JP6011249B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
したがって、このような要求を満足するべく前記被膜の開発が種々行なわれている。例えば、特許文献1は、そのような被膜としてAlとCrとを含む特定組成の化合物を用いること(所謂AlCr系被膜)を提案している。
また、特許文献2による提案によっても、過酷な切削条件下においては被膜自体の破壊や剥離を十分に防止することができない場合があった。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、軟鋼、一般鋼、高硬度鋼等を、高熱発生を伴う高速切削条件で切削した場合においてもすぐれた耐摩耗性および耐欠損性を発揮する被覆工具を提供することである。
その結果、
(1)(Al,Cr)N層は、高硬度な皮膜であり、硬質被覆層に適した材質ではあるが、従来の成膜方法で形成した場合、ヤング率が高くなり、これが原因で、皮膜の靭性が低下し、欠損の発生が増加する。
(2)本発明者らは、(Al,Cr)N層のヤング率は、膜形成時のバイアス電圧と反応雰囲気圧を調整することにより再現性よく、コントロールすることができることを見出したが、(Al,Cr)N層をすべてヤング率が高い層として形成すると、高硬度ではあるが、皮膜靭性の低下による耐欠損性が低下し、皮膜の崩壊や剥離が起こりやすくなってしまう。
(3)そこで、本発明者らは、硬質被覆層を高ヤング率の(Al,Cr)N層からなる薄層Bと耐欠損性および密着性にすぐれた(Al,Ti)N層からなる薄層Aとを交互積層させることにより、高ヤング率の(Al,Cr)N層が有する欠点を(Al,Ti)N層との交互積層により補完し合い、従来被覆層にないすぐれた切削性能を有する硬質被覆層を得ることができるという全く新規な知見を得た。
本発明は、このような知見に基づき、薄層A、薄層Bの組成、層厚、ヤング率、総層厚などと切削性能との関係を詳しく解析した結果得られたものであって、具体的には、以下のような構成からなる。
工具基体の表面に、AlとTiとの合量に占めるTiの含有割合が25〜55原子%となるようにTi成分を含有させたAlとTiの複合窒化物層(以下、(Al,Ti)N層と示す)であってヤング率aが400GPa≦a≦550GPaである(Al,Ti)N層を薄層Aとして0.1〜1.0μmの平均層厚で形成し、硬質被覆層としてAlとCrとの合量に占めるCrの含有割合が25〜50原子%となるようにCr成分を含有させたAlとCrの複合窒化物層であってヤング率bが500GPa≦b≦800GPaである高ヤング率層(以下、高ヤング率(Al,Cr)N層と示す)を薄層Bとして0.1〜1.0μmの平均層厚で形成し、この上に、さらにその上に薄層A、薄層Bを順次形成し、総平均層厚が1.0〜10μmである交互積層構造を有する層を形成する。この結果、薄層Aを構成する(Al,Ti)N層が、すぐれた密着性、耐欠損性を示し、薄層Bの高ヤング率(Al,Cr)N層が、すぐれた耐摩耗性、耐熱性を示すと共に、(Al,Ti)N層と高ヤング率(Al,Cr)N層のそれぞれ組成の異なる層を交互積層として形成することにより、それぞれの層の粒子の成長の粗大化が防止され、粒子の微細化が図られ、膜強度が向上するとともに、この積層構造によってクラックの伝播・進展が防止されることで耐欠損性、耐チッピング性が向上する。これらの相乗効果により、すぐれた耐欠損性、耐摩耗性、耐熱性が発揮されるという新規な知見を得て、かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
「(1) 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具において、
前記硬質被覆層が、
(a)0.1〜1.0μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Al1−yTiy)N(ここで、yはAlとTiの合量に占めるTiの含有割合を示し、原子比で、0.25≦y≦0.55である)を満足し、ヤング率aが400GPa≦a≦550GPaであるAlとTiとの複合窒化物からなる薄層A、
(b)0.1〜1.0μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Al1−xCrx)N(ここで、xはAlとCrの合量に占めるCrの含有割合を示し、原子比で、0.25≦x≦0.50である)を満足し、ヤング率bが710GPa
≦b≦800GPaであり、且つ、前記薄層Aのヤング率よりも160GPa以上大きいAlとCrとの複合窒化物層からなる薄層Bと、
(c)工具基体直上が薄層Aであり、薄層Aと薄層Bとの交互積層構造を有し、総平均層厚が1.0〜10μmである、
前記(a)〜(c)の条件を満たすことを特徴とする表面被覆切削工具。」
を特徴とする。
交互積層構造の1層である薄層Bを構成する(Al,Cr)N層の構成成分であるAl成分には硬質被覆層における高温硬さを向上させ、同Cr成分には高温強度を向上させる作用があるが、Alとの合量に占めるCrの含有割合を示すx値(原子比、以下同じ)が0.25未満になると、相対的にAlの含有割合が増加することによって、結晶構造が立方晶から六方晶へ変化し、皮膜硬さが低下するので、少なくとも所定の皮膜硬さを保持するためには、Alとの合量に占めるCrの含有割合を示すx値が0.25以上とする必要がある。一方、Crの含有割合を示すx値が同0.50を越えると、相対的にAlの含有割合が減少し、高速切削加工で必要とされる高温硬さを確保することができず、チッピングの発生を防止することが困難になることからx値を0.25〜0.50と定めた。
薄層Bと共に交互積層構造を構成する薄層Aの(Al,Ti)N層は、層全体に亘って均質な高温硬さと耐熱性および靭性を示すが、その構成成分であるTi成分によって、すぐれた高温強度を備えるようになり、また、Al成分によって、高温硬さと耐熱性を補完する。そのため、高温切削条件下でも低摩擦係数が維持され、すぐれた耐熱性を発揮するようになるが、Alとの合量に占めるTiの含有割合を示すy値(原子比、以下同じ)が0.25未満になると、高温強度を確保することができないために刃先の境界部分において異常損傷を生じ欠損を発生しやすくなるため長寿命を期待することはできず、一方、Alとの合量に占めるTiの含有割合を示すy値が0.55を越えると、相対的にAlの含有割合が減少し、高速切削加工で必要とされる高温硬さ確保することができないばかりか、耐摩耗性も低下し、チッピング発生を防止することが困難になることから、y値を0.25〜0.55と定めた。
本発明の硬質被覆層は、それぞれの組成の異なる薄層Aと薄層Bとを交互に積層して構成した交互積層構造とすることで、それぞれの層の粒子の成長の粗大化が防止され、粒子の微細化が図られ、膜強度が向上するとともに、この積層構造によってクラックの伝播・進展が防止されることで耐欠損性、耐チッピング性が向上するが、薄層Aおよび薄層Bの平均層厚が0.1μm未満になると、各薄層を所定組成のものとして明確に形成することが困難であるばかりか、各薄層の有する前記のすぐれた特性を発揮することができない。一方、それぞれの平均層厚が1.0μmを超えると、粒子の粗大化による膜強度の低下により、耐欠損性、耐チッピング性が低下することから、薄層A、薄層Bのそれぞれの平均層厚を、0.1〜1.0μmと定めた。
また、硬質被覆層の総平均層厚が、1.0μm未満では、前述した交互積層構造の備えるすぐれた耐欠損性、耐チッピング性を十分に発揮することができず、一方、10μmを超えると、反対に、チッピング、欠損を発生しやすくなるので、硬質被覆層の総平均層厚は、1.0〜10μmと定めた。
(a)アノード電極とカソード電極(蒸発源)としてのAl−Ti合金との間に、例えば、電流:110Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して、例えば、3.0Paの反応雰囲気とし、工具基体には、例えば、−100Vのバイアス電圧を印加した条件で所定時間蒸着することにより、工具基体表面に、所定の目標層厚の薄層Aである(Al,Ti)N層が形成される。
(b)ついで、装置内に所定組成のAl−Cr合金からなるカソード電極(蒸発源)を配置し、アノード電極とカソード電極(蒸発源)としてのAl−Cr合金との間に、例えば、電流:110Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して、例えば、5.0Paの反応雰囲気とし、一方、工具基体には、例えば、−100Vのバイアス電圧を印加した条件で所定時間蒸着することにより、前記薄層A上に所定の目標層厚、ヤング率の薄層Bを構成する(Al,Cr)層が形成される。
前記(a)、(b)を所定の総目標層厚になるまで、交互に繰り返すことにより、本発明の硬質被覆層を蒸着形成することができる。すなわち、反応雰囲気圧と工具基体に印加するバイアス電圧を調整することで、薄層Bを構成する(Al,Cr)N層のヤング率をコントロールすることができる。
(b)まず、装置内を排気して0.1 Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつAl−Cr合金(カソード電極)とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面をボンバード洗浄し、
(c)次に装置内雰囲気を0.5〜9.0Paの窒素雰囲気に保持して、回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−20〜−150Vの直流バイアス電圧を印加し、カソード電極(蒸発源)であるAl−Ti合金電極とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させて、表3に示される目標組成、目標層厚の薄層Aとしての(Al,Ti)N層を蒸着形成した。
(d)引き続いて、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して9.0Paの反応雰囲気とすると共に、回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−130〜−150Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ、カソード電極の前記Al−Cr合金とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記薄層Aの上に、表3に示される目標組成、目標層厚の薄層Bとしての(Al,Cr)N層を蒸着形成した後、カソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、
前記(c)、(d)を交互に繰り返して、表3に示される総目標層厚の交互積層構造の硬質被覆層を工具基体上に蒸着形成し、比較被覆工具としての表面被覆インサート(以下、比較被覆インサートと云う)1〜4をそれぞれ製造した。
薄層Bのヤング率の制御は、前述のようにバイアス電圧と窒素分圧を制御することにより行った。すなわち、高バイアス電圧、高窒素分圧とすることで、薄層Bの(Al,Cr)N層のヤング率を高ヤング率に制御することができる。また、薄層Aの(Al,Ti)N層のヤング率の制御は、前述のようにバイアス電圧と窒素分圧を制御することにより行った。すなわち、−20〜−150V、かつ0.5〜9.0Paの範囲で成膜することで420〜550GPaに制御することができる。薄層Aおよび薄層Bの形成条件(バイアス電圧、窒素分圧)、ヤング率を同じく表3に示す。
また、ヤング率の測定は、ナノインデンター(MTSシステムズ社の商標)を用いてナノインデンテーション法による測定を行った。さらに本発明被覆インサート1〜4の薄層Aおよび薄層Bについて、X線回折装置を用いて、その結晶構造を特定した。それらの結果を同じく表3に示した。
(a)前記工具基体A−1、A−2、A−4、A−5、A−9およびB−1、B−4、B−5のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図1に示されるアークイオンプレーティング装置内の回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部に沿って装着し、前記回転テーブルを挟んで対向する2つのカソード電極(蒸発源)を配置し、第1の電極として、薄層A形成用の所定組成を有するAl−Ti合金、第2の電極として、薄層B形成用の所定組成を有するAl−Cr合金を配置し、
(b)まず、装置内を排気して0.1 Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつAl−Cr合金(カソード電極)とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面をボンバード洗浄し、
(c)次に装置内雰囲気を0.5〜9.0Paの窒素雰囲気に保持して、回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−20〜−150Vの直流バイアス電圧を印加し、カソード電極(蒸発源)であるAl−Ti合金電極とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させて、表4に示される目標組成、目標層厚の薄層Aとしての(Al,Ti)N層を蒸着形成した。
(d)引き続いて、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して1.0〜7.0Paの反応雰囲気とすると共に、回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−30〜−400Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ、カソード電極の前記Al−Cr合金とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、工具基体の表面に、表4に示される目標組成、目標層厚の薄層Bとしての(Al,Cr)N層を蒸着形成した後、カソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、
前記(c)、(d)を交互に繰り返して、表4に示される総目標層厚の交互積層構造の硬質被覆層を工具基体上に蒸着形成し、比較被覆工具としての表面被覆インサート(以下、本発明被覆インサートと云う)1〜8をそれぞれ製造した。各層の形成条件(バイアス電圧、窒素分圧)を同じく表4に示す。さらに、比較被覆インサート1〜8について、前記と同様の方法によりヤング率および結晶構造を測定した。それらの結果を同じく表4に示した。
切削速度: 320m/min.、
切り込み: 2.5mm、
送り: 0.45mm/rev.、
切削時間: 15分、
の条件(切削条件A)での炭素鋼の乾式高速高送り切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、200m/min.、0.25mm/rev.)、
被削材:JIS・SCM415(HB280)の丸棒、
切削速度: 300m/min.、
切り込み: 3.5 mm、
送り: 0.3mm/rev.、
切削時間: 12分、
の条件(切削条件B)での合金鋼の乾式高速高切込切削加工試験(通常の切削速度および切込は、それぞれ、190m/min.、2.0mm.)、
被削材:JIS・SCM420H(HRC61)の丸棒、
切削速度: 120m/min.、
切り込み: 0.4mm、
送り: 0.25mm/rev.、
切削時間: 8分、
の条件(切削条件C)での焼入鋼の乾式高速高切込・高送り切削加工試験(通常の切削速度、切込および送りは、それぞれ、60 m/min.、0.2mm.、0.1mm/rev.)、
を行い、いずれの高速切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表5、表6に示した。
つぎに、本発明被覆エンドミル1〜2および比較被覆エンドミル1〜5について、
被削材−平面寸法:100 mm×250 mm、厚さ:50 mmのJIS・S10C(HB200)の板材、
切削速度: 320m/min.、
溝深さ(切り込み):5.0mm、
テーブル送り: 2200mm/min.、
の条件(切削条件D)での炭素鋼の乾式高速溝切削加工試験(通常の切削速度およびテーブル送りは、それぞれ、200m/min.、1400mm/min.)、
被削材−平面寸法:100mm×250 mm、厚さ:50mmのJIS・SCM415(HB280)の板材、
切削速度: 270m/min.、
溝深さ(切り込み):3.0mm、
テーブル送り: 2000mm/min.、
の条件(切削条件E)での合金鋼の乾式高速溝切削加工試験(通常の切削速度およびテーブル送りは、それぞれ、150m/min.、1400mm/min.)、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SCM420H(HRC61)の板材、
切削速度: 120m/min.、
溝深さ(切り込み):1.0mm、
テーブル送り: 320mm/min.、
の条件(切削条件F)での焼入鋼の乾式高速溝切削加工試験(通常の切削速度およびテーブル送りは、それぞれ、50m/min.、210mm/min.)、
をそれぞれ行い、いずれの高速溝切削加工試験でも切刃部の外周刃の逃げ面摩耗幅が使用寿命の目安とされる0.1mmに至るまでの切削溝長を測定した。この測定結果を同じく表7、表8にそれぞれ示した。
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・S10C(HB200)の板材、
切削速度: 190m/min.、
送り: 0.45mm/rev.、
穴深さ: 6mm、
の条件(切削条件G)での炭素鋼の乾式高速穴あけ加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、100m/min.、0.3mm/rev.)、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SCM415(HB280)の板材、
切削速度: 150m/min.、
送り: 0.40mm/rev.、
穴深さ: 6mm、
の条件(切削条件H)での合金鋼の乾式高速穴あけ加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、80m/min.、0.25mm/rev.)、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SCM420H(HRC61)の板材、
切削速度: 65m/min.、
送り: 0.25mm/rev.、
穴深さ: 6mm、
の条件(切削条件I)での焼入鋼の乾式高速穴あけ加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、30m/min.、0.12mm/rev.)、
をそれぞれ行い、いずれの乾式高速穴あけ加工試験でも先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を同じく表9、表10にそれぞれ示した。
Claims (1)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具において、
前記硬質被覆層が、
(a)0.1〜1.0μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Al1−yTiy)N(ここで、yはAlとTiの合量に占めるTiの含有割合を示し、原子比で、0.25≦y≦0.55である)を満足し、ヤング率aが400GPa≦a≦550GPaであるAlとTiとの複合窒化物層からなる薄層Aと、
(b)0.1〜1.0μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Al1−xCrx)N(ここで、xはAlとCrの合量に占めるCrの含有割合を示し、原子比で、0.25≦x≦0.50である)を満足し、ヤング率bが710GPa≦b≦800GPaであり、且つ、前記薄層Aのヤング率よりも160GPa以上大きいAlとCrとの複合窒化物層からなる薄層Bと、
(c)工具基体直上が薄層Aであり、薄層Aと薄層Bとの交互積層構造を有し、総平均層厚が1.0〜10μmである、
前記(a)〜(c)の条件を満たすことを特徴とする表面被覆切削工具。
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