JP2010087994A - 微小コンデンサマイクロホンの製造方法およびエレクトレット化装置 - Google Patents

微小コンデンサマイクロホンの製造方法およびエレクトレット化装置 Download PDF

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【課題】着電量バラツキが小さいプロセスを達成し、精密でばらつきの少ない高感度のエレクトレットコンデンサマイクロホンを実現できる製造方法およびエレクトレット化装置を提供する。
【解決手段】エレクトレット化対象の微小コンデンサマイクロホン43aが、放電電極51と対向して設置される。次いで、微小コンデンサマイクロホン43aが備える固定電極と振動膜との間に所定の電位差を付与した状態で、当該固定電極と振動膜との間の誘電体膜に放電電極のコロナ放電により発生したイオンを入射させることにより、当該イオンに基づく電荷を当該誘電体膜に固定するエレクトレット化が実施される。このとき、エレクトレット化対象の微小コンデンサマイクロホンと放電電極との間には、所定の電位が付与されるとともに抵抗体を介して接地電位に接続された導電性のカバー57が設置されており、イオンはカバー57の開口部を通じて誘電体膜に到達する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体プロセス技術を用いて作成する微小コンデンサマイクロホンの製造方法に関する。
エレクトレット・コンデンサ・マイクロホン(ECM)は、音波によるコンデンサの容量変化を電気信号として検出すると共に半永久的な分極を持つエレクトレット膜を利用することにより、コンデンサの直流バイアスを不要とした小型の音響電気変換装置である。
ECMにおけるエレクトレット膜(少なくとも一部が分極している誘電体膜)は、例えばFEP(フロロエチレン・プロピレン)などの有機誘電体膜からなり、この誘電体膜に電荷を注入して固定することによって形成される。誘電体膜に注入された電荷が形成する電場により、誘電体膜を挟むコンデンサの両極に電位差が発生する。この電位差は、ECMの感度と比例関係にあり、この電位差のバラツキを小さくすることが、精密でばらつきの少ないECMの製造には、不可欠となる。なお、以下では、誘電体膜に電荷を注入して固定することを、エレクトレット化といい、注入された電荷の量を着電量という。
以上のようなECMにおいては、近年、半導体集積回路の微細プロセス技術を用いて、シリコン基板を加工することにより微小コンデンサマイクロホンが製造されている。このような微小コンデンサマイクロホンは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)マイクロホン(以下、適宜MEMSマイクという。)として注目されている。
図2に微小コンデンサマイクロホンの構造を示す。微小コンデンサマイクロホン43は、中央部に開口を有するシリコンウェハ(シリコンダイヤフラム)からなる基台34を備える。基台34の開口部は、振動膜33により閉塞されている。振動膜33の基台34と反対側の面には、エレクトレット化対象の誘電体膜32が形成されている。誘電体膜32と対向する位置には、スペーサ部37により支持された固定電極31が配置されている。固定電極31には、複数の音孔(音波を振動膜33に伝える開口部)35が設けられている。誘電体膜32と固定電極31との間にはエアギャップ36が設けられている。エアギャップ36は、シリコンウェハを加工する工程途中において、この部分を埋めていた犠牲層をエッチング除去することにより形成される。なお、本構成では、振動膜33がコンデンサの一方の電極として機能し、固定電極31がコンデンサの他方の電極として機能する。また、本構成では、振動膜33の周縁部のみがシリコンウェハに支持されており、シリコンウェハの開口から振動膜33の一面が露出している。微小コンデンサマイクロホン43を構成する振動膜33、固定電極31および誘電体膜32は、シリコンの微細加工技術とCMOS(相補型電界効果トランジスタ)の製造プロセス技術とを利用して製造される。
図3は、微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化工程で使用する、従来のエレクトレット化装置の構成の一例を模式的に示す要部断面図である(例えば、特許文献1、特願2007−297687号明細書等参照。)。図3に示すエレクトレット化装置は、同一の半導体基板上に形成された複数の微小コンデンサマイクロホン(MEMSマイク)が個片化される前の基板状態でエレクトレット化を実施する。この装置では、半導体基板上に形成された1つの微小コンデンサマイクロホンに、1つの針状電極のコロナ放電によってイオンを照射して、当該微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化を実施する。なお、図3では、半導体基板上の微小コンデンサマイクロホンのうち、微小コンデンサマイクロホン43a、43b、43cのみを図示している。
図3に示すように、従来のエレクトレット化装置は、複数の微小コンデンサマイクロホン43が形成された半導体基板が載置されるステージ81を備える。ステージ81は、水平方向および上下方向に移動可能に構成されている。ステージ81と対向する位置には、針状電極(放電電極)51が配置されている。針状電極51には、針状電極51にコロナ放電を発生させるための高圧電源53が接続されている。なお、針状電極51は、ステージ81に載置された半導体基板からの高さを調整できるように垂直方向に移動可能に構成されている。
また、ステージ81と針状電極51との間には、微小コンデンサマイクロホン43に形成されているパッド40、41の配置に対応して配設されたプローブピン70、71を備えるプローブカード75が固定されている。プローブピン71は接地電位に接続されており、プローブピン70、71には、プローブピン70とプローブピン71との間に電位差を付与する可変電圧電源55が接続されている。なお、パッド40は固定電極31に電気的に接続された電極パッドであり、パッド41は振動膜33に電気的に接続された電極パッドである。また、プローブカード75は、針状電極51のコロナ放電によるイオンをステージ81上に載置された半導体基板に到達させる経路となる開口を備えている。
このエレクトレット化装置は、エレクトレット化対象の微小コンデンサマイクロホン43が形成された半導体基板がステージ81上に載置された状態で、ステージ81が水平移動と、プローブピン70、71を微小コンデンサマイクロホン43のパッド40、41に接触させる上下方向の移動とを繰り返すことで、各微小コンデンサマイクロホン43のエレクトレット化を実施する。なお、当該エレクトレット化装置は、例えば、一般の半導体集積回路装置の製造工程における電気特性検査等で使用されるプローバ装置を用いて構成される。
また、上記エレクトレット化装置は、半導体基板上の1つの微小コンデンサマイクロホン(図3では、微小コンデンサマイクロホン43a)だけに、針状電極51のコロナ放電によるイオンを照射するための、導電性を有する金属製のカバー57を備える。従来のエレクトレット化装置では、カバー57はプローブカード75の開口に沿って配置されるとともに、10MΩ程度の抵抗体58を介して接地電位に接続されている。また、カバー57は微小コンデンサマイクロホン43aの平面形状に対応した形状の開口を有する枠形状を有しており、半導体基板上で、エレクトレット化が実施される微小コンデンサマイクロホン43aに隣接する微小コンデンサマイクロホン(図3では、微小コンデンサマイクロホン43b、43c)へ向かうイオンの経路を遮蔽する。
図3のエレクトレット化装置により、微細加工技術を用いて製作される微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化の生産性向上と設備費用削減という効果を達成することができる。また、図3のエレクトレット化装置においては、隣接する微小コンデンサマイクロホンへ向かうイオンの経路を遮蔽するための導電性のカバー57は、着電のバラツキが小さいプロセスを達成する上で、不可欠なものとなっている。
特開2006−033535号公報
上述の従来のエレクトレット化装置においては、針状電極51のコロナ放電により発生するイオンを微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化に利用しており、このイオン量が変動すると着電量が変動する。このことから、安定したコロナ放電を実施することが、着電量バラツキが小さく、ひいては、感度のバラツキの小さい精密なECMの作製に不可欠な要素となってくる。
一方で、上述のエレクトレット化装置においては、針状電極51から放出されたイオンの一部は、カバー57および抵抗体58を介して、接地電位に流れ込む。この時のカバー57の電位は、オームの法則に則り、抵抗体58の抵抗値と抵抗体58に流れ込むイオンの電流量との乗数として求められる。したがって、イオンの電流量が変動すると、カバー57の電位も変動することとなる。
例えば、外気環境の変化(例えば湿度の変化等)によりコロナ放電によるイオン量が変動すると、カバー57および誘電体膜32に照射されるイオン量(照射電流)も変動する。この場合、カバー57から抵抗体58に流れ込む電流量が変動し、カバー57の電位が変動する。カバー57の電位が変動した場合、針状電極51とカバー57との間の電位差に変動が生じ、コロナ放電により針状電極51から照射されるイオン量が更に変動する。その結果、着電量のバラツキが更に大きくなる。すなわち、外気環境の変化によりコロナ放電によるイオン量が変動した場合、外気環境の変化に伴うイオン量の変動が増幅されて、着電量バラツキとして顕在化することになる。
また、針状電極51が放出したイオンが、カバー57および抵抗体58を介して接地電位に流れ込む電流に起因するカバー57の電位変動を防ぐために、抵抗体58をエレクトレット化装置から取り除いた場合には、針状電極51から放出されたイオンがカバー57に帯電し、針状電極51とカバー57間の電位差が変動する。この場合、コロナ放電が不安定になるため、結果として着電量のバラツキが生じる。
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、着電量バラツキが小さいプロセスを達成し、精密でばらつきの少ない高感度のエレクトレットコンデンサマイクロホンを実現できる微小コンデンサマイクロホンの製造方法およびエレクトレット化装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、半導体基板からなる基台に周縁部が支持された振動膜と、前記振動膜上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜の上方に空間を介して配置された固定電極とを備える微小コンデンサマイクロホンの製造方法を前提としている。そして、本発明に係る微小コンデンサマイクロホンの製造方法では、まず、微小コンデンサマイクロホンが、放電電極と対向して設置される。次いで、設置された微小コンデンサマイクロホンが備える固定電極と振動膜との間に所定の電位差を付与した状態で、当該固定電極と振動膜との間の誘電体膜に、放電電極のコロナ放電により発生したイオンを入射させることにより、当該イオンに基づく電荷を当該誘電体膜に固定するエレクトレット化が実施される。このとき、エレクトレット化対象の微小コンデンサマイクロホンと放電電極との間には、所定の電位が付与されるとともに抵抗体を介して接地電位に接続された導電性カバーが設置されており、イオンは、当該導電性カバーの開口部を通じて誘電体膜に到達する。
この製造方法によれば、外気環境の変化でコロナ放電により発生するイオン量が変動した場合でも、導電性カバーの電位を一定に維持することができ、更なるイオン量の変動を抑制することが可能となる。また、導電性カバーは、抵抗体を介して接地電位に接続されているため、導電性カバーに入射するイオンによって導電性カバーが帯電をすることもない。
一方、他の観点では、本発明は、半導体基板からなる基台に周縁部が支持された振動膜と、前記振動膜上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜の上方に空間を介して配置された固定電極とを備える微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化するエレクトレット化装置を提供することもできる。すなわち、本発明に係るエレクトレット化装置は、微小コンデンサマイクロホンが設置されるステージを備える。当該ステージと対向して、放電電極が配置されている。また、ステージに設置された微小コンデンサマイクロホンが備える固定電極と振動板との間に所定の電位差を付与する手段を備える。当該手段は、例えば、固定電極に電気的に接続された電極パッドと、振動板に電気的に接続された電極パッドとにそれぞれ接触するプローブピンと、当該プローブピンの間に電位差を付与する電源とにより構成することができる。本発明に係るエレクトレット化装置は、さらに、ステージと放電電極との間に設置され、抵抗体を介して接地電位に接続された導電性カバーを備える。当該導電性カバーは、放電電極のコロナ放電により発生し、所定電位差が付与された固定電極と振動板との間の誘電体膜へ到達するイオンの経路となる開口部を備えるとともに、直流電源により、所定電位が付与される。例えば、直流電源は、導電性カバーと接地電位との間に介在された抵抗体と並列に設置することができる。
本発明によれば、エレクトレット化対象の微小コンデンサマイクロホンに隣接する微小コンデンサマイクロホンへ向かうイオンの経路を遮蔽するための導電性カバーを有し、当該導電性カバーが、微小コンデンサマイクロホンをエレクトレット化する際に、所定電位に固定される。このため、外気環境の変化が生じた場合でも、コロナ放電により発生するイオン量の変動を最小限に抑制することが可能となり、着電量バラツキが小さいプロセスを実現することができる。すなわち、精密でばらつきの少ない高感度のエレクトレットコンデンサマイクロホンを製造することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、図2に示した構造を有する微小コンデンサマイクロホン(MEMSマイク)をエレクトレット化する事例により本発明を具体化している。
図1は、本実施形態における、エレクトレット化装置の構造の基本構成を示す要部断面図である。図1において、図3に示した従来のエレクトレット化装置と同一の作用効果を奏する部材には、同一の参照符号を付している。また、図3と同様に図1では、半導体基板上の微小コンデンサマイクロホンのうち、微小コンデンサマイクロホン43a、43b、43cのみを図示している。なお、図1では、微小コンデンサマイクロホン43a、43b、43cがそれぞれ備えるパッド40、41と基台34のみを示している。上述したように、パッド40は固定電極31に電気的に接続された電極パッドであり、パッド41は振動膜33に電気的に接続された電極パッドである。また、微小コンデンサマイクロホン43a、43b、43cは同一の平面構造を有している。
図1に示すように、本実施形態のエレクトレット化装置は、複数の微小コンデンサマイクロホン43が形成された半導体基板が載置されるステージ81を備える。ステージ81と対向する位置には、針状電極(放電電極)51が配置されている。ステージ81と針状電極51との間には、微小コンデンサマイクロホン43に形成されているパッド40、41の配置に対応して配設されたプローブピン70、71を備えるプローブカード75が固定されている。プローブピン71は接地電位に接続されており、プローブピン70、71には、プローブピン70とプローブピン71との間に電位差を付与する可変電圧電源55が接続されている。また、プローブカード75は、針状電極51のコロナ放電によるイオンをステージ81上に載置された半導体基板に到達させる経路となる開口を備えている。
このエレクトレット化装置は、エレクトレット化対象の微小コンデンサマイクロホン43が形成された半導体基板がステージ81上に載置された状態で、ステージ81が水平移動と、プローブピン70、71を微小コンデンサマイクロホン43のパッド40、41に接触させる上下方向の移動とを繰り返すことで、各微小コンデンサマイクロホン43のエレクトレット化を実施する。
また、上記エレクトレット化装置は、半導体基板上の1つの微小コンデンサマイクロホン(図1では、微小コンデンサマイクロホン43a)だけに、針状電極51のコロナ放電によるイオンを照射するための、導電性を有する金属製のカバー57を備える。本実施形態では、カバー57はプローブカード75の開口に沿って配置されるとともに、10MΩ程度の抵抗体58を介して接地電位に接続されている。また、カバー57は微小コンデンサマイクロホン43aの平面形状に対応した形状の開口を有する枠形状を有しており、半導体基板上で、エレクトレット化が実施される微小コンデンサマイクロホン43a(以下、被エレクトレット化チップ43aという。)に隣接する微小コンデンサマイクロホン(図1では、微小コンデンサマイクロホン43b、43c)へ向かうイオンの経路を遮蔽している。
本実施形態のエレクトレット化装置は、さらに、導電性のカバー57に所定の電位を付与する直流電源59を備える。本実施形態では直流電源59はカバー57と接地電位の間に介在された抵抗体58と並列に接続されている。
なお、図1では、複数の微小コンデンサマイクロホン43が形成された半導体基板は、裏面(振動膜33が形成された面と反対の面)に粘着シート80が貼り付けられた状態でステージ81上に載置されている。ステージ81は、図示しない真空吸着機構等を備えており、粘着シート80がステージ81に固定される。粘着シート80は、例えば、ステージ81への半導体基板を固定する際の吸着で振動膜33等が破損することを防止する機能を有する。例えば、粘着シート80は、一方面のみが粘着性を有し、紫外光照射により粘着性を低下させることができるシートである。当該粘着シート80は、半導体基板の外形よりも大きな内径を有するリングフレームに張力を有する状態で固定されており、当該リングフレームに固定された粘着シート80の粘着面に半導体基板が貼り付けられる。
上述のエレクトレット化装置を用いて微小コンデンサマイクロホン43のエレクトレット化を行う場合、複数の微小コンデンサマイクロホン43が形成された半導体基板が粘着シート80に貼り付けられた状態でステージ81上に載置され、ステージ81上に固定される。そして、最初の被エレクトレット化チップ43aがカバー57の開口の直下に位置する状態にステージ81が水平移動する。このとき、針状電極51は、カバー57の開口を通じて、被エレクトレット化チップ43aと対向している。その後、ステージ81が上昇し、被エレクトレット化チップ43aのパッド40、41に、プローブカード75のプローブピン70、71が接触する。
プローブピン70、71がパッド40、41に接触すると、可変電圧電源55が電圧を印加し、プローブピン70とプローブピン71との間に電位差を付与する。上述のように、プローブピン70が接触するパッド40は固定電極31に電気的に接続され、プローブピン71が接触するパッド41は振動膜33に電気的に接続されている。このため、可変電圧電源55により、固定電極31と振動膜33との間に電位差が付与される。また、このとき、直流電源59はカバー57に所定の電位を付与する。
この状態で、高圧電源53が針状電極51に電圧を印加する。これにより、針状電極51にコロナ放電が発生する。図1に示すエレクトレット化装置では、針状電極51に負電位が印加され、固定電極31に負電位が印加され、振動膜33に接地電位が印加されている。また、カバー57には、直流電源59により、上記所定電位が付与されている。このため、仮に、外気環境の変化(例えば湿度の変化等)によりコロナ放電による照射電流が変動した場合でも、直流電源59により、カバー57の電位は一定に維持される。すなわち、エレクトレット化の際に、カバー57の電位が変動することはない。したがって、1個の被エレクトレットチップのエレクトレット化処理中および異なる被エレクトレットチップに対する各エレクトレット化処理の間で、針状電極51とカバー57との間の電位差を一定に保つことができる。また、導電性カバー57は、抵抗体58を介して接地電位に接続されているため、導電性カバー57に入射するイオンによって導電性カバー57が帯電することもない。なお、直流電源59によりカバー57に印加される電位は、針状電極51とカバー57との間の電位差が時間的な変動を生じることのない電位であればよく、その絶対値は特に限定されない。
コロナ放電による負イオンは、被エレクトレットチップ43aの固定電極31が備える音孔35を通じて、誘電体膜32に照射される。誘電体膜32がエレクトレット化されるにつれて、固定電極31と誘電体膜32との間の電位差は減少する。そして、最終的に、固定電極31と誘電体膜32との間の電位差がゼロになると、コロナ放電による負イオンが誘電体膜32に到達しなくなる。すなわち、誘電体膜32は、固定電極31と振動膜33との間の電位差に応じた所定の着電量でエレクトレット化される。特に、本実施形態のエレクトレット化装置では、針状電極51とカバー57との間の電位差が一定に保たれるため、コロナ放電による照射電流は、外気環境の変化の影響以上の変動を起こすことがなく、着電バラツキを抑制することが可能となる。なお、各プローブピン70、71は、針状電極51のコロナ放電によるイオンの誘電体膜32への進行を阻害することがないように、被エレクトレット化チップ43aの固定電極31の上部を横切らない状態でプローブカード75に配設されることはいうまでもない。
所定の着電量に達するに十分な時間が経過し、誘電体膜32のエレクトレット化が完了すると、ステージ81は下降するとともに、半導体基板上でエレクトレット化が完了した微小コンデンサマイクロホンに隣接する微小コンデンサマイクロホンがカバー57の開口の直下に位置する状態にステージ81が水平移動する。そして、ステージ81が上昇し、上述した手法により、当該微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化が実施される。
以上のように、本実施形態のエレクトレット化装置を使用することにより、半導体基板上に一体に形成された複数の微小コンデンサマイクロホン43に対して、連続的に、かつ着電量バラツキを抑制したエレクトレット化処理を実施することができる。
なお、1個の微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化が完了した後、次の微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化を開始するまで間、針状電極51のコロナ放電によるイオンがプローブピン70、71に入射してプローブピン70、71に電流が流れると、プローブピン70、71の先端が酸化することがある。このような酸化が進行すると、プローブピン70、71と微小コンデンサマイクロホンのパッド40、41とのコンタクト抵抗が上昇するため好ましくない。このプローブピン70、71の酸化を防ぐため、微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化が完了してから、次の微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化が開始されるまでの間は、針状電極51のコロナ放電を停止することが好ましい。
また、コロナ放電を停止する期間が短く、高圧電源53の制御によりコロナ放電を停止することが困難である場合には、図1に示すように、カバー57の開口と針状電極51との間に、導電性を有する金属製のイオン遮蔽シャッター54を移動可能に配置してもよい。イオン遮蔽シャッター54は、針状電極51のコロナ放電によるイオンが半導体基板に到達するまでに通過する経路上と当該経路外とにわたって移動可能に配置される(図1は、イオン遮蔽シャッター54がイオン通過経路外に退避した状態を示している。)。この構成では、微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化が完了してから、次の微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化が開始されるまでの間だけ、イオン遮蔽シャッター54をカバー57の開口と針状電極51との間に挿入することにより、針状電極51のコロナ放電によるイオンがプローブピン70、71に入射することを防止できる。また、このようなイオン遮蔽シャッター54を設けた場合、イオンが入射しない状況下で固定電極31と振動膜33との間に電位差を付与し、かつカバー57に所定電位を付与した後にイオン遮蔽シャッター54をイオン通過経路外に退避してイオンを入射させることも可能となる。これにより、エレクトレット化を再現性よく実施することができる。
なお、上記では、被エレクトレット化チップ43aが備える誘電体膜32に負イオンを照射するエレクトレット化装置を説明したが、各電源の極性を反転させることにより、誘電体膜32に正イオンを照射することもできる。正イオンを照射することにより誘電体膜32をエレクトレット化した場合でも、MEMSマイクとして同様の感度特性を得ることができる。
また、上記実施形態では、1個の被エレクトレット化チップに対するエレクトレット化について説明したが、複数の被エレクトレット化チップに対して同時にエレクトレット化を実施する構成であってもよい。この場合、導電性カバーの開口部は、エレクトレット化対象の複数の微小コンデンサマイクロホンに、針状電極のコロナ放電により発生したイオンが照射される形状で形成される。同時に、エレクトレット化される複数の被エレクトレット化チップがそれぞれ備えるパッド40、41に、電位を印加する複数組のプローブピンがプローブカードに設けられる。
以上説明したように、本実施形態によれば、外気環境の変化(例えば湿度の変化等)によりコロナ放電による照射電流が変動した場合でも、直流電源59により、カバー57の電位が一定に維持される。すなわち、エレクトレット化の際に、カバー57の電位が変動することはない。針状電極51とカバー57との間の電位差は一定に保たれるため、コロナ放電による照射電流は外気環境の変化の影響以上の変動を起こすことがなく、着電バラツキを抑制することが可能となる。したがって、本発明によれば、着電量バラツキが少なく、精密でばらつきの少ない高感度の微小コンデンサマイクロホンを安定して製造することが可能となる。
なお、以上で説明した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、特に好ましい形態として、プローブピンを介して微小コンデンサマイクロホンへの給電を行い、当該プローブピンを支持するプローブカードに導電性カバーが支持された構成を説明した。しかしながら、導電性カバーがプローブカードに支持されることは必須の構成ではなく、導電性カバーはエレクトレット化対象の微小コンデンサマイクロホンと放電電極との間に設けられていればよい。また、微小コンデンサマイクロホンへの給電および給電方法も任意である。
また、上記実施形態では、針状電極のコロナ放電によりエレクトレット化を実施する事例について説明したが、放電電極の形状は特に限定されない。例えば、針状電極に代えて、ステージ表面と平行に配置されたワイヤ状の放電電極を使用しても、同様にエレクトレット化を実施することができる。また、上記では、エレクトレット化対象の誘電体膜として有機誘電体膜に言及したが、エレクトレット化対象の誘電体膜は無機誘電体膜であってもよい。さらに、上記実施形態では、半導体基板上に形成された複数の微小コンデンサマイクロホンが個片化される前の基板状態でエレクトレット化を実施する事例について説明したが、本発明は、個片化された後の微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化にも適用可能である。すなわち、個片化された複数の微小コンデンサマイクロホンを1次元状または2次元状に配置したワーク(エレクトレット化対象マイクロホン群)に対するエレクトレット化に本発明を適用することにより、精密でばらつきの少ない高感度のエレクトレットコンデンサマイクロホンを容易に製造することが可能である。
本発明は、外気環境の変化によるコロナ放電の放射電流量の変動が発生しても、着電量バラツキが少ないプロセスを実現でき、精密でばらつきの少ないエレクトレットコンデンサマイクロホンの製造方法およびエレクトレット化装置として有用である。
本発明の一実施形態におけるエレクトレット化装置を示す要部断面図 微小コンデンサマイクロホン(MEMSマイク)の構造を示す断面図 従来のエレクトレット化装置を示す要部断面図
符号の説明
31 固定電極
32 誘電体膜
33 振動膜
34 シリコン基板
35 音孔
36 エアギャップ
37 スペーサ部
40 固定電極パッド
41 振動膜バッド
43 微小コンデンサマイクロホン(MEMSマイクチップ)
43a 被エレクトレット化チップ
43b、43c 被エレクトレット化チップの隣接チップ
51 針状電極(放電電極)
53 高圧電源
54 イオン遮蔽シャッター
55 可変電圧電源
57 カバー
58 抵抗体
70、71 プローブピン
75 プローブカード
80 粘着シート
81 ステージ

Claims (2)

  1. 半導体基板からなる基台に周縁部が支持された振動膜と、前記振動膜上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜の上方に空間を介して配置された固定電極とを備える微小コンデンサマイクロホンの製造方法であって、
    前記微小コンデンサマイクロホンを、放電電極と対向させて設置する工程と、
    設置された微小コンデンサマイクロホンが備える前記固定電極と前記振動膜との間に所定の電位差を付与した状態で、当該固定電極と振動膜との間の誘電体膜に、前記放電電極のコロナ放電により発生したイオンを入射させ、当該イオンに基づく電荷を当該誘電体膜に固定するエレクトレット化を実施する工程と、
    を有し、
    前記微小コンデンサマイクロホンと前記放電電極との間に設置された、所定の電位が付与されるとともに抵抗体を介して接地電位に接続された導電性カバーの開口部を通じて、前記所定電位差が付与された固定電極と振動板との間の誘電体膜へ前記イオンが入射することを特徴とする微小コンデンサマイクロホンの製造方法。
  2. 半導体基板からなる基台に周縁部が支持された振動膜と、前記振動膜上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜の上方に空間を介して配置された固定電極とを備える微小コンデンサマイクロホンのエレクトレット化するエレクトレット化装置であって、
    前記微小コンデンサマイクロホンが設置されるステージと、
    前記ステージと対向して配置された放電電極と、
    前記ステージに設置された微小コンデンサマイクロホンが備える前記固定電極と前記振動板との間に所定の電位差を付与する手段と、
    前記ステージと前記放電電極との間に設置され、抵抗体を介して接地電位に接続された導電性カバーと、
    前記導電性カバーに設けられた、前記放電電極のコロナ放電により発生し、前記所定電位差が付与された固定電極と振動板との間の前記誘電体膜へ到達するイオンの経路となる開口部と、
    前記導電性カバーに所定電位を付与する直流電源と、
    を備えたことを特徴とするエレクトレット化装置。
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