JP2010095057A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ユニフォミティと歩留りを一層向上させた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】空気入りタイヤ1は、一対のビード部間にトロイド状に跨るカーカス2と、カーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層3と、ベルト層3のタイヤ幅方向外側に配置された一対のベルト補強層4、4と、ベルト層3及びベルト補強層4、4のタイヤ径方向外側に配置されたトレッド5とを備える。ベルト層3は、波状又はジグザグ状に屈曲しながら略タイヤ周方向に沿って延びる複数本のコードをゴム被覆してなるストリップ材を、カーカス2の外周上に螺旋状に巻回して構成される。ベルト補強層4は、ベルト層3を構成するコードの弾性率よりも小さい弾性率を有する1本のコードをゴム被覆してなるゴム被覆コードを、カーカス2の外周上に螺旋状に巻回して構成される。
【選択図】図1
【解決手段】空気入りタイヤ1は、一対のビード部間にトロイド状に跨るカーカス2と、カーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層3と、ベルト層3のタイヤ幅方向外側に配置された一対のベルト補強層4、4と、ベルト層3及びベルト補強層4、4のタイヤ径方向外側に配置されたトレッド5とを備える。ベルト層3は、波状又はジグザグ状に屈曲しながら略タイヤ周方向に沿って延びる複数本のコードをゴム被覆してなるストリップ材を、カーカス2の外周上に螺旋状に巻回して構成される。ベルト補強層4は、ベルト層3を構成するコードの弾性率よりも小さい弾性率を有する1本のコードをゴム被覆してなるゴム被覆コードを、カーカス2の外周上に螺旋状に巻回して構成される。
【選択図】図1
Description
この発明は、一対のビード部間にトロイド状に跨るカーカスと、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ幅方向外側に配置された一対のベルト補強層と、前記ベルト層及びベルト補強層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドとを備える空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、特にかかるタイヤのユニフォミティの向上と歩留りの向上を図る。
近年、車両の高速化や低床化の要求により、こうした車両に装着されるタイヤはより偏平化され、これに伴って標準内圧付与時におけるトレッド部のタイヤ径方向外側への成長量は一層増大する傾向にある。このトレッド部のタイヤ径方向外側への成長量の増加は、ベルト層端部への応力集中とこれに起因する耐久性の低下を招くため、特にベルト層エンドセパレーションを早期に発生させる要因となる。
かかる径成長を抑制するには、タイヤ周方向に延びるコードをトレッド部内の広い範囲に配設した、いわゆる広幅周方向ベルト層を用いることが有効である。しかし、広幅周方向ベルト層を用いたタイヤでは、負荷転動に伴い、接地領域において周方向ベルト層の幅方向端部が周方向に曲げ変形して、ベルト層が周方向に伸びやすい。この結果、引張入力が繰り返し強くコードに作用することになるため、周方向ベルト層の幅方向端部において、コードが疲労破断しやすくなる。周方向ベルト層のコードが疲労破断すると、周方向張力を負担できなくなり、タイヤの形状保持か不可能となり、その使用が困難になる。
かかる周方向ベルト層端部におけるコードの耐疲労性を向上させるため、特許文献1には、並列に配置した複数本のコードをゴム被覆してなるストリップ材をタイヤ周方向に螺旋巻回した、少なくとも1層の周方向ベルト層と、タイヤの赤道面に対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層の傾斜ベルト層とを順に配置して成るベルト層を有し、前記周方向ベルト層の幅をタイヤの総幅の60%以上とし、少なくとも1層の傾斜ベルト層の幅を周方向ベルト層の幅よりも広くし、さらに、周方向ベルト層において、その幅方向端部側に配置されたコードの弾性率を当該コードの幅方向内側に配置されたコードの弾性率よりも低くした空気入りタイヤが記載されている。
特開2008−155857号公報
特許文献1に記載されたタイヤでは、ストリップ材を螺旋巻回するに際して、図3に示すように、タイヤ幅方向に隣接するストリップ材10を互いにオーバーラップさせるが、折り返しを伴う幅端部11においては、オーバーラップの向き及び量が不均一となり、局所的にコードの配設密度の偏りを生じる。このため、タイヤに内圧を充填した際に、ベルト層の径成長分布が不均一となり、特に偏平率の低いタイヤにおいて、真円性に悪影響を及ぼし、高いユニフォミティが得られない場合がある。また、ベルト層の幅端部においては、ストリップ材の間の空隙(ギャップ)が多くなり、加硫成型後のエアーの残留を招きやすく、これがために製品タイヤの歩留まり向上の妨げとなるおそれもあった。
したがって、この発明は、これらの問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、ユニフォミティと歩留りを一層向上させた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、この発明に従う空気入りタイヤは、一対のビード部間にトロイド状に跨るカーカスと、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ幅方向外側に配置された一対のベルト補強層と、前記ベルト層及びベルト補強層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドとを備える空気入りタイヤであって、前記ベルト層は、波状又はジグザグ状に屈曲しながら略タイヤ周方向に沿って延びる複数本のコードをゴム被覆してなるストリップ材を、前記カーカスの外周上に螺旋状に巻回して構成され、前記ベルト補強層は、前記ベルト層を構成するコードの弾性率よりも小さい弾性率を有する1本のコードをゴム被覆してなるゴム被覆コードを、前記カーカスの外周上に螺旋状に巻回して構成されることを特徴とする。これによれば、ベルト補強層が1本のゴム被覆コードを螺旋巻回することで構成されているので、コードの配設密度が均一であり、かつ、ベルト補強層の幅端部においても、ゴム被覆コードが、それらの間に空隙を作ることなく密に配設されているので、タイヤに内圧を充填した際のベルト層の径成長分布を均一にすることが可能となる。
なお、ここでいう「略タイヤ周方向」とは、ストリップ材を螺旋巻回する際に不可避的に発生する微小な角度(通常、タイヤ周方向に対して0.5度以下の角度)を含むことを意味するものであり、「波状又はジグザグ状に屈曲しながら略タイヤ周方向に沿って延びる」とは、微視的には波状又はジグザグ状の屈曲し、延在方向が変化しているが、巨視的には延在方向が略タイヤ周方向に一致している状態をいうものとする。
また、前記ストリップ材は、前記ベルト層のタイヤ幅方向両端部の間の所定の位置から前記ベルト層の一方のタイヤ幅方向端部まで螺旋巻回され、前記一方のタイヤ幅方向端部で折り返されて前記ベルト層の他方のタイヤ幅方向端部まで螺旋巻回され、前記他方のタイヤ幅方向端部でさらに折り返され前記所定の位置の近傍まで螺旋巻回されており、8字状断面を有することが好ましい。なお、ここでいう「前記所定の位置の近傍まで螺旋巻回」とは、出来上がったベルト層が幅方向に極端な剛性段差を生ずることがない程度にまで、前記所定の位置、すなわち螺旋巻回の始点に近い位置まで螺旋巻回を行うことを意味し、好ましくは、前記所定の位置からのタイヤ幅方向距離がストリップ材の幅以下である。
さらに、前記ゴム被覆コードは、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向内端部から前記ベルト補強層のタイヤ幅方向外端部まで螺旋巻回され、前記タイヤ幅方向外端部で折り返されて前記幅方向内端部まで螺旋巻回されており、コ字状断面を有することが好ましい。
さらにまた、前記ベルト補強層の各々の幅は、前記ベルト層の幅の5〜20%の範囲内であることが好ましい。
そして、この発明に従う空気入りタイヤの製造方法は、一対のビード部間にトロイド状に跨るカーカスと、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ幅方向外側に配置された一対のベルト補強層と、前記ベルト層及びベルト補強層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドとを備える空気入りタイヤを製造するにあたり、前記カーカスの外周上に、波状又はジグザグ状に屈曲しながら延びる複数本のコードをゴム被覆してなるストリップ材を、該コードが略タイヤ周方向に沿うように螺旋状に巻回して前記ベルト層を構成し、前記ベルト層のタイヤ幅方向外側に、前記ベルト層を構成するコードの弾性率よりも小さい弾性率を有する1本のコードをゴム被覆してなるゴム被覆コードを、該コードが略タイヤ周方向に沿うように螺旋状に巻回して前記ベルト補強層を構成することを特徴とする。これによれば、1本のゴム被覆コードを螺旋巻回することでベルト補強層を構成しているので、コードの配設密度を均一にすることが可能であり、かつ、ベルト補強層の幅端部においても、ゴム被覆コードの間に空隙を作ることなく折り返しを行うことが可能となる。
また、前記ストリップ材の螺旋巻回は、前記ベルト層のタイヤ幅方向両端部の間の所定の位置から開始され、前記ベルト層の一方のタイヤ幅方向端部まで連続し、前記一方のタイヤ幅方向端部で折り返された後、前記ベルト層の他方のタイヤ幅方向端部まで連続し、前記他方のタイヤ幅方向端部でさらに折り返された後、前記所定の位置の近傍まで連続し終了することが好ましい。
さらに、前記ゴム被覆コードの螺旋巻回は、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向内端部から開始され、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向外端部まで連続し、前記外端部で折り返された後、前記幅方向内端部まで連続し終了することが好ましい。
この発明によれば、タイヤへの内圧充填状態でのベルト層の径成長分布が均一となることから、真円性が向上し、高いユニフォミティを得ることができる。また、周上のいずれの箇所においても、ゴム被覆コードの間に空隙がなく密に配設されていることから、加硫成型後のエアーの残留がなく、製品タイヤの歩留まりが向上する。
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という)の要部のタイヤ幅方向断面を模式的に示しており、図2は、図1に示すタイヤのベルト補強層のタイヤ幅方向断面を示す。
図1に示すタイヤ1は、図示しない一対のビード部間にトロイド状に跨るカーカス2と、このカーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層3と、ベルト層3のタイヤ幅方向外側に配置された一対のベルト補強層4、4と、ベルト層3及びベルト補強層4、4のタイヤ径方向外側に配置されたトレッド5とを備える。
ベルト層3は、波状又はジグザグ状に屈曲しながら略タイヤ周方向に沿って延びる複数本のコードをゴム被覆してなるストリップ材を、カーカス2の外周上で、隣接するストリップ材の間で相互にオーバーラップを形成しつつ、螺旋状に巻回して構成されている。かかるコードとしては、非伸張性の金属コード、例えば層撚りの(3+9+15)×0.23mmのコードを用いることができる。
また、ベルト補強層4には、ベルト層3を構成するコードの弾性率よりも小さい弾性率を有する1本のコードをゴム被覆してなるゴム被覆コード6を用いる。かかるコードとしては、初期伸びを有する伸張性の金属コード、例えば複撚りの4×(0.28mm+6×0.25mm)のいわゆるハイエロンゲーションコード、又は有機繊維コードを用いることができる。
走行中のタイヤでは、ベルト層の幅端部に引張振幅入力が作用する。この引張振幅入力は、タイヤのトレッド端部側の接地面において、コードが周方向に延ばされて引張最大応力が作用し、トレッド端部の非接地域ではほぼ内圧充填時の引張応力が作用するためである。そこで、接地面内においてコードがタイヤの周方向に伸ばされたとき、この接地面に対応する領域に、弾性率が低いコードを配設すれば、コードにかかる引張応力は低くなる。しかし、ベルト層の全てにまで弾性率の低いコードを使ってしまうと、内圧充填時の径成長量が大きくなり、タイヤの形状保持が困難になる。そこで、比較的弾性率の高いコードを用いてベルト層を構成することで径成長を抑制しつつ、接地面に対応する領域に比較的弾性率の低いコードを用いたベルト補強層を配設することによって、内圧充填時のタイヤ径方向成長量をトレッドの全幅にわたって略均一にすることができる。また、接地面における、ベルト層のタイヤ幅方向端部の応力振幅は効果的に抑制される結果、コードの疲労破断を抑制することができる。
なお、ベルト補強層を構成するコードの弾性率は、ベルト層を構成するコードの弾性率の0.3〜0.8倍であることが、上記引張応力の振幅抑制に有効である。好適な弾性率の範囲は、ベルト層3を構成するコードについては、径成長抑制の観点から80〜210GPaの範囲であり、ベルト補強層4を構成するコードについては、径成長の抑制と幅方向端部での疲労破断の抑制の観点から、40〜100GPaの範囲である。
上記のゴム被覆コード6をカーカス2の外周上に螺旋状に巻回してベルト補強層4を構成することで、図2に示すように、ベルト補強層4の全体にわたってコードの配設密度が均一となる。このため、タイヤに内圧を充填した際に、ベルト層が均一に径成長を行うので、偏平率の低いタイヤであっても、真円性が確保され、高いユニフォミティが得られる。また、ゴム被覆コード6が密接して配置されており、それらの間に空隙(ギャップ)ができないので、加硫成型後にエアーが残留することがなく、製品タイヤの歩留まりが向上する。
ここで、トレッドの径成長を有効に抑制する観点からは、ベルト層の幅BWと1対のベルト補強層4、4の幅RWとの和BW+2RWがタイヤの総幅TWの60%以上であることが好ましい。なぜなら、径成長の大きい領域は、タイヤ総幅TWの60〜70%の領域だからである。上限は、タイヤ形状の制約から、90%とすることが好ましい。
図示の実施形態では、ストリップ材は、ベルト層3のタイヤ幅方向両端部7a、7bの間の所定の位置8aからベルト層3の一方のタイヤ幅方向端部7aまで螺旋巻回される。このタイヤ幅方向端部7aにおいてタイヤ幅方向で逆向きに折り返され、次いでベルト層3の他方のタイヤ幅方向端部7bまで螺旋巻回される。このタイヤ幅方向端部7bにおいてタイヤ幅方向で逆向きに折り返され、次いでタイヤ幅方向で見て所定の位置8aの近傍の位置8bまで螺旋巻回される。このようにして形成されたベルト層3は、8字状の断面を有することとなる。巻回の周方向端部は、荷重が負荷されるとセパレーションを起こしやすいが、かかる構成を採用することにより、この周方向端部を応力の集中しやすいベルト層の幅端部から離して配置することができるので、かかるセパレーションに起因した歩留まりの低下を防止でき、かつ、タイヤの耐久性が向上する。なお、ここで位置8bを位置8aの近傍とするのは、仮にこれらの距離が大きかった場合には、位置8aと位置8bとの間のベルト層3の強度が、他の部分に比べて極端に低くなる結果、タイヤに内圧を充填した際に、この強度の低い部分が大きく径成長し、タイヤのユニフォミティが損なわれるおそれがあるからである。
また、この実施形態では、ゴム被覆コード6は、ベルト補強層4のタイヤ幅方向内端部9aからベルト補強層3のタイヤ幅方向外端部9bまで螺旋巻回される。このタイヤ幅方向外端部9bにおいてタイヤ幅方向で逆向きに折り返され、次いで幅方向内端部9aまで螺旋巻回される。このようにして形成されたベルト補強層4は、コ字状の断面を有することとなる。巻回の周方向端部は、荷重が負荷されるとセパレーションを起こしやすいが、かかる構成を採用することにより、この周方向端部を応力の集中しやすいベルト補強層の幅方向外端部から離して配置することができるので、かかるセパレーションに起因した歩留まりの低下を防止でき、かつ、タイヤの耐久性が向上する。
ベルト補強層4の幅RWは、ベルト層3の幅BWの5〜20%の範囲内とすることが好ましい。なぜなら、幅RWが幅BWの5%未満では、応力振幅の大きい領域に弾性率の高いコードが存在してしまうためにコードの耐久性が低下する恐れがあり、一方20%を超えると、径成長の増大を抑制することが難しくなるからである。
次に、この発明に従うタイヤ製造方法の一例を説明する。まず、波状又はジグザグ状に癖付けされた複数本のコードを引き揃え、これをゴム被覆して形成されたストリップを準備する。次に、タイヤ成型ドラムにインナーライナー、カーカスプライを貼り付けた後、ストリップ材の一端をカーカスの外周上貼り付け、幅方向における貼り付け位置を変化させながら、タイヤ形成ドラムを回転すると、ストリップ材がカーカス上に螺旋巻回される。この際、コードが略タイヤ周方向に沿うように巻回を行う。貼り付け位置がベルト層の幅方向端部に相当する位置に到達すると、幅方向におけるストリップ材の進行方向を反転し、既にカーカス上に貼り付けられたストリップ材上で螺旋巻回をおこなう。このようにして、所望の形状のベルト層となるまで、両幅端部間を往復しつつ巻回を続ける。
ベルト層が完成したら、これのタイヤ幅方向外側に、1本の低弾性コードをゴム被覆してなるゴム被覆コードをカーカス上に貼り付け、コードの延在方向が略タイヤ周方向となるようにしながら、上記と同様にタイヤ成型ドラムを回転することで、螺旋巻回を行ってベルト補強層を形成する。この際、貼り付け位置がベルト補強層の幅方向端部に相当する位置に到達すると、幅方向におけるゴム被覆コードの進行方向を反転し、既にカーカス上に貼り付けられたゴム被覆コード上で螺旋巻回を行う。
このようにしてベルト補強層を形成した後は、慣例に従ってトレッド等の所要のタイヤ構成部材を取付け、加硫成型を行って製品タイヤを製造する。
ストリップ材の巻回は、任意の位置から開始することができるが、巻回の周方向端部からのセパレーションを防止する観点からは、この周方向端部を応力の集中しやすいベルト層の幅端部から離して配置すること、すなわち、図1に示すように、ベルト層3のタイヤ幅方向両端部7a、7bの間の所定の位置8aから開始することが好ましい。
また、ゴム被覆コードの巻回は、任意の位置から開始することができるが、巻回の周方向端部からのセパレーションを防止する観点からは、この周方向端部を応力の集中しやすいベルト補強層4の幅方向外端部9bから離して配置すること、特に、図1に示すように、ベルト補強層4のタイヤ幅方向内端部9aから開始することが好ましい。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
次に、この発明に従うタイヤを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例のタイヤは、タイヤサイズが495/45R22.5であり、図1に示した構造を有している。ベルト層は、コード径1.40mm、弾性率80〜210GPaの金属コードを9本引き揃えてゴム被覆してなるストリップ材で構成されており、幅が20mmである。また、ベルト補強層は、コード径1.96mm、弾性率40〜100GPaの金属コードをゴム被覆した直径2.60mmのゴム被覆コードを、送りピッチ2.60mmでタイヤ幅方向に移動させながらタイヤ周方向に10回転巻き付け、折り返した後にさらに10回転巻き付けて構成されており、1つのベルト補強層の幅は13.0mmである。
比較のため、ベルト補強層を除いては、実施例のタイヤと同じ構造および諸元を有する比較例のタイヤも併せて試作した。このタイヤのベルト補強層は、コード径1.96mm、弾性率40〜100GPaの金属コードを5本引き揃えてゴム被覆してなるストリップ材から構成されており、2回転巻回した後に折り返してさらに2回転巻回してなり、1つのベルト補強層の幅は13.0mmである。
前記各供試タイヤをそれぞれ100本ずつ製造し、サイズ17.5×22.5インチのリムに装着してタイヤ車輪とし、内圧700kPa(相対圧)、負荷荷重4500Nを適用した状態で、自動車規定JASOC607の「自動車用タイヤのユニフォミティ試験方法」に準拠してRFV(ラジアルフォースバリエーション)を測定し、この測定結果からユニフォミティを評価した。その結果、比較例タイヤのRFVの平均値は970Nであったのに対して、実施例タイヤのRFVの平均値は850Nであり、大幅にユニフォミティが改善されていた。
また、前記各供試タイヤ100本ずつに対してシアログラフィ検査を行い、ベルト補強層部分へのエアー残りの発生率を調べ、この結果から歩留まりを評価した。その結果、比較例タイヤのエアー残り発生率は0.50%であったのに対して、実施例タイヤのエアー残り発生率は0.08%であり、大幅に歩留まりが向上していた
以上の説明から明らかなように、この発明によって、ユニフォミティと歩留りを一層向上させた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することが可能となった。
1 タイヤ
2 カーカス
3 ベルト層
4 ベルト補強層
5 トレッド
6 ゴム被覆コード
7a、7b ベルト層のタイヤ幅方向端部
8a、8b ベルト層の周方向端部
9a、9b ベルト補強層のタイヤ幅方向端部
2 カーカス
3 ベルト層
4 ベルト補強層
5 トレッド
6 ゴム被覆コード
7a、7b ベルト層のタイヤ幅方向端部
8a、8b ベルト層の周方向端部
9a、9b ベルト補強層のタイヤ幅方向端部
Claims (7)
- 一対のビード部間にトロイド状に跨るカーカスと、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ幅方向外側に配置された一対のベルト補強層と、前記ベルト層及びベルト補強層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドとを備える空気入りタイヤにおいて、
前記ベルト層は、波状又はジグザグ状に屈曲しながら略タイヤ周方向に沿って延びる複数本のコードをゴム被覆してなるストリップ材を、前記カーカスの外周上に螺旋状に巻回して構成され、
前記ベルト補強層は、前記ベルト層を構成するコードの弾性率よりも小さい弾性率を有する1本のコードをゴム被覆してなるゴム被覆コードを、前記カーカスの外周上に螺旋状に巻回して構成されることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ストリップ材は、前記ベルト層のタイヤ幅方向両端部の間の所定の位置から前記ベルト層の一方のタイヤ幅方向端部まで螺旋巻回され、前記一方のタイヤ幅方向端部で折り返されて前記ベルト層の他方のタイヤ幅方向端部まで螺旋巻回され、前記他方のタイヤ幅方向端部でさらに折り返され前記所定の位置の近傍まで螺旋巻回されており、8字状断面を有する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム被覆コードは、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向内端部から前記ベルト補強層のタイヤ幅方向外端部まで螺旋巻回され、前記タイヤ幅方向外端部で折り返されて前記幅方向内端部まで螺旋巻回されており、コ字状断面を有する、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層の各々の幅は、前記ベルト層の幅の5〜20%の範囲内である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 一対のビード部間にトロイド状に跨るカーカスと、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ幅方向外側に配置された一対のベルト補強層と、前記ベルト層及びベルト補強層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドとを備える空気入りタイヤを製造するにあたり、
前記カーカスの外周上に、波状又はジグザグ状に屈曲しながら延びる複数本のコードをゴム被覆してなるストリップ材を、該コードが略タイヤ周方向に沿うように螺旋状に巻回して前記ベルト層を構成し、
前記ベルト層のタイヤ幅方向外側に、前記ベルト層を構成するコードの弾性率よりも小さい弾性率を有する1本のコードをゴム被覆してなるゴム被覆コードを、該コードが略タイヤ周方向に沿うように螺旋状に巻回して前記ベルト補強層を構成することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。 - 前記ストリップ材の螺旋巻回は、前記ベルト層のタイヤ幅方向両端部の間の所定の位置から開始され、前記ベルト層の一方のタイヤ幅方向端部まで連続し、前記一方のタイヤ幅方向端部で折り返された後、前記ベルト層の他方のタイヤ幅方向端部まで連続し、前記他方のタイヤ幅方向端部でさらに折り返された後、前記所定の位置の近傍まで連続し終了する、請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記ゴム被覆コードの螺旋巻回は、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向内端部から開始され、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向外端部まで連続し、前記外端部で折り返された後、前記幅方向内端部まで連続し終了する、請求項6又は7に記載の空気入りタイヤ。
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JP2008265655A Withdrawn JP2010095057A (ja) | 2008-10-14 | 2008-10-14 | 空気入りタイヤ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010095057A (ja) |
-
2008
- 2008-10-14 JP JP2008265655A patent/JP2010095057A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
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