JP2010085705A - 拡大観察装置及び拡大観察装置用治具 - Google Patents

拡大観察装置及び拡大観察装置用治具 Download PDF

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真輔 井上
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Abstract

【課題】大きさの異なる観察対象物を観察する場合にも、容易に事前準備を行うことが可能な拡大観察装置及び拡大観察装置用治具を提供する。
【解決手段】拡大観察装置1は、少なくとも一部が透明部26cとされるとともに、透明部26cの上面26a側に観察領域Aが設定される透明板26と、透明板26の下面26b側に固定され、透明部26cに対して下面26b側から斜めに入射する照射光を出射可能な照明手段30と、透明板26の下方に配置され、透明部26cの上面26aに近接又は当接するようにして観察領域A内に位置決めされたワークWの観察対象部分を透明部26c越しに撮像可能なマイクロスコープ11と、マイクロスコープ11によって撮像された画像を表示可能な表示手段20とを備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、拡大観察装置及び拡大観察装置用治具に関するものである。
従来、納品チェック時などにワーク(観察対象物)が適切に加工されているかを検査するために、寸法測定等を伴う目視観察が行われている。こうした目視観察を行う際に、ワークの微細な状態を観察するために、例えば特許文献1に挙げられる拡大観察装置が用いられている。
特許文献1の拡大観察装置においては、観察台上に載置されたワークの観察対象部分である上面を、固定具を備えたスタンドに支持されることで観察台の上方に配置されたマイクロスコープ(撮像手段)によって撮像して制御装置に取り込み、制御装置において拡大等の処理を施した画像をモニタ(表示手段)に表示させて目視観察を行うようにしていた。そして、マイクロスコープの観察倍率が低倍率と高倍率とに切り換え可能になっている場合には、モニタに表示された拡大画像を見ながら、まず低倍率でピントが合うように固定具及びマイクロスコープを上下に移動させてワークの観察対象部分とマイクロスコープとの距離が適切な作動距離となるように調整した後に、高倍率に切り換えて目視観察を行っていた。
特開2008−32645号公報
ところで、特許文献1の拡大観察装置において大きさ(高さ)の異なるワークを観察する際には、その都度、固定具及びマイクロスコープを移動させて作動距離を調整するという作業が事前準備として必要であった。すなわち、従来の拡大観察装置においては、ワークの大きさ(高さ)が異なると、観察対象部分とマイクロスコープとの距離が変化してしまうため、ピントを合わせるための調整作業を行う必要があった。
こうした調整作業においては、モニタでピントがあっているかを確認しながら手元の固定具を操作する必要があるため、調整に時間がかかっていた。そのため、こうした調整作業を伴う事前準備時間を短縮することが、検査効率を向上させるにあたっての大きな課題となっていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、大きさの異なる観察対象物を観察する場合にも、容易に事前準備を行うことが可能な拡大観察装置及び拡大観察装置用治具を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の拡大観察装置は、少なくとも一部が光透過領域とされるとともに、該光透過領域の上面側に観察領域が設定される位置決め部材と、該位置決め部材の下面側に固定され、該位置決め部材の前記光透過領域に対して前記位置決め部材の下面側から斜めに入射する照射光を出射可能な照明手段と、前記位置決め部材の下方に配置され、前記光透過領域の上面に近接又は当接するようにして前記観察領域内に位置決めされた観察対象物の観察対象部分を前記光透過領域越しに撮像可能な撮像手段と、該撮像手段によって撮像された画像を表示可能な表示手段とを備えた。
この構成によれば、撮像手段は位置決め部材における光透過領域の上面側に設定された観察領域内の観察対象物を光透過領域越しに撮像するので、位置決め部材の上面から倍率に応じた作動距離となるように離間した位置に撮像手段を予め配置しておくことが可能となる。すなわち、位置決め部材の上面に近接又は当接するようにして観察領域内に観察対象物の観察対象部分を位置決めすることで、大きさ(高さ)の異なる観察対象物を観察する場合であっても、撮像手段を動かして作動距離の調整を行う必要がない。
なお、観察対象部分が平坦である場合には、観察領域が上面側に設定された位置決め部材の光透過領域に観察対象部分が当接するように観察対象物を載置することで、容易に観察対象物の位置決めを行うことができる。また、観察対象部分が平坦でない場合にも、観察対象物を直接目視しながら位置決めを行うことができるので、表示手段に表示された画像を確認しながらピントを合わせるよりも、容易に調整を行うことができる。さらに、照明手段も位置決め部材の下面側に固定されているので、照明手段の位置調整を行う必要もない。したがって、大きさの異なる観察対象物を観察する場合にも、容易に事前準備を行うことが可能となる。
また、照明手段が光透過領域に対して垂直に入射する照明光を出射した場合には、光透過領域の表面で反射した光が撮像手段に入射してハレーション(映り込み)が生じてしまう虞がある。そして、こうした映り込みが生じる状況下では、良好な画像を得るために照明手段の位置等を調整したり、撮像した画像に対して処理を施したりする必要があった。しかし、上記構成では、照明手段が光透過領域に対して位置決め部材の下面側から斜めに入射する照射光を出射可能であることから、簡易な構成で映り込みを抑制して、良好な画像を得ることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の拡大観察装置において、前記照明手段は、前記位置決め部材の前記透明部に対する前記照射光の入射角度が異なる複数の光出射手段を有する。
この構成により、位置決め部材の光透過領域に対して照射光の入射角度が異なる複数の光出射手段を有する照明手段によって、より広い範囲を照明することが可能となる。したがって、照明手段の位置調整を行うことなく、適切な拡大画像を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の拡大観察装置において、前記照明手段は、前記位置決め部材の前記光透過領域に対して相対向する方向から前記照射光を出射する複数の光出射手段を有する。
この構成により、位置決め部材の光透過領域に対して相対向する方向から照射光を出射する複数の光出射手段を有する照明手段によって影の発生を抑制し、観察領域を満遍なく照明することが可能となる。したがって、照明手段の位置調整を行うことなく、適切な拡大画像を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の拡大観察装置において、前記位置決め部材は透明板からなる。
この構成により、位置決め部材は全体が光透過領域とされる透明板からなるので、任意の位置に観察領域を設定することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の拡大観察装置において、前記位置決め部材における前記光透過領域の上面側には、グリッドが記されている。
この構成により、撮像手段により観察領域を撮像した場合には、観察対象物とともにグリッドも等倍率で撮像されるため、表示手段に表示された画像の拡大倍率にかかわらず、実際のサイズを視覚的に把握することができる。したがって、特に撮像手段の観察倍率を変更しながら観察を行う場合には、サイズの誤認を抑制しつつ、拡大観察を行うことが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の拡大観察装置において、前記観察対象物の観察対象部分が前記位置決め部材における前記光透過領域の上面側に近接又は当接するように、前記観察対象物を保持する保持部材をさらに備えた。
この構成により、位置決め部材における光透過領域の上面側に観察対象部分が近接又は当接するように保持部材によって観察対象物を保持することで、観察対象物の位置ずれを抑制することができる。さらに、観察対象物の観察対象部分が平坦でない場合にも、保持部材によって観察対象物を保持することで、確実に位置決めを行うことができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の拡大観察装置において、支柱部材と、該支柱部材に対して前記撮像手段を固定する第1固定具と、前記支柱部材に対して前記位置決め部材を固定する第2固定具と、前記第1固定具及び前記固定具の少なくとも一方を前記支柱部材に対して多段階に位置決めするための位置決め機構とをさらに備えた。
この構成により、第1固定具及び第2固定具の少なくとも一方は、位置決め機構によって支柱部材に対して多段階に位置決めされる。すなわち、撮像手段と位置決め部材とが倍率に対応した作動距離となるように位置決め機構によって第1,第2固定具を位置決めするとともに、この位置決めを多段階にすることによって、複数の倍率に対応した作動距離を容易に設定することが可能となる。したがって、撮像手段の倍率を変更した場合にも、容易に事前準備を行うことが可能となる。
上記課題を解決するために、請求項8に記載の拡大観察装置用治具は、少なくとも一部が光透過領域とされるとともに、該光透過領域の上面側に観察領域が設定される位置決め部材と、該位置決め部材の下面側に固定され、該位置決め部材の前記光透過領域に対して前記位置決め部材の下面側から斜めに入射する照射光を出射可能な照明手段と、前記位置決め部材を保持可能であるとともに、前記光透過領域の上面に近接又は当接するようにして前記観察領域内に位置決めされた観察対象物の観察対象部分を前記光透過領域越しに撮像可能な撮像手段を前記位置決め部材の下方となる位置に保持可能な保持手段とを備えた。
この構成により、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の拡大観察装置用治具において、前記保持手段は、支柱部材と、該支柱部材に対して前記撮像手段を固定する第1固定具と、前記支柱部材に対して前記位置決め部材を固定する第2固定具と、前記第1固定具及び前記固定具の少なくとも一方を前記支柱部材に対して多段階に位置決めするための位置決め機構とを備えた。
この構成により、請求項7と同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、大きさの異なる観察対象物を観察する場合にも、容易に事前準備を行うことが可能な拡大観察装置及び拡大観察装置用治具を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1は一実施形態の拡大観察装置の構成を示す模式図であり、図2は位置決め部材の一部平面図である。そして、拡大観察装置1は、撮像装置100と、観察対象物としてのワークWを支持する支持装置200と、照明装置300とを備えている。
まず、撮像装置100の構成について、図1に基づいて説明する。
撮像装置100は、撮像手段としてのマイクロスコープ11を備えている。マイクロスコープ11はカメラ本体12とカメラ本体12の先端側に取り付けられたレンズ13とを有しているとともに、カメラ本体12の側面には切り換えスイッチ14が設けられている。そして、切り換えスイッチ14を操作することにより、低倍率と高倍率(例えば50倍と80倍)とに観察倍率を切り換えることが可能となっている。
マイクロスコープ11はケーブル15を介して例えばパーソナルコンピュータで構成される制御装置16に接続されている。また、制御装置16には、ケーブル17を介して例えばマウス等の入力手段18が接続されているとともに、ケーブル19を介してモニタ等の表示手段20が接続されている。そして、制御装置16はマイクロスコープ11によって撮像された画像を表示手段20に表示させるとともに、作業者は表示手段20に表示されるポインタPを入力手段18によって操作しつつ観察を行うようになっている。
次に、マイクロスコープ11及びワークWを支持する支持装置200について図1及び図2に基づいて説明する。
図1に示すように、支持装置200は、ベースとなる基台22を有し、その基台22上には支柱部材としての支持棒23が立設されている。支持棒23における上下方向(長手方向)の中途二箇所には、第1固定具としての固定具24と第2固定具としての固定具25が各々上下方向への移動自在に支持されている。そして、マイクロスコープ11は、二つの固定具24,25のうち下側の固定具24によって、レンズ13が上方を向く姿勢態様で支持棒23に対して固定されている。
また、支持装置200における二つの固定具24,25のうち上側の固定具25は、観察台及び位置決め部材として機能する透明樹脂又はガラス板からなる透明板26を水平状態となるように支持棒23に対して固定している。透明板26の上面26a側には一定範囲の観察領域Aが設定されているとともに、マイクロスコープ11は観察領域Aが設定された光透過領域としての透明部26cの下面26bと対向する位置に、透明部26cの上面26aから倍率に応じた作動距離Lとなるように離間して配置されている。
具体的には、支持棒23には、透明板26とマイクロスコープ11とをマイクロスコープ11の観察倍率に応じて多段階に位置決めするための位置決め機構を構成する位置決め孔23a,23b,23c,23dが設けられている。また、固定具24,25は位置決め機構を構成するピン24a,25aをそれぞれ備えている。そして、固定具24はピン24aが位置決め孔23dに挿通された状態で支持棒23に対して位置決めされているとともに、固定具25はピン25aが位置決め孔23aに挿通された状態で支持棒23に対して位置決めされている。
なお、マイクロスコープ11のレンズ13を異なる倍率のもの(例えば180倍と300倍)に取り替えた場合には、いずれかの位置決め孔23a,23b,23c,23dにピン24a,25aを挿通させて固定具24,25を多段階に位置決めするだけで、取り替えたレンズ13に応じたピント調整がなされるようになっている。すなわち、位置決め孔23a,23b,23c,23dは、支持棒23において、マイクロスコープ11に取り付け可能なレンズ13に応じた作動距離Lを設定可能な位置に設けられている。
そして、本実施形態において、位置決め孔23a〜23d及びピン24a,25aからなる位置決め機構と、支持棒23と、固定具24,25とにより保持手段が構成されている。また、このように構成された保持手段と、透明板26と、照明装置300とにより拡大観察装置用治具が構成されている。
固定具25には、ワークWの観察対象部分(本実施形態では、下面部分)が観察領域Aの設定された透明部26cの上面26aに当接又は近接するように、ワークWを保持するための保持部材25bが設けられている。なお、ワークWの観察対象部分が平坦でない場合などには、ワークWを保持部材25bによって支持することが可能となっている。
すなわち作業者は、観察対象部分が透明部26cの上面26aに近接又は当接するようにして位置決めしつつ、ワークWを観察領域A内に配置する。そして、透明板26における透明部26cの上面26aから作動距離L分離間して配置されることで、観察領域Aに対してピント調整がなされたマイクロスコープ11により、観察領域A内に配置されたワークWの下面部分(観察対象部分)を透明部26c越しに撮像するようになっている。
図2に示すように、観察領域Aが設定された透明部26cの上面26aには、縦横1mmの等間隔に配置された格子状のグリッド線27が記されている。したがって、マイクロスコープ11の倍率を切り換えた場合にも、表示手段20には図1に示すように実サイズの指標となるグリッド線27がワークWとともに等倍率で表示されるので、拡大表示された観察対象部分の大きさを視覚的に把握することが可能となっている。
図1に示すように、透明板26の下面26bには、照明装置300を構成する照明手段30が固着されている。照明手段30はケーブル31を介して制御装置32に接続されているとともに、制御装置32には照明手段30を操作するための電源スイッチ33や調整ダイヤル34が備えられている。
次に、照明手段30について図3及び図4に基づいて説明する。なお、図3は拡大観察装置1における照明手段30周辺を示す断面図で、図4は照明手段30の上面図(平面図)である。
図3及び図4に示すように、照明手段30は、環状に形成されたフレーム部材35を備えている。フレーム部材35の上端面35aは環状の平坦面となっており、この上端面35aが透明板26の下面26bに固着されている。
また、フレーム部材35の内周側にはすり鉢状の傾斜面35bが形成されているとともに、この傾斜面35bには周方向に沿って光出射手段としてのLED36,37が複数個固定されている。具体的には、各LED36は傾斜面35bの上部に、各LED37は傾斜面35bの下部に、それぞれ周方向へ等間隔の配置態様をなすように固定されている。
したがって、相対向する位置に配置された各LED36,37は、それぞれ相対向する方向から観察領域Aに対して照射光を出射可能になっている。これにより、出射方向に生じる影を、その相対向する位置から出射された照明光によって打ち消すことで、影の発生を抑制し、観察領域A内を満遍なく照明することが可能となっている。
また、LED36,37はいずれも透明部26cに対して下面26b側から斜めに入射する照射光を出射可能となっているが、各LED36と各LED37とは、透明板26に対する照射光の入射角度が異なるように、傾斜面35bに対して異なる角度で固定されている。すなわち、各LED36と各LED37とで光を照射する角度範囲を異ならせることにより、より広い範囲を照らすことが可能となっている。
なお、本実施形態においては、傾斜面35bの上部に固定された各LED36が観察領域Aの外側を、傾斜面35bの下部固定された各LED37が観察領域Aの内側をそれぞれ照明するようになっている。そして、観察領域Aの内側を照らす各LED37は透明部26cに対して下面26b側から鋭角に入射する照射光を出射可能となっている。したがって、透明部26cの下面26bで反射した光がマイクロスコープ11に入射して生じるハレーション(映り込み)をより効果的に抑制するようになっている。
次に、撮像装置100の電気的構成を図5に基づいて説明する。なお、図5は、撮像装置100の電気的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、制御装置16は、装置全体の制御を行う制御部40、画像の表示領域の配置、大きさ、拡大縮小率等を含む表示情報が記憶された記憶部41、フレームメモリ42、ビデオメモリ43、出力部44及び入力部45が設けられている。
マイクロスコープ11は制御部40により制御されるとともに、切り換えスイッチ14が操作された場合には、その情報が制御部40に伝達される。また、マイクロスコープ11により撮像された画像データはフレームメモリ42に出力される。
制御部40は、フレームメモリ42に格納された画像データに対して、記憶部41に記憶された表示情報に基づいて、拡大等の処理を行ってビデオメモリ43に格納する。そして、ビデオメモリ43に格納された画像データは出力部44によって読み出されて表示手段20に出力される。したがって、表示手段20には、マイクロスコープ11によって撮像され、表示情報に応じて拡大等の処理が施された画像が表示される。
また、制御部40には入力部45及び入力手段18が接続されている。そして、作業者が入力部45又は入力手段18を操作して制御部40に対して表示内容の変更等を指示すると、制御部40は指示に応じた内容を表示手段20に表示するようになっている。例えば作業者が入力部45又は入力手段18を操作して所定領域の画像を選択すると、制御部40が指示に応じた領域の画像を表示手段20に表示するようになっている。
次に、以上のように構成された拡大観察装置1による観察方法について説明する。
まず、透明板26における透明部26cの上面26a側に設定された観察領域Aに、ワークWを配置する。このとき、ワークWの全体サイズが観察領域Aよりも大きい場合には、観察対象部分が観察領域A内に配置されるようにワークWの位置決めを行い、ワークWの観察対象部分が透明部26cの上面26aに近接又は当接するように保持部材25bによってワークWを固定する。
次に、照明装置300における制御装置32の電源スイッチ33を投入し、透明板26の透明部26cに対して透明板26の下面26b側から斜めに入射する照明光を各LED36,37から照射して、観察領域Aを下方から照明する。このとき、各LED36,37の照射光は透明部26cに対して斜めに入射するので、反射光がマイクロスコープ11に入射することによる映り込みを効果的に抑制することができる。
続いて、透明板26における透明部26cの下面26bと対向する位置に、透明板26の上面26aから倍率(50倍)に応じた作動距離Lとなるように離間して配置されたマイクロスコープ11によって、透明部26c越しに観察領域Aを撮像する。
すると、マイクロスコープ11によって撮像されたワークWとグリッド線27の画像が、制御装置16を介して表示手段20に表示される。したがって、作業者は表示手段20に表示された画像の拡大倍率を50倍から80倍に切り換えて詳細な拡大観察を行ったり、入力手段18によってポインタPを操作することで加工部分の計測を行ったりして、ワークWの目視観察を行う。
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)マイクロスコープ11は透明板26における透明部26cの上面26a側に設定された観察領域A内のワークWを透明部26c越しに撮像するので、透明板26の上面26aから倍率に応じた作動距離Lとなるように離間した位置にマイクロスコープ11を予め配置しておくことが可能となる。すなわち、透明板26の上面26aに近接又は当接するようにして観察領域A内にワークWの観察対象部分を位置決めすることで、大きさ(高さ)の異なる観察対象を観察する場合であっても、事前準備としてマイクロスコープ11を動かして作動距離Lの調整を行う必要がない。
(2)ワークWの観察対象部分が平坦である場合には、観察領域Aが上面26a側に設定された透明板26の透明部26cに観察対象部分が当接するようにワークWを載置することで、容易にワークWの位置決めを行うことができる。また、観察対象部分が平坦でない場合にも、ワークWを直接目視しながら位置決めを行うことができるので、表示手段20に表示された画像を確認しながらピントを合わせるよりも、容易に事前準備を行うことができる。したがって、大きさの異なるワークWを観察する場合にも、容易に事前準備を行うことが可能となる。
(3)照明手段30が透明板26の下面26b側に固定されているので、観察領域Aに対して照明手段30の位置調整を行う必要がない。
(4)マイクロスコープ11によって透明部26c越しに撮像を行うために、照明手段30が透明部26cに対して垂直に入射する照明光を出射した場合には、透明部26cの表面で反射した光がマイクロスコープ11に入射してハレーション(映り込み)が生じてしまう虞がある。そして、こうした映り込みが生じる状況下では、良好な画像を得るために照明手段の位置等を調整したり、撮像した画像に対して処理を施したりする必要がある。しかし、上記構成では、照明手段30が透明部26cに対して透明板26の下面26b側から斜めに入射する照射光を出射可能であることから、簡易な構成で映り込みを抑制して、良好な画像を得ることが可能となる。
(5)透明部26cに対して照射光の入射角度が異なるLED36,37を有する照明手段30によって、より広い範囲を照明することが可能となる。したがって、照明手段30の位置調整を行うことなく、適切な拡大画像を得ることができる。
(6)透明部26cに対して相対向する方向から照射光を出射する複数のLED36,37を有する照明手段30によって、影の発生を抑制し、観察領域Aを満遍なく照明することが可能となる。したがって、照明手段30の位置調整を行うことなく、適切な拡大画像を得ることができる。
(7)位置決め部材は全体が光透過領域とされる透明板26からなるので、任意の位置に観察領域Aを設定することが可能となる。
(8)マイクロスコープ11により観察領域Aを撮像した場合には、ワークWとともにグリッド線27も等倍率で撮像されるため、表示手段20に表示された画像の拡大倍率にかかわらず、実際のサイズを視覚的に把握することができる。したがって、特にマイクロスコープ11の観察倍率を切り換えながら観察を行ったり、倍率の異なるレンズ13に取り替えて観察を行ったりする場合にも、サイズの誤認を抑制しつつ、拡大観察を行うことが可能となる。
(9)透明板26における透明部26cの上面26a側に観察対象部分が近接又は当接するように保持部材25bによってワークWを保持することで、ワークWの位置ずれを抑制することができる。さらに、ワークWの観察対象部分が平坦でない場合にも、保持部材25bによってワークWを保持することで、確実に位置決めを行うことができる。
(10)固定具24,25は、位置決め孔23a,23b,23c,23d及びピン24a,25aによって支持棒23に対して多段階に位置決めされる。すなわち、透明板26とマイクロスコープ11とが倍率に対応した作動距離Lとなるように固定具24,25を位置決めするとともに、この位置決めを多段階にすることによって、複数の倍率に対応した作動距離Lを容易に設定することが可能となる。したがって、マイクロスコープ11のレンズ13を異なる倍率のものに取り替えた場合にも、容易に事前準備を行うことが可能となる。
なお、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上面26a側に観察領域Aが設定される透明板(位置決め部材)26は、少なくとも観察領域Aと対応する部分が透明部26cとされていればよい。すなわち、透明板26は、観察領域Aと対応する部分が透明部26cとされるとともにその透明部26c以外の部分が不透明とされた位置決め部材に置換してもよい。
・位置決め部材は板形状に限らず、一部が網状になっていてもよいし、ワークWを嵌め込むための孔(穴)やワークWを支持するための突出部を備えるようにしてもよい。
・拡大観察装置1は保持部材25bを備えなくてもよい。
・保持部材25bはワークWの側面を把持するようにしてもよいし、ワークWを上側から押さえるようにしてもよい。また、保持部材25bは透明板26に固着されるようにしてもよい。
・照明手段30のフレーム部材35は環状のものに限らず、例えば四角枠形状やバー形状であってもよい。
・照明手段30において、フレーム部材35の周方向に沿って配置されるLEDの固定角度は2パターン以上であってもよいし、1パターンであってもよい。
・透明板26に記されるグリッド線27は必ずしも等間隔でなくてもよいし、格子状でなくてもよい。例えば、水平距離を示すスケールや、複数の同心円、又は所定間隔で配置されるドット等のマークであってもよい。
・透明板26に倍率毎の観察可能範囲をグリッド線27とともに記しておいてもよい。この場合には、観察倍率に応じて容易にワークWの位置決めを行うことが可能となる。
・照明手段30は必ずしも透明板26の下面26bに直接貼り付ける必要はなく、例えば照明手段30を透明板26の下面26b側に近接又は当接した状態で支持するための支持手段を備えるようにしてもよい。
・照明手段30を制御装置16に接続して制御するようにしてもよい。
・拡大観察装置1は位置決め機構を備えず、固定具24,25を支持棒23の任意の位置に固定するようにしてもよい。この場合には、固定具24,25を上下方向に無段階に移動させることにより、透明部26cの上面26aに記されたグリッド線27に焦点が合うようにピント調整を行って、マイクロスコープ11が透明部26cの上面26aから作動距離L分離間するように位置決めすればよい。
・位置決め機構を構成する位置決め孔は、レンズ13の倍率に応じて任意の位置に設定することができる。
・位置決め機構は、位置決め孔及びピンから構成されるものに限らない。例えば、ラチェット機構(歯止め装置)等で位置決めをするようにしてもよいし、制御装置を介して自動的に位置決めが行われるようにしてもよい。
・固定具24,25を支持棒23に対して位置決めする場合には、いずれか一方の固定具のみを移動させるようにしてもよいし、両方の固定具を移動させるようにしてもよい。
・本実施形態では、光出射手段としてLED(発光ダイオード)を直接光源として複数個フレーム部材35の周方向に沿って並べているが、光源を1つとして、その光源から周方向に沿って配置された光ファイバなどを経由して、間接的に観察領域Aに光を照射するようにしてもよい。
拡大観察装置の構成を示す模式図。 位置決め部材の一部平面図。 拡大観察装置における照明手段周辺を示す断面図。 照明手段の平面図。 撮像装置の電気的構成を示すブロック図。
符号の説明
1…拡大観察装置、11…マイクロスコープ(撮像手段)、20…表示手段、23…支持棒(支柱部材)、23a,23b,23c,23d…位置決め機構を構成する位置決め孔、24…固定具(第1固定具)、24a,25a…位置決め機構を構成するピン、25…固定具(第2固定具)、25b…保持部材、26…透明板(位置決め部材)、26a…上面、26b…下面、26c…透明部(光透過領域)、27…グリッド線(グリッド)、30…照明手段、36,37…LED(光出射手段)、A…観察領域、W…ワーク(観察対象物)。

Claims (9)

  1. 少なくとも一部が光透過領域とされるとともに、該光透過領域の上面側に観察領域が設定される位置決め部材と、
    該位置決め部材の下面側に固定され、該位置決め部材の前記光透過領域に対して前記位置決め部材の下面側から斜めに入射する照射光を出射可能な照明手段と、
    前記位置決め部材の下方に配置され、前記光透過領域の上面に近接又は当接するようにして前記観察領域内に位置決めされた観察対象物の観察対象部分を前記光透過領域越しに撮像可能な撮像手段と、
    該撮像手段によって撮像された画像を表示可能な表示手段とを備えたことを特徴とする拡大観察装置。
  2. 請求項1に記載の拡大観察装置において、
    前記照明手段は、前記位置決め部材の前記光透過領域に対する前記照射光の入射角度が異なる複数の光出射手段を有することを特徴とする拡大観察装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の拡大観察装置において、
    前記照明手段は、前記位置決め部材の前記光透過領域に対して相対向する方向から前記照射光を出射する複数の光出射手段を有することを特徴とする拡大観察装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の拡大観察装置において、
    前記位置決め部材は透明板からなることを特徴とする拡大観察装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の拡大観察装置において、
    前記位置決め部材における前記光透過領域の上面側には、グリッドが記されていることを特徴とする拡大観察装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の拡大観察装置において、
    前記観察対象物の観察対象部分が前記位置決め部材における前記光透過領域の上面側に近接又は当接するように、前記観察対象物を保持する保持部材をさらに備えたことを特徴とする拡大観察装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の拡大観察装置において、
    支柱部材と、該支柱部材に対して前記撮像手段を固定する第1固定具と、前記支柱部材に対して前記位置決め部材を固定する第2固定具と、前記第1固定具及び前記固定具の少なくとも一方を前記支柱部材に対して多段階に位置決めするための位置決め機構とをさらに備えたことを特徴とする拡大観察装置。
  8. 少なくとも一部が光透過領域とされるとともに、該光透過領域の上面側に観察領域が設定される位置決め部材と、
    該位置決め部材の下面側に固定され、該位置決め部材の前記光透過領域に対して前記位置決め部材の下面側から斜めに入射する照射光を出射可能な照明手段と、
    前記位置決め部材を保持可能であるとともに、前記光透過領域の上面に近接又は当接するようにして前記観察領域内に位置決めされた観察対象物の観察対象部分を前記光透過領域越しに撮像可能な撮像手段を前記位置決め部材の下方となる位置に保持可能な保持手段とを備えたことを特徴とする拡大観察装置用治具。
  9. 請求項8に記載の拡大観察装置用治具において、
    前記保持手段は、支柱部材と、該支柱部材に対して前記撮像手段を固定する第1固定具と、前記支柱部材に対して前記位置決め部材を固定する第2固定具と、前記第1固定具及び前記固定具の少なくとも一方を前記支柱部材に対して多段階に位置決めするための位置決め機構とを備えたことを特徴とする拡大観察装置用治具。
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