JP2010084211A - スパッタリング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ターゲット交換後、可及的速やかに製品へのスパッタリングによる成膜処理が行い得るスパッタリング方法を提供する。
【解決手段】 真空チャンバ1内にターゲット5を配置した後、真空チャンバを真空引きし、不活性ガスを導入して低真空領域に保持し、真空チャンバを加熱してベーキングする工程と、低真空領域から高真空領域まで更に真空引きする工程と、高真空領域に達すると、真空チャンバ内にスパッタガスを導入すると共にターゲットに電力投入し、ターゲットの積算電力が所定値に達するまでターゲットをプレスパッタする工程とを備える。そして、プレスパッタ後に、前記ターゲットに対向する位置に基板を搬送し、前記基板への成膜処理を開始する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スパッタリング方法に関し、より詳しくは、ターゲット交換後に可及的速やかに製品たる基板への成膜処理を開始できるようにしたスパッタリング方法に関する。
シリコンウエハなどの基板表面への成膜方法の一つとしてスパッタリング(以下、「スパッタ」という)法がある。このスパッタ法は、プラズマ雰囲気中のイオンを基板表面に成膜しようする薄膜の組成に応じて所定形状に作製したターゲットに向けて加速させて衝撃させ、スパッタ粒子(ターゲット原子)を飛散させ、処理基板表面に付着、堆積させて所定の薄膜を形成するものである。
ここで、上記スパッタ法では、成膜処理を行う度にターゲットが侵食(エロード)されていくことから、ターゲットは定期的に交換され、このような場合には、真空チャンバが一旦大気開放されることになる。真空チャンバが大気開放されると、真空チャンバ内の壁面や防着板に水分等のガス成分が吸着する。他方、交換されるターゲットもまた、当該ターゲットの製作時、保管時や交換作業時に水分等のガス成分が吸着している。
このため、ターゲット交換後、製品たる基板に成膜処理するには、真空チャンバの脱ガスを行うと共に、成膜処理に先立ってターゲット表面を予め侵食することでターゲットの吸着ガスを除去すること、所謂プレスパッタを行うことが一般に知られている。
ここで、真空チャンバの吸着ガスの除去を効率よく短時間で行うために、真空チャンバ内に酸素ガスまたは不活性ガスを供給しながら排気し、次いで、ガス供給を停止して真空チャンバ内を排気し、その後、真空チャンバを加熱してベーキング処理することが特許文献1で知られている。
上記特許文献1記載の方法では、真空チャンバ内に吸着した水分子等が酸素ガスまたは不活性ガスに衝突してチャンバ壁からの脱離が促進される。然し、多量の不活性ガス等を導入するため、不活性ガス等が無駄に消費されるという不具合がある。また、特許文献1記載の方法では、真空チャンバを更に真空排気した後でベーキングするため、当該方法をスパッタリング装置に適用しても、ターゲット自体が然程昇温しないことから、ターゲット自体の脱ガスが十分に行われず、ターゲットのプレスパッタ時間は、従来と同様の積算時間(ターゲットへの投入電力とスパッタ時間とで定まるもの)だけ行う必要がある。その結果、ターゲット交換からスパッタ法による製品への成膜までに時間がかかるという問題がある。
特開平2−46726号公報
そこで、本発明は、以上の点に鑑み、ターゲット交換後、可及的速やかに製品へのスパッタリングによる成膜処理が行い得るスパッタリング方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明のスパッタリング方法は、真空チャンバ内にターゲットを配置した後、前記真空チャンバを真空引きし、不活性ガスを導入して低真空領域に保持し、前記真空チャンバをベーキングする工程と、低真空領域から高真空領域まで更に真空引きする工程と、高真空領域に達すると、真空チャンバ内にスパッタガスを導入すると共にターゲットに電力投入し、ターゲットの積算電力が所定値に達するまでターゲットをプレスパッタする工程とを備え、前記プレスパッタ後に、前記ターゲットに対向する位置に存する基板に対して成膜処理を開始することを特徴とする。
本発明によれば、真空チャンバ内を真空引きし、不活性ガスを導入して低真空領域に保持した状態で当該真空チャンバをベーキングするため、上述の特許文献1記載のように多量のガスを消費するものではない。また、真空チャンバ内に低真空領域の不活性ガス雰囲気を形成した状態でベーキングすることで、真空チャンバの内壁面だけでなく、ターゲット自体も効率よく加熱されるようになり、ターゲットの脱ガスも効率よく行われるようになる。
ベーキング工程終了後、引き続き、高真空領域まで真空引きする。そして、真空チャンバ内にスパッタガスを導入すると共にターゲットに電力投入し、ターゲットの積算電力が所定値に達するまでターゲットをプレスパッタする。その際、ターゲットの脱ガスが効率よく行われていることで、上記特許文献1記載のようにターゲットの脱ガスが不十分な場合と比較して、半分以下の積算電力(kwh)だけプレスパッタすれば、その後に製品への成膜処理を開始しても、所望の特性を持った薄膜の形成が可能となる。
このように本発明においては、真空チャンバ内を大気圧から低真空領域、高真空領域と真空引きする途中でターゲット及び真空チャンバ内の脱ガスを行い、その後、プレスパッタを行うことと、プレスパッタの積算電力を短くできることとが相俟って、ターゲット交換後、可及的速やかに製品へのスパッタリング法による成膜処理が行い得る。なお、本発明においては、低真空領域とは、ロータリーポンプやルーツポンプ等の真空ポンプにより形成可能である100〜10−2Paの範囲の圧力領域をいい、また、高真空領域とは、ターボ分子ポンプ、拡散ポンプやクライオポンプ等の真空ポンプにより形成可能な10−3〜10−6Paの範囲の圧力領域をいう。
また、本発明においては、前記ターゲットがCu、AlまたはTa製であり、シリコンウエハに形成した微細なホールやトレンチにCuからなるシード層を形成する場合に、ターゲット交換後に、短時間で膜質(シート抵抗値)の揃ったシード層を形成できてよい。
また、前記低真空領域を形成する際に、真空チャンバ内を真空引きする真空ポンプの排気速度を変化させる構成を採用すればよい。この場合、真空チャンバ内を高真空領域まで真空引きする真空排気手段が、例えばターボ分子ポンプ及びその背圧側のロータリーポンプから構成されている場合に、ターボ分子ポンプの作動を停止したり、または、ターボ分子ポンプに通じる排気管にコンダクタンスバルブを設けて排気速度を変化させればよい。
以下、図面を参照して、既存のスパッタ装置Mにおいて本発明の実施の形態のスパッタリング方法を適用した例を説明する。
図1に示すように、スパッタ装置Mは、スパッタ室1aを画成する所定容積の真空チャンバ1を備える。真空チャンバ1の底部には、排気管2を介して真空ポンプ3が接続されている。真空ポンプ3は、真空チャンバ1内の大気圧から低真空領域までの初期粗引きを行うことができ、また、背圧を維持するための補助ポンプとしての役割を果たすことができるロータリーポンプ等の低真空用ポンプ3aと、真空チャンバ1内を低真空領域から高真空領域まで真空引きするターボ分子ポンプ等の高真空用ポンプ3bとを組み合わせて構成されている。
ここで、本実施の形態において、低真空領域とは、大気圧より低く、10−2Paまでの圧力領域をいい、また、高真空領域とは、10−3〜10−6Paの圧力領域をいい、これらの圧力範囲の真空雰囲気をそれぞれ形成できるものであれば、真空ポンプの種類は問わない。さらに、排気管2には、低真空用ポンプ3aと高真空用ポンプ3bとの間に位置させて公知のコンダクタンスバルブ4を設ける構成を採用してもよい。
真空チャンバ1の上部には、カソードユニットが設けられている。カソードユニットは、スパッタ室1aを臨むように配置され、基板Sの外形より一回り大きい外形(例えば、平面視で円形)のターゲット5を有する。ターゲット5は、CuやAl合金など基板S表面に成膜しようとする薄膜の組成に応じて公知の方法でそれぞれ作製されている。
ターゲット5は、スパッタリング中、ターゲット5を冷却するバッキングプレート6にインジウムやスズなどのボンディング材を介して接合され、バッキングプレート6にターゲット5を接合した状態で絶縁板7を介して真空チャンバ1に装着されている。この場合、ターゲット5の周囲には、グランド接地されたアノードとしての役割を果たす図示省略のシールドが取付けられるようになっている。また、ターゲット5には、真空チャンバ1外に配置されるスパッタ電源8からの出力が接続され、負の直流電圧または高周波電圧を印加できるようになっている。
ターゲット5の後方(図1中、スパッタ面と反対の上側)には、公知の構造の磁石ユニット9が設けられ、ターゲット5の前方(スパッタ面側たる下側)に、釣り合った閉ループのトンネル状の磁束を形成して、ターゲット5の前方で電離した電子及びスパッタリングによって生じた二次電子を捕捉することで、ターゲット5前方での電子密度を高くしてプラズマ密度を高くできるようになっている。
真空チャンバ1の底部には、ターゲット5に対向した位置で基板Sを保持可能なステージ10が設けられている。この場合、ステージ10には、成膜プロセスに応じてバイアス電位を印加し得るように構成してもよい。
また、真空チャンバ1の側壁には、上下一対の防着板11u、11dが設けられ、スパッタ室1aを画成しつつ、真空チャンバ1の内壁面等へのスパッタ粒子の付着を防止している。さらに、真空チャンバ1の側壁には、ガス源12に連通し、マスフローコントローラ12aが介設されたガス管12bが接続され、Arなどの希ガスからなるスパッタガスや反応性スパッタリングの際に用いる反応ガスが上下一対の防着板11u、11dの隙間を通してスパッタ室1a内に一定の流量で導入できるようになっている。なお、本実施の形態では、後述のように、真空チャンバ1のベーキング時に、同一のガス管12bを用いて不活性ガスたるArが導入されるようにしているが、その形態は問わない。
また、真空チャンバ1には加熱手段13が設けられている。加熱手段は、真空チャンバ1の外壁に設けられたジャケット13aを備え、真空チャンバ1内を大気解放する際、またはその再真空引きの際に、ジャケット内に例えば100℃の温媒を循環させることで真空チャンバ1を加熱できるようになっている。この場合、加熱手段は、ジャケットを備えたものに限定されるものではなく、また、加熱温度は、真空シール部品たるOリングの劣化等を考慮して適宜設定される。
次に、上記スパッタ装置Mにおいて、ターゲット交換後、基板Sへの成膜処理開始までの手順を説明する。先ず、真空チャンバ1が一旦大気解放され、この状態でターゲット5の交換作業が行われる。このとき、真空チャンバ1をベントするのに先立って、ジャケット13a内に例えば100℃の温媒を循環させることで真空チャンバ1をベーキングし、大気解放時のガス吸着を抑制するようにしてもよい。
ここで、このような交換作業時には、真空チャンバ1内の壁面や防着板11u、11dへの水分等のガス成分の吸着を完全に防止することができず、また、交換されるターゲット5も同様にガス成分が吸着している。そして、ターゲット5交換後、真空チャンバ1を密閉し、真空排気手段3のうち低真空用ポンプ3aのみを作動させて真空チャンバ1内の真空引きを開始する。それと同時に、大気解放時のガス吸着を抑制するように加熱手段を作動させていない場合には、ジャケット13aに例えば100℃の温媒を循環させることで真空チャンバ1のベーキングを開始する。
真空チャンバ内の圧力が所定値(40Pa)に達すると、ガス管12bからArガス等の不活性ガスを所定の流量(例えば、10sccm)で導入し、真空チャンバ1内に例えば40Pa(低真空領域)の不活性ガス雰囲気に形成する。このように真空チャンバ1内に不活性ガスを導入し、低真空領域に保持した状態で真空チャンバ1をベーキングすることで、真空チャンバ1内の壁面や防着板11u、11dだけでなく、ターゲット5自体も高い温度まで加熱されるようになり、吸着ガスが除去される。
上記状態で所定時間(例えば、4時間)経過すると、高真空用ポンプ3bを作動させて真空チャンバ1を高真空領域(10−5Pa)まで真空引きする。この状態では、真空チャンバ1の加熱を継続しておく。これにより、真空チャンバ1内の吸着ガスが一層除去されるようになる。なお、当初から高真空用ポンプ3bを作動させておき、コンダクタンスバルブ4により上記低真空領域(不活性ガス雰囲気)を形成するようにしてもよい。
真空チャンバ1の圧力が所定値(10−5Pa)に達すると、真空チャンバ1の加熱を停止し、製品として利用されないダミー基板(図示せず)をターゲット5と対向した位置に搬送する。そして、ガス管12bからスパッタガスを導入しつつ、ターゲット5にスパッタ電源8を介して負の直流電圧または高周波電圧を印加し、所定の積算時間(例えば、100kwh)だけプレスパッタを行う。このときのスパッタ条件は、製品たる基板Wへのスパッタ条件と同一または異なるものに設定してもよい。
このようにターゲット5に電力投入されると、基板W及びターゲット5に垂直な電界が形成され、ターゲット5の前方にプラズマ雰囲気が形成され、ターゲット5の表面がスパッタリングされる。このとき、ターゲット5表面が侵食されて当該ターゲット5表面の吸着ガスが除去されていく。最後に、積算電力が所定値に達すると、製品たる基板Wがターゲット5に対向した位置に搬送され、成膜処理が開始される。
このように本実施の形態においては、ターゲット5自体の脱ガスが効率よく行われている状態でプレスパッタするため、このプレスパッタ時間を半減させても、その後に製品への成膜処理を開始した時に所望の特性を持った薄膜の形成が可能となる。結果として、真空チャンバ1内を大気圧から低真空領域、高真空領域と真空引きする途中でターゲット及び真空チャンバ内の吸着ガスの除去を行い、引き続き、プレスパッタを行うことと、プレスパッタの積算電力を短くできることとが相俟って、ターゲット交換後、可及的速やかに製品へのスパッタリング法による成膜処理が行い得る。
以上の効果を確認するために、図1のスパッタ装置Mで銅製のターゲット5を用い、 処理すべき基板Wとして、シリコンウエハ表面全体に亘ってシリコン酸化物膜が形成され、このシリコン酸化物膜中に公知の方法で微細ホールがパターニング形成されたものにCuからなるシード層を形成した。
先ず、ターゲット5交換後、真空チャンバ1の真空引き開始と同時に、ジャケットに100℃の温媒を循環させることで真空チャンバ1の加熱を開始した。そして、ガス管12bから25sccmの流量でArガスを導入し、真空チャンバ1内の圧力を1Paに保持し、この状態で4時間放置した。4時間経過後のシールド11u、11dの平均温度を測定したところ約65℃であった。これは、真空排気手段3を作動させて高真空領域まで真空引きしながら同一時間だけ真空チャンバ1をベーキングした場合の平均温度と比較して約2倍であった。
4時間経過後、真空チャンバ1を加熱しながら真空チャンバ1の圧力を10−5Paまで真空引きした。そして、ダミー基板をCu製のターゲットと対向した位置に搬送し、プレスパッタを開始した。このときのスパッタ条件として、Arガス流量を10sccm、ターゲットへの投入電圧を500Vに設定した。
上記プレスパッタにより積算電力が20kwhに達すると、プレスパッタを停止し、製品たる基板を搬送してスパッタ法による成膜処理を開始した。そして、成膜処理された基板のシート抵抗値を測定したところ、0.27Ω/□のCu膜が得られていることが確認できた。
なお、上記実施の形態では、Cu製のターゲットを例に説明したが、これに限定されるものではなく、AlやTaなどその他のターゲットに対しても本発明のスパッタリング方法を適用することができる。また、上記実施の形態で説明した構成のスパッタリング装置に限定されるものではなく、自己放電式のもの等他のスパッタ装置においても本発明を適用し得る。また、搬送室の周囲に複数のスパッタリング装置が設けられている所謂クラスターツール(図示せず)において、背圧を維持する低真空用ポンプ3aが共用となっている場合に、本発明を適用すれば、ターゲット交換後、可及的速やかに製品へのスパッタリング法による成膜処理が行い得る。
本発明のスパッタリング方法を適用できるスパッタリング装置の構成を模式的に説明する図。
符号の説明
M スパッタリング装置
1 真空チャンバ
3 真空排気手段
3a 低真空用ポンプ
3b 高真空用ポンプ
4 コンダクタンスバルブ
5 ターゲット
8 スパッタ電源
12 ガス源(スパッタガスまたは不活性ガス)
12b ガス管
13 加熱手段(ジャケット)

Claims (3)

  1. 真空チャンバ内にターゲットを配置した後、前記真空チャンバを真空引きし、不活性ガスを導入して低真空領域に保持し、前記真空チャンバをベーキングする工程と、
    低真空領域から高真空領域まで更に真空引きする工程と、
    高真空領域に達すると、真空チャンバ内にスパッタガスを導入すると共にターゲットに電力投入し、ターゲットの積算電力が所定値に達するまでターゲットをプレスパッタする工程とを備え、
    前記プレスパッタ後に、前記ターゲットに対向する位置に存する基板に対して成膜処理を開始することを特徴とするスパッタリング方法。
  2. 前記ターゲットがCu、AlまたはTa製であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング方法。
  3. 前記低真空領域を形成する際に、真空チャンバ内を真空引きする真空ポンプの排気速度を変化させることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスパッタリング方法。
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