JP2010084275A - セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸巻取り方法および溶融紡糸巻取り装置 - Google Patents

セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸巻取り方法および溶融紡糸巻取り装置 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロース脂肪酸混合エステル繊維を溶融紡糸巻取りし製造するに際し、紡糸口金から吐出された繊維糸条を均一かつ安定的に冷却を施し、更には強伸度向上を可能にするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸方法及び装置を提供する。
【解決手段】紡糸口金より吐出されたセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を冷却固化して巻取るに際し、冷却風を環状方向から糸条に向けて吹き出し、かつ冷却風の吹出し長Lqを有する冷却風吹出し部から、下記式(A)、(B)及び(C)を満足する条件で冷却風を繊維糸条に吹き付けて冷却固化する。
Tm+10≦Tt≦Tm+60 ………式(A)
Tt:冷却風吹出し部の上端部の冷却風温度(℃)
Tm:セルロース脂肪酸混合エステルの融点(℃)
Td≦40 ………式(B)
Td:冷却風吹出し部の下端部の冷却風温度(℃)
100≦Lq≦500 ………式(C)
Lq:冷却風吹出し部の吹出し長(mm)
【選択図】図1

Description

本発明は、機械的特性および糸品質・糸品位に優れたセルロース脂肪酸混合エステル繊維を製糸性良く安定して製造することを可能とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法および溶融紡糸巻取り装置に関するものである。
良好な機械特性および品質に優れたセルロース脂肪酸混合エステル繊維を溶融紡糸し製造することを目的にさまざまな方法が提案されている。
例えば、単糸(単繊維)繊度が0.1〜2dtexのようなレベルの細繊度のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の製造に関し、図3に示すように、紡糸口金の吐出表面と冷却風の吹出し部の上端部の垂直距離Huを規定し、かつ紡糸口金直下の気流の乱れを抑制することにより、繊維糸条の細化変形挙動を安定させ、繊維の断面形状斑および繊度斑(以下、ウースタ斑(U%)という)を低減させ、また紡糸口金の表面温度を規定することにより、製糸安定性だけでなく強伸度の向上を図るという方法が提案されている(特許文献1)。
しかし、この特許文献1に提案の方法は、図3に示したように冷却手段として繊維糸条を冷却風が横切るクロスフロー冷却装置3bを用いたものであった。このクロスフロー冷却冷却装置を用いる場合、単糸数が増加するにつれて単糸間で冷却風の当たり方にバラツキが生じるようになるため、結果的に均一に冷却風が吹き付けられずにウースタ斑(U%)にバラツキを生じさせる原因となる場合があった。
また、繊維の強伸度を向上させることを目的に、紡出後の雰囲気を紡糸口金の表面温度以上に加熱し、かつ口金下15cmの雰囲気温度を260〜340℃に加熱することにより、紡糸口金から吐出される繊維糸条の紡糸線での変形(細化変形挙動)を緩やかにさせ、変形ひずみ速度を小さくすることにより応力集中を抑制し、強伸度の向上を図るという方法が提案されている(特許文献2)。
しかし、この特許文献2の方法においては、確かに強伸度の向上を図ることはできるものの、繊維糸条を冷却する手段がクロスフロー冷却装置を用いたものであり、単糸間で冷却風の当たり方にバラツキが生じ結果としてU%が悪化してしまう。
また、ポリエステル繊維糸条を製造するに際し、溶融紡糸された繊維糸条を均一かつ安定した冷却を施し、さらには強伸度の向上を可能にする方法として、環状冷却装置の冷却長を規定し、かつ糸条走行方向に対する冷却風の温度プロフィールを糸条走行方向の上部から下部にかけて(高温から低温の)温度勾配を設け、紡糸配向による強伸度向上および均一冷却によるU%改善を図るという方法が提案されている(特許文献3)。
しかし、この特許文献3に提案されている方法は、例えば、ポリエステルのような、雰囲気温度の変化に分子配向が過敏でないものであれば所期の効果が得られるものの、セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条では効果を得ることはできなかった。
このようにセルロース脂肪酸混合エステル繊維を溶融紡糸し製造することに関しては、単糸数に限定されることなく、U%が小さくかつ強伸度を高いレベルで保持するという溶融紡糸方法は未だ確立していないのが現状であった。
特開2007−169854号公報 特開2005−248354号公報 特開2007−284857号公報
本発明の目的は、上述したような問題点に鑑み、セルロース脂肪酸混合エステル繊維を溶融紡糸して製造するに際し、紡糸口金から吐出された糸条を均一かつ安定的に冷却を施し、さらには強伸度向上を可能にするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法および溶融紡糸巻取り装置を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法は、以下の(1)または(2)の構成を有する。
(1)紡糸口金より吐出されたセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を冷却固化して巻取るに際して、冷却風を環状方向から前記糸条に向けて吹き出し、かつ冷却風の吹出し長Lqを有する冷却風吹出し部から、下記式(A)、(B)及び(C)を満足する条件で冷却風を前記繊維糸条に吹き付けて該糸条を冷却固化するようにしたことを特徴とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法。
Tm+10≦Tt≦Tm+60 ………式(A)
ただし、Tt:冷却風吹出し部の上端部の冷却風温度(℃)
Tm:セルロース脂肪酸混合エステルの融点(℃)
Td≦40 ………式(B)
ただし、Td:冷却風吹出し部の下端部の冷却風温度(℃)
100≦Lq≦500 ………式(C)
ただし、Lq:冷却風吹出し部の吹出し長(mm)
(2)紡糸口金より吐出されたセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を冷却固化して巻取るに際して、冷却風を環状方向から前記糸条に向けて吹き出し、かつ冷却風の吹出し長Lqを有する冷却風吹出し部から、下記式(D)を満足する条件で冷却風を前記繊維糸条に吹き付けて該糸条を冷却固化するようにしたことを特徴とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法。
Tm+25≦Ts≦Tm+50 ………式(D)
ただし、Ts:紡糸口金の吐出表面温度(℃)
Tm:セルロース脂肪酸混合エステルの融点(℃)
また、かかる本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法において、具体的に好ましくは、以下の(3)または(4)の構成からなるものである。
(3)前記紡糸口金の吐出表面温度Tsを、下記式(E)を満足する条件として前記繊維糸条を吐出させることを特徴とする上記(1)に記載のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法。
Tm+25≦Ts≦Tm+50 ………式(E)
ただし、Ts:紡糸口金の吐出表面温度(℃)
Tm:セルロース脂肪酸混合エステルの融点(℃)
(4)前記紡糸口金の吐出表面と前記冷却風吹出し部の上端面との距離Hが10〜100mmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法。
上述した目的を達成する本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り装置は、以下の(5)の構成を有する。
(5)紡糸口金より吐出されたセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を冷却固化するため、冷却風を該糸条に向けて環状方向から吹出す環状冷却装置と、糸条を引き取るための引取ローラーと、糸条を巻取るための巻取装置を有し、前記環状冷却装置は、冷却風量調節装置により流量調整された冷却風を前記紡糸口金より吐出された繊維糸条に吹き付けるための冷却風吹出し部を有し、かつ該冷却風吹出し部の上部の冷却風を高温にし、該冷却風吹出し部の下部の冷却風を低温にする冷却風温度制御手段を有することを特徴とするセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り装置。
また、かかる本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り装置において、具体的に好ましくは、以下の(6)の構成を有するものである。
(6)前記環状冷却装置の冷却風吹出し部の吹出し長Lqが、下記式(F)を満足することを特徴とする上記(5)に記載のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り装置。
100≦Lq≦500 ………式(F)
ただし、Lq:冷却風吹出し部の吹出長(mm)
本発明の請求項1または請求項2のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法、また、請求項5の同繊維の溶融紡糸巻取り装置によれば、セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を、冷却風の方向性と特定の冷却風温度を有する冷却風吹出し孔を環状に配置して冷却固化を行うことにより、セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を均一かつ安定的に冷却を施すことができ、加えて強伸度を向上させることができる。
より具体的には、セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の徐冷紡糸による強伸度向上と、糸条の均一冷却によるU%改善を同時に行うことが可能であり、機械的特性に優れたセルロース脂肪酸混合エステル繊維を製糸性、品質ともに安定して製造することができるようになる。
本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸方法および溶融紡糸装置は、繊維糸条を冷却固化する装置の冷却風吹出し部が、冷却風を環状方向から該糸条に向けて吹出す構成であることおよび冷却風を糸条走行方向に対して交わる方向に吹出すことが重要である。
また、紡糸口金から吐出された糸条に対する冷却風吹出し孔を有する冷却風吹出し部の吹出し長Lqは、100mm以上500mm以下の範囲にあることが重要である。ここでいう冷却風吹出し部の吹出し長Lqとは、冷却風が吹出す領域の糸条走行方向の長さである。吹出し長Lqが100mm未満の場合、セルロース脂肪酸混合エステル繊維のU%が悪化するとともに、徐冷紡糸による強伸度向上の効果が小さくなる。逆に、吹出し長Lqが500mmを超えると、紡糸口金より紡出されたセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条が冷却固化した後に発生する随伴気流が外乱となり、紡糸口金から吐出された繊維糸条が紡糸口金直下で糸揺れを起こし、セルロース脂肪酸混合エステル繊維のU%が悪化するとともに、該繊維糸条走行に伴う随伴気流の影響で紡糸張力が高くなり製糸性が著しく悪化する。吹出し長Lqの好ましい範囲としては120〜450mmである。
また、本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸方法および溶融紡糸装置は、冷却風が上部では高温で、下部では低温となる温度勾配をもつようにして冷却作用を与えることが重要である。ここでいう上部とは、冷却風吹出し部において紡糸口金に近い部分をいい、ここでいう下部とは、上部より下の部分を言う。上部と下部は冷却長Lの二等分で区分することが好ましいが、必ずしも等分でなくともよい。冷却風について、上部が低温の場合、セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の均一冷却は可能であるが、徐冷不足となり強伸度向上効果は得られず、逆に下部が高温の場合、セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の冷却が不十分となるためセルロース脂肪酸混合エステル繊維のU%が悪化する。
冷却風が上部は高温で、下部は低温となる温度勾配をもつために、セルロース脂肪酸混合エステルの融点をTm(℃)として、冷却風吹出し部の上端部の冷却風温度Ttが、Tm+10≦Tt≦Tm+60(℃)の範囲にあることが重要である。
上端部の冷却風温度がTm+10(℃)未満の場合、紡糸口金の吐出表面の温度が低下するため、メルトフラクチャー(紡糸口金吐出孔通過時にポリマーの剪断応力が高いと発生する現象で、吐出された繊維糸条の形状が不規則になる現象)が発生したり、あるいは繊維糸条の曳糸性不良により製糸性が著しく悪化する。逆に、Tm+60(℃)を越えると、紡糸口金の吐出表面の温度が高くなるため、紡糸口金から吐出されるポリマーの熱劣化が進行し、製糸性が著しく悪化するばかりか、繊維色調の悪化等品質上の観点からも好ましくない。上端部の冷却風温度(Tt)の好ましい範囲としては、Tm+25≦Tt≦Tm+45(℃)である。
更に、冷却風吹出し部の下端部の冷却風温度Tdに関しては、Td≦40℃の範囲にあることが重要である。下端部の冷却風温度が40℃を越える場合、給油位置での糸温度が高くなり繊維の強伸度が低下する。下端部の冷却風温度Tdの好ましい範囲としてはTd≦30℃である。
また、本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸巻取り方法は、セルロース脂肪酸混合エステルの融点をTm(℃)として、紡糸口金の吐出表面温度Ts(℃)が、Tm+25≦Ts≦Tm+50(℃)の範囲にあることが重要である。
吐出表面温度(Ts)がTm+25(℃)未満の場合、メルトフラクチャーが発生し、あるいは繊維糸条の曳糸性不良により製糸性が著しく悪化する。逆に、Tm+50(℃)を越えると、紡糸口金から吐出されるポリマーの熱劣化が進行し、製糸性が著しく悪化するばかりか、繊維色調の悪化等品質上の観点からも好ましくない。
本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸方法および溶融紡糸装置において用いられる冷却風は、整流化されていることが好ましい。例えば、表面に凹凸のあるリボンを螺旋状に巻いて円筒状に熱硬化形成した多孔性部材や、金網を円筒状に巻き付け熱硬化形成した多孔性部材を冷却風吹出し部に接地することなどにより、整流化された冷却風を吹き付ける方法があるが、紡糸口金から吐出される繊維糸条に整流化された冷却風が均一に吹き付けられるのであれば、特に限定されるものではない。
また、冷却風の風速勾配は、図2(a)、(b)に示すようないずれでも採用でき、特に限定されるものではないが、冷却風吹出し部からの冷却風の風速が、冷却風吹き出し部上端面から50mmの区間にて最大0.05〜1.0m/秒の範囲にあることが好ましい。冷却風の風速が0.05m/秒未満の場合、セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の冷却が不十分となるためセルロース脂肪酸混合エステル繊維のU%が悪化する可能性がある。逆に、冷却風の風速が1.0m/秒を超えると、紡糸口金から吐出された繊維糸条が紡糸口金直下で糸揺れし、製糸性が悪化する可能性がある。
本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸方法および溶融紡糸装置は、図1に示す通り、紡糸口金から吐出された繊維糸条の最外周と、冷却風吹出し部の上端部との水平距離(C)は、5〜20mmの範囲にあることが好ましい。水平距離(C)が5mm未満の場合、冷却風吹出し部と紡糸口金から吐出された繊維糸条が接触し、製糸性が悪化する可能性がある。逆に、20mmを超えると、セルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の冷却が不十分となるためセルロース脂肪酸混合エステル繊維のU%が悪化する可能性がある。
また、図1に示した紡糸口金2の吐出表面と冷却風吹出し部5の上端部との垂直距離Hは、10〜100mmの範囲にあることが好ましい。垂直距離Hが10mm未満の場合、繊維糸条が冷却風を紡糸口金の吐出表面に吹き上げるため、紡糸口金から吐出された繊維糸条が紡糸口金直下で糸揺れをし、セルロース脂肪酸混合エステル繊維のU%が悪化するとともに、該繊維糸条走行に伴う随伴気流の影響で紡糸張力が高くなり製糸性が悪化する可能性がある。逆に100mmを超えると、該繊維糸条が固化してしまいセルロース脂肪酸混合エステル繊維のU%が悪化する可能性がある。垂直距離Hの更に好ましい範囲としては30〜65mmである。
本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸方法および溶融紡糸装置は、単糸繊度、フィラメント数、糸断面等の特性、用途に合わせて適宜選択すればよい。その中で特に本発明で効力を発揮する品種群としては、単糸繊度が3dtex以下の単糸細繊度の品種群である。更には後述する断面形状にて述べると、通常のの円形断面では単糸繊度が0.3〜2.5dtexでより効果を発揮し、異形断面では1.5〜3dtexでより効果を発揮する。
本発明におけるセルロース脂肪酸混合エステルは、セルロースのグルコースユニットに存在する3つの水酸基が2種類以上のアシル基により封鎖されたものである。セルロース脂肪酸混合エステルの具体例としては、アセチル基とプロピオニル基が結合したセルロースアセテートプロピオネート、アセチル基とブチル基が結合したセルロースアセテートブチレートが好ましい。この場合、アシル基の平均置換度は、下記式を満たすことが好ましい。なお、平均置換度とはセルロースのグルコース単位あたりに存在する3つの水酸基のうちアシル基が化学的に結合した数を指す。
2.0≦(アシル基の平均置換度)≦3.0
1.5≦(アセチル基の平均置換度)≦2.5
0.5≦(プロピオニル基またはブチル基の平均置換度)≦1.5
本発明におけるセルロース脂肪酸混合エステルは、主としてセルロース脂肪酸混合エステルからなる樹脂組成物である。セルロース脂肪酸混合エステルの含有量は、75〜95重量%の範囲にあることが好ましい。かかる範囲とすることにより、樹脂組成物の溶融粘度が低くなり、溶融紡糸法による繊維化を製糸性、品質とも安定して行うことができ、また得られるセルロース脂肪酸混合エステル繊維の強伸度、U%等といった特性も良好なものとなる。セルロース脂肪酸混合エステルの含有量の更に好ましい範囲としては78〜92重量%であり、最も好ましい範囲としては80〜90重量%である。
また、本発明におけるセルロース脂肪酸混合エステルからなる樹脂組成物には、可塑剤を含有していてもよい。可塑剤としては、多価アルコール系化合物が好ましい。具体的にはセルロース脂肪酸混合エステルとの相溶性が良好であり、また溶融紡糸可能な熱可塑化効果が顕著に現れるポリアルキレングリコール、グリセリン系化合物、カプロラクトン系化合物等であり、なかでもポリアルキレングリコールが最も好ましい。ポリアルキレングリコールの具体的な例としては、重量平均分子量が200〜4000であるポリエチレングリコールが好ましく、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
また、セルロース脂肪酸混合エステルからなる樹脂組成物中の可塑剤含有量は、5〜25重量%の範囲にあることが好ましい。かかる範囲とすることにより、セルロース脂肪酸混合エステルの熱流動特性が向上するため、溶融紡糸法による繊維化を製糸性、品質とも安定して行うことができ、また得られるセルロース脂肪酸混合エステル繊維の強伸度、U%等といった特性も良好なものとなる。可塑剤含有量の更に好ましい範囲としては8〜22重量%であり、最も好ましい範囲としては10〜20重量%である。
更には、セルロース脂肪酸混合エステルからなる樹脂組成物には、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、着色防止剤、着色顔料、染料、制電剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤等として、無機微粒子や有機化合物を含んでいてもよい。
本発明におけるセルロース脂肪酸混合エステル繊維の断面形状については、特に限定されるものではなく、通常の円形断面であってもよいし、また三葉、五葉、八葉などの多葉形、扁平形、W字形、S字形、X字形、H字形、C字形、田字形、井字形、中空などの異形断面でもよい。また、その繊維形態は、長繊維、短繊維、不織布、熱成形体等、様々な繊維製品形態を採ることができる。
本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸方法及び溶融紡糸装置を図面に基づいて具体的に説明すると、図1は、本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸方法の一実施態様を示す溶融紡糸装置の概略図である。溶融紡糸装置は、紡糸パック1、環状冷却装置3a、給油ガイド7、引取ローラー9、10及び巻取装置11を具備している。紡糸パック1は紡糸口金2を有しており、紡糸口金2の吐出孔より紡出された繊維糸条Yは、環状冷却装置3aから吹き出される冷却風で冷却され、給油ガイド7で油剤を付与された後、インターレースノズル8で交絡を付与される。その後、引取ローラー9、10で引き取られ、巻取り装置11で巻取られる。
該溶融紡糸装置において、環状冷却装置3aは、冷却風吹出し部(孔)5を有しており、図示しない温調器より供給された冷却風を冷却風調節装置4で任意の風量に調整し、加熱装置6により加熱された環状冷却装置3aを通過することによって冷却風が加熱され、冷却風吹出し部5で整流して繊維糸条Yの走行方向に対して交わる方向に吹付けるようになっている。
冷却風吹出し部5の冷却長Lqを二等分し紡糸口金に近い方を上部とし、もう一方を下部と区分し、上部は加熱装置6により任意の温度に加熱された流路を冷却風が通過することで冷却風が加熱されるため、冷却風吹出し部5の上端部の冷却風が最高温度となり、加熱装置6により任意の温度に加熱された流路を通過しない冷却風吹出し部5の下端部が最低温度となるため、上部と下部で温度勾配と持たせることができ、かつ加熱装置6の温度制御により冷却風の温度制御が可能になっている。
ここで加熱装置6は、環状冷却装置3aの周囲方向に設けているが、本発明の温度勾配を満足する手段であればよく、これに特に限定されるものではなく、例えば紡糸パックを加熱する溶融紡糸装置12や図示しない紡糸口金直下の雰囲気を高温保持する加熱ヒーター(加熱筒)から熱付与され冷却風を加熱する手段などを用いてもよい。
また、図1は紡糸口金あたり1糸条の溶融紡糸工程を記載しているが、紡糸口金あたり2糸条以上の多糸条対応でも何ら問題はない。加えて紡糸速度(第1引取ローラー9の速度)は、1000〜4500m/分であることが好ましい。紡糸速度を1000〜4500m/分とすることで、紡糸線上に発生する空気抵抗を小さくできるため紡糸張力も極端に高くならず製糸性が良好となる。更には、紡糸口金より吐出された繊維糸条の急速変形による繊維内部構造の不均一化を抑制することができ機械特性の優れた繊維を得ることが可能となる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
A.セルロース脂肪酸混合エステルの平均置換度
セルロースにアセチル基とプロピオニル基が結合したセルロース脂肪酸混合エステルの平度の算出方法については下記の通りである。
水分率が500ppmのセルロース脂肪酸混合エステルチップ0.9gを秤量し、アセトン35mlとジメチルスルホキシド15mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。撹拌しながら0.5N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間ケン化した。熱水50mlを加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式により置換度を計算した。
TA=(B−A)×F/(1000×W)
DSace=(162.14×TA)/[[1−(Mwace−(16.00+1.01))×TA]+[1−(Mwpro−(16.00+1.01))×TA]×(Pro/Ace)]
DSpro=DSace×(Pro/Ace)
DSOH=3−DSace−DSpro
TA:全有機酸量(ml)
A:試料滴定量(ml)
B:空試験滴定量(ml)
F:硫酸の力価
W:試料重量(g)
DSace:アセチル基の平均置換度
DSpro:プロピオニル基の平均置換度
DSOH :水酸基の平均置換度
Mwace:酢酸の分子量
Mwpro:プロピオン酸の分子量
Pro/Ace:酢酸(Ace)とプロピオン酸(Pro)とのモル比
162.14:セルロースの繰り返し単位の分子量
16.00:酸素の原子量
1.01:水素の原子量
B.セルロース脂肪酸混合エステルの融点Tm(℃)
水分率が500ppmのセルロース脂肪酸混合エステルチップについて、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC−7)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定し、得られた溶融ピークのピーク温度を融点Tm(℃)とした。
C.冷却風温度
熱電対を冷却風吹出部6の直近に設け、該冷却風吹出し部の上端部と下端部の位置にて冷却風温度を測定し、各々の温度を上端部の冷却風温度Tt(℃)、下端部の冷却風温度Td(℃)とした。
D.紡糸口金の吐出表面温度
紡糸口金の吐出表面の最外周に配された吐出孔に隣接する吐出表面温度であり、熱電対を該吐出表面に接触させて測定した。
E.強伸度(タフネス)
JIS L1013(1999)の8.5項に準じて引張強さ(強度)及び伸び率(伸度)を測定した。尚、測定条件としては、定速緊張形試験機(オリエンテック(株)社製テンシロン)を用い、つかみ間隔50cm、引張速度50cm/minとした。
強度及び伸度を基に、以下の式でタフネスを算出し、4.4以上が望ましい。
タフネス=強度(cN/dtex)×(伸度(%))1/2
F.U%
zellweger uster社製のUSTER TESTER IIIを用いて試料長300m、測定糸速度100m/分で、設定を12.5%HIとして8個の試料について測定した。なお、U%の数値は1/2inertの数値であり、1.0未満が望ましい。
G.製糸性
繊維を2トン採取した段階での紡糸糸切れ回数を(回/トン)で算出した。糸切れ回数については、少なければ少ないほど望ましいのは言うまでもない。
H.セルロース脂肪酸混合エステルチップの製造
セルロース(コットンリンター)100重量部に、酢酸240重量部とプロピオン酸67重量部を加え、50℃で30分間混合した。混合物を室温まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172重量部と無水プロピオン酸168重量部をエステル化剤として、硫酸4重量部をエステル化触媒として加えて、150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃を越えるときは、水浴で冷却した。反応後、反応停止剤として酢酸100重量部と水33重量部の混合溶液を20分間かけて添加して、過剰の無水物を加水分解した。その後、酢酸333重量部と水100重量部を加えて、80℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム6重量部を含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートプロピオネートを濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃で4時間乾燥した。その結果、得られたセルロースアセテートプロピオネートのアセチル基およびプロピオニル基の平均置換度は各々1.9、0.7であり、重量平均分子量(Mw)は17.8万であった。
得られたセルロースアセテートプロピオネート82重量%と平均分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)17.9重量%およびリン系酸化防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.1重量%を二軸エクストルーダーを用いて230℃で混練し、5mm程度にカッティングしてセルロース脂肪酸混合エステルチップを得た。得られたチップの融点は213℃であり、重量平均分子量(Mw)は16.0万であった。
実施例1〜5
H項で得られたセルロース脂肪酸混合エステルチップを、水分率が500ppm重量%以下になるまで乾燥した後、260℃にて溶融し、図1に示す構成を有する装置を用い、冷却風0.3m/秒、紡糸口金から吐出された繊維糸条の最外周と冷却風吹き出し部の上端部との水平距離(C)を20mm、紡糸口金の吐出表面と環状冷却装置での冷却風の吹き出し部の上端部との垂直距離Hqを30mmの条件下にて、それぞれ冷却装置、冷却長Lq、上部および下部の冷却風の温度Tt、Tdを異ならせて、紡糸速度2500m/分で引き取り、100dtex、72フィラメントの断面形状が丸断面のセルロース脂肪酸混合エステル繊維を得た。得られた繊維のタフネス、U%、製糸性について評価した。その結果を表1に示す。
比較例1
クロスフロー冷却装置を用いて、該冷却装置と溶融紡糸装置の直下間に加熱ヒータ13を設けて(図3の点線枠部位)、紡糸口金の吐出表面と環状冷却装置での冷却風の吹出し部の上端部との垂直距離Huを60mm、冷却長Luを1000mm、上部および下部の冷却風の温度Tt、Tdを各々38℃、20℃、口金面温度を253℃とし、紡糸速度2000m/分で引き取り、100dtex、72フィラメントのセルロース脂肪酸混合エステル繊維を得た。得られた繊維のタフネス、U%、製糸性について評価した。その結果を表1に示す。
比較例2
環状冷却装置を用いて、冷却長Lqを90mm、上部温度Ttを120℃、下部温度Tdを50℃、口金面温度Tsを220℃とした以外は、上記実施例と同条件で紡糸速度2500m/分で引き取り、100dtex、72フィラメントのセルロース脂肪酸混合エステル繊維を得た。得られた繊維のタフネス、U%、製糸性について評価した。その結果を表1に示す。
実施例6〜9
H項で得られたセルロース脂肪酸混合エステルチップを、水分率が500ppm重量%以下になるまで乾燥した後、260℃にて溶融し、環状冷却装置にて冷却長Lqを300mm、上部冷却風温度Ttを250℃、下部冷却風温度Tdを30℃、冷却風0.8m/秒、紡糸口金から吐出された繊維糸条の最外周と冷却風吹き出し部の上端部との水平距離(C)を12.5mm、紡糸口金の吐出表面と環状冷却装置での冷却風の吹き出し部の上端部との垂直距離Hqを80mmの条件下にて、紡糸速度1500m/分で引き取り、単糸繊度および断面形状を異ならせた100dtexのセルロース脂肪酸混合エステル繊維を得た。得られた繊維のタフネス、U%、製糸性について評価した。その結果を表2に示す。
実施例10〜14
H項で得られたセルロース脂肪酸混合エステルチップを、水分率が500ppm重量%以下になるまで乾燥した後、260℃にて溶融し、環状冷却装置にて冷却長Lqを300mm、上部冷却風温度Ttを250℃、下部冷却風温度Tdを30℃、冷却風0.1m/s、紡糸口金から吐出された繊維糸条の最外周と冷却風吹き出し部の上端部との水平距離(C)を5mm、紡糸口金の吐出表面と環状冷却装置での冷却風の吹き出し部の上端部との垂直距離Hqを20mmの条件下にて、紡糸速度を変更させて、100dtex36フィラメントの断面形状がY型のセルロース脂肪酸混合エステル繊維を得た。得られた繊維のタフネス、U%、製糸性について評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2010084275
表1の結果から明らかなように、本発明のセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条の溶融紡糸巻取り方法及び溶融紡糸巻取り装置は、従来の溶融紡糸巻取り方法及び溶融紡糸巻取り装置と比較して、強伸度、U%といった原糸特性が大幅に向上した原糸を安定して製造することができ、極めて顕著な効果を奏するものであると言える。比較例1のように、冷却風を環状方向から吹き出さず、クロスフローにした場合、均一性、製糸性に劣るものであった。また、環状冷却装置を用いても上部冷却風温度、下部冷却風温度とも本発明で規定する範囲より低い場合、タフネス、製糸性に劣るものであった。一方、冷却長、上部冷却風温度および下部冷却風温度を本発明で規定する範囲の中でも特に好ましい範囲とした場合には、均一性、製糸性ともに特に優れ、タフネスも優れる繊維が得られた。
Figure 2010084275
表2の結果から明らかなように、繊維の断面形状にかかわらず、本発明効果を奏する。
Figure 2010084275
表3の結果から明らかなように、本発明の方法は広範囲の紡糸速度で適用可能である。
本発明のセルロース脂肪酸混合エステルマルチフィラメント溶融紡糸巻取り方法の一実施態様を示す概略工程図である。 (a)、(b)ともに本発明の環状冷却装置の冷却風の吹出し勾配を示す一実施態様を示す概略図である。 従来のセルロース脂肪酸混合エステルマルチフィラメント溶融紡糸巻取り方法の一実施態様を示す概略工程図である。
符号の説明
1:紡糸パック
2:紡糸口金
3a:環状冷却装置
3b:クロスフロー冷却装置
4:冷却風調整装置
5:冷却風吹き出し部
6:加熱装置
7:給油ガイド
8:インターレースノズル
9、10:引取ローラー
11:巻取装置
12:溶融紡糸装置
13:加熱ヒータ
Y:糸条
H:紡糸口金の吐出表面と環状冷却装置での冷却風の吹出し部の上端部との垂直距離
Lq:環状冷却装置の冷却風吹き出し部の吹出し長
Hu:紡糸口金の吐出表面とクロスフロー冷却装置での冷却風の吹出し部の上端部との垂直距離
Lu:クロスフロー冷却装置の冷却風吹出し部の吹出し長
C:紡糸口金から吐出された繊維糸条の最外周と、冷却風吹出し部の上端部との水平距離

Claims (6)

  1. 紡糸口金より吐出されたセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を冷却固化して巻取るに際して、冷却風を環状方向から前記糸条に向けて吹き出し、かつ冷却風の吹出し長Lqを有する冷却風吹出し部から、下記式(A)、(B)及び(C)を満足する条件で冷却風を前記繊維糸条に吹き付けて該糸条を冷却固化するようにしたことを特徴とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法。
    Tm+10≦Tt≦Tm+60 ………式(A)
    ただし、Tt:冷却風吹出し部の上端部の冷却風温度(℃)
    Tm:セルロース脂肪酸混合エステルの融点(℃)
    Td≦40 ………式(B)
    ただし、Td:冷却風吹出し部の下端部の冷却風温度(℃)
    100≦Lq≦500 ………式(C)
    ただし、Lq:冷却風吹出し部の吹出し長(mm)
  2. 紡糸口金より吐出されたセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を冷却固化して巻取るに際して、冷却風を環状方向から前記糸条に向けて吹き出し、かつ冷却風の吹出し長Lqを有する冷却風吹出し部から、下記式(D)を満足する条件で冷却風を前記繊維糸条に吹き付けて該糸条を冷却固化するようにしたことを特徴とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法。
    Tm+25≦Ts≦Tm+50 ………式(D)
    ただし、Ts:紡糸口金の吐出表面温度(℃)
    Tm:セルロース脂肪酸混合エステルの融点(℃)
  3. 前記紡糸口金の吐出表面温度Tsを、下記式(E)を満足する条件として前記繊維糸条を吐出させることを特徴とする請求項1に記載のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法。
    Tm+25≦Ts≦Tm+50 ………式(E)
    ただし、Ts:紡糸口金の吐出表面温度(℃)
    Tm:セルロース脂肪酸混合エステルの融点(℃)
  4. 前記紡糸口金の吐出表面と前記冷却風吹出し部の上端面との距離Hが10〜100mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り方法。
  5. 紡糸口金より吐出されたセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維糸条を冷却固化するため、冷却風を該糸条に向けて環状方向から吹出す環状冷却装置と、糸条を引き取るための引取ローラーと、糸条を巻取るための巻取装置を有し、前記環状冷却装置は、冷却風量調節装置により流量調整された冷却風を前記紡糸口金より吐出された繊維糸条に吹き付けるための冷却風吹出し部を有し、かつ該冷却風吹出し部の上部の冷却風を高温にし、該冷却風吹出し部の下部の冷却風を低温にする冷却風温度制御手段を有することを特徴とするセルロース脂肪酸混合エステルを主成分とするセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り装置。
  6. 前記環状冷却装置の冷却風吹出し部の吹出し長Lqが、下記式(F)を満足することを特徴とする請求項5に記載のセルロース脂肪酸混合エステル繊維の溶融紡糸巻取り装置。
    100≦Lq≦500 ………式(F)
    ただし、Lq:冷却風吹出し部の吹出長(mm)
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