JP2010085880A - 光偏向器及び光偏向器の製造方法 - Google Patents
光偏向器及び光偏向器の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】簡易な仕組みで、光偏向器の重心ずれを防ぎ、駆動時の他モードの出現、回転ずれなどを抑えることができる光偏向器を提供する。
【解決手段】可動板11及び反射膜21から構成されるミラー2と、可動板11を支持するための支持枠12と、可動板11を回動可能に支持枠12に連結する弾性支持部13と、可動板11に設けられた貫通孔にはめ込まれた磁石22を備え、ミラー2の厚さ方向において、磁石22とミラー2の中心が略同一平面上にあるように配置されている。
【選択図】図2
【解決手段】可動板11及び反射膜21から構成されるミラー2と、可動板11を支持するための支持枠12と、可動板11を回動可能に支持枠12に連結する弾性支持部13と、可動板11に設けられた貫通孔にはめ込まれた磁石22を備え、ミラー2の厚さ方向において、磁石22とミラー2の中心が略同一平面上にあるように配置されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、光偏向器及び光偏向器の製造方法に関するものである。
レーザ光を用いて画像描画を行うディスプレイ、プリンタ等に応用することを目的とした光偏向器においては、画像の解像度を上げるため、光走査の更なる高速化が要求されている。しかし、現状で用いられているポリゴンミラーやガルバノミラーの性能向上には限界があり、これらに置き換わる光偏向器としてMEMS(Micro Electro Mechanical System)によってシリコン基板を加工して製作したミラーデバイスが期待されている。このようなMEMSミラーは、ポリゴンミラーやガルバノミラーよりも高い共振周波数で駆動させることができるため、より解像度の高い画像形成が可能となる。
例えば、特許文献1には、可動板を支持基板に対して相対的に駆動させ、反射面に入射する入射光を偏向する光偏向器であって、可動板の反射面が形成されない面に少なくとも2つ以上の凹部を形成し、磁性体が凹部に形成されている光偏向器が記載されている。
また、特許文献2には、疲労限の高い超弾性合金をトーションバネに採用し、そのバネ中央に鏡面加工された小磁石を取り付け、その外部にコイルを置き、交番電流を流すことにより交番磁界を発生させ、鏡面加工された小磁石を共振振動させる光走査装置が記載されている。
特開2004−37987号公報
特開平9−138366号公報
特許文献1に記載された光偏向器は、シリコンによる慣性モーメントを減らすことにより高速駆動を可能にする効果がある。しかし、一般に永久磁石の加工限界値は0.4mm程度であり、これよりもシリコンの厚さは小さいため、重心のずれは残ったままとなる。このため、可動板の回転中心がずれ、並進モードや磁石とコイルの引きつけ等の影響を受けた駆動になると考えられる。
また、特許文献2に記載された光走査装置は、磁石と別材料のトーションバネを持つため、トーションバネとミラーの接着強度が小さくなる可能性がある。特に、特許文献2に記載された光走査装置のように、トーションバネを直接磁石もしくはミラー部材に接着する場合、接着面積が非常に狭くなるため駆動時に外れることが考えられる。
本発明は、簡易な仕組みで、光偏向器の重心ずれを防ぎ、駆動時の他モードの出現、回転ずれなどを抑えることができる光偏向器及び光偏向器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る光偏向器は、光反射性を有する光反射部を備えた可動部と、前記可動部を支持するための支持部と、前記可動部を回動可能に前記支持部に連結する連結部と、前記可動部に設けられた貫通孔にはめ込まれた磁石と、を備え、前記可動部の厚さ方向において、前記磁石と前記可動部の中心が略同一平面上にあるように配置されているものである。
本発明によれば、可動部の厚さ方向において、磁石と可動部の中心が略同一平面上にあることにより、光偏向器の重心ずれを防ぐことができる。これにより、光偏向器の駆動時の他モードの出現、回転ずれなどを抑えることができる。磁石を可動部に設けた貫通孔にはめ込むことにより、可動部の表面に磁石を接着する場合と比較して、磁石の重心が可動部の重心の位置と重なるため、慣性モーメントを減少させることが出来る。これにより、連結部にかかる応力を低減させることができる。
また、前記可動部には、前記光反射部を挟んで1対の前記磁石が設けられているようにしてもよい。
また、前記光反射部は、前記可動部に設けられた前記磁石の表面に形成されていてもよい。
また、前記光反射部は、前記可動部に設けられた前記磁石の表面に形成されていてもよい。
また、前記可動部は、表面に前記光反射部が形成された第1の可動部と、前記第1の可動部を挟んで設けられた1対の第2の可動部と、を備え、前記磁石は、各々の前記第2の可動部に設けられているようにすることもできる。
これにより、光反射部の面積を広くとることができる。
これにより、光反射部の面積を広くとることができる。
本発明に係る光偏向器の製造方法は、上記の光偏向器の製造方法であって、基板の表面に所定のパターンを有するマスクを形成する第1の工程と、前記マスクを用いて前記基板をエッチングし、前記可動部、前記支持部、前記連結部、及び前記貫通孔を形成する第2の工程と、前記貫通孔に前記磁石をはめ込む第3の工程と、を有するものである。
本発明によれば、磁石を可動部に設けた貫通孔にはめ込むことにより、可動部の表面に磁石を接着する場合と比較して、磁石の重心が可動部の重心の位置と重なるため、慣性モーメントを減少させることが出来る。これにより、連結部にかかる応力を低減させることができる。
本発明によれば、磁石を可動部に設けた貫通孔にはめ込むことにより、可動部の表面に磁石を接着する場合と比較して、磁石の重心が可動部の重心の位置と重なるため、慣性モーメントを減少させることが出来る。これにより、連結部にかかる応力を低減させることができる。
また、前記第2の工程では、ウェットエッチングを用いて基板をエッチングすることが望ましい。
基板のエッチング方法をウェットエッチングとした場合には、ドライエッチングを用いた場合と比較して、基板の結晶面を利用することにより比較的広い範囲に接着剤を塗布することができるので、磁石と可動部をより強固に接着することができる。
基板のエッチング方法をウェットエッチングとした場合には、ドライエッチングを用いた場合と比較して、基板の結晶面を利用することにより比較的広い範囲に接着剤を塗布することができるので、磁石と可動部をより強固に接着することができる。
また、前記第2の工程では、ウェットエッチングを用いて基板をオーバーエッチングすることが望ましい。
これにより、基板の結晶面がオーバーエッチングされ、磁石と可動部の接する面積が広くなるため、磁石の倒れを防止し、安定させることができる。
これにより、基板の結晶面がオーバーエッチングされ、磁石と可動部の接する面積が広くなるため、磁石の倒れを防止し、安定させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による光偏向器1の構成を示す上面図である。図2は、図1のA−A線における断面図である。図3は、図1のB−B線における断面図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による光偏向器1の構成を示す上面図である。図2は、図1のA−A線における断面図である。図3は、図1のB−B線における断面図である。
光偏向器1は、可動板(可動部)11と、支持枠(支持部)12と、可動板11を支持枠12に対してねじり回転可能に支持する一対の弾性連結部(連結部)13とを有する。可動板11、支持枠12、及び弾性連結部13は、例えば、シリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。可動板11の表面には、反射膜21が形成されている。可動板11及び反射膜(光反射部)21からミラー2が構成される。
また、可動板11には、反射膜21を挟んで1対の磁石22が設けられている。磁石22は、可動板11に設けられた貫通孔にはめ込まれている。磁石22は、可動板11の厚さ方向において、磁石22とミラー2の中心が略同一平面上にあるように配置されている。図に示すように、磁石22は可動板11の表面及び裏面に塗布された接着剤60によって、可動板11に固定されている。
磁石22は、可動板11を平面視したときに、可動板11の回転中心軸である軸線Xに直交する方向に磁化されている。すなわち、磁石22は、軸線Xを介して対向する互いに極性の異なる一対の磁極を有している。支持枠12は、ホルダ50に接合されており、ホルダ50上には、可動板11を駆動させるためのコイル51が配置されている。
コイル51には周期的に変化する電流(交流)が供給される。これにより、コイル51は上方(可動板11側)に向く磁界と下方に向く磁界とを交互に発生させる。これにより、コイル51に対し磁石22の一対の磁極のうち一方の磁極が接近し他方の磁極が離間するようにして弾性連結部13を捩れ変形させながら、可動板11がX軸回りに回動させられる。
光偏向器1の可動板11、支持枠12、弾性連結部13は、図4に示すようなシリコン基板10をエッチング加工することにより一体形成される。図5は、シリコン基板10をドライエッチング加工することにより形成されるパターンを示す図である。図5は図1のC−C線における断面に相当する。図5に示すように、シリコン基板10には可動板11、支持枠12、弾性連結部13、及び磁石22をはめ込むための貫通孔14が形成される。貫通孔14に磁石22をはめ込んだ後、接着剤60を塗布することによって、可動板11に磁石22が固定される。
シリコン基板10のエッチング方法としては、ドライエッチング、ウェットエッチングのどちらを用いても良い。以下ウェットエッチングを用いた場合の光偏向器1の製造方法について説明する。
ドライエッチングを用いる場合と同様に、光偏向器1の可動板11、支持枠12、弾性連結部13は、図4に示すようなシリコン基板10をエッチング加工することにより一体形成される。
ドライエッチングを用いる場合と同様に、光偏向器1の可動板11、支持枠12、弾性連結部13は、図4に示すようなシリコン基板10をエッチング加工することにより一体形成される。
まず、図6に示すように、シリコン基板10の両面に酸化シリコンからなるマスク31,32を形成し、さらにマスク31,32上にレジスト41,42を形成する。レジストは、ポジ型であってもネガ型であってもよい。
次に、レジスト42を露光及び現像して、レジスト42に所定の開口パターンP2を形成する。開口パターンP2は、例えば可動板11、支持枠12、弾性連結部13以外の領域を開口するパターンである。さらに、レジスト42をマスクとしてマスク32をエッチングすることにより、レジスト42の開口パターンP2が、マスク32に転写される。マスク32のエッチングには、例えばバッファードフッ酸(BHF)が用いられる。
次に、シリコン基板10両面のレジスト41,42を除去する。レジスト41,42の除去には、硫酸洗浄又はアッシングが用いられる。次に、再度シリコン基板10の裏面側にレジスト43を、表面側にレジスト44を形成する。
次に、シリコン基板10の表面側のレジスト44を露光及び現像して、レジスト44に所定の開口パターンP1を形成する。開口パターンP1は、例えば、開口パターンP2と同一のパターンである。さらにレジスト44をマスクとしてマスク31をエッチングする。これにより、レジスト44の開口パターンP1が、マスク31に転写される。マスク31のエッチングには、マスク31のエッチングと同様にバッファードフッ酸(BHF)が用いられる。
次に、シリコン基板10両面のレジスト43,44を除去する。レジスト43,44の除去には、硫酸洗浄又はアッシングが用いられる。
次に、マスク31,32を用いて、シリコン基板10をエッチングする。シリコン基板10のエッチングには、例えば、KOHを用いたウェットエッチングを用いる。これにより、シリコン基板10に図7に示すパターンが形成される。図7は図1のC−C線における断面に相当する。図7に示すように、シリコン基板10には可動板11、支持枠12、弾性連結部13、及び磁石22をはめ込むための貫通孔14が形成される。
次に、マスク31,32を用いて、シリコン基板10をエッチングする。シリコン基板10のエッチングには、例えば、KOHを用いたウェットエッチングを用いる。これにより、シリコン基板10に図7に示すパターンが形成される。図7は図1のC−C線における断面に相当する。図7に示すように、シリコン基板10には可動板11、支持枠12、弾性連結部13、及び磁石22をはめ込むための貫通孔14が形成される。
以下、主面が(100)面のSiウェハからなるシリコン基板10を用いた場合を例に説明する。
シリコン基板10にKOHを用いたウェットエッチングを施すと、シリコン基板10の両面からエッチングが進行し始める。ウェットエッチングを用いた場合には、例えば、開口パターンP1,P2に露出したシリコン基板10の部位は、テーパー状にエッチングされる。シリコン基板10の表面からのエッチングにより形成された孔と、シリコン基板10の裏面からのエッチングにより形成された孔の底同士が接触することにより、シリコン基板10を貫通する1つの孔が形成される。このとき、KOHなどのウェットエッチングでは、Siの結晶方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成される。図7に示すように、通常、ウェットエッチングでシリコン基板10を加工した場合には、シリコン基板10の側面15((111)面)は、貫通孔の中心に向かって突出した状態となっている。
シリコン基板10にKOHを用いたウェットエッチングを施すと、シリコン基板10の両面からエッチングが進行し始める。ウェットエッチングを用いた場合には、例えば、開口パターンP1,P2に露出したシリコン基板10の部位は、テーパー状にエッチングされる。シリコン基板10の表面からのエッチングにより形成された孔と、シリコン基板10の裏面からのエッチングにより形成された孔の底同士が接触することにより、シリコン基板10を貫通する1つの孔が形成される。このとき、KOHなどのウェットエッチングでは、Siの結晶方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成される。図7に示すように、通常、ウェットエッチングでシリコン基板10を加工した場合には、シリコン基板10の側面15((111)面)は、貫通孔の中心に向かって突出した状態となっている。
次に、マスク31,32を除去し、シリコン基板10の表面に金属膜を成膜しパターニングすることにより可動板11上に反射膜21を形成する。金属膜の成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング、電気メッキ、無電解メッキ、金属箔の接合等が挙げられる。なお、マスク31及びマスク32を除去せずに、残しておいてもよい。
次に、可動板11に設けられた貫通孔14に磁石22をはめ込み、接着剤60によって磁石22を固定する。
図8は、ウェットエッチング加工したシリコン基板10に磁石22を固定した状態の断面を示す図である。図8は図2と同じ断面を示している。図8に示すように、ウェットエッチングを用いた場合は、図2に示すドライエッチングを用いた場合と比較して、シリコンの(111)面を利用することにより比較的広い範囲に接着剤60を塗布することができる。このように、広い接着面積を確保することにより、磁石22と可動板11をより強固に接着することができる。
図8は、ウェットエッチング加工したシリコン基板10に磁石22を固定した状態の断面を示す図である。図8は図2と同じ断面を示している。図8に示すように、ウェットエッチングを用いた場合は、図2に示すドライエッチングを用いた場合と比較して、シリコンの(111)面を利用することにより比較的広い範囲に接着剤60を塗布することができる。このように、広い接着面積を確保することにより、磁石22と可動板11をより強固に接着することができる。
なお、図9に示すように、シリコン基板10を(111)面までエッチングした後、さらにオーバーエッチングすることにより、側面16を形成するようにしてもよい。これにより、磁石22と可動板11の接する面積が図8に示す例と比較して広くなるため、磁石22の倒れを防止し、安定させることができる。
また、上記の実施例では、シリコン基板10の表、裏両面にマスク31,32を形成し、シリコン基板10の両面からウェットエッチングを行ったが、シリコン基板10の片面(例えば裏面)のみにマスクを形成して片面からのウェットエッチングを行ってもよい。図10は、片面のみにマスクを形成して(111)面までエッチングしたシリコン基板10に磁石22を固定した状態の断面を示す図である。また、図11は、片面のみにマスクを形成して(111)面までエッチングした後、オーバーエッチングすることにより側面16を形成したシリコン基板10に磁石22を固定した状態の断面を示す図である。
図10,11に示す例では、シリコン基板10の表面(反射膜21形成面)にエッチングを施さないため、シリコン基板10の両面をエッチングする場合に比べて反射膜21の面積を広くとることができる。このため、より反射効率の高い光偏向器1を得ることができる。
可動板11に磁石22を固定した後は、シリコン基板10を用いて作製された可動板11、支持枠12、弾性連結部13を含む構造体を、ホルダ50に取り付けることにより、光偏向器1が製造される。
以上のように実施の形態1によれば、磁石22の厚さ方向の中心とミラー2の厚さ方向の中心が同一平面上にあることにより、光偏向器1の重心ずれを防ぐことができる。これにより、光偏向器1の駆動時の他モードの出現、回転ずれなどを抑えることができる。
磁石22を可動板11に設けた貫通孔14にはめ込むことにより、可動板11の表面に磁石22を接着する場合と比較して、磁石22の重心がミラー2の重心の位置と重なるため、慣性モーメントを減少させることが出来る。これにより、弾性連結部13にかかる応力を低減させることができる。
磁石22を可動板11に設けた貫通孔14にはめ込むことにより、可動板11の表面に磁石22を接着する場合と比較して、磁石22の重心がミラー2の重心の位置と重なるため、慣性モーメントを減少させることが出来る。これにより、弾性連結部13にかかる応力を低減させることができる。
また、シリコン基板10のエッチング方法をウェットエッチングとした場合には、ドライエッチングとした場合と比較して、シリコン基板10と磁石22の接着面積を大きくすることが出来るため、磁石22と可動板11をより強固に接着することができる。さらに、(111)面までエッチングした後、オーバーエッチングすることにより、磁石22と可動板11の接する面積が図8に示す例と比較して広くなるため、磁石22の倒れを防止し、安定させることができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2による光偏向器は、実施の形態1と同様に、可動板、支持枠、弾性連結部はシリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。図12は、実施の形態2による光偏向器7の構成を示す上面図である。図13は、図12のA−A線における断面図である。なお、図13は、可動板71、支持枠72、弾性連結部73が一体形成されたシリコン基板の部分のみを示している。支持枠72は実施の形態1と同様にホルダに接合されており、ホルダ上には、可動板71を駆動させるためのコイルが配置されている。
本発明の実施の形態2による光偏向器は、実施の形態1と同様に、可動板、支持枠、弾性連結部はシリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。図12は、実施の形態2による光偏向器7の構成を示す上面図である。図13は、図12のA−A線における断面図である。なお、図13は、可動板71、支持枠72、弾性連結部73が一体形成されたシリコン基板の部分のみを示している。支持枠72は実施の形態1と同様にホルダに接合されており、ホルダ上には、可動板71を駆動させるためのコイルが配置されている。
図に示すように、実施の形態2では、可動板71の中央部に磁石22が設けられ、磁石22の上に反射膜21が設けられている。磁石22は、実施の形態1と同様に、可動板71に設けられた貫通孔にはめ込まれている。また、磁石22は、磁石22の厚さ方向の中心と可動板71の厚さ方向の中心が略同一平面上にあるように配置されている。図に示すように、磁石22は可動板71の表面及び裏面に塗布された接着剤60によって、可動板71に固定されている。磁石22は、可動板71を平面視したときに、可動板71の回転中心軸である軸線Xに直交する方向に磁化されている。
光偏向器7の可動板71、支持枠72、弾性連結部73は、実施の形態1と同様に、シリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。この時、磁石22をはめ込むための貫通孔も同時に形成される。シリコン基板のエッチング方法としては、ドライエッチング、ウェットエッチングのどちらを用いても良い。ウェットエッチングとした場合には、ドライエッチングとした場合と比較して、可動板71と磁石22の接着面積を大きくすることが出来る。さらに、(111)面までエッチングした後、オーバーエッチングすることにより、磁石22と可動板71の接する面積を広くして、磁石22の倒れを防止し、安定させるようにしてもよい。
以上のように、実施の形態2によれば、磁石22の厚さ方向の中心と可動板71の厚さ方向の中心が同一平面上にあることにより、光偏向器7の重心ずれを防ぐことができる。これにより、光偏向器7駆動時の他モードの出現、回転ずれなどを抑えることができる。
また、実施の形態で2では、磁石22の表面に直接反射膜21を形成しているが、磁石22と反射膜21の間に薄い基板を挟むようにしてもよい。これにより、反射膜21をより平坦な面の上に形成することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3による光偏向器は、実施の形態1と同様に、可動板、支持枠、弾性連結部はシリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。図14は、実施の形態3による光偏向器8の構成を示す上面図である。図15は、図14のA−A線における断面図である。なお、図15は、可動板81a,81b、支持枠82、弾性連結部83a,83bが一体形成されたシリコン基板の部分のみを示している。支持枠82は実施の形態1と同様にホルダに接合されており、ホルダ上には、可動板81a,81bを駆動させるためのコイルが配置されている。
本発明の実施の形態3による光偏向器は、実施の形態1と同様に、可動板、支持枠、弾性連結部はシリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。図14は、実施の形態3による光偏向器8の構成を示す上面図である。図15は、図14のA−A線における断面図である。なお、図15は、可動板81a,81b、支持枠82、弾性連結部83a,83bが一体形成されたシリコン基板の部分のみを示している。支持枠82は実施の形態1と同様にホルダに接合されており、ホルダ上には、可動板81a,81bを駆動させるためのコイルが配置されている。
図に示すように、光偏向器8は、表面に反射膜21が形成された可動板81aと、可動板81aと弾性連結部83aを介して接続された2つの可動板81bを有しており、2つの振動系を有する構造である。磁石22は、各々の可動板81bに設けられた貫通孔にはめ込まれている。磁石22は、磁石22の厚さ方向の中心と可動板81bの厚さ方向の中心が略同一平面上にあるように配置されている。図に示すように、磁石22は可動板81bの表面及び裏面に塗布された接着剤60によって、可動板81bに固定されている。磁石22は、可動板81a,81bを平面視したときに、可動板可動板81a,81bの回転中心軸である軸線Xに直交する方向に磁化されている。
光偏向器8の可動板81a,81b、支持枠82、弾性連結部83a,83bは、実施の形態1と同様に、シリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。この時、磁石22をはめ込むための貫通孔も同時に形成される。シリコン基板のエッチング方法としては、ドライエッチング、ウェットエッチングのどちらを用いても良い。ウェットエッチングとした場合には、ドライエッチングとした場合と比較して、可動板81bと磁石22の接着面積を大きくすることが出来る。さらに、(111)面までエッチングした後、オーバーエッチングすることにより、磁石22と可動板81bの接する面積を広くして磁石22の倒れを防止し、安定させるようにしてもよい。
以上のように、実施の形態3によれば、磁石22の厚さ方向の中心と81a,81bの厚さ方向の中心が同一平面上にあることにより、光偏向器8の重心ずれを防ぐことができる。これにより、光偏向器8駆動時の他モードの出現、回転ずれなどを抑えることができる。
実施の形態で3では、反射膜21を可動板81aに形成し、磁石22は可動板81bに設けられた貫通孔にはめ込まれているため、反射膜21の面積を広く取ることが出来る。
(表示装置)
本発明に係る光偏向器の応用例として、投射型の表示装置を説明する。図16は、投射型の表示装置の概略構成を示す図である。図16に示す表示装置は、水平走査ミラーとして本発明に係る光偏向器を用いている。
本発明に係る光偏向器の応用例として、投射型の表示装置を説明する。図16は、投射型の表示装置の概略構成を示す図である。図16に示す表示装置は、水平走査ミラーとして本発明に係る光偏向器を用いている。
図16に示す表示装置は、光偏向器1の他に、レーザ光源101と、ダイクロイックミラー102と、フォトダイオード103と、垂直ミラー104とを備える。
レーザ光源101は、赤色レーザ光を出射する赤色レーザ光源101Rと、青色レーザ光を出射する青色レーザ光源101Bと、緑色レーザ光を出射する緑色レーザ光源101Gとを有する。ただし、2色以下又は4色以上のレーザ光源を用いてもよい。
ダイクロイックミラー102は、赤色レーザ光源101Rからの赤色レーザ光を反射するダイクロイックミラー102Rと、青色レーザ光を反射し赤色レーザ光を透過させるダイクロイックミラー102Bと、緑色レーザ光を反射し青色レーザ光及び赤色レーザ光を透過させるダイクロイックミラー102Gとを有する。この3種のダイクロイックミラー102により、赤色レーザ光、青色レーザ光、及び緑色レーザ光の合成光が振動ミラー1に入射する。
フォトダイオード103は、各ダイクロイックミラー102R,102G,102Bに反射されずに透過した赤色レーザ光、緑色レーザ光、青色レーザ光の光量を検出する。
光偏向器1は、ダイクロイックミラー102から送られたレーザ光を水平方向(軸線Xの垂直方向)に走査する。光偏向器1は、上述したように、MEMSにより形成された、共振型ミラーである。
垂直ミラー104は、光偏向器1により反射されたレーザ光を垂直方向に走査する。垂直ミラー104は、例えば、ガルバノミラーにより構成される。ガルバノミラーとはミラーに軸を付け、電気振動に応じてミラーの回転角を変えられるようにした偏向器である。光偏向器1によるレーザ光の水平走査、及び垂直ミラー104によるレーザ光の垂直走査により画像が表示される。
この表示層装置は、上記のレーザ光源101、振動ミラー1、垂直ミラー104の駆動制御系として、さらに、レーザ光源101を駆動するレーザ駆動手段110と、光偏向器1を駆動する水平ミラー駆動手段111と、垂直ミラー104を駆動する垂直ミラー駆動手段112と、全体の動作の制御を担う制御手段113と、記憶手段114とを有する。
制御手段113は、パーソナルコンピュータや携帯電話等の各種の映像ソース115から送られた画像情報に基づいて、これらの画像を表示すべく、レーザ駆動手段110、水平ミラー駆動手段111、垂直ミラー駆動手段112の動作を制御する。
記憶手段114は、例えば、各種のプログラムを収納するROMと、変数等を収納するRAMと、不揮発性メモリとにより構成される。
本発明に係る光偏向器1を表示装置に適用することにより、表示性能の良好な表示装置を実現できる。
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、光偏向器1の可動板は円形以外の多角形でもよい。また、ここでは1次元1自由度で駆動するタイプの光偏向器1を例示したが、2次元に駆動するタイプの光偏向器1であってもよく、また、1次元2自由度で駆動するタイプの光偏向器1であってもよい。2次元に駆動するタイプの光偏向器1を用いた場合には、垂直ミラー104は不要である。
また、光偏向器1は、表示装置以外にもレーザプリンタ等に適用可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、光偏向器1の可動板は円形以外の多角形でもよい。また、ここでは1次元1自由度で駆動するタイプの光偏向器1を例示したが、2次元に駆動するタイプの光偏向器1であってもよく、また、1次元2自由度で駆動するタイプの光偏向器1であってもよい。2次元に駆動するタイプの光偏向器1を用いた場合には、垂直ミラー104は不要である。
また、光偏向器1は、表示装置以外にもレーザプリンタ等に適用可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
1,7,8 光偏向器、10 シリコン基板、11,71,81a,81b 可動板、12,72,82 支持枠、13,73,83a,83b 弾性支持部、14 貫通孔、15,16 側面、2 ミラー、21 反射膜、22 磁石、31,32 マスク、41,42 レジスト、50 ホルダ、51 コイル、60 接着剤、101 レーザ光源、101R 赤色レーザ光源、101G 緑色レーザ光源、101B 青色レーザ光源、102,102R,102G,102B ダイクロイックミラー、103,103R,103G,103B フォトダイオード、104 垂直ミラー、110 レーザ駆動手段、111 水平ミラー駆動手段、112 垂直ミラー駆動手段、113 制御手段、114 記憶手段、115 映像ソース
Claims (7)
- 光反射性を有する光反射部を備えた可動部と、
前記可動部を支持するための支持部と、
前記可動部を回動可能に前記支持部に連結する連結部と、
前記可動部に設けられた貫通孔にはめ込まれた磁石と、を備え、
前記可動部の厚さ方向において、前記磁石と前記可動部の中心が略同一平面上にあるように配置されていることを特徴とする光偏向器。 - 前記可動部には、前記光反射部を挟んで1対の前記磁石が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光偏向器。
- 前記光反射部は、前記可動部に設けられた前記磁石の表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光偏向器。
- 前記可動部は、
表面に前記光反射部が形成された第1の可動部と、
前記第1の可動部を挟んで設けられた1対の第2の可動部と、を備え、
前記磁石は、各々の前記第2の可動部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光偏向器。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光偏向器の製造方法であって、
基板の表面に所定のパターンを有するマスクを形成する第1の工程と、
前記マスクを用いて前記基板をエッチングし、前記可動部、前記支持部、前記連結部、及び前記貫通孔を形成する第2の工程と、
前記貫通孔に前記磁石をはめ込む第3の工程と、を有することを特徴とする光偏向器の製造方法。 - 前記第2の工程では、ウェットエッチングを用いて基板をエッチングすることを特徴とする請求項5に記載の光偏向器の製造方法。
- 前記第2の工程では、ウェットエッチングを用いて基板をオーバーエッチングすることを特徴とする請求項5に記載の光偏向器の製造方法。
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