JP2010089999A - 硝酸エステル組成物及びそれを用いたガス発生剤 - Google Patents

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潤一 笠松
Masaaki Yamamoto
雅昭 山本
Yasushi Miya
裕史 美矢
Yuji Ogata
雄二 緒方
Yuji Wada
有司 和田
Shunsuke Ito
俊介 伊藤
Katsumi Kato
勝美 加藤
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Abstract

【課題】毒性が低く少量の添加で高い安定化効果を示す安定剤を含有する硝酸エステル組成物を提供する。
【解決手段】硝酸エステルと、安定剤としての無機塩基性物質とを含む硝酸エステル組成物であって当該無機塩基性物質が炭酸リチウム、又は20℃の飽和水溶液とした場合の当該飽和水溶液のpHが10以上であり、かつ20℃の水100gに対する溶解度が20g未満である水酸化物からなる硝酸エステル組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱的に安定な硝酸エステル組成物及びそれを用いたガス発生剤に関する。
従来、発射薬、推進薬、又はシートベルトプリテンショナー用若しくはエアーバッグ用のガス発生剤として用いられる、ニトロセルロースに代表される硝酸エステルをエネルギー性物質として含有する組成物には、該組成物の熱的安定性を向上させるための安定剤が含有されている。
例えば、非特許文献1には硝酸エステルの自然分解を抑制する安定剤としてジフェニルアミンやセントラリットが代表例として記載されている。また、非特許文献2にはニトロセルロースを原材料として用いる発射薬の安定剤としてジフェニルアミン、エチルセントラリット、アカルイダイトII、2−ニトロジフェニルアミンが記載されている。また、非特許文献3には、無機安定剤として、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムが代表例として記載されている。
しかしながら、上記の非特許文献1及び2に記載の安定剤には、毒性があり、変異原性や催奇形性の可能性もあるといわれており、人体への影響が懸念される。また、非特許文献2に記載の炭酸カルシウムは、燃焼反応に寄与しない無機物であり、火薬に対する安定化の効果が認められるには、含有量6%以上での添加が必要であると記述されている。すなわち、発射薬の単位重量当たりの発生エネルギーが低いという問題点を有する。また、酸化マグネシウムについては0.25%加えると安定度を改善できることのみ記載されているが、それ以外の記載はなく、具体的にどのような安定度に対してどのような効果があるか不明である。
社団法人火薬学会編、エネルギー物質ハンドブック、初版1刷、1999年3月1日発行、p.43 財団法人 防衛技術協会刊、火器弾薬技術ハンドブック(改訂版)、2003年5月14日発行p.347〜p.355 TADEUSZ URBANSKI著、Chemistry and Technology of Explosives Vol.III 、First English edition、PWN、1967年発行、p.563−564
本発明の課題は、毒性が低く取扱が容易で、少量でも安定化効果が高く、かつガス発生剤の発生エネルギーを大きく低下させることがない安定剤を用いた硝酸エステル組成物を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の無機塩基性物質を安定剤として含有させた硝酸エステル組成物によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の通りである。
[1] 硝酸エステルと、安定剤としての無機塩基性物質とを含む硝酸エステル組成物であって、当該無機塩基性物質が、炭酸リチウム、又は20℃の飽和水溶液とした場合の当該飽和水溶液のpHが10以上であり、かつ20℃の水100gに対する溶解度が20g未満である水酸化物からなる硝酸エステル組成物。
[2] 上記水酸化物が、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち少なくともいずれかである、上記[1]に記載の硝酸エステル組成物。
[3] 上記硝酸エステルの含有量が40質量%以上99.5質量%未満である、上記[1]又は[2]に記載の硝酸エステル組成物。
[4] 上記硝酸エステルがニトロセルロースである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の硝酸エステル組成物。
[5] 上記無機塩基性物質の含有量が、上記硝酸エステル100質量部に対して0.5質量部以上6質量部未満である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の硝酸エステル組成物。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硝酸エステル組成物を用いたガス発生剤。
本発明の硝酸エステル組成物においては、安定剤として毒性が低い無機塩基性物質を用いるため取扱が容易である。また該無機塩基性物質は少ない添加量で硝酸エステルに対する高い安定化効果を示すため、本発明の硝酸エステル組成物は、反応時の発生エネルギーの安定剤による大きな低下を被ることがなく良好な発生エネルギーを与える。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の硝酸エステル組成物は、硝酸エステルと安定剤としての無機塩基性物質とを含み、該無機塩基性物質が、炭酸リチウム、又は20℃の飽和水溶液とした場合の当該飽和水溶液のpHが10以上であり、かつ20℃の水100gに対する溶解度が20g未満である水酸化物であることを特徴とする。
本発明において用いる水酸化物は、20℃の飽和水溶液とした場合の該飽和水溶液のpH(以下、単にpHというときは特記がない限りこの条件で測定されたpHを意味する)が10以上であるものである。該pHは11以上であることが好ましい。水酸化物は、硝酸エステルの自己分解によって発生する酸を中和し、自己分解反応の進行を抑制する効果を有する。上記pHが10未満の水酸化物では中和の効果が薄く、好ましくない。
pHの値は、例えば次のような方法で測定する。ガラス製のサンプル瓶の中に純水を5g導入し、20℃にて、この純水に無機塩基性物質を飽和するまで加える。得られた飽和水溶液をシリンジで採取し,市販のpH試験紙に該水溶液を数滴接触させ、色の変化を観察する。色の変化を標準紙と比較することによってpHを測定する。
本発明において用いる水酸化物は、20℃の水100gに対する溶解度(以下、単に溶解度というときは特記がない限りこの条件で測定された溶解度を意味する)20g未満を有する。該溶解度が20g以上の場合、本発明の硝酸エステル組成物の製造中あるいは貯蔵中に無機塩基性物質が吸収した水によって、硝酸エステル組成物に対する安定化効果が低くなる恐れがある。
溶解度の値は、例えば次のような方法で測定する。ガラス製のサンプル瓶の中に純水を5g入れ、20℃にて、その純水中に水酸化物を少量ずつ加えながら撹拌する。水溶液を注視し,水酸化物が溶解しなくなった時(すなわち飽和水溶液となった時)の水酸化物の投入質量を記録し、投入質量を純水100g当たりに換算し,この値を溶解度とする。
本発明において用いる無機塩基性物質は、水の影響による安定化効果の低下を避けるという理由で水和物でない方が好ましい。
水酸化物には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がある。本発明においては、20℃の水100gに対する溶解度が20g未満である水酸化物を用いるため、本発明で用いる水酸化物は、典型的には、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち少なくともいずれかである。
硝酸エステルとしては、主に発射薬用バインダーとして用いられるニトロセルロース、硝酸エステル基と硝酸エステル基以外のアセチル基を持つセルロース(アセチル化ニトロセルロース)、各種発射薬、推進薬、ガス発生剤用の可塑剤として用いられるニトログリセリン、ジエチレングリコールジナイトレート、ブタントリオールトリナイトレート、トリメチロールエタントリナイトレート、トリメチロールプロパントリナイトレート、トリエチレングリコールジナイトレート、ブタンジオールジナイトレート等が挙げられる。中でも、硝酸エステルがニトロセルロースである場合、硝酸エステル中への無機塩基性物質の分散性が良く、無機塩基性物質による安定化効果をより顕著に得ることができる。
本発明の硝酸エステル組成物中の硝酸エステルの含有量は、40質量%以上99.5質量%未満であることが好ましい。該含有量が40質量%以上である場合、無機塩基性物質による安定化効果が顕著に発現され、99.5質量%未満である場合、無機塩基性物質等の他の物質を所望量含有させることができる。特に、例えば発射薬、推進薬及びシートベルトプリテンショナー用ガス発生剤等の用途で、上記含有量が40質量%以上である場合、該含有量が40質量%未満である場合と比べて無機塩基性物質による安定化効果が高く好ましい。
無機塩基性物質の平均粒径としては、1〜1000μm程度が好ましく、より好ましくは、1〜100μm程度である。特に硝酸エステルがニトロセルロースである場合、無機塩基性物質の平均粒径を上記範囲とすることにより顕著な安定化効果が得られる。
本発明の硝酸エステル組成物は、安定剤として無機塩基性物質2種以上を含有してもよい。
無機塩基性物質の含有量は、硝酸エステル100質量部に対して0.5質量部以上6質量部未満が好ましい。上記含有量は更に好ましくは0.5質量部以上5.0質量部未満である。上記含有量が0.5質量部未満である場合安定化効果が少ない傾向があり、また6質量部以上である場合、硝酸エステル組成物の単位重量当たりの発生エネルギーが低い傾向がある。
本発明の硝酸エステル組成物は、上述の硝酸エステル及び安定剤の他、用途、要求性能、成型方法等に応じて各種添加剤を1種以上含有できる。ガス発生剤等としての所望の効果を良好に得るという観点から、添加剤の含有量は、硝酸エステル組成物中、60質量%未満であることが好ましい。添加剤としては、例えばエネルギー性物質、エネルギー可塑剤、不活性可塑剤、バインダー、等が挙げられる。
エネルギー性物質としては、例えばシクロトリメチレントリニトラミン(RDX)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、テトラメチレンテトラニトラミン(HNIW)、ペンタエリスリトールテトラニトラミン(PETN)、トリアミノグアニジンナイトレート、ニトログアニジン(NQ)、硝酸アンモニウム、相安定化硝酸アンモニウム、硝酸リチウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等が挙げられる。
上述した硝酸エステル、特にニトロセルロースはエネルギー可塑剤としての作用を有するが、硝酸エステル以外のエネルギー可塑剤を所望の機械物性を得る目的で使用でき、例えばメチルニトラトエチルニトラミン、エチルニトラトエチルニトラミン、ブチルニトラトエチルニトラミン等のニトラトエチルニトラミン類、ビス−2,2−ジニトロプロピルアセタールとビス−2,2−ジニトロプロピルホルマールとの混合物(BDNPA/F)、低分子量のアジド及び/又はニトロ基含有ポリマー等が挙げられる。
不活性可塑剤としては、例えばジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類、アセチルクエン酸トリエチル(ATEC)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、クエン酸トリブチル(TBC)等のオキシ酸エステル類、リン酸トリブチル等のリン酸エステル、トリアセチン等が挙げられる。
上述した硝酸エステル、特にニトロセルロースはバインダーとしての作用を有するが、硝酸エステル以外のバインダーも使用でき、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブタジエン、ポリウレタン等の汎用ポリマー、更にはポリアジドメチルオキセタン(AMMO)、ポリビスアジドメチルオキセタン(BAMO)、ポリニトラトメチルオキセタン(NIMO)及びそれらの共重合体、グリシジルアジドポリマー(GAP)等の高エネルギーポリマーが挙げられる。
その他の添加剤として、必要に応じて、消炎剤、焼食抑制剤、燃焼触媒、増粘剤、表面こう化剤、光沢剤等を単独又は2種以上の混合物として含んでもよい。
本発明の硝酸エステル組成物及びガス発生剤の形状は、用途、要求性能等に応じて任意に設計でき、一般的な発射薬、推進薬、又はシートベルトプリテンショナー用若しくはエアーバッグ用のガス発生剤に用いられる任意の形状であることができる。
本発明の硝酸エステル組成物及びガス発生剤の製造方法としては、一般的な発射薬、推進薬又はシートベルトプリテンショナー用若しくはエアーバッグ用のガス発生剤と同様の方法を適宜用いることができる。具体的には、例えば、社団法人火薬学会編、エネルギー物質ハンドブック、初版1刷、1999年3月1日発行、p.62からp73に記載のように、溶剤を用いたり熱を加えたりして原材料を混合した後所望の形状に成型する方法、溶剤を用いて又は用いずに機械的に混合した後、プレス成形又は注型式の成型を行う方法等を用いることができる。又は、予めニトロセルロース等の硝酸エステルに無機塩基性物質を添加してから通常の火薬成型方法で成型してもよい。無機塩基性物質は、例えば、ニトロセルロース等の硝酸エステルの製造、準備工程の途中で添加することも可能である。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[安定剤のpH及び溶解度の測定]
実施例及び比較例で用いた安定剤のpH及び溶解度は下記の方法で測定した。すなわち、ガラス製のサンプル瓶の中に純水を5g導入し、20℃にて、この純水に安定剤を飽和するまで加え、飽和時の安定剤の投入質量を記録し、該投入質量を純水100g当りに換算した値を溶解度(g)とした。また、上記で得た飽和水溶液をシリンジで採取し,市販のpH試験紙(MACHEREY−NAGEL GmbH & Co.社製のSpezial−Indikatorpapier)に該水溶液を数滴接触させ、色の変化を観察した。色の変化を標準紙と比較することによってpHを測定した。
[実施例1]
硝酸エステルとして、アルドリッチ製ニトロセルロース(窒素含量:12.0%)50mg(すなわち硝酸エステル組成物中の含有量:98質量%)、安定剤として炭酸リチウム(和光純薬製、純度99.0%)1mg(すなわち硝酸エステル組成物中の含有量:2質量%)を秤量した後、プラスチックカップ内でスパチュラにより手混合し、硝酸エステル組成物を得た。得られた組成物を用いて、下記の熱安定性試験と燃焼試験を実施した。
<熱安定性試験>
50mgの試料を量り取り、約4mlの内容積を有するインコネル製のガス流通式高圧容器に入れ、SETRAM社製の熱流速型反応熱量計C80にセットして120℃の等温貯蔵を行い、自己発熱が開始するまでの誘導期を測定した。誘導期は、C80での等温貯蔵試験により得られる時間と熱流束のグラフにおいて得られる発熱ピークの傾き最大の点における接線とベースラインとの交点までの時間を誘導期と定義した。なお、ベースラインはピーク前後の発熱のない点を結んだ線とした。安定剤を入れない場合(すなわち硝酸エステルのみ)の誘導期を別途測定し、その値に対する相対比較値を以下の式に従って求め、安定化効果を誘導期増加割合として評価した。誘導期が長くなる程、熱安定性が高いことを示しており、誘導期増加割合が1より大きいと、安定剤を添加しない場合より安定化効果が高いと判断され、誘導期増加割合が大きい程、安定化効果が高い。結果を表1に示す。
誘導期増加割合={安定剤入り硝酸エステル組成物の誘導期}/{安定剤なし硝酸エステルの誘導期}
[実施例2]
硝酸エステルとして、旭化成ケミカルズ製ニトロセルロース(窒素含量:13.4%)を用いた以外は実施例1に準じた方法で試料を作製し、実施例1と同様に誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[実施例3]
ニトロセルロースを99質量%、炭酸リチウムを1質量%にした以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[実施例4]
安定剤として水酸化マグネシウム(和光純薬製)を用いた以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[実施例5]
安定剤として水酸化カルシウム(和光純薬製、純度99.9%)を用いた以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[比較例1]
安定剤を一切加えない以外は実施例1に準じた方法で試料を作製し、実施例1と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[比較例2]
安定剤として炭酸水素ナトリウム(和光純薬製、純度99.5%)を用いた以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[比較例3]
安定剤として炭酸カリウム(和光純薬製、純度99.5%)を用いた以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[比較例4]
安定剤として硫酸カリウム(関東化学製、純度99%)を用いた以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[比較例5]
安定剤として炭酸カルシウム(和光純薬製、純度99.5%)を用いた以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[比較例6]
安定剤として炭酸カルシウムを6質量%含有させ、ニトロセルロースの含有量を94質量%とした以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[比較例7]
安定剤として塩化ナトリウム(和光純薬製、純度99.5%)を用いた以外は実施例2に準じた方法で試料を作製し、実施例2と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
[比較例8]
安定剤としてジフェニルアミンを用いた以外は実施例1に準じた方法で試料を作製し、実施例1と同様にして熱安定性試験を実施し、誘導期増加割合を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2010089999
[実施例6]<火薬エネルギー計算>
ニトロセルロース(窒素含量:13.4%)と炭酸リチウムの生成熱に基づき、硝酸エステル組成物中のニトロセルロース含有量が98質量%、炭酸リチウム含有量が2質量%の場合である、実施例2に係る硝酸エステル組成物の火薬エネルギーを、公知の燃焼平衡計算により求めた。ニトロセルロースのみの火薬エネルギーと比べたときの硝酸エステル組成物の火薬エネルギーの低下は5%にとどまった。
[比較例9]
安定剤として炭酸カルシウムを用いて、ニトロセルロース含有量を94質量%、炭酸カルシウム含有量を6質量%とした場合である、比較例6に係る硝酸エステル組成物を用いた以外は実施例6と同様にして、ニトロセルロースのみの場合の火薬エネルギーとの比較での火薬エネルギー低下を求めたところ、12%であった。
[比較例10]
安定剤としてジフェニルアミンを用いた場合である、比較例8に係る硝酸エステル組成物を用いた以外は実施例6と同様にして、ニトロセルロースのみの場合の火薬エネルギーとの比較での火薬エネルギー低下を求めたところ、3%であった。
本発明の硝酸エステル組成物である実施例1〜5はいずれも誘導期増加割合が1よりも大きく、ニトロセルロースのみの場合と比べて誘導期が2.8〜6.7倍と長くなった。すなわち、熱安定性が向上した。その一方、比較例2〜4、及び比較例7においては、ニトロセルロースのみの場合よりも熱安定性が低下した。また、実施例1、4と比較例8との比較より、炭酸リチウム又は水酸化マグネシウムを2質量%含有させたものは、ニトロセルロースの安定剤として広く用いられているジフェニルアミンを2質量%含有させたものより誘導期増加割合が高く、熱安定化効果が高くなった。また炭酸リチウム及び水酸化マグネシウムはいずれもジフェニルアミンに比べて毒性も低く、取扱も容易であった。
また、実施例2と比較例5、6との比較より、前述の非特許文献3で示されるような、炭酸カルシウムを6質量%含有させた場合と同等の熱安定化効果が、炭酸リチウムをわずか2質量%含有させるのみで得られた。
特定の無機塩基性物質を使用した本発明に係る実施例2〜5の硝酸エステル組成物においては、非特許文献3で示されるような、炭酸カルシウムを同量含有させた比較例5より、熱安定性が向上した。
また、実施例6と比較例9、10との比較より、炭酸リチウムを含有させた場合には、同程度の安定化効果が得られる場合である、炭酸カルシウムを6質量%含有させた場合と比べて、火薬エネルギー低下が低く抑えられ、同質量のジフェニルアミンを含有させた場合とほぼ同程度にエネルギー低下が低く抑えられる結果となった。
本発明の硝酸エステル組成物は、毒性が低く取扱が容易で、単位重量当たりのガス発生量の大きな低下を被らないため、発射薬、推進薬又はシートベルトプリテンショナー用若しくはエアーバッグ用のガス発生剤等に好適に利用できる。
実施例1〜5及び比較例1〜8における誘導期の求め方を示す図である。

Claims (6)

  1. 硝酸エステルと、安定剤としての無機塩基性物質とを含む硝酸エステル組成物であって
    当該無機塩基性物質が、炭酸リチウム、又は20℃の飽和水溶液とした場合の当該飽和水溶液のpHが10以上であり、かつ20℃の水100gに対する溶解度が20g未満である水酸化物からなる硝酸エステル組成物。
  2. 前記水酸化物が、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち少なくともいずれかである、請求項1に記載の硝酸エステル組成物。
  3. 前記硝酸エステルの含有量が40質量%以上99.5質量%未満である、請求項1又は2に記載の硝酸エステル組成物。
  4. 前記硝酸エステルがニトロセルロースである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硝酸エステル組成物。
  5. 前記無機塩基性物質の含有量が、前記硝酸エステル100質量部に対して0.5質量部以上6質量部未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硝酸エステル組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硝酸エステル組成物を用いたガス発生剤。
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