JP2011039217A - 光偏向器及び光偏向器の製造方法 - Google Patents

光偏向器及び光偏向器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ミラーと弾性支持部を連結するための接着剤が、弾性支持部へ付着してばね定数が変化することを防止する。
【解決手段】反射膜11を有する可動板10と、可動板10とは異なる部材で、磁石40を介して可動板10取り付けるための取付部21と、取付部21に取り付けられた可動板10を所定の軸の周りに回動可能に支持する弾性支持部22と、を有する軸部材20と、を備え、取付部21は、取付面に、溝内に接着剤25が存在する溝23と、接着剤25が存在しない溝24を有しており、溝24は溝23よりも弾性支持部22に近い位置に設けられている。
【選択図】図9

Description

本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いた光偏向器及び光偏向器の製造方法に関する。
レーザ光を用いて画像描画を行うディスプレイ、プリンタ等に応用することを目的とした光偏向器においては、画像の解像度を上げるため、光走査の更なる高速化が要求されている。しかし、現状で用いられているポリゴンミラーやガルバノミラーの性能向上には限界があり、これらに置き換わる光偏向器としてMEMS(Micro Electro Mechanical System)によってシリコン基板を加工して製作したミラーデバイスが期待されている。このようなMEMSミラーは、ポリゴンミラーやガルバノミラーよりも高い共振周波数で駆動させることができるため、より解像度の高い画像形成が可能となる。
MEMSミラーは、入射光を反射するミラーと、ミラーを回動可能に支持するばね(弾性支持部)を有する。このミラーとばねを別個の構造体として形成し、後から両者を接着等の方法により一体化することによりMEMSミラーを形成する方法が知られている。例えば特許文献1〜3には、このようなミラーとばねを別部材として形成した例が記載されている。
特開2008−310043号公報 特開2006−71678号公報 特開2002−244071号公報
しかし、ミラーとばねを接着剤によって貼り合わせる場合、余分な接着剤がばねに付着して、ばね定数が変化してしまう場合がある。また、貼り合わせの際の位置合わせも難しい。特許文献3には、接着剤ではなく固定具を用いて部材同士を組み合わせることが記載されているが、固定具を作製することにより製造プロセスが増加し、コストもかかってしまう。また、固定具を付けることによるミラーの慣性モーメントの増加や、ミラーデバイスの大型化という問題もある。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、部材同士を接合するための接着剤が、弾性支持部へ付着してばね定数が変化することを防止する光偏向器及び光偏向器の製造方法を提供することである。
本発明に係る光偏向器は、反射部を有するミラーと、ミラーとは異なる部材で、ミラーを含む構造体を取り付けるための取付部と、取付部に取り付けられたミラーを所定の軸の周りに回動可能に支持する弾性支持部とを有する軸部材とを備え、取付部は、ミラーの取付面に、溝内に接着剤が存在する第1の溝と、接着剤が存在しない第2の溝を有しており、第2の溝は前記第1の溝よりも前記弾性支持部に近い位置に設けられている。
これにより、取付部に接着剤を介してミラーを含む構造体を接合する際、第1の溝から溢れた接着剤が第2の溝に流れる。第2の溝は第1の溝よりも弾性支持部に近い位置に設けられているため、接着剤が、弾性支持部へ付着してばね定数が変化することを防止できる。
また、第1の溝または第2の溝の少なくとも一方が複数形成されていることが望ましい。
第1の溝が複数形成されることにより、取付部とミラーを含む構造体との接着面積が広がり接着強度が高くなる。また、第2の溝を複数形成することにより、確実に接着剤の溢れた分を回収できる。
また、第1の溝及び第2の溝が前記取付部の外縁に沿って配置されていることが望ましい。
これにより、貼り合わせの際に、ミラーを含む構造体の外縁と合わせることにより、位置合わせをすることができる。
また、第1の溝と第2の溝が連結していてもよい。
第1の溝と第2の溝を1つの溝として形成することにより、接着面積を広げる効果がある。
また、第1の溝及び第2の溝の表面にシリコン(111)面が現れていることが望ましい。
KOHなどのウェットエッチングでは、シリコンの結晶面方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成され、軸部材を形成するのと同時に、簡易に溝を形成することができる。
本発明に係る光偏向器の製造方法は、ミラーを形成する工程と、ミラーとは異なる部材で、ミラーを含む構造体を取り付けるための取付部と、取付部に取り付けられたミラーを所定の軸の周りに回動可能に支持する弾性支持部と、を有する軸部材を形成する工程と、取付部にミラーを含む構造体を取付ける工程と、を備え、軸部材を形成する工程では、取付部のミラーを含む構造体の取付面に、第1の溝と第2の溝を、第2の溝が第1の溝よりも弾性支持部に近い位置に配置されるように形成し、取付部にミラーを含む構造体を取付ける工程では、第1の溝に接着剤を配し、取付部とミラーを含む構造体を貼り合わせる、ものである。
これにより、取付部に接着剤を介してミラーを含む構造体を接合する際、第1の溝から溢れた接着剤が第2の溝に流れる。第2の溝は第1の溝よりも弾性支持部に近い位置に設けられているため、接着剤が、弾性支持部へ付着してばね定数が変化することを防止できる。
また、第1の溝及び第2の溝は、ウェットエッチングにより形成することが望ましい。
KOHなどのウェットエッチングでは、シリコンの結晶面方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成され、軸部材を形成するのと同時に、簡易に溝を形成することができる。
実施の形態1による光偏向器の概略構成を示す上面図である。 実施の形態1による軸部材及び支持部材を示す上面図である。 図3(a)は実施の形態1による可動板の上面図、図3(b)は実施の形態1による可動板の下面図である。 図1のI−I線における断面図である。 図5(A)〜図5(J)は、実施の形態1による光偏向器の製造方法を説明する断面図である。 図6(A)〜図6(D)は、実施の形態1による光偏向器の製造方法を説明する断面図である。 溝の拡大図である。 図8(A)、図8(B)は、実施の形態1による光偏向器の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態1による光偏向器の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態1による溝の配置の他の例を示す平面図である。 実施の形態2による軸部材及び支持部材を示す上面図である。 図12(A)〜図12(J)は、実施の形態2による光偏向器の製造方法を説明する断面図である。 図13(A)、図13(B)は、実施の形態2による光偏向器の製造方法を説明する平面図である。 図14(A)〜図14(C)は、実施の形態2による溝の配置の他の例を示す平面図である。 図15(a)は実施の形態3による可動板の上面図、図15(b)は実施の形態3による可動板の下面図である。 実施の形態3による光偏向器の概略構成を示す側方断面図である。 実施の形態3による光偏向器の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態3の他の例による光偏向器の製造方法を説明する断面図である。 本発明に係る光偏向器を用いた表示装置の概略構成図である。
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1による、光偏向器1の概略構成を示す上面図である。
図1に示すように、光偏向器1は、可動板(ミラー)10、軸部材20、支持部材30を備えている。可動板10と軸部材20は異なる部材として形成されており、可動板10は軸部材20上に取り付けられている。なお、軸部材20と支持部材30とは、略同一平面となるように一体形成されるのが好ましい。
図2は、図1に示した軸部材20及び支持部材30を示す上面図である。図2に示すように、軸部材20は、略中央に配置される板状の取付部21と、支持部材30に対して取付部21を軸部材20の中心軸である軸A周りに回動可能に支持する一対の弾性支持部22とを有する。
取付部21の上面には、溝(第1の溝)23と溝(第2の溝)24が形成されている。図2の例では、溝23は4個設けられており、溝24は12個設けられている。各々の溝23は3個の溝24に周囲を囲まれるように配置されている。また、溝23には、接着剤25が充填されている。
支持部材30は、軸部材20を支持し、一対の弾性支持部22にそれぞれ接続され、軸部材20の両端を固定する固定部31と、固定部31同士を連結する枠部(フレーム)32とを有する。本実施形態では、支持部材30は固定部31と枠部32とを有するように構成したが、これに限定されず、固定部31のみを有し、枠部32はない構成であってもよい。
軸部材20における取付部21及び弾性支持部22は、例えばシリコン基板をエッチング加工することにより、一体形成することができる。また、この時同時に溝23、溝24もエッチングにより形成することができる。また、軸部材20と支持部材30とを一体形成する場合も、同様にシリコン基板をエッチング加工することにより、一体形成することができる。
図3(a)は、図1に示した可動板10の上面図、図3(b)は可動板10の下面図である。図3(a)に示すように、可動板10の上面には、入射した光を反射する反射膜(反射部)11が成膜されている。可動板10は、例えばシリコン基板をエッチング加工して所定の形状に成形することにより形成する。反射膜11は、可動板10の上面に、真空蒸着、スパッタリング、金属箔の接合などの成膜方法を施すことにより、成膜することができる。
図3(b)に示すように、可動板10の下面の略中心部に凹部12が形成されている。凹部12は、例えばシリコン基板をエッチング加工することにより形成される。
なお、本実施形態では、可動板10の平面形状として円形のものを示したが、これに限定されず、光偏向器1の可動板10として求められる役割を果たす限り、楕円形、矩形、多角形などの他の形状であってもよい。
図4は、図1に示したI−I線における断面図である。なお、図1に示したI−I線は軸Aから所定距離ずらして配置している。図4に示すように、取付部21の一方の面(図4において上側の面)には、溝23に充填された接着剤25を介して磁石40が接合されている。なお、磁石40として永久磁石を用いるのが好ましい。
磁石40の上部は、可動板10の凹部12に嵌合されており、図示しない接着剤を介して可動板10が接合されている。このようにして、可動板10が磁石40を介して取付部21に設けられる。ここで、取付部21と可動板10との間に磁石40の厚さ分だけ空間(スペース)が形成される。よって、磁石40の厚さを適切な値に設定することにより、光偏向器1は、取付部21とともに可動板10が軸A周りに揺動するときに、可動板10と枠部(フレーム)32とが接触しない構造にすることが可能となる。例えば、可動板10の直径が2mm、厚さが200μm、支持部材30の厚さが200μmの場合に、磁石40の厚さを400μmに設定すると、可動板10が軸A周りに揺動するときの振れ角を40度にしても、可動板10は枠部(フレーム)32に接触しない。
なお、凹部12の形状は、平面視したときに磁石40と略同一の形状に成形されるのが好ましい。また、取付部21の形状も、平面視したときに磁石40と略同一の形状に成形されるのが好ましい。
図1に示したように光偏向器1を平面視したときに、可動板10は、取付部21と取付部21の上面に設けられる磁石40とを覆い隠すように、取付部21及び磁石40より大きい面積を有する。ここで、弾性支持部22は取付部21に接続され、取付部21は可動板10より面積が小さいので、図4に示すように、光偏向器1は、弾性支持部22が可動板10の端部より部分Bだけ内側に入り込む構造になる。
また、光偏向器1を平面視したときに、磁石40は、軸Aに直交する方向(図1におけるY軸方向)に磁化されている。すなわち、磁石40は、軸Aを介して対向する互いに極性の異なる一対の磁極を有している。本実施形態では、磁石40を、可動板10及び軸部材20と異なる部材として説明したが、これに限定されず、可動板10又は軸部材20と一体形成してもよい。この場合、磁石40は、可動板10又は取付部21の面にスパッタリングなどの成膜方法を施すことにより形成される。
図4に示すように、支持部材30は、図示しない接着剤を介してホルダ50に接合されており、ホルダ50の底部51上には、取付部21を揺動させるためのコイル41が配置されている。コイル41は本発明の駆動手段に相当する。コイル41には、図示しない電源から所定周波数の交流電流が供給される。これにより、コイル41は上方(可動板11側)に向く磁界と、下方に向く磁界とを交互に発生させる。これにより、コイル41に対して磁石40の一対の磁極のうち一方の磁極が接近し他方の磁極が離間するようにして、弾性支持部22をねじれ変形させながら、取付部21と取付部21に設けられた可動板10及び磁石40が、軸A回りに揺動させられる。
コイル41に供給される交流電流の所定周波数は、可動板10、軸部材20、及び磁石40から構成される振動系の振動数(ねじり共振周波数)とほぼ一致するように設定するのが好ましい。このように共振を利用することで、取付部21を軸A周りに揺動させるときに、少ない消費電力で振れ角を大きくすることができる。
本実施形態では、磁石40とコイル41との間の電磁力を利用した駆動方式を示したが、これに限定されず、強磁性体に相当する磁石40と、磁界発生手段に相当するコイル41及び電源との間に駆動力を発生させるように構成されていればよい。また、光偏向器1は、取付部21に磁石40に代わる剛性部材が設けられていれば、静電引力を利用した方式や、圧電素子を駆動手段として利用した駆動方式を採用してもよい。例えば、静電引力を利用した方式の場合には、磁石40は不要であり、コイル41の代わりに、ホルダ50の底部51における取付部21に対向する位置に、1つ又は複数の電極が設置される。そして、取付部21と当該電極との間に所定周波数の交流電圧を印加することにより、取付部21と電極との間に静電引力を発生させ、弾性支持部22をねじれ変形させながら、取付部21と取付部21に設けられた可動板10及び磁石40とが、軸A周りに揺動させられる。
次に、本実施形態による光偏向器1の製造方法について説明する。
まず、図5及び6を用いて、軸部材20及び支持部材30の形成方法について説明する。なお、図5及び6は、図2に示したII−II線における断面を示している。また、図5,6において、基板70の裏面(図5、6の下側)は、磁石40及び可動板10を取付ける側の面(図2に示す面)である。
図5(A)に示すように、例えば、シリコンからなる基板70を用意する。そして、図5(B)に示すように、熱酸化により、基板70の両面に、二酸化シリコンからなるマスク71,72を形成する。
次に、図5(C)に示すように、基板70の表面側のマスク71上にレジスト73を形成する。レジストは、ポジ型であってもネガ型であってもよい。続いて、図5(D)に示すように、基板70の裏面側のマスク72上にレジスト74を形成する。
次に、図5(E)に示すように、基板70の裏面側のレジスト74を露光及び現像して、レジスト74に所定の開口パターンP2を形成する。開口パターンP2は、取付部21、弾性支持部22、固定部31、及び枠部32以外の領域を開口するとともに、溝23、24を形成するためのパターンである。
次に、図5(F)に示すように、レジスト74をマスクとして裏面側のマスク72をエッチングする。これにより、レジスト74の開口パターンP2が、マスク72に転写される。マスク72のエッチングには、例えばバッファードフッ酸(BHF)が用いられる。
次に、図5(G)に示すように、基板70両面のレジスト73,74を除去する。レジスト73,74の除去には、硫酸洗浄又はアッシングが用いられる。
次に、図5(H)に示すように、基板70の裏面側に再度、レジスト74を形成する。さらに、図5(I)に示すように、基板70の表面側に再度、レジスト73を形成する。
次に、図5(J)に示すように、基板70の表面側のレジスト73を露光及び現像して、レジスト73に所定の開口パターンP1を形成する。開口パターンP1は、取付部21、弾性支持部22、固定部31、及び枠部32以外の領域を開口するためのパターンである。
次に、図6(A)に示すように、レジスト73をマスクとして表面側のマスク71をエッチングする。これにより、レジスト73の開口パターンP1が、マスク71に転写される。マスク71のエッチングには、例えばバッファードフッ酸(BHF)が用いられる。
次に、図6(B)に示すように、基板70両面のレジスト73,74を除去する。レジスト73,74の除去には、硫酸洗浄又はアッシングが用いられる。
次に、図6(C)に示すように、マスク71,72を用いて、基板70をエッチングする。これにより、基板70に貫通孔が形成されて、取付部21、弾性支持部22、固定部31、及び枠部32のパターンが形成される。また、取付部21の裏面には溝23、溝24が形成される。基板70のエッチングには、ドライエッチング又はウェットエッチングのいずれも適用可能であるが、例えば、KOHを用いたウェットエッチングを用いる。KOHなどのウェットエッチングでは、シリコンの結晶面方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成される。なお、本実施形態では、マスク71、72は除去せずに残しているが、マスク71,72を除去してもよい。マスクの除去は、SiO2マスクの場合には希フッ酸やバッファードフッ酸等によるウェットエッチング、あるいは、CF4ガスを用いたドライエッチングによって行うことができる。
次に、図6(D)に示すように、溝23に接着剤25を充填する。図7は、溝23を拡大して示した図である。KOHなどのウェットエッチングを行うことにより、シリコンの結晶面方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成される。なお、基板70の厚みが200〜300μmであるとすると、溝23の幅Wは20〜40μm程度に形成することが望ましい。基板70の厚みをTとすると、W≦Ttanθであれば、溝23は基板70を貫通しない。また、溝24の形状とパターンも溝23と同様である。なお、図8(A)に、基板70の表面側のマスク71のパターンを示す平面図、図8(B)に、基板70の下面側のマスク72のパターンを示す平面図を示す。
次に、図9に示すように、取付部21に磁石40と可動板10を接着する。まず、磁石40を取付部21の貼り合わせ面に載せ、接着剤25を硬化させることにより、取付部21に磁石40を接着する。この時、溝23から溢れた接着剤25は、溝23を囲む溝24に流れ込む。このため、溝24に囲まれた周囲の外側に接着剤25が流れることを極力防止できる。特に、弾性支持部22と溝23の間に溝24が存在することで、接着剤25が弾性支持部22に付着することを防止できる。これにより、弾性支持部22に接着剤25が付着して弾性支持部22のばね定数が変化し、可動板10の回動する角度などが影響を受けることを防止できる。
また、磁石40の貼り合わせ面の形状と取付部21の貼り合わせ面の形状を同一にしておけば、位置あわせが容易になる。続いて、磁石40の取付部21に接着している面と反対側の面と、可動板10の裏面とを接着剤を介して貼り合わせる。この時、磁石40を可動板10の裏面の凹部12に嵌合するようにして接合させるため、容易に位置あわせを行うことができる。なお、可動板10と磁石40を接合してから、可動板10と磁石40からなる構造体を取付部21に取付けてもよい。
さらに、図9に示す構造体をホルダ50に取り付けることにより、光偏向器1が製造される。
以上のように、本実施形態によれば、軸部材20の取付部21に、接着剤25充填用の溝23と、溝23を囲むように配置された溝24を形成するようにしたので、取付部21に接着剤25を介して磁石40等の他の構造体を接合する際、溢れた接着剤25が溝24に流れる。特に、溝23と弾性支持部22の間に溝24が存在することにより、接着剤25が、弾性支持部22へ付着してばね定数が変化することを防止できる。
なお、溝23、24の配置は図2に示すものに限られず、溝23よりも弾性支持部22に近い位置に溝24が存在して、弾性支持部22に接着剤25が付着することを防止できる配置であればよい。例えば図10に示すような配置であってもよい。なお、取付部21と弾性支持部22の連結部付近は、強度を保つために溝23、24を設けないことが望ましい。また、可動板10の回動の精度を保つため、溝23、24の配置は、図1のX軸及びY軸に対して対称であることが望ましい。
また、溝23、24を取付部21の外縁に沿って設けることにより、磁石40の外縁を利用して容易に位置合わせを行うことができる。
実施の形態2.
図11は、実施の形態2による軸部材20及び支持部材30を示す上面図である。なお、実施の形態1による光偏向器1と同一または対応する構成は同一の符号をもって表し、その説明を省略する。
図11に示すように、実施の形態2では、取付部21に形成された溝23、24は、1つの長い溝として連結されている。溝23は長い溝の中央部付近に相当し、溝23の両脇に、溝23を挟むようにして溝24が設けられている。なお、溝23、24の形状の違い以外は、実施の形態1と同様である。
次に、本実施形態による光偏向器1の製造方法について説明する。
まず、図12は、図11に示したII−II線における断面を示している。また、図12において、基板70の裏面(図12の下側)は、磁石40及び可動板10を取付ける側の面(図12に示す面)である。
図12(A)は、実施の形態1の図6(B)に相当する工程の断面図であり、軸部材20及び支持部材30の構造と、溝23、24を形成するためのエッチングマスク71、72のパターンを形成した状態を示している。なお、図13(A)に、基板70の表面側のマスク71のパターンを示す平面図、図13(B)に、基板70の下面側のマスク72のパターンを示す平面図を示す。
図12(B)に示すように、マスク71,72を用いて、基板70をエッチングする。これにより、基板70に貫通孔が形成されて、取付部21、弾性支持部22、固定部31、及び枠部32のパターンが形成される。また、取付部21の裏面には長い溝が形成される。この長い溝の中央部付近が溝23に該当し、溝23の両脇が溝24に該当する。基板70のエッチングには、ドライエッチング又はウェットエッチングのいずれも適用可能であるが、例えば、KOHを用いたウェットエッチングを用いる。KOHなどのウェットエッチングでは、シリコンの結晶面方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成される。
次に、図12(C)に示すように、溝23の領域にのみ接着剤25を載せる。
次に、図12(D)に示すように、取付部21に磁石40と可動板10を接着する。まず、磁石40を取付部21の貼り合わせ面に載せ、接着剤25を硬化させることにより、取付部21に磁石40を接着する。この時、溝23の領域に置かれていた接着剤25が広がり、溝24の領域にも流れる。このため、長い溝の外に接着剤25が流れることを極力防止できる。特に、弾性支持部22と溝23の間に溝24が存在することで、接着剤25が弾性支持部22に付着することを防止できる。これにより、弾性支持部22に接着剤25が付着して弾性支持部22のばね定数が変化し、可動板10の回動する角度などが影響を受けることを防止できる。
以上のように、実施の形態2のように溝23と24を1つの長い溝として形成しても、実施の形態1と同様の効果が得られる。実施の形態2の構成では、接着剤25の表面積が比較的広くなるため、取付部21と磁石40との接着面積が大きくなり、接着強度を高めることができる。
なお、溝23、24の配置は図11に示すものに限られず、溝23よりも弾性支持部22に近い位置に溝24が存在して、弾性支持部22に接着剤25が付着することを防止できる配置であればよい。例えば図14(A)〜(C)に示すような配置であってもよい。例えば、図14(A)に示す例は、接着面積を大きくできるという特徴がある。図14(B)の例は、接着部が弾性支持部22から離れているため、弾性支持部22への影響が少ない。また、取付部21の回転軸Aから最も離れたところに溝を設けて軽量化することにより、慣性モーメントを軽減する効果もある。図14(C)の例は、溝がコの字型に形成されており、磁石40の角部と合わせることにより、貼り合わせ時の位置合わせに利用することができる。
なお、取付部21と弾性支持部22の連結部付近は、強度を保つために溝を設けないことが望ましい。また、可動板10の回動の精度を保つため、溝23、24の配置は、図1のX軸及びY軸に対して対称であることが望ましい。
実施の形態3.
図15(a)は、実施の形態3による可動板10の上面図、図15(b)は可動板10の下面図である。なお、実施の形態1による光偏向器1と同一または対応する構成は同一の符号をもって表し、その説明を省略する。
図15(a)に示すように、可動板10の表面には、実施の形態1と同様に、入射した光を反射する反射膜11が成膜されている。また、図15(b)に示すように、可動板10の裏面には、略中心部に介在部材13が設けられている。介在部材13は、例えばシリコン基板をエッチング加工することにより、可動板10と一体形成されてもよいし、可動板10とは異なる部材として形成し、接着剤などで可動板10の裏面に接合されてもよい。なお、介在部材13の形状は、平面視したときに取付部21と略同一の形状に成形されるのが好ましい。
図16は、実施の形態3による光偏向器1の概略構成を示す側方断面図である。図16は実施の形態1の図4と同様の断面を表している。図6に示すように、取付部21の一方の面(図6において下側の面)には、図示しない接着剤を介して磁石40が接合されている。また、取付部21の他方の面(図6において上側の面)には、図示しない接着剤を介して介在部材13が接合されている。これにより、可動板10が介在部材13を介して取付部21に連結される。ここで、取付部21と可動板10との間に介在部材13の厚さ分だけ空間(スペース)が形成される。よって、介在部材13の厚さを適切な値に設定することにより、光偏向器1は、取付部21とともに可動板10が軸A周りに揺動するときに、可動板10と枠部(フレーム)32とが接触しない構造にすることが可能となる。なお、本実施形態では、可動板10が介在部材13を介して取付部21に設けられるようにしたが、これに限定されず、可動板10を取付部21の他方の面に直接設けるようにしてもよい。
実施の形態3では、実施の形態1と同様に、軸部材20の取付部21には溝23、24が設けられている。
図17は、実施の形態1の図9に対応する断面図である。図に示すように、実施の形態3では、取付部21の両面に溝23、24が設けられ、下側面には磁石40が、上側面には介在部材13が接合されている。なお、実施の形態3では、基板70の両面に溝23、24を形成するため、エッチングを行う際、両側の溝同士が繋がって貫通孔になってしまうのを避けるためには、基板70の厚みをTとすると、溝の幅Wha,W≦T/2tanθとする必要がある。
以上のように、実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に軸部材20の取付部21に、接着剤25充填用の溝23と、溝23を囲むように配置された溝24を形成するようにしたので、取付部21に接着剤25を介して磁石40及び可動板10を接合する際、溢れた接着剤25が溝24に流れる。特に、溝23と弾性支持部22の間に溝24が存在することにより、接着剤25が、弾性支持部22へ付着してばね定数が変化することを防止できる。
なお、溝23、24の配置は、実施の形態1と同様に、溝23よりも弾性支持部22に近い位置に溝24が存在して、弾性支持部22に接着剤25が付着することを防止できる配置であればよい。
また、実施の形態2と同様に、溝23、24が1つの長い溝として形成されていてもよい。図18は、実施の形態2の図12(D)に対応する断面図である。図に示すように、実施の形態3では、取付部21の両面に溝23、24が設けられ、下側面には磁石40が、上側面には介在部材13が接合されている。さらに、溝23、24は、例えば図14(A)〜(C)に示すような配置であってもよい。
(表示装置)
本発明に係る光偏向器1の応用例として、投射型の表示装置を説明する。図19は、投射型の表示装置の概略構成を示す図である。図19に示す光走査装置は、水平走査ミラーとして本発明に係る光偏向器1を用いている。
図19に示す光走査装置は、光偏向器1の他に、レーザ光源101と、ダイクロイックミラー102と、フォトダイオード103と、垂直ミラー104とを備える。
レーザ光源101は、赤色レーザ光を出射する赤色レーザ光源101Rと、青色レーザ光を出射する青色レーザ光源101Bと、緑色レーザ光を出射する緑色レーザ光源101Gとを有する。ただし、2色以下又は4色以上のレーザ光源を用いてもよい。
ダイクロイックミラー102は、赤色レーザ光源101Rからの赤色レーザ光を反射するダイクロイックミラー102Rと、青色レーザ光を反射し赤色レーザ光を透過させるダイクロイックミラー102Bと、緑色レーザ光を反射し青色レーザ光及び赤色レーザ光を透過させるダイクロイックミラー102Gとを有する。この3種のダイクロイックミラー102により、赤色レーザ光、青色レーザ光、及び緑色レーザ光の合成光が振動ミラー1に入射する。
フォトダイオード103は、各ダイクロイックミラー102R,102G,102Bに反射されずに透過した赤色レーザ光、緑色レーザ光、青色レーザ光の光量を検出する。
光偏向器1は、ダイクロイックミラー102から送られたレーザ光を水平方向(軸線Xの垂直方向)に走査する。光偏向器1は、上述したように、MEMSにより形成された、共振型ミラーである。
垂直ミラー104は、光偏向器1により反射されたレーザ光を垂直方向に走査する。垂直ミラー104は、例えば、ガルバノミラーにより構成される。ガルバノミラーとはミラーに軸を付け、電気振動に応じてミラーの回動角を変えられるようにした偏向器である。光偏向器1によるレーザ光の水平走査、及び垂直ミラー104によるレーザ光の垂直走査により画像が表示される。
本実施形態に係る光走査装置は、上記のレーザ光源101、光偏向器1、垂直ミラー104の駆動制御系として、さらに、レーザ光源101を駆動するレーザ駆動手段110と、光偏向器1を駆動する水平ミラー駆動手段111と、垂直ミラー104を駆動する垂直ミラー駆動手段112と、全体の動作の制御を担う制御手段113と、記憶手段114とを有する。
制御手段113は、パーソナルコンピュータや携帯電話等の各種の映像ソース115から送られた画像情報に基づいて、これらの画像を表示すべく、レーザ駆動手段110、水平ミラー駆動手段111、垂直ミラー駆動手段112の動作を制御する。
記憶手段114は、例えば、各種のプログラムを収納するROMと、変数等を収納するRAMと、不揮発性メモリとにより構成される。
本実施形態に係る光偏向器1を表示装置に適用することにより、表示性能の良好な表示装置を実現できる。
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、可動板は円形以外の多角形でもよい。また、実施の形態1〜3では、1次元1自由度で駆動するタイプの可動板を例示したが、2次元に駆動するタイプの可動板であってもよく、また、1次元2自由度で駆動するタイプの可動板であってもよい。2次元に駆動するタイプの振動ミラーを用いた場合には、垂直ミラー104は不要である。
また、光偏向器1は、表示装置以外にもレーザプリンタ等に適用可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
1 光偏向器、10 可動板、11 反射膜、12 凹部、13 介在部材、20 軸部材、21 取付部、22 弾性支持部、23 溝、24 溝、25 接着剤、30 支持部材、31 固定部、32 枠部、40 磁石、41 コイル、50 ホルダ、51 底部、70 基板、71 マスク、72 マスク、73 レジスト、74 レジスト、101 レーザ光源、101R 赤色レーザ光源、101B 青色レーザ光源、101G 緑色レーザ光源、102 ダイクロイックミラー、102R ダイクロイックミラー、102B ダイクロイックミラー、102G ダイクロイックミラー、103 フォトダイオード、103R フォトダイオード、103B フォトダイオード、103G フォトダイオード、104 垂直ミラー、110 レーザ駆動手段、111 水平ミラー駆動手段、112 垂直ミラー駆動手段、113 制御手段、114 記憶手段、115 映像ソース、P1 開口パターン、P2 開口パターン、A 軸

Claims (7)

  1. 反射部を有するミラーと、
    前記ミラーとは異なる部材で、前記ミラーを含む構造体を取り付けるための取付部と、前記取付部に取り付けられた前記ミラーを所定の軸の周りに回動可能に支持する弾性支持部と、を有する軸部材と、を備え
    前記取付部は、前記ミラーの取付面に、溝内に接着剤が存在する第1の溝と、接着剤が存在しない第2の溝を有しており、前記第2の溝は前記第1の溝よりも前記弾性支持部に近い位置に設けられている、光偏向器。
  2. 請求項1に記載の光偏向器であって、
    前記第1の溝または前記第2の溝の少なくとも一方が複数形成されている、光偏向器。
  3. 請求項1又は2に記載の光偏向器であって、
    前記第1の溝及び前記第2の溝が前記取付部の外縁に沿って配置されている、光偏向器。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光偏向器であって、
    前記第1の溝と前記第2の溝が連結している、光偏向器。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光偏向器であって、
    前記第1の溝及び前記第2の溝の表面にシリコン(111)面が現れている、光偏向器。
  6. ミラーを形成する工程と、
    前記ミラーとは異なる部材で、前記ミラーを含む構造体を取り付けるための取付部と、前記取付部に取り付けられた前記ミラーを所定の軸の周りに回動可能に支持する弾性支持部と、を有する軸部材を形成する工程と、
    前記取付部に前記ミラーを含む構造体を取付ける工程と、を備え、
    前記軸部材を形成する工程では、前記取付部の前記ミラーを含む構造体の取付面に、第1の溝と第2の溝を、前記第2の溝が前記第1の溝よりも前記弾性支持部に近い位置に配置されるように形成し、
    前記取付部に前記ミラーを含む構造体を取付ける工程では、前記第1の溝に接着剤を配し、前記取付部と前記ミラーを含む構造体を貼り合わせる、光偏向器の製造方法。
  7. 請求項6に記載の光偏向器の製造方法において、
    前記第1の溝及び前記第2の溝は、ウェットエッチングにより形成する、光偏向器の製造方法。
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