JP2010094580A - エアフィルタ用濾材及びその製造方法 - Google Patents

エアフィルタ用濾材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低圧損、高捕集効率で、かつ、低アウトガスのエアフィルタ用濾材の提供。
【解決手段】 湿式抄紙法によってシート形成されたガラス繊維を主体とした濾材に、該濾材の乾燥前又は乾燥後に、次の一般式(A)で表される4級アンモニウム塩であるカチオン性界面活性剤を0.01〜0.20質量%含有するバインダー液を付与したのち乾燥して得ることを特徴とするエアフィルタ用濾材によって解決される。
Figure 2010094580

[式中、Rは(CHHを、
Rは(CHHを、
RはCH又はCを、
RはCH又はCを、
Xはアンモニウムを中和する酸成分を意味し、
ただし、m及びnは8〜18の範囲でありそして
mとnとの和が16〜36の範囲内であるか、
又は
mが12〜22の範囲であり、nが1又は2である。]

Description

本発明は、ガラス繊維を主体とした濾材であって、低圧損高捕集効率で、かつ、アウトガスが少なく、半導体、液晶、バイオ、食品、医療等の産業分野又はビル空調用、パーソナル空気清浄機用等に利用可能なエアフィルタ用濾材に関する。
近年、エレクトロニクス、医療、食品・バイオ等のテクノロジーの高度化が進み、それらの分野において、製造現場、研究現場などで極めて高度なクリーンルームが必要とされている。クリーンルームの設計においては、室内の空気を強制循環させ、その循環経路の一部にエアフィルタを設置し、上流に存在する粒子を物理的に除去することが必要である。
それらのエアフィルタユニットに組み込まれる濾材としては、従来、種々の乾式/湿式不織布が使用されており、特にHEPA、ULPAと呼ばれる非常に粒子除去率の高いフィルタについては、平均繊維径が数百nm〜数十μmのガラス繊維を湿式抄紙法によってシート化した濾材が、その高い性能ゆえに広範に用いられている。
しかし、ガラス繊維は、それ自体が接着性や融着性をもたないため、何らかの方法で濾材に強度を付与し、製造工程又は加工工程の各段階において十分なシート強度をもたせる必要がある。
ガラス繊維シートを製造するに当たり、酸性の水を用いてガラス原綿を分散、抄紙することによって、ガラス繊維同士の自己融着性の発現による湿紙強度が向上し、かつ、製造効率が向上することは従来公知である。現在においても、前記理由によってガラス繊維の抄紙においては酸性抄紙が主流となっている。
また、ガラス繊維シートの製造工程のあと、加工工程又はフィルタとしての使用時における十分な強度を得るために、適当な濃度のバインダー液を濾材に含浸又は塗布したのち乾燥することによってシート強度の向上が従来行われている。
しかし、バインダー成分は、乾燥後に皮膜を作りやすく、濾材を構成するガラス繊維構造の空隙に水かき状の膜を生成し、不必要に圧力損失を上げるだけでなく、濾材の微細空隙を埋めてしまうことによって捕集効率もより低下する場合があり、濾材の強度と低圧損高捕集効率とを両立させることは難しい。
この課題に対し、本出願人は、バインダー液の中に表面張力低下能の高いフッ素系の界面活性剤を適当量含有させることによってバインダー膜の生成を低減し、低圧損高捕集効率の濾材を得る方法を過去に提案している(例えば、特許文献1参照。)。
ところでクリーンルーム用のエアフィルタは、フィルタユニット加工時におけるシール剤や接着剤等の浸み込みを抑えたり、外気の温度変化に伴う結露の影響を抑えたり、また潮解性粒子の濾材表面での溶融を防いだりするために撥水性が必要とされており、例えばMIL仕様においては、HEPA濾材の撥水性は508mm水柱高以上とされている。ガラス繊維表面は親水性であるため、撥水性を得るために、撥水剤をバインダーに含有させることが一般的である。
また、半導体製造プロセスの高度化、微細化に伴いクリーンルームに求められる清浄度が一層厳しくなるに従い、濾材から放出されるガス状有機物が問題となってきており、濾材に含まれる撥水剤からのアウトガスが問題となりうる。したがって、濾材に含まれる撥水剤は、できる限り少ないことが望ましい。
しかし、特許文献1の技術によれば、表面張力低下能の高い界面活性剤は濾材に含有されるため撥水性を低下させやすく、それに伴い撥水剤を増やす必要があり、アウトガスの観点からは望ましくない。また、フッ素系界面活性剤は高価であり、また環境意識の高まりによってフッ素系化学物質の削減が望まれるところでもある。
この課題に対し、本出願人は、更に、バインダー液中に含有せしめる界面活性剤を、高分子量のエーテル型非イオン界面活性剤とすることによって、撥水性の低下を最低限に抑え、濾材からのアウトガスを極少とする技術を提案した(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、特許文献2の技術において低アウトガスを実現しているものの、低圧損高捕集効率という観点からは、使用する界面活性剤が高分子であるがゆえに、界面に単分子膜を作りうるような低分子量の界面活性剤の効果と厳密に比較した場合には、いまだ満足できるものでなく、更なる向上が求められていた。
界面活性剤をガラス繊維紙の製造に用いた例として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルアルキルエーテル、N−アルキルベタインといったノニオン性又は両性の界面活性剤をガラス繊維の分散時に添加することによって、分散性が向上し、高性能のフィルタを得る方法が過去に提案されている(例えば、特許文献3、4、5、6参照。)。
また、カチオン性界面活性剤をガラス繊維紙の製造方法に適用した例として、抄紙工程にポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩を添加し、シリル基を有するバインダーを付与してガラス繊維濾材を構成する技術が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
また本出願人も、過去にガラス繊維シートを中性抄紙する技術を提案しており、その中で繊維の分散剤としてカチオン性の界面活性剤を用いることを規定している(例えば、特許文献8参照。)。
しかしこれら技術は、抄紙工程に界面活性剤を添加することによりpH中性域におけるガラス繊維スラリーの分散性を向上させることで中性抄紙技術を確立することが主目的であり、湿紙強度が弱いという中性抄紙の問題点を克服できておらず、従って本発明のごとく、製造効率に優れる一般的な酸性抄紙によるガラス繊維フィルタの高性能化のために、バインダー液にカチオン性界面活性剤を添加するという技術とは根本的に異なる。
また、ローボロンガラス繊維濾材の製造方法に関する技術の中で、繊維シートが非イオン、両性、アニオン、及びカチオン性の界面活性剤を含んでもよいと記述する文献もある(例えば、特許文献9参照。)。
しかし、この文献の記述の中で具体的な物質名を挙げて言及されているのはもっぱら非イオン、アニオン、両性の界面活性剤だけであり、カチオン性界面活性剤については具体的な物質名さえ挙げられていない。
特開平10−156116号公報 特開2006−167491号公報 特開昭61−266700号公報 特開昭62−21897号公報 特開昭62−21898号公報 特開昭62−21899号公報 特開昭62−110999号公報 特開平02−251214号公報 特表2003−516848号公報
前述の如く、ガラス繊維濾材の製造に関して、低圧損、高捕集効率で、かつ、低アウトガスのエアフィルタ用濾材の製造方法は未だ発展途上であり、本発明はこれらを提供する。
本発明に係るエアフィルタ用濾材は、湿式抄紙法によってシート形成されたガラス繊維を主体とした濾材に、該濾材の乾燥前又は乾燥後に、次の一般式(A)で表される4級アンモニウム塩であるカチオン性界面活性剤を0.01〜0.20質量%含有するバインダー液を付与したのち乾燥して得られる。
Figure 2010094580
[式中、Rは(CHHを、
Rは(CHHを、
RはCH又はCを、
RはCH又はC5を、
Xはアンモニウムを中和する酸成分を意味し、
ただし、m及びnは8〜18の範囲でありそして
mとnとの和が16〜36の範囲内であるか、
又は
mが12〜22の範囲であり、nが1又は2である。]
本発明のエアフィルタ用濾材を湿式抄紙するときの抄紙pHは、酸性であり、2.0〜4.0の範囲であることが好ましい。
本発明においては、前記界面活性剤のバインダー液中の適当な含有率は、0.01〜0.2質量%である。
本発明のカチオン性界面活性剤を付与したエアフィルタ用濾材は、クリーンルーム内の有機物汚染を防ぐために、濾材からのアウトガス放出速度が、濾材質量1g当たり800ng/h以下であることが望ましい。この値は、オーブンで80℃の加熱条件下において1時間アウトガスを捕集し、GC−MSにて分析、定量した数値である。
本発明のカチオン性界面活性剤を付与したフィルタ濾材は、次の数式(B)で表されるフィルタ性能を表す数値であるPF値が9.8以上であることが望ましい。
Figure 2010094580
F:PF値
T:0.10〜0.15μm径DOP粒子透過率[%]
P:面風速5.3cm/sにおける濾材の圧力損失[Pa]
粒子透過率は、DOP(ジオクチルフタレート)をラスキンノズルによって粒子化させて気流に分散させ、面風速を5.3cm/sで濾材を通過させた場合のフィルタ上流と下流との粒子数をレーザー式パーティクルカウンタにてカウントして求めた値である。
本発明によって、前述の如く、濾材からのアウトガスを極少に保ちつつ、低圧損高捕集効率を実現させた、従来にない高性能なエアフィルタ用濾材を得ることができる。
以下、本発明について実施形態を示して説明するが、当明細書において%の記号を用いた場合には、特に断りの無い限り、「乾燥状態における質量%」を意味する。本発明は、次の実施の形態に制限されるものではない。
本実施形態に係るエアフィルタ用濾材は、繊維径数百nmから数十μmのガラス繊維を主体とした不織布である。このようなガラス繊維の製法としては、溶融させたガラスをバーナーで吹き飛ばしてガラス繊維を生成させる火炎法、又は回転する円盤によって溶融したガラスを遠心方向に吹き飛ばして繊維化させる遠心法などが挙げられるが、本発明では限定されない。また、ガラス繊維以外の繊維も、フィルタ性能を損なわない範囲であれば配合することが可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ナイロン等の合成樹脂から紡糸された繊維、若しくはポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリピロピレン等からなるバインダー繊維、若しくはレーヨン等の再生セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース等の繊維状セルロース誘導体、又は近年生化学用途として活発に研究されているポリ乳酸、ポリ酪酸、ポリ琥珀酸等の天然物を原料ソースとした繊維も使用することができる。さらに、木材パルプ、非木材パルプ、コットン、シルク、麻等の天然繊維も使用が可能である。合成繊維の紡糸法も、延伸法、メルトブロー法、電界紡糸法などの各種の製法が挙げられ、本発明では限定されず、また使用する繊維の前処理を必要に応じて行うことも可能である。分散のときに用いる媒体は、水が好適であるが、場合によっては水以外の溶媒を用いて分散した方が好ましい場合もある。
本実施形態に係る濾材の製造工程では、繊維を水中に分散したのち、抄紙ワイヤ上に繊維を積層し、ワイヤ下方から脱水してシートを形成する、いわゆる湿式抄紙法が用いられる。このとき用いる抄紙機の種類は、本発明では限定されず、例えば枚葉式抄紙装置、又は連続抄紙機であれば長網式抄紙機、円網式抄紙機、傾斜ワイヤ式抄紙機、ギャップフォーマー、デルタフォーマー等を用いることができ、それら一種以上を組み合わせた多層抄き抄紙機を用いてもよい。このとき、より高性能なフィルタ用濾材を得るためには、できるだけ均一に、地合良く、嵩高くシート化することが望ましい。
本実施形態に係る濾材の製造工程において、ガラス繊維の分散pH及び湿式抄紙するときの抄紙pHを、2.0〜4.0の範囲で調整することが有効である。より好ましくは、pHの範囲は、2.5〜3.5である。ガラス繊維は、前記pHの範囲において分散が容易となることに加え、ガラス繊維の表面が微量に溶解することによって繊維同士の融着が生まれ、抄紙工程において湿紙強度が増大するという利点がある。この利点は、抄紙速度を上げられること、及びウェットパートにおける紙切れが減少することによって生産効率の向上に寄与する。抄紙pHが2.0より低い場合には、作業者にとって危険な上、製造設備の腐食を引き起こすなどして好ましくない。また、抄紙pHが4.0より高い場合には、ウェブの湿潤強度が十分でなく、製造効率の低下を引き起こす可能性がある。
シート化された繊維ウェブは、そのままでは繊維間の結合が弱くフィルタとしてのハンドリング性に劣るため、何らかの方法でバインダー成分をシートに付与する工程が必要となる。この方法としては、各種のバインダー成分を水などの溶媒に稀釈したバインダー液を、含浸、ロールアプリケート、スプレー又はカーテン塗工などの各種の方法でシートに付与したのち、余分なバインダー液を負圧又は正圧の空気で除去する方法が一般的である。バインダー液を付与する前のシートは、湿潤状態であっても乾燥状態であっても構わないが、より高性能なフィルタ濾材を得るためには、シートは湿潤又は半湿潤状態であることが望ましい。
本発明で用いるバインダーは、基本的には繊維をつなぎとめる能力のある物質であれば限定されないが、例えばポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、でんぷん、変性でんぷん、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、カゼイン、ゼラチン、テルペンなどの水溶性バインダーを例示することができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリビスクロロメチルオキサシクロブタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリ−p−キシリレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル共重合体、などのエマルジョン型バインダーも例示することができる。これらのバインダーの重合度、鹸化度、ガラス転移点(Tg)、最低造膜温度(MFT)、エマルジョンの粒子径は、限定されない。また、これらの分子鎖中に架橋性の官能基を付加しても構わない。また、フィルタが特に耐熱性を必要とされる場合などに、アルミナゾル、珪酸ナトリウム、珪酸リチウム、アルコキシシラン、金属アルコキシドの加水分解物などの無機バインダーを使用することも可能である。
濾材中のバインダー成分含有率は、目的とする強度が得られる限りにおいて、少ない方が良い。一般にバインダー含有率が高いほど濾材の空隙率が低下するため、フィルタ性能が低下する。適当なバインダー量は、バインダーの種類や所望する物性に依るが、一般的には濾材含有率として10%を超えると性能の低下が顕著になる。濾材のバインダー含有率は、該濾材を適切な温度で焼成した場合の減量と、バインダー及び繊維の固有の燃焼減量率とを測定することで得られる。
本発明に係るエアフィルタ用濾材は、バインダー液中にカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。本発明者は、この方法によって得られた濾材が優れた性能を示すことについて、次のように推測する。すなわち、濾材がバインダー液と接触したときに、バインダー液中のカチオン性界面活性剤が、バインダー液中で負に帯電したガラス繊維表面に疎水基を外側に向けて吸着し、繊維同士の凝集力を低下させて均一な繊維配列を作る作用と、バインダー液の表面張力を低下させることによるバインダーの濾材中の分布を均一化する作用との相乗効果によって、フィルタ性能が向上するものと考える。
本発明で用いられるカチオン性界面活性剤は4級アンモニウム塩である。1〜3級アミン及びアミン塩はアウトガスの発生量が多く、本発明には適さない。4級アンモニウム塩タイプとしては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ベヘニルトリメチルアンモニウム等という1つの鎖長の長いアルキル基を持つタイプが挙げられ、例えば日本油脂(株)からニッサンカチオンBB、ニッサンカチオンPB−300、ニッサンカチオンABという商品名で市販されている。また4級アンモニウムには、塩化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルアンモニウムという2つの鎖長の長いアルキル基を持つタイプもあり、例えば日本油脂(株)からニッサンカチオン2−DB−500E、ニッサンカチオン2ABTという名称で市販されている。
また、4級アンモニウム塩の中には、疎水基に芳香環を含むタイプ、例えば塩化テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられ、例えば日本油脂(株)からニッサンカチオンM2−100Rという名称で市販されている。
4級アンモニウム塩の代わりに、アミンオキサイドを使用することもできる。例には、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられ、例えばクローダジャパン(株)からインクロミンオキサイドL、インクロミンオキサイドM、インクロミンオキサイドSという名称で市販されている。また、アミンオキサイドタイプの派生として、アルキル鎖の一部にエチレンオキサイド基を導入したタイプもあり、例えば日本油脂(株)からユニセーフA−LE、ユニセーフA−LYという名称で市販されている。
前述のカチオン性界面活性剤の中でも、4級アンモニウム塩タイプが本実施形態に用いるカチオン性界面活性剤として好ましい。4級アンモニウムタイプは、塩として安定で、濾材に付着した後に有機物アウトガスとして濾材から放出される量が少ない。したがって、半導体製造用クリーンルームで使用する濾材については、4級アンモニウム塩タイプの使用が望ましい。アンモニウムを中和する物質としては、一般的には塩素、臭素、ヨウ素といったハロゲンが使われるが、硝酸、硫酸、メチル硫酸、酢酸、ギ酸のような酸であってもよい。
アミンオキサイドは、塩としての安定性が劣り、製品化された後の濾材表面から昇華してアウトガスが多くなる傾向にある。
また、4級アンモニウム塩タイプのカチオン性界面活性剤の中でも、1つ又は2つの鎖長の長いアルキル基を持つタイプが、本発明においては好適である。この種の脂肪族アルキルアンモニウムは、直鎖状の分子構造によって界面に配列した場合の疎水基の分子密度が高くなり、前述の効果が得やすいと考えられる。また、アルキル基も、飽和アルキル基であることが望ましい。ただし、アルキル基が不飽和アルキルである場合には、濾材のアウトガスが増加する現象が見られる。
前記の4級アンモニウム塩タイプのカチオン性界面活性剤は、そのアルキル基の長さ、すなわち、疎水性の強さによって、フィルタ性能に与える効果が異なる。アルキル鎖の長いものは、疎水性が強くなり、ガラス繊維表面に付着したときの表面疎水化能が高いため、繊維分散の均一化に寄与しやすい。ただし、疎水性基(アルキル基)が長すぎる場合には、水中での溶解安定性が損なわれたり、また長い疎水性基がガラス繊維表面への均一な付着を阻害したりしてフィルタ性能向上効果が得られない場合がある。本発明者の検討では、4級アンモニウム塩の各アルキル基の炭素数が多い場合は疎水性が強すぎて繊維表面への付着が不均一になり、フィルタ性能向上効果を低下させる。ところが、炭素数12〜22、好ましくは炭素数12〜18の1つのアルキル基と残りの3つのアルキル基がメチル基又はエチル基であるか又は炭素数8〜18の2つのアルキル基(二つで炭素数16〜36) でありそして窒素原子に結合する残りの二つの基がメチル基又はエチル基である4級アンモニウムが繊維表面への付着が均一で、かつ、フィルタ性能向上効果があることを見出した。
これらのカチオン性界面活性剤は、単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。また、カチオン性界面活性剤と相溶性をもつ他の界面活性剤と併用してもよい。例えば、ベヘニルタイプ、ジステアリルタイプのように単独では水系に溶解し難い場合に、適当なHLB をもつノニオン性界面活性剤と共に溶解する方法が有効である。なおこの場合、溶解助剤としてはノニオン性界面活性剤である必要はなく、乳化作用のある物質、例えばでんぷん、タンパク、その他天然/合成の水溶性高分子を用いることもできる。
バインダー液中のカチオン性界面活性剤の含有率は、本実施形態においては問われないが、0.01〜0.20質量% が好ましい。より好ましくは、0.03〜0.10質量%である。0.01質量%より少ない場合には、フィルタ性能向上効果が十分でない。また、0.20質量%より多い場合には、濾材強度の低下が顕著となる上、シートの地合を乱す作用が現れるため性能が低下する場合がある。
バインダー液には、必要に応じて撥水剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、増粘剤、架橋剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、帯電防止剤、耐水化剤、可塑剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤等の添加剤を適宜選定して添加することができる。
バインダー液を付与した後のシートは、乾燥ゾーンで乾燥される。このときの乾燥方法は、特に限定されないが、熱風乾燥、ドラム乾燥、赤外線乾燥などが好適に用いられる。完成したシートは、オンライン又はオフラインによって巻き取られ、又はカッターによって裁断されて製品となる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。また、例中の「%」は、特に断らない限り「乾燥質量%」を表し、「部」は「乾燥質量部」を表す。
<原料スラリーの調製>
平均繊維径3μm以下の硼珪酸ガラス原綿90部と、平均繊維径6μm、カット長5mmのチョップドガラス繊維10部とをテーブル離解機にてpH3.0の酸性水を用いて濃度0.5%に離解し、原料スラリー1を得た。
<バインダー液1の調製>
完全鹸化のポリビニルアルコール(製品名PVA117:クラレ社製)10部とイオン交換水90部とを混合し、90℃で30分クッキングし、10%の溶解液を得た。このポリビニルアルコール水溶液をイオン交換水で更に0.2%に稀釈し、攪拌しながら塩化セチルトリメチルアンモニウム(製品名ニッサンカチオンPB−300、日本油脂社製)を対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液1を得た。
<濾材シート1の作製>
原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液1に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート1を得た。
<バインダー液2の調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、塩化セチルトリメチルアンモニウム(製品名ニッサンカチオンPB−300、日本油脂社製)を対液で0.01%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.21%のバインダー液2を得た。
<濾材シート2の作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液2に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート2を得た。
<バインダー液3の調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、塩化セチルトリメチルアンモニウム(製品名ニッサンカチオンPB−300、日本油脂社製)を対液で0.2%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.4%のバインダー液3を得た。
<濾材シート3の作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液3に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート3を得た。
<バインダー液4の調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(製品名カチナールLTC−35A、東邦化学工業社製)を対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液4を得た。
<濾材シート4の作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液2に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート4を得た。
<バインダー液5の調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(製品名カチオンAB、日本油脂社製)を対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液5を得た。
<濾材シート5の作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液5に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート5を得た。
<バインダー液6の調製>
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(製品名カチナールDC−80、東邦化学工業社製)とノニオン性界面活性剤(商品名プロノン#204、日本油脂社製)を固形分重量比1:1で溶解した10%水溶液を調製した。それを、実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液6を得た。
<濾材シート6の作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液6に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート6を得た。
<バインダー液7の調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、臭化セチルトリメチルアンモニウム(製品名カチナールHTB−70、東邦化学工業社製)を対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液7を得た。
<濾材シート7の作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液7に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート7を得た。
<バインダー液8の調製>
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(製品名ニッサンカチオン2ABT、日本油脂株式会社製)とノニオン性界面活性剤(商品名プロノン#204、日本油脂社製)を固形分重量比1:1で溶解した10%水溶液を調製した。それを、実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液8を得た。
<濾材シート8の作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液8に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート8を得た。
(比較例1)
<バインダー液1cの調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、ノニオン性界面活性剤(炭素数12、EO×10)(製品名エマレックス710、日本エマルジョン社製)を対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液1cを得た。
<濾材シート1cの作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液1cに含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート1cを得た。
(比較例2)
<バインダー液2cの調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、ノニオン性界面活性剤(炭素数18、EO×11)(製品名エマレックス611、日本エマルジョン社製)を対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液2cを得た。
<濾材シート2cの作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液2cに含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート2cを得た。
(比較例3)
<バインダー液3cの調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液をバインダー液3cとした。カチオン性界面活性剤は、添加しなかった。
<濾材シート3cの作製>
原料スラリー1をテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液3cに含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート3cを得た。
(比較例4)
<バインダー液4cの調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、塩化セチルトリメチルアンモニウム(製品名ニッサンカチオンPB−300、日本油脂社製)を対液で0.005%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.205%のバインダー液4cを得た。
<濾材シート4cの作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液4cに含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート4cを得た。
(比較例5)
<バインダー液5cの調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、塩化セチルトリメチルアンモニウム(製品名ニッサンカチオンPB−300、日本油脂社製)を対液で0.3%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.5%のバインダー液5cを得た。
<濾材シート5cの作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液5cに含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート5cを得た。
(比較例6)
<バインダー液6cの調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、ラウリルアミン酢酸塩(製品名アセタミン24、花王社製)を対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液6cを得た。
<濾材シート6cの作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液7に含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート6cを得た。
(比較例7)
<バインダー液7cの調製>
実施例1で得たポリビニルアルコールの0.2%水溶液に、ステアリルアミン酢酸塩(製品名アセタミン86、花王社製)を対液で0.04%となるように投入して更に攪拌し、濃度0.24%のバインダー液7cを得た。
<濾材シート7cの作製>
実施例1で得た原料スラリーをテーブル抄紙装置にて抄紙し、目付重量70g/mの湿紙を得た。得られた湿紙をバインダー液7cに含浸したのち吸引して余分のバインダー液を除いたのち、ドラム乾燥機にて乾燥し、濾材シート7cを得た。
実施例及び比較例のエアフィルタ用濾材の構成一覧を表1に示す。
Figure 2010094580
以上の実施例及び比較例において得られたエアフィルタ用濾材について、表2に評価結果を示す。
Figure 2010094580
(評価方法)
<圧力損失>
濾材の有効面積100cmに面風速5.3cm/secで通風したときの圧力損失を微差圧径で測定した。
<DOP透過率>
常温下において、ラスキンノズルで発生させた多分散DOP(ジオクチルフタレート)粒子を含む空気を、濾材の有効面積100cmに面風速5.3cm/secで通過させた時の、濾材の上流と下流における粒子数をレーザーパーティクルカウンター(商品名:LASAIR MODEL1001、PMS社製)で測定し、粒子径0.10〜0.15μmの粒子の透過率を測定した。
<PF値>
前記の方法で測定した圧力損失とDOP透過率から、数式(1)を用いて計算して求めた。
<アウトガス発生速度>
ダイナミックヘッドスペース法を用いた。発生ガス濃縮導入装置を(MS−TD−258、ジーエルサイエンス社製)を用い、試料約0.3gを99.999%のHe気流(流量50ml/min)中で80℃、1時間加熱し、試料から発生したアウトガスを吸着剤(TENAX TA)で捕集濃縮し、270℃で再脱離させたガスをクライオフォーカスユニットでサンプルバンドを狭めた後、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS−QP5050A、島津製作所製)に導入して定量した。キャピラリーカラムは、TC−1(ジーエルサイエンス社製、0.25mm×60m、膜圧0.25μm)を用い、質量分析計のイオン化方法を電子衝撃法(イオン化電圧70eV)とした。このときの単位時間当たりのアウトガス発生量をアウトガス発生速度として、n−ヘキサデカン検量線によって相対評価した。
<引張強度>
引張強度は、JIS P8113に準拠して測定した。
実施例1〜8のエアフィルタ用濾材は、いずれも、4級アンモニウム塩タイプのカチオン性界面活性剤の効果によって、比較例3の無添加条件に比べフィルタ性能、特にPF値及びDOP透過率の向上が確認された。
4級アンモニウム含有量が同じである条件において、Rの炭素数16の実施例1、Rの炭素数12の実施例4、Rの炭素数18の実施例5の4級アンモニウム塩はRの炭素数22の実施例の実施例6の4級アンモニウム塩に比べPF値及びDOP透過率に高い向上効果が認められる。しかし実施例6の4級アンモニウムも実用範囲内にある。
一方、比較例1,2のノニオン性界面活性剤では十分なフィルタ向上効果が達成されていない。比較例6,7の1級アミンにおいては、フィルタ向上は見られたがアウトガスが多かった。
比較例4、5においては4級アンモニウムの含有量が少ないとフィルタ性能の向上効果がほとんどなく、逆に含有量が多すぎるとフィルタ性能の向上効果はあったが引張強度が大きく低下した。

Claims (4)

  1. 湿式抄紙法によってシート形成されたガラス繊維を主体とした濾材に、該濾材の乾燥前又は乾燥後に、次の一般式(A)で表される4級アンモニウム塩であるカチオン性界面活性剤を0.01〜0.20質量%含有するバインダー液を付与したのち乾燥して得ることを特徴とするエアフィルタ用濾材。
    Figure 2010094580
    [式中、Rは(CHHを、
    Rは(CHHを、
    RはCH又はCを、
    RはCH又はCを、
    Xはアンモニウムを中和する酸成分を意味し、
    ただし、m及びnは8〜18の範囲でありそして
    mとnとの和が16〜36の範囲内であるか、
    又は
    mが12〜22の範囲であり、nが1又は2である。]
  2. 次の数式(B)で表される濾材のPF値が、9.8以上であることを特徴とする、請求項1に記載のエアフィルタ用濾材。
    Figure 2010094580
    F:PF値
    T:0.10〜0.15μm径DOP粒子透過率[%]
    P:面風速5.3cm/sにおける濾材の圧力損失[Pa]
  3. 濾材を80℃で加熱したときのアウトガス発生速度が、800ng/g/h以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアフィルタ用濾材。
  4. 湿式抄紙法によってシート形成されたガラス繊維を主体とした濾材に、該濾材の乾燥前又は乾燥後に、次の一般式(A)で表される4級アンモニウム塩であるカチオン性界面活性剤を0.01〜0.20質量%含有するバインダー液を付与したのち乾燥することを特徴とするエアフィルタ用濾材の製造方法。
    Figure 2010094580
    [式中、Rは(CHHを、
    Rは(CHHを、
    RはCH又はCを、
    RはCH又はCを、
    Xはアンモニウムを中和する酸成分を意味し、
    ただし、m及びnは8〜18の範囲でありそして
    mとnとの和が16〜36の範囲内であるか、
    又は
    mが12〜22の範囲であり、nが1又は2である。]
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