以下、本発明のステージ装置及び露光装置の実施の形態を、図1ないし図12を参照して説明する。ここでは、本発明に係るステージ装置を露光装置においてレチクル(マスク)を保持するレチクルステージ装置に適用する場合について説明する。
図1は本発明に係るステージ装置としてのレチクルステージ装置500を示す斜視図、図2はレチクルステージ装置500の分解斜視図、図3はステージ部520を示す斜視図及び断面図、図4はレチクルホルダ525とレチクルクランプ600の配置を示す図である。
レチクルステージ装置500は、図1に示すように、レチクル定盤510、レチクル定盤510上をY方向に所定ストロークで駆動されるステージ部520、ステージ部520を取り囲むように配置された枠状部材530、及びステージ部520を駆動するレチクルステージ駆動系(リニアモータ540、ボイスコイルモータ550)等を備える。
レチクル定盤(ベース部)510は、不図示の支持部材によって略水平に支持されている。そして、レチクル定盤510は、図2に示すように、概略板状の部材からなり、その略中央に突部516aが形成される。更に、突部516aの略中央には、露光用照明光ELを通過させるために、X軸方向を長手方向とする矩形開口516bがZ方向に連通状態で形成される。
ステージ部(移動部材)520は、図3(A)に示すように、略矩形形状のステージ本体522、ステージ本体522からY方向に延設された4つの延設部524等から構成される。4つの延設部524の下面には、それぞれ気体静圧軸受が形成される。これにより、ステージ部520は、レチクル定盤510上に数ミクロン程度のクリアランスを介して、非接触に浮上支持される。
ステージ部520の−Y方向の端部には、コーナーキューブからなる一対のY移動鏡233a,233bが固定され、外部に設けた干渉計235a〜235c(図7参照)によって、Y移動鏡233a,233bのY方向の位置を測定することで、ステージ部520(レチクルR)のY方向の位置が高精度に計測される。
また、ステージ本体522の略中央には、露光用照明光ELの通路となる段付き開口523が形成され、この段付き開口523の段部(1段掘り下げられた部分)には、レチクル(載置物)Rを下側から吸着保持するレチクルホルダ(戴置面)525が設けられる。更に、段付き開口523のX方向の両辺に沿って、4つ(各辺にそれぞれ2つ)のレチクルクランプ(保持装置)600が配置される。なお、レチクルクランプ600の構成については、後述する。
図4に示すように、レチクルホルダ525は、段付き開口523のX方向の外側に、Y方向に沿って矩形状に形成された吸着面525a、525bを有し、レチクルRのX方向両端の領域をレチクル下面側から真空吸着により保持する。また、真空吸着の代わりに静電吸着を利用してもよいし、真空吸着と静電吸着とを併用してもよい。
レチクルクランプ600は、レチクルホルダ525よりも更にX方向の外側に4台が配置され、レチクルホルダ525によって吸着保持されたレチクルRのX方向両端の領域をレチクル上両側から複数点で押圧保持する。各レチクルクランプ600は、それぞれレチクルRを2点で押圧する(2つのクランピングエリア600pを有する)ので、全体としてレチクルRを8点で押圧保持している。
図4に示すように、各レチクルクランプ600がレチクルRを押圧する位置は、吸着面525a又は525bと重なる位置に設定されているが、これに限定されるものではない。例えば、吸着面525a,525bを複数の領域に分割し、吸着保持する領域と押圧保持する領域とが、Y方向に関して交互に配置されるようにしてもよい。また、レチクルRの内側(段付き開口523に近い側)を吸着保持し、その外側を押圧保持するように配置してもよいし、逆にレチクルRの内側を押圧保持し、その外側を吸着保持するように配置してもよい。クランピングエリア600pの大きさは特に限定されるものではないが、例えば、各レチクルクランプ600において、Y方向の幅を20〜60mm、X方向の幅を5〜20mmに設定することができる。
レチクルクランプ600によるレチクルRの押圧保持力は、例えば、1つのクランピングエリア600pにおいて、0.5〜2.0kgfとすることができる。また、レチクルクランプ600による押圧保持力と、レチクルホルダ525におけるレチクルRの吸着保持力とは、例えば、レチクルR全体でみて、2対3から2対5の比率となるように設定される。レチクルクランプ600による押圧保持力の割合を大きくすると、レチクルRに歪みが生じる可能性があるので、そのような歪みが生じないように、レチクルクランプ600の押圧力とレチクルホルダ525の吸着保持力を適宜設定することが好ましい。
ステージ部520において、段付き開口523のX方向の両側には、リニアモータ540の可動子ユニット544が配置される。可動子ユニット544は、図3(B)に示すように、ステージ本体522の上面及び下面に一対の磁極ユニット544a,544bが埋め込まれる。更に、X方向の端部には、ボイスコイルモータ550の可動子ユニット554が配置される。可動子ユニット554としては、板状の永久磁石554aが用いられる。
レチクルステージ駆動系は、ステージ部520をY方向に駆動するとともにθZ方向に微少駆動する一対のリニアモータ540と、ステージ部520をX方向に微少駆動するボイスコイルモータ550とからなる。一対のリニアモータ540は、枠状部材530の内部のX方向両側に、それぞれY方向に架設された固定子ユニット542及び上述した可動子ユニット544から構成される。また、ボイスコイルモータ550は、枠状部材530の内部の+X側に、Y軸方向に架設された固定子ユニット552及び上述した可動子ユニット554から構成される。
固定子ユニット552は、Y軸方向を長手方向とする一対の電機子ユニット552a,552bからなり、Z方向に所定間隔を空けて相互に対向して且つXY面にそれぞれ平行に保持されて、枠状部材530の内壁面に固定される。そして、電機子ユニット552a,552bの間には、所定のクリアランスを介して、ステージ部520の永久磁石554aが配置される。
このように、Y軸リニアガイド542a,542b及び磁極ユニット544a,544bによりステージ部520をY方向に移動可能なムービングマグネット型のリニアモータ540が構成される。また、電機子ユニット552a,552bと永久磁石554aとにより、ステージ部520をX方向に微少移動可能なムービングマグネット型のボイルコイルモータ550が構成される。
そして、Y軸リニアガイド542a,542b内の電機子コイルに電流が供給されると、ステージ部520をY方向に駆動する駆動力が発生する。また、電機子ユニット552a,552bを構成する電機子コイルにY軸方向の電流が流れると、ステージ部520をX方向に駆動する駆動力が発生する。
枠状部材530は、その下面に気体静圧軸受が形成される。これにより、枠状部材530は、レチクル定盤510上に数ミクロン程度のクリアランスを介して非接触に浮上支持される。また、枠状部材530の+X側面及び+Y側面には、磁気ユニットからなる可動子561,563,565,567が設けられる。これら可動子561,563,565,567に対応して、レチクル定盤510には、支持台512を介して、電機子ユニットからなる固定子562,564,566,568が設けられる。可動子561,563,565,567は、その内部に永久磁石を備えており、Z方向の磁界を形成する。固定子562,564は、その内部に電機子コイルを備えており、Y方向に電流が流れるように形成される。固定子566,568は、その内部に電機子コイルを備えており、X方向に電流が流れるように形成される。
したがって、可動子561,563と固定子562,564により、ムービングマグネット型ボイスコイルモータからなるX軸方向駆動用のトリムモータ560Xが構成される。同様に、可動子565,567と固定子566,568により、ムービングマグネット型ボイスコイルモータからなるY軸方向駆動用のトリムモータ560Yが構成される。このように、4つのトリムモータ560X,560Yにより、枠状部材530をX軸方向、Y軸方向、及びθZ方向の3自由度方向に駆動することが可能である。また、枠状部材530の−X方向及び−Y方向の側壁には、それぞれ窓ガラス532,534がはめ込まれており、ステージ部520の位置を計測するレーザ干渉計235a〜235cからの測長ビームが透過可能となっている。
ステージ部520のY方向の位置は、レーザ干渉計235a〜235cから発した測長ビームを、窓ガラス534を介してY移動鏡233a,233bに照射し、その反射光を検出することで行われる。ステージ部520のX方向、θZ方向の位置は、レチクル定盤510に固定されたX固定鏡(図示せず)に複数の測長ビームを照射し、その反射光を検出することで行われる。X移動鏡は、ステージ部520の移動範囲をカバーするようにY方向に沿って長尺に形成されており、枠状部材530の外部に設置される。窓ガラス534を通過した測長ビームは、ステージ部520に固定された光学素子によって光路を略90度曲げられ、その後、窓ガラス532を通過してX固定鏡に達するようになっている。なお、枠状部材530に窓ガラス532,534を設けず、枠状部材530の内側(枠内)に前記測長ビームの射出部とX固定鏡とを配置するようにしてもよい。
このように構成されたレチクルステージ装置500では、ステージ部520の移動に伴う反力が枠状部材530の移動によりキャンセルされる。例えば、ステージ部520がX軸方向に駆動されると、ボイスコイルモータ550の可動子がステージ部520と一体でX軸方向に駆動され、この駆動力の反力がボイスコイルモータ550の固定子(電機子ユニット552a,552b)及び固定子が固定された枠状部材530に作用する。枠状部材530は、レチクル定盤510に対して所定のクリアランスを介して非接触に支持されているので、上述した反力の作用により、枠状部材530は、運動量保存の法則に従った距離だけその反力に応じた方向に移動する。同様に、Y軸方向に駆動された場合にも、運動量保存の法則に従って、枠状部材530が移動する。特に、枠状部材530がステージ部520を取り囲むように形成されているので、必然的に大型化し、その重量がおおきくなる。したがって、ステージ部520との重量比を大きくすることができる。このため、枠状部材530の移動距離は、比較的短くて足りる。なお、本実施形態においては、レチクルクランプ600がステージ部520に搭載されているので、枠状部材(カウンタマス)530の重量は、レチクルクランプ600の重量を含むステージ部520の重量を考慮して、所定の重量比となるように設定されている。
次に、レチクルクランプ600の構成について詳述する。図5(A)は、レチクルクランプ600を示す斜視図であり、レチクルRを押圧保持している際の形態を示す。また、図5(B)は、レチクルクランプ600の分解斜視図である。
レチクルクランプ(保持装置)600は、図5(B)に示すように、ベース部610、パッド部620、スライドガイド部640、クランピングスプリング部650、フォロア部660から構成される。
ベース部610は、凹部611に設けられたピン612に、後述するパッド部620を回転可能に支持する。そして、両脇に設けられた2つのガイド挿入穴613に、ロッド部材641とストッパ部642とからなるスライドガイド部640が挿入、固定される。また、ベース部610の上面には、斜面614aと略垂直面614bとを有する2つの爪部614が設けられる。
パッド部620は、側面(Y方向)から見ると略三角形に形成された部材からなり、その一頂点部分には、ピン穴621が設けられる。そして、上述したように、このピン穴621には、ベース部610のピン612が嵌合する。これにより、この一頂点部分は、ベース部610の凹部611に収納されて、回転可能に支持される。なお、ピン穴621とピン612との嵌合部内には、バネ機構が内蔵され、パッド部620を上方に跳ね上げる方向に付勢される。また、パッド部620の下面には、レチクルホルダ525に戴置されたレチクルRと当接するクランプ部622が設けられる。クランプ部622は、Y方向に所定の間隔をあけて形成される。本実施形態において、図4に示すように、各クランプ部622は2つのクランピングエリア600pを有しており、この2点でレチクルRを均等な力で押圧するようになっている。
また、上方に配置される他の頂点部分には、後述するクランピングスプリング部650の連結部652と当接する円弧面623が形成される。円弧面623は、連結部652のローラ659とともにカム機構を形成する。具体的には、クランピングスプリング部360のローラ659で円弧面623を+X方向に押圧することにより、パッド部620をピン穴621回りに回転させるようになっている。また、クランプ点に弾性ピボットを設け、レチクルの厚さの誤差、バラツキ等に関わらず、常に同じ状態でレチクルを押圧できるようにしておいてもよい。
また、パッド部620は、回転先端側において平面視矩形枠状の枠部710と、この枠部710に装着される板バネ構造を有するパッド体720とを有している。
枠部710は、例えばチタン等の金属材料で形成されており、長手方向の両端部に切欠部711を有している。
パッド体720は、長手方向の略中央部に位置し、締結部材等によって枠部710の内部で固定される固定部722と、固定部722から長手方向の端部側へそれぞれ一定の間隔をあけて枠部710と略平行に延びる長尺の平行板バネ部(長尺部)723と、平行板バネ部723の先端に設けられた上述したクランプ部(当接部)622とを有している。
クランプ部622は、パッド体720が固定部722において枠部710に取り付けられたときに、クランプ面622aが枠部710の表面よりも突出し、且つ裏面622bが枠部710に設けられた押圧面712との間に所定の隙間が形成される大きさに設定されている。また、クランプ部622は、クランプ面622aにおいてレチクルRを保持する方向(クランプ面622aの法線方向、以下単に保持方向と称する)に負荷が加わった際に、平行板バネ部723が弾性変形により撓むことにより、裏面622bが押圧面712と当接するまで上記保持方向に移動可能となっている。
さらに、クランプ部622は、クランプ面622aにレチクルRに対する衝撃を緩和するための緩衝層625を有している。緩衝層625としては、例えば、固体被膜潤滑剤(いわゆるドライルーブ)が用いられている。
クランピングスプリング部650は、本体651と連結部652とバネ部653とからなり、本体651と連結部652とがバネ部653により連結された構造を備える。本体651は、スライドガイド部640と嵌合する2つの穴部655を備え、これによりX方向に沿って移動可能に支持される。また、本体651の上部の略中央部には、カムフォロア658が設けられる。更に、本体651の上部両端には、フォロア部660が嵌合する穴部657が設けられる。なお、カムフォロア658には、後述するカム部材700との接触の際の摩擦を緩和するためにベアリング(軸受)658aが設けられる。連結部652は、X方向に延びた部材からなり、その先端にはローラ659が設けられる。バネ部653は、弾性ヒンジ機構により構成され、連結部652を本体651に対してX方向に移動可能に連結する。そして、このバネ部653の弾性力によって、レチクルRを押圧保持する力が与えられる。
フォロア部660は、本体661、本体661の両端に設けられたピン部662、本体661の上部に設けられたカムフォロア663、本体661から+X方向に向けて延びる保持板665から構成される。フォロア部660は、ピン部662がクランピングスプリング部650の穴部657と嵌合することにより、クランピングスプリング部650に回転可能に支持される。なお、ピン部662と穴部657との嵌合部内には、バネ機構が内蔵され、保持板665を下方に向けて押し付ける方向に付勢され、保持板665が略水平となるように維持される。
保持板665の先端の両側には、ベース部610の爪部614と嵌合する矩形の穴部665aが設けられる。なお、カムフォロア663には、後述するカム部材700との接触の際の摩擦を緩和するためにベアリング(軸受)663aが設けられる。
次に、上述したレチクルステージ装置500を露光装置150に適用した実施形態について説明する。図6は、露光装置150を示す模式図である。
露光装置150は、露光用照明光(露光光)ELをレチクルRに照射しつつ、レチクルRとウエハ(板状体,基板)Wとを一次元方向に相対的に同期移動させて、レチクルRに形成されたパターン(回路パターン等)PAを投影光学系40を介してウエハW上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、いわゆるスキャニング・ステッパである。
この露光装置150は、露光用照明光ELによりレチクルRを照明する露光照明系10、レチクルRを保持するレチクルステージ装置500、レチクルRから射出される露光用照明光ELをウエハW上に照射する投影光学系40、ウエハWを保持するウエハステージ装置50、露光装置150の動作を統括的に制御する主制御系70から構成される。
露光照明系10は、光源12から照射された露光用照明光ELがレチクルR上の所定の照明領域内にほぼ均一な照度分布で照射するために、オプティカルインテグレータを備える。
露光用照明光ELには、例えば、KrFエキシマレーザ(248nm)、g線(436nm)及びi線(365nm)を用いることも可能である。また、波長約120nm〜約190nmの真空紫外線、例えば、発振波長193nmのArFエキシマレーザ(ArFレーザ)、発振波長157nmのフッ素レーザ(F2レーザ)、発振波長146nmのクリプトンダイマーレーザ(Kr2レーザ)、発振波長126nmのアルゴンダイマーレーザ(Ar2レーザ)等を用いてもよい。
レチクルステージ装置500は、露光照明系10の直下に設けられる。レチクルステージ装置500の具体的構成は、上述した通りである。
レチクルステージ装置500のステージ部520の移動経路中には、ロード・アンロード領域A0(ロード領域A2,アンロード領域A3)、クランプ駆動領域A1、露光領域A4が形成される。そして、ロード・アンロード領域A0内の上部には、上述したレチクルクランプ600のカムフォロア658,663と一体となってカム装置C2(図8(A)参照)として機能するカム部材700が配置される。なお、カム部材700は昇降装置750を介してレチクル定盤510等に固定される。
図7は、カム部材700を示す模式図である。カム部材700の各部材701a,701bの先端部下面には、それぞれ、上述したカムフォロア658,663が当接する突出部702a,702b,703a,703bが形成される。具体的には、カムフォロア658が突出部702a,702bの側壁に当接する。また、カムフォロア663が突出部703a,703bの側壁に当接する。なお、突出部702a,702b,703a,703bの側面には、カムフォロア658,663との接触による摩耗を軽減するために、焼入れ材料(例えばSUS420J2焼入れ焼き戻し材)が用いられると共に硬質クロムメッキが施される。また、カム部700以外にも、対摩耗対策が必要な箇所には、前述のような焼入れ材に硬質クロムメッキを施した部材を用いてもよい。
突出部702aと突出部703a、及び突出部703bと突出部703bのX方向の間隔は、それぞれ各部材701a,701bの先端部分においては大きく形成され、+Y方向に向かうに従って徐々に細くなり、再度、大きくなるように形成される。特に、突出部702a,702bは、+Y方向に向かうに従って、一旦、内側(レチクルR側)に寄り、その後は、徐々に外側に寄るように形成される。(以下、突出部702a,702b,703a,703bが形成された領域をクランプ駆動領域A1と呼ぶ。)
これにより、カムフォロア658,663が図7(A)の紙面左側から+Y方向に移動してくると、カムフォロア658,663は、突出部702a,703aの間、及び突出部702b,703bの間に入り込む。そして、クランプ駆動領域A1を通過する際に、まず、各カムフォロア658がそれぞれ突出部702a,702bに当接し、一旦、外側から内側に移動するように案内された後に、再び外側から内側に移動するように案内される。一方、カムフォロア663は、カムフォロア658に追従して移動するが、突出部703a,703bに当接すると、カムフォロア663とは逆方向、すなわちカムフォロア663がレチクルRから遠ざかって、カムフォロア658に近づくように案内される。
なお、カム部材700の先端にはバネ(暖衝装置)704が設けられるとともに、カム部材700を上方に移動させる昇降装置(退避装置)750が設けられる。
また、カム部材700とカムフォロア663との接点は、レチクルクランプ600が閉じる側(開→閉)で低く、開く側(閉→開)で高くなるように設定してもよい。これにより、クランプ600が閉じるときに生じるモーメント荷重を小さく抑え、開く際には保持板665が容易に爪部614から外れるようにすることが可能となる。
図6に戻り、投影光学系40は、蛍石、フッ化リチウム等のフッ化物結晶からなるレンズや反射鏡などの複数の投影レンズ系を投影系ハウジング(鏡筒)で密閉したものである。投影レンズ系は、レチクルRを介して射出される照明光を所定の投影倍率β(βは、例えば1/4)で縮小して、レチクルRのパターンPAの像をウエハW上の特定領域(ショット領域)に結像させる。なお、投影光学系40の投影レンズ系の各要素は、それぞれ保持部材を介して投影系ハウジングに支持され、該各保持部材は各要素の周縁部を保持するように例えば円環状に形成されている(いずれも不図示)。
ウエハステージ装置50は、ウエハWを保持するウエハホルダ52とXY平面内で移動可能なウエハステージ53等から構成される。ウエハホルダ52は、ウエハステージ53に支持されるとともに、ウエハWを真空吸着によって保持する。ウエハステージ53は、互いに直交する方向へ移動可能な一対のブロックをベース54上に重ね合わせたものであって、不図示の駆動部によりXY平面内で移動可能となっている。
そして、外部に設けたレーザ干渉式測長器によってウエハステージ53のX方向およびY方向の位置が逐次検出されて、主制御系70に出力される。
ウエハホルダ52の−X側の端部には、平面鏡からなるX移動鏡56XがY方向に延設されている。このX移動鏡56Xにほぼ垂直に外部に配置されたX軸レーザ干渉計57Xからの測長ビームが投射され、その反射光がX軸レーザ干渉計57Xに受光されることによりウエハWのX位置が検出される。また、略同様の構成により不図示のY軸レーザ干渉計57YによってウエハWのY位置が検出される。
そして、ウエハステージ53のXY面内の移動により、ウエハW上の任意のショット領域をレチクルRのパターンPAの投影位置(露光位置)に位置決めして、レチクルRのパターンPAの像をウエハWに投影転写する。
主制御系70は、露光装置150を統括的に制御するものである。例えば、露光量(露光光の照射量)や後述するレチクルステージ装置500及びウエハステージ53の位置等を制御して、レチクルRに形成されたパターンPAの像をウエハW上のショット領域に転写する露光動作を繰り返し行う。また、主制御系70には、各種演算を行う演算部71の他、各種情報を記録する記憶部72が設けられる。
続いて、以上のような構成を備えた露光装置150を用いて、レチクルRに露光用照明光ELを照射して、レチクルRに形成されたパターンPAをウエハW上に転写する露光処理を行う方法について説明する。
本実施形態の露光処理方法は、レチクルRをレチクルステージ装置500上にロードする工程、レチクルクランプ600によりレチクルRを押圧保持する工程、露光処理を行う工程、レチクルクランプ600によるレチクルRの保持を解除する工程、レチクルRをレチクルステージ装置500からアンロードする工程、とからなる。
レチクルRをレチクルステージ装置500上にロードする工程について説明する。
主制御系70からの指令により、ステージ部520が+Y方向に移動して、露光領域A4からロード・アンロード領域A0まで移動し、停止する。
そして、不図示のレチクル搬送装置により、外部からレチクルRが搬送されて、ステージ部520上のレチクルホルダ525上に戴置され、更に、レチクルRは、レチクルホルダ525により吸着保持される。
次に、レチクルクランプ600によりレチクルRを押圧保持する工程について説明する。図8は、レチクルRを押圧保持する際のレチクルクランプ600の動作を示す図である。
まず、図8(A)に示すように、レチクルクランプ600は、初期状態では、パッド部620が跳ね上がった状態で維持されている。ピン穴621とピン612との嵌合部内に内蔵されたバネ機構により付勢されているからである。
そして、ステージ部520上のレチクルホルダ525にレチクルRが戴置されて、吸着保持されると、カムフォロア658にレチクルR側に向けた力を作用させる。すなわち、カムフォロア658がクランプ駆動領域A1に侵入し、カム部材700の突出部702a,702bに沿って、内側(レチクルRに近づく方向)に移動し始めた場合である。
カムフォロア658にレチクルR側(紙面左方向)に向けた力を作用させると、図8(B)に示すように、フォロア部660とクランピングスプリング部650とが一体となって、スライドガイド部640に沿って、ベース部610に向けて移動し始める。上述したように、カムフォロア663がカムフォロア658に追従して移動するのはこのためである。
また、クランピングスプリング部650の移動に伴って、カムフォロア658に作用させた力は、連結部652の先端に設けられたローラ659からパッド部620の円弧面623を介してパッド部620に伝達されて、パッド部620をピン穴621周りに回転させる。
このとき、パッド体720のクランプ部622がレチクルRに当接するが、図9(A)に示すように、クランプ部622と枠部710との間に隙間が形成されているため、当接時の衝撃は平行板バネ部723が弾性変形して、レチクルRの保持方向(クランプ面622aの法線方向)に撓むことにより吸収されるため、レチクルRに強い衝撃が加わることを抑制できる。
次いで、図8(C)に示すように、保持板665がベース部610の爪部614に当接する直前に、カムフォロア663にレチクルRから遠のく方向(紙面右方向)の力を作用させる。すなわち、カムフォロア663が、クランプ駆動領域A1内で、カム部材700の突出部703a,703bに沿って、外側(レチクルRから遠のく方向)に移動し始めた場合である。これにより、フォロア部660は、ピン部662周りに回転し、保持板665が上方に跳ね上げられる。
一方、パッド部620は、ピン穴621周りに更に回転し、クランプ部622がレチクルRに当接する。クランプ部622がレチクルRに当接することにより、パッド部620は、ピン穴621周りに更に回転することができなくなるので、クランピングスプリング部650のバネ部653が変形し始める。
そして、カムフォロア658,663がクランプ駆動領域A1を通り過ぎる際に、まず、カムフォロア663に作用させていた力が解除されて、図8(D)に示すように、保持板665が水平状態に戻り、これにより穴部665aがベース部610の上面に設けた爪部614と嵌合する。続いて、カムフォロア658に作用させていた力も解除され、クランピングスプリング部650のバネ部653の弾性力によって、クランピングスプリング部650をレチクルRから遠ざける方向に移動させる力が作用する。しかしながら、クランピングスプリング部650と連結するフォロア部660の保持板665がベース部610の爪部614と嵌合しているので、クランピングスプリング部650の移動が規制される。したがって、クランピングスプリング部650のバネ部653の弾性力は、パッド部620を保持方向に強固に押圧し、レチクルRが強固に押圧保持され続ける。
パッド部620が押圧された際には、パッド体720においては、枠部710を介して固定部722が押圧され、またクランプ部622がレチクルRに当接していることから、図9(B)に示すように、平行板バネ部723が弾性変形することにより、クランプ部622の裏面622bが枠部710の押圧面712と当接する。
これにより、クランピングスプリング部650のバネ部653の弾性力は、パッド部620において枠部710を介してクランプ部622に伝わり、所定の保持力でレチクルRを保持することが可能になる。
次いで、露光処理を行う工程では、露光処理を開始するに先立って、カム部材700をロード・アンロード領域A0から退避させる。すなわち、昇降装置750を駆動して、カム部材700を上昇させて、ロード・アンロード領域A0外に移動させる。
そして、カム部材700を退避させた後に、従来通りに、露光用照明光(露光光)ELをレチクルRに照射しつつ、レチクルRとウエハWとを一次元方向に相対的に同期移動させることにより、レチクルRに形成されたパターンPAを投影光学系40を介してウエハW上に転写する。
このように、カム部材700を退避させた後に露光処理を行うのは、露光処理中に、レチクルクランプ600によるレチクルRの押圧が解除されてしまわないようにするためである。すなわち、露光処理中には、ステージ部520は、Y方向に高速に往復移動する。そして、上述したように、露光領域A4とロード・アンロード領域A0とは一部重複している。このため、カム部材700がロード・アンロード領域A0内に存在したままであると、露光処理中に、複数のレチクルクランプ600のうちの一部が、カム部材700に入り込み、クランプ駆動領域A1を通過して、レチクルRを押圧保持した状態が解除されてしまう可能性があるためである。
このように、露光処理を開始するに先立って、カム部材700をロード・アンロード領域A0から退避させることにより、露光処理中にレチクルクランプ600が開放されるおそれを事前に解消することができる。
次に、レチクルクランプ600によるレチクルRの押圧保持を開放する際の動作について説明する。開放動作は、押圧保持動作を逆転させたものであるため、図8を用いて説明する。
まず、レチクルRを強固に押圧保持しているレチクルクランプ600(図8(D)参照)に対して、図8(C)に示すように、カムフォロア658,663にそれぞれ力を作用させる。すなわち、カムフォロア658,663がクランプ駆動領域A1に侵入し、カム部材700の突出部702a,702b,703a,703bに当接した場合である。これにより、フォロア部660は、ピン部662周りに回転し、保持板665が上方に跳ね上げられ、ベース部610との嵌合が外れる。したがって、バネ部653の変形が開放可能となり、フォロア部660とクランピングスプリング部650とが一体となって、レチクルRから遠ざかる方向に移動可能となる。
そして、図8(B)に示すように、保持板665が水平状態に戻ると共に、カムフォロア658への力の作用点がレチクルRから遠ざかるように移動する。すなわち、カムフォロア658のみがカム部材700の突出部702a,702bに当接している場合である。これにより、フォロア部660とクランピングスプリング部650とが一体となって、スライドガイド部640に沿って、紙面右側に向けて移動する。
また、クランピングスプリング部650の移動に伴って、ピン穴621とピン612との嵌合部内に内蔵されたバネ機構の変形も開放され、パッド部620が徐々に跳ね上げられる。
そして、図8(A)に示すように、レチクルクランプ600が初期状態に戻され、レチクルRの押圧保持が開放される。続いて、レチクルホルダ525によるレチクルRの吸着保持を開放することにより、ステージ部520上からレチクルRを取り外すことが可能となる。
以上説明したように、本実施形態では、平行板バネ部723が弾性変形により保持方向に撓むため、クランプ部622の当接時にレチクルRに加わる衝撃を吸収することが可能となり、レチクルRにキズ等が付くことを抑制することができる。
また、本実施形態では、一対の薄板が保持方向に互いに間隔をあけて配置された平行板バネ部723を用いているため、パッド体720の重量を小さくして慣性モーメントを低く抑えることができる。そのため、本実施形態では、レチクルRに対する衝撃を緩和することができるとともに、キズの発生も一層生じづらくすることができる。
加えて、本実施形態では、クランプ部622のクランプ面622aに固体被膜潤滑剤からなる緩衝層625を設けているため、例えば摺動によるレチクルRのキズの発生をより効果的に抑えることができる。
このように、本実施形態では、キズの発生を抑えつつレチクルRをレチクルステージ装置500上に強固に保持するとともに、露光処理中には、その保持を維持することができるため、レチクルステージ装置500を高加速に移動させても、レチクルRがずれることなく、ウエハW上に高精度なパターンPAを形成することができる。
なお、露光処理中にレチクルクランプ600によるレチクルRの押圧保持が解除されていないことを確認するために、検出装置を設けることが好ましい。例えば、連結部652の上面に反射鏡を設けるとともに、露光領域Aの上方に、露光動作に妨げにならないようにレーザ測長器を設置する。そして、レーザ測長器で下方を通過する連結部652のX方向に関する位置又はZ方向に関する位置を計測することで、レチクルクランプ600の動作状況を検出することが可能となる。これにより、確実にレチクルRがレチクルステージ装置500上に保持されるので、露光処理中にレチクルクランプ600が解除されてしまうことに起因する不具合を回避することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、クランプ部622に緩衝層625を設ける構成としているが、これは必須の構成ではなく、クランプ面622aのみでレチクルRを保持しても、平行板バネ部723の撓みでクランプ部622が移動することにより、レチクルRへの衝撃を緩和できるという効果を奏するものである。
また、上記実施形態では、緩衝層625として固体被膜潤滑剤を用いる構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、クランプ部622に樹脂製のパッド材を用いる構成としてもよい。この場合、パッド材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や各種ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を用いることができるが、低摩擦性、低発塵性、高耐久性、耐露光光性(耐UV性)等からポリエーテルエーテルケトンが最適である。また、平行板バネ部723をこれらの樹脂によって形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、レチクルホルダ525にレチクルRを搭載させるロード領域A2と、レチクルRを取り出すアンロード領域A3とが一致する場合について説明したが、これに限らない。例えば、レチクルステージ装置500のストロークの両端にロード領域A2とアンロード領域A3を配置し、それぞれの領域にカム部材700を配置してもよい。
また、カム部材700をロード領域A2或いはアンロード領域A3から退避させる昇降装置750は、カム部材700を上下させる場合に限らない。例えば、カム部材700を回転させて退避させてもよい。
また、ステージ部520がカム部材700を通過してレチクルクランプ600を開閉する際は、耐久性やレチクルRの保護を考慮して、ステージ部520の速度に制限を加えるようにしてもよい。
また、レチクルステージ装置500では、ステージ部520の+Y方向の移動に応じて、リニアモータ540の固定子542が−Y方向に移動することにより、ステージ部520の移動に伴う反力を相殺して、重心位置の変化を防ぐようにしていが、このような形態に限らない。エアパッドをレチクル装置500とコラム201の間に設けて、レチクル装置500を浮上支持することにより、ステージ部520の+Y方向の移動に応じて、レチクル定盤510が−Y方向に移動するように構成してもよい。
上記実施形態では、レチクルRをレチクルクランプ600により、押圧保持する場合について説明したが、これに限らず、ウエハWをクランプ装置(保持装置)により押圧保持する場合であってもよい。また、レチクルRとウエハWとがそれぞれ押圧保持される場合であってもよい。
また、レチクルクランプ600がレチクルRの上面を押圧する場合に限らず、レチクルRの端面を押圧してもよい。
なお、上記各実施形態のウエハWとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置150としては、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、レチクルRとウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを一括露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明はウエハW上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
露光装置150の種類としては、ウエハWに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでもよい。また、上記実施形態では、反射屈折型の投影光学系を例示したが、これに限定されるものではなく、投影光学系の光軸(レチクル中心)と投影領域の中心とが異なる位置に設定される屈折型の投影光学系にも適用可能である。
また、本発明は、投影光学系と基板との間に局所的に液体を満たし、該液体を介して基板を露光する、所謂液浸露光装置に適用したが、液浸露光装置については、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されている。さらに、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。また、液浸タイプではない露光装置にも適用可能である。
また、本発明は、基板ステージ(ウエハステージ)が複数設けられるツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平10−163099号公報及び特開平10−214783号公報(対応米国特許6,341,007号、6,400,441号、6,549,269号及び6,590,634号)、特表2000−505958号(対応米国特許5,969,441号)或いは米国特許6,208,407号に開示されている。更に、本発明を本願出願人が先に出願した特願2004−168481号のウエハステージに適用してもよい。
また、本発明が適用される露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に、本発明の実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図10は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。
まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップS13(ウエハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
図11は、半導体デバイスの場合におけるステップS13の詳細工程の一例を示す図である。
ステップS21(酸化ステップ)おいては、ウエハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においては、ウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においては、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においては、ウエハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップS27(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハ等ヘ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
150…露光装置、 500…レチクルステージ装置(ステージ装置)、 525…レチクルホルダ(戴置面)、 600…レチクルクランプ(保持装置)、 622…クランプ部(当接部)、 625…緩衝層、 723…平行板バネ部(長尺部)、 R…レチクル(載置物)