JP2010089221A - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速断続重切削において、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。
【解決手段】工具基体の表面に、硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、下部層はTi化合物層で構成され、また、上部層は、化学蒸着により形成された一層平均層厚0.5〜1.0μmの酸化アルミニウム層と物理蒸着により形成された一層平均層厚0.3〜0.5μmの酸化アルミニウム層との交互積層構造として構成され、さらに、上部層内に連続して存在するクラックの層厚方向最大長さは0.5μm以上1.0μm以下である。
【選択図】 図1

Description

この発明は、硬質被覆層の上部層を、化学蒸着で形成したα型酸化アルミニウム層と物理蒸着で形成した酸化アルミニウム層の交互積層構造として構成し、上部層内に連続して存在するクラックの層厚方向の最大長さを0.5μm以上1.0μm以下とすることによって、鋼や鋳鉄の高速断続切削を重切削条件で行っても切刃にチッピング(微小欠け)、欠損、剥離等の異常損傷の発生なく、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、一般に、炭化タングステン基(以下、WC基で示す)超硬合金または炭窒化チタン基(以下、TiCN基で示す)サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、
(a)下部層として、いずれも化学蒸着で形成されたTiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上の積層からなり、かつ3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)上部層として、化学蒸着で形成した状態でα型の結晶構造を有し、かつ1〜15μmの平均層厚を有するα型酸化アルミニウム(以下、CVD−Al23で示す)層、
以上(a)および(b)で構成された硬質被覆層を化学蒸着で形成してなる被覆工具が知られているが、この被覆工具は、切刃部にきわめて短いピッチで繰り返し機械的衝撃が付加される高速断続切削に用いた場合、硬質被覆層の上部層を構成するCVD−Al23層は、高い高温硬さを有し、かつ耐熱性にすぐれているものの、層内に存在するクラックを起点とし、またこれの進展により、硬質被覆層にはチッピング(微小欠け)、欠損、剥離が発生し易くなり、この結果比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
一方、層内にクラックの存在しない酸化アルミニウムとして、物理蒸着により形成した酸化アルミニウム(以下、PVD−Al23で示す)層を硬質被覆層の上部層として形成した被覆工具も知られている。
特開2005−205547号公報 特許第3740647号明細書 特開2004−332007号公報
近年の切削加工の省エネ化および省力化に対する要求は強く、これに伴ない、切削条件は一段と厳しいものとなってきており、上記のCVD−Al23層を上部層とする従来被覆工具を、特に、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用する鋼や鋳鉄の高速断続重切削に用いた場合には、CVD−Al23層内に存在するクーリングクラックにより、硬質被覆層にはチッピング(微小欠け)、欠損、剥離が発生し易くなり、また、上記のPVD−Al23層を上部層とする従来被覆工具の場合は、層内のクラック形成は少ないため、チッピング、欠損、剥離等の発生の恐れは少ないものの、硬度が不足するため耐摩耗性が不十分となり、いずれの従来被覆工具についても、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記の従来被覆工具の耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性の向上を図るとともにすぐれた耐摩耗性を有し、工具寿命の延命化を図るべく、硬質被覆層の上部層を構成するAl2 3 層に着目し、研究を行なった結果、次のような知見を得た。
従来、化学蒸着による酸化アルミニウム層(CVD−Al23層)の形成は、例えば、通常の化学蒸着装置により、
反応ガス組成:容量%で、AlCl:6〜10%、CO:10〜15%、HCl:3〜5%、H2S:0.05〜0.2%、H2:残り、
反応雰囲気温度:1020〜1050℃、
反応雰囲気圧力:3〜5kPa、
の条件で蒸着することによって形成することができる。
また、物理蒸着による酸化アルミニウム層(PVD−Al23層)の形成は、例えば、図2(a)に概略平面図で、同(b)に概略正面図で示される構造の、アークイオンプレーティング装置(以下、AIP装置と略記する)とスパッタリング装置(以下、SP装置と略記する)が併設された物理蒸着装置により、
SP装置のカソード電極(蒸発源):金属Al
装置内反応雰囲気ガス :O 20〜40vol%,Ar 残り、
装置内雰囲気圧力 :2〜4Pa、
装置内雰囲気温度 :300〜550℃、
スパッタ出力 :2〜4kW、
の条件で蒸着することによって形成することができる。
既に述べたように、上記CVD−Al23層は、高い高温硬さを有し、かつ耐熱性にすぐれているものの、高速断続重切削加工においては、層内に存在するクーリングクラックの伝播・進展によって、耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性が十分ではなく、また、上記PVD−Al23層は、層内に存在するクラックは僅かであるものの、高温硬さが不足するため十分な耐摩耗性を示さない。
そこで本発明者等は、表面被覆工具の硬質被覆層の上部層である酸化アルミニウム層の形成に際し、図1に示されるように、化学蒸着により一層平均層厚0.5〜1.0μmの酸化アルミニウム層(CVD−Al23層)を形成し、この上に、物理蒸着により一層平均層厚0.3〜0.5μmの極薄の酸化アルミニウム層(PVD−Al23層)を形成し、このような交互積層を繰り返し行ない、合計層厚3〜15μmのCVD−Al23層とPVD−Al23層の交互積層構造からなる上部層を形成し、この上部層中に存在するクラックの状態を観察したところ、クラックは主として、CVD−Al23層中に存在し、しかも、層中に連続して形成されているクラックの層厚方向の最大長さは0.5μm以上1.0μm以下であることを確認した。
そして、硬質被覆層の下部層として、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層およびTiCNO層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層を形成し、この上に、上記CVD−Al23層とPVD−Al23層の交互積層構造からなる上部層を形成した被覆工具を、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用する鋼や鋳鉄の高速断続重切削に供したところ、上部層内に極薄PVD−Al23層が存在することによって、層厚方向へのクラックの伝播・進展が阻止されるため、その結果、上部層は、CVD−Al23層の有する高温硬さおよび耐熱性をそのまま備えるばかりか、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性を備えるようになり、長期の使用にわたって、チッピング等を発生することなくすぐれた耐摩耗性を示した。
この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであって、
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、1〜15μmの層厚を有する下部層と、3〜15μmの層厚を有する上部層とで構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、
上記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層で構成され、
また、上記上部層は、化学蒸着により形成された一層平均層厚0.5〜1.0μmの酸化アルミニウム層と物理蒸着により形成された一層平均層厚0.3〜0.5μmの酸化アルミニウム層との交互積層構造として構成され、
さらに、上部層内に連続して存在するクラックの層厚方向最大長さは0.5μm以上1.0μm以下であることを特徴とする表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
本発明の被覆工具の硬質被覆層について、以下に詳細に説明する。
(a)Ti化合物層(下部層)
Tiの炭化物(TiC)層、窒化物(TiN)層、炭窒化物(TiCN)層、炭酸化物(TiCO)層および炭窒酸化物(TiCNO)層のうちの1層または2層以上からなるTi化合物層は、例えば、通常の化学蒸着条件によって蒸着形成することができ、そして、Ti化合物層からなる下部層は、工具基体及び上部層のいずれにも強固に密着し、硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与するとともに、それ自体が高温強度を有し、これの存在によって硬質被覆層が高温強度を具備するようになる。
ただ、下部層全体の層厚が1μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その層厚が15μmを越えると、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用する高速断続重切削で熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、下部層全体としての層厚を1〜15μmと定めた。
(b)CVD−Al23
上部層の交互積層構造を構成するCVD−Al23層は、既に良く知られている化学蒸着法で蒸着形成することができる。
例えば、通常の化学蒸着装置により、
反応ガス組成:容量%で、AlCl:6〜10%、CO:10〜15%、HCl:3〜5%、H2S:0.05〜0.2%、H2:残り、
反応雰囲気温度:900〜980℃、
反応雰囲気圧力:3〜5kPa、
の条件で蒸着することによって形成することができる。
上記CVD−Al23層は、すぐれた高温硬さと耐熱性を備え、高速断続重切削加工において耐摩耗性を担保するための層として機能する。
ただ、交互積層構造を構成するCVD−Al23層の一層平均層厚が0.5μm未満であると、上部層に十分な高温硬さと耐熱性を付与することができず、一方、一層平均層厚が1.0μmを超えると、粗大なクラックが発生した場合、この亀裂の伝播・進展を、薄層のPVD−Al23層で阻止することができなくなるので、CVD−Al23層の一層平均層厚は0.5〜1.0μmと定めた。
(c)PVD−Al23
CVD−Al23層とともに交互積層構造の上部層を構成するPVD−Al23層は、例えば、図2(a)に概略平面図で、同(b)に概略正面図で示される構造のAIP装置とSP装置とが併設された物理蒸着装置により、
SP装置のカソード電極(蒸発源):金属Al
装置内反応雰囲気ガス :O 20〜40vol%,Ar 残り、
装置内雰囲気圧力 :2〜4Pa、
装置内雰囲気温度 :300〜550℃、
スパッタ出力 :2〜4kW、
の条件で蒸着することによって形成することができる。
上記PVD−Al23層は、層内にクラックが存在しないばかりか、高速断続重切削加工時に、CVD−Al23層に存在するクラックが層厚方向に伝播・進展することを阻止する作用を有し、交互積層構造からなる上部層の耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性を向上させる。
ただ、交互積層構造を構成するPVD−Al23層の一層平均層厚が0.3μm未満であると、クラックの伝播・進展抑制作用が十分でなく、一方、一層平均層厚が0.5μmを超えると、交互積層構造からなる上部層全体としての高温硬さが低下し、耐摩耗性が劣化するので、PVD−Al23層の一層平均層厚は0.3〜0.5μmと定めた。
(d)交互積層構造からなる上部層
所定の一層平均層厚のCVD−Al23層と、所定の一層平均層厚のPVD−Al23層との交互積層構造として上部層は形成されるが、上部層全体としての層厚が3μm未満では、長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮することができず、一方、層厚が15μmを超えると、チッピング等が発生しやすくなることから、上部層全体としての層厚を3〜15μmと定めた。
また、上部層内に存在するクラックについては、層厚方向と直交する面内にクラックが進展しても、チッピング発生等に大きく影響しないが、層厚方向に連続して存在するクラックの最大長さが0.5μm未満では、上部層内の残留応力の緩和が不十分となるため、高速断続重切削時に切刃に作用する衝撃的・機械的負荷によりチッピング、欠損、剥離が生じやすくなり、一方、層厚方向に連続して存在するクラックの最大長さが1.0μmを越えるようになると、CVD−Al23層の間に介在形成した薄層のPVD−Al23層を貫通してクラックが突き抜けた状態となるため、クラックの伝播・進展を抑制する作用が低下してしまい、チッピング、欠損、剥離が多発するようになることから、上部層において、連続して存在するクラックの層厚方向の最大長さを0.5μm以上1.0μm以下とした。
本発明の被覆工具は、硬質被覆層の下部層をTi化合物層から構成し、また、その上部層を、CVD−Al23層とPVD−Al23層との交互積層構造として構成していることにより、上部層が、すぐれた高温硬さ、耐熱性とともに、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性を備え、したがってこれを、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用する鋼や鋳鉄の高速断続重切削に用いた場合にも、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷を発生することなく、長期の使用にわたって、すぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
つぎに、本発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3 2 粉末、TiN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO・CNMG120408に規定するスローアウエイチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Fをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、Mo2 C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNMG120412のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体a〜fを形成した。
これらの工具基体A〜Fおよび工具基体a〜fの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される条件にて、表4に示される目標層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成した。
ついで同じく表3に示される条件で、表4に示される一層平均目標層厚でCVD−Al層を蒸着するとともに、
ついで、図2(a)に概略平面図で、同(b)に概略正面図で示される構造の、AIP装置とSP装置とが併設された物理蒸着装置を用い、
SP装置のカソード電極(蒸発源):金属Al、
装置内反応雰囲気ガス :O 30vol%, Ar 残り、
装置内雰囲気圧力 :3Pa、
装置内雰囲気温度 :550℃、
スパッタ出力 :3kW、
という条件で、表4に示される一層平均目標層厚でPVD−Al層を蒸着し、
さらに、CVD−Al層とPVD−Al層との蒸着を交互に繰り返し行い、交互積層構造からなる上部層を、表4に示される目標層厚になるように蒸着形成し、本発明被覆工具1〜13をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、工具基体A〜Fおよび工具基体a〜fの表面に、表3に示される条件にて、表5に示される目標層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成した。
そして、その内のいくつかについては、表3に示される条件で、表5に示される目標層厚でCVD−Al層のみを蒸着することにより上部層を形成し、比較被覆工具1〜5、8〜12を製造した。
また、残りのものについては、上記本発明被覆工具1〜13のPVD−Al層形成条件と同じ条件で、図2に示される物理蒸着装置を用いて、下部層の上に、表5に示される目標層厚でPVD−Al層のみを蒸着して上部層を形成し、比較被覆工具6、7、13を製造した。
本発明被覆工具1〜13及び比較被覆工具1〜13の硬質被覆層の上部層について、クラックの発生状況等を走査型電子顕微鏡を用いて観察・測定した。上記各被覆工具の上部層中に連続して存在するクラックについて、測定した層厚方向の最大長さの値(μm)を表4に示す。
また、本発明被覆工具1〜13および比較被覆工具1〜13の硬質被覆層の構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
つぎに、上記の各種の被覆工具をいずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆工具1〜13および従来被覆工具1〜13のそれぞれについては、次の切削条件A、Bで高速断続重切削試験を行った。
[切削条件A]
被削材:JIS・SNCM439の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒
切削速度: 300 m/min、
切り込み: 2.5 mm、
送り: 0.5 mm/rev.、
切削時間: 20 分、
の条件での合金鋼の湿式高速断続高切り込み切削試験(通常の切削速度および切り込みは、それぞれ、200m/min、1.5mm)、
[切削条件B]
被削材:JIS・FC300の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒
切削速度: 350 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.5 mm/rev.、
切削時間: 15 分、
の条件での鋳鉄の乾式高速断続高送り切削試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、250m/min、0.3mm/rev.)、
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表6に示した。
Figure 2010089221
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Figure 2010089221
Figure 2010089221

Figure 2010089221
表4〜6に示される結果から、本発明被覆超硬切削工具1〜13は、硬質被覆層の上部層が、CVD−Al2 3層と薄層のPVD−Al2 3層の交互積層構造として構成され、上部層中に連続して存在するクラックの層厚方向最大長さは0.5μm以上1.0μm以下であり、さらに、薄層のPVD−Al2 3層の存在によって、切削加工時にこれらのクラックの伝播・進展が抑制されることから、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用する鋼や鋳鉄の高速断続重切削加工にこれを用いた場合でも、硬質被覆層の上部層は、すぐれた高温硬さ、耐熱性とともにすぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性を備え、チッピング等の異常損傷を発生することもなく長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
これに対して、硬質被覆層の上部層がCVD−Al2 3 層のみで構成されている比較被覆工具1〜5、8〜12は、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷の発生により工具寿命は短く、また、硬質被覆層の上部層がPVD−Al2 3 層のみで構成されている比較被覆工具6、7、13は、チッピング等の発生は見られないものの、耐摩耗性が劣りやはり工具寿命が短いものであった。
上述のように、この発明の被覆工具は、硬質被覆層の上部層がCVD−Al2 3層と薄層のPVD−Al2 3層の交互積層構造として構成され、すぐれた高温硬さ、耐熱性とともにすぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性を備えるので、通常の条件での鋼や鋳鉄の連続切削および断続切削は勿論のこと、きわめて苛酷な切削条件である高速断続重切削においても、チッピング等の異常損傷を発生することもなく、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであり、切削加工の省エネ化および省力化に十分満足に対応できるものである。
本発明被覆工具のCVD−Al2 3層とPVD−Al2 3層の交互積層からなる硬質被覆層の上部層の縦断面模式図である。 PVD−Al2 3層を蒸着形成するためのアークイオンプレーティング装置(AIP装置)とスパッタリング装置(SP装置)が併設された物理蒸着装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、1〜15μmの層厚を有する下部層と、3〜15μmの層厚を有する上部層とで構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、
    上記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層で構成され、
    また、上記上部層は、化学蒸着により形成された一層平均層厚0.5〜1.0μmの酸化アルミニウム層と物理蒸着により形成された一層平均層厚0.3〜0.5μmの酸化アルミニウム層との交互積層構造として構成され、
    さらに、上部層内に連続して存在するクラックの層厚方向最大長さは0.5μm以上1.0μm以下であることを特徴とする表面被覆切削工具。
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