JP2010093976A - 螺子取付体及び配線器具取付体 - Google Patents

螺子取付体及び配線器具取付体 Download PDF

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Abstract

【課題】螺子取付体への螺子の挿入性を向上させ、配線器具取付体に対する配線器具の取付作業性を向上させることができる螺子取付体及び配線器具取付体を提供する。
【解決手段】配線用ボックス11の取付部20には螺子取付体40が収容されている。螺子取付体40において、板状をなす弾性変形可能な基板41には、ビスの軸部が挿入される挿入孔43、及び挿入孔43に挿入された軸部に係止してビスの挿入孔43に対する反挿入方向への抜け出しを規制する一対の係止爪42が対向して設けられている。螺子取付体40は、一対の係止爪42の基板41からの延設方向に沿って延びる基板41の一側端側のみに係止爪42の基端部同士を連結する連結板部41aを備えるとともに、延設方向に沿って延びる係止爪42の他側端が自由端になっている。
【選択図】図4

Description

本発明は、配線器具を螺子により取り付けるための取付部を有し、取付部の前面に螺子が挿通される挿通孔が形成された配線器具取付体の取付部内に収容される螺子取付体、及び該螺子取付体が取付部内に収容された配線器具取付体に関する。
従来より、建物の壁面に配線器具を設置するため、壁裏には配線用ボックス(配線器具取付体)が設置されている。そして、配線用ボックスのボス部(取付部)に収容されたナットに配線器具固定用のビス(螺子)を螺合することにより、配線器具が壁面に設置される。しかし、ビスによる螺合作業は、ビスをドライバーで回転させて締め込んでいかなければならず、大変面倒でかつ時間のかかるものであった。そこで、ナットの替わりにボス部に薄板の金属板よりなる部材(螺子取付体)を収容したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のスイッチボックスは、前面に開口する合成樹脂製のボックスを備え、このボックスの上部内面及び下部内面には箱状をなす取付部が設けられている。また、ボックスの上部及び下部の前面には各取付部にボックスネジを挿入可能なナット孔が形成されている。さらに、ボックスの上部及び下部には、取付部内と連通する電源線引出口が形成されている。取付部内には、ボックスネジが係止可能なスピードナット(螺子取付体)が収容されている。このスピードナットは、中央部に円孔が形成されるとともに、この円孔に接するように切線が形成されている。また、スピードナットは各電源線引出口から取付部内に収容されている。
そして、スイッチボックスを用いて配線器具を壁面に設置するには、壁裏のスイッチボックスに対し、配線器具を保持した取付枠に取り付けたボックスネジをナット孔に挿入するとともに、ボックスネジをスピードナットの円孔に挿入する。すると、スピードナットが弾性変形してボックスネジの螺子部に係止し、ボックスネジのナット孔からの抜け出しが防止される。その結果、取付枠がスイッチボックスに取り付けられるとともに、配線器具がスイッチボックスに取り付けられ、配線器具が壁面に設置される。
登録実用新案第3003240号公報
ところで、特許文献1のスイッチボックスのように、取付部にスピードナットが収容されたものであっても、さらに、配線器具のスイッチボックスへの取付作業の作業性を向上させることが望まれている。
本発明は、螺子取付体への螺子の挿入性を向上させ、配線器具取付体に対する配線器具の取付作業性を向上させることができる螺子取付体及び配線器具取付体を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、配線器具を螺子により取り付けるための取付部を有し、該取付部の前面に前記螺子が挿通される挿通孔が形成された配線器具取付体の前記取付部内に収容される螺子取付体であって、板状をなす弾性変形可能な基板には、前記螺子の軸部が挿入される挿入孔、及び前記挿入孔に挿入された前記軸部に係止して前記螺子の前記挿入孔に対する反挿入方向への抜け出しを規制する少なくとも一対の弾性変形可能な係止爪が対向して設けられ、前記対向する一対の係止爪の前記基板からの延設方向に沿って延びる前記基板の一側端側のみに前記係止爪の基端部同士を連結する連結板部を備えるとともに、前記延設方向に沿って延びる前記係止爪の他側端が自由端になっていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の螺子取付体において、前記対向する一対の係止爪の先端同士は離間していることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の螺子取付体において、前記連結板部には、対向する一対の係止爪の延設方向に対する直交方向に沿って延び、かつ前記挿入孔に連なる切り欠きが形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、配線器具を螺子により取り付けるための取付部を有し、該取付部の前面に前記螺子が挿通される挿通孔が形成されるとともに、前記取付部内に、前記螺子の軸部に係止する螺子取付体が収容された配線器具取付体であって、前記螺子取付体は、板状をなす弾性変形可能な基板を備え、該基板には、前記螺子の軸部が挿入される挿入孔、及び前記挿入孔に挿入された前記軸部に係止して前記螺子の前記挿入孔に対する反挿入方向への抜け出しを規制する少なくとも一対の係止爪が対向して設けられ、前記対向する一対の係止爪の前記基板からの延設方向に沿った前記基板の一側端側のみに前記係止爪の基端部同士を連結する連結板部を備えるとともに、前記延設方向に沿って延びる前記係止爪の他側端が自由端になっていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の配線器具取付体において、前記螺子取付体は、前記延設方向に沿って延びる他側端を、前記配線器具取付体の内部空間に向けて前記取付部内に収容されていることを要旨とする。
本発明によれば、螺子取付体への螺子の挿入性を向上させ、配線器具取付体に対する配線器具の取付作業性を向上させることができる。
以下、本発明の螺子取付体を具体化するとともに、配線器具取付体を配線用ボックスに具体化した一実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。以下の説明において螺子取付体及び配線用ボックスの「上」「下」は、図1に示す矢印Y1の方向を上下方向とし、「左」「右」は、図1に示す矢印Y2の方向を左右方向とし、「前」「後」は、図1に示す矢印Y3の方向を前後方向とする。
図1に示すように、配線用ボックス11は、前面(一面)に開口する有底四角箱状に形成されている。配線用ボックス11は、矩形板状をなす底壁12と、底壁12の周縁から立設された上側壁13、下側壁14、左側壁15、及び右側壁16とから外郭が形成されている。上側壁13、下側壁14、左側壁15、及び右側壁16それぞれは矩形板状に形成されている。そして、底壁12と、上側壁13と、下側壁14と、左側壁15と、右側壁16とから内部空間Nが囲み形成されている。
上側壁13及び下側壁14の内面それぞれにおいて、上側壁13及び下側壁14の左右方向(長さ方向)における中央部には、細長四角箱状をなす取付部20が、取付部20の左右方向(長さ方向)が上側壁13及び下側壁14の左右方向に沿って延びるように一体形成されている。また、各取付部20それぞれは、上側壁13及び下側壁14から内部空間Nに向けて突出するように形成されている。図7に示すように、取付部20は、配線用ボックス11に対し螺子としてのビス18により配線器具19を取り付けるために配線用ボックス11に設けられている。なお、ビス18は、頭部18aと、外面に螺子が形成された軸部18bとから形成されている。
図1に示すように、取付部20は、取付部20の前面(一面)が上側壁13及び下側壁14の開口端と面一となるように形成されている。また、取付部20において、取付部20に対するビス18の挿入方向(図2の矢印Xに示す)手前側に位置する壁部20aには、取付部20の前面からビス18を挿通可能な挿通孔21が形成されるとともに、この挿通孔21から取付部20内にビス18の軸部18bが挿入可能になっている。また、壁部20aにおいて、挿通孔21の左右両側には透孔23が壁部20aを前後方向(厚み方向)に貫通して形成されている。
図2に示すように、取付部20へのビス18の挿入方向において、挿通孔21より奥側に位置する取付部20の壁部20bには、ビス18の軸部18bが通過可能な貫通孔22が形成されている。挿通孔21と貫通孔22は、取付部20の厚み方向(ビス18の挿入方向)において互いに対向する位置に形成されている。
各取付部20の内部には収容空間30が形成されるとともに、この収容空間30にはビス18の軸部18bが係止可能な螺子取付体40が収容されている。図1及び図3に示すように、螺子取付体40は、平面視が矩形状をなす金属の薄板を所定形状に成形してなるものである。螺子取付体40は、その外郭を形成する基板41を備えるとともに、基板41は初期状態では弧状に湾曲するように形成されている。また、基板41はビス18による押圧によって全体が撓み変形可能に形成されるとともに、基板41は撓み変形した後に、変形する前の原形状に復帰するように弾性変形可能に形成されている。
基板41には、一対の係止爪42が形成されている。各係止爪42は、螺子取付体40を形成する金属板を所定形状に切り欠き、さらに、係止爪42以外の基板41全体を弧状に湾曲させることにより係止爪42の先端側が基板41から突出するように形成されている。すなわち、図2に示すように、係止爪42の先端側は、基板41において、弧状に膨出する側の面から突出している。また、一対の係止爪42は、互いの先端同士を離間させつつ対向させるように基板41から延設されている。
各係止爪42それぞれは、所要の強度を有するとともに、ビス18による押圧によって撓み変形可能に形成されるとともに、撓み変形した後に、変形する前の原形状に自身で復帰するように弾性変形可能に形成されている。図3に示すように、基板41からの係止爪42の延設方向(基板41の長辺方向)に沿った係止爪42の長さ(係止爪42の基端から先端までの長さ)と、係止爪42の基端から基板41の先端までの長さは同じになっている。
各係止爪42の先端それぞれは円弧状に切り欠かれるとともに、その切り欠かれた部位が対向することにより円孔状をなす挿入孔43が形成されている。この挿入孔43の直径は、ビス18の軸部18bにおける直径より僅かに小さく形成されている。基板41において、対向する一対の係止爪42の延設方向に沿って延びる一側端側(図3では上側端側)は、係止爪42の基端部同士を連結する連結板部41aとなっている。また、延設方向に沿って延びる、一対の係止爪42の他側端側(図3では下側端側)には連結板部41aが設けられず、両係止爪42の他側端は自由端となっている。基板41における係止爪42の延設方向における連結板部41aの中央部には、係止爪42の延設方向に対する直交方向に沿って延びる切り欠き44が、挿入孔43に連なるように形成されている。
そして、基板41は、ビス18が挿入孔43に挿入されたときに一対の係止爪42の先端同士の間隔を広げるために撓み変形可能に形成されている。また、係止爪42の延設方向に対する直交方向に沿った係止爪42の長さL1と、前記直交方向に沿った連結板部41aの長さL2とは同じになっている。そして、連結板部41aの長さL2が所定長さだけ確保されることにより、基板41は弾性変形可能になっている。
図2に示すように、上記構成の螺子取付体40は、挿入孔43が取付部20の挿通孔21に臨むように取付部20の収容空間30内に収容されている。収容空間30は、取付部20へのビス18の挿入方向に沿った手前側で幅広に形成された第1収容空間31と、ビス18の挿入方向において第1収容空間31より奥側に位置し、かつ第1収容空間31より幅狭に形成された第2収容空間32とから形成されている。
また、取付部20の内面であって、第1収容空間31と第2収容空間32の境界には段差33が形成されている。取付部20の左右方向(長さ方向でありビス18の挿入方向に直交する方向)に沿った第1収容空間31の開口幅は、弧状に湾曲する初期状態における基板41の長辺方向に沿った長さより広く形成されており、基板41の長辺方向の両端と、取付部20の内面との間に隙間が形成されるようになっている。また、取付部20へのビス18の挿入方向に沿った第1収容空間31の開口幅は、初期状態における基板41の厚み方向への全体長さより狭く形成されている。このため、基板41全体は、第1収容空間31と、第1収容空間31に連通する第2収容空間32を利用して収容空間30内に収容されている。すなわち、螺子取付体40は、挿入孔43が基板41の長辺方向両端よりもビス18の挿入方向奥側に位置するように湾曲した状態で収容空間30内に収容されている。
また、基板41において、ビス18の挿入方向奥側の面は段差33に当接可能になっているとともに、基板41において、ビス18の挿入方向手前側の面は壁部20aの内面に当接可能になっている。第2収容空間32におけるビス18の挿入方向に沿った開口幅は、基板41が段差33に支持された状態で、挿入孔43へのビス18の挿入に伴う基板41の撓み変形、及び係止爪42の撓み変形を許容する長さに設定されている。
さらに、基板41が段差33に当接支持された状態では、ビス18の挿入方向において、基板41と壁部20aの内面との間には隙間が形成されるようになっている。また、収容空間30内では、螺子取付体40は基板41の長辺方向の中央部が、第2収容空間32に向けて膨出するように配設されるとともに、基板41は段差33への当接部位以外は取付部20の内面に当接していない。このため、基板41は、第1収容空間31及び第2収容空間32内で撓み変形が許容されるようにガタを持って収容されている。
さらに、基板41における係止爪42の基端側となる両端側(基板41の長辺方向両端側)が段差33に当接支持された状態では、係止爪42は第1収容空間31から第2収容空間32に向けて斜めに延びている。そして、第2収容空間32内では、係止爪42の移動(撓み変形)が許容されるようになっている。
図4に示すように、取付部20には、取付部20外と収容空間30とを連通させる連通孔36が形成されている。この連通孔36は、取付部20の挿通孔21が形成された前面に対し直交する面(上側の取付部20では上面、下側の取付部20では下面)に開口するように、上側壁13及び下側壁14に開口している。ビス18の挿入方向に沿った、連通孔36における上側壁13又は下側壁14の外面側の開口幅は、挿入方向に沿った収容空間30側の開口幅より広く形成されている。
また、取付部20には、取付部20外へ向けた開口から収容空間30に向かうに連れて徐々に傾斜する傾斜面20cが形成されている。このため、ビス18の挿入方向に沿った連通孔36の開口幅は、取付部20外へ向けた開口から収容空間30に向かうに連れて徐々に狭くなるように形成されている。そして、貫通孔22が形成された壁部20bの内面と、傾斜面20cとに連続する取付部20の内面により、壁部20bの内面に対し直交する段部20dが形成されている。図4に示すように、取付部20において、連通孔36と収容空間30との境界となる段部20dには、弧状に湾曲した状態で収容空間30内に収容された基板41の一部たる、長辺方向の中央部41bが係合するようになっている。
なお、収容空間30は、配線用ボックス11の成形時に、抜き型を用いて形成され、この抜き型を抜くことにより、取付部20に連通孔36及び透孔23が形成されている。また、収容空間30の段部20dは、透孔23から抜き型を抜くことにより、取付部20内に形成されている。
そして、図5に示すように、螺子取付体40は、上記連通孔36から収容空間30内に挿入されるようになっている。このため、螺子取付体40の取付部20への挿入方向は、取付部20へのビス18の挿入方向と異なり、互いに直交するようになっている。螺子取付体40は、係止爪42の延設方向に沿って延びる他側端を内部空間Nに向けて取付部20内(収容空間30)に収容されている。そして、一対の螺子取付体40は、互いの他側端が内部空間Nを挟んで対向するように取付部20内に収容されている。そして、螺子取付体40を連通孔36に挿入し、螺子取付体40を収容空間30に向けて押し込む。このとき、傾斜面20cによって連通孔36は開口幅が徐々に狭くなっているため、弧状に湾曲した基板41が徐々に平板状に変形していき、その変形した状態で連通孔36を通過して収容空間30内に収容される。
そして、図4に示すように、収容空間30内で基板41が原形状へ復帰すると、基板41は弧状の初期状態で収容空間30内に収容される。また、取付部20内において、収容空間30を形成する内面であって、傾斜面20cに繋がる段部20dには、収容空間30内に収容されるとともに原形状に復帰した基板41の長辺方向の中央部41bが係合するようになっており、螺子取付体40の収容空間30からの抜け出しを防止している。
さて、上記構成の配線用ボックス11に配線器具19を取り付けるには、まず、図7に示すように、配線用ボックス11を柱Hに固定する。このとき、配線用ボックス11は、取付部20が上下に位置するように柱Hに固定されるが、上下各螺子取付体40は収容空間30内で湾曲した状態で収容されるとともに、その湾曲した基板41の長辺方向の中央部41bが段部20dに係合可能になっている。このため、螺子取付体40が、連通孔36を通過することが防止され、取付部20から螺子取付体40が抜け出ることが防止される。特に、下側の取付部20においては、収容空間30内の螺子取付体40が連通孔36を通過して落下してしまうことが防止される。
次に、配線用ボックス11を前後から挟むように一対の壁材Wを立設し、前方の壁材Wに壁孔Waを穿設して配線用ボックス11の内部空間Nを壁表側に臨ませる。次に、配線器具19を配線器具保持枠50に保持させる。続けて、配線器具保持枠50を貫通させた一対のビス18それぞれを、各取付部20の挿通孔21に挿通する。そして、図6に示すように、ビス18を取付部20内に押し込むとともに、螺子取付体40の挿入孔43にビス18を挿入する。
このとき、係止爪42それぞれは、ビス18の挿入方向手前側から奥側に向けて斜めに延びている。このため、軸部18bにより両係止爪42の先端が第2収容空間32に向けて押圧されると、係止爪42は第2収容空間32内で移動(撓み変形)するとともに、螺子取付体40において、基板41における係止爪42の基端側となる両端側(基板41の長辺方向の両側)が段差33に当接支持される。
さらに、ビス18を挿入孔43に押し込むと、図6の2点鎖線に示すように、係止爪42が軸部18bによって押圧されることにより基板41全体が撓み変形する。すなわち、基板41は、一対の係止爪42の先端同士が離れて軸部18bの進入が許容されるように、基板41の曲率が移動前(撓み変形前)の曲率より小さくなるように変形する。このとき、基板41において、係止爪42の他側端は自由端となっているため、ビス18によって基板41が押圧されたとき、基板41の他側部は、挿入孔43を拡径する方向へ変形しやすくなっている。
また、第1収容空間31の長さ方向の両端側では、基板41における係止爪42の基端側となる両端部の反挿入方向への撓み変形が許容され、第2収容空間32では、基板41における中央部の挿入方向への撓み変形が許容される。すなわち、第1収容空間31及び第2収容空間32によって基板41全体の撓み変形が許容される。同時に、第2収容空間32によって係止爪42の移動(撓み変形)が許容される。
その後、撓み変形した係止爪42が弾性変形により原形状に復帰すると、係止爪42の先端が軸部18bに係止する。また、ビス18の螺子取付体40に対する押圧が停止されると、撓み変形した基板41が弾性変形により原形状(初期状態)に復帰する。このとき、第1収容空間31及び第2収容空間32によって基板41全体の原形状への復帰のための変形が許容される。また、係止爪42の延設方向に沿った他側端が自由端となっているため、基板41の原形状への復帰が速やかに行われる。
そして、軸部18bに係止爪42が係止した後、配線器具保持枠50を取付部20に取り付けるために、ビス18を螺子取付体40に対して若干螺進させる(増し締めする)。このとき、螺子取付体40は挿通孔21側に引き寄せられるとともに、基板41における挿入方向手前側の面が壁部20aの内面に当接して、弧状に湾曲した状態から湾曲しない平板状に弾性変形する。ここで、基板41においては、連結板部41aは長さL2を十分に確保しているため、基板41が平板状に弾性変形しても係止爪42が挿入孔43を拡径するように広がることが規制される。
さらに、基板41が壁部20aに当接して平板状に弾性変形したとき、基板41の長辺方向の両端が、取付部20の内面に当接する。このため、連結板部41aの長さL2を有することによる係止爪42の拡径の規制に加えて、基板41両端の当接により、係止爪42が挿入孔43を拡径するように基板41が変形することが規制される。なお、本実施形態では、基板41における連結板部41aが長さL2を有することと、平板状に変形した基板41の両端が取付部20の内面に当接することの、2つの要因によって係止爪42の拡径の規制している。しかし、ビス18の増し締めによって基板41が壁部20aに当接して平板状に弾性変形したとき、基板41の長辺方向の両端が取付部20の内面に当接しなくても、連結板部41aが長さL2を有することで係止爪42の拡径を規制することができる。
その結果、ビス18を用いて配線器具19が配線用ボックス11に取り付けられる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)螺子取付体40の基板41において、係止爪42の延設方向に沿って延びる一側端側のみに、係止爪42の基端部同士を連結する連結板部41aを設けた。また、係止爪42の延設方向に沿って延びる他側端を自由端とした。このため、挿入孔43にビス18を挿入したとき、例えば、係止爪42の延設方向に沿って延びる両側部それぞれに連結板部41aが設けられている場合に比して、基板41が撓み変形しやすくなる。よって、挿入孔43にビス18を挿入する際の基板41の抵抗を減らして、螺子取付体40に対するビス18の挿入作業の作業性を向上させることができる。その結果として、取付部20へのビス18の挿入性を向上させ、配線用ボックス11に対する配線器具19の取付作業性を向上させることができる。
(2)対向する一対の係止爪42の先端同士は離間するとともに、係止爪42の延設方向に沿った他側端は自由端となっている。このため、挿入孔43にビス18を挿入したとき、一対の係止爪42の先端同士の間隔は、連結板部41a側は広がりにくく、係止爪42の他側端側は広がやすくなっている。よって、基板41は全体として、基板41の他側端側が広がるように斜めに広がる。したがって、挿入孔43にビス18を挿入する際の基板41の抵抗を減らしてビス18の挿入作業の作業性を向上させることができる。
(3)螺子取付体40は、一対の係止爪42の一側端側のみに連結板部41aが設けられる一方で、係止爪42の他側端は自由端となっている。また、係止爪42の延設方向に対する直交方向に沿った係止爪42の長さL1と連結板部41aの長さL2は同じになっている。すなわち、係止爪42の他側端を自由端とすることで基板41を撓み変形させやすくする一方で、連結板部41aの長さL2を十分に確保している。これにより、弾性変形した基板41を原形状へ復帰させることができる。したがって、挿入孔43へビス18を挿入しやすくできる一方で、基板41を確実に原形状に復帰させて係止爪42を軸部18bに係止させ、ビス18の挿入孔43からの抜けを防止することができる。
(4)連結板部41aには切り欠き44が形成されている。このため、連結板部41aによって係止爪42を連結し、連結板部41aによって基板41の原形状への復帰を可能にしつつも、連結板部41aに切り欠き44を形成することで、連結板部41aの撓み変形を行いやすくしている。
(5)螺子取付体40は、一対の係止爪42の基端部同士を連結する連結板部41aを備える一方で、係止爪42の他側端は自由端となっている。すなわち、一対の係止爪42の延設方向に対する直交方向において、係止爪42を挟んだ一側端側のみに連結板部41aが形成されている。そして、螺子取付体40は、係止爪42の他側端を内部空間Nに向けて取付部20内に収容されている。よって、取付部20は、収容空間30に収容された螺子取付体40を、その挿入孔43が取付部20の挿通孔21に対向するように収容可能に形成されればよい。したがって、取付部20において、挿通孔21より内部空間N側の配線用ボックス11内への突出長さを短くすることができ、配線用ボックス11内に収容可能な配線器具19の大きさを大きくすることができる。
(6)配線用ボックス11は、配線器具保持枠50を介して配線器具19を取り付けるための取付部20を一対備える。そして、取付部20には、上記(1)〜(4)に記載の作用効果を発揮する螺子取付体40が収容されている。よって、この配線用ボックス11の取付部20に対するビス18の挿入作業を行い易くすることができ、配線用ボックス11への配線器具19の取付作業を容易に行うことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 配線器具取付体として、四角枠状をなすとともに枠内の内部空間に向けて取付部が突出するように形成されたボックスカバーの取付部に、本実施形態の螺子取付体40を収容してもよい。
○ 実施形態において、螺子としてのビス18の代わりにボルトや木螺子を用いてもよい。
○ 螺子取付体40における基板41は、平面視が楕円形状や細長円盤状に形成されていてもよい。
○ 実施形態において、螺子取付体40における係止爪42は3つ又は4つ以上形成されていてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記係止爪の延設方向に対する直交方向に沿った係止爪の長さと、前記直交方向に沿った連結板部の長さとは同じになっている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の螺子取付体。
実施形態の配線用ボックス及び螺子取付体を示す斜視図。 取付部内を示す平断面図。 螺子取付体を示す正面図。 取付部内を示す部分拡大縦断面図。 取付部内を示す部分平面図。 ビスを螺子取付体に挿通した状態を示す部分拡大平断面図。 配線用ボックスに配線器具を取り付けた状態を示す縦断面図。
符号の説明
N…内部空間、11…配線器具取付体としての配線用ボックス、18…螺子としてのビス、18b…軸部、19…配線器具、20…取付部、21…挿通孔、40…螺子取付体、41…基板、41a…連結板部、42…係止爪、43…挿入孔、44…切り欠き。

Claims (5)

  1. 配線器具を螺子により取り付けるための取付部を有し、該取付部の前面に前記螺子が挿通される挿通孔が形成された配線器具取付体の前記取付部内に収容される螺子取付体であって、
    板状をなす弾性変形可能な基板には、前記螺子の軸部が挿入される挿入孔、及び前記挿入孔に挿入された前記軸部に係止して前記螺子の前記挿入孔に対する反挿入方向への抜け出しを規制する少なくとも一対の弾性変形可能な係止爪が対向して設けられ、
    前記対向する一対の係止爪の前記基板からの延設方向に沿って延びる前記基板の一側端側のみに前記係止爪の基端部同士を連結する連結板部を備えるとともに、前記延設方向に沿って延びる前記係止爪の他側端が自由端になっている螺子取付体。
  2. 前記対向する一対の係止爪の先端同士は離間している請求項1に記載の螺子取付体。
  3. 前記連結板部には、対向する一対の係止爪の延設方向に対する直交方向に沿って延び、かつ前記挿入孔に連なる切り欠きが形成されている請求項1又は請求項2に記載の螺子取付体。
  4. 配線器具を螺子により取り付けるための取付部を有し、該取付部の前面に前記螺子が挿通される挿通孔が形成されるとともに、前記取付部内に、前記螺子の軸部に係止する螺子取付体が収容された配線器具取付体であって、
    前記螺子取付体は、板状をなす弾性変形可能な基板を備え、該基板には、前記螺子の軸部が挿入される挿入孔、及び前記挿入孔に挿入された前記軸部に係止して前記螺子の前記挿入孔に対する反挿入方向への抜け出しを規制する少なくとも一対の係止爪が対向して設けられ、前記対向する一対の係止爪の前記基板からの延設方向に沿った前記基板の一側端側のみに前記係止爪の基端部同士を連結する連結板部を備えるとともに、前記延設方向に沿って延びる前記係止爪の他側端が自由端になっていることを特徴とする配線器具取付体。
  5. 前記螺子取付体は、前記延設方向に沿って延びる前記係止爪の他側端を、前記配線器具取付体の内部空間に向けて前記取付部内に収容されている請求項4に記載の配線器具取付体。
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