JP2009196601A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ユニフォミティや耐偏摩耗性を悪化させずにベルトの耐久性を高めた空気入りタイヤの提供。
【解決手段】少なくとも1層の周方向ベルト層と少なくとも2層の傾斜ベルト層を順に配置し、周方向ベルト層幅がタイヤ総幅の60%以上で少なくとも1層の傾斜ベルト層幅が周方向ベルト層幅よりも広く、周方向ベルト層を中央域2Cと端部域2E1とに区画し、端部域に配置されたコードの弾性率が中央域よりも低くかつ端部域が2層構造で端部域は中央域に隣接する内側端IEから、1本または複数本のコードをゴムで被覆したストリップSをベルトの幅方向内側から外側に向かって、前記カーカスのクラウン部外周長Lの90%以上の周長でストリップ幅SW以内の量をずらしながら第一周を巻き、その後第二周を巻き付けた後カーカスのクラウン部外周長の90%以上の周長でストリップ幅以内の量をずらしながら第三周を巻きつけた後赤道面に沿って第四周を巻き付ける。
【選択図】図2
【解決手段】少なくとも1層の周方向ベルト層と少なくとも2層の傾斜ベルト層を順に配置し、周方向ベルト層幅がタイヤ総幅の60%以上で少なくとも1層の傾斜ベルト層幅が周方向ベルト層幅よりも広く、周方向ベルト層を中央域2Cと端部域2E1とに区画し、端部域に配置されたコードの弾性率が中央域よりも低くかつ端部域が2層構造で端部域は中央域に隣接する内側端IEから、1本または複数本のコードをゴムで被覆したストリップSをベルトの幅方向内側から外側に向かって、前記カーカスのクラウン部外周長Lの90%以上の周長でストリップ幅SW以内の量をずらしながら第一周を巻き、その後第二周を巻き付けた後カーカスのクラウン部外周長の90%以上の周長でストリップ幅以内の量をずらしながら第三周を巻きつけた後赤道面に沿って第四周を巻き付ける。
【選択図】図2
Description
本発明は、ベルトとして、コードやフィラメント等の補強素子がタイヤ赤道に沿う向きに延びる周方向ベルト層を有する空気入りタイヤ、特に、重荷重用空気入りタイヤに関するものである。
近年、車両の高速化や低床化の要求により、装着タイヤはより扁平化され、これに伴って標準内圧付与時のトレッド部の径方向成長量は一層増大してゆく傾向にある。このトレッド部における径方向成長量の増加は、ベルト端部での応力集中を増幅して当該部分での耐久性の低下を招くため、特にベルトエンドセパレーションを早期に発生させる要因となる。
すなわち、扁平比の小さいタイヤでは、内圧付与時のトレッド部、特にショルダー部近傍の径成長量が増大することが問題になるから、タイヤの周方向に配置した補強素子による周方向ベルト層にて径成長を抑制する技術が必要となる。
すなわち、扁平比の小さいタイヤでは、内圧付与時のトレッド部、特にショルダー部近傍の径成長量が増大することが問題になるから、タイヤの周方向に配置した補強素子による周方向ベルト層にて径成長を抑制する技術が必要となる。
周方向ベルト層にて径成長を抑制する技術について、特許文献1には、カーカスの周りにタイヤ赤道に対し、10〜40゜の傾斜角にて互いにタイヤ赤道を挟み交差する多数のコード又はフィラメントを補強要素とする、少なくとも2層の傾斜ベルトを有し、さらに傾斜ベルトの下に位置する、少なくとも1層よりなり、波形もしくはジグザグ形をなす多数のコード又はフィラメントの補強要素を全体としてタイヤ赤道に沿う配向としたストリップによる周方向ベルト層を有する構造が開示されている。
特開平2−208101号公報
しかし、更に扁平比が小さくなった場合、具体的には、タイヤの断面幅に対する断面高さの比である扁平比が0.70以下の場合には、周方向ベルト層の幅を更に広げないと、所期した径成長の抑制が困難となる。ところが、周方向ベルト層幅を広げることは、以下の新たな問題をまねくことになる。
すなわち、周方向ベルト層幅を広げると、タイヤ走行に伴い、接地領域において周方向ベルト層の幅方向端部が周方向に曲げ変形してベルト層が周方向に伸びる結果生じる、引張入力(以下、引張振幅入力)が繰り返し強く作用することになり、その結果、周方向ベルト層の幅方向端部において、コードが疲労破断し易くなる。
周方向ベルト層を広くした場合、最も問題となるのが、周方向ベルト層の幅方向端部における、コードの疲労破断である。これは、タイヤ走行に伴い、周方向ベルト層端部のコードに引張振幅入力が作用するためであり、引張振幅入力を抑制することが、この問題を解決するためには不可欠である。
さらに、周方向ベルト層を広くした場合、その幅方向端部において周方向剛性が不均一になり易いために、ユニフォミティが阻害され、ひいては周方向に偏摩耗が発生することも問題となる。
そこで、本発明の目的は、特にユニフォミティさらには耐偏摩耗性を悪化させることなく周方向ベルト層端部におけるコードの耐疲労性を向上することによって、ベルトの耐久性を高めた空気入りタイヤ、中でも扁平比の小さい重荷重用ラジアルタイヤを提供することにある。
発明者らは、前記引張振幅入力を抑制するための方法を鋭意究明した結果、周方向ベルト層に埋設したコードの弾性率を調整することが、コードの疲労破断を抑制するのに極めて有効であること、そして周方向ベルト層の幅方向端部におけるベルト構造を工夫することによってユニフォミティが改善すること、を見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、該カーカスのクラウン部の径方向外側に、タイヤの赤道面に沿って延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも1層の周方向ベルト層と、タイヤの赤道面に対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層の傾斜ベルト層とを順に配置したベルトを有し、該ベルトの径方向外側にトレッドを配置したタイヤであって、
前記周方向ベルト層の幅がタイヤの総幅の60%以上であり、
少なくとも1層の傾斜ベルト層の幅が周方向ベルト層の幅よりも広く、
各周方向ベルト層を幅方向中央域と該幅方向中央域の幅方向外側に位置する幅方向端部域とに区画した際、前記幅方向端部域に配置されたコードの弾性率が前記幅方向中央域に配置されたコードの弾性率よりも低く、
前記周方向ベルト層の幅方向端部域が少なくとも2層構造であって、該幅方向端部域は、前記幅方向中央域に隣接する内側端から、1本または複数本のコードをゴムで被覆したストリップを、ベルトの幅方向内側から外側に向かって、前記カーカスのクラウン部外周長の90%以上の周長に対してストリップ幅以内の移動量でずらしながら第一周を巻きつけ、その後タイヤの赤道面に沿って第二周を巻き付け、次いで、ベルトの幅方向外側から内側に向かって、前記カーカスのクラウン部外周長の90%以上の周長に対してストリップ幅以内の移動量でずらしながら第三周を巻きつけ、その後タイヤの赤道面に沿って第四周を巻き付けて成ることを特徴とする空気入りタイヤ。
(1)一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、該カーカスのクラウン部の径方向外側に、タイヤの赤道面に沿って延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも1層の周方向ベルト層と、タイヤの赤道面に対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層の傾斜ベルト層とを順に配置したベルトを有し、該ベルトの径方向外側にトレッドを配置したタイヤであって、
前記周方向ベルト層の幅がタイヤの総幅の60%以上であり、
少なくとも1層の傾斜ベルト層の幅が周方向ベルト層の幅よりも広く、
各周方向ベルト層を幅方向中央域と該幅方向中央域の幅方向外側に位置する幅方向端部域とに区画した際、前記幅方向端部域に配置されたコードの弾性率が前記幅方向中央域に配置されたコードの弾性率よりも低く、
前記周方向ベルト層の幅方向端部域が少なくとも2層構造であって、該幅方向端部域は、前記幅方向中央域に隣接する内側端から、1本または複数本のコードをゴムで被覆したストリップを、ベルトの幅方向内側から外側に向かって、前記カーカスのクラウン部外周長の90%以上の周長に対してストリップ幅以内の移動量でずらしながら第一周を巻きつけ、その後タイヤの赤道面に沿って第二周を巻き付け、次いで、ベルトの幅方向外側から内側に向かって、前記カーカスのクラウン部外周長の90%以上の周長に対してストリップ幅以内の移動量でずらしながら第三周を巻きつけ、その後タイヤの赤道面に沿って第四周を巻き付けて成ることを特徴とする空気入りタイヤ。
(2)前記ストリップの第一周および第三周のストリップの移動量がストリップ幅であることを特徴とする前記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3)前記傾斜ベルト層の幅がタイヤの総幅の65%以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の空気入りタイヤ。
(4)前記低弾性率コードは、初期伸びを有する伸張性の金属コードであり、前記高弾性率コードは、非伸張の金属コードを直線状、波形状もしくはジグザグ状に型付けしたものであることを特徴とする前記(1)、(2)または(3)に記載の空気入りタイヤ。
(5)前記低弾性率コードが有機繊維コードであり、前記高弾性率コードが金属コードであることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
(6)前記低弾性率コードおよび前記高弾性率コードの引張歪み1.8%における、弾性率が、それぞれ、40GPa以上100GPa以下および80GPa以上210GPa以下の範囲にあることを特徴とする前記(1)から(5)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
本発明によれば、周方向ベルト層幅を広げて、特に扁平比の小さいタイヤで顕著なトレッド部の径成長を抑制し、周方向ベルト層に埋設したコードの弾性率を調整することにより、特に周方向ベルト層端部におけるコードの疲労破断を抑制して、ベルトの耐久性能を大幅に向上した、扁平比の小さいタイヤを提供することができる。
さらに、本発明によれば、周方向ベルト層の幅方向端部域をストリップの巻回にて少なくとも2層に成形するに当たって、ユニフォミティを阻害しないベルト端部構造を与えることができるため、上記耐久性の向上に加えてユニフォミティに優れ、従って耐偏摩耗性にも優れたタイヤの提供が可能である。
以下に、本発明の空気入りタイヤについて、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明に従うタイヤの幅方向断面である。一対のビード部(図示せず)間にトロイダル状に跨るカーカス1のクラウン部の径方向外側には、タイヤ赤道CLに沿って延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも1層、図示例で2層の周方向ベルト層2aおよび2bと、タイヤ赤道CLに対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層を層間でコード相互が交差する向きに配置した、図示例で2層の傾斜ベルト層3aおよび3bとを順に積層したベルト4を有し、さらに該ベルト4の径方向外側にトレッド5を配置している。
図1は、本発明に従うタイヤの幅方向断面である。一対のビード部(図示せず)間にトロイダル状に跨るカーカス1のクラウン部の径方向外側には、タイヤ赤道CLに沿って延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも1層、図示例で2層の周方向ベルト層2aおよび2bと、タイヤ赤道CLに対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層を層間でコード相互が交差する向きに配置した、図示例で2層の傾斜ベルト層3aおよび3bとを順に積層したベルト4を有し、さらに該ベルト4の径方向外側にトレッド5を配置している。
周方向ベルト層2aおよび2bの幅BW2は、タイヤの総幅TWの60%以上に設定することが好ましく、さらに、70%以上に設定することがより好ましい。なぜなら、径成長の大きい領域は、タイヤ総幅TWの60%〜70%の領域までであることから、その領域には、径成長を抑制する周方向ベルト層を配置する必要があるためである。周方向ベルト層2aおよび2bの幅BW2の上限は、タイヤ形状を規定の寸法内に収めることの制約から、90%とすることが好ましい。
また、少なくとも1層の傾斜ベルト層、図示例では傾斜ベルト層3aの幅BW3aを周方向ベルト層2aおよび2bの幅BW2よりも広くする必要がある。なぜなら、タイヤの耐偏摩耗性およびコーナーリング性能に必要なトレッド部の面内剪断剛性を確保するためである。
残る傾斜ベルト層3bの幅BW3bは、周方向ベルト層2a、2bより幅広く配置することが、トレッド部の面内剪断剛性を向上させ、特にタイヤの耐偏摩耗性を向上させる上で好ましい。また、図1に示した例では、傾斜ベルト層3aの幅BW3aが同3bの幅BW3bよりも広いが、このように、異なる幅に設定することが好ましい。なぜなら、同一幅になると急激な剛性変化を伴うため、ベルト層端部での耐セパレーション性が悪化する懸念があるからである。
残る傾斜ベルト層3bの幅BW3bは、周方向ベルト層2a、2bより幅広く配置することが、トレッド部の面内剪断剛性を向上させ、特にタイヤの耐偏摩耗性を向上させる上で好ましい。また、図1に示した例では、傾斜ベルト層3aの幅BW3aが同3bの幅BW3bよりも広いが、このように、異なる幅に設定することが好ましい。なぜなら、同一幅になると急激な剛性変化を伴うため、ベルト層端部での耐セパレーション性が悪化する懸念があるからである。
また、傾斜ベルト層3a、3bの幅がタイヤの総幅TWの65%以上であることが好ましい。なぜなら、タイヤ総幅TWの65%以上の範囲で傾斜ベルト層3aのコードと同3bのコードとが交差することにより、耐偏摩耗性を維持するためである。また、傾斜ベルト層3a、3bの幅の上限は、タイヤ形状を規定の寸法内に収めることの制約から、90%とすることが好ましい。
なお、傾斜ベルト層のコードはタイヤ赤道CLに対して40°以上、好ましくは50°以上傾斜していると、耐偏摩耗性と耐久性能を両立可能である。なぜなら、傾斜ベルト層のコードのタイヤ赤道CLに対する傾斜角度が40°未満では、タイヤ接地時の傾斜ベルト層の変形が大きくなり、傾斜ベルト層と周方向ベルト層間ゴムの歪負担が大きくなる結果、該層間でのセパレーションが発生しやすくなるからである。
なお、傾斜ベルト層のコードはタイヤ赤道CLに対して40°以上、好ましくは50°以上傾斜していると、耐偏摩耗性と耐久性能を両立可能である。なぜなら、傾斜ベルト層のコードのタイヤ赤道CLに対する傾斜角度が40°未満では、タイヤ接地時の傾斜ベルト層の変形が大きくなり、傾斜ベルト層と周方向ベルト層間ゴムの歪負担が大きくなる結果、該層間でのセパレーションが発生しやすくなるからである。
なお、図1に示した例では、周方向ベルト層2aと2bとの幅は同じであるが、異なる幅にしてもよい。特に、周方向ベルト層の幅方向中央部の強度を大きくした場合には、1層だけ幅を広く配置し、もう1層は幅を狭くしても良い。
また、周方向ベルト層の幅を広くすると、周方向ベルト層の幅方向外側端部において、コードの疲労破断が発生し易くなり、十分に満足するタイヤ寿命を得ることが難しい。これは、タイヤ走行に伴い、周方向ベルト層端部のコードに引張方向の振幅入力が作用するためであり、この引張振幅入力を抑制することが、この問題を解決するためには不可欠である。
そこで、本発明では、周方向ベルト層の幅方向端部において、該幅方向外側に配置されたコードの弾性率を当該コードの幅方向内側に配置されたコードの弾性率よりも低くすることによって、上記した周方向ベルト層端部に集中する引張振幅入力を抑制する。
そこで、本発明では、周方向ベルト層の幅方向端部において、該幅方向外側に配置されたコードの弾性率を当該コードの幅方向内側に配置されたコードの弾性率よりも低くすることによって、上記した周方向ベルト層端部に集中する引張振幅入力を抑制する。
すなわち、走行中のタイヤでは、周方向ベルト層端部に引張振幅入力が作用する。この引張振幅入力は、タイヤのトレッド端部側の接地面において、コードが周方向に伸ばされて引張最大応力が作用し、トレッド端部の非接地域ではほぼ内圧充填時の引張応力が作用するためである。この引張応力の振幅を抑制するには、タイヤの負担を軽くする(タイヤの撓み量を小さくする)ことが考えられるが、この手法ではタイヤの乗り心地性を満足させることはできない。
すなわち、接地面内においてコードがタイヤの周方向に伸ばされたとき、該接地面に対応する周方向ベルト層の幅方向端部における、コードの弾性率が低ければ、コードにかかる引張応力は低くなる。しかし、周方向ベルト層の全てのコードの弾性率を低くしてしまうと、内圧充填による径方向成長量が大きくなり、タイヤの形状保持が困難になる。そこで、周方向ベルト層の幅方向において、その端部付近に相当する幅方向外側のコード弾性率を、同幅方向内側のコードの弾性率よりも低くすることによって、内圧充填時の径方向成長量の増加を極力同じにすれば、接地面における、周方向ベルト層の幅方向端部の応力振幅は効果的に抑制される結果、コードの疲労破断を抑制することができる。
なお、周方向ベルト層の幅方向外側に配置されたコードの弾性率は、当該コードの幅方向内側に配置されたコードの弾性率に対して、0.3〜0.8倍であることが、上記引張応力の振幅抑制に有効である。
ここで、図1(b)、(c)に周方向ベルト層の平面展開図を示すように、各周方向ベルト層を、幅方向中央域2Cとこの幅方向中央域2Cの幅方向外側に位置する幅方向端部域2E1、2E2とに区画した際、幅方向端部域2E1、2E2に配置されたコード6の弾性率を幅方向中央域2Cに配置されたコード7の弾性率よりも低くする。
すなわち、図1において周方向ベルト層2a、2bとして示すコード配列は、周方向ベルト層の幅方向端部域2E1、2E2に、幅方向中央域2Cに配置されるコード7対比で弾性率の低いコード(以下、「低弾性率コード」という)6を複数本配置し、この低弾性率コード6のベルト幅方向内側の幅方向中央域2Cに、低弾性率コード6よりも弾性率の高いコード(以下、「高弾性率コード」という)7の複数本を配置したものである。
このように、本発明に従う周方向ベルト層としては、幅方向端部域2E1、2E2に低弾性率コード6を1〜数十本配置し、幅方向中央域2Cに高弾性率コード7を配置することを基本とする。
このように、本発明に従う周方向ベルト層としては、幅方向端部域2E1、2E2に低弾性率コード6を1〜数十本配置し、幅方向中央域2Cに高弾性率コード7を配置することを基本とする。
また、各幅方向端部域2E1、2E2の幅tは、周方向ベルト層の幅BW2の5%〜20%であることが好ましい。なぜなら、幅tが全幅の5%未満では、周方向ベルト層への応力振幅の大きい領域に弾性率の高いコードが存在してしまう為に未だ破断する可能性が高く、一方20%を超えると、径成長の増大を抑制するのが難しくなるからである。
さらに、前記周方向ベルト層2a、2bの幅方向端部域2E1、2E2は、少なくとも2層構造であって、1本または複数本のコードをゴムで被覆したストリップSを、カーカス1のクラウン部に巻き回して成形する。この成形の手順について、幅方向端部域2E1の場合を例に、図2を参照して以下に説明する。
すなわち、図2(a)に示すように、1本または複数本のコードをゴムで被覆したストリップSを、幅方向端部域2E1の幅方向中央域2Cに隣接する内側端IEからベルトの幅方向内側から外側に向かって、前記カーカス1のクラウン部外周長Lの90%以上の周長に対してストリップSの幅SW内の移動量でずらしながら第一周を巻きつける。図示例では、カーカス1のクラウン部外周長Lの100%の周長に対してストリップSの幅SWの移動量でずらしながら第一周を巻きつけている。その後、図2(b)に示すように、タイヤの赤道面CLに沿って第二周を巻き付け、次いで、図2(c)に示すように、ベルトの幅方向外側から内側に向かって、前記カーカス1のクラウン部外周長Lの90%以上の周長に対してストリップ幅SW内の移動量でずらしながら第三周を巻きつける。図示例では、カーカス1のクラウン部外周長Lの100%の周長に対してストリップSの幅SWの移動量でずらしながら第三周を巻きつけている。その後、図2(d)に示すように、タイヤの赤道面CLに沿って第四周を巻き付けて成る。
すなわち、図2(a)に示すように、1本または複数本のコードをゴムで被覆したストリップSを、幅方向端部域2E1の幅方向中央域2Cに隣接する内側端IEからベルトの幅方向内側から外側に向かって、前記カーカス1のクラウン部外周長Lの90%以上の周長に対してストリップSの幅SW内の移動量でずらしながら第一周を巻きつける。図示例では、カーカス1のクラウン部外周長Lの100%の周長に対してストリップSの幅SWの移動量でずらしながら第一周を巻きつけている。その後、図2(b)に示すように、タイヤの赤道面CLに沿って第二周を巻き付け、次いで、図2(c)に示すように、ベルトの幅方向外側から内側に向かって、前記カーカス1のクラウン部外周長Lの90%以上の周長に対してストリップ幅SW内の移動量でずらしながら第三周を巻きつける。図示例では、カーカス1のクラウン部外周長Lの100%の周長に対してストリップSの幅SWの移動量でずらしながら第三周を巻きつけている。その後、図2(d)に示すように、タイヤの赤道面CLに沿って第四周を巻き付けて成る。
かように、幅方向端部域2E1、2E2を2層にわたって形成することによって、幅方向端部域に配置した、低弾性率コードの量が周方向でばらつくことが少ないため、ユニフォミティが向上する。なぜなら、クラウン部外周長Lより狭い範囲(仮にL´とする)にてストリップsの幅SW内の移動量でずらしながら巻き、その残りの周長部分(L−L´)を直線的に巻きつけた場合、ずらしながら巻きつけた範囲は、ストリップsが長く、つまりコード量が多く、直線に巻きつけられた範囲は比較的ストリップが短く、つまりコード量が少なくなる。換言すると、周方向におけるコード量のばらつきを少なくするには、クラウン部外周長Lに極めて近い範囲L´、具体的にはLの90%以上の周長に対してずらしながらの巻きつけを行う。
さらに、前記周方向ベルト層2a、2bの幅方向端部域2E1、2E2の周方向におけるコード量のばらつきが少なくなると、周方向の剛性段差も均一になるため、偏摩耗の核が発生しないという利点もあり、耐偏摩耗性の向上によってタイヤ寿命を延ばすことができる。
さらに、前記周方向ベルト層2a、2bの幅方向端部域2E1、2E2の周方向におけるコード量のばらつきが少なくなると、周方向の剛性段差も均一になるため、偏摩耗の核が発生しないという利点もあり、耐偏摩耗性の向上によってタイヤ寿命を延ばすことができる。
ここで、カーカス1のクラウン部外周長の90%以上の周長に対して、ストリップSの幅SW内の移動量でずらすのは、次の理由によるものである。すなわち、ストリップSの幅SWを超える移動量でずらすと、ストリップS内のコードとそれに隣り合うストリップS内のコードとの間隔が広くなり、単位幅当りのコード量が少なくなる結果、幅方向端部域2E1、2E2の強力が低下し、コード切れに対する耐久性が低下することになる。
特には、カーカス1のクラウン部外周長の100%の周長に対してストリップSの幅SWの移動量でずらすことが好ましい。
特には、カーカス1のクラウン部外周長の100%の周長に対してストリップSの幅SWの移動量でずらすことが好ましい。
また、周方向ベルト層2a、2bにおける幅方向中央域2Cは、複数本の高弾性率コード7のゴム引き布であるストリップを、カーカス1のクラウン部に巻き付けるか、または部分的に重ねながららせん状に巻回する、いわゆる包帯巻きによって成形することが好ましい。
さらに、低弾性率コード6には、例えば、金属製の弾性コード、すなわち複撚りの4×0.28mm+6×0.25mmのコード、いわゆるハイエロンゲーションコードが好適であり、高弾性率コード7には、波状もしくはジグザグ状の型付けを施したコード(図1(b)、(c)における周方向ベルト層2a、2bの構造を参照)、いわゆる波形コード、又は金属製の非伸張コード、すなわち層撚り(3+9+15)×0.23mmのコードが好適である。ハイエロンゲーションコードの引張歪1.8%における弾性率は、波状もしくはジグザグ状の型付けを施したコード、又は金属製の非伸張コードよりも小さいことが一般的である。
なお、接地面内における引張歪はおおよそ1.8%程度であることが実測値として知られているから、コード弾性率は、この引張歪1.8%でのコード弾性率を規定する。
ちなみに、コードの弾性率とは、空気入りタイヤを解体して採り出したゴム被覆状態のコードについて、引張り試験を行い、その結果から応力−歪み線図を作成し、該線図における歪みが1.8%における接線の勾配(傾き)を算出し、その値をコードの断面積で除した値である。
なお、接地面内における引張歪はおおよそ1.8%程度であることが実測値として知られているから、コード弾性率は、この引張歪1.8%でのコード弾性率を規定する。
ちなみに、コードの弾性率とは、空気入りタイヤを解体して採り出したゴム被覆状態のコードについて、引張り試験を行い、その結果から応力−歪み線図を作成し、該線図における歪みが1.8%における接線の勾配(傾き)を算出し、その値をコードの断面積で除した値である。
また、高弾性率コード6に有機繊維コードを用いて、低弾性率コード7に金属製コードを用いても、上述の弾性率の条件を満足できる。
高弾性率コード6の弾性率は、引張歪み1.8%において、40GPa以上100GPa以下の範囲にあることが好ましい。弾性率が40GPaより低い場合、内圧充填による径成長が抑制できない可能性があり、100GPaより高い場合、タイヤ転動時にかかるコードへの入力(応力振幅)により、コードが破断し、タイヤ内圧を保持することが難しくなる可能性がある。
低弾性率コード7の弾性率は、引張歪み1.8%において、80GPa以上210GPa以下の範囲にあることが好ましい。弾性率が80GPaより低い場合、内圧充填による径成長が抑制できない可能性があり、210GPaより高い場合、タイヤ転動時にかかるコードへの入力(応力振幅)により、コードが破断しやすくなり、タイヤ内圧を保持することが難しくなる可能性がある。
低弾性率コード7の弾性率は、引張歪み1.8%において、80GPa以上210GPa以下の範囲にあることが好ましい。弾性率が80GPaより低い場合、内圧充填による径成長が抑制できない可能性があり、210GPaより高い場合、タイヤ転動時にかかるコードへの入力(応力振幅)により、コードが破断しやすくなり、タイヤ内圧を保持することが難しくなる可能性がある。
図1(a)に示したベルト構造を有する建設車両用タイヤを、表1に示す仕様の下にサイズ495/45R22.5で試作し、各試作タイヤについて、偏摩耗試験およびユニフォミティ検査を行った。
いずれの試作タイヤも2層の傾斜ベルト層を有し、さらに発明例タイヤ1および2と比較例タイヤ2〜4とは、低弾性率コードを配置した幅方向端部域2E1、2E2と、高弾性率コードを配置した幅方向中央域2Cとから周方向ベルト層を有し、従来例タイヤおよび比較例タイヤ1は、高弾性率コードを全幅にわたって配置した周方向ベルト層を有する。
いずれの試作タイヤも2層の傾斜ベルト層を有し、さらに発明例タイヤ1および2と比較例タイヤ2〜4とは、低弾性率コードを配置した幅方向端部域2E1、2E2と、高弾性率コードを配置した幅方向中央域2Cとから周方向ベルト層を有し、従来例タイヤおよび比較例タイヤ1は、高弾性率コードを全幅にわたって配置した周方向ベルト層を有する。
これら試作タイヤを、サイズ17.00×22.5のリムに組み込み、内圧を900kPaに調整した上で、荷重:5800kgおよびドラム回転速度:60.0km/hの条件にてドラム走行を30000kmの距離で実施し、トレッド周方向の摩耗量のばらつきを測定した。この耐偏摩耗性の評価は、従来例タイヤの摩耗ばらつき量を100としたときの指数で表し、数値が小さいほどばらつきが少ないことを示している。
また、各試作タイヤについて、コーナリング試験機上で5800kgの荷重をかけ、半径一定の状態に保持してタイヤを転動させた場合の、荷重の変動量である、ラジアルフォースバリエーション(RFV)を計測した。この計測結果は、従来例タイヤの測定値を100としたときの指数で表し、数値が小さいほどユニフォミティが良好であることを示している。
これらの評価並びに計測結果を、表1に併記する。
また、各試作タイヤについて、コーナリング試験機上で5800kgの荷重をかけ、半径一定の状態に保持してタイヤを転動させた場合の、荷重の変動量である、ラジアルフォースバリエーション(RFV)を計測した。この計測結果は、従来例タイヤの測定値を100としたときの指数で表し、数値が小さいほどユニフォミティが良好であることを示している。
これらの評価並びに計測結果を、表1に併記する。
なお、コードの弾性率は、コードをインストロン型引張試験機による引張試験に供し、そのときの引張歪1.8%でのコード弾性率である。
傾斜ベルト層には、(1+6)×0.32mmの層撚りのコードを打ち込み数24.5本/50mmで適用した。
周方向ベルト層の幅方向端部域2E1、2E2には4×(1×0.28mm+6×0.25mm)の高伸長性コードを打ち込み数20本/50mmで波形のコードを適用し、幅方向中央域2Cには(3+9+15)×0.23mmの波状の非伸長コードを打ち込み数22.5本/50mmで適用した。
傾斜ベルト層には、(1+6)×0.32mmの層撚りのコードを打ち込み数24.5本/50mmで適用した。
周方向ベルト層の幅方向端部域2E1、2E2には4×(1×0.28mm+6×0.25mm)の高伸長性コードを打ち込み数20本/50mmで波形のコードを適用し、幅方向中央域2Cには(3+9+15)×0.23mmの波状の非伸長コードを打ち込み数22.5本/50mmで適用した。
表1から、発明例タイヤ1および2は、周方向ベルト層の幅方向端部域におけるコード量が周方向に均等であるため、耐偏摩耗性が向上し、またユニフォミティにも優れることがわかる。
1 カーカス
2a、2b 周方向ベルト層
2C 幅方向中央域
2E1、2E1 幅方向端部域
3a、3b 傾斜ベルト層
4 ベルト
5 トレッド
6、7 コード
S ストリップ
CL タイヤ赤道
2a、2b 周方向ベルト層
2C 幅方向中央域
2E1、2E1 幅方向端部域
3a、3b 傾斜ベルト層
4 ベルト
5 トレッド
6、7 コード
S ストリップ
CL タイヤ赤道
Claims (6)
- 一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、該カーカスのクラウン部の径方向外側に、タイヤの赤道面に沿って延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも1層の周方向ベルト層と、タイヤの赤道面に対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層の傾斜ベルト層とを順に配置したベルトを有し、該ベルトの径方向外側にトレッドを配置したタイヤであって、
前記周方向ベルト層の幅がタイヤの総幅の60%以上であり、
少なくとも1層の傾斜ベルト層の幅が周方向ベルト層の幅よりも広く、
各周方向ベルト層を幅方向中央域と該幅方向中央域の幅方向外側に位置する幅方向端部域とに区画した際、前記幅方向端部域に配置されたコードの弾性率が前記幅方向中央域に配置されたコードの弾性率よりも低く、
前記周方向ベルト層の幅方向端部域が少なくとも2層構造であって、該幅方向端部域は、前記幅方向中央域に隣接する内側端から、1本または複数本のコードをゴムで被覆したストリップを、ベルトの幅方向内側から外側に向かって、前記カーカスのクラウン部外周長の90%以上の周長に対してストリップ幅以内の移動量でずらしながら第一周を巻きつけ、その後タイヤの赤道面に沿って第二周を巻き付け、次いで、ベルトの幅方向外側から内側に向かって、前記カーカスのクラウン部外周長の90%以上の周長に対してストリップ幅以内の移動量でずらしながら第三周を巻きつけ、その後タイヤの赤道面に沿って第四周を巻き付けて成ることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ストリップの第一周および第三周のストリップの移動量がストリップ幅であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記傾斜ベルト層の幅がタイヤの総幅の65%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記低弾性率コードは、初期伸びを有する伸張性の金属コードであり、前記高弾性率コードは、非伸張の金属コードを直線状、波形状もしくはジグザグ状に型付けしたものであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記低弾性率コードが有機繊維コードであり、前記高弾性率コードが金属コードであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記低弾性率コードおよび前記高弾性率コードの引張歪み1.8%における、弾性率が、それぞれ、40GPa以上100GPa以下および80GPa以上210GPa以下の範囲にあることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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2008
- 2008-02-25 JP JP2008043291A patent/JP2009196601A/ja active Pending
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