶抽出物中のカフェイン含有量を低減させるとともに、ガレート型テアフラビン類の含有比率を増大させる方法は、いままで一切知られていなかった。
また、特許文献7〜9には、紅茶テアフラビンの精製方法が開示されているが、かかる精製方法は、カフェインの除去が不完全であるとともに、毒性の強い有機溶媒を使用した方法であるため、得られる精製物の人体等への安全性に問題がある。また、特許文献7〜9には、ガレート型テアフラビン類の含有率を増大させる方法は一切開示されていない。
このような問題に鑑みて、本発明は、カフェイン含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が極めて高く、人体等への安全性の高い精製紅茶抽出物及び当該精製紅茶抽出物を製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意研究した結果、含水有機溶媒を用いて紅茶から抽出された紅茶抽出物を、所定の条件下にて吸着剤を充填したカラムに通液することで、得られる精製紅茶抽出物中のカフェイン含量を効果的に低減させることができるとともに、総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率を極めて高くすることができることが判明した。
すなわち、第一に本発明は、含水有機溶媒を用いて紅茶から抽出された紅茶抽出物を、吸着剤を充填したカラムに、空間速度として0.5〜5.0h−1の通液速度で、前記吸着剤のカラム充填体積量に対して0.1〜0.5倍量注入する工程と、前記カラムに、40〜80容量%エタノール水溶液を前記吸着剤のカラム充填体積量に対して0.5〜10倍量通液して、前記精製紅茶抽出物の画分を溶出させる工程とを含むことを特徴とする精製紅茶抽出物の製造方法を提供する(請求項1)。
上記発明(請求項1)によれば、含水有機溶媒を抽出溶媒として用いて得られた紅茶抽出物を上記条件下でカラムに通液することによって、カフェイン及び非ガレート型テアフラビン類(ガレート基を有しないテアフラビン類,遊離型テアフラビン類)と、ガレート型テアフラビン類とを分離し、カフェイン及び非ガレート型テアフラビン類のほとんどを当該紅茶抽出物から除去することができるため、一度の精製処理のみによって、カフェインの含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率の極めて高い精製紅茶抽出物を製造することができる。また、吸着剤に吸着された精製紅茶抽出物の画分を溶出させるための溶出液として、食品添加物として認められているエタノール水溶液を用いることで、人体等への安全性の高い精製紅茶抽出物を製造することができる。
上記発明(請求項1)においては、前記含水有機溶媒が、エタノール水溶液であるのが好ましい(請求項2)。かかる発明(請求項2)によれば、エタノール水溶液を抽出溶媒として用いることで、より人体等への安全性の高い精製紅茶抽出物を製造することができる。
上記発明(請求項1,2)においては、前記精製紅茶抽出物の総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が、80質量%以上であるのが好ましい(請求項3)。また、上記発明(請求項1〜3)においては、前記精製紅茶抽出物のカフェイン含有量が、0.2質量%以下であるのが好ましい(請求項4)。さらに、上記発明(請求項1〜4)においては、前記精製紅茶抽出物の総テアフラビン類と総カテキン類との合計質量におけるガレート型テアフラビン類とガレート型カテキン類との合計含有比率が、80質量%以上であるのが好ましい(請求項5)。
第二に本発明は、カフェインを実質的に含有せず、総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が、80質量%以上であることを特徴とする精製紅茶抽出物を提供する(請求項6)。
本発明において「ガレート型テアフラビン類」には、テアフラビン−3−モノガレート、テアフラビン−3’−モノガレート、テアフラビン−3,3’−ジガレート等のガレート基を有するエステル型テアフラビンが含まれる。また、「総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が高い」とは、例えば、精製紅茶抽出物の総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が80質量%以上であることを意味する。さらにまた、「カフェインを実質的に含有しない」とは、例えば、精製紅茶抽出物中におけるカフェイン含有量が、0.2質量%以下であることを意味する。
上記発明(請求項6)によれば、カフェインの含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が極めて高い精製紅茶抽出物を提供することができる。
上記発明(請求項6)においては、カフェイン含有量が、0.2質量%以下であるのが好ましく(請求項7)、上記発明(請求項6,7)においては、総テアフラビン類と総カテキン類との合計質量におけるガレート型テアフラビン類とガレート型カテキン類との合計含有比率が、80質量%以上であるのが好ましい(請求項8)。
なお、本発明において「ガレート型カテキン類」には、例えば、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のガレート基を有するエステル型カテキンが含まれる。
本発明によれば、カフェイン含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が極めて高く、安全性の高い精製紅茶抽出物及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る精製紅茶抽出物の製造方法について説明する。
本実施形態に係る精製紅茶抽出物の製造方法においては、まず、紅茶抽出液を製造する。
本実施形態において使用する抽出原料は、茶(学名:Camellia sinensis)の葉部、茎部を完全に発酵させて得られる紅茶(紅茶葉)である。紅茶の茶種としては、特に限定されるものではなく、例えば、ダージリン、アッサム、ニルギ、シッキム、ウバ、ヌワラエリア、ディンブラ、ウダプセラワ、キャンディ、ルフナ、キーモン、ラプサンスーチョン、雲南種、ケニア種、ジャワ種、スマトラ種、ネパール種、トルコ種、バングラディシュ種等が挙げられる。
上記紅茶抽出液を得るためには、特殊な抽出方法を用いることなく、植物の一般的な抽出方法を用いればよい。例えば、紅茶葉を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出による抽出に供することにより、紅茶抽出液を得ることができる。紅茶葉の乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。
抽出溶媒としては、含水有機溶媒を、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用するのが好ましい。抽出溶媒として含水有機溶媒を用いることで、得られる紅茶抽出液中のテアフラビン含有量及びカテキン含有量を増大させることができる。
含水有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等の低級脂肪族アルコール;アセトン等の低級脂肪族ケトン等のうちの1種又は2種以上の有機溶媒と水との混合溶媒を用いることができ、特にエタノール水溶液を用いるのが好ましい。エタノールは食品添加物として認められているものであることから、抽出溶媒としてエタノール水溶液を用いることで、人体等への安全性の高い紅茶抽出液を得ることができる。
抽出溶媒としての含水有機溶媒の有機溶媒濃度は、少なくとも紅茶葉からテアフラビン類を抽出させ得る限り特に限定されるものではなく、例えば、5〜90容量%であればよい。
抽出処理は、抽出原料としての紅茶葉に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、紅茶葉の1〜30倍量(質量比)、好ましくは1〜10倍量(質量比)の抽出溶媒に、紅茶葉を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより紅茶抽出液を得ることができる。
次に、上記のようにして得られた紅茶抽出液を精製して、精製紅茶抽出物を製造する。
紅茶抽出液の精製工程においては、まず、紅茶抽出液をそのまま吸着剤を充填したカラムに通液し、紅茶抽出液中の各成分(特に、テアフラビン類、カテキン類、カフェイン等)を吸着剤に吸着させる。本実施形態においては、得られた紅茶抽出液をそのままカラムに通液することができるため、紅茶抽出液の精製工程の前処理としての紅茶抽出液を希釈したり、濃縮したりする工程を省略することができ、精製紅茶抽出物の製造を簡易化することができる。
なお、本実施形態においては、上記のようにして得られた紅茶抽出液の希釈物をカラムに通液してもよいし、当該紅茶抽出液の濃縮物又は乾燥物等を、所定の溶媒(例えば、エタノール水溶液等)に溶解させた紅茶抽出物溶液をカラムに通液してもよい。なお、抽出溶媒としてエタノール水溶液以外の含水有機溶媒(例えば、メタノール水溶液、アセトン水溶液等)を用いた場合、紅茶抽出液から抽出溶媒を留去し、所望により乾燥させて得られた紅茶抽出物(濃縮物、乾燥物等)を、エタノール水溶液に溶解させて、カラムに通液することで、より人体等への安全性の高い精製紅茶抽出物を製造することができる。
カラムに充填される吸着剤としては、少なくとも紅茶抽出液中に含有されるガレート型テアフラビン類を吸着し得るものであればよく、例えば、活性炭(例えば、ZN−50(味の素ファインテクノ社製));親水性ビニルポリマー(例えば、トヨパールHW40EC(東ソー社製))、ヒドロキシプロピル化デキストラン(例えば、Sephadex LH-20(GEヘルスケアバイオサイエンス社製))、スチレン−ジビニルベンゼン重合体(例えば、ダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)、アンバーライトXAD−2(オルガノ社製))、メタアクリル酸エステル重合体(例えば、ダイヤイオンHP2MG(三菱化学社製)、アンバーライトXAD−7HP(オルガノ社製))等を母体とするゲル型合成吸着剤等が挙げられる。特に好適な例としては、親水性ビニルポリマー又はメタアクリル酸エステル重合体を母体とするゲル型合成吸着剤が挙げられる。
紅茶抽出液のカラムへの通液速度は、空間速度として0.5〜10h−1であり、好ましくは1〜5h−1である。当該通液速度が0.5h−1未満であると生産性の点で好ましくない。10h−1を超えると、吸着が不充分又は不安定となるおそれがある。
紅茶抽出液のカラムへの通液量は、カラムに充填された吸着剤の体積量に対して0.1〜1.0倍量であり、好ましくは0.1〜0.5倍量である。当該通液量が1.0倍量を超えると、吸着が不充分又は不安定となるおそれがある。
次に、紅茶抽出液が注入されたカラムに、展開溶媒としてエタノール濃度20〜100容量%、好ましくは40〜80容量%のエタノール水溶液を、吸着剤のカラム充填体積量に対して0.5〜10倍量、好ましくは2〜5倍量通液し、クロマトグラフ法による分離処理を行う。このように、エタノール濃度(有機溶媒濃度)の高い(40〜80容量%)エタノール水溶液を展開溶媒として用いても、本実施形態に係る方法によれば、カフェイン及び非ガレート型テアフラビン類と、ガレート型テアフラビン類とをほぼ分離することができる。
展開溶媒としてのエタノール水溶液のエタノール濃度が20容量%未満であると、カフェイン及び非ガレート型テアフラビン類と、ガレート型テアフラビン類との分離が不充分又は不安定となるおそれがあり、40〜80容量%であると、カフェイン及び非ガレート型テアフラビン類と、ガレート型テアフラビン類とを十分にかつ安定的に分離することができる。
また、展開溶媒としてのエタノール水溶液の通液量が0.5倍量未満であると、カフェイン及び非ガレート型テアフラビン類と、ガレート型テアフラビン類との分離が不充分又は不安定となるおそれがあり、10倍量を超えると、ガレート型テアフラビン類の回収率は上がるものの、多量の溶出液を要するため、エタノールを回収する際の蒸留操作が煩雑になるおそれがある。
展開溶媒としてのエタノール水溶液をカラムに通液後、初期通過液(例えば、吸着剤として親水性ビニルポリマー等を母体とするゲル型合成吸着剤を用いた場合、カラムへのエタノール水溶液の通液量のうちの40容量%程度)を廃棄する。当該初期通過液には、ガレート型テアフラビン類よりも吸着剤への吸着力の弱いカフェインや非ガレート型テアフラビン類、非ガレート型カテキン類が溶出するため、カフェイン、非ガレート型テアフラビン類、非ガレート型カテキン類等を紅茶抽出物から除去することができる。
上記初期通過液を廃棄した後、ガレート型テアフラビン類の画分(精製紅茶抽出物の画分)を回収する。そして、得られた画分から、必要に応じて溶媒(エタノール水溶液)を留去し、乾燥することで、精製紅茶抽出物を得ることができる。
このようにして得られた精製紅茶抽出物は、カフェイン、非ガレート型テアフラビン類のほとんどが除去されているため、カフェインの含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が極めて高いものとすることができる。
具体的には、精製紅茶抽出物中のカフェイン含有量は、0.2質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下である。また、精製紅茶抽出物の総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率は、80質量%以上であり、好ましくは80〜90質量%である。
さらに、精製紅茶抽出物中における総テアフラビン類と総カテキン類との合計質量におけるガレート型テアフラビン類とガレート型カテキン類との合計含有比率は、80質量%以上であり、好ましくは80〜90質量%以上である。
このようにして得られる精製紅茶抽出物に含まれるガレート型テアフラビン類(テアフラビン−3−モノガレート、テアフラビン−3’−モノガレート、テアフラビン−3,3’−ジガレート)は、特に優れた脂質吸収抑制作用やミセル形成阻害作用を有することが知られている。そのため、総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率の極めて高い上記精製紅茶抽出物は、効果的に脂質吸収抑制作用やミセル形成阻害作用を発揮し得ると考えられ、脂質吸収抑制剤やミセル形成阻害剤の有効成分として利用することができると考えられる。
また、ガレート型カテキン類もまた、優れた脂質吸収抑制作用やミセル形成阻害作用を有することが知られている。そして、上記精製紅茶抽出物は、精製紅茶抽出物中の総テアフラビン類と総カテキン類との合計質量におけるガレート型テアフラビン類とガレート型カテキン類との合計含有比率も極めて高いものである。そのため、上記精製紅茶抽出物は、より効果的に脂質吸収抑制作用やミセル形成阻害作用を発揮し得るものと考えられる。
上記精製紅茶抽出物を有効成分とする脂質吸収抑制剤やミセル形成阻害剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することで得ることができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。
また、上記精製紅茶抽出物は、そのまま、又は必要に応じて希釈等をし、常法により飲食品等に配合して利用することができる。
上述したように、本実施形態に係る精製紅茶抽出物の製造方法によれば、一度の精製処理のみによって、カフェインの含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率の極めて高い精製紅茶抽出物を製造することができるとともに、少なくとも展開溶媒としてエタノール水溶液を用いることで、人体等への安全性の高い精製紅茶抽出物を製造することができる。
以下、実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
20メッシュのナイロン網を備えた抽出網に投入され、上部が平坦になるように揃えた紅茶葉(中国湖南省産,CTC製法)100kgを、抽出槽に供給された60容量%エタノール水溶液450L中に90分間浸漬させた。このとき、15分ごとに抽出網を上下に移動させて、抽出槽中のエタノール水溶液を攪拌した。
浸漬処理後、得られた抽出液を抽出槽から抜き出して、80メッシュのナイロン網を用いてろ過し、次いで53μmのフィルタでろ過することで、紅茶抽出液を回収した。
ステンレスカラムに充填した合成吸着剤(トヨパールHW40EC,東ソー社製)90Lを、予め60容量%エタノール水溶液90Lにより平衡化し、上記のようにして得られた紅茶抽出液45L(合成吸着剤のカラム充填体積量に対して0.5倍量)をSV(空間速度)=4(h−1)の通液速度でステンレスカラムに注入した。
次いで、展開溶媒として60容量%エタノール水溶液450LをSV=4(h−1)の通液速度でステンレスカラムに通液し、初期通過液180Lを廃棄した後に、後半の通過液(テアフラビン類画分)270Lを回収した。
上記と同様のクロマトグラフィー分離処理を合計7回行い、テアフラビン分画物1890Lを得た。得られたテアフラビン分画物を濃縮し、噴霧乾燥することで、精製紅茶抽出物4.6kg(試料1,収率4.6%)を得た。
また、別ロットの紅茶葉を用いて、上記と同様にして精製紅茶抽出物をそれぞれ得た(試料2〜4)。
〔テアフラビン類の定量〕
上記のようにして得られた精製紅茶抽出物(試料1〜4)を、以下の方法により定量した。
試料溶液を0.45μm親水性PTFEフィルタで濾過した後、以下の条件にてHPLCを用いて定量した。結果を表1に示す。なお、表中の数字は、試料(試料1〜4)中における各成分の含有量(質量%)を表す。
<HPLC分析条件>
装置:Alliance 2695 Separations Module PDA(Model 2996)システム(日本ウォーターズ社製)
カラム:Xbridge Shield RP18(4.6mmI.D.×150mm,3.5μm,日本ウォーターズ社製)
移動相A液:水
移動相B液:アセトニトリル
移動相C液:1.0%リン酸水溶液を用いたグラジエント法
流速:1mL/min
検出:UV280nm
カラム温度:40℃
サンプル量:10μL
Figure 2010095476
表1に示すように、精製紅茶抽出物(試料1〜4)は、すべてカフェイン含有量が測定限界値以下(0.2質量%以下)であって、総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が80質量%以上であることが確認された。また、精製紅茶抽出物(試料1〜4)は、総テアフラビン類と総カテキン類との合計質量におけるガレート型テアフラビン類とガレート型カテキン類との合計含有比率が、90質量%程度であることも確認された。
このことから、上記方法によって紅茶抽出物を精製することで、カフェイン含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率の極めて高い精製紅茶抽出物を製造可能であることが確認された。
また、実施例1の結果から、紅茶抽出液の通液速度を空間速度として4h−1とし、紅茶抽出液の通液量を吸着剤のカラム充填体積量に対して0.5倍量とし、展開溶媒(エタノール水溶液)の通液量を吸着剤のカラム充填体積量に対して0.5倍量とし、展開溶媒としてのエタノール水溶液のエタノール濃度を60容量%とすることで、カフェイン含有量が極めて少なく(0.2質量%以下)、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率の極めて高い(80質量%以上)精製紅茶抽出物を製造可能であることが確認された。
本発明は、カフェイン含有量が極めて少なく、かつ総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が極めて高く、安全性の高い精製紅茶抽出物の製造に有用である。

Claims (8)

  1. 含水有機溶媒を用いて紅茶から抽出された紅茶抽出物を、吸着剤を充填したカラムに、空間速度として0.5〜5.0h−1の通液速度で、前記吸着剤のカラム充填体積量に対して0.1〜0.5倍量注入する工程と、
    前記カラムに、40〜80容量%エタノール水溶液を前記吸着剤のカラム充填体積量に対して0.5〜10倍量通液して、精製紅茶抽出物の画分を溶出させる工程と
    を含むことを特徴とする精製紅茶抽出物の製造方法。
  2. 前記含水有機溶媒が、エタノール水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の精製紅茶抽出物の製造方法。
  3. 前記精製紅茶抽出物の総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が、80質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の精製紅茶抽出物の製造方法。
  4. 前記精製紅茶抽出物のカフェイン含有量が、0.2質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の精製紅茶抽出物の製造方法。
  5. 前記精製紅茶抽出物の総テアフラビン類と総カテキン類との合計質量におけるガレート型テアフラビン類とガレート型カテキン類との合計含有比率が、80質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の精製紅茶抽出物の製造方法。
  6. カフェインを実質的に含有せず、総テアフラビン類中におけるガレート型テアフラビン類の含有比率が、80質量%以上であることを特徴とする精製紅茶抽出物。
  7. カフェイン含有量が、0.2質量%以下であることを特徴とする請求項6に記載の精製紅茶抽出物。
  8. 総テアフラビン類と総カテキン類との合計質量におけるガレート型テアフラビン類とガレート型カテキン類との合計含有比率が、80質量%以上であることを特徴とする請求項6又は7に記載の精製紅茶抽出物。
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Citations (4)

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