JP2010092018A - アクチュエータの駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】波形データを格納する波形メモリ1と、可動部の振れ角情報に基づいて駆動信号の振幅を演算する振幅演算部2と、振幅演算部2からのデジタル駆動信号をアナログ駆動信号に変換するD/A変換器3と、可動部が共振振動する共振周波数成分を前記アナログ駆動信号から除去するノッチフィルタ4と、ノッチフィルタ4のフィルタ出力に基づいて可動部に駆動信号を供給する駆動信号供給部5とを備えて構成した。
【選択図】図1
Description
この電磁アクチュエータは、半導体基板を異方性エッチングして、枠状の固定部と、可動部と、固定部に可動部を揺動可能に軸支するトーションバー(梁部)とを一体形成し、可動部に駆動コイルを設け、トーションバーの軸方向と平行な可動部両端縁部の駆動コイル部分に静磁界を作用させる静磁界発生手段(例えば永久磁石)を設ける構成である。
この可動部に反射ミラーを設ければ、可動部を揺動駆動することで反射ミラーに照射した光ビームの反射光を走査できる。従って、例えばレーザ光等の光ビームをラスタ走査して画像を表示するレーザプロジェクタ等の光デバイスにおける光走査用アクチュエータとして好適である。
しかしながら、信号周波数の整数倍の高調波成分を含む鋸歯状波形などの駆動信号では、可動部が共振振動する共振周波数近傍の高調波成分が駆動信号に含まれることによって、可動部が共振振動を起こす虞れがある。
そして、可動部が共振振動を起こすと、可動部は微小に振動しながらトーションバー回りに揺動することになるため、走査光の揺らぎが発生し、レーザプロジェクタでは、表示される画像の画質が悪化するという問題がある。
かかる構成では、高調波成分を含む波形の駆動信号から、可動部が共振振動する共振周波数成分を除去し、共振周波数成分が除去された駆動信号に基づき、可動部を揺動させる駆動力を発生させる。
かかる構成では、帯域除去フィルタで共振周波数成分を含む所定の周波数帯域が駆動信号から除去され、前記所定の周波数帯域に含まれない周波数成分で構成される駆動信号によって、駆動力を発生させる。
そして、請求項3のように、前記帯域除去フィルタをノッチフィルタとするとよい。
かかる構成では、共振周波数成分を含む高周波帯域が、駆動信号からローパスフィルタによって除去され、前記共振周波数成分よりも周波数の低い成分で構成される駆動信号によって、駆動力を発生させる。
かかる構成では、信号生成部が、駆動信号の基本周波数の正弦波、及び、前記基本周波数の整数倍の周波数の正弦波を合成して駆動信号を生成するが、共振周波数近傍の周波数の正弦波を前記合成処理の対象から除外し、共振周波数近傍の周波数の正弦波を用いずに駆動信号を生成させる。
かかる構成では、駆動信号に対して、共振周波数付近の高調波成分と同じ周波数で同振幅でかつ逆位相の位相反転信号を付加することで、共振周波数成分を相殺する。
かかる構成では、可動部の共振特性の違いによって、共振振動が発生する周波数域の広狭が発生し、また、共振周波数で発生する振動エネルギーが異なるので、駆動信号から除去する周波数帯域及び/又は当該帯域での信号レベルの減衰量を、可動部の共振特性に応じて変更する。
かかる構成では、そのときの実際の共振周波数を検出し、検出した共振周波数の成分が駆動信号から除去されるように、共振成分除去部が駆動信号から除去する周波数成分を変更する。
かかる構成では、アクチュエータの温度が変化して可動部の共振周波数が変化すると、共振成分除去部が除去する周波数成分と、実際の共振周波数との間にずれが生じるので、共振成分除去部が除去する周波数成分が共振周波数となる温度を維持するように、アクチュエータの温度を制御する。
かかる構成では、アクチュエータの温度を検出し、アクチュエータの温度と可動部の共振周波数との相関から、そのときの実際の共振周波数を推定し、推定した共振周波数成分に基づいて、共振成分除去部で駆動信号から除去する周波数成分を変更するか、又は、推定した共振周波数に基づいてアクチュエータの温度を制御する。
かかる構成では、可動部の動き(揺動位置)を検出する位置センサが、共振周波数成分による可動部の微振動を検出するので、位置センサの検出信号からそのときの共振周波数を検出する。
かかる構成では、共振成分除去部で除去する周波数成分と、実際の共振周波数とにずれが生じると、共振周波数帯域での振幅が増大するので、共振成分除去部で除去する周波数成分を変更して、前記共振周波数帯域での振幅を小さくする。
かかる構成では、アクチュエータの温度が変化すると、共振成分除去部で除去する周波数成分と、実際の共振周波数とにずれが生じ、共振周波数帯域での振幅が増大するので、アクチュエータの温度を変更して、前記共振周波数帯域での振幅を小さくする。
かかる構成では、交流電流が供給されることで可動部を揺動させる駆動力を発生する駆動コイルに対し、直流電流を供給させるようにし、更に、この直流電流を変更することで、駆動コイルの発熱量を制御し、以って、アクチュエータの温度を制御する。
かかる構成では、信号生成部が、鋸歯状波形の駆動信号を生成し、この高調波成分を含む鋸歯状波形の駆動信号から、共振周波数成分を除去する。
かかる構成では、アクチュエータを構成する固定部、トーションバー及び可動部は、エッチングなどの半導体製造技術を用いて、一体的に形成される。
かかる構成では、反射ミラーを揺動駆動させる駆動信号から、共振周波数成分を除去する処理がなされる。
かかる構成では、光走査用アクチュエータがラスタ走査における垂直走査に用いられるアクチュエータであって、可動部を低速で揺動駆動する場合に、駆動信号から共振周波数成分を除去する処理がなされる。
かかる構成では、共振周波数が除去された駆動信号に基づいて反射ミラーが揺動駆動され、この反射ミラーへの光ビームの照射を、画像データに基づいて制御することで、画像が表示される。
図1は、本発明に係るアクチュエータの駆動装置の第1実施形態を示すブロック図である。
図1において、第1実施形態の駆動装置101は、鋸歯状波形信号の1周期分のデジタルデータを格納する波形メモリ1と、後述するアクチュエータ10の可動部13の振れ角を示す振れ角情報(位置情報)に基づいて鋸歯状波形の駆動信号の振幅を演算し、前記波形メモリ1に格納されている鋸歯状波形信号と前記振幅とに基づき、鋸歯状波形でかつ前記演算した振幅のデジタル駆動信号を生成する振幅演算部2と、振幅演算部2から出力されるデジタル駆動信号をアナログ駆動信号に変換するD/A変換器3と、D/A変換器3から出力されたアナログ駆動信号から、前記可動部13が共振振動する共振周波数成分を除去するノッチフィルタ4(共振成分除去部)と、ノッチフィルタ4を通過したアナログ駆動信号に基づいてアクチュエータ10の駆動力発生部に駆動信号を供給して駆動力を発生させる駆動信号供給部5と、を備えて構成される。ここで、波形メモリ1と振幅演算部2とで信号生成部102が構成される。
尚、波形メモリ1に代えて前記波形演算部を設ける構成は、後述する第2〜第8実施形態にも適用可能である。また、鋸歯状波形等の駆動信号の基本波形を演算で生成する方法としては、上記のカウント値を用いる方法に限定されるものではなく、公知の種々の方法を適用できる。
図3において、このアクチュエータ10は、半導体製造技術を利用して製造した電磁駆動式のプレーナ型アクチュエータである。
図3において、このアクチュエータ10は、枠状の固定部11と、可動部13と、前記可動部13を固定部11に対し揺動可能に軸支する一対のトーションバー(梁部)12,12とを備えて構成され、前記固定部11、トーションバー12,12及び可動部13は、半導体基板を用いて一体に形成される。
また、トーションバー12,12の軸方向と平行な可動部対辺部と対面する固定部11の外方には、一対の永久磁石16,16が、互いに反対磁極を対向して配置されており、この一対の永久磁石16,16は、トーションバー12,12の軸方向と平行な可動部対辺部の駆動コイル14部分に静磁界を作用させる。
そして、可動部13の揺動に伴ってトーションバー12,12が捩れることで発生するピエゾ素子17の抵抗値変化が、前記ブリッジ回路の出力変化として検出され、前記ブリッジ回路の出力が、可動部13の振れ角情報(可動部13の位置情報)として前記振幅演算部2(信号生成部102)に出力される。
また、可動部13の傾き方向が切り替わって、ピエゾ抵抗素子17b,17bに引張応力が加わり、ピエゾ抵抗素子17a,17aに圧縮応力が加わるようになると、ピエゾ抵抗素子17a,17aの抵抗値は減少し、ピエゾ抵抗素子17b,17bの抵抗値は増加するため、前記図4のブリッジ回路の出力電圧V(V=Va−Vb)の値は正になる。
尚、振れ角情報(位置情報)を検出する位置センサとしては、上記のピエゾ抵抗素子17を用いるセンサの他、可動部13に検出コイルを設けて振れ角(位置)を検出するセンサや、レーザ光の反射に基づいて振れ角(位置)を検出するセンサなどを用いることができ、更には、前記駆動コイル14に流れる電流の検出値を振れ角情報(位置情報号)とすることもできる。
前記波形メモリ1には、図5に示すように、予め設定される基本周波数foの鋸歯状波形の1周期(T=1/fo)分の波形データが格納されている。
前記振幅演算部2は、アクチュエータ10の可動部14の実際の振れ角に応じた振幅の鋸歯状波形の駆動信号を、波形メモリ1内の波形データを用いて生成し出力する。
前記振幅演算部2からのデジタル駆動信号は、D/A変換器3でアナログ駆動信号に変換されてノッチフィルタ4に入力される。
一方、アクチュエータ10の可動部13は、共振を起こす固有振動数を有している。
尚、図7では、可動部13が水平状態にあるときを振れ角0度として表している。
そして、ノッチフィルタ4を通過した駆動信号、即ち、共振周波数fr付近の周波数の高調波成分が除去された駆動信号(電圧信号)に基づいて、駆動信号供給部5からアクチュエータ10の駆動コイル14に駆動信号(交流電流)を供給し、可動部13を揺動駆動する。
上記第1実施形態では、フィルタ(共振成分除去部)として、帯域除去フィルタであるノッチフィルタ4を用いたが、図10に示す第2実施形態のように、ノッチフィルタ4に代えてローパスフィルタ19を備える構成とすることができる。
図11に、ローパスフィルタ19を用いる場合における当該ローパスフィルタ19のフィルタ特性の一例を示し、ローパスフィルタ19の遮断周波数fcを、共振周波数frよりも僅かに低い周波数に設定し、共振周波数frよりも高い周波数帯域の成分が駆動信号から除去されるようになっている。
但し、ローパスフィルタ19を用いる構成では、共振周波数frよりも高い周波数域の成分を除去し、共振振動を発生させることがない高周波成分も除去されるため、鋸歯状波形の駆動信号の直線性が低下し、図12に示すように、ローパスフィルタ19からの出力される駆動信号波形の上下端部(鋭角部)が丸まり、波形の直線部分がノッチフィルタ4を使用した場合と比較して短くなってしまう。
従って、鋸歯状波形の駆動信号における直線性の維持が要求される場合には、ノッチフィルタ4(帯域除去フィルタ)を使用することが望ましい。
これにより、共振振動の発生を抑制しつつ、周波数成分が過剰に除去・減衰されることを抑制して、鋸歯状波形の維持を図ることができる。
また、上記第1,第2実施形態では、共振成分除去部に相当するフィルタ(ノッチフィルタ4,ローパスフィルタ19)として、アナログフィルタを用いたが、デジタルフィルタを用いることができ、デジタルフィルタを用いる場合は、D/A変換器3の前段にデジタルフィルタを設ける構成とする。
図13は、アクチュエータ10の温度変化に伴う可動部13の共振周波数frの変化の一例を示し、アクチュエータ10の温度が35℃であるときの共振周波数frと、10℃であるときの共振周波数frとを例示する。この図13に示すように、一般には、温度上昇に伴って共振周波数frが減少方向に変化する。
図14において、前述のブリッジ回路を構成するピエゾ素子17などで構成される振れ角センサ(位置センサ)31からの振れ角情報(位置情報)が、帯域通過フィルタ32に出力される。
前記周波数検出回路33は、そのときの共振周波数frを検出する回路であり、例えばフーリエ変換などによって周波数解析を行い、帯域通過フィルタ32を通過した信号成分のうち、最も振幅(ゲイン)の大きな周波数をそのときの共振周波数frとして検出する。
上記の帯域通過フィルタ32及び周波数検出回路33によって、可動部13の共振周波数frを検出する共振周波数検出部・周波数検出部が構成される。
そして、前記中心周波数fmを、前記実際の共振周波数frに一致させるように、前記ノッチフィルタ4の中心周波数fmを変化させる。
このように、第3実施形態における前記周波数比較部34は、フィルタ(共振成分除去部)が駆動信号から除去する周波数成分を変更する除去成分変更部として機能する。
尚、ノッチフィルタ(帯域除去フィルタ)4に代えてローパスフィルタ19を用いる構成において、検出された共振周波数frに応じてローパスフィルタ19の遮断周波数fcを変更することが可能である。
駆動信号から、そのとき温度条件での共振周波数成分を除去できれば、温度条件が変化しても可動部13が共振振動することを防止でき、また、余分に周波数成分を除去しないことで、駆動信号の信号波形を本来の形(例えば鋸歯状波形)に保持して、可動部13の揺動速度の特性などが変化してしまうことを抑制できる。
また、上記第3実施形態では、実際に共振振動が発生している周波数成分を検出するから、温度変化以外の要因による共振周波数の変化に対しても、フィルタ特性(除去周波数帯域)が変更され、共振振動の発生を抑制できる。
図15のブロック図において、振れ角センサ31,帯域通過フィルタ32,周波数検出回路33及び周波数比較部34を備える点は、図14に示した第3実施形態と同様であるが、第4実施形態では、前記周波数比較部34が、フィルタ特性を変更する構成ではなく、駆動コイル14に供給される駆動信号(駆動電流)に加える直流電流成分(DC電流成分)の大きさを変更する構成となっている。
一方、周波数検出回路33で検出された実際の共振周波数frと、ノッチフィルタ4における除去周波数帯域の中心周波数fmとが異なる場合には、温度変化によって実際の共振周波数frが中心周波数fmからずれたものと判断し、実際の共振周波数frが中心周波数fmに一致する温度に戻るように、駆動コイル14に流す直流電流を変化させる。
このように、第4実施形態における前記周波数比較部34は、アクチュエータ10の温度を制御する温度制御部として機能する。
駆動コイル14に流す直流電流分を増やすと、駆動コイル14の発熱量が増えることで、アクチュエータ10の温度が上昇し、温度が上昇することで、実際の共振周波数frが低下し、ノッチフィルタ4における中心周波数fmに近づくことになる(図16(c))。
この場合には、駆動コイル14に流す直流電流を減少させ、駆動コイル14への通電によって発生する熱量を減少させることで、アクチュエータ10の温度を降下させ、該温度の降下によって実際の共振周波数frが高くなって、ノッチフィルタ4における中心周波数fmに近づくようにする。
換言すれば、ノッチフィルタ4における中心周波数fmに一致する共振周波数frとなる基準温度よりも実際の温度が高い場合には、発熱体である駆動コイル14に流す電流量を減らして、基準温度に向けて実際の温度を降下させる。
即ち、前記不感帯周波数域の周波数成分fhであれば、該周波数fhで可動部13が振動することはなく、実質的には、直流電流を付加したことと同等となり、また、向きが異なる電流を付加するので、可動部13の揺動中心位置がシフトすることが防がれる。
一方、実際の共振周波数frが、ノッチフィルタ4における中心周波数fmよりも低い場合には、不感帯周波数域の周波数成分fhの振幅(周波数fhの電流値)を小さくして駆動コイル14の駆動信号に付加させることで、駆動コイル14の発熱量を減少させ、アクチュエータ10の温度を低下させ、該温度の低下によって実際の共振周波数frが増大して、ノッチフィルタ4における中心周波数fmに近づくようにする。
また、上記では、温度制御部として、駆動コイル14の発熱量(電流)を制御してアクチュエータ10の温度を制御する手段を設けたが、アクチュエータ10に設けられる回路に流れる電流を増大させれば、回路の発熱量が増え、アクチュエータ10の温度を上昇させることができる。
従って、例えば、アクチュエータ10に設けたヒータへの通電を制御することで温度制御を行うことが可能であり、温度制御部を、駆動コイル14への電流制御を行う構成に限定するものではない。
更に、発熱量の制御と放熱量の制御とを組み合わせることで、アクチュエータ10の温度を制御することもできる。
また、図15に示した第4実施形態において、ノッチフィルタ4に代えてローパスフィルタ19を備える構成とすることができる。
図17は、アクチュエータ10の温度から可動部3の共振周波数frを推定し、この共振周波数frの推定値に、ノッチフィルタ4の除去周波数帯域の中心周波数fmを一致させる第5実施形態を示す。
そして、前記温度・周波数変換部42で求めた共振周波数frを周波数比較部34に出力し、周波数比較部34(除去成分変更部)が、ノッチフィルタ4の除去周波数帯域の中心周波数fmを、温度から推定した共振周波数frに一致させる処理を行う。
ここで、アクチュエータ10の温度を検出する手段として、前記温度センサ41を設ける代わりに、例えば、前記ピエゾ素子17の温度特性から温度を検出することができ、この場合、ピエゾ素子17が温度センサを兼ねることになる。
また、前記温度・周波数変換部42は、温度と共振周波数frとの相関を記憶した変換テーブルで構成することができ、また、温度を変数とする関数から、共振周波数frを算出する構成とすることもできる。
図18に示す駆動装置101では、アクチュエータ10の温度を検出する温度センサ41と、前記温度センサ41からの温度検出信号を入力し、アクチュエータ10の温度から可動部3の共振周波数frを演算する温度・周波数変換部42(共振周波数算出部)が設けられている。
そして、前記温度・周波数変換部42で求めた共振周波数frを周波数比較部34(温度制御部)に出力し、周波数比較部34は、ノッチフィルタ4の除去周波数帯域の中心周波数fmに、共振周波数frの推定値が一致するように、例えば駆動コイル14に供給する直流電流を増減させる。
そこで、共振周波数帯域の周波数での振動振幅を検出し、振幅の検出値が小さくなる方向に、フィルタ特性を変えたり、アクチュエータ10の温度を変えたりすることができる。
そして、かかる構成とすれば、結果的に、フィルタ特性を温度変化による共振周波数frの変化に応じて変化させ、また、フィルタ特性に見合う共振周波数frを維持するように、アクチュエータ10の温度を基準温度付近に維持させることになる。
図19に示す駆動装置101では、振れ角センサ(位置センサ)31からの振れ角情報(可動部3の位置情報)を、帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)51に入力させ、前記帯域通過フィルタ51を通過した振れ角情報を、アンプ52で増幅した後、振幅比較部53に出力し、振幅比較部53(振幅検出部、除去成分変更部)がノッチフィルタ4における除去周波数帯域の中心周波数fmの変更を制御する。
前記振幅比較部53は、帯域通過フィルタ51を通過した振れ角(可動部3の位置変化)の振幅を求め、最新に求めた振幅と、所定周期前(例えば10周期前)に検出し記憶しておいた振幅とを比較し、振幅の変化を判断する。
そして、振幅の増大変化を判断した場合には、ノッチフィルタ4における除去周波数帯域の中心周波数fmを、より高い周波数又はより低い周波数に一定のステップ幅だけ変更する。
これにより、アクチュエータ10の温度変化によって、実際の共振周波数frがノッチフィルタ4における中心周波数fmからずれ、可動部3が共振振動すると(共振周波数帯域での振幅が増大すると)、この共振振動が小さくなる方向に、中心周波数fmが変更され、結果、温度変化に伴って変化した共振周波数fr付近に、ノッチフィルタ4における中心周波数fmが変更されることになる。
従って、アクチュエータ10の温度が変化し、実際の共振周波数frが変化しても、駆動信号からそのときの共振周波数成分が除去され、可動部3の微振動を抑制できる。
ピーク検出回路53aによって検出された最大値(ピーク値)は、遅延回路53bを介してピーク記憶回路53cに送られ、ピーク記憶回路53cには所定周期前に検出された振幅の最大値(ピーク値)が記憶保持される。
振幅比較回路53dは、ピーク記憶回路53cに記憶保持されている所定周期前に検出された振幅の最大値(ピーク値)と、ピーク検出回路53aで検出された最新値とを入力し、これらから、共振振動の振幅の変化傾向を判断し、ノッチフィルタ4における中心周波数fmを変更する指示(後述の第8実施形態では、DC電圧出力レベルの指示)を出力する。
図21に示す駆動装置101では、振れ角センサ(位置センサ)31からの振れ角情報(可動部3の位置情報)を、帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)51に入力させ、前記帯域通過フィルタ51を通過した振れ角情報を、アンプ52で増幅した後、振幅比較部53に出力し、振幅比較部53(振幅検出部、温度制御部)が駆動コイル14に供給する直流電流の変更(駆動信号供給部5に与える駆動信号(電圧信号)のレベル)を制御する。
前記振幅比較部53は、帯域通過フィルタ51を通過した振れ角(可動部3の位置変化)の振幅を求め、最新に求めた振幅と、所定周期前(例えば10周期前)に検出し記憶しておいた振幅とを比較し、振幅の変化を判断する。
そして、振幅の増大変化を判断した場合には、駆動コイル14に供給する直流電流を、より高い電流又はより低い電流に一定のステップ幅だけ変更する。
この直流電流の変更によって、振幅が増大変化したか減少変化したかを判断し、振幅を減少変化させるのに要求される直流電流の変化方向を判断し、振幅が許容レベルよりも小さくなるまで、振幅が減少変化する方向に向けてステップ幅ずつ直流電流を変化させる。
従って、ノッチフィルタ4における中心周波数fm付近の共振周波数frとなる温度に、アクチュエータ10の温度を維持させることができ、例えばアクチュエータ10の環境温度が変化しても、中心周波数fmが一定に保持されるノッチフィルタ4を用いて、可動部3の微振動を抑制できる。
例えば、信号生成部102が、駆動信号の基本周波数foの正弦波、及び、基本周波数foの整数倍の周波数の正弦波をそれぞれ発生させ(図6の周波数fo〜12foの正弦波をそれぞれ発生させ)、これらを合成することによって、鋸歯状波形の駆動信号を生成する構成とし、共振成分除去部が、共振周波数fr近傍の周波数の正弦波を、前記合成処理の対象から除外して、共振周波数fr近傍の周波数の正弦波を用いずに鋸歯状波形の駆動信号を生成させる指令(合成処理から除外する周波数の指定信号)を、前記信号生成部102に出力する構成とすることができる。
そして、かかる構成では、温度変化に対する共振周波数frの変化に対しては、合成処理の対象から除外する正弦波の周波数を変更することで、温度変化に伴って変化した共振周波数成分が含まれない駆動信号を生成させることができる。
そして、かかる構成では、温度変化に対する共振周波数frの変化に対しては、合成処理の対象から除外する正弦波の周波数を変更することで、温度変化に伴って変化した共振周波数成分が含まれない駆動信号を生成させることができる。
また、上記各実施形態では、アクチュエータ10を電磁駆動式アクチュエータとしたが、駆動方式は、静電駆動式や圧電駆動式などの他の方式であってもよい。
図22は、本発明に係るアクチュエータの駆動装置を適用したレーザプロジェクタの一例を示す概略構成図である。
図22において、レーザプロジェクタは、レーザ制御部21と、R.G.Bレーザ発光部22と、水平走査用アクチュエータ23と、この水平走査用アクチュエータ23の駆動装置である水平駆動波形生成部24及び駆動信号供給部25と、垂直走査用アクチュエータ26と、この垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置である垂直駆動波形生成部27及び駆動信号供給部28と、同期信号生成部29と、を備えて構成される。
そして、前記垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置として、前記第1〜第8実施形態に示した駆動装置101のいずれかを適用し、駆動信号供給部28が上記実施形態における駆動信号供給部5に対応し、駆動信号供給部5を除く駆動装置101の各構成が垂直駆動波形生成部27に備えられているものとする。
レーザ制御部21の発光指令により、R.G.Bレーザ発光部22内の3原色毎の発光素子を発光させる。
一方、水平走査用アクチュエータ23は、水平駆動波形生成部24で生成される正弦波状波形信号に基づいて、駆動信号供給部25から供給される駆動信号によって高速駆動される。
また、垂直走査用アクチュエータ26は、垂直駆動波形生成部27で生成される鋸歯状波形信号に基づいて、駆動信号供給部28から供給される駆動信号によって低速駆動される。
前記水平走査用アクチュエータ23の反射ミラーからの反射光(水平走査光)は、垂直走査用アクチュエータ26の反射ミラーに照射され、レーザ光が垂直走査される。
そして、同期信号生成部29は、両アクチュエータ23,26の各走査位置に基づいて同期信号を生成して、レーザ制御部21に送信する。
レーザ制御部21は、表示する画像データと前記同期信号とに基づいてR.G.Bレーザ発光部22の各発光素子の各発光タイミングを制御して、前記発光指令を適切なタイミングで発生する。
このようなレーザプロジェクタの垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置として、本発明に係る駆動装置101を適用すれば、垂直走査用アクチュエータ26の可動部の揺動動作中の微小振動を抑制できるので、レーザ走査光の揺らぎがなくなり良好な画質の画像を表示できるようになる。
上記実施形態では、本発明の適用例としてレーザプロジェクタを説明したが、本発明の適用はレーザプロジェクタに限らないことは言うまでもない。
2 振幅演算部(信号生成部)
4 ノッチフィルタ(帯域除去フィルタ、共振成分除去部)
5 駆動信号供給部
10 アクチュエータ
11 固定部
12,12 トーションバー
13 可動部
14 駆動コイル(駆動力発生部)
16 永久磁石(駆動力発生部)
17a,17b ピエゾ素子
19 ローパスフィルタ(共振成分除去部)
31 振れ角センサ(位置センサ)
32 帯域通過フィルタ
33 周波数検出回路(周波数検出部、共振周波数検出部)
34 周波数比較部(除去成分変更部、温度制御部)
41 温度センサ
42 温度・周波数変換部(共振周波数算出部)
51 帯域通過フィルタ
52 アンプ
53 振幅比較部(振幅検出部、除去成分変更部、温度制御部)
101 駆動装置
102 信号生成部
Claims (19)
- 固定部にトーションバーを介して揺動可能に軸支した可動部と、該可動部を前記トーションバーの軸回りに揺動させる駆動力を発生する駆動力発生部とを備えるアクチュエータの駆動装置であって、
高調波成分を含む波形の駆動信号を生成する信号生成部と、
前記駆動信号から、前記可動部が共振振動する共振周波数成分を除去する共振成分除去部と、
該共振成分除去部で共振周波数成分が除去された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる駆動信号供給部と、
を備えて構成したことを特徴とするアクチュエータの駆動装置。 - 前記共振成分除去部が、前記信号生成部で生成された駆動信号を入力し、前記共振周波数成分を含む所定の周波数帯域を除去して出力する帯域除去フィルタを含んで構成されることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記帯域除去フィルタがノッチフィルタであることを特徴とする請求項2記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記共振成分除去部が、前記信号生成部で生成された駆動信号を入力し、前記共振周波数成分を含む高周波帯域を除去して出力するローパスフィルタを含んで構成されることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記信号生成部が、駆動信号の基本周波数の正弦波、及び、前記基本周波数の整数倍の周波数の正弦波をそれぞれ発生させ、これら正弦波の合成によって駆動信号を生成する構成であって、
前記共振成分除去部が、前記正弦波のうちの共振周波数近傍の周波数の正弦波を、前記合成処理の対象から除外することで、前記駆動信号から共振周波数成分を除去することを特徴とする請求項1記載のアクチュエータの駆動装置。 - 前記共振成分除去部が、共振周波数付近の高調波成分と同じ周波数で同振幅でかつ逆位相の位相反転信号を生成し、該位相反転信号を駆動信号に付加することで、前記駆動信号から共振周波数成分を除去することを特徴とする請求項1記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記共振成分除去部が、前記駆動信号から除去する周波数帯域及び/又は当該帯域での信号レベルの減衰量を、前記可動部の共振特性に応じて可変に設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記可動部の共振周波数を検出する共振周波数検出部と、
前記共振周波数検出部で検出された共振周波数に応じて、前記共振成分除去部で前記駆動信号から除去する周波数成分を変更する除去成分変更部と、
を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。 - 前記可動部の共振周波数を検出する共振周波数検出部と、
前記共振周波数検出部で検出された共振周波数に応じて、前記アクチュエータの温度を制御する温度制御部と、
を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。 - 前記共振周波数検出部が、
前記アクチュエータの温度を検出する温度センサと、
前記温度センサで検出された前記アクチュエータの温度に対応する共振周波数を算出する共振周波数算出部と、
を含むことを特徴とする請求項8又は9記載のアクチュエータの駆動装置。 - 前記共振周波数検出部が、
前記可動部の動きを検出する位置センサと、
前記位置センサの検出信号から共振周波数を検出する周波数検出部と、
を含むことを特徴とする請求項8又は9記載のアクチュエータの駆動装置。 - 前記可動部の動きを検出する位置センサと、
前記位置センサの検出信号から共振周波数帯域の振幅を検出する振幅検出部と、
前記振幅検出部で検出される共振周波数帯域の振幅が小さくなる方向に、前記共振成分除去部で前記駆動信号から除去する周波数成分を変更する除去成分変更部と、
を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。 - 前記可動部の動きを検出する位置センサと、
前記位置センサの検出信号から共振周波数帯域の振幅を検出する振幅検出部と、
前記振幅検出部で検出される共振周波数帯域の振幅が小さくなる方向に、前記アクチュエータの温度を変更する温度制御部と、
を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。 - 前記駆動力発生部が、前記駆動信号によって交流電流が供給される駆動コイルを含み、
前記温度制御部が、前記駆動コイルに供給する直流電流を変更することで、前記アクチュエータの温度を制御することを特徴とする請求項9又は13記載のアクチュエータの駆動装置。 - 前記信号生成部が、鋸歯状波形の駆動信号を生成することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記アクチュエータは、前記固定部、前記トーションバー及び前記可動部を半導体基板で一体形成して構成されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記アクチュエータは、前記可動部に反射ミラーを備え、前記可動部を揺動駆動して前記反射ミラーに照射される光ビームの反射光を走査する光走査用アクチュエータであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記アクチュエータは、反射光をラスタ走査する光デバイスの前記ラスタ走査における垂直走査用の光走査用アクチュエータであることを特徴とする請求項17記載のアクチュエータの駆動装置。
- 前記光デバイスが、前記反射ミラーへの光ビームの照射を、画像データに基づいて制御して、前記画像データに対応する画像を表示するプロジェクタであることを特徴とする請求項18記載のアクチュエータの駆動装置。
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