JP2010086579A - 原盤及びそれから作製されたモールド構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円板状の基板と、該基板の一の表面に、該表面を基準として複数の凹部が配列されることによって形成された凹凸部を有し、モールド構造体を製造するための原盤であって、前記凹部が配列された方向における凹部の断面形状において、該凹部の底辺の両端の角部の曲率半径が1nm〜3nmであり、かつ該凹部の幅が8nm以上である原盤及びそれにより作製されたモールド構造体である。
【選択図】図1
Description
前記ナノインプリントとしては、UVインプリント方式、熱インプリント方式などの手法により、必要とされる樹脂や、モールド構造体の材料などが異なる。前記熱インプリント方式に用いられるNiモールド構造体を製造するプロセスの一つとしては、Si基板上に形成したレジスト層を電子線描画により露光し、現像した後、反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)で凹凸パターンを微細加工した後、それを原盤として該原盤上に導電膜を形成し、Ni電鋳後、原盤から剥離してNiモールド構造体を作製(複製)していく技術がある。
このようなNiモールド構造体を作製する方法では、原盤からNiモールド構造体を剥離する工程があるが、トラックピッチが70nm以下の細線化に伴って剥離時にNi細線部が破壊してパターンが形成できないという問題があり、その速やかな解決が望まれているのが現状である。
<1> 円板状の基板と、該基板の一の表面に、該表面を基準として複数の凹部が配列されることによって形成された凹凸部を有し、モールド構造体を製造するための原盤であって、
前記凹部が配列された方向における凹部の断面形状において、該凹部の底辺の両端の角部の曲率半径が1nm〜3nmであり、かつ該凹部の幅が8nm以上であることを特徴とする原盤である。
<2> 凸部が配列された方向における凸部の断面形状において、該凸部の頂辺の両端の角部の曲率半径が1nm〜5nmである前記<1>に記載の原盤である。
<3> 凸部及び凹部のラインウィドスラフネス(LWR)が半値幅の30%以下であり、凸部のラインウィドスラフネス(LWR)R1と凹部のラインウィドスラフネス(LWR)R2とが、R1≧R2の関係を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の原盤である。
<4> 凹部の壁角度が75度〜85度である前記<1>から<3>のいずれかに記載の原盤である。
<5> 凹凸部表面を被覆する導電膜の膜厚の変動が、凹部の底部から凸部の頂部まで10%以内である前記<1>から<4>のいずれかに記載の原盤である。
<6> 導電膜の膜厚が、凹部の幅の10%〜30%である前記<5>に記載の原盤である。
<7> 凹凸部表面に膜厚1nm〜3nmの有機薄膜を形成し、該有機薄膜上に導電膜を有する前記<5>から<6>のいずれかに記載の原盤である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の原盤を用いて作製されたことを特徴とするモールド構造体である。
<9> アスペクト比が2以上である前記<8>に記載のモールド構造体である。
<10> 前記<8>から<9>のいずれかに記載のモールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層に押圧して前記モールド構造体に形成された凹凸部に基づく凹凸パターンを転写する転写工程を少なくとも含むことを特徴とするインプリント方法である。
<11> 前記<10>に記載のインプリント方法を用いて、磁気記録媒体を製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
本発明の原盤は、本発明のモールド構造体の製造に用いられ、円板状の基板と、該基板の一の表面に、該表面を基準として複数の凹部が配列されることによって形成された凹凸部を有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
本発明のモールド構造体は、本発明の前記原盤を用いて作製される。
図1に示すように、前記原盤1の凹凸形状と、前記モールド構造体20の凹凸形状とは、1対1に対応している。即ち、原盤の凹部はモールド構造体の凸部に対応し、原盤の凸部はモールド構造体の凹部に対応する。なお、図1中、13は導電膜、14は有機薄膜を示す。
図2に示すように、原盤1は、円板状をなす基板2の一の表面2a(以下、基準面2aということがある)に、該表面2aを基準として、複数の凸部3a及び凹部3bが同心円状に形成されてなる。この場合、凸部3aと、複数の凸部3a間に形成された凹部3bとを総称して凹凸部3とする。
前記凸部3a(凹部3b)の配列方向(凸部3a(凹部3b)が列設されている方向)における断面形状は、図2に示すように、例えば矩形などが挙げられる。なお、前記凸部3a(凹部3b)の断面形状は、矩形に限られず、目的に応じて、後述するエッチング工程を制御することにより、任意の形状を選択することができる。
また、基板2の厚みは、0.5mm以上10mm以下であることが好ましい。
前記曲率半径が1nm未満であると、応力集中が緩和できず原盤から複版の剥離時にパターンを崩壊させることがあり、3nmを超えると、細線パターンに対し壁角度と半値幅の関係から決定される凹部(複版凸部)の線幅が規定値よりも外れるため、応力集中を緩和できず剥離時にパターンを崩壊させることがある。
また、前記凹部3bの幅Lは8nm以上であり、8.5nm〜13nmであることが好ましい。これにより、細線部への応力集中を軽減することができる。前記凹部の幅が8nm未満であると、応力集中を軽減することができず、またラフネスばらつきの下限値においては平坦形状を確保できず剥離時にパターンを崩壊させることがある。
前記曲率半径及び凹部の幅は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)による断面形状の観察から求めることができる。
前記曲率半径が、1nm未満であると、電流密度が角部に集中することから電鋳時の結晶成長が角部で進むことにより、パターン内部が結晶成長する前に口を塞いでしまい、パターン内に空洞を生じさせることで結晶強度が低下し、剥離時にパターンを崩壊させることがあり、5nmを超えると、導電膜成膜時に導電膜が曲率に沿って成長されることから導電膜がパターンの口で厚くなり、電鋳時にパターン内部が結晶成長する前に口を塞いでしまい、パターン内に空洞を生じさせることで結晶強度が低下し、剥離時にパターンを崩壊させることがある。
前記曲率半径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)による断面形状の観察から求めることができる。
前記ラインウィドスラフネス(LWR)が半値幅の30%を超えると、凹部の幅が細くなりすぎ、応力集中を招き剥離時にパターン崩壊を生じさせることがある。
前記ラインウィドスラフネス(LWR)は、パターン形成の際に生じるライン幅のバラツキを表し、CD−SEM測定から設定された輝度となる位置の幅を測定し、ライン上512ポイントの平均をとることにより求めることができる。
また、前記凸部のラインウィドスラフネス(LWR)R1と前記凹部のラインウィドスラフネス(LWR)R2とが、R1≧R2の関係を満たすことが好ましい。前記凸部のラインウィドスラフネス(LWR)R1と凹部のラインウィドスラフネス(LWR)R2とが、R1≧R2の関係を満たさないと、特に元々線幅が細く応力の集中する凹部で、原盤と複版の密着面積が上がることでアンカー効果により更に密着力が上がることと、ラフネスのばらつきの下限において設計値よりも更に細線になることで、応力集中を加速させ剥離時にパターン崩壊を生じさせることがある。
前記凸部のラインウィドスラフネス(LWR)R1及び前記凹部のラインウィドスラフネス(LWR)R2は、例えばCD−SEMの輝度の設定値を変えること、又は断面AFMなどにより測定することができる。
前記壁角度が、75度未満であると、凹部の線幅が細くなり、応力集中を招き剥離時にパターン崩壊を生じさせることがあり、85度を超えると、剥離時に摩擦力が上がり、パターン崩壊を生じさせることがある。
前記凹部3bの壁角度Dは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)による断面形状の観察から求めることができる。
前記金属としては、例えばNi、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金を用いることができる。これらの中でも、Ni、Ni合金が特に好ましい。
前記樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、低融点フッ素樹脂などが挙げられる。
前記原盤の凹凸部表面に、膜厚1nm〜3nmの有機薄膜を有することが好ましい。これにより、原盤からモールド構造体を剥離時の界面密着力を低減することができる。
前記炭化水素系材料としては、例えばステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。
前記フッ素系材料としては、上記炭化水素系材料のアルキル基の一部又は全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した材料が挙げられる。前記パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)n又はこれらの共重合体等である。
前記フッ素系シランカップリング剤としては、分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜10個のアルコキシシラン基、クロロシラン基を有し、分子量が200〜500,000のものが好ましい。前記アルコキシシラン基としては、例えば−Si(OCH3)3基、−Si(OCH2CH3)3基、などが挙げられる。前記クロロシラン基としては、-Si(Cl)3基などが挙げられる。具体的には、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロデシルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
前記導電膜は、その材料、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ni、Nb、Ta、Ti、W、Cr、Co、Pt、Cu、Ir、Rh、Fe、Ru、又はこれらの合金、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メッキ法、印刷法、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、などにより形成することができる。
前記導電膜の膜厚の変動は、凹部の底部から凸部の頂部まで10%以内であることが好ましい。前記膜厚の変動が10%を超えると、凸部の頂部の導電膜の膜厚が厚すぎると電鋳時の結晶成長不良を起こすことがあり、凹部の底部の導電膜の膜厚が薄すぎると電鋳材料と原盤材料の界面密着力が上昇し、いずれも剥離時にパターン形成不良を生じさせることがある。
また、前記導電膜の膜厚は、凹部の幅の10%〜30%であることが好ましい。これにより、原盤への電鋳時における結晶欠陥を低減することができる。前記導電膜の膜厚が凹部の幅の10%未満であると、原盤表面への被覆が不十分で原盤と電鋳複版の密着力を上昇させることがあり、30%を超えると、凸部の口が厚膜になり、電鋳時に結晶成長不良を引き起こすことがある。
ここで、図4及び図5は、本発明のモールド構造体の製造方法の一例を示す工程図であり、図4は原盤作製工程を示し、図5はモールド作製工程を示す。
図4(a)に示されるように、表面が平滑なシリコンウエハーである原板(Si基板)30を用意し、この原板30の上に、電子線レジスト液をスピンコート法等により塗布して、レジスト層32を形成し(図4(b)参照)、ベーキング処理(プレベーク)を行う。
ここで、原盤36を純水で洗浄し、乾燥する。
なお、導電膜形成においては最終品質(磁気記録媒体の品質)に影響を与えない範囲で剥離を補助する下地層(剥離層、無機・有機を問わない)を基板と導電膜の界面に付与してもよい。
そして、上記のようにして金属盤40の積層された原盤36が電鋳装置の電解液から取り出され、剥離槽(不図示)内の純水に浸される。
ここで、剥離後の原盤は、純水で洗浄し、乾燥して再生する。再生した原盤は導電化処理からの工程を繰り返すことで同一原盤から複数の金属盤が作製できる。
また、導電層38と、保護層との密着性を強化するため、導電層38上にSi等の密着強化層を形成し、その後に保護層を形成してもよい。
<No.1のインプリント用モールド構造体の作製>
−原盤の作製−
直径8インチの円板状のSi基板上に電子線レジストを、スピンコート法を用いて100nmの厚さに塗布した。
その後、回転式電子線露光装置にてトラックピッチ70nmのラインアンドスペースを電子線露光し、現像することで、凹凸パターンを有する前記電子線レジストをSi基板上に形成した。
凹凸パターンを有する前記電子線レジストをマスクとして、前記Si基板に対して反応性イオンエッチング処理を行い、Si基板上に凹凸形状を形成した。
残存した前記電子線レジストを、可溶溶剤にて洗浄することで除去し、乾燥した後に原盤を作製した。
次に、原盤の表面にスパッタリング法により、Ni(ニッケル)導電性膜を膜厚9nmに形成した。導電膜が付与された原盤を、下記組成のNi電鋳浴に浸漬させて50rpm〜150rpmの回転速度で回転させながら、電鋳処理を行い、厚み300μmのNi盤を作製した。その後、このNi盤を原盤から剥離し、残留するレジスト膜を除去し、洗浄した。以上により、Niモールド構造体を作製した。
−Ni電鋳浴組成及び温度−
・スルファミン酸ニッケル・・・600g/L
・ホウ酸・・・40g/L
・界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)・・・0.15g/L
・pH=4.0
・温度=55℃
No.1の原盤作製において、反応性イオンエッチング条件を変えた以外は、No.1と同様にして、No.2〜11のモールド構造体を作製した。
透過型電子顕微鏡(TEM)による断面形状の観察から、凹部曲率、凹部幅、凸部曲率、凸部幅、アスペクト比、高さ、半値幅、壁角度、及び導電膜の膜厚を求めた。
CD−SEMにより測定ポイントに対応する輝度の条件を変更し、一部で断面AFMとの相関をとることにより求めた。
走査型電子顕微鏡(SEM)のトップビューから観察視野内のNi凸部の面積と、崩壊なくパターンが形成されているNi凸部の面積との比率を算出しした。なお、100%は剥離不良なし、0%は全面パターン崩壊であり、本発明においては、前記比率が80%以上を合格とした。
<No.12のモールド構造体の作製>
No.1の原盤作製において、反応性イオンエッチングの条件を変えた以外は、No.1と同様にして、No.12のモールド構造体を作製した。
No.12の原盤作製で得られた原盤の表面に有機薄膜(フッ化トリクロロシラン)を蒸着法により、表2に示す膜厚で形成した以外は、No.12と同様にして、No.13〜15のモールド構造体を作製した。
なお、有機薄膜の膜厚は、ベタ膜部での膜厚をエリプソメーターにて測定した。
<No.16〜19のモールド構造体の作製>
No.1のモールド構造体の作製において、スパッタリングの条件を変えて、表3に示す導電膜の膜厚に変えた以外は、No.1と同様にして、No.16〜19のモールド構造体を作製した。
*凹部:凹部の底辺の導電膜の膜厚
<No.20〜22のモールド構造体の作製>
No.1のモールド構造体の作製において、スパッタリングの条件を変えて、表3に示す導電膜の膜厚に変えた以外は、No.1と同様にして、No.20〜22のモールド構造体を作製した。
*壁下:凹部と凸部を結ぶ側壁の凹部側近傍の導電膜の膜厚
2 基板
2a 一の表面
3a 凸部
3b 凹部
20 モールド構造体
30 原板
32 レジスト層
33 パターン
34 開口部
36 原盤
38 導電層
40 金属盤
42 複製金属盤
Claims (9)
- 円板状の基板と、該基板の一の表面に、該表面を基準として複数の凹部が配列されることによって形成された凹凸部を有し、モールド構造体を製造するための原盤であって、
前記凹部が配列された方向における凹部の断面形状において、該凹部の底辺の両端の角部の曲率半径が1nm〜3nmであり、かつ該凹部の幅が8nm以上であることを特徴とする原盤。 - 凸部が配列された方向における凸部の断面形状において、該凸部の頂辺の両端の角部の曲率半径が1nm〜5nmである請求項1に記載の原盤。
- 凸部及び凹部のラインウィドスラフネス(LWR)が半値幅の30%以下であり、凸部のラインウィドスラフネス(LWR)R1と凹部のラインウィドスラフネス(LWR)R2とが、R1≧R2の関係を満たす請求項1から2のいずれかに記載の原盤。
- 凹部の壁角度が75度〜85度である請求項1から3のいずれかに記載の原盤。
- 凹凸部表面を被覆する導電膜の膜厚の変動が、凹部の底部から凸部の頂部まで10%以内である請求項1から4のいずれかに記載の原盤。
- 導電膜の膜厚が、凹部の幅の10%〜30%である請求項5に記載の原盤。
- 凹凸部表面に膜厚1nm〜3nmの有機薄膜を形成し、該有機薄膜上に導電膜を有する請求項5から6のいずれかに記載の原盤。
- 請求項1から7のいずれかに記載の原盤を用いて作製されたことを特徴とするモールド構造体。
- アスペクト比が2以上である請求項8に記載のモールド構造体。
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