JP2010087038A - 発光素子および照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 キャリアオーバーフロー抑制と、キャリアの発光層への注入効率低下防止とを両立することができ、発光効率を向上させることができる発光素子を提供する。
【解決手段】 発光素子10は、n型半導体層である第1導電型半導体層2aと、発光層2bと、p型半導体層である第2導電型半導体層2cとを備え、第1導電型半導体層2aと発光層2bとの間および発光層2bと第2導電型半導体層2cとの間に、第1、第2および第3障壁層7a,7c,7eを介して連結する第1量子井戸層7bと第2量子井戸層7dとを具備している。そして、第1量子井戸層7bの量子化レベルnの量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層7dの量子化レベルmの量子準位のエネルギーEmとが、n≠mにおいて、En=Emとなる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、窒化物ガリウム系化合物半導体を利用した発光ダイオード(Light Emitting
Diode、略称LED)などの発光素子および該発光素子を備える照明装置に関する。
近年、AlGaIn(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を用いて、紫外光、青色光、緑色光などを発光する発光素子である発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)などの開発が盛んに行われている。窒化ガリウム系化合物半導体は、AlN、InN、GaNなどの組み合わせにより、AlGaN、InGaN、InGaAlNなどの混晶を形成できる。このような混晶は、その構成元素や組成を選択することによりバンドギャップを変化させることができるため、可視光領域から紫外光領域までの発光が可能となる。さらには、上記の発光ダイオードと蛍光体とを組み合わせることにより、白色光を発光する装置への応用が期待される。現在では、発光ダイオードの省エネルギー性や長寿命などの利点から、白熱電球、蛍光ランプなどの代替品として有望視され、実用化が始まっている。しかしながら、この発光素子の発光効率は、蛍光灯に比較すると低いため、更なる高輝度、高効率化が求められている。
一般に、LED素子の駆動電流を増加させると、発光層からの注入されたキャリアのオーバーフローにより発光効率が低下する現象が生じる。そこで、p型もしくはn型導電層と発光層との間に、発光層よりも禁制帯幅の広い半導体層をブロック層として挟む構造をとることで、高電流注入時のキャリアオーバーフローを抑制することが提案されている。
特開2002−223042号公報
しかしながら、p型もしくはn型導電層と発光層との間に、発光層よりも禁制帯幅の広い半導体層をブロック層として挟む構造においては、キャリアオーバーフロー抑制とキャリア注入との両立をなすことは難しい。つまり、たとえば、p型導電層と発光層との間に、発光層よりも禁制帯幅の広い半導体層をブロック層として挟む構造においては、電子がトンネリングを起こさない厚みを有するブロック層を用いると、電子の発光層からのオーバーフローの抑制に関しては効果があるが、正孔の発光層への注入に対してはブロック層が障壁となるという問題がある。一方、正孔の発光層への注入を効率的にするために、ブロック層の厚みを正孔がトンネリングできる程度に薄くすると、電子もまたトンネリングを起こすのでキャリアオーバーフロー抑制が効果的ではなくなるという問題がある。
また、ブロック層において、各井戸層の膜厚と組成を同一とし、また各障壁層の膜厚と組成を同一として障壁層と井戸層が各々繰り返し規則的に積層された超格子構造で構成した場合においても、キャリアオーバーフロー抑制とキャリア注入の両立をなすことは難しい。たとえば、p型導電層から発光層へ正孔を注入するとき、超格子構造が形成するミニバンドを通して注入される。しかしながら、電子準位に対してもミニバンドが形成されるため、電子がミニバンドに相当するエネルギーを有すると、容易にミニバンドを通してp層側へ電子オーバーフローが生じるという問題がある。
したがって本発明の目的は、キャリアオーバーフロー抑制と、キャリアの発光層への注入効率低下防止とを両立することができ、発光効率を向上させることができる発光素子を提供することであり、該発光素子を備える照明装置を提供することである。
本発明は、n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを具備する発光素子であって、
n型半導体層と発光層との間と、発光層とp型半導体層との間との少なくともいずれか一方の間に、障壁層を介して連結する第1量子井戸層と第2量子井戸層とを具備し、
前記第1量子井戸層の量子化レベルn(nは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEnと、前記第2量子井戸層の量子化レベルm(mは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEmとが、n≠mにおいて、En=Emとなる発光素子である。
また本発明は、前記第1量子井戸層の厚みと、前記第2量子井戸層の厚みとが異なる。
また本発明は、前記第2量子井戸層の量子化レベルmが1である。
また本発明は、前記第2量子井戸層の量子化レベルmが1であり、前記第1量子井戸層の量子化レベルnが2である。
また本発明は、前記の発光素子と、前記発光素子からの発光を受けて光を発する蛍光体と燐光体との少なくともいずれか一方とを具備している照明装置である。
本発明によれば、発光素子は、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを具備し、n型半導体層と発光層との間と、発光層とp型半導体層との間との少なくともいずれか一方の間に、障壁層を介して連結する第1量子井戸層と第2量子井戸層とを具備している。そして、第1量子井戸層の量子化レベルnの量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層の量子化レベルmの量子準位のエネルギーEmとが、n≠mにおいて、En=Emとなる。
たとえば、p型半導体層と発光層との間において、第1量子井戸層の正孔に対する量子化レベルnの量子準位のエネルギーEnと、第1量子井戸層よりもp型半導体層側に位置する第2量子井戸層の正孔に対する量子化レベルmの量子準位のエネルギーEmとが、n≠m(m<n)においてEn=Emとなる場合、第1量子井戸層と第2量子井戸層との正孔のエネルギー準位が共鳴しているので、正孔は共鳴トンネリングにより第1および第2量子井戸層間をトンネルでき、正孔が効率的にp型半導体層から発光層に注入される。また、電子に対しては、発光層よりも禁制帯幅の広い第1量子井戸層を形成することで、トンネリングによるキャリアオーバーフローが抑制できる。さらに、電子が第1量子井戸層の電子の最低エネルギーに相当するエネルギーを有していたとしても、第1量子井戸層の電子の最低エネルギー準位よりも第2量子井戸層の電子の最低エネルギー準位が高くなり、かつ、準位がエネルギー共鳴しないため、トンネリングによる電子のp型半導体層側へのキャリアオーバーフローが抑制できる。したがって、電子のオーバーフロー抑制と、正孔の発光層への注入効率低下防止とを両立することができ、発光効率を向上させることができる。
一方、n型半導体層と発光層との間において、第1量子井戸層の電子に対する量子化レベルnの量子準位のエネルギーEnと、第1量子井戸層よりもn型半導体層側に位置する第2量子井戸層の電子に対する量子化レベルmの量子準位のエネルギーEmとが、n≠m(m<n)においてEn=Emとなる場合、第1量子井戸層と第2量子井戸層との電子のエネルギー準位が共鳴しているので、電子は共鳴トンネリングにより第1および第2量子井戸層間をトンネルでき、電子が効率的にn型半導体層から発光層に注入される。また、正孔に対しては、発光層よりも禁制帯幅の広い第1量子井戸層を形成することで、トンネリングによるキャリアオーバーフローが抑制できる。さらに、正孔が第1量子井戸層の正孔の最低エネルギーに相当するエネルギーを有していたとしても、第1量子井戸層の正孔の最低エネルギー準位よりも第2量子井戸層の正孔の最低エネルギー準位が高くなり、かつ、準位がエネルギー共鳴しないため、トンネリングによる正孔のn型半導体層側へのキャリアオーバーフローが抑制できる。したがって、正孔のオーバーフロー抑制と、電子の発光層への注入効率低下防止とを両立することができ、発光効率を向上させることができる。
また本発明によれば、発光素子は、第1量子井戸層の厚みと、第2量子井戸層の厚みとが異なる。これによって、第1量子井戸層の量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層の量子準位のエネルギーEmとを、異なる量子化レベルで一致させることができる。
また本発明によれば、第2量子井戸層の量子化レベルmが1である。つまり、第1量子井戸層の量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層の量子準位のエネルギーEmとが、m=1で一致している。p型半導体層、もしくはn型半導体層から注入されるキャリアが第2量子井戸層に到達したとき、キャリアは最低エネルギー状態であるm=1の量子化レベルに緩和し、m≧2の状態に存在するキャリア数はm=1の状態に存在するキャリア数に比べて圧倒的に少なくなりうる。そのため、第2量子井戸層の量子化レベルm=1における量子準位のエネルギーEmと、第1量子井戸層の量子化レベルnのいずれかの量子準位のエネルギーEnとを一致させることで、キャリアの発光層への注入が高くなる。
また本発明によれば、第2量子井戸層の量子化レベルmが1であり、第1量子井戸層の量子化レベルnが2である。つまり、第1量子井戸層の量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層の量子準位のエネルギーEmとが、m=1かつn=2で一致している。第1量子井戸層の量子化レベルnが大きい値において、第1量子井戸層の量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層の量子準位のエネルギーEmとを一致することでキャリアをトンネリングさせようとすると、もう片方のキャリアに対しての障壁が低くなる。したがって、第1量子井戸層の量子化レベルn=2における量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層の量子化レベルm=1における量子準位のエネルギーEmとを一致させることで、キャリアオーバーフローの抑制効果が高まり、発光効率を高めることができる。
また本発明によれば、照明装置は、前記発光素子と、発光素子からの発光を受けて光を発する蛍光体と燐光体との少なくともいずれか一方とを具備している。照明装置は、発光効率の高い前記発光素子を具備しているので、高輝度の照明装置となる。
以下、本発明の発光素子および該発光素子を備えた照明装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で変更、改良等を施すことは何ら差し支えない。
図1は、本発明の実施の一形態である発光素子10の構成を示す断面図である。発光素子10は、半導体を利用した発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)などの発光素子である。発光素子10は、基板1と、半導体層2と、電極3,4と、パッド電極5,6とを含んで構成される。
基板1は、半導体層2を成長させることが可能な基材であればよい。具体的に、基板1としては、サファイア(Al)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO),シリコンカーバイド(SiC)、シリコン(Si)などが挙げられる。基板1の厚みとしては、100〜1000μm程度である。基板1上における半導体層2の成長方法としては、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy、略称MBE)法、有機金属エピタキシー(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy、略称MOVPE)法、ハイドライド気相成長(Hydride Vapor Phase Epitaxy、略称HVPE)法、パルスレーザデポジション(Pulse Laser Deposition、略称PLD)法などが用いられる。
半導体層2は、基板1上に形成される、IIIB族窒化物半導体からなる層である。ここで、IIIB族窒化物半導体とは、元素周期律表におけるIIIB族(13族)元素の窒化物から構成される半導体を意味する。半導体層2を構成するIIIB族窒化物半導体は、化学式AlGaIn(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)で表すことができる。IIIB族窒化物半導体としては、たとえば、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)などが挙げられる。
半導体層2は、n型半導体層である第1導電型半導体層2aと、発光層2bと、p型半導体層である第2導電型半導体層2cとが、この順で基板上に形成された積層構造を有しており、第1導電型半導体層2aと発光層2bとの間と、第2導電型半導体層2cと発光層2bとの間との少なくともいずれか一方の間には、キャリアオーバーフローを抑制するブロック層が配置される。本実施の形態では、第1導電型半導体層2aと発光層2bとの間にブロック層2eが配置され、第2導電型半導体層2cと発光層2bとの間にはブロック層2dが配置されている。また、基板1と半導体層2との間には、バッファ層が配置されるようにしてもよい。
IIIB族窒化物半導体からなる第1導電型半導体層2aをn型とするには、元素周期律表においてIVB族の元素であるSi(シリコン)などをドーパントとして層中に混入させればよい。第1導電型半導体層2aの厚みは2〜3μm程度である。また、IIIB族窒化物半導体からなる第2導電型半導体層2cをp型とするには、元素周期律表においてIIA族の元素であるMg(マグネシウム)などをドーパントとして層中に混入させればよい。第2導電型半導体層2cの厚みは200〜500nm程度である。
発光層2bは、第1導電型半導体層2aと第2導電型半導体層2cとの間に設けられる。発光層2bは、禁制帯幅の広い発光層側障壁層と禁制帯幅の狭い発光層側井戸層とからなる量子井戸構造が複数回(たとえば約3回)繰り返し規則的に積層された多層量子井戸構造(MQW)としてもよい。なお、前記発光層側障壁層としては、In0.01Ga0.99N層などが挙げられる。また、前記発光層側井戸層としては、In0.11Ga0.89N層などが挙げられる。発光層側障壁層の厚みは5〜15nm程度、発光層側井戸層の厚みは2〜10nm程度である。発光層2cの厚みは25〜150nm程度である。
電極3は第1導電型半導体層2aに接続され、電極4は第2導電型半導体層2cに接続されている。また、パッド電極5は電極3に接続される電極端子で、パッド電極6は電極4に接続される電極端子である。電極3,4としては、たとえば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、錫(Sn)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、白金(Pt)、鉛(Pb)、ベリリウム(Be)、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化インジウム錫(ITO)、金−シリコン(Au−Si)合金、金−ゲルマニウム(Au−Ge)合金、金−亜鉛(Au−Zn)合金、金−ベリリウム(Au−Be)合金などの薄膜を好適に用いることができる。また、電極3,4は、上記材質の中から選択した層を複数層積層したものとしても構わない。また、電極3は、基板1が導電性の場合には基板1の裏面側に設けてもよい。
ブロック層2dおよび2eは、キャリアオーバーフローを抑制するための層である。図2は、発光素子10におけるバンドダイアグラムを模式的に示す図である。ブロック層2dとブロック層2eとは同様に構成されており、禁制帯幅の広いブロック層側障壁層と禁制帯幅の狭いブロック層側井戸層とから成る量子井戸構造が複数回繰り返し積層された多層量子井戸構造である。本実施の形態では、ブロック層2dおよび2eは、量子井戸構造が2回繰り返された多層量子井戸構造であり、たとえば、発光層2bと第2導電型半導体層2cとの間に配置されるブロック層2dでは、発光層2bから第2導電型半導体層2cに向かって、第1障壁層7a、第1量子井戸層7b、第2障壁層7c、第2量子井戸層7d、第3障壁層7eが、この順で積層されている。
本発明の発光素子10においては、第1量子井戸層7bの量子化レベルn(nは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層7dの量子化レベルm(mは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEmとが、n≠mにおいて、En=Emとなるように構成されている。
たとえば、p型半導体層である第2導電型半導体層2cと発光層2bとの間において、第1量子井戸層7bの正孔に対する量子化レベルnの量子準位のエネルギーEnと、第1量子井戸層7bよりも第2導電型半導体層2c側に位置する第2量子井戸層7dの正孔に対する量子化レベルmの量子準位のエネルギーEmとが、n≠m(m<n)においてEn=Emとなる場合、第1量子井戸層7bと第2量子井戸層7dとの正孔のエネルギー準位が共鳴しているので、正孔は共鳴トンネリングにより第1および第2量子井戸層7b,7d間をトンネルでき、正孔が効率的に第2導電型半導体層2cから発光層2bに注入される。また、電子に対しては、発光層2bよりも禁制帯幅の広い第1量子井戸層7bを形成することで、トンネリングによるキャリアオーバーフローが抑制できる。さらに、電子が第1量子井戸層7bの電子の最低エネルギーに相当するエネルギーを有していたとしても、第1量子井戸層7bの電子の最低エネルギー準位よりも第2量子井戸層7dの電子の最低エネルギー準位が高くなり、かつ、準位がエネルギー共鳴しないため、トンネリングによる電子の第2導電型半導体層2c側へのキャリアオーバーフローが抑制できる。したがって、電子のオーバーフロー抑制と、正孔の発光層2bへの注入効率低下防止とを両立することができ、発光効率を向上させることができる。
一方、n型半導体層である第1導電型半導体層2aと発光層2bとの間に配置されるブロック層2eでは、前述したブロック層2dと同様に、発光層2bから第1導電型半導体層2aに向かって、第1障壁層7a、第1量子井戸層7b、第2障壁層7c、第2量子井戸層7d、第3障壁層7eが、この順で積層されている。そして、第1量子井戸層7bの量子化レベルn(nは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層7dの量子化レベルm(mは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEmとが、n≠mにおいて、En=Emとなるように構成されている。
ブロック層2eにおいて、第1量子井戸層7bの電子に対する量子化レベルnの量子準位のエネルギーEnと、第1量子井戸層7bよりも第1導電型半導体層2a側に位置する第2量子井戸層7dの電子に対する量子化レベルmの量子準位のエネルギーEmとが、n≠m(m<n)においてEn=Emとなる場合、第1量子井戸層7bと第2量子井戸層7dとの電子のエネルギー準位が共鳴しているので、電子は共鳴トンネリングにより第1および第2量子井戸層7b,7d間をトンネルでき、電子が効率的に第1導電型半導体層2aから発光層2bに注入される。また、正孔に対しては、発光層2bよりも禁制帯幅の広い第1量子井戸層7bを形成することで、トンネリングによるキャリアオーバーフローが抑制できる。さらに、正孔が第1量子井戸層7bの正孔の最低エネルギーに相当するエネルギーを有していたとしても、第1量子井戸層7bの正孔の最低エネルギー準位よりも第2量子井戸層7dの正孔の最低エネルギー準位が高くなり、かつ、準位がエネルギー共鳴しないため、トンネリングによる正孔の第1導電型半導体層2a側へのキャリアオーバーフローが抑制できる。したがって、正孔のオーバーフロー抑制と、電子の発光層2bへの注入効率低下防止とを両立することができ、発光効率を向上させることができる。
また、IIIB族窒化物半導体において、正孔バンドは3つ存在する。第1量子井戸層7bの量子化レベルn(nは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEnと第2量子井戸層7dの量子化レベルm(mは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEmとが、n≠mにおいて、En=Em(m<n)とする際、異なる正孔バンドでエネルギー共鳴する構成を採ってもよい。
また、本実施の形態では、第1量子井戸層7bの正孔に対する量子化レベルn=2における量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層7dの正孔に対する量子化レベルm=1における量子準位のエネルギーEmとが一致するように、第1量子井戸層7b、第2量子井戸層7d、第1障壁層7a、第2障壁層7cおよび第3障壁層7eの組成や膜厚がそれぞれ独立して選択される。このとき、第1量子井戸層7bの電子に対する量子化レベルn=2における量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層7dの電子に対する量子化レベルm=1における量子準位のエネルギーEmとは、電子と正孔の有効質量の違いにより共鳴させないように設計できる。
ブロック層2dおよび2eを上記のように構成することで、第1量子井戸層7bと第2量子井戸層7dとの正孔のエネルギー準位が共鳴しているので、正孔は、共鳴トンネリングにより第1量子井戸層7bと第2量子井戸層7dとの間をトンネルでき、効率的に第1および第2導電型半導体層2a,2cから発光層2bに注入される。また、電子に対しては、発光層2bよりも禁制帯幅の広い第1量子井戸層7bを形成することで、トンネリングによるキャリアオーバーフローが抑制できる。さらに、たとえ電子が第1量子井戸層7bの電子の最低エネルギーに相当するエネルギーを有していたとしても、第1量子井戸層7bの電子の最低エネルギー準位よりも第2量子井戸層7dの電子の最低エネルギー準位が高くエネルギー共鳴しないため、トンネリングによる電子の発光層2b側へのキャリアオーバーフローが抑制できる。したがって、電子のオーバーフロー抑制と正孔の発光層2bへの注入効率低下防止を両立することができ、発光効率を向上させることができる。
次に、ブロック層2dおよび2eにおける、第1量子井戸層7b、第2量子井戸層7d、第1障壁層7a、第2障壁層7cおよび第3障壁層7eの組成、膜厚について説明する。
第1量子井戸層7bおよび第2量子井戸層7dでは、化学式Alx1Gay1In(1−x1−y1)N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、x1+y1≦1)で表される組成からなり、第1量子井戸層7bの厚みと、第2量子井戸層7dの厚みとが、2〜10nm程度の範囲内において、互いに異なるように構成することによって、第1量子井戸層7bの量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層7dの量子準位のエネルギーEmとを、異なる量子化レベルで一致させることができる。
以上のように、第1量子井戸層7bの量子準位のエネルギーEnと第2量子井戸層7dの量子準位のエネルギーEmとが異なる量子化レベルで一致する発光素子10は、第1量子井戸層7bおよび第2量子井戸層7dの膜厚を変化させることによって作製できる。また、第1量子井戸層7bを構成する組成と第2量子井戸層7dを構成する組成とが異なることでも、異なる量子化レベルを用いてエネルギー準位を一致させることも可能ではあるが、第1量子井戸層7bと第2量子井戸層7dとにおいて、組成を同一とし、膜厚を異なるように設定して、第1量子井戸層7bの量子準位のエネルギーEnと第2量子井戸層7dの量子準位のエネルギーEmとが異なる量子化レベルで一致するように構成するのが好ましい。これは、MBE法、MOVPE法、HVPE法などにより発光素子10を作製する場合、一般的に膜厚の制御に関しては成長時間を制御するだけでよく、組成比制御と比較して容易なためである。
第1障壁層7a、第2障壁層7cおよび第3障壁層7eでは、組成と膜厚とが各層ごとに同一でも異なっていてもよいが、本実施の形態では、各障壁層7a,7c,7eにおける組成および膜厚は同一である。第1、第2および第3障壁層7a,7c,7eを構成する組成としては、Al0.20Ga0.80Nが挙げられる。また、第1、第2および第3障壁層7a,7c,7eの膜厚は、1〜5nm程度に設定される。
次に、本発明の照明装置について説明する。図3は、本発明の実施の一形態である照明装置20の構成を示す図である。照明装置20は、前述した本発明の発光素子10と、発光素子10からの発光を受けて光を発する蛍光体と燐光体との少なくともいずれか一方とを備える。具体的には、照明装置20は、シリコーン樹脂などの透明樹脂、ガラスなどの透明部材21で、発光素子10を覆うか内包するようにし、該透明部材21に蛍光体や燐光体を混入させた構成とすればよい。そして、発光素子10は、パッド電極5,6に接続されたボンディングワイヤ22を介して回路基板23に接続されて実装されている。そして、照明装置20では、透明部材21で覆われ、回路基板23に実装された発光素子10が、透明部材21が外方を向くようにパッケージ24に収納されている。
照明装置20において、発光素子10は、発光層2bを含む半導体層2にバイアス電流が流れると、発光層2bで波長350〜600nm程度の光を発生する。そして、透明部材21に混入された蛍光体や燐光体は、発光層2bが発する紫外光から近紫外光の光を白色光に変換するものである。本発明の照明装置20は、発光効率の高い発光素子10を具備しているので、輝度および照度の高い照明装置となる。また、照明装置20には、集光性を高めるために、透明部材21に凹面鏡などの光反射部材を設けることもできる。このような照明装置20は、従来の蛍光灯などよりも消費電力が小さく、小型であることから、小型で高輝度の照明装置として有効である。
以下に、量子井戸層の膜厚を調整して、電場を考慮していない有限深さ量子井戸構造における固有値エネルギーの計算をおこなった。なお、計算には、シュレディンガー方程式および固有関数から導出した以下の式(固有値方程式)を用いた。
Figure 2010087038
なお、式中において、Lは量子井戸層の膜厚、qは量子井戸層におけるキャリアの波数、qは障壁層におけるキャリアの波数、mは量子井戸層におけるキャリアの有効質量、mは障壁層におけるキャリアの有効質量、ηはプランク定数、Eは量子準位のエネルギー、Vは障壁高さを示す。
発光素子10のブロック層2d,2eの量子井戸構造における量子化エネルギーを計算し、第1量子井戸層7bの正孔に対する量子化レベルn=2における量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層7dの正孔に対する量子化レベルm=1における量子準位のエネルギーEmとが一致するように、第1量子井戸層7bおよび第2量子井戸層7dの組成、膜厚を設計した。
なお、量子化エネルギーを計算するときに用いた各種物性値を表1に示す。
Figure 2010087038
ブロック層2d,2eにおいて、第1障壁層7a、第2障壁層7cおよび第3障壁層7eは、組成をAl0.20Ga0.80Nとし、膜厚を正孔がトンネリングできる厚さである3nmに設定した。そして、第1量子井戸層7bと第2量子井戸層7dとの組成を同一のGaNとし、第1量子井戸層7bの膜厚を2.1nm、第2量子井戸層7dの膜厚を5.1nmとした。
以上のように構成されたブロック層2d,2eでは、第1量子井戸層7bの正孔に対する量子化レベルn=2における量子準位のエネルギーEnと、第2量子井戸層7dの正孔に対する量子化レベルm=1における量子準位のエネルギーEmとが、En=Em=0.025eVで、差異度(En/Em)が1のレベルで一致する。なお、前記差異度が「1」に近いほど、一致レベルが高いことを示す。
本発明の実施の一形態である発光素子10の構成を示す断面図である。 発光素子10におけるバンドダイアグラムを模式的に示す図である。 本発明の実施の一形態である照明装置20の構成を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 半導体層
2a 第1導電型半導体層
2b 発光層
2c 第2導電型半導体層
2d,2e ブロック層
3,4 電極
5,6 パッド電極
7a 第1障壁層
7b 第1量子井戸層
7c 第2障壁層
7d 第2量子井戸層
7e 第3障壁層
10 発光素子
20 照明装置
21 透明部材
22 ボンディングワイヤ
23 回路基板
24 パッケージ

Claims (5)

  1. n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを具備する発光素子であって、
    n型半導体層と発光層との間と、発光層とp型半導体層との間との少なくともいずれか一方の間に、障壁層を介して連結する第1量子井戸層と第2量子井戸層とを具備し、
    前記第1量子井戸層の量子化レベルn(nは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEnと、前記第2量子井戸層の量子化レベルm(mは1以上の整数)の量子準位のエネルギーEmとが、n≠mにおいて、En=Emとなる発光素子。
  2. 前記第1量子井戸層の厚みと、前記第2量子井戸層の厚みとが異なる請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記第2量子井戸層の量子化レベルmが1である請求項1または2に記載の発光素子。
  4. 前記第2量子井戸層の量子化レベルmが1であり、前記第1量子井戸層の量子化レベルnが2である請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光素子と、前記発光素子からの発光を受けて光を発する蛍光体と燐光体との少なくともいずれか一方とを具備している照明装置。
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